• 最後の恋人達のお話

    2015-05-16 21:003
    この記事には、
    L'ultimo amante-La terra- ならびに L'ultimo amante-La luna- 
    の  【ネタバレ  が含まれております。
    動画をご覧になっていない方は、まずは動画を見て、そして聞いて頂けると、とっても嬉しいです。


    お久しぶりです。闇属性の輝き系魔法使い、πです。
    この度、テラ/ルナを同時に公開と相成りまして、ようやくほっと一息ついた所でございます。
    ・・・長かったなぁ・・・(しみじみ)
    ほんと長かったね・・・
    等と干渉に浸っていてもアレですので、L'ultimo amante(最後の恋人達)の具体的な設定や、製作秘話等をぽつりぽつりとお話できたら言いなぁと思いまして。
    久しぶりにブログを書いてみました。

    冒頭でも注意しておりますが、ネタバレが入っております。
    そういった類のお話が嫌な方は、閲覧をどうかお控えくださいね。

    それでは、はじまり。 はじまり。


    ■L'ultimo amanteは【派生曲です


    まずはここです。この作品、実はとあるボカロ曲と世界観が共通です。
    -La terra-には一瞬だけ派生となった曲の主人公が出てきてくれていますが、それは
    iroha君と一緒に作った「グリート」という曲。



    「傷ついてしまった地球が、月へと住を移した人類へ贈るうた。」

    というテーマで、サムネイルにもなっている主人公「ぼく」は地球です。
    地球が、人類へ「ちゃんと住めるようにするから、いつかは、戻ってきてね」と人に願う、そんな曲です。
    こんな事を言うと怒られてしまうかもしれませんが、irohaπコンビの中で、
    最もやさしく、そして最も愛の見える曲だと思います。今でもそう思います。
    そして、ルナの旋律にも、グリートは入っています。
    お気づきの方、おられましたかな?


    さて。2011年でしたか。
    ASK君から、irohaπコンビ、こんな依頼を受けました。
    「CDを作るので是非、グリートみたいな曲を作って参加して欲しい」
    ・・・正直申し上げます。
    irohaπコンビ  「またか!!!」  と思いました・・・。
    グリート、再生数はさほど伸びていないのですが、とにかくこの曲、ボカロPさんや歌い手さんから好評で、当時グリートのような世界観でという曲の依頼が、πの所には殺到しておりました。ほんとに沢山いただいておりました。
    で、もうそろそろグリートみたいなネタはいいかな・・・と思っていた時に来た依頼でした。
    ですが、ほかの方の依頼と決定的に違う所がありました。
    <ASK君が歌う>という所です。そして気心の知れた仲だったというところも、私には本当に幸運だったと思います。

    グリートは、実は作っていた時に、私の中でもうひとつ、イメージとしてぼんやりしていたものがありました。
    <地球から人類へ贈る物語>があるのなら、その人類の方はどうなんだろうと。
    それは、そう思った時には小さな小さな種に過ぎなかっただったのですが、
    グリートのような世界観の曲の依頼をこなすうち、
    水が与えられ、フツフツと芽吹き、あすけ君の依頼を受ける頃には、
    ひとつの物語として私の中で立派な茎と、名も知れぬ花のつぼみがついていたんです。
    そしてそれは、
    人間の 男の子 と 女の子 の話として、完成していたんです。
    気が付いたら。不思議な事に。
    こう、「近未来のかぐや姫」のようなお話として完成していたんです。

    そしてその曲、出来ればボカロではなく、人に歌って欲しいと私は思っていて、ボカロの依頼では出してこなかったのです。
    でも、人様に作っていただいて、まして歌って頂くなんて恐縮だし、まぁこれは世に出る事はないな、と思っていた矢先でした。
    なので、その依頼を受けたとき、ASK君に「グリートと世界観が共通の物語があるから、それを歌ってほしい」と私から逆にお願いしました。
    それが、まだ名前もなかったその花に【L'ultimo amante-La terra-】という名前が付いた瞬間でもあったと思います。
    そして歌うのがASK君ですから、男の子よりは 男性 らしく仕上げ、男の子と女の子の設定も(当時は双子の少年少女だったので)恋人に進化。
    irohaπコンビ初の男性ボーカル曲は、こうして日の目をあびる事になりました。
    ちなみにπさん始めてのラブソングです。
    愛してるっていう単語を使ったのは初めてです。恥ずかしかったです。
    ですが彼がいなければ、この世界は日の目を浴びなかったのです。
    本当にありがとう。

    そしてL'ultimo amanteLa terra-を正式に仕上げた頃だったでしょうか、私はこの曲の対となる-La luna-を作ろうとiroha君に持ちかけます。
    2011年の下半期だったはずです。山のような設定と、うんざりするほどお互い多忙の中、
    irohaπコンビはlunaにふさわしい女性歌い手を探し出すわけです。
    そうです。lunaは、私達がいろんな歌い手さんの声を聞きまくって選んだのです。
    その結果、本当に最後の最後の最後の最後で迷った二人のうちお一人が、青もふさんだったんです。

