17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・1
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17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・1

2017-02-09 22:30

    ~はじめに~

    ある専門誌が掲載した独ブンデスリーガ2016-17シーズンの前半戦を総括する記事によれば、マインツは「新守護神のレスルと退団したカリウスの力量差が、そのまま失点の増加(リーグで4番目に多い)に繋がっている印象だ」。果たして、そうでしょうか。好守を連発する彼がいなければ、失点はさらに増えたはずです。

    執筆者を貶すつもりは毛頭ありません。ドイツで取材に励み、貴重な情報を提供してくれる同胞に、心からの敬意を表します。ただ、全てのチームに精通しているわけではありません。誤解や不正確な分析も少なくない。そこに、我々のプロジェクトの存在価値が生まれます。日々、ピッチの内外を越えてリーグやクラブを注視するからこそ伝えられる“実像”を、お楽しみ下さい。(編集局長・暁空也)



    ~序章~

    「17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”」では、ドイツのブンデスリーガ(1部)およびツヴァイテリーガ(2部)の前半戦を振り返ります。昨年の同時期にも行いましたが、今年の大きな変更点は、ツヴァイテリーガの追加です。細貝や浅野(シュトゥットガルト)、山田(カールスルーエ)、宮市(ザンクトパウリ)などの日本人がプレーしていますし、少なくとも毎節1試合はDAZN(ダ・ゾーン)で視聴が可能ですから、需要はあると判断しました。

    また、編集部を再編しました。全体の監修を暁が、ブンデスリーガの編集長を昴が、ツヴァイテリーガの編集長をかめゆみこが、両リーガの副編集長をまるよしが担当。編集長と副編集長の3人で質問を決めたり、執筆者に依頼したり、集まった原稿をまとめたりしました。役割を明確化するとともに、権限を分散し、内容を充実させる狙いです。

    実際、執筆者は過去最多ですし、暁の独裁(?)だった過去の企画よりも、情報の質や量は向上したと確信しています。

    今回の執筆者は以下の画像の通りです。





    この場を借りて、執筆者には感謝を申し上げます。

    読者への注意点ですが、執筆者には原稿の締め切りを「1月25日」と伝えました。そのため、古い情報なども混在していますが、ご容赦下さい。当然ですが、1月25日以降の情報を扱った執筆者は、締切を守っていません(笑)。

    その原稿は、執筆者の個性が前面に出るよう、基本的にそのまま使用しています。ただ、クラブおよび選手の名称の統一、誤字・脱字の修正などは編集部が行いました。クラブの名称は独ブンデスリーガの公式サイト(日本語版)、選手の名前は「ヨーロッパサッカー・トゥデイ」(日本スポーツ企画出版社)に準拠しますが、執筆者が独自に用意した画像や表などは修正できず、完璧ではありません。ご了承下さい。

    掲載はツヴァイテリーガ、ブンデスリーガの順番です。締め切りを守る執筆者が多く、先に完成したツヴァイテリーガから、ご覧下さい(笑)。

    我々の文章を通じ、ブンデスリーガとツヴァイテリーガの面白さや奥深さが少しでも伝われば幸いです。



    第1章 ツヴァイテリーガへの招待

    今シーズンからDAZNでツヴァイテリーガの放送が始まった。浅野の所属するシュトゥットガルト、あるい宮市がプレーするザンクト・パウリを中心に、毎節2試合が放送されている。これまで少数の熱心なファンが追いかけていただけの2部の試合が、徐々に注目されるようになったことは大変喜ばしい。地図を見るとわかるが、旧東ドイツ側にもチームがあり、1部以上に各クラブの個性の違いが際立っている。



    2部の魅力はなんといっても、順位の行方が最後までもつれるところだろう。強いチームは昇格してしまうので、1つのチームが長年タイトルを独占し続けることもない。2部と3部の実力差は年々狭まり、下から上がってきたチームに押し出されるように、中堅チームであっても、簡単に残留争いに巻き込まれてしまう。1部で注目を集めているRBライプツィヒも、2部では苦しみ、1年ほど足踏みをした。順位を争ってデッドヒートが繰り広げられるリーグは、本来あるべきサッカーの楽しみを具現しているようにも思う。

    前半戦の総括は次章に譲るとして、まずは今回の執筆者にリーグの魅力や、応援するチームの見所を語ってもらった。


    ■日本との深い関わり (フォルトゥナ・デュッセルドルフ)

    文・かばちゃん

    フォルトゥナ・デュッセルドルフで注目して欲しい所は、何と言っても日本との関わりである。ブンデスリーガにも日本人が増えたことで、色々なサッカーファンの関心を集め、多くのクラブで日本語サイトや公式ツイッターが開設されている。中でもフォルトゥナ・デュッセルドルフは、日本人選手が所属しているという点以外にも、日本との関わりがあるクラブである。フォルトゥナのホーム、デュッセルドルフには多くの日本人が住んでおり、日系企業も多数進出している。こういったことから日立や東洋タイヤといった日系企業もスポンサーとなっていたり、以前から日本語の公式サイト(フォルトゥナは英語サイトはないものの、日本語サイトはある)や、最近ではツイッターも開設され、日本との関わりは、深い。

    また定期的に日本語のフォルトゥナ通信も刊行されており、デュッセルドルフ内で無料配布され、インターネットでも閲覧できる。これらのスポンサー獲得や日本語関連の活動は、フォルトゥナ・デュッセルドルフ2でもプレイしていた瀬田元吾さんが手掛けている。フロントの海外組として活躍している瀬田さんの活動も注目である。彼の書いた本を何冊か読んだが、海外のクラブのフロントに入り、スポンサーの獲得に漕ぎ着ける話はとても貴重で、サッカー好きなら読んでも損はないと思う。



    今、フォルトゥナには、アンダーカテゴリーを含めて何人かの日本人選手が所属している。現所属は金城ジャスティン俊樹、U19に伊藤遼哉、 U17にアペルカンプ真大がいる。過去には現大宮の大前元紀、元ジェフ千葉の結城耕造がいた。

    中でもジャスティンは去年のシーズン中にプロ契約した。シーズン前のトレーニングマッチのロリアン戦では、2ゴールをマークするも、直後に怪我をして6週間離脱してしまったが、9月には練習に復帰。10月は9節の古巣・1860ミュンヘン戦で終了間際に出場しプロデビュー、続いてDFBポカール、ハノーファー戦に63分から出場した。

    セカンドチームではレギオナルリーガで6試合出場し、1ゴールをマークしている。冬の中断期間にもテストマッチに出場し、アシストも記録した。浅野、宮市、細貝などの日本人と比べると知名度はないが、フォルトゥナの日本人としてこれからも目が離せない。


    ■各クラブの「ゴール曲」に注目

    文・神様仏様ミニョレ様

    個人的な趣味も入ってちょっと余談のような感じになってしまうが、どうかお付き合い願いたい。

    私が選ぶ「2部の注目してもらいたいポイント」は、ゴール後の音楽だ。皆さんも、もしかしたらもう知っているかもしれないが、ドイツの確か3部くらいまでの多くのクラブでは、ホームチームがゴールした後に、選んだゴール曲が流れる。今回は2部の記事なので、2部のチームのゴール曲の中から私が気に入っている曲を、補足情報と一緒に皆さんに紹介したいと思う。

    1)アウエ “Immer wieder Aue”

    https://www.youtube.com/watch?v=99wcWbZzXtw

    まずは今回のメインのチーム、アウエのゴール曲だ。この曲のサビの部分がスタジアムでは使われており、観客は手拍子をしてみたり、歌ってみたりと、思い思いのやり方でゴールを選手とともに喜ぶ。また、歌詞の中に「Wismut」という単語が出て来るが、これは鉱物のビスマスのことだ。アウエは炭鉱夫のクラブなので、とてもらしさが出ていると感じた一曲である。

