17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・2
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17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・2

2017-02-17 22:30
    ※注意※
    17人の愛好家による独ブンデスリーガ&ツヴァイテリーガ16-17シーズンの“中間考査”・1の続きです



    第4章 ブンデスリーガ前半戦の総括



    文・昴

    2016-17シーズンも既に半分が終わり、後半戦に入った。今季も秋の王者はバイエルンで落ち着いたが、途中で首位に立ったライプツィヒや昨季と同様の躍進を見せるヘルタ・ベルリン、見違えたフランクフルトなど、順位表には大きな変化が見られる。各クラブの詳細は各担当者に委ねるとして、この項目ではリーグ全体の簡単な総括を行う。



    勢力図の大きな変化

    過去5シーズンにおいて、チャンピオンズリーグ圏内に入ったのは、バイエル、ドルトムント、シャルケ、レバークーゼン、ボルシアMG、ヴォルフスブルクのみだ。昨季も序盤こそヘルタの躍進があったが、最終的にはEL圏ギリギリのところまで落ちてしまった。少なくとも、ここ数シーズンにおいて上位陣の顔触れは大きく変わることなく、ほとんど決まったクラブが世界最高峰の舞台に挑戦していた(この傾向はドイツに限らず欧州の各リーグに見られるものだが)。

    今季はバイエルンこそ首位を守っているものの、ドルトムントが6位、レバークーゼンが9位、シャルケが11位。ヴォルフスブルクとボルシアMGに至っては、入れ替え戦ラインの16位ハンブルガーSVまで3ポイント差の13位と14位に留まっている。上位4クラブがいつもの顔触れに落ち着くのは難しい状況だろう。

    一方、昇格組が2クラブとも安定した戦いを披露。まさに1部を“荒らしている”ライプツィヒが目立っているが、育成に定評のあるフライブルクも8位につけており、残留はもちろん、EL圏内を窺える位置だ。

    昨季に続いて前半戦を湧かせたヘルタ、昨季期待を裏切っていたフランクフルトやホッフェンハイムがドルトムントと共に上位グループを形成。ホッフェンハイムは引き分けこそ多いが、リーグ唯一の無敗のまま前半を終えた。モデストの爆発があったケルンもトップハーフに入っており、今季は日本人所属チームの好調が目立つ。

    下位は昨季の昇格組2クラブが北部の2クラブを追う構図。ここ数年、幾度の降格危機を乗り超えてきた北部の名門2クラブは今季も苦しい戦いを強いられている。昨季堂々の残留を果たしたインゴルシュタット、ダルムシュタットの両チームも今季は正念場だ。

    例年になく多発した監督交代

    ドイツでは例年、イタリアやイングランドに比べれば監督交代が少ないが、今季はまるで別のリーグだと感じる程に指揮官の解任が起こった。



    実に7クラブが前半戦で監督交代に踏み切っている。丁度順位表の下から7クラブだが、交代により復調の兆しが見えるクラブもある。特に交代時、勝ち点が僅か2(第10節終了時)だったインゴルシュタットは交代後の6試合で勝ち点10を積み上げた。交代した各監督はウインターブレイクでようやくチームを作る時間ができるので、後半戦の入りには注視したい。



    第5章 応援するクラブの中間考査と後半戦の展望

    昇格直後のシーズンながら期待値を超えたライプツィヒを筆頭に中堅クラブの躍進が目立ち、昨季以上の荒れ模様を見せたブンデスリーガの前半戦。それでも秋の王者を譲らないバイエルンとは対照的に、近年のCL出場クラブが苦しみ、いくつかのクラブは残留争いに巻き込まれている。しかし、まだ折り返し地点。各々のクラブを愛する面々が前半戦を振り返るとともに、後半戦の展望を語る。

    ※順位が上のクラブから掲載する

    ■結果は合格点だが、平凡な内容に終始(バイエルン)

    文・YAMADA



    第16節の1位と2位の直接対決において、バイエルンはホーム・アリアンツアレーナでライプツィヒを退治し、首位で冬休みを迎えることができた。

    結果だけ見れば合格点だが、シーズン前半の試合内容で見れば平凡、独「キッカー」の採点でいうところの3.0というのが実感。昨夏には欧州選手権と五輪があり、開幕前にチームとしての練習時間が不足、アンチェロッティ新監督がチームを作る&選手が監督の意思を理解し表現するのに時間がかかったのだろう。

    また、ペップ前監督があまりに独特だったため、それに慣れてしまった選手が脱ペップに時間がかかったのかもしれない。その事情は分かる。

    だが、事情はどうあれ、メディアやファンの間で「また4-3-3なの?4-2-3-1の方が~」、「ミュラーが得点できないのはその起用法が~」、「守備っていうか、プレスをかける位置が~」などの議論がしばしば見られたのも、要するに「アンチェロッティのやり方はマズイよな?」ということの表れだ。

    何がいけなかったのか?素人丸出しでいえば「プロスポーツってなぁエンターテイメントだろ?見ていてウキウキしねぇ試合なんざぁつまらねぇんだよ」ってことだ。



    さらにイカンのは、バイエルンが頼りない試合を展開することで、他のクラブに「バイエルンは倒せる相手だ!」と希望を与えてしまったことだ。誠にもって残念至極。1強・悪役としてのアイデンティティに関わる大問題ではないか(とはいえ、バイエルンとしても緊張感あるリーグの戦いを求めており、リーグ内に強いライバルがいる状況は大歓迎なので、そこんとこは他サポさんも勘違いしないで頂きたい)。

    是非、冬休み明けからは本気のバイエルンを見せて欲しいと思っている。グダグダと説明する必要はない。それだけの選手が揃っており、監督との戦術確認もとれたとなれば、あとは強さを証明するだけ、だろ?

    <前半戦のMVP>
    チアゴ・アルカンタラ(MF、15試合3ゴール3アシスト)



    前半戦のバイエルンにおいて、ほとんど唯一、安定して高いレベルのプレーを披露した選手、それがMFチアゴ・アルカンタラ(25歳)である。

    元々はペップ・グアルディオラが“秘蔵っ子”としてバルサから引き抜いたスペイン代表選手だが、ペップがイングランドに渡ってもチアゴ本人はバイエルンに残り、大いに活躍してくれている。

    既に過去のシーズでもこの背番号6番は独特のプレーテンポと傑出したボール捌きを披露して、バイエルンファンの心をとらえてはいた。が、アンチェロッティ監督に代わってからは、さらにそのプレーに輝きが増し、中盤から前目はチアゴの支配が行き渡るゾーンとなり、彼のタクトで全てが回ると言っても過言ではない状態に。本人も実に楽しそうにプレーしているのが見て取れた。

    バイエルン好きの間では「チアゴ、明らかに昨シーズンよりイキイキしてんな!」、「むしろペップの方が、チアゴの使い方を分かってなかったんじゃね?」などと喜びの声が多数聞かれる。

    これまで、どちらかと言うと苦手としていた守備面にも改善が見られ、自分が奪われたボールを猛然と奪い返す姿に、ファンからはハートマークがまき散らされている。

    プライベートでいえば、ミュンヘンに来てから結婚した奥様は現在妊娠中で、出産も近いと聞く。チアゴにはハッピーパワーでこれからも是非活躍して頂きたい。

    <後半戦の注目選手>
    ファン・ベルナト(DF、6試合1アシスト)



    シーズン開幕前、バイエルンの注目選手はホルガー・バドシュトゥバー!と自分はここで宣言したのだが(参考記事:http://ch.nicovideo.jp/football-kyo-no-utage/blomaga/ar1111567)、この怪我がちなCBは残念ながらあまりプレー時間を得られず、ウインターブレイクの合宿直後にシャルケへ半年間のローン移籍してしまった。

    がんばれ、ホルガー!

    さて、気を取り直して後半の“オシメン”であるが、これはもう、満を持してフアン・ベルナト(23歳)の登場である。

    バイエルンにはラームとアラバという強力なSBがいるため、同じSBのベルナトは陰に回りがちだが、そんな日陰者にしておくにはもったいなさ過ぎる要素を身長170cm(ラームと同じ身長だ!)のスペイン人は持っている。

    確かに、昨季までのベルナトはバイエルン贔屓の間ですら「ベルナトがスタメン、だと?!・・・バイヤンおわた・・・orz」という扱いだったように思う。

    だが、今季のベルナトは違う。「ベルナトはアラバを超えた、のか!?」、「ここはアロンソを下げてベルナトだな」などと思わせることもしばしば。今季のバイエルンの他の選手がいまいちノリきれていないことを考慮にいれても、これは大きな変化だ。

    それが顕著に見て取れたのが、前半戦の中でも最悪とされるCLグループステージ・ロストフとのアウェイゲームだ。バイエルンは極寒の地で2-3の敗戦に終わったのだが、この試合で1人獅子奮迅の戦いを披露(1ゴール1セーブ)したのがベルナトなのである。

    背番号18番の前半戦の出場試合はリーグが6試合(0ゴール1アシスト)、DFBポカールが2試合(0ゴール0アシスト)、CLが3試合(2ゴール1アシスト)。出場時間が少ない割にはゴールという結果を出している、SBなのに。

    果敢なオーバーラップから相手PA内への侵入、適切なクロスの供給、そしてサンタクロースが受け損なったパスすらもフォローする戻り。

    ※参考動画:https://youtu.be/7WeP4yATlyc

    ベルナトの活躍によって思わず笑顔が漏れてしまうバイエルンファンは数知れない。

    キッカーによるシーズン前半のSBランキングにおいてもベルナトは9位を獲得しており、その評価は確実に上がっている。ベルナトの時代が確実にやって来ているのだ。後半戦、ベルナトのさらなる躍進がチームを勝利へ導くことは間違いない。

    ■想像以上だった台風の目(ライプツィヒ)

    文・Tomao



    ライプツィヒについて書かせて頂くことになったが、ライプツィヒに注目をしたのは昨季からであり、今季から本格的に追うようになった。そのため、総括も昨季との比較はできず、長い間ライプツィヒを追っている方やドイツを追っている方からしたら物足りない内容になってしまうが、ご理解いただきたい。

    <データ>
    第16節終了 順位2位
    11勝3分2敗 勝ち点36 得点31 失点15  
    得点は3位 失点は3位タイ

    若手主体かつ昇格組でありながら、各国の代表クラスが多くいる。監督は昨季昇格組のインゴルシュタットを11位に導いたハーゼンヒュットル。正直、ここまでの成績を収めるとは思ってもいなかったのが本音である。「良くてEL圏争い」と予想していた。

    強みと言えば、カウンターである。次から次へとゴールへ向かう雪崩のようなカウンターは、見る者を魅了したのではないか。今季、カウンターからの得点は7点。これはブンデスリーガで1位の成績である(WhoScored参照)。ちなみに、試合開始10分までの得点が6点、80分以降の得点が6点と、試合終了まで運動量を落とさず試合をコントロールすることができていた。