    ASK君と青もふさんは、”あすもふ”って呼ばれるくらい仲良く活動されていらっしゃいますが、lunaの選考のときはそういったことは全く配慮していません。
    実際、誰が歌うかASK君にも言ってなかったです。
    この曲の対となる曲は、女性が歌うよ、としか言ってなかったです。
    世界観にあう歌声の方を、本当に精査した結果です。彼女の実力です。
    そして迷いに迷いに迷いに迷い、ダメもとだー!とskypeで青もふさんに
    「すいません、こんな曲あるんですが、歌って頂けないでしょうか」
    と額を地面にこすりつける勢いでお願いしたら、・・・もふさんすぐOKしてくれちゃうんだもの。女神かよって思いました。今でもあの嬉しかった衝撃は覚えています。
    そんな経緯があって、lunaに彼女の歌声で魂が入ります。
    私が作った曲の中で最も、作った私ですらうらやましいと思えるくらい、
    一人の人間として強い女性が主人公の曲。
    大変表現が難しい役どころだったはずなのに、青もふさんは本当に見事に形にしてくださいました。
    彼女の声なしでは、この物語は完成いたしませんでした。本当に、ありがとうございました。


    ■L'ultimo amanteは携わって下さった方が多いです

    自分でも自覚はありますが、大所帯です。
    やるからには徹底的にやりたくて、本当にヴィジュアル面でもかなり豪華だという自覚、十分にございます。
    本当に、本当に、関係者の方々にはなんとお礼を申し上げていいか解らないです。
    まずは
    テラルナの動画用のイラストを描いてくださったTCBちゃん、そして黒野ユウさん。
    二人とも、いまや私の説明など不要の超人気イラストレーターさんです。
    TCBちゃんも黒野さんも、
    こんな、どこの骨ともわからない奴の依頼を引き受けてくれて、
    かつあんな素敵な形にしてくださって、本当にありがとう。
    お二人には、改めて感謝申し上げます。
    本当に良かったんだろうかとビクビクするくらい、って言うか今でもしてるんですけれど、
    良い作品をありがとうございました・・・!!!
    あと、君達いい加減裏切りあうのやmなんでもありません。

    次に。
    動画にする際、やはり際立つロゴはほしい!と思い、それならこの人だろうとお願いしたのがmashana君です。
    彼とは以前コラボでご一緒してますが、とにかく作るものにキレがあり、そして洗練されていて、本当にカッコイイ。
    彼自身もかっこいいんですが、本当にこの洗練されたデザインは、映えてくれます。
    本当にビシっと決まるロゴを二つも出してくれました。
    あわせると一つの絵になるようなロゴです。
    かっこいいので、動画をよーっく見てみて欲しいです。
    本当に、ありがとうございました。

    そして、動画を作ってくださったTSOさん。
    突然のお願いにもかかわらず引き受けて頂き、本当にありがとうございます。
    TCBちゃんと黒野さん、mashana君のイラストをまとめるという、
    最も大変な作業で、しかも動画が二つ。
    こんな無茶振りかなえてくださる方はこの方しかおりませんでした。
    本当にお仕事が丁寧なクリエイターさんで、私のつたない説明にも応じてくださり、
    この世界観を一つ。そして物語としては二つにまとめるという、一番の難役をこんなにしっくりとかなえて下さいました。
    大変悩まれておられたと思います。そして、いいものを作ろうという真摯なお気持ち、ひしひし伝わっておりました。
    本当にありがとうございました。飲みに行きましょう。

    そして。
    テラルナのキャラデザをしてくださったrakさん。
    ヴィジュアル面の根幹となるキャラデザ。これがないと始まらないという部分を本当にこなしてくださって、ありがとうございます。
    物語の構成上、若い頃からおじいちゃん/おばあちゃんになるまでをデザインしていただいております。
    設定から見える男性・女性・ロボットのイメージと、チャットで皆で話し合って膨れたあがった設定を、すごく解りやすくまとめてくれたんです。
    特に男性のキャラデザは、iroha君がお気に入りです。私も大好きなんです。
    ああ、こんな優しいキャラを作れているんだ、と自分で思えるから
    優しいテラと、強いルナを最初にヴィジュアルで生み出してくださって、本当にありがとうございます。


    そしてトリは。iroha君です。
    君には、ああだこうだという言葉は不要だと解っています。
    本当に、ありがとう。
    二人でまた、物語を作りましょう。
    恋人達は結ばれました。
    鳥も飛びました。
    次は、地を走る動物を描きたいね。



    ■老いる事は この地球(ほし)で生きているという証明



    さて。
    ここまで読んで下さった方へささやかなお礼です。
    私から各キャラの設定をお渡しし、rakさんに仕上げて頂いたキャラデザがこちら。
    (rakさんから掲載許可はいただいております!)



