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  • 篠塚恭一:心の奥底で「もう一度旅をしたい」──【介護旅行】安全で快適な旅のために(1)

    2017-10-25 20:54
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    「そんなに大変な思いをしてまで、出かけなくてもいいでしょう」

    介護が必要な人の思いを知らない人からは、そう言われることがある。言う方に悪気があるわけでなく、むしろ本人を気遣ってのことだ。しかし、そうした何気ない言葉が周囲の意識に壁をつくり、要介護者の外出を阻んでいるのも現実だ。

    トラベルヘルパーの育成をはじめて20年になる。

    当時を振り返れば、看病はあっても介護という言葉もなかった。しかし、旅行者の高齢化は社会のそれより早くはじまっていて、サービス現場はいわゆるバリアフリー旅行の必要性を感じていた。

    観光旅行に出かけるには時間とお金が必要で、それらを自由に手にできるのは子育てや仕事を終えたシニア層だ。そうした人が、先の東京五輪の年にはじまった海外渡航の自由化や高度経済成長を経て、リタイア後の熟年旅行を謳歌していた。

    ところが、そうしたライフスタイルも10年、20年と続けるうちに年齢は70を越え、足腰に痛みがでてきて日常生活もままならなくなる。それを苦にあきらめてしまえばそれまでだが、一旦豊かさを知った人は心の奥底には「もう一度旅をしたい」という願いを隠して言い出せないままでいた。健康に不安を感じ、介護が必要になれば行動範囲はさらに限られ、その思いはなおさら募った。

    トラベルヘルパーもはじめはそうした人の思いを理解し、重いスーツケースを持つ助けとなればいいと考えていた。しかし、障がいを持つ人の旅に知恵を借り、その経験を聞き、現場を訪ね、手探りでプログラムを作っていくうちにもっと大きな課題の存在を感じることになる。世の中はまだ、そうした人の旅を喜んで受け入れてくれるような雰囲気にはなっていなかった。そこから介護旅行へのチャレンジが始まった。



    平成27年2月号(平成27年1月15日発行)




    【篠塚恭一しのづか・きょういち プロフィール】
    1961年、千葉市生れ。91年株SPI設立代表取締役観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。95年に超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。06年、内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー外出支援専門員協会設立理事長。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。



  • 田中良紹:どの政党もハッピーになれない総選挙結果

    2017-10-24 09:00
    総選挙の結果、議席の増減だけで見ると、解散前の議席を増やしたのは立憲民主党だけ、解散前と同じが自民党と社民党、他はみな解散前の議席を減らす結果になった。

    議席を減らした希望の党、公明党、共産党、日本維新の会にとってこの選挙結果はアンハッピーである。それぞれ7議席、5議席、9議席、3議席を減らしたが、何が議席を減らしたかについて各党は分析を始めることになる。

    一方、減ることを覚悟して解散に踏み切った自民党の現状維持は予想外の結果である。しかも公明党と合わせ改憲発議に必要な3分の2以上の議席を得たことは憲法改正を掲げる安倍政権にとって大勝利と言える。

    ところが自民党にとってそれがハッピーかと言えばもろ手を挙げて喜ぶ話にならない。二階幹事長が憲法改正に慎重姿勢を見せるように、選挙が追い風となり自民党内の意見調整が安倍総理ペースで進む保証はない。公明党の議席減が安倍政権との連立に対する批判という分析が出ればむしろ慎重姿勢は強まる。

    選挙戦を戦った自民党候補者たちは「追い風をあまり感じなかった」と言う。この選挙勝利は安倍自民党に対する支持の強さではなく野党分裂によって選挙の構図が見えなくなった「敵失」によるものと受け止められている。

    応援演説で全国を回った自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は国民が安倍政権に対する「飽き」を感じていると言った。2012年の総選挙は民主党政権に対する批判が安倍自民党を勝利させ、その後の2度の参議院選挙と3年前の総選挙はアベノミクスの成果を訴えて安倍総理は選挙に勝利し続けた。