    躍進を決定づけた自信

    今季初の公式戦はDFBポカールのデュナモ・ドレスデン戦であった。この試合、前半で2点を取っておきながら、後半に追い付かれてPK戦で負けるという後味が悪く、最悪のスタートを切っていた。その1週間後のブンデスリーガ第1節、ホッフェンハイム戦。1-2で迎えた後半45分、ザビツァーの同点弾によりアウェイで引き分けに持ち込むことができた。そしてライプツィヒの躍進を決定付けたと言っても過言ではない試合を迎える。

    第2節のドルトムント戦。ライプツィヒの基本布陣は4-4-2(4-2-2-2)で、ドルトムントのCBにはボールを持たせ、徹底的にヴァイグルをマークする。ボールが入ってくるところを限定し、プレスの網に引っ掛け、ボールを奪ったらすぐさま縦のスペースへ送った。このボールは雑だったが、スピードを生かし一瞬の隙を突くという意思が感じられた。ドルトムントが活路を見出せない中、後半44分、ザルツブルクから獲得した途中出場のケイタがゴールを決め、まさかの大金星を飾った。



    ここでハーゼンヒュットル監督のこんな言葉を紹介する。

    「大事なのは『自分の強さをボールを持った時だけでなく、相手がボールを持っている時にこそ出せるようにしたい』という気持ちを持つことだ。与えられた役目を実行する。そうした覚悟が質の高さに繋がる」

    ドルトムントとの一戦の後、2つの引き分けを挟んで怒涛の8連勝を飾り、首位にまで躍り出たのは、チームの勢いとともに、自信を持ち、全員が与えられた役目をハードワークすることができたからだと思う。勝つことで自信は膨らみ、それを過信することなく、自分たちのスタイルをより質の高いものにしていったのだと感じた。

    後半戦の展望

    旋風を巻き起こしたライプツィヒも全てがすべて上手くいった訳ではない。ライプツィヒの強みはカウンターであると書いた。しかし、ボールを持って試合を進めることが多くあった。その中で露呈したのがビルドアップ能力の低さ。では、ボールを持つ展開で相手をどう崩していたかと言うと、ケイタ、フォルスべリ、ザビツァーの個人技を主としてボールを運び、戦っていた。もちろん、守備ブロックを形成する相手には個人の力が必要である。しかし、これはチームのデキが若い選手に左右されてしまうことに繋がり、毎回安定した戦いができるとは思わない。

    そしてもう1つ。バイエルン戦で今までやってきた自慢のプレスを構造から破壊されてしまったこと。ボール奪取もできず、カウンターに繋げられず、ただただ何もできずに前半30分で試合が終わってしまった。

    これは他のクラブも参考にして対策を練ると考えられるので、システムの引き出しを増やすのか、基本的なことは変えず、より強みが出るように何かを加えるのか、ハーゼンヒュットル監督がどう考えているのか注目していきたい。個人的には、短所を改善しようとできないことをしてバランスが崩れるくらいなら、今季は長所をとことん伸ばしていって欲しいと思う。

    リーグ戦の再開から再び優勝争いができるかは、初めの3試合にかかっている。フランクフルト(4位)、ホッフェンハイム(5位)、ドルトムント(6位)と、いきなり上位陣と戦わなければならない。そのため、再び勢い付くためにも非常に大事な3連戦となるだろう。

    正直、このまま優勝争いを演じるのは対策を練られることで厳しくなると考えている。しかし、優勝争いから脱落しても欧州圏内に入れば100点満点であると私は思う。私が感じている不安をハーゼンヒュットル監督には良い意味で裏切ってもらいたい。今からどのようなフィナーレを迎えるのか楽しみである。



    <前半戦のMVP>
    ディエゴ・デンメ(MF、15試合3アシスト)



    ライプツィヒにはヴェルナーやフォルスべリ、ザビツァー、ケイタといった選手が数字としても結果を残し注目されているが、私は前半戦のライプツィヒに欠かせない働きをしたデンメをMVPに選んだ。

    ライプツィヒはカウンターの上手いチームである。カウンターをするためには相手にとって嫌な位置でボールを奪うことが必要だ。ライプツィヒは相手の最終ラインと中盤の間に人数を置き、多くの局面でボールの受けどころを限定することができていた。ボールを誘導し、適切な位置で奪いきることができているからこそ、雪崩のようなカウンターができる。

    奪い切るために人数をかけているのもこのチームの特徴である。しかし、人数をかけているため、ボールを奪うことができずに突破されると、大ピンチに繋がる。そこでボールを奪い切ることができ、味方を補佐することができる選手が必要だと私は思う。

    その役割を担っていたのが、MVPに挙げたデンメという選手だ。

    データを見ると、インターセプトとタックル数でデンメがライプツィヒの中で1位であることが分かった。またタックルに関してはブンデスのなかでも5位になっている(WhoScored参照)。調べることはできていないが、聞いた話によると、出場15試合でほとんどの試合でチームトップの走行距離だそうだ。

    試合を見ていると、終盤でも顔色ひとつ変えずに走り回っている。プレスを搔い潜られてしまった時に、デンメが物凄いスピードで戻り、ボールを奪ったのを何度も見た。

    そのため、攻撃ではカウンターの出発点を多く作り出し、守備では多くのボールを摘むデンメをライプツィヒのMVPとして選んだ。

    <後半戦の注目選手>
    デヨール・ウパメカーノ(DF、冬の移籍市場で新加入)



    ライプツィヒの弱点としてCBが挙げられる。守備の能力は今のCB陣でも低くはなく比較的安定はしている。しかしビルドアップ面では効果的に試合を作ることができていない。カウンターのチームであることは間違いないのだが、後半戦は対策として守備ブロックを形成され、ボールを持たされることも増えてくるだろう。

    また前半戦の終盤、安定していた最終ラインに怪我人が続出し、本職がボランチであるイルザンカーがCBに入った。案の定、イルザンカーのところが穴となり、危険なシーンを何度も作られていた。戦力として計算できるCBが控えにいなかったのは前半戦の痛手となっていた。

    そこで、今冬にザルツブルクから獲得した将来有望なCBウパメカーノを注目選手として挙げた。



    U-17欧州選手権でフランス代表として優勝した実績もあり、ビッグクラブからのオファーも多くあったと言われている。私はザルツブルク時代の映像を確認したが、その試合ではボランチとして出ていたため、試合を作るCBなのかはわからなかった。しかし、頭数の足りないポジションを補強したことはチームにとってプラスになるはずだ。この有望なCBが即戦力となるのであれば、後半戦も一味違うライプツィヒを見ることができるかもしれない。

    ■残留争い候補から一転、コバチの手腕で躍進(フランクフルト)


    文・なかがわ しんや



    近年のブンデスリーガの特徴として、思いもよらぬチームが上位に絡んでくる点が挙げられる。今季も例外ではなく、残留争い候補から一転躍進しているクラブが存在する。そのクラブの名は。フランクフルト。まさかの4位で前半戦を折り返し、前前前前年の2011-12シーズン以来の好スタートを切った。

    好調の要因として真っ先に挙げられるべきは、監督ニコ・コバチの手腕。昨季に引き続いて守備に重きを置き、前半戦だけでクリーンシートは7試合。これは首位バイエルンと並んでリーグ1位の記録であり、失点数の12はリーグで2位の少なさだ。

    また堅守速攻だけでなく、シーズン途中からは3バックも導入。前半戦の平均ポゼッション率は50.9%で、これはリーグ6位の数字となる(昨季は47.53%)。対戦相手によってメンバーやシステムも変更する柔軟な戦術でシャルケ、レバークーゼン、ドルトムントといった強豪から勝利を掴み、バイエルンからも勝ち点1をもぎ取った。

    後半戦、「フランクフルトの奇妙な冒険」の鍵として1つ重要になってくるのは、アウェイゲームではないだろうか。今季ホームでは5勝3分の無敗だったが、アウェイでは3勝2分3敗。先に述べた強豪クラブからの勝利は全てホームでのものであり、後半戦は敵地で厳しい戦いが予想される。

    <前半戦のMVP>
    ルーカス・フラデツキー(GK、16試合)




    前半戦のMVPはこの男で間違いない。GKフラデツキー。昨季は2部降格寸前のチームを救い、今季は上位進出の立役者に。チームのクリーンシート数はリーグ1位タイ、失点の少なさはリーグ2位という成績も、彼による貢献が非常に大きい。正にゴールマウスを守る「守護神」である。

    <後半戦の注目選手>
    ヘスス・バジェホ(DF、16試合)



    後半戦も前半戦大活躍のフィンランド代表GKに注目が集まるが、個人的に推したいのは若手選手2人。スペイン人CBバジェホと18歳のバルコックだ。

    今季レアル・マドリーからローンで加入したバジェホはウインターブレイクまでの16試合の全てに出場。開幕は怪我で出遅れたが、第3節からはレギュラーに定着。3バックの一角としてチームの堅守を支えている。この活躍で半年でのマドリー復帰も噂され、来季は恐らく中国移籍が濃厚なペペの後釜として迎えられることだろう。いずれ白い巨人、そしてスペイン代表のDFラインを任されるこのCBを今からチェックしておいて損はない。

    アイメン・バルコック(MF、5試合2ゴール1アシスト)



    2016年11月20日、この日をバルコックは一生忘れないだろう。後半30分、1-1で同点の場面でピッチに送り出され、トップチームデビュー。そしてアディショナルタイムに左足を振り抜き、決勝ゴールを決めて見せたのだ。

    バルコックは本来中盤の選手。しかしその才能からアタッカーとして起用され始め、着実に出場機会を増やしている。冬季中断前の第16節マインツ戦ではドリブル突破からの素晴らしいゴールも決め、改めてその才能の片鱗を見せ付けた。後半戦も途中出場が主な出番なるだろうが、このライジングスターから目が離せない。

    ■最年少監督の下、唯一の無敗ターン(ホッフェンハイム)

    文・とんとん



    <データ>
    リーグ戦:6勝10分0敗 28得点17失点 5位
    DFBポカール:2回戦敗退

    総括と展望

    前半戦5位、唯一無敗での折り返し。プレビューでも注目クラブとして挙げたホッフェンハイムは今季、ブンデス一のパスサッカーで躍進中だ。

    この躍進の要因は大きく2つ。1つはブンデス最年少監督・ナーゲルスマンの戦術の浸透度だ。今季のホッフェンハイムは負傷者数が非常に少なく、リーグ2番目の数字を記録している。



    しかし、怪我人が少なくチームの調子も上々であるにもかかわらず、2試合連続で同じスタメンで臨んだ試合はほとんどない。下部上がりの若手を含む多くの選手に出場機会を与えている。そして、どの選手を起用してもチームの機能性が落ちないのだ。これはナーゲルスマンの戦術を落とし込む指導力の賜物であり、負傷者予防、サブのモチベーション維持との好循環を生んでいる。