    2)ザンクト・パウリ Blur “Song2”

    https://www.youtube.com/watch?v=SSbBvKaM6sk

    これもまた「随分と雰囲気にあった曲だなー」という印象を受けた1曲だ。もちろんこの曲は、ブラーがザンクト・パウリのために書いたというようなものではない。これは選んだ人のセンスを褒めるべきだろう(笑)。この曲のサビは歌う、というより叫ぶ、という感じになっており(聞いてみればわかるはず!)、ちょっと気にしてみれば、試合の中継でも、ゴールの後に観客が叫んでいるのが聞こえて来るはずである。

    3)ヴュルツブルガー・キッカーズ  Dropkick Murphys “I’m Shipping Up to Boston”

    https://www.youtube.com/watch?v=Kj73KicRvSw

    この曲はレオナルド・ディカプリオなどが出演していた映画、「The Departed(ディパーテッド)」のプロモーションビデオに使われた曲で、イントロの部分がゴール曲として使われている。最初だけ聞くと少し牧歌的な雰囲気もあるが、かなり激しい感じのロックミュージックになっている。


    ■伝統的なドイツのフットボールクラブを体感 (ボーフム)

    文・BOJP

    ゲルゼンキルヘン、ドルトムントという地理的にも近い2つのビッグクラブは、本国ドイツではもちろんだが、日本人選手が所属することもあって、日本のブンデスリーガファンの中でも人気ではトップクラスではないかと思う。しかしこの2つの町に挟まれるように存在するボーフムは、地味な印象を受ける。



    ※編集提供

    すっかり2部に定着してしまった現在では、ボーフムの試合を映像で見られる機会は少なくなってしまったが、かつて1部で戦っていた時期には、小野伸二が在籍していたこともあり、テレビで中継されることも多かった。

    ボーフムはビッグクラブではないが歴史のあるクラブで、地元には根強いファンがいる。スタジアムはレトロでこぢんまりとしているが、それがまた独特の良い雰囲気を作りだしており、テレビ画面からも十分に伝わってきた。

    試合前にヘルベルト・グレーネマイヤーの曲が流され、徐々に盛り上がっていくあたりなどを見せられると、自分もそこに加わりたい気持ちになったものだ。これらは私自身の中で勝手に作り上げていたトラディショナルなドイツのフットボールクラブのイメージと重なる点が多く、次第にこのクラブに魅力を感じるようになった。試合を見る機会が減ってしまった今でも、動向を追い続けているのである。


    ■“東”のクラブが強くなれば盛り上がる (デュナモ・ドレスデン)

    文・ゆんゆん




    端的に言うと東ドイツのクラブを応援したいという気持ちがあった。

    ブンデスリーガは多くのクラブが南部・西部に集中していて、1部に限って言えば、ほぼ全てが旧西独のクラブ。近年はブレーメンやハンブルクなど北部勢の凋落が著しいと言われるが、旧東独勢は1部に残留することすら難しく、しかもそれが話題にすらならない。以前から「南部や西部だけじゃなくて東のクラブが強くなったらブンデスリーガはもっと盛り上がるのにな」と考えていたのだ。

    筆者が2部に興味を持ち、試合を観戦するようになったのはここ数年のことなのだが、どうせなら贔屓のチームを通じて楽しみたい性分。「どうせならどこか応援したい」→「どうせなら東ドイツのクラブがいい」。まあ、こんな流れだ。

    そこで何故デュナモになったのかというと、まず旧共産圏の色濃いクラブ名とエンブレムが気に入り、そして熱狂的なサポーターが創り出すホームスタジアムの空間に心を奪われたから。あとは応援しているうちに思い入れが深まってきた次第。昨季も欧州最大規模と言われる巨大フラッグが話題になったりと、サポーターの気合の入り様には只々圧倒される。

    機会があれば、是非デュナモ・ドレスデンのホームゲームを観戦してみて欲しい。サッカーが好きであれば後悔はしないと思う。



    第2章 ツヴァイテリーガ前半戦の総括

    毎シーズン予想の難しいツヴァイテリーガ。1年での復帰を目指して、昨季の降格組が上位につけているのは予想通りだが、意外なチームが下位に低迷するなど、相変わらず競争は激しく面白い。折り返しである第17節終了時の順位表は以下の通りとなっている。



    以下の画像は、2部を担当する執筆者の最終順位予想。前半戦を終了した時点で予想を出してもらったため、現在の順位をかなり忠実に反映したものとなっている。上位3チームは並びこそ違うものの、顔ぶれは全員同じである。



    暁氏には順位予想の背景を、他の執筆者には前半戦のリーグ総括と後半戦の展望をまとめてもらった。


    ■最後は「個の質」と「完成度」が順位を決める

    文・暁空也

    身も蓋もない話だが、私には順位を予想できるほどの知識がない。2部の試合を継続的に観るのは今季が初めてだからだ。しかも、あくまで「シュトゥットガルトの担当」として追っており、各クラブの印象は対戦した試合からしか語れない。予想に際し、改めて前半戦が終了した時点での順位表を眺め、ニュルンベルク(9位)やボーフム(11位)、カールスルーエ(15位)、ザンクト・パウリ(18位)の低迷に驚いたくらいだ。昨季は3位のニュルンベルク、同4位のザンクト・パウリ、同5位のボーフム、同7位のカールスルーエに、何が起きたのだろうか。

    逆に、1位のブラウンシュバイクや5位のウニオン・ベルリンは、昨季の8位、6位から着実に前進しており、状態は右肩上がりと推察できる。共に終盤まで昇格を争いそうだ。

    個人的に前半戦で気に入ったのは、6位のヴュルツブルガー。攻守にダイナミックで、その戦い方からは選手の特長を生かそうとする監督の意志も伝わってきた。選手のスムーズな連携も含め、ホラーバッハ監督の手腕を賞賛したい。とても昨季は3部で戦っていたとは思えない完成度だ。

    一方で、1対1の攻防をはじめ、いわゆる「個の力」ではシュトゥットガルトやハノーファーの優位性が目立った。2部への降格で多くの主力を手放したものの、なお選手の質は1部の下位と同等以上。事実、ハノーファーは2位、シュトゥットガルトは3位と揃って昇格圏内にいる。

    2部は1部に比べて技術の低さや組織の粗さなどが否めず、悪い意味で内容と結果が結び付きにくい。泥仕合も頻発し、上位が下位に簡単に敗れる。経営難や首脳陣のゴタゴタで多くの選手が入れ替わり、昨季の順位が当てにならないクラブも少なくない。予想は困難なリーグだが、前半戦のパフォーマンスを重視すれば、ブラウンシュバイク、ハノーファー、シュトゥットガルト、ウニオン・ベルリン、ヴュルツブルガーが昇格の有力候補だろう。


    ■継続したチーム作りが上位進出の鍵

    文・BOJP

    2部の順位予想は大変難しいが、今季は1部から降格してきたシュトゥットガルトとハノーファーの戦力が突出している。試合によっては多少不安定なところは見られるが、それでも予想通り上位争いに加わってきた。リーグ戦の前半を終了して、この2つのクラブが3強の2つを占めているのは予想通りである。

    その他のクラブについては、主力選手個々の能力に関してはさほど大きな力の差は感じない。上位争いに加わっているクラブと、そうでないクラブの差は何かというと、昨季から継続したチーム作りができているかどうかの差ではないだろうか。

