9人の愛好家が語る、独ブンデスリーガの楽しみ方と2016-17シーズンの要諦・上編
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9人の愛好家が語る、独ブンデスリーガの楽しみ方と2016-17シーズンの要諦・上編

2016-09-26 22:30

    ~はじめに~

    まずは、「9人の愛好家が語る、独ブンデスリーガの楽しみ方と2016-17シーズンの要諦」の公開が当初の予定から大幅に遅れ、執筆者および読者に心からお詫び致します。

    さて、独ブンデスリーガの2016-17シーズンは、日本人のファンにとって転機と言えます。なぜなら、動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」が全試合を放映するからです。つまり、リーグやクラブの利益を害する違法配信と決別できます。昨季までは「フジテレビのCSやJスポーツで中継がないから…」と、止むを得ず違法配信で試合を観戦し、良心の呵責に苛まれた方も多いでしょう。しかし、今季はどのクラブのファンも“真っ当に”全ての試合をリアルタイムで観られます。

    もちろん、DAZNの機能やサービスなどには課題が山積しており、とても快適な視聴環境とは言えません。それでも、独ブンデスリーガのファンにとっては“救世主”であり、今季を語る上で欠かせない存在です。

    DAZNは、日本人と独ブンデスリーガとの接点を増やし、深め、新たなファンを開拓していくでしょう。既存のファンは、気になる選手やクラブをいつでも、どこでもチェックできるようになり、より関心を強めるに違いありません。

    そうした中で、当プロジェクトは今季も変わらず、深く掘り下げた“メディアには難しい濃い情報”を提供し、新旧のファンの知的欲求に応えていきたいと考えています。温かく、時に厳しく、見守って頂けると幸いです。(発起人・暁空也)

    「9人の愛好家が語る、独ブンデスリーガの楽しみ方と2016-17シーズンの要諦」は「ワタシの独ブンデスリーガの楽しみ方」、「2016-17シーズンを占う」、「注視すべき旬のクラブ・選手」、「宇佐美貴史の勝算」、「マイクラブの未来予想図」の5章で構成されます。

    執筆者は以下の画像の通りで、新たに「だのら」氏が加わりました。



    この場を借りて、改めて参画に感謝を申し上げます。

    今回は既存の執筆者の欠席が多いですが、喧嘩別れしたわけではないので安心して下さい。残念ながら、実生活との折り合いが付かず、書く時間を捻出できなかっただけです。

    なお、原稿は原則として開幕前に受け取っています。そのため、9月26日時点では古い情報なども混在していますが、ご容赦下さい。

    その原稿は、執筆者の個性が前面に出るよう、基本的にそのまま使用しています。ただ、クラブおよび選手の名称の統一、誤字・脱字の修正などは暁が行いました。クラブの名称は独ブンデスリーガの公式サイト(日本語版)、選手の名前は「ヨーロッパサッカー・トゥデイ」(日本スポーツ企画出版社)に準拠しますが、執筆者が独自に用意した画像や表などは修正できず、完璧ではありません。ご了承下さい。



    第1章 ワタシの独ブンデスリーガの楽しみ方

    独ブンデスリーガをこよなく愛する執筆者達が、より楽しく観るための“自己流”を明かす。


    ■クラブを追うなら、やはり地元紙

    文・Siebenendenweg

    ブンデスリーガを楽しむというよりは、私の場合は、ヘルタ・ベルリンの動向に一喜一憂する日々を過ごし、時間のある時に、チームの情報を追っている。ここでは、情報をどのように追っているのか簡単に紹介したいと思う。

    まず、日本語版もあるため、日本では一番メジャーであろう「キッカー」だが、リーグ全体の情報を見たいときに見る程度だ(日本語版は、基本的なチーム名などの誤りが多く、あまり個人的には好感が持てない)。

    次に、全国紙で、日本ではスポーツ紙などが引用するケースが多い「ビルト」。キッカーよりも目を通すことは多く、ビルトのヘルタ番も情報をツィートしているため有用だが、移籍について飛ばし記事が結構ある(スクープの場合もあるが)。

    他のチームを追う方も、恐らくそうだと思うが、各チームの情報は、やはり地元紙を頼るのが一番良いと思う。ヘルタの場合は、地元の新聞である「ベルリナー・モルゲンポスト」の「Immer Hertha(www.immerhertha.de)」がお薦めだ。記事の内容も良く、コメント欄もあり、ファンの反応も見ることができる。また、試合前のスタメン予想なども、キッカーよりも的確なケースが多い。

    この他、ホームページはあまり情報が載っていないが、1部のヘルタからベルリンおよびブランデンブルク州のアマチュアの最下部までの情報が載り、「FuWo」の名で知られるサッカー紙「Fußball Woche」は旅行で訪れた際、ぜひ手にしたい新聞だ。アマチュア最下部まで掲載されている選手名鑑もマニアックだ。



    ここまで紹介したものは全てドイツ語だが、英語で情報を追う場合、頼りになるのは、ヘルタの公式サイトになる。しかし、残念ながら、英語版の更新は――ありえないほど――非常に遅い(8月だというのに、トップページは、昨シーズンの最終節マインツ戦だ!)。

    インターナショナルなクラブを目指すのであれば、日本語版は難しいかもしれないが、せめて英語版の更新頻度を増やすべきだろう(ドイツ国外にも公式ファンクラブがあるというのに…)。

    最後に、ブンデスリーガを知る上で、個人的に影響を受けた本を簡単に2冊紹介し、この章を終えたいと思う(どちらも少し古い本で恐縮だが…)。

    ①ブンデスリーガ―ドイツサッカーの軌跡(ウルリッヒ・ヘッセ・リヒテンベルガー著)

    ドイツサッカーおよびブンデスリーガの歴史が書かれた本。東ドイツのサッカーについても触れられている。その大会や試合の裏側には何があったのか、ライバル関係や因縁はいつ、どのように生じたのか、詳細に描かれており、そうしたことを知りたい方にはぜひお薦めしたい一冊。




    ②サッカーの敵(サイモン・クーパー著)

    サイモン・クーパーのサッカーを取り巻く社会や政治についての名著。1章では東ドイツが取り上げられ、東ドイツの政治体制とサッカーについて、東ベルリン在住のヘルタファンの男(ヘルムート・クロップグライシュ氏)の話を通じて見事に描かれている。