    今度の選挙もそれしかないのかと言いたくなるほど国民はアベノミクス自画自賛を聞かされた。野党がそれに代わる経済政策を打ち出していないため黙って聞いているが、生活実感のない鼻先のニンジンにはさすがに「飽き」がきたのである。自民党にとって安倍総理の続投は必ずしもハッピーとは言えない状況が選挙戦から浮き彫りになった。

    その小泉進次郎氏に「ボタンの掛け違えがなければ政権交代の可能性あった」と言わしめたのが希望の党である。希望の党の登場は政権交代の絶好のチャンスを思わせた。ところがチャンスを作った小池百合子氏がわずか4日でチャンスを自ら摘み取った。それがこの総選挙の全てである。

    9月25日に「消費増税の使い道」と「北朝鮮危機から国を守る」を争点に臨時国会冒頭解散を宣言した安倍総理に対し、小池百合子東京都知事は希望の党立ち上げを発表し、選挙公約に「消費増税凍結」と「原発ゼロ」を掲げ、総選挙を「政権選択選挙」と位置付けた。

    「消費増税凍結」、「原発ゼロ」、「政権選択選挙」、どれをとっても明確な安倍政権打倒の意思表示である。東京オリンピックを3年後に控え、総理と都知事は連携が必要な関係にある。にもかかわらず安倍政権打倒を表明することは、自らが都知事を辞めて総理を目指すか、あるいは安倍総理を退陣させ次の総理と手を組むことを意味する。

    26日に小池代表と前原民進党代表が秘かに会談して合流に向けての調整が始まり、前原氏は冷戦後のイタリアで共産党も含めた野党共闘「オリーブの木」が政権交代を実現したように「1対1」の選挙構図を作ることを念頭に合流を決断する。だが小池氏の考えは異なっていた。

    「消費増税凍結」や「原発ゼロ」の選挙公約は小池氏個人の考えと異なる。そこには細川護熙元総理や小泉純一郎元総理、さらに小沢一郎自由党代表らの影響を感じさせた。また突然の新党立ち上げは1993年に小沢一郎氏が主導した政権交代劇の日本新党を思わせる。そしてそこに小池氏の政治家としての原点がある。

    一方、前原氏の考えは小沢氏の年来の主張である「オリーブの木」そのもので、当初は希望の党の立ち上げと民進党合流の背景に細川、小泉、小沢氏らの影響を感じた。希望の党と民進党が合流し小池氏が総理を目指す選挙にすれば、自公を過半数割れに追い込み安倍総理を退陣させることは可能であった。

    「ボタンの掛け違い」はそもそも小池氏が希望の党の候補者を既にある程度決めていて民進党全員の合流を受け入れられない事情があったことから始まる。その一方で、米国との関係を考えた場合、安倍政権の安保法制強行採決に反対であっても、政権を奪った後に直ちに安保法制を廃止できない現実的な事情もある。それが「安保法制の容認」を条件とする「排除の論理」となった。

    もう一つ小池氏には「郵政解散」で小泉元総理が徹底した「排除の論理」を振りかざし選挙に勝利した記憶があり、それを真似しようとしたのではないかと思う。しかし小池氏が出馬せずすぐに政権を奪わないなら選挙前に安保法制を条件に「排除」する必要はない。なるべく幅を広げて基盤を築き、自分が総理を目指す選挙で現実路線に切り替えればよい。

    この「出馬せず」と「排除の論理」のちぐはぐさが疑心暗鬼を生み、希望の党は安倍政権の補完勢力と思われ、安倍政権を打倒する勢力と看做されなくなった。補完勢力と思われたら野党第一党にはなれない。国民の意識の中で受け皿は希望の党から排除された立憲民主党に移った。

    それでは唯一議席を40も増やし野党第一党になった立憲民主党はハッピーなのだろうか。今はハッピーな顔をするしかないが、しかしこれから先を考えると必ずしもハッピーとは言えない。野党第一党であるから「政権交代を目指す」ことが期待される。立憲民主党にそれができるだろうか。申し訳ないがはなはだ悲観的にならざるを得ない。

    票数ではなく議席数で比較するので民意と少しずれるかもしれないが、正しい政策を掲げているかどうかは別にして現実的な政治を目指している政党は自民党、公明党、希望の党、日本維新の会などである。今回の選挙で得た議席数は374議席ある。

