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小飼弾の論弾 #70 「ユーチューバーではなく、"NAMANUSHI"が世界を席巻していた未来もありえた?」
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小飼弾の論弾 #70 「ユーチューバーではなく、"NAMANUSHI"が世界を席巻していた未来もありえた?」

2018-03-02 07:00

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2017年12月25日(月)に配信した、ニコ生公式放送「小飼弾のニコ論壇時評」、および「小飼弾の論弾」の内容を数回に分けてお届けします。

    次回のニコ生配信は、2018年3月5日(月)20:00からのニコ論壇時評です。21:00からは通常の小飼弾の論弾になります。

    お楽しみに!

    2017/12/25配信のハイライト(その1)

    • ビットコインの儲けでポルシェを買うのは悪いこと?
    • どんどん分裂するビットコイン
    • 2017年を表す第二のキーワードは"凍結"
    • Twitterは誰のためのサービスか?
    • 国家主導の"凍結"を行う中国
    • ドワンゴ川上量生会長退任、CTO就任に言及 
    • 小飼弾が見るniconicoの技術的側面
    • niconicoがYouTubeに成り代わっていた未来
    • NVIDIAのEULA変更はなにが問題なのか?

    ビットコインの儲けでポルシェを買うのは悪いこと?

    山路:今回は2017年の注目ニュースを取り上げるわけですが、2017年が仮想通貨元年だったということは間違いなさそうです。

    小飼:普通の人も売り買いするようになったという意味では元年でしょうね。あと、ちゃんと日本国政府が仮想通貨とはなんぞやというものを定義し始めて、「じゃあ仮想通貨の売買はちゃんと税金とるけども、税金を払う時はこういうふうにしてね」というのを曲がりなりにも出したという意味では、間違いなく元年です。

    山路:マスメディアがビットコインの扱いに困っているというのがよく表れていたのが、日本経済新聞の「ビットコイン、草食世代の狂想曲」という記事でした。

     最近、仮想通貨はバブルだ、あるいはバブルじゃないんだといった議論があるんですけれども、この日経新聞の記事では、バブルを知らない草食世代がビットコインで儲けたのでポルシェを買ったりして浮かれているという論調でした。

    小飼:もし、ビットコインを決済に使ったのだとしたら、アホですね。日本円とか、安い通貨で買うべきなんですよ。ビットコインは持っているだけで上がったじゃないですか。結果として、仮想通貨で大まかに負けた人というのは、手放しちゃった人になっちゃうわけです。ポルシェなんか買っている余裕がありましたら、買い増せよと。そしたら家に化けていたかもしれない。海外のニュースだと、ポルシェどころか家を買ったという人も結構いるわけです。

    山路:"億り人"という言葉も流行ってますね。それにしても、先ほどの記事は、バブルを体験したと思われる記者が「バブル崩壊の怖さを知らない草食世代」と表現しているんですよ。

    小飼:バブルのころはネット取引がなかったけどね。僕はおっさんなので、そのころから、株式口座を持っていて売買とかもしていましたが、いちいち電話してたわけです。牧歌的な世界ですよ。

    山路:今の仮想通貨だと、1日で30%も値動きしたりする。

    小飼:普通の株でも、iPhoneのGPUを設計していた会社の株価が、Appleが採用をやめるというニュースが流れた途端、60%減になってしまった。そういったことは別に珍しくはない。

    山路:日経の記事で気になったのが、消費をするということに関して、この記事の記者は責めているように思ったんですけど、消費するのはいけないことですか? だってちょっと前は、若者の自動車離れとか、若者のアルコール離れとか、若者のなんとか離れと言って、さんざん若者のことを非難したのに。

    小飼:若者の日経離れ(笑)。

    山路:それは大きいかもしれない(笑)。「ポルシェ買ったらいかん」みたいな、そういう矛盾を感じました。

    小飼:でも、ポルシェは若者が乗って楽しい車かな?とは思う。

    山路:そこですか?(笑)

    小飼:ポルシェを作っている国では、どんな人がポルシェを買うかというと、おっさんとかおばちゃんですよ。要は、そろそろ子どもとかも育ち終えたみたいな人たちが買うんですよ。