    2つ目は新戦力の活躍。今季からの新戦力は5人、合計1300万ユーロを投じ、派手さは無いが非常に的確な補強を行った。CBヒュブナーは今季リーグトップクラスのパフォーマンス。本職がCH(センターハーフ)のフォクトはCBの位置から正確なフィードと配球でゲームを作る。IH(インサイドハーフ)デミルバイは精度の高い左脚で、ルップは機動力を生かして幾度もチャンスを演出。FWヴァグナーはポストワークをこなしつつ、チーム得点王(9ゴール)と文句無し、ドイツ代表入りも噂される。彼らが下部上がりのトリャンやズーレ、アミリ、その他の既存戦力と完全に馴染み、チームとしての幅が増えた印象だ。

    課題は、多過ぎる引き分け(10)から分かるように、勝ち切れない試合の多さだ。失点が特別多いわけではないが、攻撃に比べると守備の役割はやや曖昧な部分もある。特にサイドからのクロスへの対応と“アンカー脇”のケアには改善の余地が見られる。

    この10分けのうち1つだけでも勝ち切れていれば、3位での折り返しとなっていた。今後は勝ち切るための守備も詰める必要がある。

    ナーゲルスマンの戦術

    次にナーゲルスマン監督のサッカーの特徴を見ていく。シーズン序盤は4バック、途中から3バックを基本システムとし、それぞれのポジションの大まかな役割は下図の通りである。



    ホッフェンハイムの得意な攻撃パターンを、第9節のヘルタ戦を例に2つ紹介する。

    ◆◆WB(ウイングバック)が敵SBを釣り出しIHが抜け出すパターン(外攻撃) ◆◆

    ①攻撃の起点は常に3バックの脇の2人。ボールコントロールが上手く落ち着きのあるヒュブナーと、バイエルンへの移籍が決まったズーレ。決まり事は、敵SHを誘き出すこと。そうすると外のエリアの守備は敵SB一人だけになる。



    ②突破力のあるWBカデジャーベクをSBがマーク。中央で高さのあるヴァグナーを警戒するCBとの間にスペースが…。



    ③このスペースに、機動力のあるルップがワンツーで抜け出す。






    ◆◆ヴァグナーが作り出したスペースにIHが抜け出すパターン(内攻撃)◆◆

    ①攻撃の起点は3バックの脇の2人。ヒュブナーがボールを運ぶ間にクラマリッチとデミルバイで敵の右ボランチの注意を外に向ける。



    ②展開力のあるルディが敵アンカーの注意を惹く。すると敵中盤2人の間にスペースができ、ヴァグナーへのパスコースが綺麗に開ける。



    ③ヒュブナーから縦パス。降りて受けにくるヴァグナー、それを妨害するCB。これにより空いた裏のスペースにルップが抜け出す。



    ④ヴァグナーがボールを裏に送り込みGKと1vs1!



    1つの攻撃に、これだけ多くの選手が絡めるチームはそう多くない。複数の選手が同じイメージを共有できていないと実現できないプレーの連続だ。スターはいないが、敵の守備を破壊するための「スペースメイク」という黒子役を全員がこなせる点が最大の特徴である。活かし、活かされ1つの攻撃を作り出す。そこにナーゲルスマン・ホッフェンハイムの魅力があると感じる。

    今冬以降の移籍市場

    今冬に加入する選手はいない。来夏の案件としてはブレーメンのグリリッチュの獲得(フリー)、ズーレ(2000万ユーロ)とルディ(フリー)のバイエルンへの移籍が決まった。

    ズーレはフィジカルが強く足下の技術に非常に長けた、今後のドイツ代表を背負って立つCBだ。しかし、後釜にそれほど困ることはないだろう。現スカッド内にはビチャクチッチ、シェアとレベルの高いCBが控え、さらに今季終了後ローンバックが決まっている若手CBが2人いる。

    1人はデュッセルドルフの22歳アクポグマ。世代別ドイツ代表ではキャプテンも務め、SBもこなせるのが売りだ。ズーレより足元は劣るがフィジカル能力に長けた、最終局面で無理の利くタイプ。
     
    2人目はザントハウゼンの19歳ギンバー。スピードは無いが対人に強く足元の技術も高い。ズーレに近いタイプで、彼も世代別でキャプテンを務める。

    どちらもまだ若く(ズーレも若いが)、後釜として未知数だが、下部組織から後釜候補が続々と出てくるホッフェンハイムの育成は非常に恐ろしいものがある。

    ルディの後釜はキック精度に定評のあるグリリッチュも考えられるが、いずれにしろ他所から獲得する必要がありそう。同ポジションのシュベグラーも来夏での退団が噂される。

    <前半戦のMVP>
    ベンヤミン・ヒュブナー(DF、11試合2アシスト)



    各ポジション、各選手がそれぞれ機能していたからこその今季のホッフェンハイム。強いて1人、前半戦のMVPを選ぶならヒュブナーだろう。

    序盤は出番がなかったが、第6節の古巣・インゴルシュタット戦から定位置を確保。攻撃の起点はほとんど彼のいる左サイドで、ハーフスペースでの巧みな持ち出しと配球でチームの攻撃を後方から支えた。今季からCBにコンバートされたフォクトへのカバーも見事。

    <後半戦の注目選手>
    後半戦の注目は前半戦に引き続きアミリと、今季開花したデミルバイとカデルジャーベクを挙げておく。

    ナディーム・アミリ(MF、15試合1ゴール2アシスト)



    アミリは常に世代別代表に名を連ねるIH。ボールを引き出す動きが上手く、高精度のスルーパスも絶品。パス交換の中で存在感を発揮するゲームメイカーだ。

    ケレム・デミルバイ(MF、11試合3ゴール4アシスト)



    IHのデミルバイは過去にドルトムントの下部組織に在籍。ハンブルガーSVでは繰り返しローンに出され、今季ホッフェンハイムに加入。ポジション取りが上手く、敵を引き付けることもスペースに侵入することもできる。また左足の精度が高く、ここまで11試合で3得点4アシストと得点に絡むこともできる選手だ。個人的には前半戦で最大のサプライズだ。

    パベル・カデジャーベク(DF、16試合2アシスト)



    WBのカデジャーベクはスピードとフィジカルに長けている。多少強引でも駆け上がっていける推進力が魅力だ。ポジショニングやオーバーラップのタイミングも良好、シャルケが興味を示していたように、今後ビッグクラブによる引き抜きも考えられる選手である。

    ■万全の体制で挑んだはずが、苦しい前半戦に(レーバークーゼン)

    文・Fusshalt



    今季こそ悲願の優勝に向けて万全の体制で臨んだはずだった。しかし、蓋を開けてみれば期待を裏切る結果で前半を折り返すこととなってしまった。相次ぐ選手の負傷、守備の崩壊に加えて主力の大スランプ……結果、コーチ陣の進退問題にまで発展してしまった。だが、逆風の中でも後半戦へ向けての光も見えてきた。今回はレーバークーゼンの前半の総括と後半の展望を述べていきたいと思う。

    相次いだ選手の負傷

    戦力としては昨季に比しても大きくプラスになったはずだった。しかし、それがフルに発揮されたことはほぼ皆無だったと言っていい。理由はシンプルかつ簡潔だ。負傷者が続出したのである。大小問わず多くの選手が離脱と復帰を繰り返した。

    特に序盤でシュミット戦術の中核を担うカリム・ベララビが腿の筋断裂で長期離脱したのは非常に痛かった。そのため、ハイプレスからのショートカウンターというシュミット監督の考えるパワーフットボールを変えざるを得ず、試行錯誤しながらの苦しい前半戦を送るきっかけとなってしまった。

    この後もチームの主将であるラース・ベンダーを筆頭に、副主将のトプラクや今シーズンの目玉選手であるケヴィン・フォランドも負傷を繰り返して戦力になりきれなかった上、昨季にブレイクしたベンジャミン・ヘンリクスも背筋痛から調子を崩すなど、負傷選手が多数出たため、アスレチック・トレーナーのオリヴァー・バルトレット氏を解任することにも繋がってしまっている。シュミット監督の頭を悩ませた最大の問題であったといえる。

    守備の崩壊

    復帰後1年でクリストフ・クラマーがボルシアMGに去ったとはいえ、マインツよりオーストリア代表のボランチであるユリアン・バウムガルトリンガーを、そしてディナモ・キエフより同じくオーストリア代表のCBであるアレキサンダル・ドラゴビッチが加入し、守備陣の補強は万全であるはずだった。

    しかし、前半戦は昨季よりも失点数が増えている(昨季は16試合終了時で24得点20失点だったのに対し、今季は23得点24失点)。これは、特にボランチと最終ラインとの連携が悪くなっているのが原因であると考えられる。というのも、今季ボランチを組むことが多かったのはチリ代表のシャルレス・アランギスとスロベニア代表のケヴィン・カンプルだが、カンプルは元々は前目の選手であり、アランギスも「ビボーテ」であり、攻撃に転じた際には前寄りになってしまう。

    シュミット戦術の肝はボランチも攻撃に参加することにあるが、それ以上に1人が上がった際には1人は守備に残る「釣瓶の動き」にある。これが上手くいかず、非常に微妙なバランスで成り立っているシュミット監督の戦術を崩してしまっている。

    それは失点後に特に顕著に表れており、バランスを崩した攻めにより逆に失点を喫するシーンを何度も目の当たりにしてきた。かといって、バウムガルトリンガーに替えた場合、対戦相手のインテンシティが高いと足元の技術不足を露呈。チームのバランスは改善するものの、攻守におけるリンクマンとしては不適当となってしまっている。

    また、最終ラインもドラゴビッチが加入し、左右両方をこなせるヘンリクスの成長で層は大分厚くなったものの、安定性に欠けるシーンが多い。特に試合の中盤以降でラインが下がりがちになるシーンも散見され、中盤との間に大きなスペースを作ってしまい、そこを突かれて失点するというシーンが続出した。

    失点が嵩み、前へ出ることへの恐怖感が生まれたというのが考えられる1番の理由だとは思うが、シュミット戦術も既に3シーズン目に突入しており、「勇気を持って前へ出る」という基本は既に身に付いていなければならないはずである。そういった意味では、守備のリーダーであるはずのトプラクの統率力不足も原因にあるのかと思う。

    攻撃陣の大スランプ

    昨季のレーバークーゼンの攻撃陣を牽引したのは、新加入のメキシコ代表ストライカーのチチャリートであった。しかし、今季は逆に大ブレーキになってしまっている(昨季は12試合10G1Aであったのに対し、今季は15試合5G1A)。特に終盤10試合では得点がぱったりと止まり、冬での移籍もあるのではないかという噂まで出た始末である。理由としては、ロシアW杯予選で長距離移動を強いられていることに起因する疲労と、開幕直前での右手の骨折などで体調面での不安も付きまとったことが挙げられるだろう。

