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  • 次回配信予定
    • 2018/04/28
      岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『火垂るの墓』 解説・上品過ぎて分からなくなる高畑勲の演出」

    岡田斗司夫の毎日ブロマガ・増刊号「【レディ・プレイヤー1 公開記念】原作小説『ゲームウォーズ』のSF設定大紹介! 」

    2018-04-27 07:006時間前
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/04/27・増刊号
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    今回は、ニコ生ゼミ2015年10月4日分から、ハイライトをお届けいたします。

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     【レディ・プレイヤー1公開記念】原作小説『ゲームウォーズ』のSF設定大紹介!


     「SF小説を読もうよ」という話。

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     先週ずっと読んでたのが、これ『ゲーム・ウォーズ』。

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     読んだ方は、どれくらいいるのかな?
     
     これはアメリカの筋金入りのオタクが書いた、日本カルチャーへの熱いオマージュ入りの小説です。
     面白いんですよ。

     どんな話かというとですね、2041年が舞台です。

     その時代、“オアシス” というシステムが世界中で動いている。
     オアシスというのは、昔のセカンドライフみたいなものだと思って下さい。

     アメーバピグみたいなもんだといえばいいのかな。


     人間は自分のアバターを作って、そのオアシス世界の中で生きています。

     オアシスの中にログインする人は、仮想ゴーグルをつけて、仮想データグローブをつけてログインします。
     
     そうすると、そのオアシスの中にあるものは本当に触れるし、360度の視界で、その通りになっているという世界なんですよ。


     オアシスは、あらゆる情報機器の中で1番安くて1番安全。
     だから、アメリカ国家から国民全員に、オアシスの機械が支給されているという設定です。

     国民全員が、そのオアシスのログインIDを持っている。
     だから、オアシス内では、もう一つ別の経済圏が出来ています。


     主人公はそこで学校に通っています。

     オアシスの学校には、成績がいいから行けたんですよ。
     小学校の時からオアシスの学校に行けたことが、主人公の最大の喜びです。

     というのも、実際の学校じゃないオアシスの学校には、イジメがないからなんですよ。

     オアシス内の学校では、全員がヴァーチャルキャラクターなんですが、学生の間は人種と年齢、性別は実際の自分と同じにしなきゃ駄目なんです。

     そんなオアシスの学校がリアルと何が違うのかというと、たとえば誰かにイジメられたら、そいつをミュートすることができるんです。

     ミュートしたら、それから一生そいつの言うことは何も聴こえないんですよ。

     そいつが居る事は分かるんですが、そいつが自分を殴ったりしても全くその動きが見えないんです
     自分に対して、どんな表情を持っているのかとか、もしくはどんなことをやってるのか一切見えない。

     それがミュートです。


     ミュートしていることは相手にも通知されるんだけども、そいつの言ってることを一生 聴かなくてもいいから、相手にミュートという事が知られても平気なんです。

     このミュートがあるお蔭で、オアシスの中の学校にはイジメが全くない。
     「本当に僕はオアシス学校に転校できて良かった」って主人公が言ってるんですよね。

     そのオアシスの創立者が死ぬところからお話は始まります。

     お話の中で主人公は、なんかやってるんですけど、そこにバーンと差し込み画面が入って、オアシスの開発者であるジェームス・ハリデーという老人が死んだと、臨時ニュースで入ります。

     主人公はビックリするんです。

     というのはオアシスの中で強制割り込みで臨時ニュースが入るのは、津波とか地震とか、もしくは隕石が落下してくるとか、それくらい絶対に知らせなきゃいけないことだけなんです。

     いくら、オアシスを作った人間だからといって、たかだかプログラマーが1人死んだだけで、割り込みが入ってくるはずがないと主人公は思うんですよ。

     その臨時ニュースが入った瞬間、世界中でオアシスに何百億もログインしている最中に、いきなり5分間の動画が始まります。

     それは世界中の人が見たフィルムです。

     そしてのちにも、多分人類の歴史上、最も再生されて研究され尽くされる5分間の動画になります。


     その動画にそのハリデーが出てきて、「このオアシスの中で1つのゲームをしよう。」と言います。

     昔、アタリが作った『アドベンチャー』という迷路ゲームがある。
     そのゲームの中には、不思議なことがある。


     当時のアタリ社はスタッフクレジットを一切出さなかった。
     スタッフロールにスタッフ名を一切出さないで、Presented by ATARIとだけ表示している。

