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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『ジュラシック・パーク』と恐竜 1 】 あらゆる恐竜描写を変えてしまった映画」
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【『ジュラシック・パーク』と恐竜 1 】 あらゆる恐竜描写を変えてしまった映画」

2018-07-16 06:00
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    岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/07/16
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    今回は、ニコ生ゼミ7月8日(#238)から、ハイライトをお届けいたします。

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     【『ジュラシック・パーク』と恐竜 1 】 あらゆる恐竜描写を変えてしまった映画


     『ジュラシック・パーク』という映画は、1990年に発表されたマイケル・クライトンの小説を原作にして、1993年に公開されました。

     これ、実はベストのタイミングで、恐竜学というのは1980年代にすごく進んだんですね。


     さっきみんなが答えた「ティラノサウルスには毛が生えていたのか?」とか、「恐竜は本当に爬虫類かどうか?」というのは、80年代の恐竜学で新しく出てきた学説なんです。

     この映画1本のおかげで、それ以前の恐竜映画というのが、すごく古臭くなってしまいました。

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     たとえば、ご存知、ブラキオサウルスとかティラノサウルスの、こういうリアルなフィギュアが売られるようになったのって、実は、『ジュラシック・パーク』の影響があるんです。
     
     ブラキオサウルスなんて、昔はこういった陸上を歩く恐竜としての復元図すら、あんまりなかったんですよ。
     
     だいたい水の中にいて、首だけを出していると思われていたんです。

     なぜかというと「こんな重い体を陸上で維持できるはずがない」と思われていたからなんですけど。


     このティラノサウルスもそうです。

     しっぽが真横に向かってピンと生えて、2本足で俊敏に歩く。これも、『ジュラシック・パーク』のおかげでメジャーになりました。


     ちなみに、海洋堂というフィギュア会社では、ジュラシック・パークが公開される遥か前から “ハリ師カズやん” という原型師によって、ほぼこういった正しい考証による恐竜の模型が作られていたんですよ。

     だけど、当時はいろんな恐竜ファンから 「こんなの変だ」 と文句を言われて 「ウチのが正しいのに!」 って悔しがっていましたけどね(笑)。

    ・・・

     じゃあ、『ジュラシック・パーク』以前の恐竜は、どんなものだったかというと。

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     これは1980年に公開された『のび太の恐竜』に出てくる “プロントサウルス” です。

     現在では “アパトサウルス” と呼ばれてるんですけども。


     巨大な体を水に浮かせて海から出てくる様子が描かれています。

     なぜかというと、さっきも言ったように「陸上ではこの重い身体が維持できない」と言われてたからなんですけども。

     ところが、実際にこんな恐竜が水の中に入ったら、あっという間に溺れちゃうんですよ。

     なぜなら、恐竜には “横隔膜” がないからなんです。


     実は、横隔膜というのは、哺乳類特有のものなんですよ。

     なので、哺乳類というのは水中でも結構、生活できる。

     僕らが水に浸かって首だけ外に出しても呼吸できるのはなぜかというと、横隔膜によって強制的に肺を上下させることが出来るからなんですね。

     でも、こいつらには横隔膜がないので、水の中に体を漬けると窒息しちゃうんですよ。


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     これは、同じく1980年に公開された『のび太の恐竜』のワンシーンです。

     このティラノサウルス、直立している上に、尻尾が地面についているのがわかりますよね?

     これが古い恐竜の復元図の特徴なんですけども。


     昔は、ティラノサウルスというのは、ゴジラみたいに直立してノッシノッシ歩くと思われていたので、こういうふうに描かれています。

     しかし、1990年に『ジュラシック・パーク』が公開されたおかげで、こういったイメージは全部 変わってしまいました。

    ・・・

     これは2006年に公開された『のび太の恐竜2006』という映画のワンシーンなんですけど。

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     この中に出てくる、プロントサウルス型の “アラモサウルス” は、現在確認されている中では、史上最大の生物です。

