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記事 2件
  • 田中良紹:臆病と傲慢が織りなす安保法制のナゼ

    2015-07-18 13:27  

    安倍総理が念願とする安保法案が15日の衆議院特別委員会で強行採決され参議院に送られる運びとなった。私は5月下旬以来の委員会審議をほぼ すべて見てきたが、これほど意味不明の議論をかつて見た事がない。審議時間は100時間を超えたと言うが、いくら聞いても法案の内容を理解することが出来 ない。
    集団的自衛権の行使容認が目的のはずだが、憲法を変えないでそれをやろうとするため、武力行使は「極めて限定的」というのがふれこみである。ところがどこがどれほど限定されるのか、その肝心な部分が抽象的であいまいなのである。

    中谷防衛大臣は「その時にならなければ分からない。政府が総合的に判断する」と言うし、安倍総理は「手の内をさらす海外のリーダーはいない」と曖昧にする。そしてそれが抑止力になると訳の分からない事を言う。
    しかし私が1990年から見てきた米国議会の安保論議でこれほど曖昧な事を言う政治家は一人もいなか
  • 田中良紹:政治教育を行わない国の選挙年齢引き下げ

    2015-07-05 07:35  
    国会で選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が成立し、6月19日に公布された。来年の6月19日から施行されるため次回の参議院選挙から適用される公算が大である。18歳への引き下げは世界の趨勢に合わせたものだが、政治教育を行わない日本で選挙年齢だけを世界に合わせると何が起こるかを私は心配している。 日本の学校教育はことさらに「政治的中立」を重視する。そのため学校で現実の政治を教える事はほとんどない。しかしそこを変えないと、年齢引き下げが政治理解を歪めてしまう危険が増すと思うのである。 つまり「政治的中立」重視の教育はこれまで「政党に批判的」な政治土壌を生んできた。政党支持を国民に「一党一派に偏する考え」と思わせてきたのである。党員獲得に苦労してきた政党は選挙年齢引き下げにより若者の支持獲得の人気取りに走り、それが幼稚なポピュリズムを生み出す危険を孕むが、そのポピュリズムを見抜く