• 海恵堂異聞:M.c.s. "纏"

    2017-09-11 04:54

    外来の宴は始まったばかり。
    幻が現実になることの奇異は、その境界をあいまいにし
    それを許さぬものもいる。

    「あれは宣戦布告よ」

    幻の管理者は憤るだろう。

    ………

    無から湧いて出た饗宴は羨ましい限り。
    何もなかったその場所が、祭りの舞台として組み上がれば
    それを目指すものもいる。

    「こいつぁ、神在の宴が楽しくなりおるわい」

    宴を好む妖は悦ぶだろう。

    ………

    存在なき存在はまだ歩くことも出来ない。
    自分が自分であることすら朧気で、だからこそ
    その子を求めるものもいる。

    「あぁ友よ、わたくしにとって最も愛おしい親友よ」

    夜城の主は黄昏るだろう。

    ………

    そして

    海を探すもの達はまた旅に出る。

    自分たちが生きる海を探して

    自分たちが存在できる。

    海という概念を探して。

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  • 海恵堂異聞:M.c.s. 迷いあやかし"纏"

    2017-09-06 19:00


    「あいたた………」


     衣も身体も割とボロボロになった件如さんに、春慶さんと鈴竹さんが介抱をする。

    「あの、本当に大丈夫ですか?」

    「心配せんでも、ただ怪我をしておるだけじゃ。それと久々に身体を動かしたせいか色々と身体がきしんでおるのかの?」

    「年寄りみたいなことを言わないでくださいよ」

    はい、湿布です

     なんだかんだでこの謎の女性………"不聞 件如"さんとのよくわからない手合わせが終了して、私と春慶さん以外にも、海の姉妹の皆さんが大客間に集合しています。これを言うと色々と危ない気もしますが、件如さんの介抱のため、件如さんは迷いなく着物を脱いで一糸まとわぬ状態となってしまって、同性の私ですがなんだか目を合わせられずに戸惑っています。

    「巫女も初心じゃの」

    「いいですからっ!とりあえず着物を着てください」


    ………


    「さて、紹介が遅れたの。わしは"不聞 件如"。知る者も多い妖怪"件"の腐れじゃ」

    「くだん?」

    「そいつぁまた…春慶、お前随分と厄介なのを匿っていたんでやんすな?」

    「はいはい怒らない怒らない。私だって半分は好きで匿ってたわけじゃないんだから」

    「半分は悪意でやんすか?」

    「 素敵なお姉様ねー」
    「かっこいいお姉様ね~」


    豪放磊落(ごうほうらいらく)迷いくだん
    不聞 件如/Fubun Kenjo



     "件"といえば、妖怪の事に疎い私でも知っています。なんでも大きな厄災を告げるために現れる妖怪だとか。

    「件とは、人間の文化にも根付いた大妖怪でやんすね。古い時代には文章の末筆で引用される事もあった程に有名でやんす」

    「そんな有名な妖怪がどうしてここに………?それに、それだけ強い妖怪が、私のような人間相手にどうしてこれほどの怪我を?」

    「それは仕方があるまい。なにせ今のわしは"件の腐れ"じゃ。件としての能力の半分を抹消されてしもうては、そこらの妖怪とあんまり変わらんからの」

    「能力を抹消………?」



    「あっ、ようやく解決したんだね」



     件如さんの話に疑問符を浮かべていると、景色が歪んで、何処からともなく乙姫様が現れて、いつものように気さくな一言を掛けてきた。

    「来おったな、この生意気姫めが」

     そんな乙姫様の姿を見るや否や、件如さんが乙姫様に吠えてかかった。

    「んー?なんのことかなー?」

    「透かしおってからに。わしの能力から死の因果を断ち切ったのはお主じゃろ?」

    「ンフフ…やっぱり貴女は気付いてたんだ」

     私や海の姉妹の皆さんをよそに、乙姫様と件如さんが口論を交わす。乙姫様は飄々と、対する件如さんは敵意と素肌をむき出しで相対しています。

    「あ、あのっ!お二人は知り合いなのですか?」

     話のつかめない私は、慌てて間に入って質問を投げかける。その質問に、ふらりとした返事で乙姫様が答えた。

    「ううん、私が一方的に知ってるだけだよ。この件如は、向こうの海恵堂…幻想郷の海恵堂で物見遊山のふりをして屋敷を荒らし回ってたんだ」

     乙姫様の返事に、件如さんが反論をする。

    「人聞きが悪いのう。わしはただ観光に来ただけじゃて」

     件如さんは腕を組んで自信ありげにそう答えた。けれど、件如さんの表情は不服とか自信とかそういう感じではなく、どこか…そう、いたずらに見えます。そして、そんな私の感覚を知ってか知らずか、乙姫様は件如さんの反論を手払いであしらう。

