13人の愛好家+1人の外部有識者による、どこよりも濃い独ブンデスリーガ2015-16回顧録・上編
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

13人の愛好家+1人の外部有識者による、どこよりも濃い独ブンデスリーガ2015-16回顧録・上編

2016-08-13 22:00
  • 3

近年、情報は「速さ」と「深さ」で使い分けられ、“どっち付かず”は価値を失いつつあります。我々のプロジェクトは立ち上げ時から一貫して後者を追求し、テーマやページ数に縛られる商業メディアには難しい、1つのクラブ、1人の選手を掘り下げた情報を発信してきました。幸いにも多くの賛同を得て、回を重ねるたびに執筆者が増え、内容は幅広く、濃くなっています。この「独ブンデスリーガ2015-16シーズン回顧録」も、皆様が独ブンデスリーガの歴史を振り返りたいと思った時、大いに助けてくれるはずです。

ただ、決して執筆者達の自己満足の場ではありません。日本での独ブンデスリーガの人気が、少しでも上がるように貢献したい――。全員が、その姿勢で臨んでいます。クラブ、リーグへの愛情が文章から伝わり、皆様に興味を持って頂けたら幸いです。(発起人・暁空也)

回顧録は「2015-16シーズンの要点」、「順位予想という名の恥部をえぐれ!」、「愛好家が選ぶ2015-16シーズンのMVP」、「脳裏に刻み込まれた『マイヒーロー』」、「マイクラブの轍」、「マイクラブの立役者」の6章からなり、その合間には複数のコラムが盛り込まれています。例えば、独ブンデスリーガを広義に捉え、英国圏の事情に詳しい結城康平氏にドルトムントの前監督であるユルゲン・クロップ(リバプール)が英プレミアリーグに与えた影響とドイツのフットボールが世界に与えた変化について語ってもらいました。中編に掲載します。

執筆者は、下の画像の通りです。



長くドルトムントを担当してきた月峰総一朗は、今回を最後に退任します。これまでも我々のプロジェクトは執筆者が入れ替わってきましたし、これからもそうでしょう。「実生活が最優先」を掲げているからです。長く続けていくため、中途半端な内容を避けるため、自由に出入りできるようにしています。

常連は帰ってきやすく、新しい書き手とも出逢える――。そういうプロジェクトになればと考えています。

なお、企画は暁が、編集は昴が、アシスタントはまるよしが担当しました。執筆者の個性が前面に出るよう、基本的に文章はそのまま使用しています。ただ、クラブおよび選手の名称の統一、誤字・脱字の修正などは暁と昴が行いました。クラブおよび選手の名称は独ブンデスリーガの公式サイト(日本語版)に準拠しますが、違和感のある表記が少なくなく、諸事情で統一も完璧ではありません。ご了承下さい。



第1章 2015-16シーズンの要点


バイエルンが史上初の4連覇を達成した2015-16シーズン。グアルディオラ監督はDFBポカールとの“2冠”を置き土産に、英国へと旅立った。トゥヘル新監督の下で戦い方の幅を広げたドルトムントが昨季の6位から2位へと復活し、ロジャー・シュミットの“手綱”に馴染んだレーバークーゼンが3位、開幕から5連敗の悪夢をシューベルトの“指揮”で払拭したボルシアMGが4位と続き、上位戦線は平常化。一方で、人件費では下から数えた方が早いマインツが6位でヨーロッパリーグへの切符を手にし、昨季は15位のヘルタ・ベルリンが長くチャンピオンズリーグの出場圏内に踏み止まり、昇格組のインゴルシュタットとダルムシュタットが揃って残留するなど、下剋上も起きた。シュツットガルトの41年ぶりの降格が、“乱世”の様相を克明に映し出す。

「いつもの」と「特別な」。2つの表情を見せた今季を、執筆者達が振り返る。







■監督の手腕が順位に直結する時代の到来

文・暁空也

独ブンデスリーガの2015-16シーズンは、監督の手腕が順位に直結した印象だ。マネジメントや戦術に長けた指揮官に率いられたチームが好成績を残す一方、明確なアイディアに欠ける、あるいは組織を整備できない“凡将”は多くの勝ち点を失った。

サイドバックを攻撃時にインサイドミッドフィルダーとして振る舞わせるなど独創的なアイディアで“千変万化”のスタイルを確立し、バイエルンを史上初の4連覇へ導いたグアルディオラ。前任者が培ったダイナミズムにポゼッションを植え付け、ドルトムントを昨季の7位から2位に押し上げたトゥヘル。走力と効率の両立に成功しつつあり、欧州の舞台でもレバークーゼンを輝かせたロジャー・シュミット。開幕5連敗で窮地に立たされたボルシアMGを速やかに立て直し、チャンピオンズリーグの出場権を掴んだシューベルト。予算規模では下から数えた方が早いにもかかわらず、リーグナンバーワンの走力を武器にヨーロッパリーグへの切符を掴んだマインツのマーティン・シュミット。若手とベテランを巧みに融合させ、“戦える集団”に変えたヘルタ・ベルリンのダルダイ。上位のチームからは、監督の個性と才覚が滲(にじ)み出る。

2部から昇格したインゴルシュタットとダルムシュタットが残留できたのも、それぞれの強みを磨き、伸ばしたハーゼンヒュットルとシュスターの功績だ。弱冠28歳で着任したナーゲルスマンも、相手や試合の流れによって戦術を使い分け、ホッフェンハイムを降格の危機から救った。数年来、残留争いの常連になっていたHSVを“解放”したラッバディアも、シュトゥットガルト時代の頑迷さは鳴りを潜め、柔軟な手綱捌きを見せた。

逆に、ウォルフスブルクのヘッキングとフランクフルトのフェーは無策を露呈。ヴォルフスブルクは昨季の2位から8位に急落し、フランクフルトはフェーの後を継いだコバチに救われた。フェーの更迭がもう少し遅ければ、2部3位との入れ替え戦にも回れず、降格していただろう。17位のシュトゥットガルトと18位のハノーファーは、監督の交代で失敗。シュトゥットガルトのクラムニーは経験不足からか方針が一貫せず、ハノーファーは守備が崩壊していたにもかかわらずフロンツェックから“攻撃一辺倒”のシャーフにバトンタッチした。彼を挟まず、シュテンドルに任せていれば、来季も1部で戦えたかもしれない。

