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  • アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第121号(2017/9/8号/月2回発行)

    2017-09-13 00:35
    86pt

     10日に天津・向さんプロデュースするライブ「アニ×ワラ」にお邪魔しました。向さんは、ニジスタで一緒に連載している間柄でもあります。
     ちょうどその直前に向さんの著書『ただのオタクで売れてない芸人で借金300万円あったボクが、年収800万円になった件について。』を読んでいて、「アニ×ワラ」をどうやって始めたのかについても詳しく書いてあったのでさらに興味深く楽しめました。
     同書は、タイトルほどお金の話ではなく。実は「どのようにセルフプロデュースをするようになったのか」という話で、「自分の好き」がいかに意味を持っているかを発見、プレゼンしていくお話でした。
     ご興味ある方は是非。

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  • アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第120号(2017/8/25号/月2回発行)

    2017-08-28 18:01
    86pt

     アニメの門メルマガ、今号で120号となりました。スタートからまる5年が経過したことになります。ここまで継続できたのも、チャンネル会員のみなさんのおかげです。どうもありがとうございました。そして、これからもアニメを楽しむためのおもしろい話、役立つ情報を発信していきたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。
     そして9月1日の次回、アニメの門チャンネルは「アニメと女子 時代の転換点」と題して、女性ファンがどんな作品に反応し、いつから“ユーザー”として発見されたかなどを編年体で追っていきます。ゲストはアニメジャーナリストの渡辺由美子さんです。
     では、今回もいってみましょう。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.Q&A
    3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    4.不定期アニメ日記
    5.連載一覧


    最近のお仕事紹介

    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     9月16日 アニメは戦争をどう扱ったか
          『桃太郎海の神兵』から『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』まで
          【受講申込】
     10月21日 『東京ゴッドファーザーズ』(今敏監督)
     11月18日 作画を体験しよう(特別講師:アニメーター・演出、数井浩子さん)
          ※簡単な作画に挑戦してみる予定です。
     12月16日『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(髙山文彦監督)
          【10~12月受講申込】

    2.7月と8月のSBS学苑
     9月24日の「アニメを読む」は『交響詩篇エウレカセブン』を取り上げます。【受講申込】

    3.9月のオタクの学校@浅草模型塾
     9月30日の「オタクの学校」で取り上げる作品も『交響詩篇エウレカセブン』です。こちらは予約はまだできません。


    Q&A

    「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第48回『冴えない高瀬の仕事集』

     この本は、つい先日開催された2017年夏のコミックマーケットで頒布された高瀬智章さんの同人誌です。
     高瀬さんは、キャラクターデザイナーとしても『冴えない彼女の育てかた』や『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン』などの作品で有名ですが、原画マンとしても実力派で、『おおかみこどもの雨と雪』では作品のクライマックスにあたる、台風の中での草平と雪の教室のシーンを手がけられていました。
     今回の本は、代表作である『冴えない彼女の育てかた♭』と『Occultic;Nine』での作画監督や総作画監督としてのお仕事を1冊にまとめたものです。
     高瀬さんのお仕事をまとめた本は、過去にも『冴えない彼女の作りかた総作画監督修正集』がありました。こちらは『冴えない彼女の育てかた』1期の本で、アニプレックス+の通販やイベントなどで販売されました。高瀬さんのお仕事をまとめた本としては、もちろん楽しめる内容なのですが、原画集として見るとなかなか厳しい作りの本でもありました。
     A4の縦型の本なのですが、その縦長のページの中に横長の修正原画の紙が掲載されています。縦長のページに横長の絵が掲載されるので、そのまま配置すれば上下に大きな余白ができてしまいます。この本では、主に1ページに1カット分の絵を掲載する形式を取っており、その結果、小さい絵が1枚だけ掲載されたページが多い本になってしまっていました。