    首位のブラウンシュバイクは、就任9季目となるリーバークネヒト監督のスタイルがチームに浸透している。もともと2部で上位を争う戦力はあると見ていたが、今季はクンベラに好調時の得点力が戻り、接戦を勝ちきる力が加わった感がある。

    また4位のハイデンハイムもブラウンシュバイクと同様、長くチームを指揮するシュミット監督のコンセプトがチームに根付いており、今季は特に守備が安定している。5位のウニオン・ベルリンは長期的な戦力強化が実を結んできており、新たに就任したケラー監督がうまくチームをまとめているように見受けられる。

    リーグ戦の後半もブラウンシュバイク、ハノーファー、シュトゥットガルトの3強を軸に、ハイデンハイム、ウニオン・ベルリンが絡んだ昇格争いが展開されていくだろう。ただし2部に所属するチームは選手層がそれほど厚くはないため、主力選手が怪我をするようなことがあると、思わぬ失速をしてしまう可能性もある。

    下位に目を向けると、現在のところカイザースラウテルン、ザンクト・パウリには大きく期待を裏切られた。特にザンクト・パウリは昨季は4位に終わり、上位争いを期待していたが…。

    後半戦はヴュルツブルガー、ニュルンベルク、カールスルーエの3チームに注目したい。ヴュルツブルガーは昇格チームながら、現在6位と好調を維持。戦力的にはやや厳しいが、組織的なサッカーでどこまで頑張れるのか。ニュルンベルクは守備に問題を抱えながらも、リーグでのトップクラスの攻撃力で、少しずつ順位を上げてきた。ここまでリーグトップの14得点を記録しているブルクシュタラーが移籍したのは痛いが、それをどうカバーしていくのか。山田大記選手が所属するカールスルーエは現在15位と振るわないが、監督が代わりどこまで巻き返すのか。

    残留争いの行方については、現段階では全く予想ができない。いかに早くチームのスタイル、戦術を確立し、安定した戦い方ができるかどうか、そして、選手が良いコンディションで戦うことができるかがポイントになるだろう。


    ■明暗を分けた昇格組

    文・神様仏様ミニョレ様

    今シーズンの2部は、気付いたらもう折り返し地点を迎え、後半戦がスタートしている。そこで、今回のメイン記事の前に私なりに2部を少し振り返ってみようと思う。

    まず今シーズン、個人的に最も驚いたのは、ザンクト・パウリの低迷だ。昨シーズンは昇格まであと一歩のところで惜しくも2部にとどまる形になってしまったが、この様子であれば来シーズンも善戦するものだと思っていた。

    しかし、ここまで勝ち試合は未だ2しかなく、さらには12試合連続で勝ちなしという時期もあり、昨シーズンとはまるで別のチームのような成績になってしまっている。だが、後半戦からはブレーメンに移籍したティーの復帰が決定しており、この移籍はもしかしたらチーム復活の鍵となるかもしれない。

    次は昇格組の3チームについてだ。今シーズンから2部に加わったのはデュナモ・ドレスデン、エルツゲビルゲ・アウエ、ヴュルツブルガー・キッカーズ(並びは昨季順位順)の3チーム。昇格組のチームというものは次のシーズンに苦戦を強いられ、そのまま降格してしまう、というパターンも珍しくはない。

    しかし今シーズンはドレスデン、ヴュルツブルガーの2チームは現時点で7位、6位と昇格組としては上々の成績を出している。一方で残念ながら降格圏の17位に沈んでいるのが、アウエである。試合を見ても昨シーズンのような迫力がなく、失点はここまででリーグ最多と順応に苦しんでいるように見えてしまうのが現状である。

    上位陣は昨シーズン上位につけていたチームと、下位のチームの順位の入れ替わりのようなものが散見されるものの、1部からの降格組であるハノーファー、シュトゥットガルトの2チームを抑えて、首位を走るブラウンシュバイクの強さは特筆に値するだろう。あと4試合勝てば昨シーズンの勝点に並ぶだけに、このままの勢いで1部に上がれるか、今後も注目してみたくなるチームである。

    激しい応援が日本人のメンタルを引き上げる

    話は変わるが、日本人についても言及したい。現在は1部のみならず、2部でも多くの日本人が活躍している。有名なのがザンクト・パウリの宮市、カールスルーエの山田だろう。個人的にはブンデスリーガは日本人にとって非常に適しているリーグであると考えている。

    例えば英プレミアリーグだと、フィジカルの強さがかなり要求されるため、日本人には活躍が難しい。しかし、独ブンデスリーガは走力など比較的日本人にとっても伸ばす余地のあるところを改善していけば、活躍の余地があるリーグであり、非常に日本人に適していると思われる。

    また、フィジカル的な強さもかなり向上させられることは、ヘルタ・ベルリンの原口を見れば分かる通りで、こちらからも日本人にとって適しているリーグであると言えるだろう。

    さらに2部はフィジカル的な強さだけではなく、メンタル的な強さも鍛えられるリーグでもあると言える。2部の応援は世界でも有数の激しさを誇り、ドレスデンのサポーターがRBライプツィヒとの試合で、牛の頭部を投げ込む事件があったほどである。時には過度なところまで行ってしまうことのある2部の応援の中での試合は、日本人選手達のメンタル的な強さの向上にも一役買ってくれることは間違いない。


    ニーダーザクセンのライバル同士が上位を争う

    文・かめゆみこ

    2部の前半戦は、ブラウンシュバイクが勝ち点34で秋の王者となり、ウインターブレイクを迎えた。最終節で勝てば、首位に立つ可能性もあったシュトゥットガルトは、ヴュルツブルガー・キッカーズに3-0と完敗。3位で折り返した。2位はシュトゥットガルトと同じ降格組のハノーファーだ。ブラウンシュバイクの29ゴールを上回る32ゴールは、今季から加入したハルニクの力が大きい。ブラウンシュバイクとハノーファーは地理的にも近く、ダービーの際は逮捕者が続出する熱い関係。順位が拮抗したままシーズンが深まれば、両者のライバル意識も気になるところだ。

    上位3チームを追って、ウニオン・ベルリンとハイデンハイムが、それぞれ勝ち点29と28で続いている。ハイデンハイムは9年目のシュミット監督が指揮を執る。選手も比較的チーム所属歴が長く、監督のやりたいことを熟知しているようだ。

    ホッフェンハイムのナーゲルスマン監督が、ドイツサッカー特有のツヴァイカンプフ(1対1)をせずに、ボールを奪うと言って話題になったが、ハイデンハイムもそれに近いサッカーを行っている。1対1に持ち込まれる前にボールを奪う。次々とカバーに入って、出来るだけ危険な状況を作らないようにする。イエローカードが24(リーグ平均38枚)、レッドカードは0と、リーグ1少ないのも象徴的だ。ウニオン・ベルリンは今季より就任したケラー監督。DFBポカールで、ドルトムントを最後まで追い詰めた試合も記憶に新しい。

    その下には、3部より昇格したヴュルツブルガー・キッカーズとデュナモ・ドレスデンが、勝ち点27で並ぶ。近年、3部と2部の実力差はますます縮まり、昇格してきたチームもすぐに上位で順位を争う傾向にある。ヴュルツブルガーは2年前にレギオナルリーガ・バイエルン(4部)で優勝し、プレーオフを経て3部へ昇格。翌年には入れ替え戦から2部まで駆け上がった。修羅場を乗り越えてきただけにメンタルも強い。選手としても活躍したホラーバッハが率いるヴュルツブルガーは、セットプレーに強みを持ち、奪ってから得点までもよどみなく早い。今シーズンどこまで順位を上げるか見ものである。