    「あーはいはい。それで、仕方ないから私がこっちの海恵堂に引きずり込んで、これ以上悪さが出来ないように能力を制限したのよ」


     乙姫様の話を聞くと、確実に件如さんが悪者ですが。と、そんな事を考えながら件如さんの方を見る。一方件如さんは、乙姫様の言葉にうろたえることもなく、自信ありげに反論を述べた。

    「鵜呑みにしてはならんぞ人間よ。わしは深海の竜宮城が珍しいからと立ち寄っただけじゃ。まぁ………その、門番達と"少しじゃれあい"はしたが…」

     ただし、付け足しの言葉を話す件如さんは、私と目を合わせてはくれませんでした。

    「はぁ………まあ件如さんの悪事についてはわかったとして、でも件って強い妖怪だと思うのですが、どうして件如さんはこんなに弱い…というか何とも言えないのでしょう?」

     宿祢さんのように手加減をしていて、判定で勝ったような試合ではなく、件如さんは私が発令した綿津見様の攻撃で、物理的に満身創痍になっている。今までの恩情で勝った試合とは違う、純粋に私と綿津見様の力で勝利した。件相手にそれができるのは自信にもつながりますが、その反面順調すぎる違和感も感じています。

    「それはそこの乙姫の仕業じゃて。わしから能力の因果を切ったお陰で、わしは本来の能力相当の力を発揮することが出来んからの。神の力に耐えうる剛健さも持ってはおらんから、こうしてズタボロという訳じゃて、ふぃー」

    「は、はぁ…」

     件如さんの理由を聞いて納得はした。けれど「それでいてどうして私に挑んできたか?」という疑問は浮かんできましたけど、話を終えて客間のソファにもたれる件如さんを見ていると、野暮な質問をするのも申し訳なく感じて、私は口を開くのをやめました。


    ………


     結局、京雅さんたちと話をした結果、京雅さんが依頼してきた隠された大妖怪の張本人は件如さんだと言う結論になった。

    「春慶、お前も随分と厄介なものを秘匿していたんでやすね?姉に隠し事をするのはいけませんぜ?」

    「だから、半分は悪意だけどもう半分は命令なのよ。乙姫様が"あなたの能力で彼女を隠してやってよ"って気軽に言ってくれたから……」

    「うん、言ったよ」

    「乙姫様…そんなあっさりと………」

     事のからくりはこうでした。

     まず、この海恵堂を建立するにあたって、乙姫様や海琴様が今までいた幻想の海恵堂から誰かを連れてこようと乙姫様は考えた。そして、ちょうどその時に海恵堂へ”遊びに来ていた”件如さんを、能力を制限するというおまけ付きで乙姫様がこちらの世界に引っ張り出した。そして海恵堂は今の場所に建立され、件如さんは訳も分からないまま最初の住人になってしまっていた。

    「でも、どうして春慶さんが隠せると?」

    「…お前、自分の担当する大客間の波長を常に弄っていたでやんすな?耳に聞こえる音も、肌に感じる空気の揺らぎも、それらを波長と捉えて常に操作する」

    「まあね」

     また、春慶さんと京雅さんが目を合わせて睨みあう。少し前にも見た、喧嘩とか殺し合いでもしそうなあの視線の攻防です。しかし、一応件如さんと春慶さんの事は分かったのですが…

    「…乙姫様、一歩間違えれば誘拐ですよね?」

    「誘拐っていうのは管理者がいる者を指すよ?彼女自身が自分の管理者なんだから。誘拐とは言わないよ?むしろ誘拐って言うか…妖怪?なんちゃって」

    「肌寒い冗談はよしてください。それに誘拐ってそんな言葉でしたっけ?