    ■知れば、試合はもっと面白くなる

    文・昴

    自分のブンデスリーガの観戦方法は非常にシンプル。毎週、対戦表の中から面白そうな試合を3試合前後ピックアップして観るだけだ。缶ビールとつまみを片手に緩い観戦スタイルである。

    多くの参加者と違い特定のサポートチームを持たないため、毎週カードを見て観る試合を決めており、勝敗のストレスも特にない。試合に対する視点はかなりフラットだと感じる。

    幸運にも「ツイッター」のタイムラインはブンデス観戦者だらけで、同時開催の他の試合の情報は速報サイトよりも早くリアルタイムに入ってくるので、展開によってはザッピングもありえる。

    何にせよ「面白い」試合が観たいのだ。そして、面白いと感じることは知ることによって増えていく。

    夜中に起きてサッカーを観ようとする人は、ある程度酔狂なサッカー好きであって、彼らの言葉に頷いたり首を傾げたりしながら観るだけでも、ただ漠然と観るよりも広がっていくかもしれない。

    この企画は知識を深め、より奥行きのある楽しみ方が出来るので皆様も参加してみるのもいいかもしれません。特に、サポートチームが空席の人は狙い目じゃないかと思います。


    ■DAZNで膨らむ期待

    文・だのら

    皆さんは「DAZN(ダ・ゾーン))を知っているだろうか。DAZNとは、今夏からスタートする予定の動画配信サービスのことで、来シーズンからJリーグを全試合配信することで話題になった。

    そんなDAZNが、日本人選手も多数所属しており、馴染みのあるブンデスリーガの全試合と独2部の主要試合の配信を発表した。これまでブンデスリーガといっても、ドルトムントやシャルケをはじめとした日本人所属クラブ、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグといった国際大会に出ているようなクラブしか馴染みがなかったが、「残留争いはどうか」、「圧倒的な強さで昇格してきたこのクラブに注目してみよう」、「この前、首位のクラブに良いサッカーをしていたこのクラブの試合を観てみよう」など、日本人にとってのブンデスリーガは変わっていくのかもしれない。

    また、このDAZNにはリアルタイムで支配率やシュート数などのスタッツを確認できるらしく、俯瞰で観るサッカーの楽しみが増えるだろう。

    先日、英2部チャンピオンシップの2016-17シーズン開幕戦、ノッティンガム・フォレスト対バートン・アルビヨルが、DAZNの提供でGoal.TVにて中継されていた。私はスマートフォンにてその一戦を興味本位で観てみたのだが、これまでのタブレット端末での中継とは明らかに変わっていた。

    リアルタイムでのスタッツ確認は出来なかったが、画質が物凄くキレイだったり、ヘッドフォンを端末に繋ぐだけで、まるでスタジアムで観戦しているかのような熱狂的な歓声を味わえた。そんなDAZNでブンデスリーガを観るとどうなるだろうか。リアルタイムでどんな数字を見られるだろうか。と、開幕に向けた楽しみがまた増え、期待が膨らむばかりである。


    ■若手の急速なブレイクが醍醐味

    文・とんとん

    ヴァイグル、キミッヒ、ブラント、ター、サネ、ダフード…。昨季、ブンデスリーガでは多くの若手が飛躍を遂げた。まだ名の通っていない状態から一気にブレイクし、ビッククラブによる争奪戦に発展するまでの経過を見られるのは、ブンデスリーガの1つの醍醐味と言えると思う。

    上記は、たまたま全員が21歳以下のドイツ人であるが、若手の登竜門として国外からも数多く有望な選手が入ってきている。観戦を通してブレイクしそうな若手を予想するのも楽しいのではないだろうか。

    ここでは参考までに筆者が見た中で、今後数年でブレイクしそうな選手を挙げてみる。皆さんも、自分なりのお気に入り選手を見つけてブレイク予想してみてはいかがだろうか。




    ■押さえておくべき6つの情報系アカウント

    文・Fusshalt

    自分流のブンデスリーガの楽しみ方…自分のものは、他人からすると凄く地味で面白みが少ないかもしれない。多くのブンデス系情報アカウントをフォローして情報を入手したり、ブンデス系ブログを回って色々な人の意見や分析を読んだりすることで、多角的にチームを見て、移り行くチームの状況を分析し、布陣を予測したりするのが好きなのだ(苦笑)。

    ただ、こんな楽しみ方をしなくとも、情報系アカウントやサイトをフォローすることで、自分の贔屓チームの情報をいち早く入手することができる。以下に、自分がフォローしているブンデス系情報アカウントを紹介していこうと思う。

    Bundesliga Fanatic: @Bundesliga4u http://bundesligafanatic.com/

    ブンデス系及びドイツ代表の情報サイト。英語で書かれている為、読みやすいと思われる。

    Bild

    言わずと知れたドイツ発行部数一位のタブロイド紙であるが、移籍情報の早さと強さには定評あり。チーム個別の番記者が担当するアカウントは現場の空気を伝えてくれる数少ない情報源なのでフォローして損は無い。

    Kicker

    ドイツのサッカー専門誌。情報速度的には早くはないものの、正確で丁寧な取材に基づく記事には定評あり。ただしキ*カー日本語版、てめえは駄目だ!

    TM News: @TMde_news

    移籍情報専門サイトであるTranfermarktの速報アカウント。ここをフォローしておけば移籍関連情報はカバーできるはず。

    11FREUNDE_de:@11Freunde_de

    世界一お洒落なサッカー情報誌(だと思っている)11FREUNDE誌のアカウント。ここで気になるコラムがあれば読んでみると、今まで知らなかったことも見えてくるかも。

    SPOX.com: @spox_news

    スポーツ情報サイトSPOX.comのツイッターアカウント。ブンデスリーガも1部、2部ともにフォローしているので幅広く情報が集まります。

    90PLUS:@neunzig_plus

    サッカー情報サイト、90PLUSのツイッターアカウント。ここのコラムは面白いものが結構あったりするので、色々な見方を知る上でいいサイトだと思う。

    6個ほど、自分がフォロー、チェックしているサイトを挙げてみた。いずれかが読者の方のブンデスリーガを楽しむ一助になってくれれば幸いである。


    ■誤訳もネタ。楽しんだもん勝ち

    文・YAMADA

    ブンデスリーガの情報をいち早く知りたいけれど、ドイツ語(あるいは英語)のTwitterアカウントはフォローしていないという人も多いだろう。

    だが、外国語だからといってひるむことはない。幸いTwitterには翻訳機能がついている。簡単じゃないか!