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     アニメの絵は、ビスタサイズが基本形となった今では、カメラワークがない限り、基本的に横長の用紙となります。現在、アニメ制作で使われている用紙は、だいたいA4の大きさと考えて頂けると分かりやすいです(劇場作品や作品の傾向によっては、大きな紙を使用することもあります)。
     この本はA4サイズでしたので、そのまま横にしてみると、掲載されている絵の実寸に近い大きさといえます。一般的に本の形は縦長が多く、アニメの原画集もほとんどは縦長で、その中に横長の絵をどう掲載するかは、アニメ原画集の持つ大きな課題といえます。
     いままで、このコラムの中で紹介してきた原画集も、それぞれに工夫を重ねて、できるだけ多くの絵を掲載できるように苦心している様子が伝わってくるものがありました。『冴えない彼女の作りかた総作画監督修正集』に掲載されている絵は誌面上ではB6ほどの大きさで、A4のページに縦に2枚重ねられるサイズです。実際、縦に2枚掲載されているページも少なくありません。それならば、もう少し全体の絵の掲載量を増やしてほしい、と思うのが正直な感想でした。
     別の同人誌で見たことがあるのですが、同じように修正原画を掲載している本で、本自体がB6サイズのものがありました。同じく1ページに1枚ずつ掲載していく形式でしたが、これはこれで見やすく手に取りやすく、よい形式の本だなと思ったことがあります。
     最近でこそ、実物大に近いサイズで原画を掲載する本も増えましたが、本の中にどのような大きさで絵を掲載するかは、多くの枚数を同時に掲載しなければいけないアニメ原画集の持つ大きな課題です。自分は、まだ見たことがありませんが電子書籍の原画集などでは、その点に充実した物があるのだろうと思います。

     ところで、原画集の話とは直接関係ないのですが、アナログにはアナログ、デジタルにはデジタルの利点も欠点もあるものです。現在の映像業界は、さらなる高画質化に向かっています。TVで4K放送がスタートしたり、映画でもIMAX等が話題ですが、先ほど書いたようにアニメ制作で描かれる絵はA4用紙ほどの大きさです。
     劇場作品ともなると大きな用紙で描く場合もありますが、もちろんスクリーンに投影される時には描かれた絵の大きさの何十倍、何百倍ともなっています。家庭用TVやモニターも大画面化が進んでいます。
     アニメ制作が、その変化にどう対応していくのかは、今後のアニメ業界が直面する大きな問題となると思います。それらをアナログ作画で解決するのか、あるいはデジタル作画で対応していくのか、未知数であるという印象です。デジタル作画で作業する際の解像度も、大きな問題になるでしょう。
     そうした変化は、もちろん個人単位でもあって、高瀬さんのお仕事も『冴えない彼女の育てかた』1期では、紙に鉛筆で描かれたアナログでの作業。2期の『冴えない彼女の育てかた♭』と『Occultic;Nine』では、フルデジタルでの作画となっています。
     ですので、この『冴えない彼女の作りかた総作画監督修正集』と『冴えない高瀬の仕事集』を見比べてみると、高瀬さんやアニメ業界の作業面での大きな変遷を感じることもできます。
     話がそれてしまいましたが、この『冴えない高瀬の仕事集』では、『冴えない彼女の作りかた総作画監督修正集』に感じた掲載量の不満は解消され、大変満足のいく内容となっていました。210ページの本全体に、びっしりと詰め込まれた高瀬さんの絵を浴びるように見ることができます。
     今となっては、『冴えない彼女の作りかた総作画監督修正集』も高瀬さんのアナログで描かれた絵をフルカラーで見ることができる本であり、合わせてみることで貴重な体験となっていると思います。

     高瀬さんは絵の技術が非常に高い方で、人物や空間を立体的に描ける高い画力を、携わった作品の映像や原画集を見ることで感じられます。
     キャラクターデザインとして参加した『冴えない彼女の育てかた』シリーズは、美少女アニメ特有の女性の体を主観的に描いた様なカメラワークが、『Occultic;Nine』は奇抜なアングルが多用される作品でした。
     『冴えない彼女の育てかた』や『Occultic;Nine』は、それぞれ絵柄として違うものですが、どちらにもキャラクターの周囲をカメラが回転しているような映像などがあり、精度の高い技術が必要とされる映像でも、高瀬さんの確かな画力を感じることができます。
     もちろん、そうした高い画力を持ったアニメーターは昔からいましたが、高瀬さんはそうした立体感を『冴えない彼女の育てかた』のような絵柄でも発揮できるのが、また凄いところだと感じます。
     210ページとなかなかに分厚い本ながら、各ページにコメントが細かく付いており、読み応えも十分です。コメントの中で、いい仕事をしていた参加アニメーターの名前を覚えていってくださいと、何人も挙げられているのが印象的でした。
     高瀬さんは、アニメーターとして今後のアニメ業界を牽引していくことになる才能を持った一人だと思います。その仕事をこうして1冊の本として見られる原画集というのは、良いものですね。
     『冴えない彼女の作りかた総作画監督修正集』での不満解消もあり、一段と楽しく読める1冊でした。