    チチャリートが怪我と不調で開幕ダッシュに失敗した中、評価を上げたのがツヴァイテリーガでの長いローン生活から復帰したジョエル・ポーヤンパロだった。開幕戦ではチチャリートが直前に右手を骨折して得たチャンスをきっちり掴んで同点弾を叩き込み、第2節のHSV戦でも途中出場からのハットトリックで立場を確立した。だが、好事魔多し。練習中に負傷して戦線離脱してしまった。

    キースリングも慣れない途中出場からの出番が多い上に慢性的な腰痛や背筋痛から出場自体が不可能ということも多く、戦力としては計算に入れにくい状況となっている。

    ホッフェンハイムから鳴り物入りで加入したケヴィン・フォランドもプレシーズンマッチでは順調な仕上がりを見せていたが、シーズンインとともに調子が下降。代表戦で負傷して戦線を離脱したりと能力を発揮できないまま前半戦が終わってしまった感がある。

    後半戦を上位で終えるためにも、以上のポイントが解消されることが絶対に必要となってくるだろう。

    一方で、後半戦に向けての明るい材料もあった。

    チャルハノールの復調

    一昨季にブレイクしたものの、昨季は一転スランプに陥ったチャルハノールだったが、今季は復調の気配である。ここまでは代名詞であるFKからの得点こそないものの、4ゴール・4アシストと好調を維持している。これは活躍した一昨季を超えるペースだ。昨季と違い、ほぼ主戦場である攻撃的な位置での起用が多いこともあるだろう。好調を維持したまま冬のキャンプも終えており、折り返してからも期待が持てそうだ。

    若手の台頭

    昨季は得点が2桁に到達しなかったものの、先発としてもジョーカーとしても大活躍したユリアン・ブラントが今季も好調を維持して完全に戦力として計算できる存在になっている。

    また、サイドバックとして一気にブレイクしたベンジャミン・ヘンリクスは今季も変わらぬ活躍で、ついにはドイツ代表でビューも果たした。だが、今季はさらにもう1人、若武者がデビューを果たした。カイ・ハヴェルツである。

    この17歳の若きタレントは負傷などで穴の空いた攻撃陣の中で抜擢されたが、それを埋めるだけの活躍をしたと言えるだろう。ここまで9試合出場で1アシストと数字的にはまだまだではあるが、体がまだでき上がり切っていない中でブンデスリーガという大舞台で結果を出してきているのは立派である。まだまだ伸び盛りなだけに、後半戦にも期待したいところである。

    <前半戦のMVP>
    ユリアン・ブラント(MF、16試合2ゴール6アシスト)



    個人的にMVPに値するのはユリアン・ブラントである。スランプや不調で振るわぬ攻撃陣で気を吐いている。荒削りな部分もあるものの、チームに勢いを付けるプレーは既に貫禄十分である。特に前への推進力は世界でも十分に通用するだけの力を持っており、今季はさらにアシストにも磨きがかかっている。



    昨季後半で一皮剥けた得点力をコンスタントに発揮できるようになれば、間違いなくドイツ代表の厚いスタメン組の一角に食い込めるようになるだろう。それだけに、折り返し以降でも好調を維持したまま突き進んで欲しい。

    <後半戦の注目選手>
    ジョエル・ポーヤンパロ(FW、6試合4ゴール)



    後半戦に注目して欲しい選手には、ジョエル・ポーヤンパロを推したい。開幕からの2試合で華々しい活躍を見せたものの、負傷で前半戦を棒に振ってしまったが、冬のキャンプからチームに無事に復帰。テストマッチでも得点を挙げて好調さをアピールしており、後半戦に向けて愛称通り‘Danger’な男が大暴れしてくれると確信している。イケメンでもあるので、ブンデス女子の方々も是非ともチェックして欲しい選手であります(笑)

    ■勝負所で踏ん張れない“満身創痍”(マインツ)

    文・暁空也



    満身創痍の前半戦だった。怪我人が続出した上、新戦力は適合が遅れ、ヨーロッパリーグ(以下、EL)の疲労に蝕まれる。ELではアンデルレヒト(ベルギー1部)に1-6という屈辱的な大敗も喫した。ブンデスリーガでのウインターブレイクまでの成績は、6勝2分8敗の10位。極端に少ない引き分けも、勝負所で踏ん張れない不安定さ、脆さを浮き彫りにする。

    三足の草鞋に苦しむ

    ブンデスリーガ、DFBポカール、EL。“三足の草鞋(わらじ)”を履くための準備に抜かりはなかった。夏の移籍市場では、推定2600万ユーロ以上を投下してMFレビン・エズトゥナリ(←レーバークーゼン)、DFジャン=フィリップ・グバマン(←ランス)、MFゲリット・ホルトマン(←ブラウンシュバイク)、GKヨナス・レスル(←ギャンガン)、MFホセ・ロドリゲス(←ガラタサライ)、MFアンドレ・ラマーリョ(←レーバークーゼン)らを獲得。昨季は期限付き移籍で加わり、後半戦で前線の核を担ったジョン・コルドバもグラナダから買い取った。


    コルドバは勢いに乗ると2人、3人でも止められない(写真はマインツの公式サイトより。以下、同じ)

    前線からの連動したプレスや攻守の素早い切り替えを戦術の軸とするマインツは、選手の疲労が蓄積しやすい。各ポジションの質を上げるとともに、量も増やし、いわゆる「ローテーション」で3つのコンペティションを踏破する狙いだ。

    しかし、その目論見は外れる。グバマン、ラマーリョ、FW武藤、MFラッツァ、MFハイロ、DFバログン、MFフライら負傷者が続出。ホセ・ロドリゲスはアウクスブルク戦の悪質なファールで5試合の出場停止処分を受け、MFはスクランブル態勢を強いられた。

    特に、中盤の底(4-2-3-1の「2」)の人選には苦しんだ。怪我で手駒が限られた上、誰が出てもインパクトに乏しく、昨季まで絶対的な存在だったバウムガルトリンガー(現・レーバークーゼン)の穴を埋められない。

    攻守の結節点であるポジションの弱体化は、守備力の低下を招く。昨季は第16節を終えた時点で21失点だったが、今季は30失点に急増。ブレーメン(34失点)、HSV(31失点)に次ぎ、リーグで3番目に悪い数字だ。

    例えば、ホームでのホッフェンハイム戦(第2節、△4-4)は、フライとグバマンで構成する中盤の底が何度もコンビネーションでマークを外され、中央の危険なゾーンを空けてしまい、4失点を喫した。アウェイでのシャルケ戦(第8節、●0-3)も、グバマンとゼルダルのコンビが圧力を掛けられず、中央から押し下げられて完敗。3列目から飛び出してくるベンタレブを捕まえ切れず、2得点を許したのは、中盤の底の機能不全の典型だ。

    センターバックもミスが目立った。主にブンガート、ベル、バログン、ハックが務めたが、いずれも強さや高さに優れる一方、鈍重で不器用。左右からのクロスにポジショニングが甘くなり、アジリティやスピードに長けたアタッカーには翻弄され、失点に絡んだ。守護神・レスルに救われた試合も多く、それがなければ黒星は2桁に乗ったかもしれない。守備範囲の狭さやDFとの連携などに課題も残るが、195cmの長身ながら俊敏で、キャンチングに安定感があり、ハイボールにも強いデンマーク代表は、着実に地歩を固めている。


    キャッチングに安定感があり、ハイボールにも強いレスル

    リーグ5位の26得点

    守備力は減退したが、得点力は増進した。26得点は、バイエルン(38得点)、ドルトムント(35得点)、ライプツィヒ(31得点)、ホッフェンハイム(28得点)に続く、リーグ5位。圧倒的なスピードとパワーで攻撃を牽引したコルドバは、決定力を欠いて3得点にとどまったが、マリ(6得点)やデ・ブラシス(4得点)、エズトゥナリ(2得点)ら2列目のMFが巧みに飛び出してゴールネットを揺らす。セットプレーではCBのベルが屈強さを生かして3得点を挙げ、第15節のHSV戦ではラッツァが全てミドルシュートでハットトリックを達成。怪我で長欠した武藤も3試合で2得点の“荒稼ぎ”で勝負強さを示した。多彩な手段で点を奪えるのは、マインツのストロングポイントだ。

    下部組織で育った若手の台頭も、後半戦に光を灯す。19歳のMFゼルダルは7試合に出場。ボールに触れる機会が少ないと試合から消えてしまい、守備も拙いが、ドリブルやパスはハイレベルだ。



    テクニックに優れるゼルダル

    第12節のヘルタ・ベルリン戦で先発に抜擢された20歳のFWアーロン・セイデルも、無限の可能性を秘める。199cmの長身を駆使したポストワークは柔らかく、機動力も備え、ヘルタ戦ではペナルティエリア内のこぼれ球に素早く反応すると、落ち着いてシュートを決めた。ブンデスリーガのデビュー戦で初ゴール。まさに“持っている”俊英だ。昨年12月21日には、21年6月30日までの新契約を締結。クラブも、次代のエースと見込む。


    精悍な顔立ちのセイデル

    マリからボージャンへと継承された10番

    攻撃の好調と若手の突き上げで、ウインターブレイクの焦点は守備のテコ入れに絞られた。マーティン・シュミット監督も必要性を認め、キャンプではプレスやブロックの緊密化を追求。MFのラマーリョやグバマンをCBに起用するプランも明かした。レスルをはじめとするGKにも、健全な競争を促す。

    幸い、怪我人が次々に復帰。用兵や戦術の幅は広がり、順位を上げていくための準備には事欠かない。

    しかし、1月6日だった。マリがヴォルフスブルクへと移籍。推定1250万ユーロと引き換えに、攻撃のタクトを揮ってきた10番を失った。

    これまで、チームは4-2-3-1の布陣を採用してきた。傑出したテクニックとフレアー(閃き)で決定機を創るマリに、守備の負担や制約が少ないトップ下で“自由”を謳歌させるためだ。シュミット監督は急遽、トップ下を置かない4-4-2を試し始めたが、6得点、7アシストと躍動したトルコ代表の穴は、戦術では埋まらない。

    もちろん、補強の責任者であるルーベン・シュレーダーSD(スポーツディレクター)も手を拱いてばかりではなかった。1月29日、ストーク・シティから今季終了までの期限付き移籍でボージャン・クルキッチが加入。シュミット監督は「得点力と創造性に優れ、ずば抜けたクオリティを有する。攻撃的なポジションであれば、どこでもプレーが可能だ」と、新たな10番を賞賛する。バルセロナの下部組織で育ち、そのトップチーム、ローマ、ミラン、アヤックス、ストークと渡り歩いてきたストライカーに寄せられる期待は大きい。