独ブンデスリーガでは、最新のテクノロジーや知識を身に付け、理論的にチームをコントロールする若手監督が台頭してきた。彼らには自らの理想を練習で落とし込み、試合で具現化する能力があり、選手の信頼を得て結果に繋げる。もはや、精神論や科学的根拠のない“自己流”を押し付ける旧時代の監督は通用しない。近代化の波は、とめどなく押し寄せ、独ブンデスリーガを変革する――。15-16シーズンの結果が、それを浮き彫りにした。


■優勝以外の熾烈な“争い”がリーグを面白くした

文・Siebenendenweg

基本的にヘルタを追っているため、ざっくりした感想だが、終わってみればバイエルンがあっさりと4連覇を達成してしまい、優勝争いは今年もつまらないものとなった。ただ、CL争い、EL争い、残留争いは最後の最後まで熾烈を極め、その点では本当に面白いシーズンだった。

上位では、ドルトムントはトゥヘル監督となり、バイエルンへの対抗馬となるには時間がかかると思ったが、強いチームを作り上げてきた。レーバークーゼン、ボルシアMGと共に来季以降、バイエルン包囲網の中心となるだろう。

逆に期待されたチームとして、まず、ウォルフスブルクは、デブロイネが抜けたことが影響し、ドラクスラーを獲得したが、親会社のフォルクスワーゲンの不祥事のごとくチームの燃費は良くなく低迷。また、シャルケは相変わらず上層部がごたごたしている印象を持った。

ケルンから下は、見事なまでに勝ち点差が詰まったが、チーム力の差は最下位のハノファーを含めてそれほどなかったと思う。シュツットガルトが一時期残留する勢いをみせたものの最終的に降格と、混戦ゆえの残留争いの厳しさを改めて感じた。


■戦術議論を急速に一般化した名将達

文・s04_bhoy

シーズン前に多くの人が予想した通り、2015-16シーズンはバイエルンの4連覇という結果に終わった。そういう意味では意外性はなかったが、グアルディオラやトゥヘル、シュミットなど、戦術的に優れた監督に率いられたチームは、見る者を惹き付け、ドイツ内外で活発な戦術議論が急速に一般化した。リーグでの実力をしっかりと測り、細部にまでこだわったチーム作りを進めたクラブは生き残り、対応できなかったクラブは残留争いを余儀なくされた印象が強い。

その中でも目を引いたのはボルシアMGとヘルタの存在だ。ボルシアMGは開幕からの連敗で、一時は最下位に沈み、ファーブレ監督がチームを離れる事態になった。新しくU-23から就任したシューベルト監督はファーブレの財産をうまく引き継ぎ、最終的にはチャンピオンズリーグ圏内でシーズンを終えた。またダルダイ率いるヘルタは、激しいプレスで相手を封じ、自分の役割を心得た選手全員が一体となって快進撃を後押しした。

個々のレベルでは面白いチームが多かったが、優勝争いが早い段階で絞られてしまうのは、残念だとしか言いようがない。


■中位以下の勢力図は確実に動いていく

文・昴

終わってみればバイエルンの独走だった。勝ち点は昨シーズンより9ポイント高い88。一方で一瞬肉薄したドルトムントが出した78も例年なら優勝を窺う数字であり、トゥヘルのドルトムントが十分な成果を上げたことは留意しておきたい。

レーバークーゼンとボルシアMGまでがCL出場権を確保。特に、監督交代後のボルシアMGのV字回復は目を見張るものがあった。

ヨーロッパの権利を得たのはシャルケ、マインツ、ヘルタ。前半戦絶好調だったヘルタは後半はその半分しか勝ち点を得られず失速。来季に向けて不安を感じる終盤になった。予算規模のまるで違うシャルケとマインツだが、シーズン終盤まで似たような曲線を描いてEL圏に収まった。

デブロイネの移籍に始まり、親会社の問題に揺れたウォルフスブルクは8位。昨シーズンの躍進に期待されていただけに残念な結果に。9位〜12位は折り返し地点と変わらず。特筆すべきはインゴルシュタットか。昇格組ながら来季以降も十分に期待が持てるチームであった。13位のブレーメンは最終節負ければプレーオフに回っていた。

ここから下は紙一重。昨年に続き厳しかった残留争いから零れ落ちたのはシュトゥットガルト。昨シーズン終盤の戦いが継続出来れば残留は堅いと思っていたのだが、監督が代わり・・・。21世紀に入ってからマイスターシャーレを獲得したチームがが降格するのは初になる。

昇格チームが全て残留したのは09-10シーズン以来のことになる。来季の昇格チームもどちらも曲者なだけに、中位以下の勢力図は確実に動いていくことになるだろう。


■来季に期待が持てるホッフェンハイム

文・とんとん

バイエルンの優勝は誰もが予想した結果だろう。今季で退任のグアルディオラはCL制覇こそならなかったが、バイエルンだけでなくドイツサッカー全体に大きく貢献してくれたと思う。

ドルトムントのトゥヘルは選手起用やシステムに工夫を施し、今までにない幅の広さを感じさせた。

レーバークーゼンはDFラインに怪我人が続出する中でも終盤7連勝と地力を見せた。プレスに昨季ほどの力強さを感じなかったが、ブラントの急成長など明るい材料も多かった。

ボルシアMGは開幕5連敗、ファブレの辞任、続出する怪我人、と苦しいシーズンとなったが選手達のポリバレント性と柔軟なシステム変更を駆使して乗り切った。

シャルケのブライテンライターに関しては特に悪い印象は無く、守備ブロック、2列目の自由度の高い攻撃と、1季目にしては攻守共にまとまっていた印象であった。

マインツはバウムガルトリンガーを中心とした堅い守備ブロックと豊富な運動量で躍進。カウンターの質の向上と遅攻時の役割の明確化が進めば、さらに上を狙えただろう。

ヘルタも後半は失速したものの、堅い守備ブロックで躍進。守備時の規律は素晴らしかったが、カウンターの際の意思統一が図れていなかったような印象。

ウォルフスブルクは個の能力には長けるが明確なコンセプトが無く、システム、人選共に定まらないままシーズン終了。

ケルンは守備に昨季ほどの統制を感じなかったが、3バックというオプションや攻撃パターンの増加などチームとしての総合値は向上したような印象。

HSVはハントの加入、CBのビルドアップ意識改善、ホルトビーの豊富な運動量により、昨季よりも攻撃に狙いと流動性が見られた。

インゴルシュタットはハーゼンヒュットルの下、前線からの激しいプレスとグロスを中心とした右サイドからの細かいパスワークの2つを軸に健闘。

アウクスブルクは怪我人の多発、ELとの二足の草鞋に加え、ロングボールを多用した戦術がハマらず苦しい時期が続いたが、組み立ての改善により終盤6戦で11ポイントを獲得し、降格回避。このようなチーム事情の中でのELでのグループステージの突破も見事だった。

