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【理不尽とは何か?】高岩竜一×田山レフェリーの90年代新日本プロレス居酒屋トーク
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【理不尽とは何か?】高岩竜一×田山レフェリーの90年代新日本プロレス居酒屋トーク

2016-01-01 00:00
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    Dropkickチャンネルに掲載されたインタビュー記事が大好評だった高岩竜一田山正雄レフェリー。90年代・新日本プロレスをよく知る2人の対談をヴァーとお読みください! イラストレーター・アカツキ@buchosenさんによる昭和プロレスあるある4コマ漫画「味のプロレス」出張版付きでお届けします!




    高岩竜一「90年代ハチャメチャ新日本プロレスと俺が愛した橋本真也」
    http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar810120

    レフェリー田山正雄インタビュー「みんな大好き破壊王・橋本真也伝説!」
    http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar851730




    いま入会すれば、謙吾が語るパンクラス×リングス、回想「レッスル夢ファクトリー」などのインタビューが読める! 12月度更新記事はコチラ
    http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/201512





    ――お会いになるのはひさしぶりなんですか?

    高岩 いや、そうでもないですよ。

    田山 近所にジムがあってそこでよく会うんですよ。

    ――溝の口周辺にはプロレスラーがいっぱい住んでますよね。パチンコ屋を覗けば誰かしら打ってるんじゃないかってくらい(笑)。

    田山 新日本の道場も近いし、昔は全日本の道場もあったから。みんな道場の近くに住みたがるじゃないですか。

    ――それで今日は90年代の新日本プロレスについて語っていただきたいんですけど。当時道場のコーチを務めていた馳(浩)さんが文部科学大臣になりましたね。

    高岩 プロレスラーから大臣になるって凄いですよね。ニュースを見てたら、馳さんが高校教師時代の暴力を含めて謝ってましたけど(笑)。

    田山 大臣になったらそのへんのことはマスコミがいやらしく突くわけでしょ?

    高岩 馳さんは新日本時代、そんなには殴らなかったですけどね。

    ――プロレス道場は特殊な世界だからある程度は仕方ないところはありますけど……。

    田山 でも、道場から一歩外に出たら傷害事件として通るわけでしょ。普通の会社として考えたらね。まあ誰も訴えなかったけど(笑)。

    高岩 馳さんは殴らない人でしたけど、ボクは馳さんのことが苦手でしたねぇ。というか、コーチは誰でも苦手なんですよ。佐々木(健介)さんや飯塚(高史)さんのことも苦手でしたから。やっぱりコーチということで一線を引いちゃうんです。友達でもなければ先輩でもない。コーチなんですよ、ボクの中ではね。その3人はお酒を飲まなかったんで、酒を飲んで和気あいあいになるってこともなかったし。

    田山 馳さん、2〜3年前に会ったんですけど。いまだにスクワットを1000回やってるって言ってましたからね。

    ――スクワット1000回できる大臣(笑)。

    田山 国会の裏に議員専用のジムがあるんですよ。そこでいまだにスクワットやってるって。

    ――田山さんと高岩さんでは、田山さんのほうが先輩になるんですよね。 

    高岩 先輩です。

    田山 自分が1年先輩かな。歳も学年で2個上なのかな。

    高岩 田山さんのちょっと前に小島(聡)さんが入ったんですよね。そのときからコーチが馳さん、健介さん、あとネコさん(ブラックキャット)がサブで。

    田山 寮長が小原(道由)さん。小原さん、かなりヤバかったけどね(笑)。

    高岩 あ、そうなんですか。ボクが入門して2週間で小原さんは海外に行っちゃいましたよ。

    田山 あんな性格の荒い人はいなかったけどね(笑)。蝶野さんが「おい田山、小原って身体のどこがヤバイんだっけ?」って聞くから「ヒザと性格です」って言ったら死ぬほど笑ってたけどね(笑)。

    高岩 ワハハハハハ!

    ――どんなふうにヤバイんですか?

    田山 「おい!」と呼ばれて飛んで行くと「なんでもねえよ!」って殴られるんですよ。

    ――なんじゃそりゃ!(笑)。

    田山 小原さんとはいまでは普通に会話できるんだけどね。

    高岩 新弟子の頃は理不尽なことが多かったですよねぇ。

    ――一番理不尽だったことはなんですか?

