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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第131号(2018/2/9号/月2回発行)
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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第131号(2018/2/9号/月2回発行)

2018-02-14 04:30

     今月は嵐の前の静けさで自宅作業が続いています。効率よく仕事ができるのはありがたいですが、気分転換がほしくなりますね。
     作業中は配信でアニメを見るか、アニメでないものを見るかしています。Netflixの『ハノーバー高校落書き事件簿』は落書き事件の犯人を追うモキュメンタリー(ドキュメンタリー的な趣向で見せるフィクション)ですが、これがなかなかおもしろかったです。ただアメリカのドラマなので、「おお、犯人確定!」となったところで第2シーズン(まだ制作されていない)でしたが。
     それではいってみましょうか。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.前回のアニメの門チャンネル
    3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    4.お蔵出し原稿
    5.連載一覧


    最近のお仕事紹介

    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     2月17日「アニメと戦争2 『ヤマト』と『ガンダム』編」【受講申込】
     3月17日『君の名は。』【受講申込】

    2.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     4月期は以下の通りです。
     4月21日 脚本を書いてみよう! 特別講師:大河内一楼
     5月19日 『コードギアス 反逆のルルーシュ』
     6月16日 『DEVILMAN crybaby』(+旧作)
     【受講申込】

    3.オタクの学校
     こちらは近日中に予約開始となります。
     「アニメと戦争1 戦中から'70年代まで」【受講申込】
     『桃太郎 海の神兵』から'70年代のロボットアニメあたりまでをカバーします。

    4.3月のSBS学苑
    3月は「声優の歴史」を取り上げます。歴史に限らず、知ってるようで知らない声優さんのあれこれを筋道を通って理解できるようになる内容です。【受講申込】


    前回のアニメの門チャンネル

     前回のアニメの門チャンネルは『DEVILMAN crybaby』と『ポプテピピック』を取り上げました。
     ひとりでやったのと準備時間がなかったことがあり、わりとフリートークで、ここで再現できるほど構成していないのでした。要するに「原作をどう料理するか」というその手つきに収斂していくようなお話をしました。


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第59回『DEAD LEAVES原画集』

     今となっては意外なことですが、今石洋之さんの初監督作品『DEAD LEAVES』は、Production I.Gの劇場作品でした。
    全 体的にアメコミ調の画面を押し出していて、IG作品としても珍しい絵作りとなっています。具体的には、ハイライトも無く、影もBL影一色、色彩も原色で、フルカラーのアメコミのような画面です。こうした方向性の作品は、『DEAD LEAVES』以前にも小池健さんが監督したアニメ作品で見られるものでした。ただ、小池さんの作品では背景まで全てがセルで描かれており、それは画面全体がセル画という「全セル」と呼ばれる手法で、『DEAD LEAVES』とは少々違っています。

     小池さんと今石さんの共通性は他にもあって、それはアニメーター「金田伊功」さんの作画を原点とする「金田系」と呼ばれる作画のスタイルを持っていることです。
     アニメーターの作画のスタイルには、時折「◯◯系」と称される流派が存在します。これは、直接的な師弟関係から派生する場合もありますが、人間関係としては直接の接点が無い人でも、その仕事に影響されて特定のスタイルの作画を追求する場合があることを指しています。実際に、今石さんと金田さんの関係も、参加作品こそかぶっているものの、今石さんが新人アニメーターだった時代に金田さんはアニメ業界を離れてしまっています。それでもリスペクトの強さから、その作画のスタイルに影響を受けるという流れがアニメーターの世界には多々あり、その結果が◯◯系と呼ばれるさまざまな作画の流派を生んでいると思います。

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     この◯◯系というスタイルの流行は、その時代時代での影響力の強さから、流行ると共にいずれは廃れざるを得ない歴史を繰り返しています。一つのスタイルとも言えるほどはっきりとしたアニメーターの個性は、アニメ作品の枠を飛び越えてしまう魅力と危険性を同時に持っているのだと思います。そんな中でもひときわ存在感の大きかった「金田系」の作画ですが、金田さんがアニメ業界から去った事もあり、一時は息をひっそりと潜めていました。
     その息を吹き返したのが、今石洋之さんです。今石さんは、アニメーターとしてはもちろん、金田系を全面に押し出した作画で新人の頃から印象的な活躍をされていました。そして、作画監督、演出、監督とキャリアを重ねていく中でも、そうした方向性を全面に押し出したままの形で作品を作り続けています。こうした今石さんの作画やアニメ作品作りの方向性が、一つのアニメ文化の再生に繋がったのだと思います。
     原画集を見て感じてほしいのが、その作画自体がアニメの中で一つの文化だということです。今石さんの登場によって復活した金田系に憧れ、更にその次の世代でも、亀田祥倫さんのような金田系を継承するアニメーターが登場する。そうした技術の継承がアニメの作画の中にも存在する。『DEAD LEAVES原画集』は、そうした文化を実感できる本でもあるし、また原画集を見ることで更に新たな継承者が生まれていくんだと思います。

     『DEAD LEAVES』には、金田系として活躍していた、山下将仁さん、渡部圭祐さん、小池健さん等が参加している事も運命的な事に感じます。他にも、当時のガイナックスのすしおさんや久保田誓さん、吉成曜さん達の豪華な作画陣の原画を見ることができますし、この作品に参加しているアニメーターが後の今石作品に参加していく原点的なものも感じられます。吉成さんはアメコミテイストの絵を描く方でもあり、原画を見ていても『DEAD LEAVES』の原画は、ひときわ絵としてかっこいい仕上がりで眼福ですね。
     今石さんは、金田系とは言っても、全く違う方向性の作画のスタイルも作品の中に積極的に取り込んでいます。クライマックスのシーンを大々的に宮沢康紀さんが担当しており、作品全体がグラフィカルな中でも表現がエスカレートしていて、他で見たことのない表現のオンパレードになっていて見ごたえがあります。
     他にも見どころはあって、漫符的な描き文字表現を作画でしている面白い作品で、これがエフェクトの一種として動かされていたり。これは未だに真似する作品が出てこない珍しいものですね。

     原画集自体も面白い内容で、色々な作画スタイルがごった煮になっているんですが、監修の今石さんがコメントで細かく解説しているので、掲載されている原画は担当者がほとんど分かるようになっています。また、ページの端に原画がパラパラマンガ状に掲載されていて、動かして見ることができたり。びっくりしたのが、原画にらくがきが描いてあって、それがそのまま掲載されています(笑)。
     この原画集は今では入手が難しくなっているようですが、キャラだけでなくエフェクトまで実線(色トレスではない黒い線)で描かれているので、 アニメ本編を観ても作画のスタイルを色々見比べやすいと思います。特に、煙や光に関するエフェクトなどは、一人一人かなり違う描き方をしているので、見比べると面白いと思います。
     ちなみに今石さんは、のちにゲーム業界に身を移した金田さんが絵コンテを手掛けた『武蔵伝II BLADEMASTER』のOPに参加されています。そうした仕事を目にした時に、アニメーターの仕事を意識して追いかけていく楽しみがあったりします。
    (『DEAD LEAVES原画集』/T.Oブックス/3599円)

    【お知らせ】昨年末のコミケで販売した、この連載20回分をまとめた同人誌の通販が始まりました(残部僅少)。【通販受付】


    お蔵出し原稿

     前回に続いて、幻に終わった単行本原稿の「0稿」を掲載します。『TVとアニメの時代(仮)』の第2章になります。

    TVにおけるアニメの位置の確立

    「第0次ブーム」の後に起きたこと

     
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