ブレーメンは失点数こそ減らなかったが、ヴェスターゴーアとジロボジのCB陣が奮闘。4-4-2に固定した後半戦に攻撃陣が勢い付いたことからも、システムを固めるのが遅すぎた印象。

ダルムシュタットは戦力差を運動量と泥臭さでカバーし残留を勝ち得た。スル、ニーマイヤーを中心とした守備陣と、高さとテクニックを武器としたワーグナーの活躍が印象的。

ホッフェンハイムはナーゲルスマンの下で復調。充実したCB陣を活かした3バック併用に加えアミリ、トリャン、オクスなどの若手も積極起用。来季に期待の持てるフィニッシュだった。

フランクフルトは序盤こそまずまずのスタートだったが、フェーが必要以上にシステムを弄ったことにより、チームが徐々に混乱に陥った印象。

シュトゥットガルトは、ツォルニガー政権時はチャンスクリエイトに長けるものの決定力が不足、クラムニー政権時はルップを活かした組み立ての改善に成功するも徐々に失速。内容的には降格とは縁遠い、不思議なチームだった。

ハノーファーはツィーラー、清武、サネと輝いた選手もいたが、下馬評通り。補強は上手くいかず、度重なる監督交代、狙いの見えない試合展開と不甲斐ない出来だった。


■あっぱれ、ボルシアMG

文・なかがわ

マイスターシャーレを掲げたのは、やはりと言うべきかバイエルン。リーグ戦34試合でたったの2敗、勝ち点は88と圧倒的な強さを見せ、グアルディオラ体制のラストシーズンを有終の美で飾った。その中でもエース、レバンドフスキの活躍は素晴らしかった。シーズン通して30ゴール、第6節のウォルフスブルク戦では途中出場9分間で5ゴールの偉業を達成。改めてバイエルンサポーターは、このゴールマシーンの存在に感謝したことだろう。

ドルトムントは前シーズンの不振から見事復活。新指揮官トゥヘルの下、新たなスタイルを手に入れ、再びバイエルンを脅かす場所に戻ってきた。特に目を引いたのがアタッカー陣。オバメヤンはレバンドフスキに続く25ゴール。ロイスも12ゴールで2桁ゴールを記録し、ミキタリヤンは11ゴール15アシスト。香川はスターティングメンバーから外れる時期もあったが、それでも9ゴール7アシスト。チーム総得点ではバイエルンの80を上回り82を記録した。

レーバークーゼンは終盤に7連勝を達成するなどラストスパートに成功して見事3位フィニッシュ。それまでの不振は以前から指摘しているように欧州カップ戦との並行が原因かなと思う。チームのスタイル的にもかなり走るので疲れが溜まりやすく、そこまで控え選手も充実していない。現に終盤の7連勝も欧州カップ戦敗退後。来シーズンもCLに出場するので、その辺りの改善を個人的にはお願いしたい。

4位ボルシアMG。「何故お前がそこにいるんだぁ!?」。誰もがそう思ったことだろう。開幕5連敗スタートで前シーズン3位に導いたファーブレが辞任。さらにはCLでも死の組に。もう07-08シーズン以来の2部降格も有り得るんじゃないかという雰囲気に。そこでこの窮地を救ったのが後を継いだシューベルト。就任後6連勝で再び「何故お前がそこにいるんだぁ!?」と思わせるほど一気に順位を上げていき、最終的には4位。あっぱれである。

5位に入ったのはシャルケ。序盤好スタートを切ったかと思えば、不安定な戦いが続くなど今季も調子の波が激しかった、そんな印象。そして上位との直接対決で勝てない。不安定な守備が原因か。ただその守備陣の中で、守護神フェアマンの活躍は光った。

6位ヘルタ・ベルリン。このクラブがこの順位に入ってくることは、開幕時点では予想できなかった。ただ試合を見てみると非常に面白いサッカーをしていて、6位というのも納得である。首都のクラブとして今後の上位定着を期待したい。

7位マインツ。今シーズン岡崎とガイスは抜けたがGKカリウス、MFのバウムガウトリンガーとマリら中心選手がチームを牽引した印象。

マインツ、ヘルタ・ベルリンと失礼ながら驚きの躍進を遂げたクラブとは対照的に、失意の1年を過ごしたのがウォルフスブルク。開幕前のスーパーカップでは優勝を飾り、「リーグ戦もひょっとして・・・」と思わせたが、その夢は悪夢へと変わっていった。個人的にもそのひょっとしてを期待していたので、非常に残念であった。

9位ケルンはウジャーが抜けた穴を新加入モデストが埋める以上の活躍。シーズン途中で見られたリッセのSB起用は印象に残った。

ここ2年連続で16位となり、入れ替え戦を戦ったHSV。今シーズンはそのサイクルから抜け出し10位でシーズンを終えた。試合はほとんど見れなかったが、データを見るとニコライ・ミュラーが9得点を挙げており、彼の活躍が光ったのだろう。来シーズンは彼に注目してこのチームを追っていきたい。

まさか、インゴルシュタットが34試合を戦い切ってこの順位にいるとは思わなかった。しかし、彼らが見せたハイプレスサッカーはそれに値するもの。見事な11位フィニッシュだ。

前シーズン5位と躍進しEL出場権も獲得したアウクスブルク。個人的に、ブンデスリーガのいわゆる中小クラブは飛躍した翌年欧州カップ戦との2足の草鞋で苦しみ、残留争いに巻き込まれる可能性が高いと思っており、アウクスブルクもまたそれに当てはまってしまった。印象に残った選手は後半戦から加入して7得点記録したフィンボガソン。エールディビジ得点王にもなったことがあるその実力を見せ付けた。