    高岩 なんですかねぇ。

    田山 いっぱいありすぎてね(笑)。

    高岩 ボクは巡業のときはタクシー係をやってたんですよ。何をやるかというと、宿泊してるホテルのロビーで、15時くらいから選手をタクシーを乗せて試合がある体育館に向かわせるんです。体育館では16時くらいから合同練習が始まってるんですけど。ロビーに遅れてくる選手もいるから、タクシー係やってると合同練習に間に合わないんですよね。そうすると佐々木さんに「おい、なんで練習に遅れてくるんだっ!(怒)」って殴られて。

    ――タクシー係だからなのに! 理不尽だなあ(笑)。

    田山 そんなの当たり前。俺は飲料水係をやっていて、会場で飲み物を冷やすじゃないですか。その作業で練習に遅れると「テメエ!」って殴られる。そんなこと1日に25回くらいありますよ!(笑)。

    高岩 そうでしたね(笑)。

    田山 「おい、これ洗濯しとけ!」って言われて10分後に「おい、乾いたか?」って聞かれるし。もちろん乾いてるわけがないんだけど、「乾いてません!」と答えるとおもいきり殴られるんですよ。

    ――地獄にもほどがある!(笑)。

    田山 新弟子がやめていくのはわかりますよ。息をしてるだけで殴られる世界だから(笑)。でも、馳さんの場合は、その人間が何か間違ったことをしたときだけ注意するんですよ。ちゃんと、しかってくれるんです。ただストレスを発散するために怒るわけじゃない。「怒る」と「しかる」はえらい違いがありますよね。

    高岩 馳さんは自分を誇示してるわけじゃないですから。

    ――ちなみに現場監督だった長州さんも怒るときがあるんですか?

    田山 長州さんに怒られた◯◯さんが、新弟子に当たり散らしてましたよ(笑)。

    高岩 フフフフフ。

    田山 小原さんはいやらしい怒り方はしないんですよ。いやらしかったのは◯◯さん。小原さんは怒っても自分のところで完結してた。◯◯さんは周囲の状況をひっくるめていやらしいんですよ。うまく説明できないけど(笑)。

    高岩 なんとなくわかります(笑)。

    田山 あと◯◯さんは、1日ひとりぶん殴ることを日課してたんだから。

    ――どんな日課ですか!(笑)。

    田山 道場で誰かを殴ってそのまま帰って行くんだから。

    高岩 ホントそんな感じでしたよね(笑)。

    ――そんな◯◯さんに対してほかの先輩はどう思ってたんですかね?

    高岩 「ああ、またかあ」って感じですよね。

    田山 「しょうがねえか……」って。

    ――先輩同士がぶつかることはあったんですか?

    田山 どうだろうなあ。

    高岩 ミスター高橋さんと橋本さんくらいですかね、ケンカをしてたのは(笑)。

    ――ハハハハハハハハハハ!

    田山 そんなケンカあったなあ。道場に置いてあった橋本さんの私物を高橋さんが捨てた、捨てないで揉めたんだよね(笑)。だって道場の3分の1くらいは橋本さんの私物だったもん。

    高岩 そうそう(笑)。

    田山 自分の家に置いておくと面倒なものは道場に置いてあった。それに怒った高橋さんがいろいろと捨てちゃったんだよね。だってチャイルドシートとかもあったし(笑)。

    高岩 ケンカはそれくらいですよね(笑)。

    ――優しかった先輩は誰になるんですか?

    田山 俺は野上(彰、現AKIRA)さん。暴力は振るわなかった。

    高岩 野上さんも殴ってたときがありましたよ?

    田山 え、殴ってた? 

