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§3 : 自分の曲をCDに収録したい。 ~「録音権」について~
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§3 : 自分の曲をCDに収録したい。 ~「録音権」について~

2013-03-19 11:49
    ■知らない人の同人CDに自分の曲を提供するときの値段交渉って面倒だなぁ。
    ■そもそも録音権を預けるメリットってなんなの?
    録音権をJASRACなどに預けるメリットを簡単に表現すると(赤字の部分)
    補足:
    録音権をJASRACなどに預けると、勝手にCD化されちゃうんじゃないの?
    録音権をJASRACなどに預けると、勝手にCD化されちゃうんじゃないの? vol.2

    ボカロP
    音楽著作権管理団体(JASRACやイーライセンス、JRCなど)に曲を管理させると、自分の同人CDに収録したときでも音楽著作権管理団体にお金を払わなければならないの?
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    D U E
    厳密に言うと音楽著作権の「録音権」を音楽著作権管理団体にて管理している場合は、たとえ自分の同人CDに収録した場合でも「著作権使用料」を支払わなければなりません。ただし、それをしなくてもすむ方法 もあります!
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    その方法を説明します。
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    まず前提として、音楽著作権はいくつかの(JASRACの規定では11種類の)個別の権利(これを「支分権」と呼びます。)にわかれており、それぞれをあるルールに従って個別に音楽著作権管理団体を選んで管理させたり、自己管理させたり、もしくは音楽出版社に管理させたりすることができることを覚えておいてください。
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    音楽著作権の支分権の1つである「録音権」を音楽出版社経由で「イーライセンス」に預けた場合、その音楽出版社がイーライセンスに「●●という曲を▼▼というCDに収録したいのだけど 著作権使用料を免除して欲しい」と申請することで、音楽著作権管理団体(この場合はイーライセンス)に著作権使用料を支払わなくても済むのです!
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    point!:イーライセンスに(音楽出版社経由で)「録音権」を預けた場合には、同人即売会でのCDの販売はもちろん、amazonやアニメイトなどの企業による販売においても著作権印税を免除する方法がある! 詳しくは音楽出版社へ。
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    ボカロP
    なるほど!
    ただよくわからないのは、それならなぜ「録音権」を音楽著作権管理団体に管理させる必要があるんですか? はじめから「録音権」は自分で管理すればいいのに?
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    D U E
    ボカロPさんがその楽曲を自分の同人CDおよび、話をしやすい友人の同人CDというのであれば「録音権」は自分で管理するのが一番だと思います。
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    しかし、
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    たとえばあまり親しくない同人サークルから「貴方の曲を自分たちのCDに収録したい。だけどお金は1万円で良いよね?」と言われ、あなたは「え、あのサークルは売れっ子サークルだからたくさんCDが売れるはずなのに、たった1万円なの?」と思ったとします。だけどなかなかボカロPさんによっては「値段の交渉は苦手だなぁ」   という方も多いと思います。
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    そんなとき、「録音権」を信頼のおける音楽出版社に預けておけば、それらの交渉も全て音楽出版社がやってくれます。「●●サークルは僕の身内みたいなもんだから無料で提供します」「▲▲サークルにはキチンとした条件で曲を提供したい」という希望を全て音楽出版社に伝えれば、あとは音楽出版社がすべてそんな交渉をして、お金の徴収もしてくれるはずです。
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    point!:同人CDへの収録についても交渉代行をしてくれる音楽出版社を選ぶことが結構大事だったりする。
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    ボカロP
    なるほど、それはありがたい!
    ぼくは他人と交渉したり、お金の受け渡しをしたりするのが大の苦手なので助かります。で、さっき言った「信頼のおける音楽出版社」というのがDUEなわけですねw
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    それはそうと、それじゃあ「録音権」は音楽出版社に直接管理してもらうだけで良いんじゃないかなと思うのですが、なぜわざわざ更に音楽出版社から音楽著作権管理団体(JASRACやイーライセンスなど)へ預ける必要があるの?
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    D U E:厳密に言うと「録音権」は「信頼のおける音楽出版社w」に管理してもらうだけでほとんどの場合は問題ありません。
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    ただ、もし貴方がその曲を「メジャーレーベルをはじめいろいろなレーベルにて積極的にCD展開したい」と思ったとします。もし、その曲の「録音権」が音楽出版社の直管理の場合、その都度、音楽出版社とレーベルとの間で「条件交渉」「契約書の作成」「請求書の提出」「入金の確認」といった作業を行う必要がでてきます。
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    しかし「録音権」が音楽著作権管理団体(JASRACやイーライセンスなど)にて管理されていれば、CDに収録する場合の条件は予め決められており、支払いの手続きも決まっています。
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    「録音権」を音楽著作権管理団体にて管理させることには、そういった手続き上のメリットがあるのです。