    ストーク・シティから今季終了までの期限付きで加入したボージャン

    リーグ戦の再開後は、7位のケルンに0-0、4位のドルトムントに1-1と、上位にしぶとく食らい付き、勝ち点を1ずつ積み上げた。2試合で1失点の守備には、成長の跡が窺える。すでに、DFBポカールとELは敗退。リーグ戦に集中できるだけに、ここから順位表を駆け上がる。

    <マインツの基本形>




    フォーメーションは4-2-3-1。GKのレスル、右SBのドナーティ、トップ下のマリ、1トップのコルドバは不動。CBはベルが軸で、ハック、バログン、ブンガートがポジションを争う。左SBは攻撃的なビュスマン、守備的なブロジンスキで使い分ける。中盤の底は試行錯誤が続き、グバマン、ゼルダル、ラマーリョの出番も多い。ブロジンスキを起用した試合もある。両サイドは、デ・ブラシスやオニシウォも信頼を獲得。逆にクレメンスは次第に格付けが下がり、冬の移籍市場でケルンに放出された。1トップはセイデルが台頭。復帰した武藤も、このポジションを任される。オニシウォのゼロトップも試された。

    ■一時代の終焉と残留争い脱出への改革 (ウォルフスブルク)

    文・脚魂



    出会いがあれば当然別れもあり、そして新たな出会いがある。ウォルフスブルクにとっての2016-17シーズンの前半戦。アウクスブルクとの開幕戦を2-0と勝利したものの、以降は怪我人が続出し、夏に獲得した新戦力がチームに馴染むのが遅れるなどの不安材料も重なった。

    第7節、ホームでライプツィヒに0-1で敗れたあとは、ディーター・ヘッキング監督を解任。12-13シーズン後半から続いた政権に終止符が打たれた。

    ヘッキングの後任には、ヴォルフスブルクU-23の監督を務めていたヴァレリアン・イスマエルが暫定で就任した(後に正式に監督に就任)。

    このフランス人監督が就任後に行った大きなことが2つある。

    1つ目は、今季ヘッキング解任までベンチが定位置だったGKディエゴ・べナーリオ主将のレギュラー復帰。レギュラーGKのクーン・カステールスは開幕から7試合中4試合で無失点ではあったが、イスマエル監督の「主将はピッチ上にいるべき」という方針でべナーリオのレギュラー復帰後はベンチが定位置になった。

    2つ目は、左サイドバックが本職のDFリカルド・ロドリゲスをセンターバックで起用。ブンデスリーガでトップクラスの左SBと評価され、欧州の複数のビッグクラブからの獲得オファーの噂が絶えない彼を、CBとして起用するのは極めて大胆である。

    そんな状況の中、ウォルフスブルクは残留争いに身を投じていく…。12月にはスポーツ・ディレクター(以下SD)のクラウス・アロフスが解雇というニュースが飛び込んできた。クラブ史上初のポカール制覇、CLベスト8といった結果を残してきたヘッキングとアロフスの退団は、一時代の終焉であった。

    触れないわけにはいけないのが、ユリアン・ドラクスラー。開幕前に移籍を志願し、その時は残留したが、「移籍したいオーラ」を出しながらのプレーにはサポーターからのブーイングもやむなし。結局、ウィンターブレイク中にパリ・サンジェルマンへの移籍が決まった。

    そのドラクスラーの移籍話をまとめたのがアロフスの後を継いでSDに就任したオラフ・レッべ、38歳だ。



    ここでレッべが中心となって行われた冬の移籍をまとめる。

    ※2017年1月31日現在。☆はローン移籍

    <IN>
    MFリーシェドリー・バズール(オランダ代表/アヤックス=オランダ)
    MFユヌス・マッリ(トルコ代表/マインツ)
    MFアシュカン・デヤガー(イラン代表/アル・アラビ=カタール)
    FWポール=ジョルジュ・エンテプ(フランス代表/レンヌ=フランス)

    <OUT>
    DFカルロス・アスクエス(ペルー代表/FBCメルガル=ペルー)☆
    MFダニエル・カリジューリ(シャルケ)
    MFユリアン・ドラクスラー(ドイツ代表/パリ・サンジェルマン=フランス)
    FW ブルーノ・エンリケ(サントス=ブラジル)
    FW オスカル・ザワダ(カールスルーエ)
    FW アントン・ドンコー(エヴァートン=イングランド)☆

    こうした新戦力に加えてMFダニエル・ディダヴィら怪我人が復帰すれば、残留争いからの完全離脱は不可能ではない。

    <前半戦のMVP>
    ジェフリー・ブルマ(DF、15試合1ゴール)



    3年ぶり(2011~13年にチェルシーからハンブルガーSVにローン移籍)のブンデスリーガでのプレーになった今季、退場による1試合の出場停止を除けば開幕から全試合に出場。シャルケに移籍したナウドの穴を埋める活躍を見せている。

    <後半戦の注目選手>
    マリオ・ゴメス(FW、16試合6ゴール)



    ウォルフスブルクの躍進にはこの男の活躍が不可欠。前半戦は16試合6ゴールではあるが、実績から考えるとまだまだ。後半戦に期待したい。

    ■明らかな采配ミスにより、あまりにも酷い前半戦(ボルシアMG)

    文・とんとん



    <データ>
    リーグ戦 4勝4分8敗 15得点25失点 14位
    DFBポカール 3回戦進出
    CL 1勝2分3敗 GS3位、ELへ

    一言でいえば、情けないシーズン前半戦であった。16試合を通して勝ち点はたったの16。9月末以降は3カ月で1勝。なんら改善されないまま、いたずらに前半戦を過ごした。内容的にも今季の18クラブで最もつまらなかったと思う。ファンでなければ絶対に見ないチームだ。もはやELすら難しい状況まで陥った原因は明らかにシューベルトの采配ミスにある。

    シューベルトはとにかくシステムを弄りたがる。特に昨季のバイエルン戦の勝利に結び付いた3バックには特別なこだわりを見せていた。そしてその3バックが全く機能しなかった。攻撃時はどこで数的優位を作るかが全く練られておらず、距離感がバラバラ。守備においては人に付くのかスペースを守るのか、誰がどこをカバーするのかがバラバラ。戦術的ノウハウを全く持ち合わせていないのだ。

    CLはチームが慣れ親しんだ4-4-2で挑み、内容も充実していた。このままリーグ戦も4-4-2で立て直すだろうと思われたが、再び機能しない3バックを用いる。これでは波に乗れない。悪い流れを断てないのも無理はない。そんな彼がチームを立て直すことなどできるはずもなく、ウィンターブレイクに入ると同時に解任された。

    エベールSDは、もっと早くに彼を解任できたはずだ。戦術的ノウハウを持ち合わせていない監督に、チームの立て直しや将来性など期待できるわけがない。あまりに遅すぎる決断で、順位表の修復が不可能な段階まで来てしまった。

    今季何の策もないシステムでのプレーを強いられた選手の評価は付けがたい。与えられた役割が無い以上、評価基準も無いから採点のしようが無い。本当に酷い前半戦であった。

    ドミンゲスの引退

    CBのドミンゲスが背中の怪我を理由に27歳で引退を発表した。過去数年、慢性的な背中の怪我に悩まされ、昨季ようやく主軸らしいパフォーマンスが見られたと思ったら、数試合プレーして再離脱。ファンとしては「ゆっくり休んで下さい」というスタンスだったが、円満な別れとはいかない模様。彼はボルシアMGのメディカルに対し「トップチームのレベルに無い」と批判。訴訟を起こす構えであるとの報道もある。

    ボルシアMGは、そのCBにセビージャからコロジェイチャクを約700万ユーロで獲得。エベールSDは否定しているが、恐らくクリステンセンのローンバックの後釜という意味合いでもあるだろう。エベールはフランスの世代別代表に選ばれていたコロのことを17歳の頃から知っていたそう。CBとしてそれほど上背は無いが、スピードと足元の技術に長け、SBもこなせるという彼好みの選手だ。

    展望

    後任監督は選手時代にボルシアMGに在籍歴のあるヘッキング。一昨季のブンデス最優秀監督であり、CLベスト8経験者はリーグ内で彼とアンチェロッティしかいないと言えば聞こえは良い。しかしデブルイネの抜けた後は全く狙いの見えないサッカーに終始し、今季途中でヴォルフスブルクを解任されている。正直、この人で好転するとは思えず、迷走が続きそうな予感…。強いて期待できる点を挙げるとすれば2点で、1つは若手の起用だ。



    ボルシアMGにはダフードの他にもソウ、ベネス、ドゥクレを筆頭にリュッテン、M・シュルツ、シマカラ、ニコラス、ヌデンゲとポテンシャルの高い若手が数多い。ヘッキング、エベールSD、アシスタントコーチのステフェスともに若手起用に前向きな発言をしており、新たな戦力として期待している。この低迷をプラスに捉え、積極起用でメンバーを刷新するのもアリかもしれない。

    もう1点は4バックに戻し、ヘッキングとボルシア共通の特徴であるサイド攻撃が蘇る可能性だ。

    しかし、迎えたヘッキング体制1戦目は、なんと3バック。シューベルトと同じシステムであった。全く機能せず、PK2本で辛勝。2戦目も3バックで臨み、ビハインドを負い前半終了。ここで4-4-2に変更すると後半に逆転。このまま4-4-2を詰めていくのがベターだが、試合後のヘッキングは「4-4-2が良かった」ではなく、相手に合わせた「システム変更」が良かったとコメント。システムには今後も柔軟性を持たせる、とシューベルトと瓜二つの抱負を述べていることからも筆者としては非常に先行きが不安である。

    4-4-2固定で臨んだテレコムカップは2連敗。怪我人が多いことに加え、人選も試行錯誤でフルメンバーではなかった。特にスペースメイクで攻撃に流動性を生むタスクを担うSHには適切な人選が求められる。ここまで怪我の少ないホフマン、トルガンの積極起用、ソウやベネスの抜擢が必要だ。

    またCHのダフードとクラマーのコンビは役割分担が明確でなく、共に動きすぎて然るべきポジションに2人して居ない場面が多々ある。ここの分担・人選も課題だ。

    新監督ということで、一度くらいフルメンバーで形にする必要があったはずだ。消化不良の冬だったが、早いところ最適解を見つけ出さなければならな
    い。

    <前半戦のMVP>
    ヤニク・ヴェスターゴーア(DF、16試合1アシスト)



    戦術的に整理されていない中で評価するのは難しいが、前半戦MVPを強いて挙げるならばヴェスターゴーアだ。

    高さだけでなく足元の技術も確かで、機能しないシステムの中でも頭を使って組立て、次の展開を促すようなメッセージ性の強いパスを送り込んでいた。

    次点でクラマーとシュトロブルのCHコンビ。中盤の守備はこの二人に任せきりになる場面が多かったがスタミナとフィジカルを活かした守備で貢献。今後はこの二人の負担を減らせるようバランスをとる必要がある。

