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小飼弾の論弾 #52「対談・SF作家 藤井大洋さん @t_trace (その3) シンギュラリティはすでに起こっている!?」
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小飼弾の論弾 #52「対談・SF作家 藤井大洋さん @t_trace (その3) シンギュラリティはすでに起こっている!?」

2017-08-18 07:00

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    今回は、7月3日(月)に配信した、SF作家 藤井大洋さんとの対談テキスト(全3回)をお届けします。

    次回のニコ生配信は、8月21日(月)20:00の「小飼弾のニコ論壇時評」。今時のニュースを小飼弾がズバズバ斬っていきます(21:00頃からは、通常の「小飼弾の論弾」になります)。

    お楽しみに!

    2017/07/03配信のハイライト(その3)

    • AR、VR、サイバネティクス現実化するとしたらどの技術?
    • 3人の好きなSF作家を聞きたい
    • SFとスペースオペラとの違いは?
    • AIに小説は書けるか?
    • 今後のSFに影響を与えそうな技術やトピックは?

    AR、VR、サイバネティクス現実化するとしたらどの技術?

    「現実化するとしたらどの技術が現実化するでしょうか。3つあるうちの、例えば攻殻機動隊の義体電脳。『電脳コイル』で出て来たAR。『ソードアート・オンライン』で出て来たVR。どの辺が現実化する可能性が高いか」(コメント)

    藤井:『電脳コイル』は、もう結構やってるんじゃないですか。

    小飼:もう寸前ですよね。

    藤井:あとは装置がどこまで軽くなるかと、電源をどうやって供給するのかですね。

    山路:Google Glassは出たものの全然普及せず、エンタープライズ方面に行ったという話を聞きますけれども、ああいうメガネ型になるんですかね、将来のARは。

    藤井:コンタクトレンズでしょう。

    小飼:最終的には攻殻機動隊方式で、脳の中に直接イメージを送り込んじゃう?

    藤井:それはなかなか、うーむ。人体の改造は、ちょっと苦手だと思うんですよ。なので、たぶんコンタクトレンズから始まると思います。あとは、コンタクトレンズにデータを送るために、ボディネットワークが使われることになるでしょう。人体通信の効率を上げるための、おクスリ、サプリが使われるようになったり。

    小飼:結局のところ侵襲するんじゃん!

    藤井:そう、侵襲のレベルが、ジャックをつけるんじゃなくって、おクスリ飲んだりとか、ちょっとしたものになるのでは。

    小飼:ジャックは古いかもしれない。初めから電波なんじゃないかな?

    山路:人体通信の効率をよくするためにクスリを飲むって発想はなかったです。

    藤井:電解質を整えたりとかするだけで結構イケたりするでしょうし。あとちょっとだけナノマシンとか入れたりするだけで、通信を中継してブーストすることもできるでしょう。

    山路:5年後、例えばオリンピック前後みたいなタイムスパンで考えたら、ARで何が実現できると思います?

    小飼:もう全部ARでやれよ! 東京に行くんじゃなくて、バーチャル東京でオリンピックをやる!

    山路:安上がりですよね、とりあえず。

    小飼:選手は全員『ソードアート・オンライン』のナーブギア着用する(笑)。

    一同:(笑)

    山路:あと、OSのセキュリティに関して質問が。

    「OSのセキュリティなど、こういう分野のテクノロジーに関して、どうしたら藤井さんほど詳しくなれるんでしょうか」(コメント)

    藤井:そんな詳しくないですよ。

    山路:例えば普通の人だったら、ブラウザをこういう風に使ったらこんな変なことが起こってなかなか気付かないじゃないですか? そういうちょっとした穴に気付いたりするのは、どうしてでしょう?

    藤井:新しいものを、未完成な状態で触っているのはあるかもしれません(笑)。

    山路:OSのベータ版だったり。

    藤井:はい、そうです。

    山路:Mac OS X(現macOS)なんて10.1の段階でもベータみたいなもんでした。

    小飼:OS Xメインでいいやーと思ったのは、10.3からですね。で、10.5の頃にはもう旧Mac OSを動かすClassic環境がなくなって(笑)。

    藤井:早かったですねえ。

    小飼:やっぱ、そういうところAppleはすごいよな。だって、MacのCPUは68000→Power PC→x86と替えて、OSも旧Mac OSからUNIXのMac OS Xに丸ごと取っ替えて。それで、ユーザーが離れなかったというのは本当にすごい。

    山路:だからMacというのは、1984年にジョブズが紹介した時とはOSの中身も、使われているCPUのアーキテクチャも違う。「Macっぽい」という感じだけですよね。共通してるのは。

    藤井:そういうことですよね。でも、あれがMacの身体性の根本なんでしょうね。

    小飼:大事なところですよ。

    3人の好きなSF作家を聞きたい

    山路:今コメントで質問が。「3人の好きなSF作家を聞きたい」私は、藤井さんなんですけれども(笑)