    高岩 ええ。意外だったんでビックリしましたよ。野上さんは凄く優しい方でしたけどね。

    田山 ボクがおぼえてるのは、新日本に入ったときに道場で全員に挨拶に行くじゃないですか。野上さんだけですよ。「野上と言います。よろしくお願いします」って返してくれたのは。

    高岩 ああ、わかりますね、それは。

    田山 ◯◯さんなんて、こっちが挨拶したら「ああん!? ……フン!」ですよ(笑)。

    ――「フン!」なんて漫画だけのリアクションですよ(笑)。

    高岩 日常の挨拶するだけで睨まれますからね(笑)。

    田山 飯塚さんはコーチだったらから、あえて厳しくしてたんだと思う。

    高岩 そうですね。そういえば飯塚さんがコーチのときはスパーリングばっかでしたよね。以前にも増して。

    ――コーチによって練習メニューが違ってくるんですね。

    田山 馳さんや健介さんのときはボクらが入ったばっかりだったこともあって受け身中心でしたよね。ネコさんはトランプ練習。

    高岩 飯塚さんがコーチのときはPRIDEが流行ったこともあってスパーが多かったんだと思うんですけど。でも、プロレスってシュートだけが強くても意味がないところがあるじゃないですか。

    ――プロレスの要素の一つとしては重要だけど、メインになることはないということですか。 

    高岩 「なんでこんな練習ばっかやるんだろう」って思ってましたよ。

    田山 山崎(一夫)さんがコーチになったときは打撃ばっかになってたよね。みんなグローブを付けてね。

    高岩 そうそう(笑)。

    田山 「これ、意味があるのかな」って思ってたけど。教えるほうも自分の得意分野しか教えられないんだろうけど。

    ――山崎さんって外様なのにコーチまで昇進するって凄いですよね。

    高岩 山崎さんは人当たりもいいし、八方美人じゃないですけど、どこの派閥にも入ってなくて誰とでもうまくやれたというか。

    田山 新日本のテレビ解説までやってるもんね。

    ――コーチの練習には先輩レスラーも参加するんですか?

    高岩 いや、先輩方は基本的に合同練習に参加しないですよ。最初の頃は松田(納、エル・サムライ)さんが参加してましたけど。

    ――松田さんって練習嫌いで有名だったと聞いてますけど。

    高岩 全然練習しなかったですね(笑)。

    田山 ウエイトなんかやってるのを見たことない。「なんでプロレスラーになったんですか?」って感じで(笑)。

    高岩 でも、スパーリングは強かったですよね。レスリングやってたこともあって。

    田山 あと受け身が凄かった。まさしくドリー・ファンク・ジュニア(笑)。

    高岩 練習でいえば、一番キツかったのは長州さんの練習ですよ。

    田山 長州さんは技術より気合いだよね。

    高岩 精神的にキツかったですよね。殴られても根性があればなんとかなるじゃないですか。長州さんの場合は根性も効かないですよ。精根尽き果てるまでやらされるので。

    ――どういう練習なんですか?

    高岩 「試合練習」を延々とやらされるんですよ。長州さんが「はい」と言うまで試合形式の練習をやる。それがなかなか「はい」と言ってくれないんですよね。30分やるだけで地獄で。

    ――それはキツイですねぇ。「はい」の基準はあるんですか?

    高岩 それは長州さんの感覚。5分くらいで「はい」っておしまいにになるときもあるですけど。よく中西(学)さんがずっとやらされてましたよねぇ。

    田山 あの試合練習は終わりが見えなかったよね。そのあいだ長州さんは「おい、マッサージしてくれ」ってそのまま寝ちゃうときもあるから(笑)。

    ――ハハハハハハハハハハ!

    田山 長州さんに「おまえ、マッサージの心得があるだろ?」って言われたんだけど。そこで「ありません」というと長州さんに恥をかかせるから「はい!」って答えて(笑)。

    高岩 長州さんは竹刀で殴るんですけど。竹刀はボロボロになっててテープで補強してるから、しならないんですよ。単なる棒なんですよ(笑)。

    ――竹刀でもなんでもない(笑)。

    高岩 聞くところによると、いまの新日本の新弟子は凄く楽みたいですね。選手がいっぱいいるから練習時間がいろいろと分かれていて。新弟子は早い時間に練習を済ませて合同練習もないみたいですし。

    ――猪木さんは道場に来てたんですか?

    高岩 たまーにですね。

    田山 猪木さんの練習補助を誰もやりたくないから、回ってきたときは凄いプレッシャーだった。だって猪木さんですよ?