    <後半戦の注目選手>
    ジブリル・ソウ(MF、リーグ出場なし)
    ラズロ・べネス(MF、リーグ出場なし)



    後半戦の注目はソウとベネスの19歳コンビだ。

    ソウとベネスは期待の若手としてエベールから繰り返し名が挙がっている。この2人の主戦場はともにIH。ヘッキングがどのシステムを使うのかにもよるが、SHとしてもCHとしても計算できる。

    ベネスは左足の精度が高くスペースを見付けてのランニングも可能。中央からもサイドからもゲームを作れる今までボルシアにいなかったタイプだ。ソウは万能型。スピードがあり、裏への抜け出しからシュートまで正確にこなせる選手だ。そのためIHでの起用がベストだが、現状怪我で手薄なサイド起用がベターかもしれない。

    この2人は一刻も早くローテーションに組み込むべき逸材である。ヘッキングの重要任務の1つとも言える。

    ■開幕直後の茶番劇から、満足すべき残留圏 (ブレーメン)

    文・ゆんゆん



    勝点16の15位。結論から言えば満足すべき成績だ。

    新シーズンに望む前の段階で判断を大きく誤った。まずヴィクトル・スクリプニク前監督(及びトルステン・フリンクス助監督)を続投させたこと。そして指揮官交代を模索していたトーマス・アイヒン前GMの事実上の更迭。限界をとうに露呈していた前監督を徹底擁護し、まさかの続投判断を下したクラブに理解が及ばないが、さらに驚くべきことが続く。

    DFBポカール1回戦で3部のロッテに完敗してシーズンの幕を明け、リーグ戦で開幕3連敗を喫して4試合14失点のロケットスタート。案の定の結果ではあったが、まさかここまでの醜態を曝すとは。

    すると、あろうことかクラブは続投させたスクリプニクをあっさり解任。僅か4試合で覆る程度の判断、覚悟だったのだ。あの感動的な擁護の弁は何だったのか。その軽さに閉口する。

    その後、暫定的にU-23から昇格させていたアレクサンダー・ヌーリを後任として正式に任命。目ぼしい候補者が見当たらなかったか、それとも全て断られてしまったか。

    極め付けは、昨年11月の記者会見でのアイヒンの後を継いだフランク・バウマンGMの発言。就任直後「ヴィクトルがブレーメンにとって最善の揮官。彼に大きな信頼を寄せている」と言っていた人物から、程なく「監督を続投させたのはミスだった」という言葉が出てきてしまうのだから驚く。第一声で留任が条件の監督について「信頼していない」とは言えないだろうが、それにしてもスクリプニクの続投が無ければ今その地位にないであろう者が、この短期間でそれを言ってしまうのか。こうして今季は幸先よく第一歩から踏み外してスタートした。

    茶番劇はチーム編成を大きく混乱させた。ヌーリ監督は就任後まもなくサンブー・ヤタバレ、ファルー・ディアニェをトップチームのメンバーから外し、後者は夏にやって来たばかりだが、この冬メツへ移籍が決まった。他にもスクリプニク体制下で加入した新戦力が冷遇される。5季ぶりに古巣ブレーメンに復帰したレンナート・ティーは昨季まで所属したザンクト・パウリへUターン、タノス・ペツォスは英フルアムへ。彼らもまた在籍僅か半年でクラブを去った。

    補強もちぐはぐだ。既にティー、ジャスティン・アイラース、フロリアン・カインツの獲得を決め、逸材ヨハネス・エッゲシュタインの慰留にも成功していた前線に、さらに大金を投じてマックス・クルーゼとセルジ・ニャブリというビッグネームを加えた。

    その一方で、昨季在籍した4選手が全員抜けたセンターバックにはブンデスリーガで実績のない外国人選手を格安で獲得して済ませたのだから、首を傾げざるをえない。攻撃的な選手ばかりに投資し、最大の懸案は人件費を節約して頭数だけ揃える。そのうちの1人は僅か2試合だけ出場し、もうフランスに帰ってしまったのだから失敗は明らかだ。

    指揮官交代後もチームは常に2桁順位の低空飛行を続け、ウィンターブレイクを迎えた。しかしこれほど稚拙なマネジメントにもかかわらず、降格圏外で前半戦を終えられたのだから、やはり満足すべきなのだろう。

    失点数はリーグ最多の34。近年失点の多さでは必ず上位に顔を出しているが、毎試合必ず2点は献上している計算になる、とりわけ誇らしい数字を叩き出した。

    大量失点を受けてGKはフェリックス・ヴィートヴァルトが降ろされるも、代わりのヤロスラフ・ドロブニーは怪我がちで、フィードの精度にも物足りなさがあり、全幅の信頼を得るまでに至らず。このポジションは夏の補強が確実視されており、後半戦のデキ次第では両者揃ってポジションを失うことになるだろう。



    個別に賞賛に値するのは、言うまでもなくニャブリ、そしてレフトバックからスタートしサンティ・ガルシア復帰後はライトバックのポジションを奪取したロベルト・バウアーの五輪代表組。バウアーは左右のサイドバックに加え、ウイングバックから3バックの一角までこなす柔軟性を見せた。テオドール・ゲブレ・セラシエのように不必要なチャレンジからボールを失うこともない堅実で攻守に亘る一定以上の貢献が期待できる選手で大変重宝している。

    そしてイゼト・ハイロヴィッチ。14年に加入後、一時戦力外となったが今季は右サイドで躍動。キレ味抜群のカットインから数多くの決定機を築いた。しかし12月のインゴルシュタット戦で前十字靭帯断裂の重傷を負い今季絶望に。チームとして痛手であることはもちろん、ようやく陽の目を見たサイドアタッカーにとっても、あまりに残酷な仕打であった。

    一時話題を攫ったガンビア人FWウスマン・マネーはレヴァークーゼン戦での活躍など華々しく表舞台に登場したが、技術的に未熟でモーションもワンパターン。警戒した相手チームが対策を講じてくると間もなく沈黙した。スケールの大きさを感じるが、トップチームでレギュラーを任されるまでになるのはまだまだ先の話だろう。



    前任者と同じく、またしても1部はおろか2部ですら指揮経験の無い下部組織のコーチがトップチームを率いることとなったが、ヌーリ監督は意外なほど柔軟かつ的確な判断能力の持ち主であった。

    就任後、初戦から抜擢して脚光を浴びたマネーをあっさり降ろしてみせたように、一時の成功体験に固執することはなかった。様々なシステムや組合せを試しては駄目と見るやスパッと止める思い切りの良さは好印象。大金をかけているピサーロとクルーゼはどちらもベンチに置くわけにはいかない「縛り」がある中で、よく遣り繰りしている。

    ここから後半戦の展望に入ろう。

    後半戦も変わらず1部残留が目標となる。「浮上のためには守備の改善を」といつも言われるが、リーグ最多失点のチームなのだから、そんなことは誰でもわかることだ。このクラブにやろうと思ってそれができるのなら、初めから苦労は無いのである。

    ラインコントロールすら覚束ないようなその守備を立て直すべく前半戦は試行錯誤の連続であったが、結果はホッフェンハイム戦で御目見えした3-1-4-2の新システムという形で、どうも落ち着きそうだ。中央に絞った位置でのプレーを好むニャブリのタスクを減らす効果もあり、手持ちの戦力を上手く活用できるだろう。ヌーリ監督も手応えを口にしており、筆者も一定の改善が期待できると見る。順位は降格圏スレスレだが、それほど悲観はしていない。

    残留とは別にテーマを掲げるなら「フリッツとピサーロに頼る体制から脱却する」ことを目指したい。両ベテランはピークをとうに過ぎており、フリッツに至っては引退を1年延ばしている状況。戦線を離脱する頻度が目に見えて高まっている彼らへの依存が続くことは、即ちチームパフォーマンスの不安定さに直結するリスクだ。



    鍵を握る選手は冬の新戦力トーマス・デラニー。ペツォスとルーカス・フレーデを放出、フィリップ・バルクフレーデが再び離脱して復帰時期が見通せない中、手薄となった守備的MFのポジションで移籍後すぐさまフル稼働を求められている。



    そしてクルーゼ。ニャブリの強烈な個に頼っていた攻撃陣を引っ張らなければならないのは本来、彼のはず。序盤戦は明らかなウェイトオーバーで動きも鈍かったが、試合を重ねるごとにキレを増し、併せて結果も付いてきている。昨季後半戦12得点の固め打ちで残留の原動力となったクラウディオ・ピサーロに同様の働きを期待することはできないし、すべきではない。紆余曲折を経て再びプレーすることになったブレーメンの新時代を担うのは自分だという気概を見せて欲しい。

    <前半戦のMVP>
    セルジ・ニャブリ(MF、15試合7ゴール1アシスト)



    リオ五輪得点王の肩書は伊達ではなかった。その貢献度はチーム最多の7ゴールと数字にそのまま表れている。加入後、瞬く間に中心選手となり、その存在感は国内外のビッグクラブからの注目を集めるほどだ。活躍が認められドイツ代表にも招集されており、恐らくブレーメンに長く在籍することはないだろう。重心の深いドリブルで敵陣を蹴散らし、振りの速いシュートでゴールを矢のように射抜く。厳しいチェックにもボールを失わないことから1トップを任されることもあった。

    ハイライトは10月のダルムシュタット戦。出し手のマネーが目測を誤ってパスが長くなり、相手GKミヒャエル・エッサーがこれを悠々とキャッチすると誰もが思ったはずだ。

    しかし、ニャブリは信じられないような加速から猛スピードでボールをGKの眼前で掻っ攫い、そのままゴールに流し込んだ。パスを出したマネーやバルテルスが頭を抱えて悔しがっていたように、味方すら追い付くと信じていなかったスーパーゴールであった。

    彼には1試合でも多くブレーメンのユニフォームを纏って戦って欲しい。ただ、同時にこうも思う。「ニャブリに残留争いは似合わない」と。

    <後半戦の注目選手>
    トーマス・デラニー(MF、新加入)



    今季のCLグループステージを観戦されたファンの方が、筆者よりも彼について詳しいのではないか。こう言ってはなんだが、CLとELの常連であるコペンハーゲンのキャプテンが、いつ降格してもおかしくないブレーメンに何しに来たんだと思っている。それもエバートンなど英プレミア勢からの魅力的なオファーを断ってまで。いちファンとしては嬉しいことなのだが未だに不思議でならない。

    実際のプレーを見たことがないので、正直なところ、彼がどんな選手かほとんど知らない。遠めからでも得点を狙える攻守に亘って存在感を放つボランチだと聞く。前項でも書いたが、中断明けからいきなりチームの中心として働いてもらうことになる。笑ってしまうような話だが、初めから彼の代わりはいない状況だ。