     昔のアタリ社のゲームだから。

     でもその『アドベンチャー』というゲームの、迷路の特定の場所で、小さなドットを鍵がわりに迷路を抜ける。

     すると、ウォーレン・ロビネットという開発者の名前が出てしまう。

     それは作った人間が予め自分の名前というのを知って欲しいと思ったので、イタズラ心で仕掛けた、隠したものだった。

     これが世界最初のイースターエッグだというふうにハリデーは説明するんですね。


     イースターエッグって、日本人にはあまり知られていないアメリカの習慣です。

     卵とかに絵を描いて、いろんなところに隠す。
     それを子どもたちが探すんですね。

     見つけたら、わーって喜ぶという、キリスト教の不思議な習慣です。


     ハリデーは、自分が死んだ瞬間に再生される5分間の動画で、これからイースターエッグ探しをしようというふうに言うんですね。


     僕はオアシスの全部の権利を持っているので、推定すると僕の財産は2400億ドルくらいになる。
     僕が持っているこれら全てのお金と資産を、実はこのオアシスの中のどっかに隠した。

     ヒントのキーは3つ。
     
     この3つのキーは後ろに行くにつれて探すのが難しくなる。


     1つ目はカッパーキー、2つ目が翡翠キー、3つ目がクリスタルキー。

     この3つのキーを隠した。
     皆頑張ってくれと。

     ただちょっと難しくしすぎたかもしれない。
     不安だけども、頑張ってくれ。

     と言うんですね。


     それから世界中は、パニックになって、イースターエッグ探しが始まるんです。
     本当に何億という人が、会社に何週間も行かないで探し始めちゃうんです。


     その5分間のビデオの中で、ハリデー自身が、俺が本当に子供の頃すごく好きだったゲームや映画や文化の話をします。

     特に『フェリスはある朝突然に』とか『ゴースト・バスターズ』とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか『スター・ウォーズ』とか、80年代映画も大好き。
     
     あと日本の日本の映画や特撮アニメとかも大好きだった。
     だから、その中にもヒントが入ってる。

     そう言ったので、何億という人間が、それから数年間とりあえず、ハリデーのかつて好きだったものを全部調べて、メチャクチャ80年代オタクになるんですね(笑)。


     世界中で80年代ムーブメントがやってきます。

     80年代カフェがそこら中にできてきて、『ファミリー・タイズ』とかそういう話題がガンガン通じるようになって(笑)、

     もうね『トランス・フォーマー』を、人類全員が知っているどころか、『メカニコング』も皆知ってる。


     あと俺、ビックリしたのが、途中で出てくる主人公が「これだ!」というロボットが『スパイダーマン』のレオパルドン(https://amzn.to/2HubdU4)なんですよ。

     それって、あの1970年代に東映が作った『スパイダーマン』という実写ドラマの中に出てくる巨大ロボットです。

     それが、レオパルドンというんですけども。
     それが中心キャラとして出てくるぐらい(笑)、物凄い80年代オタク文化丸出し。

     それをいかに解釈して見つけていくのかっていう話なんですよ。


     ところが、ハリデーがあまりにも慎重にイースターエッグを隠してしまったもんだから見つかれないんです。

     そのイースターエッグハンター、略してガンターという人達は、一所懸命探したけど、1年後には、ガンターの9割くらいは引退してしまった。

     そっから先は、ガンター達のSNSで情報交換とかするようになります。

     お互いに「こうじゃないかな?」という情報はあるんだけど、まだ誰も最初のカッパーキーすら見つけることが出来ないんです。


     何年も経つうちに、皆ガンターはドンドン諦めるようになってきて、笑いの種になってしまった。

     毎年毎年ハリデーの命日になったら、「今年もカッパーキーは見つかりませんでした。ハリデーの遺産なんて本当にあるんでしょうかね。」と、ニュースで流されるようになって、ガンター達の集まりがTVとかニュースで公開されて、皆それを見てせせら笑っているという状態が、何年も続きます。
    そしてついに5年経ってしまったんです。