    …まぁ、誤訳も多いんだけどな。

    え?誤訳では意味がない?そんなことはない。誤訳というのはネタであり、ネタは楽しんだもん勝ちなのである。

    例えば、このBILDホッフェンハイムのツイート。


    呟かれたドイツ語はとても短く、「Hoffenheim-Coach - Jetzt spricht Nagelsmann.」、これだけである。

    冒頭のホッヘンハイム・コーチ、これはまぁ誰もが読めるだろう。そして、Nagelsmann(ナーゲルスマン)がこのクラブの監督なのは知っているとしよう。となると、ナーゲルスマンが「・・・した」にあたるドイツ語が “Jetzt spricht” のはずである。

    では「翻訳を表示」をクリックして正解を見てみよう。



    「ホフェンハイム監督 - 今話す爪男」

    爪男?!?!?!

    これまでの推理から、“Jetzt spricht”が「今話す」なのは間違いない。では、爪男はどこから来たのか?

    どこからと言って、残る単語はこれしかない。Nagelsmann(ナーゲルスマン)が爪男なのである。

    えー?!なんで?誤訳じゃん。でも、どうして?

    ん?もしかして、マン=男、だったりする?そんで、ナーゲルス=爪?

    <初級ドイツ語講座>

    der Nagel(名詞)釘、爪

    der Mann(名詞)男、夫

    Nagelsmann=Nagel(爪)+s(名詞と名詞を繋げる為の“s”)+Mann(男)

    ナーゲルスマン=爪男、あながち誤訳とも言えないな。

    ってわけで、せっかく爪男という素晴らしい訳がナーゲルスマンに与えられたのだ、これからは彼のことを爪男と呼ぼうじゃないか!Twitterの文字制限的にも爪男の2文字はとても便利だ。ありがとう、変な翻訳。楽しいな、ブンデスリーガ。



    第2章 2016-17シーズンを占う

    バイエルンの独走が続く独ブンデスリーガ。しかし、その絶対王者に隙が生まれるとすれば、2016-17シーズンだろう。史上初の4連覇へと導いたグアルディオラ監督が退任。否応なく、変化を強いられる。ドルトムントやレーバークーゼン、ボルシアMGら昨季の上位も戦力を整え、虎視眈々と首座を狙っており、マイスターシャーレを巡る争いは激化しそうだ。

    チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの出場権、あるいは残留を目指すバトルも、予断を許さない。近年は中小規模のクラブが着実に地力を高めており、昨季もヘルタ・ベルリンとマインツが上位戦線に喰い込み、大半の識者に降格を予想されたインゴルシュタットとダルムシュタットが揃って残留した。もはや、“絶対”はない。

    今季、2部から上がってきたのはフライブルクとライプツィヒだが、前者には長年にわたり磨き上げてきたショートパスを中心とするポゼッションスタイルが、後者にはレッドブルの資金力に裏打ちされたハイレベルなスカッドが、それぞれある。中位~下位の混戦に拍車がかかりそうだ。

    例年以上に不透明な16-17シーズンの行方を、執筆者達が占う。


    9人中7人がバイエルンを1位に置いた。上位の名前も似通っているが、中位以下の予想にはバラつきがあり、混戦を予感させる。今季の見所の1つだろう

    ■理想的な「緊張と緩和」が、5連覇へと誘う

    文・暁空也

    ビジネスの世界では、人事には「緊張と緩和」が重要とされる。厳格なタイプがトップに居続けると、やがて部下は疲弊する。一方で、慈父のようなタイプが長く権限を握ると、部下は弛緩する。いずれも、組織の崩壊を招きかねない。それを防ぐためには、「緊張」と「緩和」を交互に与える必要がある――という考え方だ。バイエルンが採った人事も、緊張と緩和に他ならない。世界で最も商才に長けたプロフットボールクラブの1つが示した、理想的なバトンタッチ。バイエルンの王座は揺るがない。

    2番手集団は、昨季と同じ顔触れだろう。ドルトムント、レーバークーゼン、ボルシアMGの“三つ巴”だが、主力の流出による影響を考慮して、レーバークーゼン、ドルトムント、ボルシアMGの順とした。

    シャルケとウォルフスブルクは、個々の能力で「トップ4」に見劣りする感は否めない。前者はまたもや監督が交代し、後者はヘキンク監督の手腕が疑問視されるなど、組織としての脆さも窺える。共にヨーロッパリーグの出場権が現実的な目標だろう。

    HSVは、人気銘柄のコスティッチを手に入れられたのが大きい。打開力に優れたセルビア人MFは、崩しのバリエーションを増やす。不安定な最終ラインが踏ん張れれば、ELへのストレートインも狙える。

    中位以下は混戦模様だが、監督とコアメンバーを失ったダルムシュタットとインゴルシュタットは厳しい。明確なスタイルと高い組織力を有するフライブルクも、選手のクオリティでは苦闘が予想される。

    個人的には、研究熱心なナーゲルスマン監督のホッフェンハイムに注目している。試合前、試合中を問わず、常に戦術面での工夫が見られ、良くも悪くも駆け引きを好む。フォラントを失ったダメージは甚大だが、それをどうカバーするのかも含めて興味は尽きない。

    逆に、ライプツィヒは話題先行で、平凡な結果に終わるのではないだろうか。将来を嘱望される若手を擁するが、平均年齢が低く、苦しい時にチームを牽引する“歴戦の勇士”は不在。勢いに乗れば怖いが、歯車が狂えばズルズルと下降しかねない。補強を若手に絞り込んでいるためだが、アンバランスな構成は気掛かりだ。




    ■HSVは新戦力がハマれば4位も

    文・脚魂

    HSVは新戦力がハマれば4位ぐらいまでいきそう。昨季予想外の残留を果たしたインゴルシュタットとダルムシュタットは、今季は流石に降格するのではと予想する。


    ■ライプツィヒの将来性は、バイエルンに比肩する

    文・Siebenendenweg

    今季も昨季同様の展開となると予想する。具体的には図の通りだ。


    優勝争いだが、バイエルンはアンチェロッティ氏を監督に迎え新体制での1年目ではあるが、バイエルンはバイエルンだ。つまり戦力は他を圧倒し、優勝争いとは書いたが、今年も王者が突っ走る展開になると思う。