    テラの主人公。
    何らかの理由で地球に人類が住めなくなってしまい、住めるような状態になるまで眠る事を選んだ人類の<管理人>です。
    管理人なので、彼は眠りについてはいませんし、ある程度遺伝子操作されていて、人より若干老いるのが遅いですし、マインドコントロールされていて最初は”さびしい”という感情に疎いです。
    性格はめっちゃ穏やかですが、内に秘めてるものはアツいと思います。
    頭めっちゃ良くて、どっちかというとエンジニアタイプの科学者です。
    最初はさびしいという感情が解らなかった彼も、知り合った彼女(ルナ)と親しくなるうちに、”愛しさ”から”寂しさ”の意味を知るようになりますが、
    時はきてしまい、彼女とは離れ離れ。
    管理人になったはいいんですが、数年経つうちにそのマインドコントロールが薄れていき、
    さびしいという気持ち払拭したくて、禁忌を一つ犯します。
    恋人そっくりのロボットをつくり、そのロボットに、その時代の最先端の科学でも実現が難しいといわれていた”ココロ”を搭載する事。
    科学者が月へ飛んでしまい、開発が停まってしまっていたココロのプログラムを、彼は一人で組み始めます。・・・50年かけて。
    50年たった頃。もう視力もすっかり落ちて、月がいつでもぼんやり見えるような日々。
    寿命が近づいていくある日。ココロのプログラムはまだ完成していない。そんな時。
    夢の中に「ぼく」が現れ、「おやすみ」といわれたその日。
    彼女は戻ってきます。真っ白なロケットに乗って。
    そしてその日は、彼の命日となっていきます。




    ルナの主人公。
    月についた瞬間、月にすんでいた生物(というか超微生物)の影響により不老不死になってしまった人類の中で、一番賢い女性(科学者)という設定にしています。
    微生物は地球の空気に触れれば死滅するのですが、月にいる間は月の支配を受けているので死なない/老いない体のまま、どうする事も出来ません。
    (グリートで地球が人類に対して「もう少しだけ 待っていてね?」といっていますが、月に行けば不老不死になると知っているからこそ、待っていてくれるよね、という事です。)
    50年後地球に帰ったら普通に老いていきます。
    この女性は不老不死で生きながらえるより、人として生きたくて、死を受け入れるつもりで地球に戻ってきています。
    帰ってきたら恋人は虫の息。残っているのは彼が作った作りかけの”ココロ”を宿した、顔が自分にそっくりのロボットだけ。(50年の間に、人類は眠りについたまま、もう起きなかったんです。)
    虫の息の恋人は、彼女にお願いをします。
    「彼女にココロをあたえてやってくれ」
    彼女はそれを聞いてそして見て、何を思ったか。
    TCBちゃんが動画の中でその決意を絵にしてくれています。
    ・・・本当に壮絶な人生をおくっていると思います。
    彼女は、遺志を受け継ぎ、更に50年かけてココロのプログラムを完成させ、ロボットに搭載させます。
    が、何を思ったか、そのプログラムを起動させませんでした。
    今わの際「私が息をしなくなったら、あの人の隣に私を埋めて頂戴ね」とロボットにお願いして、息を引き取ります。
    起きたら貴方の腕の中かな?」そんな事を考えながら。



    ロボット。
    テラの主人公が作り、ルナの主人公が完成させた、人間の心を搭載しているロボットです。
    テラの愛情を一身にうけ、ルナに娘のように育てられた、女性型ロボット。
    もう誰も起きない地球で、唯一目を開くことが出来、そしてココロを眠らせた存在です。
    でも今彼女は、眠っています。
    誰もいなくなった地球で、
    その起動ボタンを押すのは、誰なんでしょう。



    ■「グリート」は挨拶をする、という意味

    さて。グリート・テラ・ルナで、歌詞を書き起こす上で最も注意を払ったのは
    グリートの名のごとく、あいさつです。
    グリートでは
    「ありがとう」 
    「さようなら」
    「ただいま」 「おはよう」

    という挨拶を使用しています。

    ありがとう なら どういたしまして
    だろうし
    ただいま なら おかえりなさい
    が返しとしては正しいと思うのですが、
    一見ちぐはくなようでいて、会話として成立しているような状況を想像して頂きたくて、
    悩んでコレにした記憶がございます。
    でも一番扱いを繊細にしたのは
    「ありがとう」
    という言葉です。私が日本語で最も好きな言葉でもあります。
    そしてこれらの言葉は、テラルナにも引き継いでおります。

    テラでは、寿命の尽きるテラに ぼく が「おやすみ」
    テラが最後に呟くのは「愛してる」
    これは、人類最後の男性に対して ぼく が呟くならば、
    そしてルナの場合は恋人の臨終ならば、こうだろうなと思いながら選んでいます。

    でもこの会話、愛しているの後にも続きがございまして。
    それをTSOさんはルナの冒頭でしっかり出してくださいました。
    L'ultimo amante-La luna-という曲は、テラよりも
    「目で見て理解する」ことにやや重点を置いた(絵や動画にすることを前提にして作っている)曲なので、その辺をTCBちゃんとTSOさんにご理解いただいた上で、
    歌詞やメロディではあえて描かなかった描写を、視覚的に入れてもらっているので、「劇中歌」のような仕上がりになっています。

    簡単に書いていますが、それってとても難しい事です。
    曲という見えないものをヴィジュアル化すると言う事を、作曲の時点で行う。
    作詞をしている人間ならばもう、日常茶飯事ではあるものですが、
    劇中歌をイメージしているといいますと、この曲は”物語途中から始まる歌”なわけです。
    そこまでの世界観を、少なくとも作詞者作曲者は共有しないと、ちぐはぐになってしまうわけです。
    なので、作曲・作詞する人間が共通の認識になるまで話し合わないといけません。
    だからこそiroha君は苦労していましたし、作曲側が歌い手さんの選考に本当に四苦八苦しました。