    シーズン前にはいつも順位予想は行っているが、2部は特に下位の予測が難しい。昨シーズン4位だったザンクト・パウリは、17試合で2勝と最下位に低迷。後半戦でかなり巻き返さなければ、3部への降格も見えてくる。冬の中断時には、昨季パウリでブレイクした後、ブレーメンへ移籍したティーを再びレンタルで呼び戻し、得点力のアップを狙っている。最下位から14位の1860ミュンヘンまで、勝ち点5の中に5チーム。15位カールスルーエの低迷も予想外だったが、新監督となったスロムカが後半戦でどの程度チームを立て直すことができるか、また山田をどう使うかにも注目したい。


    ■安定した強さを見せるブラウンシュバイク

    文・ゆんゆん

    まず1部からの降格組のシュトゥットガルトとハノーファー。2部で最も選手にお金がかかってるチームなので、3位以内で前半戦を終えたのは当然といえば当然。1年で戻ることがノルマである彼らの戦いはここからが本番だろう。

    昇格組は明暗が分かれた。ヴュルツブルクとドレスデンは健闘して1桁順位。対してアウエは出だしこそ良かったが、その後はずっと低空飛行を続け降格圏に沈む。戦力的にも残留はかなり厳しい。

    際立ったのは前半戦2位以下の順位にならなかった首位ブラウンシュバイクの安定した強さ。未だ無敗のホームゲームで手堅く勝点を積み重ねている。

    過去3シーズン、秋の王者はそのままリーグ優勝し昇格を果たしているが、その前に優勝を逃しているのは他ならぬブラウンシュバイク(昇格はしている)。2位、3位とは僅か2ポイント差。今季はドイツ王者に輝いてからちょうど50年。クラブも大々的にキャンペーンを張っているが、このまま逃げ切って節目の年に花を添えることができるのか注目だ。



    ~My Opinion~

    クラブ史における転換点となった入れ替え戦 (ボーフム)


    文・BOJP


    最近の日本のサッカーファンは、VfLボーフムというクラブについて、果たしてどのような印象を持っているのだろうか。「ルール地方の地味なクラブ」、「乾貴士や田坂祐介ら日本人選手が所属したクラブ」、あるいは「イルカイ・ギュンドアンやレオン・ゴレツカの出身クラブ」というイメージを持たれることが多いかもしれないが、かつてはブンデスリーガ1部の常連だったという歴史を知っている人は、もはや少ないのかもしれない。


    ボーフムは1971年にブンデスリーガ1部に昇格して以来、常に残留争いに加わりながら、決して2部に落ちることはなかった。当時は「Die Unabsteigbaren」と呼ばれていたのだ。 しかし93年に初めて降格すると、以後は1部と2部を往復するエレベータークラブとなってしまう。それでも93年から2005年までは、5度も降格をしながら、必ず1年で1部へ復帰を果たしていた。


    10年に6度目の降格をした時も、翌季の2部で3位となり、それまでのレギュレーションであれば1年で昇格を果たしているはずだった。しかし不運だったのは、このシーズンから1部の16位と2部の3位による入れ替え戦がスタートしたということだ。


    そのシーズンのボーフムは、2位で自動昇格を決めたアウクスブルクとは同じ勝ち点で、得失点差によりプレーオフに回ることになってしまった。まさに紙一重で自動昇格を逃したという印象が強い。


    ボーフムにとってさらに不運だったのは、入れ替え戦の相手がルシアン・ファブレ率いるボルシアMGであったことだ。ボルシアMGは16位とはいえ、シーズン終盤に調子を落としたのではなく、最下位から徐々に調子を上げてきたチームであり、相当な強敵だった。


    入れ替え戦の初戦、アウェイで対戦したボーフムは、劣勢に立たされながらも、DFの懸命の守備とGKのスーパーセーブで失点を防いでいた。しかし追加時間も終わろうとする94分、まさに最後のワンプレーで失点し、重要な初戦を落としてしまう。


    最後のプレーの起点となったスローインがスタートする時点で、時計は94分をわずかに経過しているようにも見えた。こればかりは主審の判断なのでどうしようもないが、本当に微妙なところで勝敗が決したのは事実だ。ホームでの第2戦はドローに終わり、結果としてボーフムは昇格を逃すこととなった。


    その時以来、ボーフムはプレーオフを戦うことすらできず、2部に定着して今季で7季目となる。その後、資金力のある新興勢力が1部に定着しつつある一方で、ボーフムは経営状態が悪化し、綱渡りの経営を余儀なくされるなど、1部への復帰は極めて困難になってしまった。


    今になって思えば、この入れ替え戦に敗れたことはボーフムにとってクラブ史における転換点となる重要な試合になってしまったのだと思う。なお、この入れ替え戦に勝ったボルシアMGは、その後、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグに出場を果たすようになり、こちらはポジティブな意味でこの試合がクラブ史における転換点として語られているのは皮肉なものである。


    勝てそうな試合を追いつかれたり、ドローで終われる試合をつまらないミスで失点して1ポイント失う。わずか1ポイントや2ポイントかもしれないが、それが後になってクラブの立場を変えてしまうような大きな違いとなることもあるのだと実感する。その意味でこの10-11シーズン、そして入れ替え戦は忘れることができない。


    その後、ボーフムは14年に財務担当取締役に就任したヴィルケン・エンゲルブラハト氏の下、女子チームやU23チームの解散を始めとした思い切ったリストラを図り、経営状態も徐々に改善。またクリスティアン・ホッホシュテッターSD、ヘルトヤン・フェルベーク監督による中長期を見据えた戦力強化が、徐々に軌道に乗ってきたように見受けられる。

    しかし、伝統はあるが資金のない地方の中小クラブが、生き抜いていくのに厳しい時代であることにかわりはない。そして何年先になるかわからないが、再び1部に昇格することを信じて長い目で見守っていきたいと思う。


    ※編集提供




    第3章 応援するクラブの中間考査と後半戦の展望


    日本人選手に注目の集まるツヴァイテリーガ(2部)だが、若いスター候補や才能ある監督もひしめいている。ここでは執筆者達に応援するクラブの前半戦での戦いぶりと、注目する選手を挙げてもらった。


    攻守に組織の整備が遅れ、覚束ない昇格への道程(VfBシュトゥットガルト 3位 勝ち点32)

    文・暁空也



    多くの主力が残留し、昇格は至上命題のシュトゥットガルト(写真はシュトゥットガルトの公式サイト。以下、同じ)

    曖昧模糊――。「ぼんやり」や「不明瞭」といった意味を表す四字熟語だが、シュトゥットガルトの現状に最適だ。ウインターブレイクを迎えた時点での戦績は10勝2分5敗の3位。勝ち点では2位と並び、首位との差も僅か2だが、攻守に組織の整備が遅れており、昇格への道のりは覚束(おぼつか)ない。



    1部でも通用する陣容

    選手の質はリーグでもトップクラスだ。1部からの降格に伴い、ディダビ(→ヴォルフスブルク)やコスティッチ(→HSV)、ティモ・ヴェルナー(→ライプツィヒ)、ルップ(→ホッフェンハイム)らを失ったが、インスーア、バウムガルトル、グロスクロイツ、クライン、ゲントナーなど多くの主力を引き留めた上で、2015-16シーズンの2部の得点王であるテロッデ(←ボーフム)、パバール(←リール)やマネ(←スポルティング)、浅野(←アーセナル)といった俊英、確かな実力と豊富な経験を有するトビアス・ヴェルナー(←アウクスブルク)や細貝(←ヘルタ・ベルリン)らを獲得。1部でも通用する陣容を整えた。