    2位から4位までは今年も昨年と同じメンツで同じような混戦になると思う。5位から11位は最後の最後までヨーロッパのカップ戦への出場権をかけた熾烈な戦いとなりそうだが、HSVが久々に復調しそうな感じだ。

    シーズン前からドラクスラーの移籍志願に揺れるウォルフスブルクは、親会社の不祥事のごとく、地位低下は否めないのではないか。それ以下の、最下位に予想したフランクフルトまでの当該チームのサポーターおよびファンの胃は過酷な残留争いの日々でキリキリすることになるだろう。中位に予想したチームも長いリーグ戦で上手くいかないようなら、この荒波の中に落ちていくことになる。

    最後に、今季の注目は何といってもライプツィヒだ。レッドブルの財力をもって戦力を補強しつつ、育成にも力を入れている。かつての東ドイツの名門クラブが軒並み没落しているのを横目に、朝日のごとく東から昇ってきたこのクラブは、将来バイエルンくらいまでに台頭するかもしれないとも目されるが、1部での1年目は、ホッフェンハイムが上がってきた時のように、センセーショナルな前半戦、後半戦は分析されて振るわず、中位で終えるのではないかと思う。


    ■ブレーメンとダルムシュタットは残留争いに勝ち残れる陣容ではない

    文・昴

    今季も優勝予想はバイエルン。リーグ戦では取りこぼし癖のあるアンチェロッティ新監督だが、それ以上に、彼がもたらす安定を手に入れたバイエルンを止められるチームは見当たらない。また、「ブンデスリーガキラー」とも言える戦績の持ち主であったアンチェロッティが、どんな成績をこのリーグで残すのか。興味は尽きない。

    2位はドルトムント。ムヒタリアンの移籍は痛手だが、ギュンドアン、フンメルスについては備えができていたと感じている。戦力収支は、若返りに成功しており純粋に昨季よりもプラスだと見ている。トゥヘルの用兵に必要なコマは揃い、後は彼の運用にかかっている。

    ボルシアMGとレーバークーゼンでは、僅差ながらボルシアMGを上に置いた。昨季の序盤の監督交代までの低迷を差し引いた上で、さらに完成度を見ても、ボルシアMGに軍配が上がる。どちらも連戦のマネジメントではドルトムントに劣ると見ており、3位、4位とした。

    金の卵が次々と産まれてくるシャルケが5番手で、昨季に脆さを見せたウォルフスブルクが6位。ここまでの6強とそれ以外では少しチーム力に差があるのが、ここ数シーズンのブンデスリーガの現状である。

    7位にはフライブルク。欧州カップ戦と並行する体力がなく降格の憂き目に遭ったが、シュトライヒ監督は健在であり、2部で優勝してすぐに戻ってくるなど、実力は確か。1桁順位を狙い得るのではないだろうか。

    昨季の後半に立ち直ったホッフェンハイムが8位、ようやく安定を取り戻しつつあるHSVが9位。フェーの呪縛が解けたフランクフルトもまた、中位に入るに値するチームである。

    ケルン、ライプツィヒ、インゴルシュタット、マインツ、アウクスブルク――この5チームに大きな戦力差はなく、シーズン中の細かな事象で順位は前後し得るが、降格するとは思えない。

    16位にヘルタ・ベルリン。昨季序盤に旋風を巻き起こしたヘルタだが、後半のデキは降格ペース。また、EL予選でも無残に散ってしまった。勢いを失い、今季は大きく落ちるのではないか。エースとしての仕事をしたカルーが抜けるアフリカネーションズカップの影響も無視できない。

    ブレーメン、ダルムシュタットを自動降格圏に置く。ピサーロに昨季と同じ仕事を期待するのは難しく、またクルーゼはウジャーほど結果を残せないと見ている。ダルムシュタットにおいても同様であり、昨季よりチームとしての質が落ちていると感じるため、降格予想とした。

    一時期でも肩入れしていたブレーメン、ダルムシュタットの両チームを降格圏に置くのは心苦しいが、今年の残留争いに勝ち残れる陣容ではないと考える。


    ■若い攻撃陣のシャルケとボルシアMGの躍動に期待

    文・だのら

    前人未踏の4連覇を成し遂げたグアルディオラが退任し、新たにアンチェロッティを迎えたバイエルンが5連覇するのではないかと予想した。上位3チームは昨季の最終順位と同じだが、攻撃力が他のチームと比べて一つ抜けている感じが否めない。手堅く予想する。

    エンボロやマイヤーといった若い攻撃陣のシャルケや、昨季は失点が多かったものの、得点を量産してCL圏内へ滑り込んだボルシアMGの躍動にも期待したい。

    最下位予想はダルムシュタット。昨季チーム内得点王ワーグナーやラウシュ、マテニアら主力選手を放出し、さらに新監督という状況で、厳しいシーズンになると予想した。昇格組のライプツィヒとフライブルクは、それぞれ11位、16位に置いた。


    ■ヘキンク監督の名誉挽回に期待する

    文・とんとん

    1位はバイエルン。指揮官が交代するとはいえ、後任は既存の人材を上手く使えるアンチェロッティ。首位予想が堅いだろう。

    2位はドルトムント。若手中心の補強を敢行した。経験やゲームの流れを読む力の不足を、中堅・ベテランとの融合で補えるかが注目だ。

    3位はレーバークーゼン。DFラインの補強が右SBのダ・コスタのみ。余剰とも思えるほどの中盤の厚みに比べると物足りなさを感じる。

    4位はシャルケ。ヴァインツィールとハイデルという最高の補強で、柔軟な采配を下す戦術家・ヴァインツィールの手腕に期待する。

    5位はボルシアMG。昨季と異なり補強が的確で、取りこぼしを減らせれば4位以内も十分考えられる。不安は怪我人と各チームによるシューベルト対策の進行だ。

    6位はライプツィヒ。若手主体の構成だが、ハーゼンヒュットル監督の戦術は前任のラングニッヒに通ずる部分もあり、十分にEL圏を狙えるはず。課題は若手主体による安定感の不足だ。