    一方、リベラルと言われる政党には立憲民主党、共産党、社民党などがある。今回の総選挙ではお互いに選挙協力を行った。それらの議席数は合わせて69議席。現実派の5分1である。その主張には正しいことが多く、国民も耳を傾けエールを送るが、しかし政権を任せるかという話になれば国民はそれほど信頼を寄せない。

    官僚機構をコントロールする力と知恵を信用できないからだ。民主党政権時代の記憶がそれを蘇らせる。前にも書いたが、安倍政権の安保法制強行採決は立憲主義を否定するもので許されないと私は考えている。しかし政権を奪ったその日から米国と立ち向かわなければならない政権が直ちに安保法制を廃止すれば大混乱に陥る。

    できることは安倍政権のように米国の言いなりになるのではなく国益を第一に米国の言いなりにはならない政治を行うことである。それは廃止して混乱するのを避け限定的な運用で事実上の廃止に近づけることである。そのため政権を取ろうとする政党が政略的に安保法制を認めることはありうる。

     かし立憲民主党はそう考える政党ではない。原理原則にこだわる政党である。それはかつての社会党や現在の共産党と同じで一定の支持は得られるが権力を奪うところまではいけない。さらに心配なのはこれから憲法論議が高まる中で立憲民主党の代表である枝野幸男氏は「9条改憲」を唱えており、必ずしも「護憲」の共産党や社民党と同じでない。それをどうするかが問われると思う。

    民進党の問題は現実派とリベラル派が共存しそれが足を引っ張り合う関係にあったことだ。自民党にも右派、現実派、リベラ派が存在するが足の引っ張り合いが民進党より少ない。イデオロギーや原理原則を重視する政党とそれより現実と利益を重視する政党の違いが民進党と自民党の間にはあった。

    その民進党が分裂して現実派とリベラル派に別れリベラル派が野党第一党になった。その陰には共産党の選挙協力がある。その分共産党は議席を減らしたということかもしれないが、今後も共産党は立憲民主党に協力し政権を担える政党に育てようとしているのか。

    それとも希望の党に結集した現実派が自民党の補完勢力としてではなく、自民党の反安倍勢力と手を組んで政界再編を仕掛け、政権交代可能な政治体制を構築する方に向かうのか、どの政党もこの選挙でハッピーになれなかったことが政治の先行きを面白くする方向に向かうことを私は期待する。


    ■《丁酉田中塾》のお知らせ(10月31日 19時〜)

    田中良紹塾長が主宰する《丁酉田中塾》が10月31日(火)に開催されることになりました。詳細は下記の通りとなりますので、ぜひご参加下さい!

    【日時】
    2017年10月31日(火) 19時〜 (開場18時30分)

    【会場】
    第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
    東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
    http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml
    ※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で懇親会を行います。

    【参加費】
    第1部:1500円
    ※セミナー形式。19時〜21時まで。

    懇親会:4000円程度
    ※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

    【アクセス】
    JR中央線・総武線「四谷駅」四谷口 徒歩1分
    東京メトロ「四ツ谷駅」徒歩1分

    【申し込み方法】
    下記URLから必要事項にご記入の上、お申し込み下さい。
    http://bit.ly/129Kwbp
    (記入に不足がある場合、正しく受け付けることができない場合がありますので、ご注意下さい)


    【関連記事】
    ■田中良紹『国会探検』 過去記事一覧
    http://ch.nicovideo.jp/search/国会探検?type=article

    <田中良紹(たなか・よしつぐ)プロフィール>
     1945 年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同 年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、 警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。1990 年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。

     TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。主な著書に「メディア裏支配─語られざる巨大メディアの暗闘史」(2005/講談社)「裏支配─いま明かされる田中角栄の真実」(2005/講談社)など。

  • 田中良紹:安倍政権打倒に賭けた小池百合子の勝負手

    2017-09-28 09:26
    安倍総理が臨時国会での冒頭解散を宣言した25日、ニュースの主役は安倍総理ではなく小池百合子東京都知事だった。

    安倍総理が消費税の使途と北朝鮮危機をこじつけて「国難突破」と銘打つ解散宣言を行ったのに対し、小池氏は「消費増税凍結」と「原発ゼロ」を掲げ、次の選挙を「政権選択選挙」と宣言した。