    (『冴えない高瀬の仕事集』/高瀬智章・サトステ/2,000円)


    不定期アニメ日記

     アニメの話題ではないですが、「映像を読む」上で大事な要素をはらんでいるなと思ったので、炎上像粗動で話題になった「牛乳石鹸」のCMについて考えます。

     公式にあげられた動画は以下のリンクから見られます。
     【牛乳石鹸 WEBムービー「与えるもの」篇 フルVer.】

     以下、コマーシャルの内容をできるだけ、想像を交えず、画面に写っているもの中心に書き記してみました。

     ■シーン1
     マンションのゴミ集積所。スーツ姿の男が出勤がてらゴミを捨てる。橋をわたり、バスに乗って通勤する。

     ■シーン2(回想)
     出勤しようとした時、妻が呼び止める。「帰りにケーキお願い」。カレンダーに花丸で「たんじょうび」と書かれているカットのインサート。両手にゴミを持って立っている男。「はぁい」と返事。表情変化はない。
     ※回想明けにバスに乗っている男のバストショット。

     ■シーン3
     会社で仕事中の男(背中から)。上司に後輩(?)が叱られている。それを見ている男(目立った表情変化はない)。携帯に妻から「プレゼントもお願い」と連絡入る。携帯をそのまま置く。待受は子供もいる3人の家族写真。

     ■シーン4(回想と現在のカットバック)
     男の父の思い出(セピア処理)。仕事に出かける父の背中。【現在】今の自分の背中。子供のころの男。ひとりで壁に向かっている(手にグローブ、頭に野球帽)。【現在】グローブを手にとる男。ケーキとプレゼントを持って歩いている男。立体交差の下にさきほどの後輩(おそらく)がトボトボ歩いているのを見つける。
     「あのころの父とは、かけ離れた自分がいる。家族思いの優しいパパ。時代なのかもしれない。でも、それって正しいのか?」

     ■シーン5
     居酒屋。男、後輩(おそらく)と飲んで、「オレも昔、怒られたけどね」と語る。「あ、そうなんですか」と後輩。携帯が鳴る。後輩「でなくて大丈夫ですか?」、男「うーん……大丈夫」。夜道、後輩が「先輩、今日はありがとうございました」と頭を下げる。「また、明日な」といって男、去る。

     ■シーン6
     家の今。妻「なんで飲んで帰ってくるかな」。部屋に誕生日の飾り付けあり。うつむいている男、そのままの下向きの目線で「風呂入ってくる」という。妻「ちょっとまってまって、話終わってない…」

     ■シーン7(風呂)
     牛乳石鹸のアップ。湯船の男。父の背中を流す子供時代の男(回想)
     「オヤジが与えてくれたもの。俺は与えられているのかな。」
     顔を手であらって、ため息ともつかぬ息ひとつ。
     「ふと、そんなことを思った。」
     風呂からあがって妻に謝る男。妻、手招きで子供を呼ぶ。子供入ってくる(寝間着か部屋着かは不明だが、明らかにパジャマという記号性は薄い服)

     ■シーン8
     翌朝。街の遠景。ゴミ出しの音。集積場にゴミを出す男(冒頭と同ポジ)。バスに乗っている男。若干、明るい顔である。
     字幕。「さ、洗い流そ。」

     牛乳石鹸の説明は以下の通りです。(改行はこちらで修正しました)

     
  • アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第119号(2017/8/11号/月2回発行)

    2017-08-14 09:53
    86pt

     『フェリシーと夢のトウシューズ』を見てきました。今年の2月に『アニメの門チャンネル』「海外長編アニメの世界」で映画ファン。小泉正人さんをゲストで招いた際にも、取り上げられた1本です(原題は『ballerina』)。
     リアリティラインはかなりマンガなんですが(謎特訓でメキメキ上達とか)、マンガらしくまっすぐ一生懸命なヒロインに好感が持てる楽しい1編でした。ちなみに、月影千草(『ガラスの仮面』)とミヤギ(『ベスト・キッド』)を併せたようなキャラクターが出てくるのも、おもしろ要素ですね。、配信でも話しましたが、ファンタジー要素がほとんどない3DCGアニメって珍しいですよね。
     では、今回もいってみましょう。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.Q&A
    3.前回のアニメの門チャンネル
    4.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    5.不定期アニメ日記
    6.連載一覧