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    ちなみに下記のようなメジャーレーベルのCDに、DUE管理楽曲は収録されたことがあります。これも業者乙になってしまいますが。。。
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    blank.gif 株式会社ソニー・ミュージックダイレクト
    エイベックス・マーケティング株式会社
    株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
    ビクターエンタテインメント株式会社
    株式会社フォーライフミュージックエンタテインメント
    日本クラウン株式会社
    ジェネオン・ユニバーサル・エンターテインメントジャパン合同会社
    エグジットチューンズ株式会社
    株式会社エフ・エー・アール・エム

    そして当然、株式会社ドワンゴ・ミュージックエンタテインメント
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    などに楽曲を提供しています。
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    もしボカロPさんたちが自分の楽曲をより積極的に他社のCDに収録したいと考えている場合、録音権を音楽著作権管理団体に預けた方が手続きは簡単になります。
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    ※しかし、預けなくても毎回契約書を締結れば収録自体は問題ありません。
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    ボカロP
    なるほど。つまり、楽曲の展開プランによって「録音権」を自己管理するか、音楽出版社管理にするか、音楽著作権管理団体に預けるかを決めればいいのですね。
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    D U E
    その通りです。どの支分権をどのように管理するかは楽曲ごとに決めることができます。楽曲ごとの展開プランを考え、それに応じて管理の方法も決めてください!
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    point!:(大切なことなのでもう一度書きます)楽曲の展開プランによって「録音権」を自己管理するか、音楽出版社管理にするか、音楽著作権管理団体に預けるかを決めるべし。
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    補足:
    録音権をJASRACなどに預けると、勝手にCD化されちゃうんじゃないの?
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    ボカロP
    録音権をJASRACなどに預けると、いろいろなレーベルからその曲が勝手にカバーされて発売されちゃうって聞いたことがあるけど、ほんと?
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    D U E
    ボカロP=著作者には著作者人格権という権利があり、著作者人格権には同一性保持権という権利があります。ですので(例え完全コピーと思えるようなものであっても)著作者に無断でカバー収録することはできません。
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    当然、ボカロPは自分が作った原盤(音源)の複製権の権利を持っていますので、そのボカロP=音源制作者に無断でその音源をCDに収録するということもできません。
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    しかし実際には、録音権をJASRACに信託したら無断でCD化されてしまった、というトラブルも発生しています。そのような場合にはすぐにその楽曲を管理してもらっている音楽出版社に相談して対応してもらうべきです。
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    point!:(CDを制作されようとする方へ)たとえ録音権がJASRACなどの音楽著作権管理団体で管理されている楽曲の場合であっても、必ず、その楽曲の権利者もしくはその楽曲を管理している音楽出版社にご連絡いただき、許諾を得てから収録をされるようにしてください。
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    また、音源(原盤)を使用される場合は、音源の管理は音楽著作権管理団体は行っておりません。必ず、音源の権利者(通常はボカロPです)に連絡をして、許諾を取ってからの使用してください。
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    音楽はそれを作った方の大切な財産です。音楽を愛するように、その音楽を作った方の権利も尊重しましょう。