     私の質問に、乙姫様は答えてはくれませんでした。その表情はいい笑顔でした。



    「しかし巫女様。この件殿はどうしやすかえ?」

     私と乙姫様が会話をしていると京雅さんが間に入って話をしてきた。

    「と言いますと?」

    「あっしが巫女様に任せた相談はこれで終了でやんす。しかし、この件殿は我々にとっては一応侵入者…そうなればその処遇は御母様か、または巫女様に判断を委ねやす」

    「件如さんの………」

     そう言って、私はもたれている件如さんを見る。その様子に気づいた件如さんは手をひらひらとさせて

    「あぁ、わしのことならどうとでもしてよい。出てゆけと言われればそれに従うまでじゃ。居心地の良いこの宮殿を手放すのは名残惜しいが、まぁ野良妖怪として過ごすのも悪くはなかろうて」

    「うーん…」

     件如さんの呑気な返事に、私は戸惑っていました。そして、しばらく首を傾げつつ悩んで私は結論を出す。

    「…わかりました。それなら件如さんはここに居てもらいましょう」

    「ほう?それはまた寛大じゃな?どういう心意気じゃ?」

    「許すとか、そういうことじゃありません。ただ、曲がりなりにも件如さんは件ですし、このまま外に出してしまっては地上が危険になるのではと思ったんです」

     それは、海琴様が私の両親にも説明をしたこと。現世に建てられた海恵堂は、人間の生活には関わらない。それは返して言うのなら、妖怪が人間に影響を与えないようにする事も含みます。それならば、ここで件如さんを…凶報を知らせる件を野放しにするのは、人間にとって危険だと考えます。だから

    「だから、件如さんにはここに居てもらいます。ここで何をするかは…そうですね、追々考えましょう」

    「そうかえ?それなら巫女殿の決定に従うしかできんのう」

    「皆さんは、それでいいですか?」

      振り返って、一堂に会している海の姉妹と乙姫様に尋ねる。その言葉に乙姫様は特に何を言うでもなく首を縦に振って、海の姉妹たちは…

    「ま、巫女様がそうおっしゃるんでしたら、あっしらは従うまででやんすねぇ」

    「それじゃあ、件如さんも含めてお茶とお菓子の時間にしましょうか」

    あ、春慶お姉私も手伝います!

    「あたしも手伝うしっ!ほらっ、すいめいもあやおりもっ!」

    「 はーい」
    「は~い」

     と、早々に小さな歓迎会の準備を始めた。私も巫女として姉妹の皆さんと一緒に準備を始めて、新たに増えた海恵堂の住人を歓待しました。



    ………



    「…それで、どうしてわしをここに呼び寄せたんじゃ?」

    「九頭竜の事はともかくあなたに関してはただの悪戯よ」

    「本当に他人の迷惑なぞお構いなしじゃの、この生意気姫は」

    「でも、少なくともあなたなら現世の妖怪には負けないでしょう?」

    「………ふぅむ」

    「それと、私一つ面白いことを思いついたのよ」

    「あまり聞きたくないが、なんじゃ?」

    「あのね、私のお友達で……っていう事なんだけど?」

    「おぬし、本当に考えることが悪辣じゃの。それ、本気で考えておるのか?」

    「んふふ、それが本気でも冗談でも、あなたにそれを止める手段は……ないけどね♪」

    「はぁ………それをわしに伝えたということは、わしにも何かをやれということかえ?」

    「それはあなたに任せるわ。計画に重大な支障が出ない限り、あなたは何をやってもいいからね」

    「…こう言ってはなんじゃが、お前の界隈は黒幕役がよく似合っておるのう」

    「誉め言葉、ありがとうね」






    海恵堂異聞:Migration to the conceptual sea.
    ANOTHER STAGE "迷いあやかし" ALL CLEAR!!