    「あすけ君と青もふさんはよくコラボしているから、青もふさんに頼む?」
    なんてことは、もうこの時点で私達の中に認識として存在しなくなっていくんです。
    それをこなして頂ける実力のある女性歌い手さんを探しに探した結果、彼女になったという事です。
    そしてそんな難しい曲を、視覚的
    に表現できるTCBちゃん、TSOさんは、
    本当にすごいんですよ。


    ルナで特に意識して使っているのは
    「お休みなさい」
    ルナは3度この単語を呟いていますが、それぞれ言う対象が違います。
    誰に対してのおやすみなさいなのかは・・・ご想像にお任せします。


    グリート・テラ・ルナは
    挨拶だけ抜き取っていき、時間枠に並べていくと、それだけでもちゃんと物語になっていきます。
    もしお暇があれば、拾い上げて遊んでみてくださいね。


    ■彼女は眠ったまま~でも願う まどろみの中で



    さて。物語の中で、ほんの少しだけ出てきたロボット。
    恋人達が。二人の人間が、1世紀かけて作った、女の子の姿をしたロボット。
    彼女は今、眠っています。
    テラが作り、育て
    ルナによって完成し眠らされた、
    地球でたった一体の、
    ココロを持ったロボットは、
    今も地球の奥深くで、昏々と眠っています。
    でも、ある日。

    「ただいま」

    そう声をかける存在によって
    目を覚まし
    そして邂逅し
    ココロを開花させます。

    「おはよう」

    彼女はそういって目覚めます。
    その時
    彼女の前に
    立っているのは






































    それはまた、別のお話です。




    さあ
    テラルナの物語は此処までです。
    関係者の方々、そしてここまで拝聴、そして拝読下さった方々、
    本当にありがとうございました。



    2015.5.16 π






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  • 三鳥夭夭のあれやこれや-三歳までの鳥の飼育日記

    2013-05-16 00:02
    三鳥夭夭を投下して約1ヶ月。



    おかげ様を持ちまして、3万再生/マイリス3千オーバーでございます。
    大変ありがたいです。

    三鳥夭夭のあれやこれや-巣立った鳥がくれたもの

    この約1ヶ月、うれしいお話がいくつかありました。
    歌詞の解釈(前回のブログ記事)も、歌詞とあわせて自分の国の言葉で翻訳したい!という問い合わせが
    なんと英語圏の方と、中国の方と、台湾の方よりいただきまして・・・。
    しかも皆さん私より綺麗な日本語使ってご質問なさっておいでで、
    こっちが(情けないことに)勉強になるような、すごく楽しいメール対応でした。
    海外の方からメールをいただくなんてあまりない機会だったので、
    素直に反応が海を越えてあったことに嬉しさと同時に驚いたことを伝えたのですが、

    >常葉さんが育てた鳥がちゃんと大きくなって、
    >海を超え、こちらの空に夭夭と飛んできましたよ。


    こんなお返事をいただきました。
    鳥さんったらうっかり海を越えて向こうの大陸で愛されてました。
    それが見れただけで、作者冥利に尽きましょう。


    三鳥夭夭のあれやこれや-最後に叫ぶ

    こんな話をすると誤解されるかもしれませんが、
    私は歌詞というものを、今までずっと依頼があってはじめて、
    スケジューリングしコンセプトを決め(あるいはそれに沿って)始めて書こうと思う、
    なんともそっけないビジネス的な書き方をしてきていました。
    πという名前で世に出した「はなゆりかご」という作品


    が私名義としては処女作となるのですが、(ユニットではいくつかありますけどね)
    今でも大変非常に思い入れ深い反面、この曲で作った過程で得た経験があまりにも私の中では大きくて、
    自分から人に頼んで作ってもらおうという発想が以降まるでわかなかったのです。
    でもだからといって手を抜いてきたわけでも、曲に愛着がないわけでもないのです。
    どれもこれも、ご依頼主さんの希望に添えるよう一生懸命でしたし、
    そのとき自分がひねり出せるものを!と夢中で作っていたんですが、
    私の出来の良くない脳みそと貧弱な体では、社会人として仕事をしながらご依頼いただいた全ての方のご要望にお答えすることは叶わなく、
    途中でプシュー・・・っとパンクしてしまったんですね。
    「ああ、これはきっと受けたら、自分の中でステップアップするんだろうな・・・申し訳ないなぁ・・・」
    「ああ、こんなに丁寧なメールしてくださってるのに・・・納期もまだ先なのに・・・申し訳ないなぁ・・・」
    「ああ、この人の依頼ならいつかやりたいって思ったのに・・・申し訳ないなぁ・・・」
    なんて毎日毎日、お断りのメールと、心の中でつぶやく「申し訳ないなぁ・・・」の連続。
    人のことばかり考えていて、ある日本当に"プシュー・・・"っともぬけの殻。
    自分の引き出しの狭さと、管理能力のなさを勉強した出来事でしたが、
    もぬけの殻になった私が、ボーっとしながらそれでも思ったのは

