• 第一次世界大戦下で交錯する運命と愛の物語 まとめ 大戦前②

    2017-08-03 00:031


     前回のつづきです。
     サラエボ事件以前にもバルカン地方では、戦争が起きては国際会議で収拾をつけるという流れが何度かあり、サラエボ事件もそれまでと同様列強各国が仲裁に入って事を収めると思われていました。被害に遭ったオーストリアの同盟国のドイツは、セルビアと戦争になった場合にオーストリアを支持することを約束します。もちろんこれは、セルビアに対して外交圧力を加えるためで、開戦の意志があったわけではありませんが。ドイツの協力を得て、オーストリアはセルビアに対して、厳しい外交的要求を突きつけます。もし断れば戦争という状況下で、小国のセルビアは、1点を除くほぼすべての要求を受け入れますが、100%要求が通らなかったことでオーストリアが開戦に踏み切ってしまいます。

     オーストリアがセルビアに対して宣戦布告した際に、ロシアはオーストリアに軍事的圧力をかけるために軍隊を動員することを決めます。オーストリアがロシアの戦力を前にして、進軍を躊躇すればと思ったのでしょう。しかしここでドイツは困ってしまいました。今後フランスと戦争する際の計画として、ロシアの軍隊の動員準備が整う前にフランスを急襲し、その後ロシアと対峙するつもり(シュリーフェンプラン)でしたが、その計画が成り立たなくなってしまうからです。ロシアはそうとは知らず、ドイツと秘密裏に「ドイツが軍隊を動員したら形だけの動員ではなく、本当に戦火を交えることになってしまうから、ドイツは動員をしないように」と話を持ちかけますが、ドイツはシュリーフェンプラン断行のために軍総動員を余儀なくされ、8月1日にはロシアに対して宣戦布告、続く8月3日にフランスに宣戦布告し、第一次世界大戦が始まってしまいます。






     少し話が変わりますが、この頃列強各国は兵站を鉄道に依存していました。軍隊の動員のために鉄道を使う場合、動員規模によってダイヤを変更する必要があり、一度決めてしまうとおいそれと変更はできないという事情がありました。頻繁にダイヤを変更すると、経済が大混乱を引き起こしてしまう恐れがあったのです。そのためお互いが「万が一に備えて総動員」という安全策を採ったはずが、結果として戦争の規模が膨れ上がってしまったと考えられます。

     ここまではゲームでは直接扱われていない部分なので本来必要ないかと思いましたが、より深く認識するためにまとめてみました。次回からゲーム本編と並行してまとめていきたいと思います。
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  • 第一次世界大戦下で交錯する運命と愛の物語 まとめ 大戦前①

    2017-08-02 22:41



     上の地図は1900年ごろのヨーロッパ中部のものです。(http://www.geocities.jp/europiap/ より)

    第一次世界大戦は1914~1918の出来事ですが、18世紀初頭から大戦勃発までにユーラシアではどんなことが起きていたのかを列挙してみました。

    1903年 ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功。
    1904年 日露戦争勃発。
    1905年 日露戦争終戦。
         第一次モロッコ事件でドイツとフランスが対立。
         シュリーフェンプラン立案。
    1907年 ハーグ陸戦協定締結。(戦争捕虜の待遇に関する協定)
    1911年 アガディール事件(ドイツがフランスに対して威嚇)
    1912年 フランスがモロッコを保護国化。
         第一次バルカン戦争勃発。

    (画像はwikipediaより)

         セルビア、モンテネグロ、ギリシア、ブルガリア4カ国によるバルカン同盟成立。
    1913年 第一次バルカン戦争終結。
         第二次バルカン戦争勃発。

    1914年 6月28日 サラエボ事件発生。
         8月1日  第一次世界大戦勃発。

     18世紀初頭はドイツ、イタリア、オーストリアハンガリーの三国同盟陣営と、イギリス、フランス、ロシアの三国協商陣営の大きく分けて2陣営がこぞって植民地を拡張していました。当然取り合いが頻発し、両陣営間は対立を深めていきます。






     そんな中、多民族国家であるオスマン帝国内で、各民族で独立国を作ろうとする動きが活発になってきます。本来国内の民族紛争であるはずですが、自分たちと同系の民族を支援する大国が現れるようになり、段々と話が大きくなっていってしまいます。やがて小国と大国の利害が複雑に絡み合い、一触即発の緊張状態に移行し、いわゆる「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれるに至ったようです。




     第一次世界大戦の引き金と言われているサラエボ事件ですが、歴史の教科書をみると、オーストリア皇太子がサラエボで現地の青年に暗殺されたとあります。オーストリアが1908年にサラエボを正式に併合して以来、サラエボはオーストリアの支配に耐えかねていて、それがついに皇太子暗殺という形で現れてしまいました。更に、その後の尋問調査で、実行犯たちが使用した武器はセルビア政府からの支給品だったことが明らかになり、事態は国家間の問題に発展します。

    つづく
  • 第一次世界大戦下で交錯する運命と愛の物語 はじめに

    2017-08-02 16:12
     第一次世界大戦といえば、人類史上最初の世界大戦として知られていて、小学校でも習う有名な戦争です。しかし恥ずかしいことに、僕自身はこんなに有名な歴史的事件にも関わらず、あまりよく知りませんでした。歴史的なことは学校の先生の話を漠然と聞いて、あとは教科書でざっと読むだけ。学生の時分に覚えていることは年号くらいのものでした。後にこの大戦を題材にした映画やゲームなどで大まかな概要とか使われた武器、兵器の知識が少しついたものの、情報源としては娯楽要素が多く、たぶん間違った知識も多かったと思います。

     今回生放送で VALIANT HEARTS-THE GREAT WAR-をチョイスしたのは、このゲームが第一次世界大戦を学ぶためにはとてもよいという評価を聞きつけたからです。実際にこのゲームの製作者はインタビューで、第一次世界大戦の真実を描くことが目的だったと述べています。また、このゲームの製作に際して膨大な資料を、特に戦争に巻き込まれた普通の人々についてのものを集めてゲームに落とし込んだとも。既に放送はスタートしてますが、放送に併せて大戦の経過の整理をブログ上でしていきたいと思っています。