    7位はウォルフスブルク。チームとしての形を構築できなければ話にならない。昨季は最後まで見えてこなかった。ヘキンク監督には名誉挽回を期待する。

    8位はケルン。ヘーガー、ラウシュ、ルドネフスと渋い補強。シュテーガー監督の下、年々戦術の幅は広がっており、ビッテンコート、ヨイッチ、エズカンなど若手攻撃陣の奮闘が鍵になる。

    9は位マインツ。ELとの二足の草鞋だが、補強は最低限。守備の組織力が高く、バウムガルトリンガーの穴は案外埋まりそう。課題の攻撃はアイディアに富むラッツァ、マリに期待する。

    10位はホッフェンハイム。ナーゲルスマンに替わり組織力が向上。若手も積極起用、下部上がりのトリャン、ズーレ、アミリ、オクスは皆世代別代表を経験している。育成に力を入れてきたホッフェンハイムの黄金世代の活躍に期待する。

    11位はヘルタ・ベルリン。ELは早々に敗退し、CH(センターハーフ)の配球力に課題が見える。ダリダと新戦力のドゥダを配する3センターもオプションとしては面白そうだ。

    12位はフランクフルト。CFやトップ下タイプの選手が10人ほどと過多。はまれば面白そうだが、最適な配置の模索と長谷部かマスカレルの一方が抜けた際の守備に不安がある。

    13位はHSV。昨季中盤の流動的なサッカーができれば上位進出の可能性もあるが、コスティッチやラソッガの個に頼るようなら残留争いも…という微妙なライン。

    14位はアウクスブルク。DFラインは統制を、それより前の選手はとにかく走ろうというのがシュスターのサッカー。CHの守備力と、SHの上下動、カウンターでの打開力が鍵。そういう点では現有戦力とマッチしている。

    15位はブレーメン。スクリプニク監督次第だろう。CFの人材を活かせない上に守備面に欠陥のある4-1-4-1に揺れるようなら降格圏も十分にあり得る。

    16位はインゴルシュタット。ハーゼンヒュットルとヒュブナーが退団。それでも前線の駒は揃っており、こちらも監督の采配次第といった感じ。

    17位はフライブルク。魅力的なシュトライヒのパスサッカーだが、駒不足の感は否めない。ダーリ、グリフォ、ケンプフなど若手のブレイクで勢い付きたい。

    18位はダルムシュタット。昨季は超低予算にもかかわらず、見事に残留を果たした。しかし、複数の選手、そして監督が退団。中でもワーグナーの退団はカウンターの質を大きく落としそう。


    ■“サプライズ”はホッフェンハイム

    文・なかがわ

    昨季の順位予想が大きく外れたことから、今季は少しギャンブル込みで予想する。

    まず優勝クラブの予想だが、ここにバイエルンがくるのは確定的に明らか。コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実だ。監督交代で付け入る隙があることを他クラブは期待するだろうが、残念、新監督はアンチェロッティだ。補強の面でもディフェンスラインにドイツ代表フンメルス、中盤にはポルトガルの新星レナト・サンチェスを迎え入れ、王者に抜かりは無い。マイスターシャーレ絶対防衛戦線異状なし!

    フンメルス退団のファーストブリット、ギュンドアン退団のセカンドブリット、そしてムヒタリアン退団のラストブリットと、主力選手の退団が相次いだドルトムント。今は辛かろうが、失ったものばかり数えず、新戦力に目を向けていこう。ロデ、バルトラ、ゲレーロ、ゲッツェ、シュールレに加え、次の時代に新しい風を吹き込むだろうデンベレ、モル、メリーノが加入。彼ら新戦力と既存戦力が噛み合わさったとき、ドルトムントの快進撃は始まる…!

    「バイエルンより上に行く可能性のあるクラブはドルトムントだけだ」。そう思っていた時期が、私にもありました。ただ、今はレーバークーゼンにもその可能性を感じる。戦力も整ったロジャー・シュミット体制3年目。機は熟した。

    上記のバイエルン、ドルトムント、レーバークーゼンにボルシアMGを入れた4クラブが今季のリーグ戦でトップを争うと予想する。

    毎シーズン1つはサプライズのクラブが出てくるので、少し博打だが5位にホッフェンハイムを推したい。本当に毎シーズン、このクラブはサプライズ候補に挙げられながら何の成果も得られずにいたが、今季のスカッドの厚さを見て期待せずにはいられない。

    シャルケがここ数年リーグ戦でトップ争いに絡めないのは、どう考えてもヘルト元SD(スポーツディレクター)が悪いと個人的に思っていたので、ハイデル新SDが獲得してきた選手がどう結果を出すか注目したい。特にエンボロ。まだ若いがクラブレコードの移籍金を費やしての獲得なので、1年目から2桁得点を期待する。

    ウォルフスブルクはナウド、ダンチと主力のCBが2人も抜け、その後釜がエールディビジから来たブルマという点が非常に心配。また、トルコで“REBORN”した「ゴールマン」、マリオ・ゴメスが再び母国で輝きを放つことができるのか、私気になります。

    未だブンデスリーガから「降格/Zero」のHSV。今オフはハリロビッチとコスティッチの大物を2人も釣り上げ、もしかしたら予想した8位より上の順位でフィニッシュする可能性もありそう。

    今季ブンデスリーガを“トラブる”状態に陥れるダークホース候補は、ホッフェンハイムとHSVだ。

    フライブルクはツヴァイテリーガ(2部)でしっかり土台を築いて上がってきたと思うので、この順位でもまったくおかしくないはず。昨季ニュルンベルクにローン移籍していたケルクは、フランクフルトとの入れ替え戦で印象に残った選手。今季注目の若手の1人だ。

    ケルンは徐々に選手が整いつつあるように思う。今季は中位からの卒業なるか。ヘルタ・ベルリンは昨季終盤の失速+今季ELとの兼ね合いも考え、当初はもう少し下の順位で考えていたが、ELは予選で散ってしまった。よって導き出される予想の順位はここ(11位)。

    アウクスブルクはクラバンとホン・ジョンホのCB2枚に加え、監督のヴァインツィールが引き抜かれた。だが、後任の監督はシュスター。冬に加入したフィンボガソンの買い取りも行い、今季注目したいクラブだ。