    「誰かの作りたいもののお手伝いじゃなくて、私は自分の書きたいものを、書きたいのかなぁ・・・」

    でも、そんなの私のわがままなんじゃないか?
    経験も少ないのに、贅沢なんじゃないか?
    そんなことをおkしてくれる人なんているのかな?などとツラツラ考えていたら、
    脳内に"なんとなく"出てきたのが、この曲の原型にもならないような
    真っ赤で、傲慢そうで、けだるそうで、人を見下してそうで、気高そうで、でも私をじっと睨んでて。
    笑ったことなんてないだろって思うような眼ぇして木に止ってる鳥でした。
    "なんとなく"なイメージから出てきた鳥に名前をつけたくて、まっかっかだから、なんとなく
    「・・・火の鳥・・・かぁ・・・」と。

    そういえば、火の鳥ってどんな鳥なんだろう?死なないんだっけ?あれ?

    と、google先生に「火の鳥」と検索したのが全ての始まりです。
    それが2010年5月16日。3年前の今日。
    そこから3~4日間はずっと調べてはメモ、調べてはプロット、調べてはメモ、調べてはプロットの繰り返し。
    2010年5月22日には、今の歌詞の原案が出来てました。

    その原案がこれ。
    火の鳥
    
    赤い音を 劈いて飛ぶ
    九十九の夏 通り過ぎる時
    まだ前にある 空の高さに
    嘆き そして 笑う
    
    落ちる灰 揺れる視界
    二つの火 その下から
    響く 七色の悲鳴
    
    人は繰り返すだろう
    愛と死の歌を高らかに
    作っては捨てて
    真実も知らないまま
    愚かにも永久に生が
    続きますようにと
    
    青い風を 引き裂いて飛ぶ
    百億と 千億の先に
    まだ前に在る 久遠に
    呆れ そして 笑う
    
    流れる時 ただ在るもの
    再生し 蘇り
    ずっと 零を翔けて行く
    
    神は繰り返すだろう
    あてにならない未来ばかり
    作っては捨てて
    それを過去に追いやって
    愚かにも永久に愛を
    紡ぎ続けながら
    
    お前は何色の瞳で
    右手の光見つめてる
    
    それぞれが滑稽なほど
    相容れないと知りながら
    
    お前は何を想いながら
    左手の闇見つめてる
    
    それぞれに居場所なんて
    もうどこにもないだろう?
    
    火の鳥は飛び続ける
    倫理や時軸越えながら
    ただ遠くを見つめて
    刹那と無限の間
    炎に包まれ
    そこは
    "帰るにしかず"と
    

    これをベースに、いざ書こう!と思った直後、irohaさんから依頼があり「グリート」という曲を作ります。
    (その頃にはπさん多少の余裕があったと思われます。)

    この曲ではじめて"人間じゃない"主人公を扱うわけですが、それがきっかけでその手の主人公を扱う面白さを知り、
    ボーカロイドという声に人間ならざる声で歌ってもらうって事を、はなゆりかごより強く意識し始めます。
    んで曲を作っている最中に、彼に
    「依頼とかではなく、歌詞をひとつかいています。多分、時間がかかります。
    時間はたくさんかけていいから、手伝ってくれませんか」
    と提案したわけです。
    曲のタイトルに[三鳥]がついたのは9月になってから。まさしく秋真っ只中でした。

    タイトル:三鳥絢爛
    
    赤い音を 劈いて飛ぶ
    九十九の夏 通り過ぎる時
    まだ前にある 空の高さに
    嘆き そして 笑う
    
    落ちる灰 黄色の視界
    二つの火 その下から
    響く 七色の声
    
    人(これ)は繰り返すだろう
    愛と死の歌を高らかに
    作っては捨てて
    真実も知らないまま
    愚かにも永久に
    生が続きますようにと
    
    青い風を 引き裂いて飛ぶ
    百億と 千億の先に
    まだ前に在る 空白に
    呆れ そして 笑う
    
    流れる水 ただ在るもの
    再生し 蘇り
    ずっと 零を翔けて行く
    
    神(それ)は繰り返すだろう
    脆く崩れやすい未来を
    思っては創る
    それはまるで砂遊び
    揺れ続く匣の
    響きさえ聞くこともなく
    
    鳥は何色の瞳で見つめるのか
    滑稽なほど相容れないと知りながら
    
    鳥は何を想いながら見つめるのか
    居場所なんてもうどこにもないだろう
    
    始めの道は 閉ざされて 
    悲鳴もないまま 黒の底
    
    終りの鐘は 時の蔦 
    絡み絡んで 朽ちていく
    
    鳥達は飛び続ける
    倫理や時間を越えながら
    ただ遠くを見つめて
    刹那と無限の間
    灼熱の中
    既に帰るにしかずと
    
    
    だいぶ今の歌詞の雰囲気が出ていますね。その後、絢爛では派手すぎるので夭夭となります。
    irohaさんから、人と神を それとこれ っていうのはどうなんだいって言われた記憶もあります。
    ちょっと偉そうですね。でもしばらくは、人と神は それとこれ でした。
    そして約1年半して・・・あの3.11から9日後