  • 海恵堂異聞:M.c.s. 迷いあやかし之二

    2017-08-30 00:00

     かくして、海恵堂に居るという力ある侵入者を見つけるというお仕事を頂いて、私はとりあえず一階層まで降りてきました。

    「…そう言えば、綿津見様はその力ある侵入者の事は見つけられるのですか?」

     ふと思い出して、綿津見様に問うてみる。しかし、綿津見様はそれを不可と一蹴した。綿津見様曰く、この国の神には役回りがあり、それ以上の力を持ち合わせてはいないので、西洋のような全知全能な能力があるわけではないらしいです。

     しかし、強い何者かが居るような感じはあったとのことです。私の身体に触れる気配や空気を読み取って、人魚とは一線を画した何かが海恵堂にひそんでいることは薄々気づいていたようです。

    「その気配の読み取りを利用して、どのあたりに居るかというのは………あぁ、自分の身体ではないから無理なのですね」

     ともかくも、綿津見様もこの件に関しては手をのばすことが出来ないようです。そうなると、引き受けたのはいいのですが、私は人間としてこの海恵堂に潜んでいる妖怪を探し当てなければなりません。綿津見様ですらおぼろげに気配を感じられる程度なのに、綿津見様の加護が拝借できない真人間の私にどうやって見つけろと………?

    「うーん………」

     そうやって、引き受けた依頼をどうやって解決するか考えあぐねていると、私に気づいた誰かが向こうから声をかけてくる。



    あれ、巫女様?



     目の隠れないくらいのショートボブ、正面から見つめると裏地に見える緑色が綺麗に映る。それは、普段通りの少し堅苦しい制服のに身を包んだ鈴竹さんだった。

    笑比河清シー・ハウンド
    海 鈴竹/Kai Suzutake

    どうかなされたのですか?悩み深そうな顔をしていましたが…

    「それが、京雅さんにですね………」

     私を案じて話しかけてきてくれた鈴竹さんに事情を説明する。すると、話の途中からみるみる表情が変わっていって、一通り話し終えた鈴竹さんは、心底同情するような顔色とトーンで

    あー…それは、その~…災難でしたね

     と、頬を掻きながら言ってくれた。

    その件は私も他の姉妹も存じています。私には室内の巡回が言い渡されていまして、こうして中を歩き回りながら、客間・議場・舞台裏など、春慶お姉と京雅お姉が使わない場所の全てを確認しています

     基本的に、私達のいる一階層が鈴竹さんの持ち回りで、人を招き入れる部屋以外の全てが集約されているとのこと。時には城下町の番をしている天平ちゃん達にも手伝ってもらってその謎の妖怪を探してもらっているそうですが、今の今までそれを見つけられたことは無いそうです。

    働いている小人魚たちにも聞いていますが、見てない知らないでして…中にはなんのことかわからないと言う者もいる始末で………鳥頭なのは妖精だけで足りているんですけど

     少し不満げに自分の管理する従業員について悪態をつく鈴竹さん。妖精とかそういう小さいサイズの妖怪は、小さな子どもと知能が変わらないという聞きかじりの知識は得たことがありますが、あながち間違いではないようです。