    実際、「個の力」の違いを随所に示した。中でも“新顔”だ。テロッデは抜群の決定力で11得点を挙げ、マネは卓越した突破力で好機を量産。自らも4度、ゴールネットを揺らした。浅野も、持ち前のスピードと的確なパスで前線を活性化。ボールを受ける、運ぶ、繋ぐ技術はチームでもトップクラスで、得点は2、アシストは4を記録した。決定機でのミスショットを連発しなければ、得点は倍以上に伸びただろう。“古株”のゲントナーも攻守に存在感を発揮。得点を5まで伸ばし、キャプテンとしてチームを牽引した。



    リーグで2位の11得点を挙げたテロッデ。ポストワークの質も高い



    抜群の突破力で攻撃の起点となるマネ



    プレーのクオリティは高いが、決定力の低さが目立った浅野

    さらに、「ダイヤの原石」と言っても過言ではない若手がいる。18歳のMFベルカイ・エズカンだ。プレーは繊細さと重厚さを併せ持ち、巧みに「柔」と「剛」を使い分けてゴールに迫る。前半戦は14試合で1得点、3アシスト。ムラが磨かれ、判断力が向上すれば、いずれはビッグクラブへと羽ばたくに違いない。



    先発が4試合、途中出場が9試合と、大切に使われているエズカン

    疑念が募る指揮官の手腕

    問題は、監督にある。開幕から2勝2敗と出遅れたルフカイと3カ月足らずで契約を解消し、アシスタントコーチから昇格させたヤンセンを経て、ドルトムントのU-17やU-19をリーグ優勝に導いたヴォルフを招聘したが、9月20日の就任から3カ月近く経っても攻撃や守備に明確なコンセプトを落とし込めず、対戦相手の研究も甘い。



    分析や采配に物足りなさが否めないヴォルフ監督

    16節と17節が象徴的だった。ホームでハノーファーを迎え撃った16節は、防戦に終始。高く設定した最終ラインの裏を狙われて何度もピンチに陥り、3バックと4バックを使い分ける変則的なフォーメーションも混乱に輪をかける。攻撃では、ボールを起点に複数人が密集するプレスに手を焼き、ビルドアップが停滞。マネや浅野、グロスクロイツの個人技に頼るばかりで、効果的な策を打ち出せないまま敗れた。

    アウェイでヴュルツブルガー・キッカーズと対戦した17節も、采配がことごとく裏目に出た。

    攻撃では、マネの起用法が大失敗。“本職”のサイドでなく、トップ下を任せたが、ピッチを右往左往。ボールに触れず、ほとんどの時間で消えていた。

    守備では、前節の反省からか最終ラインを下げたが、今度は人に寄せ切れない。深い位置で簡単にドリブルやミドルシュートを許し、フィニッシュに持ち込まれる。特にドリブルに対しては、あまりにも無防備だった。ヴュルツブルガーには、強力なドリブラーがいる。それを知らなかったかのような杜撰(ずさん)な対応は、スカウティングの不備を咎められても仕方ない。

    センターバックのパバールに中盤の底を任せた判断も、結果的に“悪手”だった。狙いは守備の強化だが、自陣のペナルティエリア付近での軽率なドリブルをカットされ、先制点をプレゼントした。

    2試合連続で攻守に限界を露呈し、ヴォルフ監督の手腕には疑念が募る。ただ、同情の余地もある。まだ35歳、トップチームを率いるのは初めてだ。シーズンの途中での就任では、じっくりと戦術を浸透させる時間もない。それに充てられるウインターブレイクを、指揮官は心待ちにしていたはずだ。

    守備の改善は後半戦への吉兆

    報道によれば、ウインターブレイクでは攻守のバランスを修正。ヴォルフ監督は「組織として良化した」と、特に守備の改善に手応えを掴む。実際、1月はケルン、デュイスブルク、ローザンヌ・スポルト(スイス1部)との練習試合に臨んだが、全て無失点。新たに採用した4-1-4-1も機能した。リーグの前半戦では、得点が2位、失点が11位と守備陣が足を引っ張っただけに、明るい兆しだ。

    一方で、攻撃は3試合で1得点と不発。しかし、ヴォルフ監督はキャンプによる疲労や試合勘の欠如などを指摘し、テロッデ、マネ、浅野を軸とするアタッカーに信頼を寄せる。素質を高く評価されながら、度重なる怪我に悩まされてきた大型FWのギンチェクも、ヴォルフ監督のキメ細やかなサポートを受け、いよいよ臨戦態勢が整いつつある。移籍市場でバイエルンから期限付きで獲得したFWジュリアン・グリーンも、スピードや突破力に長けた有望株だ。



    バイエルンから期限付きで獲得したグリーン

    立て直すための時間は、十分に与えられた。29日に再開するリーグ戦では、敵地で最下位のザンクト・パウリと対峙する。内容を伴った勝利で上昇気流に乗るか、3連敗を喫して混迷を深めるか。ヴォルフ監督が、シュトゥットガルトが、岐路に立つ。

    <シュトゥットガルトの主な選手と基本布陣>



    4-1-4-1や4-2-3-1、4-3-3を基本に、3バックも使われた。GKはランゲラク。ポカも少なくなかったが、それを補って余りある好守でチームを救った。両CBは対人戦に強いが俊敏さに欠ける。右SBは攻撃的なグロスクロイツ、中庸のクライン、守備的なパバールと多彩。左SBのインスーアは超攻撃型で、ドリブルでチャンスを切り拓く。いわゆる「アンカー」の役割は、軸と目された細貝の離脱が長く、主にツィマーマンが担った。

    ゲントナーはキャプテンで、攻守にそつがなく、運動量も多い。テクニシャンのマキシムは、好不調の波が激しかった。テロッデ、マネ、浅野のトライアングルは不動。いずれもタイプが異なり、親和性が高い。序盤は左サイドにヴェルナーが起用されたが、怪我で離脱。合流が遅れ、スーパーサブからスタートした浅野が結果を出し、ポジションを手中に収めた。


    ■予想以上の善戦。3位以内も夢ではない (フォルトゥナ・デュッセルドルフ 8位 勝ち点27)

    文・かばちゃん



    執筆者提供




    フォルトゥナ・デュッセルドルフの2016-17シーズンの前半戦は、14位でのフィニッシュとなった。12-13シーズン以来の1部での戦いを目指したものの、まさかの残留争いとなった昨シーズンを考えると、ここまでの戦いは予想を遥かに上回った。

    昨シーズンの核であったデミルバイ、ポーヤンパロがレンタル終了、サラレル、ハグイといったレギュラーの選手も去っていった中、まず今シーズン、補強としてシャルケからアイハン、シーズン途中には14-15シーズンの2部の得点王のヘニングスをバーンリーよりレンタルで獲得した。

    開幕戦からザントハウゼン相手に2点のビハインドを追い付くドローでスタートすると、1部からの降格組のシュトゥットガルトを相手に、ホームで1-0勝利と健闘。最終的に前半戦は8位でフィニッシュし、負けた相手もニュルンベルク、ハイデンハイム、ドレスデンなど上位陣のみであった。

    後半戦に向けて、フォルトゥナはボーフムからU18ドイツ代表のギュル、ハノーファーからアンドレ・ホフマンを獲得。戦術面では前半戦は、センターバック、ボランチのスタメンが定まっておらず、組み合わせを模索している最中とも言えた。最後は4試合勝ちなしで終わったものの、失点はハノーファー戦の2失点、それ以外は1失点と安定してきているように思える。これを固定することができれば守備も安定し、後半戦の躍進も期待できる。勝ち点が取れなかった相手から、勝ち点を取れるようになれば、3位以内も夢ではないと思う。