    タイトル:三鳥夭夭
    
    赤い音を 劈いて飛ぶ
    九十九の夏 通り過ぎる時
    まだ前にある 空の高さに
    嘆き そして 笑う
    
    落ちる灰 黄色の視界 二つの火 
    その下から 響く 七色の声
    
    人(これ)は繰り返すだろう
    愛と死の歌を高らかに 
    作っては捨てて
    真実も知らないまま 
    愚かにも永久に
    生が続きますようにと
    
    青い風を 引き裂いて飛ぶ
    百億と 千億の先に
    まだ前に在る 空白に
    呆れ そして 笑う
    
    流れる水 ただ在るもの 再生し 
    蘇り ずっと 零を翔けて行く
    
    神(それ)は繰り返すだろう
    脆く崩れやすい未来を
    思っては創る
    それはまるで砂遊び
    揺れ続く匣の
    響きさえ聞くこともなく
    
    鳥は何色の瞳で 見つめるのか
    滑稽なほど相容れないと 知りながら
    
    鳥は何を想いながら 見つめるのか
    居場所なんてもうどこにも ないだろう
    
    始めの道は 閉ざされて 
    悲鳴もないまま 黒の底
    
    終りの鐘は 時の蔦 
    絡み絡んで 朽ちていく
    
    鳥達はまた滅びる
    涙の一つも浮かべず
    ただ常世を見つめて
    刹那と無限の間
    あの熱の中は
    未だ帰るにしかずと
    
    そして鳥は甦る
    非時香果(かぐのこのみ)を咥えながら
    地平線の彼方まで
    この世界の終わりまで
    運命も定めも
    夭夭と超えながら

    こうなったわけです。
    曲を作る過程で、これではあまりに長すぎるのでいろんなところをカットし、微調整し、今の姿となります。


    もうねぇ・・・





    もう二度とやるかこんな手間のかかる事!!ヽ(#`Д´)ノ

    ・・・と思いますた。
    けど多分、またやります。













    あ、次動物を主人公に書くなら犬です。
    飛ぶ動物はもう十分です。もう十分考えました。次はしっかりと地を走る獣が書きたいです。


  • 三鳥夭夭のあれやこれや-卵が生まれ雛が育つまで

    2013-04-21 01:23
    さてさて。
    三鳥夭夭、ご視聴誠にありがとうございます!
    投下2日目で2万再生突破しており・・・


    思った以上の手ごたえがあり、ホントに嬉しいです!


    近々オフボも公開されますし、
    零花ちゃんの素敵なイラストも公開されましたし!




    私からも公開できるネタバレをいくつか書こうかしらと。

    つまりこの記事には、歌詞の中に仕込んだネタバレがあるのです。
    嫌だという方は回れ右です!


    よいですか!



    よいですね!!



    三鳥夭夭のあれやこれや-ゼロから卵を作るまで



    □歌詞のテーマ
    火の鳥から見た人間と神の世界」です。人間だけでなく神様にも上から目線です。


    □動画の中のおっぱいが大きい人は誰?

    常葉 円製、"火の鳥"です^p^

    この曲はテーマの通り、火の鳥をモデルにしています。
    火の鳥っていえばあまりにも有名すぎる漫画の神様の作品がありますが、今回はそちらではなく
    この曲では鳳凰とフェニックスの伝承を半分づつくらい引用させてもらっています。

    フェニックス- Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
    >世界各地の伝承では、その涙は、癒しを齎し、血を口にすると不老不死の命を授かると云われている。
    >不死鳥、もしくは見た目または伝承から火の鳥とも言われる。
    >数百年に一度、自ら香木を積み重ねて火をつけた中に飛び込んで焼死し、その灰の中から再び幼鳥となって現れるという。


    鳳凰 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%B3%E5%87%B0
    >中国最古の類語辞典『爾雅』によれば、嘴は鶏、頷は燕、頸は蛇、背は亀、尾は魚で、 >色は黒・白・赤・青・黄の五色で、高さは六尺程とされる
    >五色絢爛な色彩で、羽には孔雀に似て五色の紋があり、声は五音を発するとされる。


    等など。
    この作品での火の鳥さんは、
    • 血を口にして不老不死になるかは分からないけど、本人(鳥?)は外見はあんまり老いない。
    • 5色を身に纏い
    • 100年に一度炎に飛び込んで焼死し、その灰の中から再び幼鳥となって甦る
    とまぁこんな塩梅。
    声は伝承では5音ですが、曲では7色の声です。従来の鳳凰さんは5音もありながら聞くに堪えない声らしいので、
    VY1(成鳥の声担当)とリンちゃん(幼鳥の声担当)の二人の声をたして綺麗に歌ってもらったのです。
    歌詞の中に、鳳凰の色は全部入ってます。零花ちゃんがしっかりとヒントをくれていますし、
    お衣装の中にも5色全部入っていますから、結構気がついた人も多いようです。
    それから火の鳥の持ち物についても、お気づきになっている方が多いようで嬉しいです!
    零花ちゃん流石ですねぇ~イラストレーターさんってすごいよねぇ・・・


    □曲名が読めない。サントリなの?