    「政権選択選挙」とは安倍政権を打倒する意味である。そのため安倍総理が消費増税を前提に教育費無償化を打ち出したのに対抗して消費増税凍結を打ち上げた。国民が安倍総理の公約を支持すれば国民は増税を認めたことになる。政府は大手を振って増税を行うことが出来る。小池氏はそれをさせないと公約したのである。

    次に安倍政権を支えるキーマン今井尚哉総理秘書官は原発再稼働推進の中心人物だから安倍政権が続く限り原発再稼働は止まらない。これに対して小池氏は原発ゼロを公約に掲げた。消費増税凍結と言い原発ゼロと言い、これほど明確な安倍政権との対立軸はない。

    さらに安倍総理を総理の座に押し上げた第一の理由である拉致問題で安倍総理と盟友関係の「日本のこころ」代表中山恭子氏を小池陣営に引き入れた。拉致被害者の家族会には安倍総理に対する不満がくすぶる。拉致問題で国民の人気を得ながら問題を解決できないからだ。中山氏を安倍総理から引きはがしたことは国民が考える以上に安倍総理を痛撃する。

    そしてこの日、小池氏は小泉純一郎元総理と面会する予定を入れ、それを堂々とではなくさりげなく取材させて小泉氏から選挙で応援を受ける可能性を匂わせた。小池氏の後ろには細川護熙元総理がいる。細川氏は小泉氏の支援を受け3年前に反原発の立場で都知事選を戦った。自民党の舛添要一氏に敗れはしたが、細川氏には小泉氏だけでなく小沢一郎氏の支援もあった。

    まだ裏舞台は審らかでないが、小池氏はおそらく都議選で圧勝し、安倍総理の支持率が急落した7月から安倍政権打倒のチャンス到来と見て準備を進め、細川氏や小泉氏、それに小沢氏などと連携して構想を練ってきたような気がする。

    詳細は言えないが中山恭子氏の引きはがしには小沢氏が関与したと思える節があり、また小池氏は安倍総理が臨時国会の冒頭で解散すると狙いを定めその時期を9月下旬と見て準備していた可能性がある。

    私は自分が主宰する政治塾で7月25日に安倍総理が早期解散に踏み切る可能性に言及した。その当時は内閣支持率が30%を割り込み、選挙をやれば不利だと思われたが、退陣するしかない状況に追い込まれれば権力者は乾坤一擲の勝負に出るものだ。

    7月の24日と25日に開かれた閉会中審査で安倍総理は「加計学園が今治市に獣医学部を作ることを今年の1月20日に初めて知った」と驚くべき発言を行った。2年前の4月に今治市の職員が総理官邸に呼ばれ、総理秘書官から加計学園の獣医学部を今治市に新設するよう要求されていたにもかかわらずである。

    総理の「嘘」は臨時国会最大の追及材料となる。「1月20日」をどう言い逃れるかで苦しい国会になるはずだった。しかも自民党議員3人の死亡によるトリプル補選が10月22日に行われ、一つでも取りこぼせば政治責任を問われる情勢だった。

    ところが麻生副総理の推す愛媛3区の候補者の苦戦が伝えられ、安倍総理と共に麻生副総理もまた政治的に追い込まれていた。そのため臨時国会冒頭解散はありうる選択肢だった。7月末に解散の可能性を念頭に置いてみていると、8月9日夜に麻生副総理が安倍総理の私邸を訪れ会談した。解散を巡る相談に違いなかった。

    8月23日には二階、井上両幹事長が会談し9月25日の週に臨時国会召集を決めると、翌24日に安倍総理は今井秘書官に臨時国会冒頭解散を準備するよう指示する。すると8月30日に日本記者クラブで記者会見を予定していた小池百合子氏が急きょ日程を9月28日に繰り下げたのである。そのあたりが解散時期と踏んだのだろう。奇しくもその通りになった。