     主人公はそのガンターの1人の男子です。

     自分自身はデブで顔が吹き出物だらけなんだけど、オアシス内では割とすらりとしてて顔もきれいな状態。

     いじめられるのがイヤだから、オアシス内の学校に通っている。
     でもハリデーの研究は人一倍やってるつもりの高校生なんですよ。

     ハリデーが死んだ時には、小学生の高学年くらいだったんだけど、もう高校生になってるんですよ。

     これまだ上巻のもうホントにちょっとしか語ってないんですよ。


     ここのところで、衝撃の告白があります。

     ハリデーが死んでから5年後、ついに最初のカッパーキーがみつかった。

     そのカッパーキーを見つけた時の経緯が、再現ドラマとか映画にもなったし、カッパーキーを見つけたヤツの自伝、伝記小説みたいなのもいっぱい出たし、伝記映画もいっぱい作られた。

     でも真実を知っている人は殆どいない。

     だって、僕が喋らなかったから。
     僕が最初にカッパーキーを見つけた男の子だった。

     という告白から始まるんですよ。

     こっから始まって、上下巻どんなに面白いか。

     やっと映画化の監督が決まったそうですね。
     かなり本格的な映画になるみたいです。

     アメリカですから悲惨な実写にはならないと思いますから、楽しみということで(笑)。


     SF作家というのは、多分 漫画家と同じで、想像力というのをギリギリまで煮詰めて塊の形で出してきます。
     
     純粋な状態で見えるんです。

     映画のように、わかりやすく崩したり、薄めたり煮込んだりしていないのです。

     「本当にビジネスで成功したかったら、特に新しいビジネスで成功したかったらSF小説を読んだ方がいいよ」、と僕は前から言っています。

     これは自分の趣味ぬきで本当にそう思うんですよ。

     是非とも皆さん『ゲームウォーズ』を読んで下さい。
     読んでくれたらですね、もう本当に読書会やってもいいくらいですね。

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  • 岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【岡田斗司夫ゼミ室通信 】アニメ映画『火垂るの墓』は、原作にどれぐらい忠実なんでしょうか?」

    2018-04-27 06:007時間前

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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/04/27
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    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回はDMMオンラインサロンの4月の大阪オフ会より、参加者の方から出された質問を関西弁で紹介します。

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     「 アニメ映画『火垂るの墓』は、原作にどれぐらい忠実なんでしょうか?

    質問:
     映画『火垂るの墓』について質問です。
     
     あのアニメ作品は、野坂昭如さんの原作には忠実なんでしょうか? 
     