第37節終了時点で16位と降格の可能性も十分にあったブレーメンは、最終節の勝利で一気に13位まで順位を上げ、残留を勝ち取った。残留を決める上で大きかったのは第36節の対ケルン、最終節の対フランクフルトと残留争い直接対決を制したことだろう。シーズンを通して振り返ると、4シーズン振りに復帰した37歳FWピサーロの活躍が大きかったように思う。このブンデスリーガ史上最高の外国人選手はまだ衰えることを知らない。

14位ダルムシュタット。インゴルシュタットと並んで今シーズンびっくりチームの1つ。戦力に差がありながら残留を果たしたのもびっくりだが、ホームで2勝しか出来ずにアウェイで7勝しちゃうこの外弁慶。本当にびっくり。

前半戦終了時点で降格濃厚だったホッフェンハイム。その負の流れを変えたのが、若き新指揮官ナーゲルスマン。攻撃的なスタイルでチームを変貌させ、順位を15位に押し上げ残留へと導いた。冬にレスターから加入したクラマリッチはとても面白い存在。来シーズン注目選手の1人だ。

16位はフランクフルト。まずアルミン・フェーの監督復帰時点で嫌な雰囲気は漂っていた。スタートこそまずまずだったものの、徐々に怪我人も増え、守備も安定せず。3月には解任され、ニコ・コバチが指揮を執ることに。元クロアチア代表監督の下、チームは勝ち点を積み上げミッション:インポッシブルな状態から見事残留達成。グレートですよ、こいつはァ!

17位シュトゥットガルトは序盤と終盤で躓き、まさかまさかの降格。魅力的な攻撃とは裏腹に守備がボロボロでした。名門の1年での1部復帰を祈っています。

18位ハノーファーは落ちるべくして落ちました。夏の補強、シャーフの招聘。落ちるべくして落ちた。以上です。


■上位陣の自滅がバイエルンとドルトムントの独走を生み出した

文・Fusshalt

今シーズンの印象は、上位陣が自滅した故にバイエルンとドルトムントの独走を生み出した、という感じである。だが、そのドルトムントもまだ試行錯誤の最中という感じは否めず、結局はバイエルンの底力を改めて認めざるを得ないというシーズンでもあったと思う。

安定しない上位陣の結果が3位以下の混戦を招き、最後の最後まで気の抜けないシーズンを演出したとも言えるので、ファン的には楽しめたシーズンではあった。また、昨シーズン低迷したヘルタを建て直し、残留に成功させたパル・ダルダイ監督の活躍はフロックではなかったことを証明したのが印象深い。少ない補強ながら最大の効果を上げ、ヨーロッパリーグまでチームを引き上げた同監督の手腕の高さ、戦術的引き出しの多さとを感じた。

昇格を果たした2チームともに残留に成功したことは、正直自分にとっては驚きであった。特にダルムシュタットの残留に関しては、シュスター監督の手腕によるところが大きい。スタジアムは貧弱、選手も補強として他チームで戦力外になった選手がメインであったことを考えると、この残留は奇跡に近いと言える。

何しろ、スタジアムはシャワーが故障しており、温水が出ない!天井の配管も壊れており、水も漏れるという老朽化しすぎの場所なのだ。自分も同スタジアムに遠征したが、スタンドにはほとんど屋根が無い、地面も舗装されていないなど、およそ一部に所属するチームのスタジアムとは思えなかった。

そんなチームを率いて見事残留争いを勝ち抜いたシュスター監督には畏敬の念を禁じえない。

一方、降格およびプレーオフを戦った3チーム(ハノーファー、シュトゥットガルト、フランクフルト)は、いずれも降格するような選手陣容ではなかったし、チームの規模からしても中位にいて然るべき存在であった。

ここで注目したいのはSDの手腕、ということだろう。特にハノーファー、シュトゥットガルトはそこが顕著に表れたと見ている。この2チームは、いずれもチームの補強ポイントを誤ったが故に降格したと見ている。特に両チームに共通しているのは守備陣の補強を怠っていたが故に、その綻びから崩れていったという点である。

その点、フランクフルトは若干異なる。ここはフェーがシーズン序盤に築いたチームはなかなか期待できるものだったものの、怪我人で構想が狂った部分を修正することが出来なかったがための低迷であったように思う。この点はフェーの名誉のために強調しておきたい。

後任のニコ・コバチが苦しみながらもチームを掌握、立て直しにギリギリで成功したのがプレーオフにおいてニュルンベルクに競り勝てた理由だろう。代表チームを率いた経験はあるものの、クラブチームを率いた経験は無かったコバチを招聘したフランクフルトの首脳陣は賭けに勝ったということだろう。

以上のように、上位の2チームはほぼ安定した戦績を残したものの、それ以下はそれぞれ様々な困難に苦しみながら戦ったシーズンであったといえるだろう。だが、それが故に非常に見所も多いシーズンであったと言えるのではないだろうか。


■名門と新興の入れ替わりを予感させる

文・YAMADA

チャンピオンズリーグおよびヨーロッパリーグ圏内に入った上位陣の顔ぶれは、お馴染と新入りの入り混じりというところか。中でも印象的だったのがヘルタ・ベルリン。リーグの最終順位は7位となったが、第16節から第29節まで安定してCLストレートインの3位を維持し続け、DFBポカールも準決勝まで駒を進めたのは、特筆に値する。

EL組と云えば、アウクスブルクがリーグ戦との掛け持ちで疲弊し、リーグ戦では残留争いに巻き込まれるも、最後は踏ん張って残留を決めた(12位)のは、実にしぶといド根性。劇的回復という点では、開幕5連敗で最下位からの監督交代で急激に順位を上げたボルシアMG(4位)や、28歳の監督を迎えてからのホッフェンハイムの勝ち点の積み重ね(15位)もなかなか見応えがあった。

逆に、ウォルフスブルクが第26節から第32節までずるずると勝ち点を落としたのは残念な姿(8位)。CLの決勝トーナメントに集中し過ぎると、これ程まで急激にリーグでも崩れるのかと溜息が洩れる。また、毎度のこととは云え、シャルケのあと一歩上に上がれない感(5位)には様式美すら感じた。

