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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第115号(2017/6/9号/月2回発行)
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アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第115号(2017/6/9号/月2回発行)

2017-06-14 18:15

     今回の不定期アニメ日記では「クローズアップ現代+」についての感想を書いてみました。難しい問題ですが、難しい問題だからこそ、その難しさをちゃんと見極めたほうがいいのではないかと思った次第です。

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    1.最近のお仕事紹介
    2.Q&A
    3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
    4.不定期アニメ日記
    5.連載一覧


    最近のお仕事紹介

    1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
     6月17日 『おそ松さん』【6月予約】
     7月15日 『聲の形』
     8月19日 特別講座「編集の仕事を知ろう」
          講師:平木大輔(『NEW GAME!』『船を編む』『月がきれい』等編集)
     9月16日 アニメは戦争をどう扱ったか
          『桃太郎海の神兵』から『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』まで
          【7~9月期受講申込】

    2.7月の中日文化センター講座 アニメを読む『交響詩篇エウレカセブン』
     7月22日、秋より公開される新作『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』三部作の原点となった『交響詩篇エウレカセブン』とは、どんな作品だったのか。改めて考えます。 【受講申込】

    3.7月と8月のSBS学苑
     7月は『王立宇宙軍 オネアミスの翼』。 【受講申込】
     8月は「アニメの魅力」と題して、お試し版の講座を静岡と沼津で開きます。内容は『逆襲のシャア』『秒速5センチメートル』『おそ松さん』の3本を90分でギュッと紹介します。この講座は学割アリです。
     午後:パルシェ校 【受講申込】
     午後:イーラde沼津校 ※まだサイトは申込みできないようです。


    Q&A

    Q:イベント上映についてです。近年劇場公開されるアニメが増えましたがイベント上映と小規模公開には何か明確な差というものはあるのでしょうか? また近年ではスペシャルエピソード公開という新しい名称を使う作品も出ていますが、これも厳密な差があるのでしょうか?(チャンネル会員サトウさん)

    A:イベント上映と呼ばれるものは「映画でない作品(映倫のレーティングを受けていない作品)」を「基本2週間(延長はある)」で上映するものです。スペシャルエピソード公開などもイベント上映(そもそもこの呼び方も便宜的なものです)。小規模公開の映画は、映画なので、映倫マークをとっていますし、興行は基本4週間がベースとなっています。

     「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。


    連載「理想のアニメ原画集を求めて」

    文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

    第43回『アニメ風来坊2016』夏・冬

     以前に紹介した藤井慎吾さんの原画集同人誌『アニメ風来坊』シリーズは、その後もコミックマーケットが開催されるたびに新刊が頒布されています。
     2016年も夏と冬に1冊ずつ新刊が出たのですが、既刊と比べても興味深い内容でした。

     これまでの『アニメ風来坊』は、藤井さんが作画作業をフルデジタル化した後に手がけられた作品の資料が中心でした。しかし、2016年夏の新刊は、主に、藤井さんが紙に描いたアナログ作画時代の原画がまとめられていました。
     それに加えて、『アニメ風来坊』の掲載内容は毎回プリキュアシリーズの原画がメインになっているのですが、今回は『Go!プリンセスプリキュア』の最終回の原画が掲載されており、結果的に藤井さんのデジタル作画、アナログ作画それぞれのお仕事を見比べられる、面白い内容となっていました。

     また、2016年冬の新刊では、年代的に藤井さんが商業作品でもデジタル作業を始めた初期の頃と思われる仕事の資料が掲載されており、これもまた興味深い内容となっていました。
     藤井さんが原画集をコミックマーケットで出すようになってから既に数年が経過していますが、原画集としてまとめられた同人誌の中でも、アナログ時代の一番古い掲載作品から最新ものまでの間に8年ほどの時間が経過しています。この同人誌には、その8年間に積み重ねられた、アニメーターとして仕事をしてきた時間が凝縮されています。

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     もともと、藤井さんは学生時代からデジタルでの作画作業をされていたそうで、アナログでの作画作業をしていたのは、動画時代から原画マン初期の頃だけのようです。
     ネット上に上がっていたので、学生時代に藤井さんが制作した自主制作作品を観たことがありますが、実写や手描きアニメを織り交ぜて制作された映像でした。
     藤井さんがアニメーターとなった約10年前は、商業アニメ作品の中でデジタルでのアニメ作画作業をしている人は数えるほどでしたが、今では会社ぐるみでデジタル作画を推進する動きもあるようです。

     デジタル作画が可能なツールが安価で使える現状を見ると、藤井さんのように、アニメ業界に入る以前からデジタル作画を独学で学ぶ人達は増えていくことと思います。
     アニメーターを志してから、あるいはアニメーターになってから一度も紙を使ったことがないような、デジタル・ネイティブなアニメーターというと今はまだ物珍しい気もしますが、これからはどんどんと増えていくことでしょう。そうした人たちも、今後は環境を変えずにその能力を活かしていけるようになっていくのかもしれません。

     この原画集を見ていると、8年間に起きた、アニメ業界や人の様々な変化を感じます。
    それぞれの仕事について当時の回想コメントが付いているのですが、その内容にも、一筋縄ではいかないアニメーターとしての仕事の重みを感じます。
     驚くほどタイトな作業時間でやらなければいけない仕事があったり、同じ話数の参加アニメーターの仕事に衝撃を受けた経験があったり。藤井さんのお仕事は3DCGやデジタルを活かした試行錯誤が感じられるものですが、同人誌を読んでいると、そこに至るにもアニメーターとしての様々な経験があることを感じました。
     また、藤井さんの手描きでの作画は、同人誌では白黒での印刷にはなっていますが、白黒状態でも分かる色鉛筆のグラデーションの丁寧さが見え、美麗な絵として楽しめる、アナログならではの質感でした。
     今までの同人誌に掲載されていたデジタル作画の資料からは分からない、アナログ原画ならではのこだわりが、掲載されている原画から見ることができました。

     今後、アニメーターが仕事をしていく上で、デジタルとアナログをどのように行き来していくことになるのかは分かりませんが、デジタル作画の環境が増えていくことは間違いありません。
     今はまだ過渡期ですが、こうして本にまとまることで、個人の、あるいはアニメ業界での時代ごとの作画環境の変化が分かる記録は、なかなか貴重な資料だと思います。

    (『アニメ風来坊2016』夏・冬/アニメ風来坊/各2,000円)


    前回のアニメの門チャンネル

    ジャーナリストの数土直志さんをゲストに、最近のアニメビジネスのトピックを取り上げました。トピックは順不同で以下の通りでした。

     ・宮崎駿 引退撤回宣言
     ・『君の名は。』、中国で大ヒット
     ・『この世界の片隅に』が国内映画賞を席巻
     ・東映アニメ、バンダイナムコHD、テレビ東京アニメ事業部売上げ利益が過去最高
      (エイベックスアニメ事業、東宝アニメ事業も好調)
     ・DMM pictures設立
     ・アニマックスとキッズステーションが経営統合
     ・日5放送枠消える
     ・デジタル作画の波が広がる『ひるね姫』『ピカイア!』等
     ・CCCグループ 徳間書店を子会社化
     ・アサツーDK ゴンゾを子会社化


    不定期アニメ日記

     先日『クローズアップ現代+』で「2兆円↑アニメ産業 加速する“ブラック労働”」という特集が放送されました。特集の内容は公式サイトが文字起こしをしており、読むことができます。

     冷静なトーンでそこは悪いとは思いませんでしたが、気になるところもちょくちょくありました。

     
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