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  • アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第141号(2018/7/13号/月2回発行)

    2018-07-20 03:20
    86pt

    『進撃の巨人』第3期放送を前にした特番「進撃の声優大集合!」に出演します。放送はNHK総合の20日(金)23時55分~です。70分強とちょっと長めの番組で、生アフレコがいっぱいあるはずですので、お時間ある方は是非。
    またそれに先立つ17日はTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で、7月新番組についてお話をする予定です。時間は18時30分ごろから20分ほどです。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    3.前回のアニメの門チャンネル
    4.お蔵出し原稿
    5.連載一覧

    最近のお仕事紹介

    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     7月21日 教養としての高畑勲監督入門
     8月18日 アニメと戦争 80年代編
     ※『マクロス』や『FUTUREWAR 198X年』、『火垂るの墓』などを中心に取り上げる予定です。
     9月15日 『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』
     【受講申込】

    2.7月のSBS学苑(静岡)
    7月29日は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を取り上げます。「オタクの学校」と内容は重なります。4kリマスターBOXの取材成果なども反映しつつ、お話する予定です。
     【受講申込】

    3.8月のオタクの学校(東京)
    7月のオタクの学校はお休みで、そのかわり8月4日に行います。もうひとりの講師、齋藤貴義さんとは統一テーマでやろうと話しています。内容はもう少ししたら発表になると思います。


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第69回『ME!ME!ME!BOOK!BOOK!BOOK!』

     『ME!ME!ME!BOOK!BOOK!BOOK!』は、以前にも紹介した「日本アニメ(ーター)見本市」の中の1作品『ME!ME!ME!』の資料をまとめた本です。本編のドラッギーな雰囲気も印象的でしたが、原画集の方も今までに見たことのない内容で興味深いものでした。
    アニメの原画集とは思えないアーティスト写真が掲載されていて、監督の吉崎響さんやキャラクターデザインの井関修一さんはもちろん、楽曲のコンポーザーやラップシンガーの人達を原画集の誌面で見ることがあるとは思いませんでした。

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     資料としては、絵コンテ、キャラクターデザイン、レイアウト、修正原画、原画などが掲載されています。制作の段階を追いかけるような構成なのか、ストーリーボード→キャラクターデザイン→絵コンテ→それから本編の原画などが掲載されています。
     掲載されている資料は、それぞれに細かくカット毎に担当者が明記されています。原画掲載パートでは、原画やレイアウト、修正原画などがカットや秒数と共に細かく掲載されていますが、同時に完成映像の画像も並べて掲載されており、見比べる事ができるようになっています。今までも、完成映像を並べて掲載するスタイルの本は幾つかあったと思いますが、基本的にその目的は、本編のどの場面の原画であったのかを分かりやすく提示することだったと思います。 そうした今までの原画集に対してこの原画集が一風変わっているのは、そのカットを担当したアニメーターが明記されているだけでなく、最終的にコンポジットを担当した撮影担当者の名前が本編カットの画像と並んで掲載されているところです。『ME!ME!ME!』という作品自体が、一風変わった、音楽PV的なイメージ映像に近い内容のものでしたが、画面自体が特殊な作品だったので、これは面白い試みだと思いました。

     実際、掲載されている絵コンテや原画などを見ていると通常のアニメと同じような感覚なのですが、最終的に完成された画面を見てみると、随分と仕上げと撮影で印象が変わっていたのだということを実感させられました。アニメーターの描いた原画が最終的にどうなるのかは、こうした資料集を買う人間にとっては興味の対象ではありますが、そこに比重を置いた本はあまり無かったので新鮮な内容でした。
     アニメの撮影がデジタル化されていき、新海誠さんのように独特の撮影にこだわった手法が進化していく事で、アニメ映像の中での撮影作業の重要さは増していくばかりです。が、この本のように、撮影をしている個人にまで 実際に注目することは稀だと思います。

     過去に「フィルムブック」という、本編カットを並べて掲載して解説文等を付けた出版物がよくありました。再生媒体の充実などもあってか、今ではあまり見かけなくなりましたが、 『ME!ME!ME!BOOK!BOOK!BOOK!』 のように情報が付け加えられている本ならば、今の時代だとまた違った楽しみ方ができるような気がしました。
    アニメの原画は、色が塗られ、撮影されていく前の素材としての役割をもった存在ですが、実際にそれを実感させてくれる本はなかなか無いと思うので、この本はアニメ制作についての非常に貴重な資料集だと思います。実際、撮影される前の原画などを見ていると、一般的なロボットアニメの原画のように見えるのですが、それが撮影で一変しているのを見比べられるのは面白い体験でした。