    山路:熟年というか、中高年のための車。

    小飼:ポルシェ以外でも、スーパーカーというのは、基本的はそういうものなんですよ。
     ポルシェも昔の911のシリーズしかなかったころは、かっこ良かったんだけども、あそこも商売ですから、フロントエンジンとかも作り出したんですよ。今やSUVも出していて、フォルクスワーゲンで出しているシャシー一緒ですからね。

    山路:結局ブランドみたいなものを使って、売っているものは同じみたいな感じになっちゃって。

    小飼:同じようなもので。

    どんどん分裂するビットコイン

    山路:もうひとつビットコインの関係で、ハードフォークといって、新しい通貨がどんどん生まれていったじゃないですか。ビットコインキャッシュが生まれて、ビットコインゴールドが生まれて、ビットコインダイヤモンド、あと最近だと、スーパービットコインとかライトニングビットコイン。

    小飼:いっぱい出てきてはいますね。

    山路:このままあんなふうに分裂し続けていくんでしょうか。

    小飼:まあほとんどのものは、鳴かず飛ばずになるでしょう。だけども、多分ビットコインキャッシュは根付くと思います。

    山路:ちょっとよくわからないところが、これだけ同じビットコインというチェーンが連続して、ビットコインとして続いてきて、そこで仕様を変えるときに分裂するわけですよね。ビットコインは分裂して、本家争いみたいなものは起こらないんですか? あっちが元祖ビットコイン、こっちが本家ビットコイン。なんかビットコインキャッシュという名前、新しく名前つけて生まれていますけど、その本家ビットコインというものを使う権利みたいなものはだれが持っているんですか?

    小飼:いや、権利なんてないですよ。それは、こういうルールに則ってここまで続いてきたブロックチェーンのことをビットコインと言っているだけで、ルールを変えたものというのは、別の名前を名乗っているというだけです。

    山路:コメントにも出た、セグウィット2x。本家のビットコインとかで大きな改良が加えられたら、それはビットコインと言えるんですか?

    小飼:それは、ちゃんとビットコインのプロトコルの中でできるようになっています。だからルールを変えるときは、こういう手はずを踏んで、ブロック番号いくつからというのは、ちゃんとやっているので、どれがビットコインのチェーンなのかというのは、迷いが生じないようにちゃんとなっています。ビットコインという名前は、そもそも実装が出る前から、ナカモトの論文のタイトルがまさにビットコインだったので。

    山路:本家争いは、基本的に起こらないようにはなっていると。

    小飼:起きようがない。タイトルからいって、もう完璧ですよ。『Bitcoin : A Peer-to-Peer Electronic Cash System』と書いてあるわけですから。必要にして十分で、なにもかもが含まれているタイトルですし、論文はたった9ページなんですけれども、必要な要件というのが全部書いてあるわけです。

    山路:登録商標を取られたというのは違うわけなんですね。

    小飼:そんなものはいらないんですよ。そこが凄いところなんです。

    山路:匿名の人が書いたその論文に名前がついていて、それがそういうものだと定義されていると。

    2017年を表す第二のキーワードは"凍結"

    山路:2017年を表す第2のキーワードとして、弾さんは「凍結」を挙げていましたが、その理由は?

    小飼:TwitterだけではなくFacebookでも、アカウントの凍結が続きました。米国大統領選挙が、ロシアにハックされていたというのが、発端にはあると思うんですけれども、誤爆というのか、誤凍結しまくっていて。

    山路:日本なんかだと、ちょっと「殺す」という文字が入っていたら凍結されていたりとか。

    小飼:雑なんですよ。

    山路:機械的に処理していたからそうなった。
     
    小飼:機械的な処理なんでしょうかね? 本当に機械的な処理をしたとしたら、「@realDonaldTrump」とか凍結されなきゃ絶対におかしいんですけどね。

    山路:Twitterの従業員がトランプ大統領のアカウントを一時停止した事件もありました。

    小飼:あれはどう考えても正しい行動だったはずなんですけど。

    山路:凍結するしないみたいなことを民間の一サービス企業がやっていて、しかもそれが世界にものすごい影響を与えているということが、2017年の注目ニュースというんですかね。Twitterに関して言うと、ここ1週間くらいもいろいろ話題がありました。

    小飼:改善したと言って、それが明後日の方向の改善というのは、もうどのSNSもそんな感じです。

    山路:mixiの足跡機能みたいなやつですね。

    山路:Twitterの問題点で、1番大きなことはなんでしょうか?

