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【新連載】 津田直士エッセイ 『想いのすべて』 009 YOSHIKI CLASSICAL SPECIALを観て・・・
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【新連載】 津田直士エッセイ 『想いのすべて』 009 YOSHIKI CLASSICAL SPECIALを観て・・・

2016-12-10 00:30
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12月6日と8日の2回、僕は国際フォーラムでYOSHIKI CLASSICAL SPECIALの公演を観る機会を得た。

どちらの日もコンサートの最後に、今までどんなライブでも味わったことのない不思議な感動を覚えた。

また、今回のツアーでは久しぶりにYOSHIKIと会おうと考えていたので、少しだけれど会って会話をした。


コンサートを観ていて気づいたこと、今のYOSHIKIの凄さについて、さらに久しぶりにYOSHIKIと会話をして感じたこと、そしてそもそもなぜ今回僕がYOSHIKIと会おうと思ったか…など、思いつくまま書いていこうと思う。

特に、日本はもちろん世界的にも、最近のYOSHIKIがエンターテインメントの世界で突出した人間性を持つ存在となっていることについて、今回のコンサートを観たことで、その理由が僕の中で以前よりさらに明確になってきたので、そのあたりもきちんと書いてみたい。


今から14年前の2002年、同じ国際フォーラムで行われたシンフォニックコンサート。

この時、僕はアーティストサイドのプロデューサーとして、YOSHIKIの音楽面に関してサポートをしていた。


とても大変だったけれど、無事コンサートは成功、YOSHIKIの持つ豊かな音楽性がオーケストラの音と共に、満員の観客を魅了することができた。

でも、今回僕が観たコンサートは、オーケストラとの共演という点は同じだけれど、色々な面でファンとして幸せな要素がかなり増えていたと思う。

なにより圧倒的なのは、やはり『X JAPANが再結成し復活を遂げていること』だ。

そう。僕の記憶の中で、2002年は X JAPANと離れている時のYOSHIKIであり、その想い出の数々は何ともいえない寂しさと共にある。

Xの楽曲を演奏している時の気持は何ともいえなかった。どこか、未来がない寂しさに覆われていた気がする。

けれど今回は全く違った。

夢のような幸せ・・・つまり、世界中にファンがいる、再結成したX JAPANという背景のもとで行われているコンサートなのだ。

2002年当時とは違い、X JAPANは再結成を経て世界進出を果たし、MSG公演という輝かしい実績に加え、来年3月にはウェンブリー・アリーナ公演が控えている。

そして今回のYOSHIKI CLASSICAL SPECIALは、この後12月29日の香港公演に加え、来年1月12日と13日には、クラシック音楽の殿堂ニューヨーク・カーネギーホールでのコンサートが予定されている。


このようなコンサートツアーが可能なのも、2013年8月27日にリリースされたアルバム『YOSHIKI CLASSICAL』の成功とその後2014年に行われたクラシカルスタイルのYOSHIKI SOLO世界ツアーという実績があったからだ。

そう、2002年当時にまったく見えなかった X JAPANの再結成と世界進出、そして同じくYOSHIKI SOLO活動での世界進出という出来事が、今回のYOSHIKI CLASSICAL SPECIALの背景にあることを、僕はコンサートを観ながら強く感じたのだ。




そんな背景は、2002年のシンフォニックコンサートに比べてどんな違いを生んでいるのだろうか。

一番大きな違いは、YOSHIKIがファンに伝えているメッセージだ。

今回、とりわけ心に残ったのは、8日のMCでYOSHIKIが話したメッセージだった。


『奇跡』という言葉の話をした後でYOSHIKIは、『長い人間の歴史の中で、ここにいるみんなと一緒にいられるのも奇跡ですよね』というメッセージを伝え、さらにTOSHIを含めてメンバーとの出会いが奇跡であること、その奇跡から始まったバンド活動を当時のメンバーと共に必死でやっていたこと、けれどもいつしか東京ドーム公演が当たり前になっていく中、その奇跡を自分が忘れてしまい、本当は奇跡であったことを当たり前だと思うようになったことが、バンドが変わっていくきっかけに繋がっていったこと・・・
やがて長い時を経て再結成を迎えた時に、その奇跡に改めて気づいたこと・・・