     アニメ制作の中で、アニメーターの方や美術の方が描いた絵は、実際に目に見える絵がある分、その技術が取りざたされる瞬間があるものです。その点「撮影」は光が当たりにくい工程ですが、この本は作画を素材とした「撮影」の領域に踏み込んだ唯一無二の原画集と言えるかもしれません。
     自分もこの本を見るまでは、そこまで深く各カットの撮影の個人の担当者を意識することはありませんでした。でも、新海誠さんのように撮影まで自分で担当するスタイルの監督が活躍している現在のアニメ業界では、他にもこうした本の需要はあるのかもしれません。また、技術的なことについても、原画集のように注目してくれる本が出てくれば面白いなと思います。
     もちろん、この本は今までの 「日本アニメ(ーター)見本市」 の原画集と同じく、アニメの原画集としても充実しており見ごたえのある本でした。アニメの映像制作に興味のある人なら、一読の価値のある内容だと思います。また、こうした本が何かの作品で現れると良いのですが。

    (『ME!ME!ME!BOOK!BOOK!BOOK!』/3,780円/企画・編集:カラー、発行:日本アニメーター見本市LLP、販売:株式会社グラウンドワークス)


    前回のアニメの門チャンネル

     前回のアニメの門チャンネルは、おたく系よろずライターの堺三保さんをゲストに「『ニンジャバットマン』のここがヤヴァい」をお送りしました。
     堺さんは同作に設定考証として参加しており、制作の裏側をいろいろお話くださいました。映画というと、実写作品の印象が強い『バットマン』シリーズですが、『ニンジャバットマン』については、コミックシリーズの中の1エピソードとしてあってもおかしくないものを目指した、というところが一番のポイントかなと思いました。
     そんな堺さんですが、短編SF映画『オービタル・クリスマス』を製作中です。
     当初目標はクリアしているのですが、残り後、47日あり、あと150万円ほど上積みできると、豪華な吹き替えがつけられるかも、という状況だそうです。スタッフも豪華ですので、ご興味ある方は応援してみるのもいいかもしれません。


    お蔵出し原稿

     このコーナーではおなじみ「アニメ喜怒哀楽」から、「楽器の楽しさ」を掲載します。こういうエッセイもまたどこかで連載したいと思っているのです。

    「楽器の楽しさ」

    楽器演奏は難しい

    楽器を演奏する、というのは実に楽しい。
    楽器といっても別にたいそうなものではない。カラオケにいってタンバリンやマラカスを鳴らしているだけでもかなり楽しかったりするのはご存じの通り。それは今手元で自分が鳴らした一つの音が、より大きな音楽というものにリアルタイムで編まれていくという実感があるからだろう。
    ちょっとメンドくさい言い方をするなら、それは楽器演奏という行為が「再現芸術」かつ「時間芸術」に属しているから、ということになるはず。要は「ライブ感がある」ということになるのだけれど。
    ところがこの「楽器演奏におけるライブ感」というものはアニメにとってはなかなか難物なのである。メカニック描写にしろ、人間の演技にしろ、非常に高度な表現を実現してきた日本のアニメなのだが、この「楽器演奏におけるライブ感」となると、まだまだ開発の余地がある状況だ。

     
  • アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第140号(2018/6/22号/月2回発行)

    2018-06-28 20:20
    86pt

     Kindle同人誌「新聞に載ったアニメレビュー」(540円)は、ぼつぼつと売れております。同人誌の感想を募集しますので、気に入った原稿のスクショ1枚(必須)と感想を、ブログまたはtwitterにあげてたら、twitterで藤津にご連絡ください。
     確認できましたら、こちらから過去の同人誌「お試し版」(pdf)をプレゼントします。
     では、今回もいってみましょう。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    3.お蔵出し原稿
    4.連載一覧

    最近のお仕事紹介

    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     7月21日 教養としての高畑勲監督入門
     8月18日 アニメと戦争 80年代編
     ※『マクロス』や『FUTUREWAR 198X年』、『火垂るの墓』などを中心に取り上げる予定です。
     9月15日 『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』
     【受講申込】

    2.6月の「オタクの学校」(東京・浅草)
     6月30日の浅草・模型塾で行われる「オタクの学校」。15時からの「アニメを読む」は4KリマスターBOXのリリースに合わせて『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を取り上げます。齋藤さん講座は『クラリス・ド・カリオストロ』。
     【受講申込】

    2.7月のSBS学苑(静岡)
     7月29日は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を取り上げます。以前も取り上げた作品ですが、6月発売の4KリマスターBOXの取材の成果なども一部反映しつつ再演します。
     【受講申込】