    「あはは…そうなると、上の階層の部屋はそれぞれ春慶さんや京雅さんが管理しているんですか?」

    はい。尤も、京雅お姉が構えている最上階は賓客室しかありませんし、春慶お姉担当の中階層は空の客間がある程度で…特に春慶お姉の階層には妖精や人魚も居ませんし

    「他の階層に立ち寄ることはあるのですか?」

    「その………勝手に入ると怒られてしまうので。あと勝手に入らなくても"遊び相手"をしなくては行けないので………はは」

     鈴竹さんの乾いた笑い声に、姉妹の大変さを垣間見てしまいました。


    ………


     結局、一階層には手掛かりはなく、鈴竹さんも何か判ったら私にも伝えるという程度の結果しか残りませんでした。

     あのあと、城下町に出て天平ちゃん・すいめいちゃん・あやおりちゃんのコンビにも話を聞いてみましたが、天平ちゃんは相変わらずのお子様で、すいめい・あやおりちゃんも

    「 入ってくる人はー、見てないですねー」

    「出てくる人も~、見てないわね~」

     と、ふんわりとした口調で手掛かりがないことを伝えてくれました。

    「うーん………やはり、安請け合い過ぎたのでしょうか?」

     何も考えずに受けた事を反省しながら、今のところ徒労だけが積み重なった身体で、私は海恵堂に戻ってきて、上の階層…京雅さんや春慶さんの管理する階層に向かっていった。

     と言っても、捜索の目的で行くのではなく、大客間に合った座り心地のいいソファでゆったりと休憩をしたくなったので、サボ………身体を休めに向かおうとしているだけです。

    ………


    「………んー、んあ?」

     大客間に入って扉を閉めると、室内から誰かのねぼすけ声が聞こえてきた。

    「あれ?春慶さんいらっしゃいますか?」

     ちょっと間抜けな声が聞こえてきて、内心とても驚いています。いままで春慶さんと言えば凛として隙がなく、それなのに女性らしいと言った綺麗な人というイメージだったので。

    「春慶さん?檍原つくしです。京雅さんから聞いた妖怪の話で聞きたいことが………」

     そこまで言って声のする方に向かい、声の主であるだろう人物をそっと覗き込んで話をしようと顔を覗いた。すると………


    「………ん?」


     壮麗で、緩やかなウェーブの掛かった金色の長髪。

     背丈が高く、着崩れた着物から覗く豊満な身体。

     そして、顔を覗いて気づく、言い様のない気配と、整った顔。

     そこで眠っていたのは、赤髪の春慶さんとは似ても似つかない誰かだった。

    「…んーなんじゃ春慶、もう身を隠す時間かえ?お主いつまでこんな悪戯を………って」

    「あ、あ………」

     いきなりの邂逅に私が何を言って良いのか考えていると、服をはだけさせたその女性が眠い目をこすりながら、私を二度三度と見つめる。

    「………あや?ひょっとしてわしはまずいもんと出会ってしまったかの?」

     そして、私とその女性がお互いを見合いながらどうしたものかと様子を窺っていると、この部屋の本来の担当が呑気な声でやって来た。

    「けんじょさ~ん、そろそろ隠れないと色んな人が探しに………って、あれ?巫女様?」

    「春慶さん………こ、これは………」

     私と女性の姿を確認した春慶さん。手には何やら和菓子とお茶が用意されている。

    「あらー、時すでに遅し………って感じかしら?」

    「おい春慶、どうするんじゃ?二番目に気付かれたくないやつに気付かれてしもうたぞ?」

    「春慶さん、まさかとは思いますがこれ………わわっ!?」



    バサッ!!



     私が春慶さんに事情を説明するよう問いかけると、春慶さんはいきなり上衣を放り上げた。

    「えっ!?いきなりですかっ!?春慶さんっ!!」

    「あーあ、バレちゃったんならしょうがないわね。巫女様、不敬は承知ですけど………ここからはタダでは返しませんからねっ♪」

     可愛らしいトーンでいきなりな宣言をする春慶さん。その脅しをかけるような不敵な笑みに嫌な予感を募らせていると、今度は謎の女性の方から異常なプレッシャーを感じた。

    「そうじゃな………バレてしもうてはしょうがない。巫女よ?お主には今あったことを忘れてもらうぞ?」

    「へっ、ちょ………!?」

     思わぬ挟み撃ちのプレッシャーに、私はわけも分からず大幣を呼び出して、その謎の女性との戦闘態勢に入った。

    「ま、ちょうどいいタイミングだったし、この際だから種明かしついでに彼女………件如さんと闘ってあげてよ」

    「闘ってあげてって………まさかこれって京雅さんの探していた謎のようか……ひゃぁっ!?」

     春慶さんに問いかけていると、突然強烈なつむじ風が私を…主に私のスカートを脅かす。風の起きた先を見ると、件如さんと呼ばれている女性が拳を構えて私を見つめていた。

    「全く、かねがね言うがここの最初の家主はわしじゃぞ?その経緯は不本意じゃが、もうちっと最初の家主然として敬ってくれんかの?」

    「さ、最初の家主………?」

     困り顔でそう言う女性。後ろでは春慶さんが怪しげな笑みを浮かべている。

     謎の多い不思議な女性、春慶さんの怪しげな言葉と表情、そして女性本人が言う「最初の家主」という言葉、またも私はそういう気になる言葉を抱えながら、その真相を探るために闘わなければならないようです。




    「あーもう!こうなればヤケです。海神の巫女"檍原 つくし"………推して参ります!




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