    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     8月19日 特別講座「編集の仕事を知ろう」
          講師:平木大輔(『NEW GAME!』『舟を編む』『月がきれい』等編集)。
          実際の作品の映像を使って編集の仕事を説明いたします。
          【受講申込】
     9月16日 アニメは戦争をどう扱ったか
          『桃太郎海の神兵』から『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』まで
          【受講申込】

    2.7月と8月のSBS学苑
     8月27日は「アニメの魅力 『ガンダム』から『おそ松』さんまで」 8月は「お試し版講座」ということで、静岡と沼津で開きます。内容は『逆襲のシャア』『秒速5センチメートル』『おそ松さん』の3本を90分でギュッと紹介します。この講座は学割アリです。
     午前10時30分:パルシェ校 【受講申込】
     午後:イーラde沼津校 【受講申込】
     9月24日の「アニメを読む」は『交響詩篇エウレカセブン』を取り上げます。【受講申込】


    Q&A

    「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。


    前回のアニメの門チャンネル

     前回のアニメの門チャンネルは、『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』を入り口に、『ポケモン』のあゆみを振り返り、考察しました。
     『キミにきめた!』は。初登場首位で、公開週末の興行収入は約5億1600万円。仕上がりは30億円から、うまくすれば40億円ぐらいのコースでスタートしました。
     『劇場版ポケモン』の興行成績は『ミュウツーの逆襲』が70億円を超えて現在でもトップ。そこから徐々に下がって(下がってと言っても全部大ヒットといえる成績ですが)、5作目の『ラティアスとラティオス』が30億円を切ります。ここで対策(たとえば劇場での新ポケモン配布とか)が打たれ、第6作目『ジラーチ』は40億円超えに戻ります。
     このあたりから、ストーリーのドラマ性は抑えめで、広い意味での映像のスペクタクルのおもしろさを打ち出してくるようになります。そのあたりのピークが10作目で、約50億を記録した『ディアルガVSパルキアVSダークライ』から始まる「時空ポケモン3部作」(個人的な呼び方です)になります。
     それが最近はじわじわと興行収入を下げ、前作『ボルケニオンと機巧のマギアナ』は21.5億円になってしまいました。
     これは『ポケモン』という作品を長期継続させるためにとられてきた施策が、制度疲労を起こし、観客にその魅力が伝わらなくなっていたということだと思われます。
     そういう時は、この作品がどういう作品か、その作品の本質(テーマといってもよい)を考えることが、解決の正道です。
     『ポケモン』の初代シリーズ構成である首藤剛志は、その部分を非常に徹底して考えていました。その思考はWEBアニメスタイルで連載していた「シナリオえーだば創作術」で読むことができます。
     この首藤の『ポケモン』の捉え方を踏まえて『キミにきめた!』を見ると、同作が描いていることが、首藤の設定したテーマの「部分解」になっているととらえることがわかります。これはTV『ポケモン サン&ムーン』におけるリニューアルでも、同様のことを指摘することができます。
     『ポケモン』については、リアルサウンド映画部「『ポケモン』ブランドを再構築?」『アニメの門V』「アニメ『ポケモン』のテーマとは何か?」でも書いています。


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第47回『風立ちぬ ロマンアルバム』

     ジブリ作品というと、劇場作品が公開されるたびに、絵コンテ集、ロマンアルバム、ジブリTHE ARTシリーズやフィルムコミックなど、関連書籍がたくさん出版される印象があります。
     ロマンアルバムには毎回、原画やレイアウトが掲載されており、楽しみにしているのですが、なんとも掲載点数が少ないのです……。ジブリTHE ARTシリーズでは、イメージボードや背景美術が中心となって掲載されているので、原画などもたくさん掲載されている本がほしいと長年思っていました。
     そんな中、宮崎駿監督最後の長編映画として公開された『風立ちぬ』は、ジブリの他作品の数倍の厚さのロマンアルバムが出版され、そこには大量の制作資料が掲載されていました。