     
     野坂昭如のイメージが先にあるので、「あんな話を書く人なんだろうか?」と思ってしまいます。
     
    ───────────────────────────────────

     ある程度は忠実。
     いや、かなり忠実かな。

     結局、高畑勲というのは原作を変えない人なんよ。


     俺、この間 読んだので面白かったのが、『じゃりン子チエ』で主人公のチエちゃんがお母さんに会いに行くエピソードが原作であってん。

     それはアニメ版でもあるんやけども、原作版ではもっと早く会いに行くシーンが、アニメ版では無いねん。

     まるまるカットしてる。

     それで「それは何でですか?」って高畑さんに聞いたら、「あれは、はるきさん(原作者)が あの当時、元気が無かったんだ」と。

     「元気があったら入れてないんだ」と。


     だから原作を変えないどころか、原作を大事にするあまり、原作通りにしない人やねん(笑)。


     「たまたま原作者が風邪をひいたから、このエピソードを入れたんだ」と。
     
     「本当のチエちゃんは違う」と言って、やってしまうのが高畑さんなんよ。


     だから、そういうのがあるから、ちょっと変えるんやけども。

     野坂昭如さんの原作には、かなり忠実に作ってると思う。

    ・・・

     野坂昭如さんなんて「妹が死んでからの人生は、全部オマケ」って言ってますし。


     週刊で原稿を書かないといけない、当時は一番 売れていた時期で、「何が何でも原稿を書け」と言われて、喫茶店で2時間で書いた話が『火垂るの墓』。

     だから書くつもりが無いのに書いた話やから、いまだに後悔してるという。

     あんな辛い話は。


     ただ自分としては凄い露悪的な人やねんけども、「文学者である以上は、自分の一番 辛い話を書かねばならない」と思って。

     それまで色々と書いてて、それで文学者になってんけども、流行作家にもなってしまったおかげで、注文もドンドン来るねんやんか。


     で、それで書き飛ばしで書いてるつもりが、実は一番つらかった記憶を気づかずに書いてしまってん。

     なので、書いてから読み返した事が無いっていう。


     映画の方は、舐めてかかって見て、号泣したそうやで(笑)。


     でも「辛かったけども良かった」みたいな事は書いてるからね。
      
     本人には良かったんやないかな。

    *************************************

    いかがだったでしょうか?

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  • 岡田斗司夫の毎日ブロマガ「“火垂る” という言葉の意味と高畑勲が作品に込めたテーマ」

    2018-04-26 06:002
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/04/26
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     “火垂る” という言葉の意味と高畑勲が作品に込めたテーマ

     
     そもそも、劇中における “蛍” というのは、どういうふうに扱われているのかというと。

     清太と節子の2人が防空壕で暮らし始めた時、夜中に上空を飛行機がブーンと飛んで行くのを見つけるシーンがあります。

     その飛行機の灯りがかすかに点滅しているのを見た清太が「特攻機や」と言う。

     つまり、「これから相手に自殺攻撃をかける飛行機だ」と言うんです。
     すると、節子が「蛍みたいやね」と言うんですね。

     このように、この作品においての蛍というのは、明確に “死ぬ直前に最後の光を放つ存在” として描かれているんです。

    ・・・

     清太は、節子のために、何十匹もの蛍を捕まえてきて、蚊帳の中に放ちます。

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     このシーンですね。

     こうやって、二人が蚊帳の中に蛍を放した後、構図がロングになるシーンがあるんですけども。これがもう、すごく意地悪なんですよ。

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     穴の中に2人が立っていて、その周りを蛍が飛んでるんですけども。

     両脇にある柱の梁が、ちょうど斜めに掛かっていて、いわゆる葬式の時に出す “遺影” のようになっているんですよね。

     こういうふうに、この作品の中では、蛍のように光を発している時には、必ず死を暗示させるような見せ方をしてるんです。


     この蛍の飛ぶ蚊帳の中で、清太は、お父さんが乗った日本海軍の連合艦隊の観艦式の様子を思い出します。

     だけど、この夜の海上で光に包まれた連合艦隊の “摩耶” という船は、実は、このお話の1年近く前に沈んでるんですよ。

     つまり、この作品の中で、光るものというのは、特攻機にしても、蛍にしても、連合艦隊にしても、全て死ぬことになるんです。

     「死に行くものだからこそ、光り輝いて美しい」というような描かれ方をしているんですよ。

    ・・・

     この蛍についても、やっぱりすごいのは、その翌朝を描いちゃうとこなんですよ。

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     蚊帳に蛍を放った翌朝、清太が「何してんねん?」と言うと、節子が「お墓 作ってんねん」と言います。

     「お母ちゃんもお墓に入ってんねんやろ? うち、叔母ちゃんに聞いてん。お母ちゃん、もう死にはって、お墓の中に居るねんて」というふうに節子に言われた清太は、もう号泣してしまいます。

     このシーン、あまりのかわいそさに泣いちゃう人も多いんですけども。

     でも、これが本当にかわいそうなシーンだとしたら、なぜそこで大量の蛍の死骸なんていう絵を見せるのか?

     これ、なぜかというと、「蛍にとってみれば、この2人の兄妹も “無慈悲で不条理な存在” だ」ということを伝えるためなんですよ。


     もちろん、蛍という生き物は、光を放ち始めたら数日間で死ぬ運命なんですけども。

     だからといって、自分たちの慰めのために、蚊帳の中に閉じ込めて、自由を奪っていいという理由にはなりませんよね。

     そして、「蛍、かわいそうやから、逃してあげよ」なんて発想は、別に節子にもないんですよ。


     この蚊帳の中で蛍が飛んでいるシーンは、冒頭ともリンクしています。

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     これは、冒頭、幽霊となった清太と節子が、電車の窓の向こうで燃える、神戸大空襲の様子を眺めているシーンですね。