    前クラブで若くしてキャプテンを任されたリーダーシップも買われており、今季で現役を退くフリッツの後継者としても期待されている。

    ■立ち直った昨シーズンから一転、「いつもの」試練へ (ハンブルガーSV)

    文・まるよし



    昨季を10位で終え、さらなる安定と成長、そしてEL出場権を目標にジャンプアップを期待して迎えた新シーズン。待っていたのは「いつもの」試練の連続だった。

    オフには目立った主力の流出も無く、コスティッチ、ウッドといった実力のある選手を加え、戦力の強化に成功。若干、ボランチから後ろの層の薄さが気にはなったが、悪くないチーム編成ができたと言っていいだろう。

    しかし、開幕から4試合未勝利。途端に周囲が騒がしくなってくると、昇格組のライプツィヒ、フライブルクに連敗を喫した時点でラバディア監督の解任が実質的に決まった。第5節のバイエルン戦では、終盤まで得点を許さない健闘を見せたものの、クラブの決断は覆らず。3シーズン目を向かえたラバディア体制はあっけない形で終わってしまった。

    その後、新監督にギスドルを招聘し、すぐに立て直しを図ったのだが、ここからチーム状態はさらに悪化。第7節から第9節までは、3試合連続で退場者を出す散々な結果で、新監督の戦術浸透もままならない状況が続いた。

    依然として開幕からの未勝利記録が伸びるそんな苦しい状況の中、ギスドルはチームの現状を打破すべく、試行錯誤して幾つかの新しい手を加えた。

    まずは、選手のポジションの入れ替え。数年ぶりにホルトビーを本職のトップ下に配置すると、両サイドバックの酒井高徳とオストルツォレクを2人ともボランチで起用する大胆なコンバート。さらに、大きなインパクトを与えたのが酒井高徳のキャプテン就任だった。それまでキャプテンを務めていたジュルーは試合に出場こそはしていたものの、プレーに安定性を欠き、お世辞にも求心力は高くなく、キャプテンの変更は頷けるものだった。しかし、加入2年目の酒井にその大役を託すのは、周囲はもちろん、本人にとっても大きな驚きであった。

    そして、結果的にその幾つかの変革が吉と出る。酒井がキャプテンに就任した初戦のダルムシュタット戦でようやく初白星を挙げ、開幕から続いていた未勝利記録を12でストップ。次のアウクスブルク戦でも勝利し、連勝を達成すると同時に最下位からの脱出にも成功した。続くマインツとのアウェイゲームに敗れはしたが、中断前ラストのシャルケ戦は内容が伴った試合で見事に快勝。中断前5試合に限れば、3勝1分1敗の好成績だ。紆余曲折があったものの、なんとか自動降格圏から這い上がり、確かな手応えを残したまま中断期間を迎えることになった。

    またも露呈したクラブの“悪癖”。求められる指揮系統の正常化



    メディアが集まる大都市に身を置くこのクラブの宿命とも言うべきか、今季も話題の中心はピッチの中よりも外に向けられてしまった。何と言っても最大のトピックは、ラバディア前監督の解任、バイヤースドルファーCEOの更迭だろう。

    まずラバディアの解任についてだが、この選択は正しかったかどうかは現時点では判断できない。というのも、後任のギスドルも就任直後は結果が出ずに苦しんだが、徐々に狙いとするサッカーが明確になり、チーム状態が上向いてきているからだ。

    恐らく、あのままラバディアが留任したとしても、ある程度は勝ち点を拾えていただろう。だが、ギスドルも決して遜色のない手腕を発揮しつつあり、上昇の兆しを感じさせている。全ては後半戦の結果次第。当時の判断の是非は最終的に残留できるかどうか、その一点で決まる。

    監督人事に関しては賛否両論、今となっては納得の余地もあるのだが、問題視するべきはCEOの交代だ。一般論として、シーズン途中にSD職も兼務しているクラブのトップが任期途中で追いやられるのは、異常とも言うべき事象でしかない。

    そして、一番の問題は「決定権の掌握者」が不透明なこと。2年前に株式会社化した際に、それまでのクラブ幹部を刷新してからは、そういった政治的なしがらみからは開放されたと思っていただけに、今回のバイヤースドルファー氏の更迭は問題の根が深い。

    一説によれば、今回も補強資金を提供している外部からの圧力との見方が強いのだが、それもあくまで憶測の域を出ない。いずれにしても、長年足枷となってきた体質を露呈し、クラブの財産とも言える優秀な人材を自ら手放したという事実だけが残った。

    浸透するギスドル色と充実の補強。後半戦の見通しは明るい!?



    ギスドルと言えば、いわゆるラングニック流派の指導者である。そのラングニックが作り上げたライプツィヒと同じく、ハイプレス&ハイラインで縦に速いサッカーを信条としている。ラインを高く押し上げ、前線からアグレッシブにボールを奪いに行くやり方はラバディア時代と変わりは無いが、オフェンスに関しては変化が大きく、戦術の変更に慣れるまで選手達は幾分か時間を要した。

    前任者のスタイルは、どちらかと言うと距離感を縮めて細かいパスで崩していくものだったが、逆にギスドルは速攻を重視。そのため、オープンな展開になる分、前線の選手のスピードや突破力に攻撃のクオリティが左右される部分が大きいのだ。現在のHSVで、その役割を担っているはコスティッチとミュラーの2人。特にコスティッチは、期待に違わぬ圧倒的な独力での突破力を発揮しており、ギスドルのサッカーを体現する上で最も欠かさせない選手となっている。

    一方で守備に目を向けると、ラインを高い位置に設定するこのサッカーはセンターバックが肝となる。HSVにとっては、元から非常に層の薄いポジションであったとはいえ、前半戦は平均的な水準に届く選手が見当たらず、失点数はリーグ内ワースト2位と苦しんだ。それを踏まえ、冬の中断期間にケルンからマフライ、ライプツィヒからパパドプーロスと実績のある選手を補強。「冬のマーケットの勝者」と言っても過言ではない的確な補強に成功した。



    試合を重ねるごとに高まる新しいサッカーの浸透度。そして、弱点を補うピンポイントの補強。中断前の時点で16位ながら、後半戦のHSVへの期待感は決して小さくない。

    <前半戦のMVP>
    該当者なし

    キャプテンとしてチームを牽引した酒井高徳や、前半戦の終盤でフィットしたコスティッチは評価に値するべきだったが・・・。チーム、選手個人ともに本来のポテンシャルを発揮したとは言い難い前半戦だった。

    <後半戦の注目選手>
    メルギム・マフライ(DF、新加入)
    キリアコス・パパドプーロス(DF、新加入)



    長年センターバックの人材難に苦しんでいたHSVにとって待望の本格補強が実現!

    マフライは、ケルンで開幕から全試合スタメンで出場していた選手で実績と実力は疑いの余地無し。今季限りで同選手との契約が切れるはずだったケルンが契約延長の意思が無かったことから、今回HSVが移籍金を支払い、獲得が決まった。水面下では早い時期から交渉が行われていたようで、この移籍はバイヤースドルファー氏の最後の置き土産となった。

    パパドプーロスは、HSV移籍の要因にギスドルの名前を挙げた。2人は、シャルケ時代に選手とアシスタントコーチという間柄であった。ライプツィヒでは怪我もあり出場機会には恵まれなかったが、シャルケ、レーバークーゼン時代の活躍でポテンシャルは証明済み。屈強な体格を生かした当たりの強さや、水際での危機察知能力は抜群のモノ持っているセンターバックだ。既に完成されたプレーヤーでありながら、まだ24歳と年齢も若く、本来であればHSVが獲得できるクラスの選手ではない。ひとまず、今夏までの半年間のローン移籍とはなるが、ギスドルを慕っていることから先の可能性を期待せずにはいられない。

    ■開幕10試合未勝利のチームを救った無名の新指揮官 (インゴルシュタット)

    文・だのら



    昨季、降格濃厚なチームを見事に残留へと導いた指揮官と、そのチームの主力ディフェンダーが他チームに引き抜きかれ、戦術がフィットする時間や、連携の難しさなどを踏まえて、ある程度苦戦を強いられるシーズン前半なことはある程度予想していたが、そんな私の予想を遥かに上回ったシーズン前半戦となった。

    前述の通り、昨シーズンチームを率いたハーゼンヒュットルがライプツィヒの監督へ就任し、カールスルーエの指揮官だったカウチンスキが後任に任命された。

    カウチンスキは監督就任会見で「前任(ハーゼンヒュットル)のサッカーを受け継ぐ。システムはあまり変えないよ」と発言しており、戦術のフィットやフォーメーション変更での連携などの負担は軽減するだろうし、「大丈夫なのでは?」と周囲に安心感を漂わせていた。

    が、現実は甘くなく、開幕前のフレンドリーマッチでチャンピオンシップ(英2部)やツヴァイテリーガのクラブと対戦したが、いずれも勝つことはできず。格下との対戦となったDFBポカールでも何とかPKでの勝利という最悪な形でシーズン開幕を迎えることとなった。

    その後はご存知の方も多い通り、開幕以降10試合で0勝2分8敗と言う不名誉な結果を打ち立てることとなり、解任された。後任にはフォーダやブライテンライター、ルフカイと様々な噂があったが、いずれも断られ、無名のヴァルプルギスを新監督へ迎え入れた。

    「ドイツの下部リーグを指揮していた彼に、ブンデスリーガの監督ができるのか?」と不安が募ったが、彼はその声をすぐさま払拭することとなった。

    誤審や相手の決定力不足にも助けられたが、10試合勝ちなしで勝ち点2しか得られなかったチームに、1試合で勝ち点3をもたらした。新体制のチームはその後も、昇格組で当時無敗で首位と波に乗っていた前々監督ハーゼンヒュットル率いるライプツィヒを破るなど、就任後6試合で3勝1分2敗という結果でウィンターブレイクを迎えた。

    前半戦は前述の通り勝てず、長く、苦しく、厳しいシーズンだったが、1週間後にリーグ戦と切羽詰まる中、新監督を選び、「これぞ解任ブーストだ」と言わんばかりの勢いで巻き返せたのは評価したい。戦術面においても流行りの3バックを採用し、守りを堅め、決めるべき時に決める。そんな縦に速い昨季のようなチームになっているので、新監督のチョイスはベストだった。

    チームは昨季の勢いを取り戻しつつあるので、後半戦は是非とも残留を期待したい。



    だが早速、そんなチームの中心選手となりつつあったマルセル・ティッセランがアフリカネーションズカップで離脱。さらにハウケ・ヴァールをレンタル移籍で放出と、CB不足の問題に直面している。ロマイン・ブレジュリィがティッセランの抜けた穴を埋めると予想されているが、果たしてそこを埋められるか。前半戦同様に厳しい問題を抱えたままでの再開となった。

    前半戦は乗り越えられなかった課題を後半戦序盤、いかに乗り越えるかによって、インゴルシュタットの残留か降格かの運命が決まると言っても過言ではないだろう。

    <前半戦のMVP>
    パスカル・グロース(MF、16試合1アシスト)