    ■GKの怪我と失点の多さに苦しむ (エルツゲビルゲ・アウエ 17位 勝ち点13)

    文・神様仏様ミニョレ様

    今シーズンのアウエの前半戦についての振り返りと、後半戦の展望について書いていこうと思う。





    まずは前半戦についてだが、率直に言うと上位ディビジョンでの戦いの厳しさを思い知らされるものとなってしまった。3部での2015-16シーズンでは、42得点21失点とまずまずの成績を残しており、多少の希望的観測でもあったが、2部でも下位に低迷するようなことはないであろうと思っていた。

    シーズン当初は、まだ負けが多少多くてもしょうがないと、ある程度割り切って試合を観ていられたが、第9節のザンクト・パウリ戦を最後に、8試合勝利がない状態となってしまっている。得失点も17得点32失点と、攻守にわたって苦戦しており、上位ディビジョンでの戦いの厳しさを突き付けられているような格好となっている。

    チームとしても、負け癖のようなものがついてしまっているような印象があり、追いついてもまた失点してしまう、先制してもリードを守りきれないような試合が多々見られた。また負けが込んでいるせいか、選手たちが試合中にカッカして、カードをもらってしまうシーンも多く見られている。

    第6節のビーレフェルト戦では、キャプテンでGKのメネルが負傷退場して、長期離脱を余儀なくされてしまった。彼の離脱中、チームは25失点を喫している。このこともアウエの前半戦の不調の大きな原因と言えるだろう。

    後半戦はどうなるかということに関してだが、このままの流れでシーズンを終えるような形になれば、非常に残念だが降格は免れないだろう。なんとか降格を避けるには、まずディフェンスの立て直しが急務と言える。究極の話、サッカーというスポーツは、失点さえしなければ必ず勝ち点をもらえるスポーツなので、復帰したメネルと共に、どう守備を立て直すのか、監督のドチェフの手腕が問われることになる。

    攻撃陣ではケプケがU21のドイツ代表に選ばれたので、より決定力に磨きがかかり、彼の1トップのフォーメーションを好んで使用しているアウエは、少なからず恩恵を受けることになるだろう。しかしそれは同時に、代表ウィークにエースFW不在で試合をすることが増えることを意味し、さらにケプケにも代表での疲労、怪我のリスクも出てきてしまう。

    またケプケの1トップは、彼の調子に得点が入るか否かが左右されてしまう諸刃の剣のフォーメーションでもあるため、クヴェシッチ、アドラー、スカラティディスなど、他の攻撃陣選手の奮起がなければ、依然として得点不足に悩まされてしまうことは間違いないだろう。

    そして、この記事の公開前に後半戦1試合が終了した。アウエは4位のハイデンハイムとホームで対戦し、90分にナザロフの勝ち越しゴールで勝ち点3を獲得した。この試合のみの感想としては、ウインターブレイクで、山積していた問題がかなり解決されていたように見えた。またエースのケプケもしっかり得点を取り、守備の大崩れもなかったという、多少なりとも楽観できる材料が発見されたのはファンとして嬉しい限りだ。上位相手の劇的な勝利だったため、未だに降格プレーオフ圏内ではあるが、今週だけは手放しで喜んでもいいかなと思える内容だった。

    今はこんな問題だらけのチームだが、もちろん私は応援しているし、まだ立ち直れると信じている。なぜ好きになったかと言うと、とても単純で、3部の頃の試合でスーパーゴールを見た。本当にそれだけである。中央から右サイドに浮き玉のパスが出るまでは、サッカーでよくあるシーンの1つだった。しかしそのパスにダイレクトで合わせて、中央に弾丸のようなクロスが飛んで、結果それがアシストとなり得点に結びついた。そのシーンを見た時に、これは面白いチームがいると感じ、そこからアウエを応援し続け現在に至っているのである。

    できることならば1部に上がり、もっと日本の皆さんにも選手や熱いサポーターについて知ってもらいたいが、今はまだまだマーケティング以前に我慢の時期であることは、ファンも選手も百も承知のはずである。そしてできることなら死ぬまでに、1部で優勝するシーンを見られる日が来ることを祈るばかりである。





    ■チーム完成度の高さで昇格を狙う (ハイデンハイム 4勝ち点29

    文・かめゆみこ




    2部の中でも名前の知られているクラブもあれば、そうでないクラブもある。日本人選手がプレーしているチームはもちろんだが、1860ミュンヘンや、ボーフムなど、かつて日本人選手が所属したチームも、名前を耳にしたことがあるかもしれない。

    2部の中でも1.FC ハイデンハイムはかなり地味な存在だと言える。そんなクラブが注目を浴びたのは、2013年に製作された「Trainer!」という映画だ。3人の監督の1シーズンを追いかけたドキュメンタリーで、中でもハイデンハイムのフランク・シュミット監督は強烈な印象を残す。横浜フットボール映画祭での上映が予定されているので、これでハイデンハイムが少しでも知られるようになると嬉しい。

    2016-17シーズンの前半を終了し、ハイデンハイムは8勝4敗5分、勝ち点29の4位で折り返した。3位シュトゥットガルトとの差はわずか2ポイント。昇格も十分狙える好位置につけている。ただしまだ「Aワード」つまり「昇格(Aufstieg)」の話はタブーのようだ。ハイデンハイムは13-14シーズンに3部で優勝し昇格している。この時の2位はRBライプツィヒ、3位はダルムシュタットだった。両チームとも現在1部でプレーしていることを考えると、負けず嫌いなシュミット監督が昇格を考えていないわけがない。

    昨シーズン、10ゴール9アシストと活躍したライペルツをシャルケに買い戻され(その後インゴルシュタットへ移籍)、得点力の低下が心配されたが、フライブルクからレンタルでティム・クラインディーンストを獲得。ドイツU20でもプレーする194センチの大型フォワードだ。



    クラインディーンスト(ブンデスリーガ公式より)

    クラインディーンストは3部のコットブス時代にブレイクし、昨シーズン、2部だったフライブルクに移籍。残念ながら大きな怪我もあって、出場機会には恵まれなかった。今季レンタルでハイデンハイムに加入すると、第9節のフュルト戦での右膝内側靭帯損傷による離脱まで、3ゴール3アシストと活躍、チームを2位まで押し上げた。

    第16節のウニオン・ベルリン戦で怪我から復帰し、さっそくゴールを挙げている。高さを生かしたヘディングのみならず、スピードもあり、プレーは柔軟。フライブルクやハイデンハイムのようなチームで、高い戦術理解も備えることになると、今後がますます楽しみな選手と言える。

    もう1人、注目して欲しい選手はキャプテンのマルク・シュナッテラーだ。


    マルク・シュナッテラー(Margarete Steiff facebook)

    08年からこのチームでプレーする31歳のベテランは、前半戦17試合で7ゴール6アシストと安定した活躍ぶりを見せている。14-15シーズンに、現フライブルクのニーダーレヒナーと組んでいたコンビが非常に印象的で、2人の破壊力はリーグでもトップクラスだった。

    セットプレーからのボールや、ダイレクトで素早く上げるクロスの精度は高い。試合開始時は左サイドハーフだが、かなり自由にポジションをとる。第14節ザンクト・パウリ戦で、フェルホークとのパス交換から決めたシュートは、シュナッテラーらしいゴールだった。バランス感覚とボール扱いのうまさはこちらの映像でも証明済みだ。(ヘディングでボールを回しているのがシュナッテラー)

    https://www.youtube.com/watch?v=F7ABE5ZbeEI

    基本的なフォーメーションは4-4-2。第11節のボーフム戦以外は、すべてドッペルゼクサー(ダブルボランチ)で、組み合わせはほぼグリーズベックとティッシュ・リフェロの2人だ。どちらもカバーリングに優れ、最終ラインに持ち込まれる前に素早くコースを限定する。