そしてYOSHIKIはファンに向って、このような内容のメッセージを投げかけた。

『皆さんのすぐそばにも、大切な人がいると思います。そのことが奇跡であることを、ぜひ忘れないで下さい・・・』


自らの経験を基にした、素晴らしいメッセージだった。

再結成がもたらしたYOSHIKIの大きな変化や進化、そしてそこから生まれた貴重なメッセージ。

それは、2002年当時にはなかったものだ。

また、あの優しい笑顔と美しく奏でられる情感豊かなピアノ演奏も、2002年当時とは見違えるほど優しくファンを包み、暖かく幸せな世界へ導いてくれていた。

これも今のYOSHIKIが手に入れたもののおかげだ、と僕は思う。

そう。

世界中に増え続けるファンという、YOSHIKIの生む音楽の、そしてX JAPANという個性的なバンドの正しい理解者たちの存在だ。

そしてYOSHIKIが手に入れたものは、これもまた数えきれない数のファンによる、途方もなく長い時間にわたる支えの結果、得たものだ。

だからYOSHIKIはファンに向けて、その感謝の気持ちをコンサート中に驚くほど投げかけるのだ。

それは、コンサート中のあらゆるMCや演奏からファンに伝わり、やがてコンサートの最後でピークに達する。

全ての演奏が終わった瞬間、多くのファンが花束を手にステージへ向う。

後ろの方から観ていると、ステージに突然花が咲き乱れたように見える。

そのファンたちと笑顔で触れ合い、花束を受け取り、手を差し伸べ、共に写真を撮るYOSHIKIの姿は、ひたすらファンへ向けての『ありがとう』に満ちている。

それを何度もくり返し、最後に全員で「We Are・・・  X!!」と叫ぶ空間は、28年分の『愛』に満ちているように感じた。

だから僕は、当たり前に泣いてしまった。

その『愛』の深さに感動したからだった。

こうして、14年前に同じ国際フォーラムで行われたコンサートの記憶から、その14年間にYOSHIKIが得たものの大きさ、そしてそれを得るに至ったYOSHIKIの生きかたの凄さを、僕は深く感じたのだった。





僕がYOSHIKIのマネージメントスタッフから、ドキュメンタリー映画のインタビュー撮影依頼を受けたのは、昨年2015年の初夏だった。

3時間半に及ぶキジャック監督自身によるインタビューに応え、僕は自分の中で大切にしてきた僕にとっての『Xという物語』の全てを話した。

そして、自分がXというバンドに向けて感じている大切な使命を、インタビューを受けることでそのまま果たせたことの満足感と深い感動でいっぱいになった。

それから、僕は映画『We Are X』がどうなっていくのか楽しみにしながら時を過ごしていた。

やがて今年になって、その存在はとうとう公になった。

僕は、映画に貢献できたことの嬉しさを、YOSHIKIと会ってきちんと伝えたいと思った。

そしてそのタイミングを考えた。

Xというバンドのことではあるけれど、僕とYOSHIKIには、2000年の頃、バンドとは別に時間を過ごした経緯もある。

それに、僕は映画のインタビュー撮影の半年前、MSG公演を観て『YOSHIKI自身がXになった』という個人的な考えを、大切な真実だと確信した。

だから、バンドとは別にYOSHIKIが個人の活動をしている中、一番意義深いタイミングで会いたいと思った。

そういう意味で、今回のCLASSICAL SPECIAL国際フォーラム公演はとても良い機会だった。

だから僕は、YOSHIKIと会うことにした。


(つづく)

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音楽プロデューサー 津田直士の 「人生は映画 主人公はあなた」
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読んでるうちに涙がこぼれてきました。去年フアンになったばかりなので。。深いところはわからないかもですが・・

No.1 89ヶ月前
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