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[MM日本国の研究862]「東京五輪に影を落とした米国駐日大使刺傷事件」
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[MM日本国の研究862]「東京五輪に影を落とした米国駐日大使刺傷事件」

2015-09-10 15:00
    ⌘                    2015年09月10日発行 第0862号
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     ■■■    日本国の研究           
     ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
     ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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                           http://www.inose.gr.jp/mailmag/

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     「東京五輪開幕約半年前の1964年(昭和39年)3月24日、米国大使館のロビ
    ー前で、当時の駐日大使ライシャワーが、敷地に侵入した19歳の少年に刺され
    負傷する永田町を震撼させる事件が起きた。それを重く見た東京五輪組織委員
    会次長・村井順は、選手村工事の警備を託した民間警備会社の若き経営者を呼
    び寄せた……」

     全文はぜひ書店・コンビニで本誌をお求めください。

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                  *

    「東京五輪に影を落とした米国駐日大使刺傷事件」

     第2回で、原宿のセコム(日本警備保障)の高層ビルの最上階の大きな窓か
    ら、かつて東京五輪の選手村だった代々木公園が見えた、と書いた。82歳の飯
    田亮・最高顧問は窓辺で言った。

    「あそこは……、僕にとって古戦場でしてね」

     東京五輪の代々木選手村の警備は、日本警備保障の跳躍台となった。オリン
    ピックの翌年に綜合警備保障(アルソック)を創業する村井順は、東京五輪組
    織委員会事務次長である。

     工事中の選手村警備の契約が成立してしばらくしてから、日本警備保障とい
    う会社はふだんどんな仕事をしているのか、そのシステムについて訊きたいと、
    村井次長は飯田を呼んだ。でっぷり太った達磨顔の55歳の元警察官僚と30代に
    入った若い経営者がこうして初めて顔を合わせた。

     原宿の高層ビルの最高顧問室で飯田は、それまでの穏やかな表情から、やや
    憮然とした顔で語り出した。この思い出は、あまり愉快なものではないようだ。
    「村井さんに、いろいろなことを訊かれました。契約の書類のこととか、シス
    テム? まだそんな上等なものではありませんでしたが、人をどうやって採用
    するかとか、教育訓練とかローテーションのようなものとか、実際に警備業を
    している会社はどこにもないわけですので、こちらの経験を話すしか知る方法
    はありませんからね」

     村井は、根掘り葉掘り訊ねた。もちろん、飯田は東京五輪後に村井が同種の
    新会社を立ち上げることになるとは気づいていない。村井自身もまだそこまで
    は考えていなかったであろう。ただ何か、企業機密を利用される微かな不安、
    暗い雲がふくらみ覆われるような圧迫を感じている。

     1964年4月14日に選手村工事の起工式が行われた。錆びた水道管を埋め直し、
    白い住宅に新しいペンキを塗り、芝生を手入れし、選手の数に合わせた7200の
    ベッドを運び込み、1000人収容の大食堂を二棟新築し、郵便局や銀行支店をつ
    くり、という作業を夏までに突貫工事でやらなければいけない。開村式は9月
    15日で、開幕は10月10日である。それまで残り半年もない。

     村井次長が、起工式の前に若い飯田に警備のシステムについて訊ねたいと思
    ったのは、永田町に驚天動地の衝撃を与えた直後だったからでもある。

     3月24日正午過ぎ、アメリカ大使館の建物のロビー前で、敷地に侵入した19
    歳の少年に、エドウィン・O・ライシャワー大使がいきなり襲われ、ナイフで
    右大腿部を刺された。以下は警察に残されたライシャワーの調書である。

    「階段を降りて行くと、ロビーには何人か(少なくとも5、6人)人がいまし
    た。正面のドアを通り抜けようとした時、小柄で痩せた日本人がぶつかってき
    ました。動作が妙に荒っぽく、わざとやったように思えました。男は黄褐色の
    薄汚れたレインコートを着て、何だか怒っているような表情でした。見るから
    に狂信的というか、頭がおかしいような顔つきです。30歳くらいに見えました
    が、たぶんちらっとしか見なかったせいでしょう。不審に思った私は振り返っ
    て、周囲の人に『この人は何をしているんだ?』というような意味のことを言
    いました。その声を聞いてか、それともぶつかった瞬間だったか(どちらかは
    覚えていない)、とにかく男ははっとしてこちらを見返し、目が合うと、くる
    りと向きを変えて突進して来るなり持っていた包丁を私の右太股に突きたてま
    した。包丁はレインコートのポケットの中で握りしめていたのでしょう。(略)
    一瞬、痛みを感じなかったので、それほどの深手とは思いませんでした。『捕
    まえろ』と怒鳴ると、館員が飛んできて男をねじ伏せました。気がつくと、血
    がどんどん流れていました」(3月26日)

     日本政府は動揺した。
                  *

      全文はぜひ書店・コンビニで本誌をお求めください。
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    「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp

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