    ハイデンハイムはイエローカードの少ないチームで、むやみに1対1に持ち込まず、タックルも比較的少ない。チームの守備はよくアグレッシブと表されるが、ガツガツと当たりにいくことがこの言葉の意味ではないという好例を示す。ただしDFBポカール2回戦で、マリオ・ゴメスに得点を許した時のように、フィジカルで対峙すると不利になることもある。

    ディフェンスラインは、真ん中にベールマンとヴィテックが不動のスタメンをとる。冬にレンタルでインゴルシュタットから加入したヴァールが、固いスタメンの壁に対し、どこまで違いを見せられるか興味深い。

    サイドバックはシュトラウスとファイクがファーストチョイスのようだ。レバークーゼンからレンタル中のベッカーや、ハイデンハイムユース育ちのシュカルケなど、楽しみな若手も多い。

    ハイデンハイムでもう1つ注目して欲しいのはマスコットのパウレ。クラブの集合写真にも一緒に写る人気者だ。



    ハイデンハイムのスタジアムから南へ10キロの場所に、テディベアのぬいぐるみで有名なシュタイフの生まれ故郷・ギンゲンがある。パウレもよく見ると、耳にシュタイフのボタン・イン・イヤーと黄色いタグがついている。夏のシュタイフ祭りでは、敷地内で選手たちのサイン会も開かれた。1.FC ハイデンハイムとシュタイフは、どちらもこの自治区の誇りなのだ。


    ■主力移籍による得点力不足が影響 (VfLボーフム 11位 勝ち点22)

    文・BOJP






    ボーフムはここまで11位につけている。昨季の最終順位5位と比較すると物足りなさを感じるが、要因は昨季までのチームの得点源であったテロッデが抜けた穴を埋めきれていないこと、怪我人が続出して特に守備での安定感を欠いていたこと、この2点だと思う。

    昨季2部で得点王に輝いたFWのテロッデ、攻撃的MFのブルト、ハーベラー、テラッツィーノといった攻撃陣のレギュラーメンバーが、そっくりそのままいなくなってしまった。活躍した選手が他クラブに引き抜かれることは避けられないことではあるのだが、昨季はこの4人で合計して37ゴール29アシストを記録しており、その穴を埋めるのは容易ではなかった。

    新たに獲得したヴルツ、ヴァイラント、シュテーガー、クバシュナーは非常に良い選手であり、攻撃的MFの抜けた穴は埋めたと言える。しかし今季のチームに決定的に欠けているのは得点能力である。やはりテロッデの移籍による戦力ダウンは大きかった。



    今季の1トップはムラパが務めることが多かった。彼のスピードやフィジカルの強さを生かした突破力は素晴らしいが、センターFWが彼の適性に合っているかどうかは疑問である。試合を重ねるごとにポストプレーは良くなってきているが、得点力には不満を感じる。新加入のヴルツはセンターFWタイプではないし、クバシュナーも将来性は感じさせるが、まだ未熟な点が多い。

    その結果、今季のボーフムはそれなりに多くの決定機を作りだすものの、ゴールを決める力に欠け、内容で相手を圧倒していても勝ちきれない試合が少なくなかった。

    守備に関しては、元々が選手層が薄かったにもかかわらず、満足な補強ができなかった。いや、そもそも補強ポイントとは考えていなかったようにも見受けられる。

    特にCBはこのポジションを本職として実績のある選手が、バスティアンスとファビアンの2人だけになり、しかもファビアンは十字靭帯損傷の大怪我で長期離脱中。ボランチやサイドバックを本職とする選手をCBとして起用して対応していたものの、両SBにも怪我人が続出、ギュル、ライチュなどのように、まだトップチームの選手として公式戦に出場経験がない17歳、18歳の若手を起用して窮地を凌ぐ形となった。

    ボーフムは毎試合のようにつまらないミスから失点を繰り返し、無失点で試合を終えたのは第16節の1860ミュンヘン戦だけである。せっかく試合を優位に進めていても、肝心な所でミスから失点を喫し、勝てる試合をドローにしてしまうことが多かった。

    比較的選手層の厚い攻撃的MFにも怪我人は多く、特に序盤でチャンスを演出する役目を担っていたシュテーガーとアイスフェルトが今季絶望となったのは痛い。ただその一方で、多くの選手が実戦でのプレーを経験できたことは、今後に向けての収穫と言えるのではないだろうか。特にサーラムやライチュなど若い選手にとっては自信になったはずである。

    リーグ戦後半への期待

    リーグ戦後半は戦線離脱していた選手が戻ってくるので、守備は安定してくるものと思われる。確信を持って言えるだけの根拠があるわけではないが、そうなることを信じたい。幸い中位以下は未だに混戦となっており、ボーフムにも上位に浮上するチャンスはまだ残っている。昇格はさすがに厳しいが、6位あたりまで順位を上げることは十分に可能であろう。

    2014-15シーズン途中にフェルベーク監督が就任して以来、ホッホシュテッターSDは中期的な目標として1部復帰を掲げている。中期的というのは5年を目途ということのようで、その通りであるなら、来季あたりは本格的に昇格争いを加わっていかなくてはならない時期だ。

    そのためには、フェルベーク監督のサッカー哲学を、控え選手を含めたチーム全体へより一層浸透させることが必要となる。来季以降のことも考えて、リーグ戦後半の戦いを無駄にはしないで欲しいと思う。


    ■条件が揃えば昇格も夢物語ではない (デュナモ・ドレスデン 7位 勝ち点27)

    文・ゆんゆん




    2部に返り咲いた初年度にして首位と7ポイント差の7位は大満足の結果だ。

    夏のマーケットで3部優勝の原動力となったアイラース、ヘフェレらを失い、モルに至っては同カテゴリーのブラウンシュバイクに移籍。対して補強はフリーエージェントや期限付きでの加入ばかりとクラブの金回りは芳しくない。

    苦しいシーズンとなることが予想されたが、蓋を開けてみれば一時は2位にもつけるなど健闘。ハイライトはシュトゥットガルト戦(5-0)とブラウンシュバイク戦(3-2)の勝利。昇格レースを主導している両クラブ相手に大量得点で勝利したことは、チームにとって大きな自信となった。

    とはいえ、多少の不満は残る。ボールを繋ぎ多くの試合で主導権を握るも、創り出した決定機を決め切れずに勝点を落とすことが幾度となく見られた。内容からして「もっとできたはず」というのが率直な感想だ。もちろん、先に述べた通り、予想を上回る好成績ではあるのだが。

    前半戦のMVPを挙げるとすれば、やはりアカキ・ゴギアになる。



    攻撃陣の中核であるマルヴィン・ステファニアクが、太腿の負傷で11月以降ほぼ全休(中断前最後のビーレフェルト戦で復帰)を強いられても、チームのパフォーマンスが大きく落ち込まなかったのは、このジョージア生まれのアタッカーの活躍によるところが大きかった。

    左右どちらのサイドで起用されても遜色なく、切れ味鋭いドリブルでチャンスを量産。遠く離れた位置からでも、自らゴールを狙っていく。2試合連続のドッペルパック(2得点)などチーム最多の7得点を記録した。加入1年目にして早くもチームの中心的存在だ(保有権は英2部のブレントフォードにある)。