    高岩 あと坂口さんと小鉄さんにだけは「おつかれさまでございます」って言わないとダメだったんです。

    田山 あったなあ。

    高岩 猪木さん、坂口さん、小鉄さんの3人は別格。そう挨拶しないとダメ。昔の小鉄さんの指導はわかんないですけど、優しかったですよね。長州さんや健介さんと比べると楽でした。

    田山 小鉄さんで印象に残ってるのは「レフェリー全員集まれ!おまえらカウントの取り方が早過ぎる。時計に合わせろ!」って言われたことかなあ(笑)。

    ――そのリズムだと違和感がありますけど(笑)。

    田山 言葉は悪いですけど、さすがに「これで大丈夫かな……」って思いました(笑)。

    高岩 小鉄さん、たまにレフェリーやってましたけど、そんなにうまくなかったですよね(笑)。レフェリングの技術も時代とともに進歩したってことかもしれないですけど。

    田山 レフェリーってネームバリューで務まるところがあるから。小鉄さんがレフェリーをやるとなればファンも「おー!」って沸くんですよ。

    ――田山さんも新弟子と同じ練習してたそうですけど、レフェリーも試合に巻き込まれそうになるから鍛えておかないと危ないですよね。

    田山 壊れそうなレフェリーには選手は手を出さないんですよ。危ないから。俺、小原さんの喉輪落としを食らって死にそうになったもん。あの小原さんが「だ、大丈夫か!?」って心配してましたからね(笑)。

    高岩 フフフフフフ。

    田山 身体が軽いから上がっちゃって。あと後藤(達俊)さんが裁定に不服でレフェリーにラリアットやって一回転させるって動きを気に入っちゃって(笑)。

    高岩 ワッハッハッハッハッ!

    田山 俺があまりにもキレイに1回転するもんだから毎晩のように飛んでたよ。

    高岩 後藤さん、気持ちよかったんでしょうね(笑)。

    ――後藤さんもおっかなかったんですよね? 

    田山 後藤さんは子供。本能で生きている。お腹が減ると機嫌が悪くなる(笑)。

    高岩 あと酒を呑むとメチャクチャ機嫌が悪くなりますよね。近寄りたくない(笑)。

    田山 あるとき後藤さんに「サポーター買ってこい」って言われて買ってきたんですよ。で、「お金をお願いします」って言ったらいきなり殴られて「おまえが会社に請求しろ!」って(笑)。

    ――ええええええ?

    高岩 ハッハッハッハッ。

    田山 ありがちでしょ?(笑)。

    高岩 よくある光景ですね(笑)。後藤さんは競馬好きでしょ。俺も競馬好きだったんで、よく連れ回されるんですよ。それはいい息抜きになりましたよね。新弟子はちゃんこ番じゃなくても道場にいなくちゃいけないから。ただ競馬が終わってパチンコ行くじゃないですか。俺だけ大当たりで後藤さんがダメだとヤバイんですよね(笑)。

    田山 後藤さんがやってたパチンコ台を掘ったら本気で怒られますよ(笑)。

    高岩 それだったら負けたほういい(笑)。

    ――ギャンブルといえば、やっぱり安田(忠夫)さんに尽きると思うんですけど。

    高岩 安田さん、引退相撲やってるのに借金が残ったみたいですからね。相撲時代の人間が道場に取り立てに来たこともあって。

    田山 安田さんからすれば、ギャンブルは息をするようなもんだから。安田さんって5万円負けたら次に10万張ればチャラだという考えだからね(笑)。

    高岩 ハハハハハハハハハハ。いまは千葉のほうにいるんでしたっけ? とび職やってるとか。安田さん、高いところに登れないのに(笑)。

    田山 プロレスでもトップロープに昇ったことないのにね(笑)。安田さんってどんな目に遭っても、最終的に誰かが助けてくれるんだよなあ。どこかに逃げると誰かが助けてくれる。あの人、超だらしないけど、基本いい人だから。

    高岩 そうですね。だから誰かが助けてくれるんでしょうね。

    田山 他人を騙すような人じゃないから。いま安田さんに電話してみます? 

    ――ぜひお願いします(笑)。

    田山 (電話をかける)……もしもし、安田さん? 誰だかわかりますか? 

    高岩 あ、出た(笑)。

    田山 最近は元気にやってます? え? 仕事をクビになった?(笑)。 
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