    小飼:人の手を加えすぎていることでしょう。キーワードで凍結とかと言うんだったら簡単なわけですよ。でも、それよりももっと問題なのは、なんで凍結したのかというのがわからないこと。

    山路:説明がまったくないですもんね。でも、IT企業なんかのサービスに共通するものなのかなという気はしますけどね。

    小飼:たしかに規約上は凍結する、しないというのは、運営の胸先三寸なわけですけれども。

    山路:一企業が、そこまでの決定権をもって、それが影響を与えるというあり方というのは望ましいんですか?

    小飼:それを言ったら、たかだか一国の政策が全世界に影響を与えるという意味では、北朝鮮の核開発だって同じなわけです。なんですけども、ひとつの特徴としては、一私企業の、一商用サービスのほうが、影響が大きい。人がやっている組織というのは、どんなものでも恣意的な運用というのがあるわけです。法律でさえそうです。というか、法律なんてしょっちゅうそうです。「なんでこいつらが、野放しなんだ。こんな人が捕まってるのに」、そんなのばっかりですよね。それよりも一私企業のやってることのほうが影響力がでかくなっている。

    山路:本来だったら、Twitterも自分たちがそこまでの影響力を持つわけとは思ってなかったのに、いつの間にか国と同じぐらいの影響力を持つようになってきちゃったみたいな。その影響力の大きさに彼ら自身がもしかしたら、悪気があるとかっていうよりも。

    小飼:振り回されているというところはありますね。

    山路:それにしてもTwitterの株価って最近ちょっとまた上がって来ていますよね。一時期よりも最近のほうが上がってきていて。

    小飼:下がりすぎたということはあるかもしれないですね。

    山路:一時期、TwitterをMicrosoftが買うとか、どこが買うみたいな話とかありましたけども。

    小飼:でも、FacebookみたいにTwitter自体で儲けを出しているわけではないですよね。

    山路:あと、ここ1週間くらいで起こった事件としては、Twitterを利用している他のアプリとかサービスの利用者のアカウントが凍結された。例えば、Togetterというサービスなんかも使えなくなるというか、いったんログアウトするとログインができなくなるみたいな状態でしたっけ?

    小飼:これはどんな世界でも見られるものなんですよ。特にそれが顕著だったのが、OSとサードパーティーのアプリケーションの関係で、例えば昔はスクリーンセーバーひとつとっても、サードパーティーのアプリケーションだったんですよ。
     これはいい機能だというので、OSのほうでも取り込んでと。だからものによっては、OSのベンダーがしれっと黙って取り込んだり、あるいはちゃんとお金出して買われたりもするんですけれども。サードパーティが作っていいなと思われた機能は、プラットフォームが取り込んでいくというのが、およそどんなソフトウェアの世界でも見られる現象ではあるんですよね。
     今やいろいろなものというのがOS本体に含まれていますよね。ブラウザは入っていて当たり前ですし。そういったことを考えると、Togetterみたいなサービスというのを、Twitterが取り込むというのはありうるわけですよ。モバイルアプリですら、元々はほかの会社が開発していたサードパーティーのものを買い取ってやっていたわけですから。

    Twitterは誰のためのサービスか?

    山路:TweetDeckでしたっけ? そういうツイートの一覧サービスをTwitter本体が取り込んだこととかありました。

    小飼:Togetterに相当するサービスというのは、まだないわけです。強いて言うとモーメントがそれに近いのかもしれないけれども、ずっとしょぼい。

    山路:一応Togetterのサービスも復活したみたいですけれども、これはどの程度考えてTwitterの人たちというのは、アカウント提示とかをやったものなんですかね? 本当にきちんと考えてのことなのかな?

    小飼:考えているわけないじゃん!
     
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