    9月1日には民進党代表選挙があり前原誠司氏が代表に就任する。そして山尾志桜里氏を幹事長に内定すると「週刊文春」が不倫疑惑を報じ、山尾氏は離党を余儀なくされた。内定段階で報じられたことは民進党に対するダメージが少ない。

    前川喜平前文科次官と同様に官邸のゲッベルスと言われる官房副長官のリークなら幹事長に決まってからの方が打撃が大きく効果的だと思い、私は民進党内部からのリークを疑った。しかしその後「週刊文春」は前原代表と野田聖子総務大臣のスキャンダルを続けて報じたから、安倍総理のライバルを狙い撃ちする官邸のリークの可能性もあると考えを改めた。

    山尾スキャンダルとそれに続く民進党からの離党者続出が冒頭解散を決定的にする。9月10日の安倍総理と麻生副総理の会談で最後の詰めが行われ、翌日に安倍総理は二階幹事長と公明党の山口代表に冒頭解散の意向を伝えた。

    解散とは総理が衆議院議員全員をクビにすることである。それ相応の理由がなければクビになる方は納得できない。通常は政府の考えと国会の考えとが食い違い、対立が収まらないので国民に聞いてみようということになるが、今回は消費増税の使い道と北朝鮮危機が理由とされた。

    しかし消費増税の使い道には与党の中に総理と異なる考えを持つ議員もおり、その人たちはクビになることに納得できない。また北朝鮮危機になるとなおさらクビになる理由が分からない。

    そして本当の理由が安倍総理夫人が関与した森友学園問題と、安倍総理のお友達に関わる加計問題からの追及逃れだと考えればクビにした権力者への反感が生まれる。選挙が終わるまで恨みつらみは言えないが、選挙が終われば不満が噴き出す可能性はある。

    小池氏は「改革保守」として「しがらみ政治からの脱却」を主張する。この「しがらみ」は森友学園や加計学園と安倍夫妻の癒着を指すようだ。「経済特区」を「改革」のためと言いながら内実はしがらみと癒着に過ぎない。その主張が選挙で国民に浸透すれば選挙で過半数を制したとしても安倍政権には逆風が吹く。

    しかし小池氏にも弱みがある。国政と都政の「二足の草鞋」を履き続けられるのかという疑問と批判である。それをどうかわすのか、かわせるのかが小池氏にとって最大の勝負手になる。おそらく選挙が公示されるまでにその一手は見えてくる。

    第一次安倍政権を終わらせたのは当時国対委員長だった二階俊博氏と防衛大臣だった小池百合子氏だというのが年来の私の主張である。海上自衛隊のインド洋での給油活動ができなくなることが分かり安倍総理は政権を投げ出したが、その背景には参院選に惨敗したのに居座ろうとした安倍総理を辞めさせる自民党内の政治力学があり、その渦中に二階、小池の二人がいた。

    今回はその二人が敵味方となって雌雄を決する。私にとって久々の大政局が幕を開けた。それが消費税と原発を巡って戦われるところに日本の岐路を感じさせる。


    ■《丁酉田中塾》のお知らせ(10月31日 19時〜)

    田中良紹塾長が主宰する《丁酉田中塾》が10月31日(火)に開催されることになりました。詳細は下記の通りとなりますので、ぜひご参加下さい!

    【日時】
    2017年10月31日(火) 19時〜 (開場18時30分)

    【会場】
    第1部:スター貸会議室 四谷第1(19時〜21時)
    東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル 302号室
    http://www.kaigishitsu.jp/room_yotsuya.shtml
    ※第1部終了後、田中良紹塾長も交えて近隣の居酒屋で懇親会を行います。

    【参加費】
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    ※セミナー形式。19時〜21時まで。

    懇親会:4000円程度
    ※近隣の居酒屋で田中塾長を交えて行います。

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     1945 年宮城県仙台市生まれ。1969年慶應義塾大学経済学部卒業。同 年(株)東京放送(TBS)入社。ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、 警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。1990 年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。

     TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。主な著書に「メディア裏支配─語られざる巨大メディアの暗闘史」(2005/講談社)「裏支配─いま明かされる田中角栄の真実」(2005/講談社)など。