    なんて読むんだよと突っ込まれると思ったので、動画のてっぺんにも解説してもらいましたが・・・。
    やっぱり、というか当然そんな質問は動画を観ててもあったので、お答えします。
    区切りとしては 三鳥/夭夭です。

    ■三鳥・・・

    「三鳥」という単語ですが、通常"みどり"とは読みません。
    本来は"さんちょう"と読みます。私が当て字しました。ギリギリ、許される当て字かなと思って・・・
    で、その三鳥という単語ですが、こちらを拝借させていただくとおり、

    三鳥:kotobank- http://kotobank.jp/word/%E4%B8%89%E9%B3%A5

    >1 古今伝授の3種の鳥。呼子鳥(よぶこどり)・稲負鳥(いなおおせどり)・百千鳥(ももちどり)または都鳥。→三木(さんぼく)
    >2 料理で、鶴・雉(きじ)・雁(がん)をいう。


    という意味があります。私は今回1の意味を含め、曲の顔であるタイトルの先頭にしました。
    何で火の鳥なのに三鳥なんだよ。どれもこれも関係ねーじゃん・・・って思うかもしれませんが、
    火の鳥さんの"性格"を決めようと色んな鳥の事を調べた結果、
    [呼子鳥]のモデルになった鳥の伝承が、最も私の中の火の鳥のイメージに近かったからです。

    呼子鳥:kotobank- http://kotobank.jp/word/%E5%91%BC%E5%AD%90%E9%B3%A5

    >《鳴き声が人を呼ぶように聞こえるところから》古今伝授の三鳥の一。
    >カッコウといわれるが、ほかにウグイス・ホトトギス・ツツドリなどの説がある。


    この中でどれが一番イメージに近かったかですが、VY1さんは後半でその鳥の名前を歌ってくれています。
    もうここまで来ればどれがモデルかは・・・一つ一つ調べてみればわかるよね?

    あとこの曲中の火の鳥さん、秋生まれの設定です。
    冒頭、鳥さんは99回目の夏を通り過ぎようとしているんで、寿命がすぐ近いおばあちゃん。ババ鳥。
    零花ちゃんはあんなに綺麗に書いてくれてるけどね!不老不死だから綺麗なんだろうね!
    んで、秋に火の中に飛び込んで後半に出てくるロリ鳥(とirohaさんと零花ちゃんと言ってたんで・・・)として甦る。
    なんといっても秋という漢字の中には鳥が甦る為の"火"がありますし、秋という文字の成り立ちも、結構火の鳥にシンクロ出来るので。
    先ほど書いた古今伝授の3種の鳥にも、1匹秋を伝える鳥がおりますし。
    都鳥はロゴにいますし、歌詞の中にもひょっこり顔だしてます。詰め込みましたね常葉さん。

    ■夭夭・・・

    国語辞典に載っているままの意味で「若若しく美しいさま」
    火の鳥にこれほどしっくりくる漢字もないんじゃないかとおもいまして。
    それから、天が多少ひねくれたような字で、なんとなく、ああ(私の書く火の鳥)らしいなと・・・。
    irohaさんに常用漢字使いましょうねと言われ、あ、これ常用漢字じゃないんだって気がつきました・・・。


    □曲の流れがイマイチ分からないよ

    1
    火の鳥からみた人の世界
    人から見た火の鳥の姿
    火の鳥が人に対して思う事

    2
    火の鳥からみた神の世界
    神から見た火の鳥の姿
    火の鳥が神に対して思う事

    C
    火の鳥消滅
    炎の中から自分が決して行くことの出来ない世界をみつめる
    火の鳥復活

    ラスト


    とまぁこんな具合です。


    □リンちゃん成分が少ないよ

    当初、この曲はVY1のみ使用した曲の予定だったのですが、
    歌詞の流れが初期と大きく異なり
    成鳥が消滅し幼鳥になり甦るという流れをCメロだけで表現する中で、
    幼鳥を本当の子供のような声にはならないものかと思いまして。
    私が思いつきで「リンちゃんつかいません?」と希望を出してみたんです。
    この曲でCメロは非常に重要なターニングポイントなので、
    多分その時のirohaさんは大分動揺なさったんじゃないか思います・・・。
    というか、しておいででした。すいません。
    ミクさんつかうとかVY1の声をピッチ変えて幼くするとか、色々試されたんですが、
    VY1に似た力強さがあり幼さを感じる声ということでリンちゃんアペンドが採用となったわけです。
    そんなわけで、Cメロと一部コーラスを歌う事になったリンちゃんですが、
    火の鳥は幼鳥にならなければ完全復活はしませんから、彼女の出番は
    非っっっっ常に重要なのです。復活のシンボルなのです。
    リンちゃんのファンや、irohaさんの使うリンちゃんが好きな方にはご不満かもしれませんね・・・。


    □仕込んだネタはどれくらい?