残留争いに目を移すと、どうにもやるせないのが古豪シュトゥットガルトとハノーファーの降格。この2チームは近年迷走と低迷の迷路に嵌(はま)り込んでおり、降格は時間の問題だったかもしれない。それでも、あともう少し何とかならなかったのかと寂しい。また、さらに恐ろしいことに、第32節の残留争い直接対決、ブレーメン対シュトゥットガルトの結果が逆だったら、17位で降格したのは古豪ブレーメンとなった可能性もあったのだ。

昨シーズンはHSVが入れ替え戦まで回ってあわやブンデスリーガでの歴史が途切れるか!?というところまで追い詰められた。今シーズンの1部ではアウディをバックにするインゴルシュタットが昇格組ながら安定の中位を保ち、2部では「金満赤牛」と揶揄されるライプツィヒが1部昇格を決めた。ブンデスリーガの名門と新興の入れ替えを予感させる15-16シーズンだった


■衝撃的なシュトゥットガルトの降格。明日は我が身

文・ゆんゆん

またしても王者バイエルンが格の違いを見せつけたシーズン。CBの負傷が相次ぐとベナティア、タスキなど本職の選手ではなく、キミッヒやアラバを起用して乗り切って見せたグアルディオラの采配は、最後まで見る者を飽きさせなかった。ただ、優勝はあくまでノルマ。

終盤までバイエルンに執拗に食い下がったドルトムントの戦いぶりを称えたい。輝きを取り戻したミキタリヤンを含め破壊力抜群の攻撃陣には魅了された。タイトルだけが付いてこなかった。欧州選手権のドイツ代表に抜擢されたワイグルに加え、プリシッチやパスラックなど10代の新星が次々に台頭しているのは羨ましい限り。

後続は、この2チームに遠く及ばず。レーバークーゼンは最後の追い込みで意地を見せたが全体的には期待外れ。ボルシアMGは開幕5連敗で昨季のドルトムントの悪夢を連想させたが、シューベルト監督の就任から見事に盛り返した。順位こそ下だが、こちらの方がポジティブな印象を受けた。

デブロイネの穴を埋めきれなかったウォルフスブルクは優勝争いはともかく、まさかEL出場権すら逃すとは。CLで健闘したとはいえ、大失態に違いない。終盤戦は勝点バラ撒きマシーンに変身。その3ポイントのおかげでブレーメンが残留できたので複雑ではあるのだが。

シュトゥットガルトの降格には衝撃を受けている。リーグ再開直後の快進撃で残留争いから抜け出したかに見えたが、その後は嘘のように急降下し最後は6連敗。そう遠くない過去、共に優勝を争った名門の降格。明日は我が身である。

ハノーファーは戦前から予想されていた通りで妥当だろう。ブレーメン側の視点で言えば、途中から任に就いたシャーフ監督がほとんど何も良いところなく解任されたのは見ていて辛かった。そもそもハノーファーの陣容からして彼を招聘したこと自体不思議ではあったのだが。ブレーメン時代末期からどこか時代に取り残されてしまっているような印象で寂しさを覚えた。



□Zettelという名の珍事

文・るか

2015-16ブンデスリーガにおいて、「Zettel」()という単語が現地実況や紙面を賑わせるちょっとした珍事が何度か起こった。日本でも一部で話題になっていたことだが、改めてざっと振り返ってみたい。

※Zettel【ツェッテル】:紙片,紙切れ;メモ用紙;ビラ,ちらし;(索引・目録の)カード

発端は第14節、ホッフェンハイム×ボルシアMG。ボルシアMGは開始早々ジョンソンが古巣相手にゴールを決めて先制するも、前半のうちに逆転を許し、後半開始直後にもゴールを決められ3失点。ドウルミッチのゴールで1点差に迫るものの、3-2の状態から20分以上スコアが動かなかった。

このままでは逆転負けのボルシアMGは80分にエルヴェディを投入したのだが、シューベルト監督はエルヴェディに何やら大事そうに紙切れを手渡して送り出す。



エルヴェディはこれをシュティンドルとジャカに配り、ピッチ上で堂々と監督からのお手紙を読み始める人々…。



主審も遠くから訝しげに見ているが全く気にしない(笑)。

この謎の作戦が奏功したようで、ボルシアMGは87分に同点に追いつくことに成功。この時点でのシューベルト監督のブンデス無敗記録を更新した。

次に波紋を呼んだのは第16節、バイエルン×インゴルシュタット。得点数は極端に少ないながら失点数も異常に少ないのを強みに中位で健闘する昇格チーム相手に、首位バイエルンもなかなかゴールを割らせてもらえない。

インゴルシュタットの狙いどおり0-0のまま時間は過ぎていったのだが、55分、タッチラインを割ったボールを取りに行ったラームにペップがすかさず駆け寄って紙切れを手渡した。



ラームは紙切れを手に持ったままスローイン→紙切れを手に持ったまま「こ、これどうしよう」という感じでしばらくプレーを続けていたが、相手スローインになったタイミングで取り急ぎハビ・マルティネスに紙切れを手渡す。



この直後バイエルンは1度カウンターを浴びるのだが、ノイアーが防ぎ、そのシーンのリプレイが何度か流れている間にどうやらほぼ全員がメモの内容を共有したらしい。





メモに従いシステム変更が行われた数分後の64分、ボアテングのロングボールに抜け出したレバンドフスキから待望の先制ゴールが生まれる。

その後、メモを手渡された張本人ラームもほぼ1年ぶりのゴールを決めて、結果的には2-0でバイエルンの勝利となった。

試合後、バイエルンは公式ツイッターでペップのコメントを紹介。



「(選手に渡したメモについて)ボルシアMGでもうまくいったし、うちでもうまくいった!全ての監督がこの作戦を使えばいいと思うよ」

ちなみに、この「メモ作戦オススメ」ツイート(のドイツ語版)に当のボルシアMGからツッコミが入り、ちょっとしたやりとりが行われていた。



ボルシアMG公式:「(うまくいったと言っても)ホッフェンハイム戦でのうちのメモは1ポイントしか稼げなかったんですけどね~ ;-)」

バイエルン公式:「まぁ、ペップはそのことは知らなかったんだと思われ ;-)」

ブンデスのクラブ公式同士がツイッターで楽しそうに絡んでいるのは割とよく見られる光景だが、大抵の場合、本人たちがやたら楽しそうな割にはどこが面白いのかさっぱりわからないやりとりである ;p)