    後半戦、さらに上を目指すには攻撃の効率向上が必須。チャンスを潰しすぎだから、取り零しを少なくしようということだ。言ってそれができれば、どのチームも苦労はしないのだが。昨季18得点を挙げエースとして期待されたパスカル・テストロートは、そうした意味で象徴的な選手である。

    この前線には、十字靭帯を断裂して以降フリーエージェントとなっていたマルコス・アルヴァレスを加えている。年代別ドイツ代表経験もあるシャドーストライカーだが、主だった実績は3部リーグのみと未知数。前半戦好調だったシュテファン・クチュケを含めFW陣の奮起に期待したい。

    その他、マルク・ヴァクスが負傷離脱したレフトバックに、シュトゥットガルトで出場機会を失っていたフィリップ・ハイゼを補填。残りのシーズンを乗り切る陣容は整った。

    浮沈の鍵を握るのはマルコ・ハルトマン。精神的主柱であり、中盤の底で危険の芽を摘み取り続ける屋台骨で、若きCBコンビがやや不安定な最終ラインには彼のサポートが不可欠だ。万が一のことがあれば、その影響はステファニアクの離脱時の比ではない。



    代替不可のキャプテンの存在と得点力向上という条件が揃えば、1部昇格も決して夢物語ではないだろう。

    若き2人に注目

    最後に、注目して欲しい選手を紹介する。

    1人目は、マルヴィン・ステファニアクだ。年代別ドイツ代表までチェックしているファンであれば、ディナモの試合を観ていなくとも説明不要だろう。左サイドを主戦場とする時代が求めし万能型MFだ。



    得点センス、ドリブル、スピード、パス、どれをとってもハイレベル。身長の割に空中戦にも強く、巨漢FWのクチュケよりもボールを収められる。守備の貢献度も高い。キッカーとしても優秀でそのFKはチームの重要な得点源。2部で今最も注目を集めている若手の1人だ。

    地元ザクセン州出身で16歳でディナモに入団した生え抜きだが、すでに今夏のウォルフスブルク移籍が決まっている。来季1部に彼が姿を現すのはほぼ確実なのだ。今年の暮れには彼が大きな話題となっているかもしれない。先取りする意味でもこの東ドイツが生んだ天才のプレーに注目して欲しい。

    もう1人、若い生え抜きの選手を紹介しておきたい。二クラス・ハウプトマンは12歳でケルンからディナモのジュニアユースに移り、昨季トップチームでデビューを果たした。精密なキックとリズミカルなドリブルが光るセンターハーフである。



    第11節のブラウンシュバイク戦、自陣内でボールを奪うとステファニアクとのパス交換を挟み、流れるようなドリブルで相手選手をゴボウ抜きにしてフィニッシュまで持ち込み、見る者の度肝を抜いた。続くデュッセルドルフ戦で開始直後に左足を一閃、トップチームでの初ゴールを挙げる。僅か25秒の早業であった。

    デビューから瞬く間に定位置争いに名乗りを上げた20歳の逸材に期待は高まるばかり。”ステファニアク以後”の時代を担うのはきっと彼になるはずだ。



    ~My Opinion~

    2部から見たRBライプツィヒ

    文・かめゆみこ

    ラーゼンバルシュポルト・ライプツィヒが2部にいた2年間は、ファン文化の観点からも非常に興味深いシーズンだった。試合のたびに、ウルトラスを中心とした対戦相手のサポーターが、激しい抗議活動を展開した。個人的にはやり過ぎと感じることも多々あったが、これらの活動には、金の力で強くなることへの反発だけではなく、根底にドイツサッカーの理念を守るという気持ちがあったことはわかって欲しいと思う。

    今や旅立っていったRBライプツィヒを下から眺めるだけとなったが、2部時代にあった圧倒的な違和感は、1部ではずいぶん希釈されたように感じる。資金、コンセプト、能力。3つのCがRBライプツィヒ成功の秘訣だと、スポーツディレクターであるラングニックは語る。確かに1部に置くと、そこに相応しいチームのようにも見えてくる。2部時代、サッカーはマーケティングツールではないという抗議活動に共感したものの、今では明確なビジネスモデルとサッカーのスタイルに、抗えないものを感じるのも事実だ。

    ドイツのプロサッカーチームは、もともと地域にある体操クラブ内のサッカー部から生まれたものが多い。その地に根差したスポーツクラブは、少額の会費で誰でも参加することができた。それに伴い、地方自治体の所有している施設の使用権や優遇税制といった恩恵が与えられた。日本で言うところの社団法人に近い非営利団体である。今でも会費を払った人達が参加し、自分達の力で運営するという、設立時の理念を引き継ぐ。

    この枠組みを支えるため、ドイツサッカーリーグ機構には、元になる組織に51%の所有権を定める「50+1」という規定がある。設立母体以外の参入者は、20年間は単独での会社支配が難しく、これがイングランドなどと違い、外国企業や資産家のブンデスリーガへの参入を阻んできた。

    1部のクラブで、未だに社団法人の形がそのまま残っているのは、シャルケやフライブルクなどの4つ。それ以外はトップチームをスピンオフし、会社化しているところばかりだ。母体の非営利団体が利益を生み出す株式会社を所有するという構造である。2部になると、オリジナルのままの形で運営しているクラブの数が一気に増える。ウニオン・ベルリン、ボーフム、デュナモ・ドレスデン、ザンクト・パウリ、ハイデンハイムなど18チーム中12チームがそうだ。

    RBライプツィヒが3部から2部に上がる時に、ライセンス付与を巡ってリーグから出された条件は、ロゴデザインの変更と異常に高い年会費の改訂だった。これにより地域の人々の参画が可能になるはずだった。

    しかし、それから3年以上経った今でも会員数は増えていない。ブンデスリーガの公式によると600人(ちなみにバイエルンは27万329人)。ラングニックは、クラブの会員数はチームの戦略的な決定に何の影響も及ぼさないし、時代遅れの枠組みだと主張する。影響を及ぼさないのであれば、入会条件を下げて数を増やす努力をしてもいいようなものだけど。

    実のところ「50+1」は今や形骸化し、リーグはレッドブルのような参入を黙認しているようにも思える。RBライプツィヒに隠れて、日本では目立たないが、1860ミュンヘンもその手法が多くの批判を浴びているクラブの1つだ。トップチームはすでに株式を発行しており、11年に1人の投資家が60%の「議決権」を1800万ユーロで取得した。しかし書類上は出資比率の51℅を、母体である社団法人が所有していることになっている。

    2部のハノーファーもまた、資産家の支援を受けているクラブの1つである。「50+1」は、継続的にクラブに貢献し続けてきた企業及び個人が、20年を超えた時点で適用外になる。これは長年レーバークーゼンとウォルフスブルク限定の例外措置だった。

    しかしハノーファーのキント会長はリーグに働きかけ、20年間メインとなって継続支援を続ければ、誰でも過半数を超えて所有できるよう改定することに成功した。そして今年、彼はついにその20年目を迎える。

    RBライプツィヒが台頭する前、同じような批判の矛先はホッフェンハイムに向けられていた。しかし会長のホップは、長年にわたり多額の資金をクラブに注ぎ、今やホッフェンハイムの育成部門が高い評価を得るだけではなく、優秀な監督をトップチームに送り出すまでにもなった。ホップは現在、トップチームの株式を96パーセント所有しているが、このことは2015年にリーグが承認している。

    ホッフェンハイムやハノーファーのように正攻法で行くのか、あるいは抜け道を探るのか。いずれにせよ、今後、クラブの資本のあり方に見直しが必要となることは避けられないように思う。その時、ドイツサッカーの文化は変わるのか、そのままであり続けることができるのか。そんなことを考えながら、今日も2部の試合を見ている。



    次回へ続く


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