    たくさんありますよ!
    零花ちゃんが絵でフラグを回収してくれたり、
    irohaさんが音でフラグを回収してくれてるものもたくさんありますが、
    動画を投稿した日を調べていただくと、1番に隠した数字が出てきたり
    投稿した時間は2番の中に隠れた計算式の答えだったり。
    火の鳥の性格のモデルになった主人公が活躍する物語のタイトルが少し入っていたり。
    (実はコメントでその名前を出してくださった方が居てすごい嬉しかったです)
    歌詞の中には鳥という漢字が3つあるとか、鳥そのものが3匹いるとか。
    三と鳥にかけたネタはたくさんあります。
    単純に私がそういう言葉遊びや計算や仕込が好きなだけです。
    分からなくても解釈に影響はしないと思いますが、見つけたらほくそえんでみてください~


    □制作秘話

          鳥は、何色の瞳で見つめるの?
          鳥は、何を想いながら 見つめるの?

    動画の紹介文ですが、これ曲の尺の調整上、カットされた歌詞です。
    唯一人間(というか私)目線で、曲作ってるときずっと念頭にあったものです。
    歌詞を作っている間、ずっと考えていた事です。
    神様でも、人間でもない。
    どこかの星で育った宇宙人程、人間の価値観に無理解でもなく、
    神話の時代から人間がほしかったモノを持っている鳥は
    どうして神の国ではなく人の時間枠で飛んでいるんだろう。
    作り終わった今でも、全部は分からないです。
    結局、私は火の鳥じゃなく人間だからです。
    そのド派手なヴィジュアルについては沢山伝承があるのに、
    火の鳥の性格や価値観については殆ど資料もなく、
    こういう存在だと固定するのにすごく時間がかかりました。
    ただ、人間的な感情で例えるなら、鳥のベースは喜怒哀楽 の "怒" が一番近いと思います。
    動画の中でもムスゥっとしている鳥さんがいますが、まさにあんな感じです。


    三鳥夭夭のあれやこれや-卵を羽化させ育てるまで


    この作品当初は、火の鳥が消滅していく様子を描いて終わる予定でした。
    というかそれでirohaさんに最終稿としてお渡ししていたのですが、
    3.11で被災し、当時の仕事で崩れてしまった家、死にかけた人、真っ黒な海の中に浮かぶ家を見て、
    あまりにもそれが私の中で大きく影を落とし、悔しくて悲しかったのです。
    でも負けず嫌いな私は絶対に甦ってやると、多分自分の人生で数少ない決意をひっそりとしていました。
    そんな決意をした後、私のPCの中でまだ陽の目も見ず眠っている、
    曲として羽化を待つ"卵"のようなテキストデータを見たとき、
    恐らく私が最も手間をかけ時間を書き練りあげるであろう作品が、消滅していくだけで終わるのはあまりにも悲しくて、
    irohaさんに歌詞の修正してもいいかの旨を聞き、許可頂いたその日には今のラスサビの軸を決めてしまいました。

    "見ているがいい。必ず復活してやる"

    誰に見ていろと思ったのかは分からないですけど・・・多分、地震にでしょうねぇ。
    甦るラストとなった"卵"を受け取った彼が果たしてどう思い羽化させたのかは、音を聞いていただければ皆さんもお分かりかと思います。
    iroha(sasaki)という音屋さんは、ご自分の思った事感じた事を理屈ではなく、私では大凡うかがい知れない感覚で素直に音に出す方です。
    そのirohaさんが、曲一つ生み出すのに1年かけてくださった。1年かけて卵を温めてくださった。
    あらためて、本当にありがとうございます。そしてお疲れ様でした。


    同じく、動画と絵を担当してくれた零花ちゃんにもお礼を言わなければいけないでしょう。
    irohaさんが羽化させてくれた三鳥という雛を育ててくれたのは、間違いなく彼女だからです。
    まず、どんな思いで曲を二人で作ったのかをゆっくりと説明しました。彼女は、真剣に私達の話を聞いてくれました。
    もしかしたら、今のニコニコ動画やボーカロイド曲の流れをみるに、"流行曲"ではないかもしれないが、
    思いだけはしっかりつめたからと。
    彼女がどれだけその思いに答えようと思ってくれていたかは、動画を観ればお分かりかと思います。
    そんな彼女も、ラストの鳥の表情をどうするかで、随分悩んでおいででした。
    鳥が人の変わりに天を見上げるように表現するべきか、それとも人を優しくみつめるか・・・。
    最終的には生まれ変わったばかりの火の鳥が、祈るような姿でもって
    神のいる天上より人に近い、"空"から人を優しく見ているような雰囲気になりました。
    時間という概念を背に、優しく微笑む火の鳥を、こんな綺麗に生み出してくれて、ありがとうございます。そして本当にお疲れ様でした。

    火の鳥は炎の中で滅びますが、やがて幼い姿で甦る。
    人間には寿命があるし、炎の中では肉体はただ滅びるだけだし、非時香果でも口にしない限り "その人"は甦れないけれど、
    皆と前に向かおうとさえすれば、自分の肉体は消えても、"その人"の魂や思いは次の世代に必ず繋げられるはず。
    過酷な運命も、神(自然)が人に下す残酷な采配も、いつかは必ず飛び越えられるから。
    どうか瞳から光を消さないで。
    そんな思いを込めて、三鳥さんを世に放っております。アラヤダカッコイイ言い方。




    いかがでしょうか?
    これにて三鳥あれやこれやは終了です。

    最後に、聞いて&見てくださった全ての方に感謝を!!

    常葉 円