     これが “火垂る” です。「火が垂れ落ちてくる」から「火垂る」と書く。

     そして、火垂るの風景を眺める2人の中にも「ツラいね、悲しいね」という思いはないんですよ。
     この火垂るについても、蛍と同じく「生命が燃えていて、綺麗だね」という視点で見てるんです。

     節子と清太は、蛍を蚊帳に放ち、翌日、そのお墓を作るという、美しくも残酷な遊びをしています。

     この作品では「人間から見た、空襲による火垂るの風景」も、「蛍から見た、自分たちを不条理に扱うこの兄妹」も、等しく “残酷で美しい” というふうに描いてるんですね。

     だからこそ、高畑勲は何回も何回も「このアニメは戦争反対がテーマではない!」と言い続けているんです。

    ・・・

     高畑勲は、泣かせる映画が嫌なのと同じく、単なる “戦争反対” の映画を作るつもりもなかったんですよ。

     これについては、三鷹市の平和集会の講演でもハッキリと口にしています。

     私の『火垂るの墓』を見て、「感動した」とか「戦争反対というメッセージは素晴らしい」と言う人もいるけれど、私にはそんなことを言いたくて映画を作ったつもりは全くない。

     なぜかと言うと、どんなにツラい光景を見せて「こんなツラい思いは絶対に嫌だ」と思ったからといって、人間は「だから、戦争はしないぞ!」なんてことにはならないからだ。

     私は、人間というのをとことん知っている。

     そういう時、人間というのは「こんなツラい思いをしないためにも、やっぱり “軍事力” が必要だ!」と考えるものだ。

     同じように、日本というのも「こんなツラい思いをしないためにも、すぐそこにある脅威に対して、軍隊を持った普通の国になろうよ!」と言い出す国だ。

     それが日本であり、それが日本人である。

     こんなふうに、高畑勲はハッキリと何度も言ってるんです。

     なので、『火垂るの墓』という作品についての公式見解としても、こうなっています。

    ――――――

     高畑勲監督が本作品で描こうとしたのは、「困難に立ち向かい、たくましく生き抜く素晴らしい少年少女」ではありません。

     「決して切り開くことが出来ない(戦争という)状況の中で、死ななければならない心優しい現代の若者」の姿です。

     現代ではデジタル機器が発達し、煩わしい社会生活から離れ、ある程度自分の世界に籠もることも可能になった。

     そのような時代であればこそ、清太の心情が分かりやすいのではないか。

     兄妹だけで小さな家族を作ろうとしている清太に、社会的なつながりを煩わしく感じる現代の若者との類似的なつながりを見出しているということを。

     しかし、戦時中ではその社会的なつながりを排して、兄妹だけで生きることは叶わなかった。
     
     そこに悲劇があるとも言えるのです。

    ――――――

     こんなふうに、高畑さんは言ってるわけですね。

     これ、どういうことかというと。

     実は、冒頭の、清太が三宮の駅で野垂れ死ぬシーンには、死にかけている清太に、おにぎりをあげている人がいるんですよ。

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     これ、清太の主観にどっぷり浸かって見ていたら、「周りはもう、みんな鬼のような人達で、誰一人助けてくれない」というふうに、ついつい見えてしまうんですけど。

     「ちゃんと “頭を下げて” お願いすれば、こんなご飯がない時代にも、なんの見返りもなくおにぎりをくれるような人がいるんだよ」ということを、一番 最初に見せてるんですね。

     だから、清太がこうなったのは、戦争のせいでもなければ時代のせいでもないんですよ。

     そして、そういう言い訳が出来ないように、高畑勲監督は、冒頭でハッキリとこういうシーンを見せた上で語り始めているわけですね。

     「戦争が悪い」とか「貧しさが人の心を荒ませた」という話ではないんです。

    ・・・

     あと、テーマに関して僕が気になるのは、「なんで母親の霊は出てこないのか?」ということなんですよ。

     節子はあれほど母親に会いたがってたんだから、最後、幽霊となって兄と会うくらいだったら、そこに母親の霊も出てきていいはずなんですよ。


     あとは、あんなに清太が会いたがってたお父さんも、出てきていいはずなんです。
     もう死んでるんだから。

     だって、親子4人で桜の下で写真を撮っているシーンがあるんですよ?