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    録音権をJASRACなどに預けると、勝手にCD化されちゃうんじゃないの?vol.2
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    この項に関して、ボカロPさんたちからいくつかのご質問をもらいました。ここでは少し突っ込んで「権利的な立場」と「業界慣習的な立場」との両面から記載したいと思います。
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    【音源をそのままCDに収録する場合】
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    結構、この件で誤解をされている方が多いようですので、最初にこの事を記載します。
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    ボカロPさんたちが「ピアプロ」や「ニコニコモンズ」などの音源アップサイトに「音源(カラオケ音源であろうとボーカロイドパートが入っている音源であろうと)」をアップロードしている場合、それをユーザーさんがダウンロードして自分の同人CDに収録して同人即売会などで販売することは、その曲の録音権がJASRACなどで管理されているかどうか関係なく、音楽著作権の使用許諾を取ることとは別に、音源の権利を持っている方(大抵はボカロPです)から許諾を得る必要があります。
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    これは「音源には音楽著作権とは別の著作隣接権という権利がある」ためです。著作隣接権(この場合は一般的に「原盤権」と呼ばれています)はJASRACなどの音楽著作権管理団体では管理していないのです。
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    ですので、このような「音源を使用してCDをつくる場合」には著作隣接権の権利者から許諾を得る必要があります。
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    ※一般的に言われている「原盤権を使用する場合の条件」については後日、別途説明します。
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    【楽曲をカバーしてCDに収録する場合】
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    ここでいう「カバー」とは「自分たちで楽器を引いたり、もしくはDTMで打ち込んだりしてサウンドをつくり」、それを自分たちのCDに収録するということです。ボーカルパートがあるかないかは関係ありません。
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    楽曲の録音権を音楽著作権管理団体にて管理している楽曲を「CD等にカバー収録する場合」について、いくつかの観点から説明します。
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    ポイントとしては、「音楽著作権管理団体に申請して対価を支払うだけでCDへの収録をしてもよい」か、「音楽著作権管理団体への申請・支払いとともに、音楽著作者(ボカロP)もしくは音楽著作権者(ボカロPの場合もあればそのボカロPから楽曲を譲渡されている音楽出版社の場合もあります)に許諾を取る必要がある」か、です。
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    【アレンジカバーをCDに収録する場合】
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    この場合は、説明よりもまず JASRACのサイト を見ていただいた方が早いです。サイトにも記載されているように「JASRACは翻訳・編曲・替歌などの許諾」は行っていないのです。
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    たとえば「ピアノアレンジCD」とか「ラップバージョン」「ヘビメタバージョン」「追加でセリフを入れてみたバージョン」「替歌バージョン」などがこれにあたります。これらは音楽著作権の処理をするだけでなく、音楽著作者から(直接もしくは音楽出版社経由で)許諾をもらう必要があります。
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    【音源をそのままCDに収録する場合】
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    いわゆる「ストレートカバー」ですが、結論から言えば「一般のレコード会社でCDを制作する場合、たとえストレートカバーでも必ずその曲を管理している音楽出版社に許諾を取る」という作業をしています。
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    これは「ストレートカバーと言えでも、音楽的な表現はどうしてもオリジナルと違ってくる」という意見を持たれる音楽著作者(作詞家や作曲家など)が多数いらっしゃるということを踏まえての対応であり、これが一般的なレコード業界の慣習となっています。
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    そのような理由から一般的なレコード会社では、自社CDにカバー曲を収録する場合には、当然のようにその楽曲を管理している音楽出版社に連絡を入れ「許諾」を得てから、その楽曲のカバーを収録するという流れをとっています。
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    当然dmeにおいてカバー曲を収録したCDを制作する場合も、当該楽曲の音楽著作者もしくは音楽出版社に許諾を得てから使用させていただいておりますし、またdmeが管理している楽曲を他社のCDに収録される場合、dmeとしてはやはりそのレコード会社に「許諾申請をしてもらうこと」「dmeの許諾を得てから収録すること」をお願いしています。
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    これはdmeの基本方針である「ボカロPさんにはメジャーの音楽家と同じ権利があるべきだ」という考えに基づいており、メジャーの音楽家の方が「こういう表現はオッケーだが、こういう表現はちょっと。。」という意見を言えるのであれば、当然、ボカロPさんも同様の意見は言えるべきだと考えているからです。
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    結論を言えば「JASRACは編曲権を管理していない」という規則的理由および、「レコード会社は著作者の権利を尊重するために必ず許諾をとってからカバー収録を行う」という業界慣習的理由の二つの理由から「CDに収録する場合は、著作者(もしくは音楽出版社)に許諾をとってから行う」べきだと考えております。
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    もちろん「近い将来、権利に関する考え方が徐々に変わる可能性がある」ということは我々も理解しております。今後、法改正や業界慣習の変化などにより、もしかしたら上記の考えは変わっていくこともあるかもしれません。しかし、現時点ではdmeとしては上記のような考え方をとっております。
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