それから約2カ月が過ぎた第23節、ドルトムント×ホッフェンハイム(この時のホッフェンハイムは、ボルシアMGにメモ作戦を食らったステフェンス監督から28歳ナーゲルスマン監督に替わっている)。

忘れた頃に、なんとダブルでそれは起こった。

この試合は前半25分にルディのゴールでホッフェンハイムが先制。その後の39分、ナーゲルスマン監督からフォラントを経由してルディに紙切れが届き、そこから各選手に回された。



首尾よくリードしている前半のうちにメモが送られるのは斬新な試みで、新進気鋭の最年少監督はやることが一味違う。一説にはこの日が誕生日でバースデーゴールも決めたルディへのお祝いメッセージだったのではと言われている。

ところが58分に当のルディが一発退場となってしまったため、結果から見るとナーゲルスマンの伝言メモ作戦は裏目に出たと言えるかもしれない。

数的不利に陥りつつもアウェイのホッフェンハイムは0-1とリードを保ったまま暫くは耐えていたが、74分、ドルトムントのトゥヘル監督が勝負に出る。

ヴァイグルをラモスに・シャヒンをライトナーに2枚替えしたのだが、この時ライトナーの手には例の紙切れが…!



最初の届け先はロイス。

まさにこの後、80分ミキタリアンで同点→85分途中出場のラモスで逆転→92分オーバメヤンでダメ押し、と一気にドルトムントが試合をひっくり返したので、結果的にメモ対決としてはトゥヘルメモの大勝利となった。

この、試合中に両チームとも謎のメモを使用するというダブルメモ対決にはブンデス公式も反応。参考資料として今季最初にメモ作戦を決行した第14節ボルシアMGと2番目の第16節バイエルンも取り上げつつ、動画に纏めてくれている。ホッフェンハイム勢のメモのしまい場所にも注目。

https://youtu.be/XlA6u1Re4b8

なお、この動画にもちらっと登場するバイエルン編のメモの中身として、試合直後あたりには海外でこんなネタ画像が拡散されていた。



もし本当にこうだったならという想定で、ラブレターを預かっちゃって困惑しながら暫(しばら)くプレーを続けたラームキャプテンと、真っ先に手渡されて読んだ時のハビマルの心中を妄想するとちょっとくすっとできるので、心が荒んだ時にでもお試しあれ。

かくして15-16シーズンブンデスリーガでプチ流行(?)したメモ作戦。来たるシーズンにもどこかの試合で見られるのかどうか、地味に楽しみである。



第2章 順位予想という名の恥部をえぐれ!

文・昴

2015-16シーズンのプレビューで、13人の執筆者には順位予想を行って頂きました。昨シーズンは7人で行っており、比較的予想しやすいシーズンではあったものの、平均して的中は3チーム前後。誤差1まで含めても6チーム前後といったところ。今季は昨シーズンより拮抗しており、より難しさを感じた人が多いのではないでしょうか。

それでは結果発表と、予想内容を見ながらシーズンを振り返りたいと思います。



的中を水色、誤差1以内を緑、誤差6以上を赤に着色しております。

的中数トップは昴の5チーム。誤差1以内を含めれば7チームで、14-15シーズンに続き最多的中を達成しました。2位タイに3チーム的中のなかがわ、Fusshalt、まるよし。いずれも誤差1以内を含めれば6チームがほぼ予想通りという結果に。

それとは別に、今回は「平均誤差」という数字を算出させて頂いております。誤差合計を18チームで割った数字になります。

こちらのトップはふみ。誤差2以内に10チームという数字を出しており、表では分かりづらいですが、かなり高い精度の予想になっております。

それでは、どこが予想者を苦しめたのか少し見ていきたいと思います。



こちらはチーム別の予想結果になります。

特に見て頂きたいのは平均誤差、誤差3以内と6以上の3項目。平均誤差はプラスが大きいほど期待を上回り、マイナスが大きいほど裏切ったという数字になります。

最も期待を超えたのはヘルタ・ベルリン。昨季ギリギリで降格を回避したチームには当然懐疑的な見方が強く、1桁順位を予想した人間は0でした。しかし、シーズン前半の台風の目となり、後半失速するも欧州への権利を得てフィニッシュ。結果、まっつーを除く12人が大外しということに。チームの状況を一変させたダルダイ監督への称賛の声が並んでおります。

同じく大きく期待を上回ったのがマインツ。昨季はヒュルマンド監督の改革が奏功せず、マーティン・シュミット監督が立て直すまで苦しみました。しかし、継続路線の今季は安定感を見せ、前半を8位で折り返すと、ペースを落としたヘルタ、ウォルフスブルクをパスして6位でゴール。マインツを一桁に予想したのはゆんゆんのみで、9人がここでも大きく予想を外すことに。こちらからは1つレベルを上げたカリウスに対する好評価が目立ちました。

そして、もう1つがインゴルシュタット。昇格組2チームは予想者を大いに苦しめました。何せトップリーグでの情報が一切なく、開幕前の段階では試合を観たことが無い人が大半だったのではないでしょうか。

ほとんど実績のない両チームを15位以上に置くものは少なく、インゴルシュタットを自動降格圏に置いた者は6人に上りました。

結果はアグレッシブなサッカーを貫き堂々の11位。来シーズンも残留が十分に期待出来るチームだったのではないかと思います。ダルムシュタットと共に2チーム共残留を予想した者はおらず、今シーズンにおける大きなサプライズの1つになりました。

一方、ここからは期待外れに終わったチーム。

まずはウォルフスブルクの名前を上げないわけにはいかないでしょう。締切の関係上、予想がデブロイネの移籍前だったことが大きく影響しており、執筆者の皆が口を揃えてこちらの要因を挙げております。デブロイネの移籍決定後の予想であれば、5人が優勝に推すことはなかったのではないでしょうか。

とはいえ、8位というのは期待外れと言わざるを得ないです。CL圏外を予想したのは1人のみ。

序盤負けなしで挑んだバイエルン戦。プラン通りに先制し、順調に見えたチームを崩壊させたのは遅れて出てきた赤のストライカー。僅か9分で5本目が叩き込まれる頃には、まるで別チームのような空気に変わってしまいました…。