    ライプツィヒ。グレートですよ、このクラブはァ!クラブ創設たった7年で1部昇格を決めた金満新興クラブ。こういった嫌われ者クラブが各リーグに1つくらいあってもいいと思うし、今季のブンデスリーガで唯一の旧東ドイツのクラブなので、個人的には応援している。戦力的には昇格クラブとは思えないレベルで上位に予想する声もあると思うが、ただ、まあ1年目はやっぱり難しいかなと思う。控えめに13位と予想した。

    リーグ戦&ELの2足の草鞋に加えGKカリウスと主将バウムガルトリンガーが退団したマインツの足下には残留争いが近付いている。そんな予感。

    希望込み込みでフランクフルトは15位と予想。正直なところ、第一者の温い目で見ても厳しいシーズンになると予想するのは難しくない。

    インゴルシュタットとダルムシュタットに2年連続残留を求めるのは間違っている。両クラブとも監督が引き抜かれ、主力選手も他クラブにステップを果たした。特にダルムシュタットはエースのワーグナー退団が痛い。

    ブレーメンは昨季、松島トモ子並みの生命力で残留を果たしたが、今季も厳しい戦いを強いられるのではないか。ウジャーが中国のクラブに移籍し、ヴェステルゴーをはじめCBの選手が揃って退団してメンバーを一新。元々ディフェンスには課題があるチームであるのに、非常にリスキーな選択をしたと思う。ピサーロと古巣に復帰を果たしたクルーゼの活躍は、残留争いを勝ち抜く上で絶対条件だ。


    ■昨季とは比べ物にならない、群雄割拠の予感

    文・Fusshalt

    今季は昨季とは比べ物にならない、群雄割拠の戦国時代になる可能性を秘めている。トップチームにプラス要素が少なく、第2集団を構成していた上位から中堅チームにプラス要素が多いためだ。

    特にドルトムントが顕著だろう。トゥヘルの指揮の下、2位と大きく躍進したものの、主力中の主力といえるムヒタリアン、フンメルス、そして怪我がちではあったものの主力であったギュンドアンの3人が一気に抜けるという怒涛の展開に直面したからだ。

    彼らの放出資金を存分に使い、大型補強を敢行してはいるが、ここまでの動きで主力として計算できそうなのはデンベレ程度で、残りは将来性を買ってのものである。

    また、ゲッツェとシュールレという現役ドイツ代表のアタッカー2名も補強はしているものの、すぐにチーム戦術に馴染めるかといえば疑問符が着く。特にシュールレがムヒタリアンの後継足りえるか否かが、チームの動向を大きく左右すると考えられるだけに、トゥヘルもシュールレを序盤から積極的に起用するのではないだろうか。これが外れれば、2桁とはいかないまでも、前半戦で大きく躓く可能性は高い。

    シーズンを大きく引っ掻き回す可能性を秘めているのがライプツィヒだ。レッドブルの資金力をバックに成り上がってきた同チームに対する風当たりは非常に強く、各チームのウルトラスはライプツィヒでのアウェイゲームへの参加ボイコットも辞さないというところまで出ているほどである。

    だが、チームとしての実力は折り紙つきである。チームを統括するラングニックSDが掲げる若手のみでのチーム編成(25歳以下の選手のみが獲得ターゲット)、そしてハイプレスとショートカウンターを組み合わせた「パワー・フットボール」という独自のサッカー哲学。勢いに乗せればどこまでも飛んでいく可能性を秘めたチームであるが、昨季はその若さがマイナスに働き、勝たねばならない試合で勝ち切れない勝負弱さも垣間見えただけに、どちらに転ぶかにも注目したい。

    一方で、残留争いは熾烈を極めるものになると思われる。

    特に昨季、トータルパッケージ力で残留を勝ち取ったダルムシュタットは草刈場と化している。残留を成し遂げた功労者の1人であるシュスター監督はシャルケに去ったヴァインツィールの後継としてアウクスブルクへと移り、14ゴールを挙げてチーム内得点王となったワーグナーはホッフェンハイムへと去った。それ以外でも主力やバックアッパーを務めていた選手の多くがチームを去っており、シュスターの後任監督として赴任してきたノルベルト・マイアーの手腕に加え、開幕までにどこまで戦力を補強できるかが残留と降格を左右しそうだ。



    第3章 注視すべき旬のクラブ・選手

    独ブンデスリーガでは、毎シーズンのように躍進するクラブやブレイクする選手が現れる。執筆者達が、2016-17シーズンの有力候補を明かす。


    ■優秀なSBの条件を満たす傑物、イェレミー・トリャン

    文・暁空也

    優れたサイドバックは、ボールの“出し入れ”が巧い。ボールと味方の位置に連動してポジションを取り、最適なタイミングで迎え入れ、的確に出してチームを前進させる。近年は守備戦術が急速に発展し、従来の中盤や前線を起点とする攻撃は“手詰まり”を起こしやすい。そして、その解消を託されるのが、プレスの的になりづらく、スペースや時間を確保しやすいSBだ。もちろん、守備での強さや安定性は大前提だが、攻撃を円滑化するSBの価値は上昇の一途を辿る。ホッフェンハイムのイェレミー・トリャン(22歳)も、いずれ移籍市場で高値が付けられる有望株だ。



    トリャンは、1994年8月8日にシュツットガルトで生まれた。父はアフリカ系アメリカ人、母はクロアチア人で、身長は182cm、体重は76kg。右利きのSBだ。

    8歳でフットボールを始め、14歳で育成の名門であるシュツットガルトに籍を移すと、17歳の時に50万ユーロ(推定)でホッフェンハイムに引き抜かれた。ダイヤの原石の発掘に長けたホッフェンハイムからのオファーは、偉才の証明でもある。

    U-19、セカンドチームを経て、2012-13シーズンにトップチームへと昇格。13-14シーズンの第8節、マインツ戦でデビューを果たす。同シーズンは10試合に出場し、着実に経験を積んだ。14-15シーズンは4度の負傷もあって6試合にとどまったが、15-16シーズンは主に左SBとして18試合で活躍。昨年10月27日の第9節、ウォルフスブルク戦では初ゴールも記録した。

    この初得点が印象的だった。前半29分、ホッフェンハイムはセンターサークル付近のやや左で細かくパスを交換し、ウォルフスブルクの守備網を引き寄せると、空いた右のスペースに抜群のタイミングでトリャンが走り込む。ポランスキからの精確なスルーパスを受けたトリャンは、スピードを上げてペナルティエリアに侵入。冷静にGKのニアサイドを撃ち抜いた。