     かなりの掲載点数なのですが、数えてみたところ、レイアウトや、原画、修正原画が掲載されているページが、280ページほどのうち100ページ以上もありました。掲載されている画像のサイズも大きく、1枚1枚の絵が見やすいのはありがたいところです。
     画像は、カラーページ、モノクロページとありますが、大判のレイアウトを1ページに大きく1枚掲載していたり、通常サイズのレイアウトでも、1ページに上下2枚掲載していたりと、かなり大きな掲載の仕方をしています。
     ただ、まったく不満が無い訳でもなく、スキャン時の問題なのか、それ以後の画像加工の問題なのかは分かりませんが、カラーページ掲載の原画の色味には少し違和感があります。

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     読み物としても充実していて、作品の紹介というよりは、アニメの制作工程を分解して解説する本という印象です。原画やレイアウトも、作品の素材の一部として掲載されている印象で、それを元にしてカメラワークや仕上げ処理、撮影処理などが解説されています。アニメの技術の入門書としても読める内容になっていると思います。
     そうした内容なので、アニメーターや美術の人が描いた絵が、その後どのような加工を施されてアニメ映像となるかを見比べることができ、技術に詳しくない人でも、興味を持ったり、楽しむことができる本になっています。
     普通の原画集だと分かりにくい、背景やセル部分の組み合わせなど、この本を見たほうが分かりやすいかもしれません。絵コンテや、原画集、背景美術集など、素材が集められた本の副読本として、ぜひ手にとって見てほしいです。
     1カット1カット毎を切り出し、どんな素材で出来上がっているのか、どんな素材が必要なのか、どのような画面処理がされているかが分かる内容なので、作画マニアだけでなく、演出に興味がある人達にも、演出処理という演出家職の具体的な仕事を理解する事を助ける本として、一度は目を通してほしいと思います。

     さまざまな工程に光を当てている本で、各工程の人たちのインタビューも充実しています。中でも原画として参加しているスタッフのインタビューに力が入っており、10人の原画マンのインタビューが読めます。
     分厚い本ならではのありがたいところで、インタビューにも、インタビューされている原画マンの原画の掲載にもページが多く割かれており、原画集としての見どころ、読みどころが充実している1冊だと思います。インタビューを受けているアニメーターの方々も実に豪華で、ジブリ作品ならではですね。
     また、ジブリならではの読みどころとしては、動画職にも注目されており、原画が描かれた後、どのように動画作業が行われたかもインタビューとして読むことができました。ここで、動画検査としてインタビューを受けている館野仁美さんは、現在では「ササユリカフェ」を開店しています。店内で精力的に、アニメ関連の原画展を開催されている方で、この連載でもその原画展は何度か取り上げさせて頂きました。

     個人的にうれしかったのは、近藤勝也さんの原画の掲載が多かったところです。スタジオジブリ作品で、キャラクターデザイン、作画監督として、活躍されている近藤さんですが、原画マンとしても一流で、『風立ちぬ』以後はジブリ制作のCM作品でお仕事を見かける機会も多くなりました。
     『風立ちぬ』の作中でも、近藤さんの担当された結婚式のシーンなどは、近藤さんの絵柄が前面に出ています。この本にはそのシーンの原画は特に多めに掲載されていて、見どころのひとつだと思います。
     現在、近藤さんの地元では近藤勝也さんの大々的な展覧会が開かれているそうですので、興味のある方はぜひ足を運んでもらいたいところです。

     宮崎駿監督作品のロマンアルバムもこれで最後……と思っていましたが、なんと!現在では、新作長編映画の準備に入っているとして、スタジオジブリでは、先日スタッフの募集がありました。
     作品の完成は、3年後を目標にもう始まっているようです。いったいどんな作品になるのか楽しみで仕方がないものですが、またこの本のように充実した資料本の登場も待ち遠しく思ってしまいます。
     映画の完成、そして公開を、この本を片手に、楽しみにして待ちたいと思います。

    (『風立ちぬ ロマンアルバム』/徳間書店/2,808円)


    不定期アニメ日記

     映画評論家の町山智浩さんが、ラジオ番組(TBSラジオ『たまむすび』)で、「ネットフリックスが、アニメ業界に、通常の何十倍もの予算を提示している」(要旨)ということを話されたそうです。これがだいぶバズったようですが、ラジオの内容を書き起こされたものを読んでみますと、いろいろ飛躍が大きいお話で、根拠に欠ける内容でした。