ウォルフスブルクと並び、期待を大きく下回ったのはホッフェンハイム。多くの予想者が6強を脅かす存在として期待したチームは前半戦まさかの最下位ターン。それでもウインターブレイク明けに立て直したチームはプレーオフ圏に1ポイント差で辛くも残留。後半の戦いぶりは中位を窺えるものだっただけに、序盤の出来が悔やまれる結果に。

ウォルフスブルクと並ぶ7人が大外しという結果。どちらもポテンシャルは十分だったのですが…。

最後は降格したシュトゥットガルト。2000年代にはシャーレを獲得したチームがまさかの降格。立て直して中位を窺うと予想する者と残留争いに関わると予想する者と真っ二つに割れていたのですが、結果降格の憂き目に。残り6試合の段階では有利な条件だったのですが、そこから全敗。それどころか9試合勝ち無しと完全にチームが崩壊しました。

原因はリーグワーストにあたる75失点の守備面。残留を争っていたブレーメン戦での6失点からはチームの状況の悪さが滲み出ておりました。まるよしが的中、5人が誤差3以内の一方で、7人が大きく外しております。

ここまで予想を大きく覆しリーグを盛り上げた6チーム(+ダルムシュタット)について触れさせて頂きました。全体を振り返れば、誤差3以内の項目を見てわかるように、上位陣は大体いつもの顔触れ。中位以下が如何に読めないものかが見て取れる表になったかと思います。

予想を外してくるチームは、そのリーグの華とも言えます。名門の残留争い、新興勢力の躍進。そういった想定外が我々の頭を悩ませ、そしてリーグを楽しませてくれます。

色々な意味で変化のシーズンになったかと思いますが、来シーズンはフライブルクが戻り、そして遂にライプツィヒが上がってきます。既にプレシーズンが始まり、各チームや個々の選手のチェックに勤しむ方も多いのではないでしょうか。さらに渾沌としたブンデスリーガに期待しつつ、この項を終わります。

最後に、的中1人のチームと予想者、予想者のコメントを記します。この13人の中で唯一の的中は、スカウティング力の賜物と言えるかもしれません。

ゆんゆん:HSV、フランクフルト

なかがわしんや:アウクスブルク

昴:ダルムシュタット

脚魂:ホッフェンハイム

まるよし:シュツットガルト

※上位者より順に記載

16-17シーズンの順位予想へのご参加も、是非お待ちしております。

<予想者のコメント>

暁空也・談

上位の顔ぶれは、概ね当たっていたのではないだろうか。バイエルン以外を1位に選んだ執筆者が信じられない(猛毒)。ウォルフスブルクは昨季の2位が「出来過ぎ」だと判断して3位に置いたが、まさか8位まで落ちるとはDAIGOさん大誤算だった(寒い)。

誤算と言えば、ホッフェンハイム、シュトゥットガルト、ヘルタ・ベルリン。ホッフェンハイムとシュトゥットガルトは過大評価、ヘルタ・ベルリンは過小評価だった。ホッフェンハイムとシュトゥットガルトは監督が凡庸でも個の力で中位を狙えると読んだが、欧米の菓子より甘いと言われても仕方ない。

一方で、ファンには怒られるかもしれないが、シャルケは戦力的にヨーロッパリーグの出場権が妥当という評価は正しかった。最後に、昇格組の残留に敬意を表したい。割り切るべきは割り切り、ストロングポイントを前面に出す、驚くべき組織力だった。

脚魂・談

不特定多数の人向けにプロスポーツの順位予想をしたのは今回が初めてでした。結果は…難しいですね。昇格組(インゴルシュタットとダルムシュタット)が揃って残留するとは思いませんでした。あと、ウォルフスブルクを1位に予想した皆様へ。期待を裏切って申し訳ありませんでした。


Siebenendenweg・談

優勝争いは、戦力的に一つ上回るバイエルン、ボルシアMG、レーバークーゼンの3チームによる熾烈な争いとなるかと予想していたが、結局はバイエルンが4連覇を達成した。優勝予想したボルシアMGが、まさか開幕5連敗し、挙げ句の果てにファブレが辞任するとは思わなかった(というよりも誰しもが予想できなかったと思うが…)。

残留争いの方は混戦になったが、中位までを含める形となり、予想以上の大混戦だった。また、昇格組はいずれも戦力的に劣ると考え、降格を予想させてもらったが、インゴルシュタットは手堅い試合運びを見せ、ダルムシュタットは野武士のごとく戦い、共に残留を果たした。とにかく例年以上に予想が難しいシーズンだったと感じている。

以下に、シーズンを勝ち点でなく、勝ち点を偏差値換算したものを紹介する。



どれだけ今シーズンが混戦だったかが、3位のラインと降格圏の16位のラインを見るとよく分かる。


S04_bhoy・談

バイエルンの対抗馬としてウォルフスブルクを挙げてみたが、実際にはバイエルン、ドルトムントの二強というシーズンだった。ウォルフスブルクはデブロイネの抜けた穴が大きく、新規加入したドラクスラーも埋めることはできなかった。

ただ上位6チームの顔ぶれを見ても、最終順位はともかく、良い意味で予想を大きく裏切ることはなかった。ダルムシュタットとインゴルシュタットが残留したのは、ドイツ2部の上位と1部の下位との実力差が、小さくなっていることを意味する。中位から下に関しては、今後もどこが降格してもおかしくない状況が続くのではないだろうか。


とんとん・談

ウォルフスブルクの低迷を除けば上位5チームの上下関係は予想通り。昨季の傾向として中位には攻撃特化型のチームが並んでいたが、今季はマインツ、ヘルタ、インゴルシュタッド、ケルンといった守備に特徴があり、守り勝てる堅実なチームが中位に食い込んできたという印象。


なかがわしんや・談

上位に関しては大方予想した通りのメンツになったが、ウォルフスブルクが8位と順位を落としたことで1つずつ順位がズレてしまった。悔しい。そして中位に予想した、ブレーメン、ホッフェンハイム、フランクフルト、シュトゥットガルト、アウクスブルクが残留を争うことになり、16位以下に予想したヘルタ・ベルリン、ダルムシュタット、インゴルシュタットが躍進。改めて自分の見る目の無さを痛感すると共に、この予想不可能なリーグの面白さを感じた1年だった。