    フィジカルやテクニックよりも、味方の意図を察知し、敵陣の隙を逃さない“知性”が光るゴールで、普遍的なサイドバックとは一線を画すセンスが漂う。

    ※下の動画の50秒頃から

    http://www.ballball.com/ja-jp/video/vfl-wolfsburg-1899-hoffenheim-video-match-highlights-german-bundesliga-2/

    今夏の五輪でも、出色のパフォーマンスを披露した。



    とりわけ、ブラジルと対峙した決勝では抜群の存在感を発揮。攻守に絶えず味方をサポートし、右サイドを活性化させた。

    攻撃では、柔らかく繊細なボールタッチでボールをキープし、進路が無くなっても奪われる前に味方へ繋ぐ。59分には、絶妙な判断で味方の外を回ってパスを呼び込むと、ペナルティエリア内で待つマイヤーに完璧なクロスを送り、同点弾をアシストした。

    ※アシストは下の動画の50秒頃から
    https://www.youtube.com/watch?v=WWXi0SqhM-g

    守備でも、何度となく1対1に勝利し、危険な位置へのパスをカット。身体の当て方や間合いの計り方にミスがなく、予測も誤らなかった。

    すでに、多くのビッグクラブが熱視線を注ぐ。独メディアによれば、国内ではラームの後継者を探すバイエルンをはじめ、シャルケ、ボルシアMG、HSV、ライプツィヒが、国外ではPSGとナポリが、獲得を検討しているという。

    ドイツ代表のレーブ監督からも「扉は常に開かれている」と期待を寄せられており――本人はクロアチア代表を望んでいるとの情報もあるが――、いずれはビッグクラブへ羽ばたくに違いない。16-17シーズン、一挙手一投足を見逃せない傑物だ。


    ■注目すべき4人の銀メダリスト

    文・昴

    今年は五輪があった。ドイツ代表の五輪出場は自分の記憶にはなく、育成が形になった1つの成果だと思う。欧州選手権に選手を取られつつも決勝進出。ホームで五輪に懸けるブラジル代表と五分の戦いを見せたドイツ代表は、見どころの多いチームだった。そこで、今季の注目選手は綺羅星の如く輝いた五輪メンバーからピックアップする。

    1人目はニクラス・ジューレ(ホッフェンハイム)。ボアテング、フンメルスの後を担い得るCBで、エアバトルの強さや得点力、ビルドアップへの参加など、すでに多くの面で代表レベルに達している。リュディガーやター、ムスタフィなどドイツ代表ではCBのライバルが多いが、次代の守備の要になる才能を持った選手である。

    2人目はマックス・マイヤー(シャルケ)。弱冠20歳にして、すでにシャルケの攻撃の中心を担っているアタッカー。小柄ながら俊敏で技術が高く、五輪代表ではキャプテンを務めた。決勝でもゴールを叩き込んでおり、重要な場面での仕事に期待ができる。

    3人目はイェレミー・トリャン(ホッフェンハイム)。ホッフェンハイムで頭角を現したDFで、ラーム以降に望まれた組み立てに参加できるSBだ。五輪の決勝で見せたマイヤーへの素晴らしいアシストでも分かる通り、足元の技術が高く、その他も高水準でまとまっている。アンダー世代では激戦区になりそうなポジションだが、有力な候補の1人である。

    4人目はニルス・ペーターゼン(フライブルク)。決勝で悲劇のヒーローになってしまったオーバーエイジだが、2部で過去に得点王を獲得。昨季も20点を超え、ブンデスリーガへのリベンジのシーズンがやってきた。五輪でも6ゴールと能力は十分。もう若くはないが、真価を発揮すれば2012-13シーズンを超え、15ゴール以上が狙えるはずだ。


    ■マインツでの屈辱を晴らしたいニーダーレヒナー

    文・だのら

    私が2016-17シーズンで注目している選手は、フライブルクのフロリアン・ニーダーレヒナー。独3部(当時、現在は4部)のウンターハヒンクでキャリアをスタートした彼は、ハイデンハイムに移籍して2部への昇格を経験すると、そこで得点を量産し、昨夏にマインツへ移籍した。

    順調にキャリアを進めていくニーダーレヒナーだったが1部の壁が彼を阻む。デ・ブラシスや武藤らとの定位置争いに敗れ、途中出場が主となる。リーグ戦12試合でノーゴールという厳しい結果もあり、昨季の途中に期限付き移籍で2部(当時)のフライブルクへ加入。そこから14試合8ゴールという、これまでの鬱憤を晴らすかのような驚異的な数字を記録し、1部への昇格に貢献した。

    そんな彼が16-17シーズンでは開幕戦から出場する。昇格組ゆえに降格を予想する人が多い中、昨季32試合21ゴールという数字を残したペーターゼンと昨季マインツで味わった屈辱を晴らしたいニーダーレヒナーの強力2トップが下馬評を覆せるか。注目したい。


    ■“黄金世代”と“仕事人”を使いこなせば、ホッフェンハイムは上位進出が見えてくる

    文・とんとん

    注目選手として3人、注目チームとして2つ、それぞれ挙げたい。

    注目選手の1人目はベンノ・シュミッツ(ライプツィヒ)。21歳のSBで、力強いランニングでの攻撃参加が持ち味。前方の状況に応じてランニングのコース取りも変えられる。また鋭いクロスや縦パスも持っており、SB不足に悩むドイツにとっても貴重な存在になれるだけのポテンシャルがある。

    2人目はオンドレイ・ドゥダ(ヘルタ・ベルリン)。スロバキア代表として欧州選手権にも参戦した。今季加入にもかかわらず、背番号10を与えられた点からも期待の大きさが窺える。パスを引き出す動きが上手く、ダリダの負担を軽減できるだけの力がある。

    3人目はナディーム・アミリ(ホッフェンハイム)。組み立てからアシストまで、中盤中央の位置で幅広い仕事をこなせる選手だ。パス精度が高く、昨季急激な成長を遂げた。世代別のドイツ代表の常連でもある。