     「彼らには、死ぬことしかなかったんですね」という話なんだったら、最後には父親も母親も出てきて、親子4人が揃うのでもいいはずなんですよ。


     では、なぜ節子と清太の幽霊は2人だけなのでしょうか?

     僕は、これこそが本作品のテーマの1つだと思うので、もう時間もないですけど、みなさんのコメントでの自由解答を待ってみようと思います。


     「清太は実は生きているから」(コメント)
     
      いや、生きてない生きてない(笑)。


     「両親が生きていたから」(コメント)

      それもない(笑)。


     「なんで今までそこに気付かなかったんだ……」(コメント)

      そうですね。これ、あんまり気付かないですよね。清太と節子の2人の話として見てるから。


     「清太の贖罪、エグい話だから」(コメント)
     「懺悔映画だから」(コメント)
     「親だけ成仏した」(コメント)

     うんうん。


     「死んでもボッチだから」(コメント)
     「両親も引きこもり体質だったから」

      アハハ(笑)。


     「清太が節子を縛っていた」(コメント)

      お、なかなか良い線を突きますね。

    ・・・

     ええと、じゃあ “岡田斗司夫の妄想” と言ってもいいんですけど、僕の考える答えの方に行きます。

     「清太というのは、困難な状況下でも、自分の生きたいようなやり方で生き抜いた」。

     これがこの作品のテーマの1つだと思うんですけど、そうしたからこそ、母親のいる天国には行けないんです。

     かといって、地獄にも行けない。

     こういう状況を、ダンテの『神曲』では “煉獄(れんごく)” というふうに呼んでいます。

     煉獄というのは、天国に行けなかったんだけど、地獄にも落ちなかった人の行く中間的な場所で、カソリックでは「ここで、苦痛によって罪を清められた後、天国に行く場所」と定義されています。

     まあ、これに関しては宗派によっていろんな解釈があるんですけども。


     清太は煉獄に閉じ込められたので、1988年の映画公開当時の現代でも、いまだに自分の過去の過ちと、死んでいく妹を見せつけられているんです。

     高畑さんは、こういった清太の無限の苦悩をわかっていながら、それでも「気の毒にも繰り返すしかない」というふうに描いているんですよ。

     これは、かなり冷たい描き方なんですけども。

     「清太は精一杯生きたんだけど、その結果、自分の最後の苦しみというのをずーっと見せられている。気の毒なんだけど、もう彼は、それを繰り返すしかないんだ」と表現しているんです。

     そうやって、“煉獄に閉じ込められた少年” というふうに冒頭から描いているんですね。

     だから、冒頭の一番 最初のシーンを現代の三ノ宮駅から始めたんです。

    ・・・

     ちなみに、このアニメの中で、清太が真っ直ぐ観客を見つめるシーンが2箇所だけあります。

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     これは、一番最初の「昭和20年9月21日夜、僕は死んだ」というところです。ハッキリと観客を見ています。

     もう1つが、一番 最後のラストシーンです。

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     これ、清太も節子も幽霊なんですけど。「もう遅いからおやすみ」と清太が言うと、「うん」と言って節子が清太の膝の上で寝る。

     すると清太は、一度、観客の方を真っ直ぐ見てから、神戸の街へ目を移すんですね。


     この時の清太は、僕らに対して何を訴えているのか?
     なんで節子が起きている時には、こっちを見ないのか?

     実は、節子が起きている時には、清太は僕らを見ることが出来ない理由があるんですね。

     これが、後半の限定放送で語る最大の謎解きです。

     実は、この理由というのが、たぶんこのアニメの中で一番怖いところだと思います。


     「節子を殺したのは誰か?」については、「時代のせいだ」とか、「清太のわがままのせいだ」とか、「叔母さんのせいだ」とか、色々と言えることがあるんですけども。

     じゃあ、なんで清太は死ななきゃいけなかったのか?

     後半では、それについて語ってみたいと思います。


     今のうちに言っておきますけど、後半では、すごく怖い話をしますから、覚悟しておいてください(笑)。

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