     全長は50m近くあったんじゃないかと言われています。


     シロナガスクジラが35mだからですね、実はあらゆる地球上の生物の中で最もデカかったとされています。

     おまけに、このアラモサウルスの化石というのは、巨大隕石が落下してから70万年後の地層から発見されているんですよ。


     これについては、後でちゃんと説明しますけど、恐竜が滅びたのは “ジャイアントインパクト” とか “ダイナソアキラー” とか、いろんな名前で呼ばれてる隕石の落下によるものと考えられています。


     メキシコのユカタン半島に落ちた、直径10kmの隕石……と言うよりは、ほぼ “小惑星” ですよ。

     だって、東京都の山手線圏内と同じサイズなんですから。


     そんなものがドカーンと落ちたおかげで、恐竜というのはほぼ絶滅したんです。

     この巨大隕石説というのは、だいたいみんな納得してるんですけども。


     その隕石落下の70万年後の地層から、こいつの化石が見つかってるんですね。

     ということは、こいつはどうやら、隕石の落下を生き残っていたらしいんですよ。

     そんな、「いまだに生き残っているんじゃないか?」 というふうに言われている恐竜です。

     “恐竜はまだ絶滅してない説” の根拠にもなっているヤツですね。


     同じく、これは2006年版の『のび太の恐竜』に出てきたティラノサウルスです。

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     『ジュラシック・パーク』に出てきたのと同じ、今の恐竜の学説に則った姿になってきて、ちゃんと尻尾が跳ね上がっています。

     
     他にも、色が派手になっています。

     昔の恐竜の復元図というのは、茶色とか灰色とか、そういう渋い色味で描かれていたんですけど、最近では「捕食獣としての “警戒色” みたいなものがあったんじゃないか?」と言われています。


     まあ、「羽毛を付ける」というところまでは、流石に行ってないんですけど、一応、色味で今っぽさというのを出していますですね。


     こういうふうに、『のび太の恐竜』 が2006年版になったら恐竜の形がほとんど全部変わっちゃったというのも、『ジュラシック・パーク』 のおかげなんです。

    ・・・

     『ジュラシック・パーク』 には、主人公として “アラン・グラント博士” という恐竜学の博士が出てきたんですけども。

     その人のモデルは、モンタナ州立大学にいる、ジャック・ホーナーというオッサンなんですね。


     このモデルとなったジャック・ホーナーは、映画の中のアラン・グラント博士と「 ビールの勧め方までそっくり」 な人物だそうで、本当に、あんな感じのカウボーイハットをかぶっているオッサンなんですよ。


     実は、読語障害というのを子供の頃から抱えてて、文字を読む能力は小学3年生並なんですけども、その代わり、絵とか、動くものは一度見たら絶対に忘れないそうです。

     よく頑張って学者になったなと思うんですけども。


     このジャック・ホーナーさんが、いろいろアドバイスしたおかげで、『ジュラシック・パーク』 というのは、かなり恐竜に関して正確な映画になりました。


     だけど、それはあくまでも 「1980年代の学説を90年に取り入れたものとしては」 なんですよね。

     なにより、この『ジュラシック・パーク』という映画が、恐竜業界に対していい影響をもたらしたのは、第一作目のみなんですよ。

     これが『ジュラシック・パークⅡ』になると、もう怪しげになってくるんです。


     たとえば 「ティラノサウルスが子供を育児していた」 みたいな、誰も論拠を発見していない説というのも出てきますし。

     あとは、ラストでプテラノドンが羽ばたいて着地するんですけども、本当のプテラノドンは、あんなにデカい翼を動かす筋肉をほとんど持っていないので、羽ばたけるはずがないんです。


     でも、いまだに『ジュラシック・パーク』のプテラノドンは……最新作の『ジュラシック・ワールドⅡ』は見てないんですけども、ついこの間の『ジュラシック・ワールド』までは、延々と羽ばたいてます。


     ここに関しても、ハリウッドは、本当よりも見栄えを優先するという姿勢を崩していないですね。

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