    “金満”のホッフェンハイムとライプツィヒ。今季躍進を果たす可能性があるとすれば、この2チームだろう。

    ライプツィヒは今季、満を持しての1部挑戦。夏にはナビ・ケイタ、ティモ・ヴェルナーなどの補強に5000万ユーロという昇格組とは思えぬ巨額の投資を行った。また、監督にはハーゼンヒュットルを招聘。昨季のインゴルシュタット監督は、前からの激しいプレッシングと縦に速い攻撃を標榜する。昇格チームを見事11位に導いた彼の招聘は、ラングニックの後釜としては最適な人選と言える。

    しかし、「資金力にものを言わせ、ドイツサッカーの伝統や歴史を無視している」とアンチは非常に多い。また、夏の補強では同じレッドブル系列のザルツブルクから3人の選手を獲得。この仕組みは非常に効率的ではあるが「ザルツブルクというチーム、そしてファンを軽視している」と批判が爆発した。

    アウクスブルク移籍を決めたマルティン・ヒンターエッガーも「ライプツィヒはザルツブルクを育成チームとしか見ていない。そんなチームへの移籍は選択肢に無かった」と語る。

    このチームは平均年齢23.5歳とリーグで最も若いチームである。ドイツのヴェルナーだけでなく、デンマークのユスフ・ポウルセン、スウェーデンのエミル・フォシュベリ、オーストリアのマルセル・サビツァーなど各国のA代表に選出されているスター候補が在籍する。アンチの声をかき消すには、何より競技面での結果が求められる。

    一方で、ホッフェンハイムの夏は静かだった。ケビン・フォラントの売却資金を元手にアンドレイ・クラマリッチの買取りを決めたほか、ルーカス・ルップやケビン・フォクトといった過小評価の選手、サンドロ・ワーグナーやベンヤミン・ヒュブナーといった昨季昇格チームの核となった実力者を獲得。ライプツィヒに比べると派手さはないが、的確な補強を行った。

    指揮を執るのは最年少監督として話題となったナーゲルスマン。本来は今夏から指揮を執る予定が、前任のステフェンスの体調不良によって前倒し。急な登板だったが、見に事残留を勝ち取った。

    「トゥヘルのように敵を押し込んで自陣から遠い位置で試合を運ぶスタイルとラングニックのようなハイプレスを好む」という彼は、3バックと4バックを併用しつつ柔軟な采配を振るう。また「ビジャレアルの若手育成に好感を持っている」というように、若手の起用にも積極的である。この考え方は、育成に力を入れてきたクラブと相性抜群だ。

    足元の技術に長け、「ネクスト・ボアテングorフンメルス」という特大のポテンシャルを秘めたジューレ(22)、ドイツのSB不足解消を期待させるトリャン(22)、常に世代別代表に名を連ねるプレーメーカー・アミリ(19)、キレのある動きで得点・アシストのどちらにも絡めるフィリップ・オクス(19)は、クラブ育成の成果が表れたホッフェンハイムの「黄金世代」と言えるだろう。

    彼ら若手と経験豊富な仕事人をナーゲルスマンが上手く使いこなせば、上位進出を望めるだろう。


    ■HSV、欧州行きの切符を掴むか

    文・Fusshalt

    HSVに注目している。昨季、苦しい時期にチームを支えたゴイコ・カチャルやイビチャ・オリッチといった選手がチームを去ったが、アレン・ハリロビッチ(バルセロナ)を筆頭にフィリップ・コスティッチ(シュツットガルト)、ボビー・ウッド(ウニオン・ベルリン)といった若き才能豊かな選手を多く補強するなど、例年以上に資金を投入して強化に勤めている。ラッバディア監督も、状況に応じて選手の起用や布陣を変更するなど、マネジメントの手腕が円熟味を増した。それが今季も発揮されれば、ヨーロッパ行きの切符を掴む可能性は十分にある。

    しかし、円熟味あふれるスパヒッチの負傷でセンターバックの層の薄さが露呈。この部分の補強が適えば(マティアス・ギンターの獲得を目論んでいるようだが実現は難しそうだ)、今季の躍進はほぼ間違いないのではないだろうか。

    個人的に期待しているのは、ハリロビッチである。



    ディナモ・ザグレブで彗星のごとくデビューした神童が、バルセロナでの薫陶を受けてどのような選手に成長しているのか。実際に見るのが今から非常に楽しみだ。


    ■元祖企業クラブと成り上がりの“金満対決”

    文・YAMADA

    2016-17シーズンの注目クラブは、誰がなんと言おうとライプツィヒである。なにしろこのクラブ、2009年に当時5部に所属していたクラブをレッドブルが買収して発足させ、そこから一気に1部まで上り詰めた“成り上がり”なのである。

    だが、本当にライプツィヒは単なる成り上がり、レッドブルの金の力にものを言わせた金満君だろうか。



    ライプツィヒが本拠地とする街の人口は、Wikiによると52万人(2012年12月現在)、旧東ドイツ地域としてはベルリンに次いで2番目の規模を誇る。また、ライプツィヒは音楽家のバッハやメンデルスゾーン所縁の地であり、観光資源にも恵まれ、「地球の歩き方 ドイツ 12/13版」では7ページにわたって街の観光名所やレストランなどが紹介されている。

    つまり、それだけ魅力のある街に、新たに強いサッカークラブが誕生して、たまたまそのバックにレッドブルがいる、とは言えないだろうか。

    これに対して元祖企業クラブのレーバークーゼン(=バイエル製薬)とウォルフスブルク(=フォルクスワーゲン)の場合、その本拠地とする街はまぎれもない企業城下町。レーバークーゼンの人口は16万人(2015年12月現在)、ウォルフスブルクはたったの12万人(2014年12月現在)で、ライプツィヒの1/3〜1/4以下ある。

    ついでに言えば、前述の「地球の歩き方」では、レーバークーゼンはブンデスリーガの紹介ページにスタジアム名が記されているだけ、ウォルフスブルクは辛うじて半ページの記載があるのみ。つまり。企業が撤退したら何も残らない街にあるクラブ、といっても過言ではあるまい。

    と、いうわけで。16-17シーズンは、レーバークーゼンとウォルフスブルクが、「俺たちの方が純粋企業城下町の企業クラブとして金満の歴史を歩んできたんだぜ!」と意地を見せるのか、あるいは勢いに乗った成り上がり金満ライプツィヒが金満全開でドイツ国内から総スカンを食らいつつ上位に食い込むのか、実に楽しみである。



    後編に続く!


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