Fusshalt・談

開幕前に自分が予想したのは以下のような感じだった。



開幕前のスーパーカップを見た限りでは、デブロイネを中心に堅守速攻を軸にした戦術を敷くウォルフスブルクがシャーレに一番近いと思われた。そこから優勝をヴォルフスブルク、2位に僅差でバイエルン、3位にレーバークーゼンと予想した。ルール地方の両雄に関してはどちらも監督交代したばかり、特にドルトムントは前任のクロップ氏の長期政権後にトゥヘル氏が監督に就任したこともあり、ヨーロッパリーグ圏内に入れれば御の字だろう、と考えていた。

そして、実際に34試合が終わった後の順位は以下のようになった。



チームの核であるデブロイネを開幕直前に失ったウォルフスブルクは8位に終わり、ドルトムントはトゥヘル氏が見事にチーム掌握に成功して2位に着いてみせた。また、ヘルタ・ベルリンが大躍進した一方、同じく昨シーズン低迷したハノーファー、シュトゥットガルトは巻き返しをすることが出来ずに降格の憂き目に遭っている。

自分の予想は3個正解、正答率16.6%と非常に低い値に終わってしまった。勝負は水物とはいえ、開幕前に期待し過ぎた分、チーム戦力を贔屓目に見過ぎてしまったのが敗因である。ここは来シーズンへ向けての反省点としたいところである。


まるよし・談

上位のチームは順当と言える結果ではないだろうか。トップ5の内、4チームの顔触れは予想通りだった。一方で近年は中位以下の実力が均衡しており、降格圏のチームですら予想するのはなかなか難易度が高い。的中したのは17位のシュツットガルトのみ。ダルムシュタットの残留はまったくの予想外だった…。

手前味噌ではあるが、HSVの順位を11位と予想(実際には10位)して差異がほぼ無かった点は大満足の結果だった。


ゆんゆん・談

的中はHSV(10位)とフランクフルト(16位)だけ。ホッフェンハイムの躍進予想は見事、大ハズレ!優勝をウォルフスブルクにしたけど、デブロイネの残留が前提って言ったし、セーフでしょ…。あと、ブレーメンの8位は無かったことにして下さい。



□煌いた“桜の侍”~日本人の2015-16シーズン~

文・暁空也

独ブンデスリーガ2015-16シーズンでは、“桜の侍”が煌(きらめ)いた。ドルトムントの香川真司とハノーファーの清武弘嗣だ。前者は9得点7アシスト、後者も5得点6アシストを挙げ、共にチームで主軸を担った。独「キッカー」の採点でも、揃って70位台と上位の3分の1に入る。今季は10人の侍がプレーしたが、2人はその“旗頭”だった。







とりわけ清武は、ハノーファーで絶対的な地位を確立。怪我で離脱する期間も短くなかったが、出場すれば好機を量産した。チャンス創出数は、日本人で最多の98。8試合多く出場した同2位の香川より15も多い。ハノーファーのサポーターは「清武が万全で1年間を戦えたら残留できた」と臍(ほぞ)を噛んだかもしれない。リーガ・エスパニョーラの強豪、セビージャからラブコールが届いたのも納得できる。


清武のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ

香川は“復活”した。出場試合数、プレー時間、得点、アシスト、パス成功率、クロス成功率、1対1の勝率は前年を上回り、得点、アシスト、パス成功率は日本人でトップ。やや調子に波があり、DFBポカールの決勝ではベンチスタートを強いられるなど、継続性に課題も残ったが、トップフォームを取り戻したのは間違いない。


香川のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ

独ブンデスリーガのファンを最も驚かせた侍は、マインツの武藤嘉紀だ。国際的には無名の若者が、ウインターブレイクまでに7得点2アシスト。後半戦は怪我に泣いたが、センセーショナルなパフォーマンスだった。キッカーの採点では、香川、清武に次ぐ88位。来季は、日本人で最も低かったパス成功率と1対1の勝率を上げたい。激しい圧力を受ける1トップは総じて数字が低くなるが、彼には改善できるポテンシャルがある。


武藤のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ

転機を迎えたのが原口元気だ。渡独から2シーズン目を迎え、先発に定着。出場試合数は昨季から11、プレー時間は同1139分も増え、得点、アシスト、チャンス創出数、パス成功率、1対1の勝率も伸ばした。フィニッシュの精度を磨けば、来季はさらに声価を高められるだろう。シュートのミスで得点に至らない場面が少なくなかったからだ。


原口のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ


長谷部誠も充実した日々を過ごした。出場試合数とプレー時間は日本人最多。第32節のダルムシュタット戦では、約3年ぶりに得点した。パス成功率や1対1の勝率は僅かにマイナスだが、昨季は1本だったクロスは26本と大幅に伸長。攻撃への貢献度は増した。シーズンを通じて本職である中盤の中央で出場できたのは――恒例の右サイドバックでもプレーしたが――、手応えを感じているだろう。


長谷部のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ


大迫勇也、酒井高徳、酒井宏樹の出場は20試合台にとどまり、不動の存在にはなれなかった。ただ、酒井高徳は尻上がりに調子を上げ、後半戦は攻守に躍動。豊富な運動量、献身性、的確なポジショニングでチームのサイドを安定させた。クロスの本数と成功率が上昇したように、昨季に比べて“攻撃力”の向上も見られる。


酒井高徳のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ


大迫はチャンス創出数、パス成功率、クロス成功率、1対1の勝率と多くの数字が改善したが、2列目での起用が多かった証左でもあり、本人は不本意だろう。実際、得点は2、アシストは3、昨季から減少。ゴール前での怖さを欠いた。


大迫のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ


酒井宏樹は、例年通り1対1の勝率は独ブンデスリーガのサイドバックでトップクラス。得点やチャンス創出数、パス回数などに“前進”も窺えるが、依然として不用意なプレーは減らず、キッカーの採点では下から12番目だった。データと評価が結び付かない、もどかしいタイプだ。


酒井宏樹のスタッツ 出典)独ブンデスリーガ

15-16シーズンは、怪我や適応などの問題を抱えた長澤和輝(前ケルン)と山口蛍(前ハノーファー)を除けば、全ての蒼き侍が20試合以上に出場した。リーグを牽引するほどのインパクトは与えられなかったが、助っ人としての「日本人ブランド」は着実に価値を高めている。



以下、中編に続く

広告
コメントを書く
コメントをするには、
ログインして下さい。