    藤井:おお。ありがとうございます。

    山路:藤井さんが注目されてる作家さんはいらっしゃいますか。

    藤井:ひとり挙げるとすると、宮内悠介さんですね。

    小飼・山路:ああ。

    藤井:ほぼ同時にデビューしてるので、全作品読んでいるというのも大きいんですけど。仲良くお酒飲んだりもしますからね。

    山路:SF作家同士では、お互いネタを見せ合ったりするんでしょうか。

    藤井:ネタの開陳というか、飲んだりとかする時にネタを披露し合うことは多いですよ。書いている途中の作品でも。

    山路:単純にネタだけ仮に使われたとしても、それで出来るものは、ぜんぜん違うということですか。

    小飼:今コメントで出たけど、ケン・リュウ。

    藤井:ああ、ケン・リュウさん。彼とは、よくメールやFacebookでやり取りをしてますよ。

    「レナルズ」(コメント)

    小飼:ああ、アレステア・レナルズと言えばあの分厚さね!(笑)文庫で1200ページ(笑)。

    山路:どういう話を書いている人なんですか。

    小飼:超光速航法を使わないスペースオペラを書いている人で。元々物理学者じゃなかったっけ?

    「SF初心者ってどこから始めたら良いのか」(コメント)

    小飼:SFって何をもってSFっていうのにまた神学論争になっちゃうけど(笑)。

    山路:藤井さんの作品は、SFじゃないという見方もできますもんね。

    小飼:近現代小説。あと藤井さんの小説は、技術の使い方が渋い。SFで遺伝子組み換えだと普通はヒトゲノムをいじるけど、『Gene Mapper』では稲! あれは本当に、そう来ましたかと。

    藤井:ありがとうございます(笑)

    山路:『Gene Mapper』は傑作なので、視聴者の皆さんもぜひ。

    藤井:よろしくお願いします。

    SFとスペースオペラとの違いは?

    「SFとスペースオペラとの違いは?」(コメント)

    藤井:分類上と言っていいのか分からないですけど、スペースオペラはSFのサブジャンルのひとつですね。

    小飼:というのも、SFはなんでも、入れようと思えば入っちゃうので。

    藤井:入りますね。

    山路:ファンタジーは、SFには入れないという人もいます。

    藤井:でも、だいたいサイエンスフィクション&ファンタジーっていう枠になってますね。

    小飼:異世界転生しちゃった、あるいはそのファンタジーが仮想空間だということにしておけば、それでサイエンスフィクションのサイエンスは成立しちゃうわけじゃないですか(笑)。だから、なんでも入っちゃう。

    山路:メタフィクションは、みんなSFになるかもしれないですね。

    藤井:スペキュレーティブフィクションという言い方もありますから。

    山路:それは未来を予測という意味ですか。

    藤井:いや、未来だけじゃなくて視点をちょっと変えてみた小説です。そうすると過去のものも含まれるわけで。なので科学じゃなくても法であっても、また精神世界であってもかまわない。

    山路:じゃあ、SFを定義することには、あんまり意味がないと。

    藤井:身も蓋もない言い方をすると、レーベルがジャンルを決めてるというか、読者が決めてる部分が非常に多いので。

    小飼:だから『ソードアート・オンライン』はサイエンスフィクションだけど、電撃文庫から出てるからラノベ(笑)。

    藤井:そうそう、読者が決めてるところが本当に大きいんですよ。版元が持っているブランド、欧米ではインプリントと言いますが、SFのインプリントから出ている作品がSF。

    小飼:星界シリーズは、本当はラノベだけれどもハヤカワから出てるからSFだ(笑)。

    一同:(笑)

    藤井:そういうことを言い始めると、喧嘩になります(笑)。

    AIに小説は書けるか?

    山路:昨年、人工知能を使って書かれた小説が、文学賞の一次選考を通過したことが話題になりました。

    藤井:ああ、星新一賞ですね。

    山路:人工知能で書いたSF作品が出てくると思いますか?

    藤井:出て来てもおかしくはないと思いますけど、ただ、丸ごと一本人工知能に書かせた作品を編集するのは大変だろうなあと思います(笑)。人間がよくないと指摘したところを直してくれるのかな、人工知能は。

    小飼:あるいは人が面白がってくれるかどうか。さっきも言ったように、我々が知能と言っているものには身体性が色濃く反映されています。我々と同じ身体を持たぬ知能が書いた作品に、我々は感情移入できるのだろうか?
     逆に、ヒューリスティックな手法を使い、ウケる小説を全部AIに読ませて、適当な初期条件を与え、物語を作らせることができたら面白いかもしれない。人工知能は、その作品を「書いた」つもりは全然ないだろうけど。

    藤井:ただ、投稿サイトに上がっている作品数では、ディープラーニングには全然足りない。

    小飼:足りない、足りない。

    藤井:自分が今まで書いた原稿をTensorFlow(Googleが開発した機械学習用のライブラリ)にぶっこんで、Doc2Vec(文章をベクトル化して、類似文章の検索などを行う手法)で、類似文章とか出してみたりとかするんですけど、全然似たものが出てこない。話になってない(笑)。

    山路:藤井さんは、小説を書く上で、物語の骨格を最初に考えるとおっしゃっていました。「物語の骨格を認識する」ということは、人工知能でできるんでしょうか?
     
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