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第68回『モブサイコ100原画集』

     この原画集は、「モブサイコ100 REIGEN ~知られざる奇跡の霊能力者~」というイベントのグッズの一つとして販売されました。自分はイベントの物販ではなく、その後に通販で購入しました。
     2000円という比較的安い値段ですが、A4の大きさで100ページ、本文はオールカラーと思っていた以上に満足感のある原画集でした。ファングッズ的な本ということで、キャラクターの顔のアップの絵が大きく掲載されているような原画集なのではないかと不安でしたが、動きのあるカットの原画を中心に掲載していて、どのページを開いても生き生きと動く本編の魅力を感じられる内容となっていました。
     『モブサイコ100』は、鉛筆らしい荒々しい線画の雰囲気を生かした特殊な画面の作品でした。原画集で改めて見てみると、デジタルで描かれたものから、筆ペンで描かれたものまで、様々な表現が混在する絵を見ているだけでも面白いと思います。

     アニメの作画の効果として、「筆ペン」の荒々しいタッチを全面に押し出して原画を描き始めたのは、この作品のキャラクターデザインである「亀田祥倫」さんでした。亀田さんが筆ペンを使って原画を描き始めたのが、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』です。当時、別のスタジオに所属していた亀田さんは、作品初期ではペンネームでの参加でしたが、作品が進むにつれてアクションシーンでの中心的なアニメーターとなっていき、そのお仕事は劇場版へと続いていきました。
     近年では、『映画 ドラえもん のび太の宝島』でキャラクターデザイン・作画監督として活躍されており、活躍が目覚しい亀田さんですが、この原画集はそんな亀田さんのお仕事をまとめた本としても貴重なものだと思います。
     筆ペンでの作画も、当時はかなり突飛な印象でしたが、亀田さんの活躍が広まっていくことによって、アニメ作画の描線に関する自由度が広まったような印象があります。

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     興味深かったのは、修正原画の中に、鉛筆で描いた原画の線の一部を誇張するために、筆ペンで線を書き足したようなものがあったことです。初期の頃の筆ペン作画は、アクションシーンの中で迫力を増すために用いられている印象でしたが、その後亀田さんの中でも様々な形で応用して使われているようです。
    原画集には掲載されていませんでしたが、OPの背景動画でカメラがビル街を動き回るカットも筆ペンやカラー筆ペンを併用して描かれていたようです。
     描線だけでなく、劇画タッチのカットやカケアミを多用したようなカットなど、様々な絵の表現が盛り込まれた作品でした。動きの面でも自由度が高く、亀田さんを代表とする金田系作画だけでなく、個人個人がその個性を発揮して絵を動かしている様子が原画集を見ていると分かって楽しい内容となっています。
     自由度が高い作品というだけでなく、ベテランはもちろん、若手のアニメーターが活躍している作品でもあり、紙面からエネルギーが溢れるてくるような原画集です。
     他にも、亀田さんが直前に参加した、同じ原作者のアニメ化作品『ワンパンマン』と見比べてみると楽しいかもしれません。もちろん、亀田さん以外のアニメーターの方たちでも『ワンパンマン』と『モブサイコ100』に参加している人は少なくありません。完成した作品を見比べてみると、なかなか印象が違って見えて面白いと思います。

     原画集を見ていて特に楽しかったのは、「手」の描写でした。超能力という実体のない物を取り扱っている分、その力の入れどころが「手」に集中しているような印象を持つ作品ですが、原画集を見ていると手が顔以上に物を言うカットが多いような気がしました。亀田さんの描く力の入った手はもちろん、色々な人の描く手に注目して原画集を見ても面白いかもしれません。
     また、今回は原画集にあまり掲載されていませんでしたが、個人的には亀田さんのレイアウトをもっと見てみたかったという気持ちもあります。『モブサイコ100』や『映画 ドラえもん のび太の宝島』のレイアウトの描写なども他の作品とは一味違う良さがあり、元々は背景美術志望だったという亀田さん独自のこだわりを感じるような気がします。
     『モブサイコ100』は現在第2期の放映が控えている所ですが、『ドラえもん』の劇場版というアニメーターとしての大舞台を経験した亀田さんや第2期に参加するアニメーターの方達がどのような活躍をしてくれるのか、この本を見ているととても楽しみになってきます。

    (『モブサイコ100原画集』/株式会社ボンズ/2,000円)


    お蔵出し原稿

    NT WEBの連載「アニメを見ると××になる」より『超力ロボガラット』です。執筆時期は2008年1月なので、ちょうど10年ほど前の原稿になります。

     
  • アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第139号(2018/6/8号/月2回発行)

    2018-06-12 07:59
    86pt

     不愉快な天気だけでなく、不愉快な出来事が続く梅雨間近のこのところですが、改めてこちらの宣伝を。
     朝日新聞「茶話」掲載原稿をまとめたKindle同人誌を出しました。編集は@bono1978さん 表紙イラストは(『お前はグンマを知らない』「So Happy」のジャケットイラスト担当)@jimaojisan12 さんです。 タイトルは『新聞に載ったアニメレビュー』
     2011年から2015年まで足掛け5年、アニメと並走した記録です。amazonのページには言及作品の一覧もありますので、是非見てみてください。

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