新年早々、インドネシアのジャカルタに行ってきた。
目当てのひとつはJKT48だ。
JKT48は、秋元康さんがプロデュースするAKB48の姉妹グループである。
秋元さんは、いま僕が注目する人物のひとりだ。
AKB48グループは、秋葉原を拠点に活動するAKB48のほか、
名古屋の栄を拠点とするSKE48、大阪の難波を拠点とするNMB48、
福岡の博多を拠点とするHTK48がある。
そして、国外へ初めて進出したのが、JKT48である。

そのJKT48の拠点、ジャカルタのJKT48劇場に行った。劇場は満員だった。
「超絶かわいい!」
「遥香(仲川遥香)参上!」
などと、現地のファンの掛け声が日本語だったのには驚いた。
日本文化が受け入れられているのだ。これは、たいへんうれしいことである。
「クールジャパン」輸出の成功例として、政府はおおいに参考にすべきだと思う。

そのインドネシアを安倍首相が訪れる。
1月16日から3日間、ベトナム、タイ、インドネシアを歴訪することになったのだ。
安倍政権になって日本政府の関心が、中国からASEANに移りつつあるという証拠である。
インドネシアの人口2億6千万人は、日本にとって大きな魅力だ。
もちろん現地でも、安倍晋三首相の訪問は、関係者の尋常ならざる関心ごとになっていた。

安倍政権の緊急課題が、景気回復だということは誰の目にも明らかなことだ。
現在、株価は上がっており、円安傾向にもなっている。
まずはいい兆候だと言えるが、これはあくまでも「期待感」によるものだ。
参議院選挙のある7月までに「景気回復」の実感がなければ、この回復傾向は
「ミニバブル」で終わってしまう。

景気回復を「気分」ではなく、実感のともなうものにするにはどうすればいいのか。
まずASEANの国々との関係を深めることが、輸出面でおおいに有効だ、と僕は思っている。
そして、もうひとつ大きな需要がある。
国内のインフラのメンテナンスという公共投資だ。

昨年12月、笹子トンネルで天井板落下事故が起きた。
たいへん不幸なことで、被害者やご家族のことを思うと言葉を失う。
だが、言い方を気をつけなければならないが、あの事故は安倍政権にとっては追い風になった。
首都高をはじめとする高速道路など、高度成長期に建設された建造物が、いま一斉に
老朽化している。
そして、笹子トンネルの事故をきっかけに、老朽化した施設の危険性に注目が集まった。
社会インフラのメンテナンスが急務であるという認識が、行きわたったのだ。
そして、社会インフラのメンテナンスは大きな内需を生み出す。

「公共事業」といってすぐに思い浮かぶのは、「癒着」「談合」といった悪いイメージだ。
自民党の「国土強靭化計画」も「バラマキだ」「昔の自民党に戻った」という批判があった。
ところが、笹子トンネルの事故によって、「国土強靱化計画はやはり必要だ」と、
世論が変わったのだ。

安倍さんは、憲法改正を目標に掲げている。
だが、この目標はしばらくは後回しになるだろう。
参議院選挙のある7月までに、国民の期待に対して明らかな成果を示さなくてはならない。
時間はあまりない。だから大きな結果は、まだ先でいい。
まずは景気回復への何かしらの「光」を見せることが必要なのだ。

2012年の世相を1字で表す「今年の漢字」は「金」だった。
景気回復の光が僕たちの生活を照らし出し、そして、日本が再び明るさを取り戻す--。
今年は「輝」という字が選ばれるような、そんな年になってほしい、と僕は願っている。