    開幕から10試合で勝ち無しと監督交代を余儀なくされたシーズン序盤、そんな中でも、クオリティを維持しつつ、チームに貢献してきた選手が、このパスカル・グロースだった。セットプレーでは質の高いボールを送り、守備も怠らず、90分間走り続けた。

    結果的には報われず、カールスルーエ時代の恩師・カウチンスキも解任という結果になった。その後、新体制となり、フォーメーションを変えたことにより、選手の配置を入れ替える結果となったが、インゴルシュタットの10番は不動のスタメンとして変わらずチームを牽引している。

    <後半戦の注目選手>
    ロジャー(MF、16試合1ゴール)



    インゴルシュタットの最大の悩みと言えば、決定力の低さ。流れの中からエリア内に持ち込めるものの、シュートがお粗末だったり、惜しいパスミスでチャンスを逃している。それは前半戦はもちろん、監督が変わった後半戦でも言えることで、これからも言われ続けるだろう。

    そうなると、残留へより重要になってくるのが守備。昨季インゴルシュタットはリーグワースト2位の得点数だったが、PKやセットプレーでの得点で得たリードを守り抜き、チームは11位でシーズンを終えた。しかし、今季は昨季の守備を牽引したディフェンダーや守護神を引き抜かれたこともあり、守備が安定せず、16試合で27失点と今の順位も納得出来る数字になっている。

    しかし蓋を開けてみると、監督交代前は10試合で21失点、交代後は6試合で6失点と監督交代で大きく改善できている。

    その要因がフォーメーション変更にある。4-3-3から3-6-1または5-4-1へと変更したことにより、失点数を大きく減らすことができている。

    その中でも、このフォーメーションで最重要な役割を担っているのがロジャー選手だ。監督交代後は3バック、5バックへの変更に伴い、これまで出場していたボランチからセンターバックへコンバートされ、不慣れなポジションでの出場を余儀なくされている。

    が、連係ミスは多少あるものの、そんなことを感じさせない働きを見せており、チームの守備を立て直している。

    また攻撃面でも、主にセットプレーにおいて貢献している。家庭の事情により8月に母国ブラジルへ帰国するためチームを去ることになり、今季限りとなった彼のプレーに、是非とも注目して欲しい。

    ■淡い期待を打ち砕いた8連敗(ダルムシュタット)

    文・昴

    開幕前、かなり悲観的な予想を立てていた私にとって、第8節までの戦いは評価できるものであった。8試合で勝ち点8は残留を十分に狙える数字であり、アウェイでの戦績はともかく、ホームで無敗というのは誇れる戦果だったと言える。とりわけ、今季序盤から好調のフランクフルトに土を着けた第2節は会心の試合だった。

    しかし第9節のライプツィヒ戦でホーム初黒星を喫すると、そこから連敗
    5つを数えたところで指揮官のマイヤーとファッハSDを解任し、ベルンドロートが暫定で指揮を取った残りの3試合も全て敗れ8連敗。序盤は混迷を極める北部の両雄やウォルフスブルク、そして10戦未勝利だったインゴルシュタットの陰に隠れていたが、気付けば1番下でウインターブレイクに突入していた。

    得点11、失点30という数字を見ると、ライバルに比較して失点数が極端に多いわけではないが、16試合中9試合で無得点であれば、当然勝ち点は伸びないだろう。無失点試合も件のフランクフルト戦のみであり、半数以上の試合で得点が奪えず、無失点にはほぼできないのだから、結果は推して知るべしだ。

    この小クラブにおいて、この冬の動きは、まさに死活問題だった。

    冬の移籍市場では、アルティントップ、サムといったドイツでの実績があるアタッカーを加え、ライプツィヒからはFWのボイドを補強した。攻撃面の駒自体は確保できたと思っている。

    一方で守備の再構築をどうするのか、これは指揮官の腕の見せ所だった。昨季の残留はシュスター監督のチーム構築が無ければ到底叶わないものであった。

    肝心の指揮官だが後半に向けて、まさかのフリンクス就任が発表された。ブレーメンでアシスタントコーチは務めていたものの、監督経験はなく、まさに大博打と言える選択だ。

    私は選手時代のフリンクスが好きである。特にブレーメン時代の彼のプレーは凄く魅力的であった。一個人として言わせて貰えば、どれだけ酷い内容になろうと人物としてのフリンクスを私は支持するだろう。しかし、彼に守備構築ができるとは思えず、就任そのものには正直「何故」という感想が拭えない。

    もっとも、この火中の栗をよく拾いに行ってくれたという意味では流石フリンクス、と思わなくもないのだが…。

    <前半戦のMVP>
    ジェローム・ゴンドルフ(MF、13試合1ゴール2アシスト)



    チームとしての完成度も低く、MVPを選出するのは躊躇(ためら)われたが、勝ち点への貢献度を踏まえ、ゴンドルフを選択した。

    昨季はニーマイヤーとともに不動のボランチとして君臨していたゴンドルフだが、今季は負傷や先発を外されるなど苦しい時期を何度か過ごしている。

    それでも、この小柄なMFは守備のタスクをこなしながら、チームにおいて得点に貢献できる数少ない選手である。彼の働きは、今季このチームが勝ち点を得た試合の全てに彼がフル出場をしていることからも窺えるだろう。

    <後半戦の注目選手>
    テレンス・ボイド(FW、冬の移籍市場で新加入)



    大怪我からのカムバックを果たしたアメリカ代表FWがライプツィヒから加入した。1年半ぶりに復帰した前半戦は主にセカンドチームでプレー。9試合5ゴールと試合感覚を取り戻しつつある。

    屈強で得点感覚に優れたストライカーは、ダルムシュタットの補強ポイントと合致している。彼自身のステップアップのためにも輝きを放って欲しいところだ。



    ~My Opinion~

    強さと魅力を失ったバイエルン。アンチェロッティは偉大な前任者を超えられるのか

    文・まっつー


    カルロ・アンチェロッティとジョゼップ・グアルディオラはどちらが優秀なのか。答えが出るのは当分先になりそうだが、前半戦のバイエルン・ミュンヘンに少なからずケチが付いたのは揺るぎない事実だ。

    2013年、稀代の名将グアルディオラを招聘したことで、バイエルンのサッカーは格段に進歩した。前任者であるユップ・ハインケスが3冠を成し遂げた直後という難しいタイミングであったにもかかわらず、グアルディオラはひたすらに改革を推し進めた。それは概ねプラスに作用し、ほとんどの選手達は「練習が楽しい」と語り、全てを獲得した直後に訪れる“マンネリ”を避けることに成功している。

    また、バイエルンのスタイルをティキ・タカに変えたことも記憶に新しい。ハインケスの元で直線的にプレーしていた選手達は正確なパスで相手を圧倒し、バルセロナを相手にしてもポゼッションで引けを取らないほどにまでなった。

    言うまでもなく、成績も付いてきている。グアルディオラがバイエルンで指揮を執った3年間は一度もブンデスリーガのタイトルを取り逃すことはなく、ドイツ国内を席巻した。

    さらに、特筆すべきは失点数の少なさだ。1年目こそブンデスリーガ特有のカウンターに苦しみ、グアルディオラも「ブンデスリーガは全てのチームがカウンターを得意としている」と嘆いたが、2年目は18失点、最終年は17失点に抑え、最少失点記録を樹立した。カウンターからの失点がパターン化されていたものの、グアルディオラは着実に改善し、チームをグレードアップしている。もちろん、チャンピオンズリーグで3年連続準決勝敗退となったことには大きな議論の余地があるが…。

    アンチェロッティもグアルディオラ同様、船出は上々だった。事実、プレシーズンから連戦連勝を続けた新生バイエルンからは良い話しかこぼれてこなかったことからも、それは窺える。フランク・リベリは前監督であるペップを「話が多過ぎる」と批判しながら、アンチェロッティを評価している。

    「彼といると自信を取り戻せる。親しみやリスペクトがあれば、100%ではなく150%すら出せる。僕らにとって完璧な監督だし、彼のためなら何でもするよ」

    リベリに限らず、多くの主力選手がアンチェロッティの人間性の素晴らしさを褒め称えた。ペップのもとでは機械のようにパスを回し続けた選手達が笑顔を取り戻し、「ファミリー」を強調するアットホームなバイエルンが戻ってきたと喜ぶ声が少なくなかったことも事実だ。

    しかし9月、アトレティコ・マドリーに敗れると状況は一変。それまで公式戦8連勝を達成してきたチームは、続けてケルン、フランクフルトと引き分けて、3試合勝利無しとなった。するとカール・ハインツ・ルンメニゲCEO(最高経営責任者)を筆頭に、チームを痛烈に批判。「こんなのはバイエルンではない」とまで言い放っている。選手達も言い返すことはできず、自己批判を繰り返した。

    幸い、10月19日に行われたPSV戦で勝利を取り戻したものの、内容的にはそれまでの3試合と何ら変わらぬ低調なものと言わざるを得ないデキであった。ペップ時代のパスを回して横に広げるサッカーから脱却し、アンチェロッティは「縦に速いサッカー」を標榜に掲げた。

    シーズン序盤こそ選手が伸び伸びと前に出ていき、ゴールを奪う姿はファンにペップ・バイエルンを忘れさせるのに十分なものとなっていたが、点を奪えなくなれば、ボールを相手にやすやすと明け渡すスタイルとも言い換えられる。不用意な横パスを奪われ、ペップ政権ではトレードマークとなっていた激しいプレスもかからず、簡単に失点する姿は哀れにすら見えた。

    さらに、11月に行われた“デア・クラシカー”(ドイツ版クラシコ)も落としてしまう。国内で最も重要な一戦と位置付けられた戦いで、バイエルンは力負けした。確かに「ドルトムント・キラー」であるアリエン・ロッベンが欠場したのは痛手であったが、この日のバイエルンは決して内容が低調で、芳しくない動きをしていたわけではない。いつも通り戦って、普通に敗れたのだ。ポゼッションでこそ圧倒したが、チャンスの数は互角。決定機で言えばドルトムントの方が多かったくらいだ。それだけに、首脳陣やサポーターに与えたダメージは少なくなかったことが想像できる。

    とはいえ、アンチェロッティが率いるバイエルンは例年と同じように首位を走っている。クラブのOBであるオリバー・カーン氏も「国内でバイエルンと優勝を争うチームが出てきたら驚き」と話し、バイエルンが圧倒的な実力であることを認めている。

    一方で、格下相手にボール支配率70%近くを常時記録していたペップ・バイエルンの面影は既に無い。どこか隙があり、いくらか倒しやすいチームになってしまったことは揺るぎない事実だ。アンチェロッティが契約終了後、前任者よりも高い評価を得ることになるのかは、まだ誰も分からない。



    次回へ続く


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