ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・上編
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ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・上編

2015-07-08 22:30
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今年5月23日に終了した独ブンデスリーガの2014-15シーズン。バイエルンの3連覇、ヴォルフスブルクの覚醒、アウクスブルクの快進撃、ルール地方の両雄の低迷、史上初の6クラブによる残留を賭した“最終決戦”――今季も多くのドラマが生まれた。甘美な栄光も、いつまでも舌に残って消えない苦杯も、ファンはそれぞれに噛み締めているだろう。

愛するクラブが異なれば、いや同じクラブに忠誠を誓おうと、シーズンの“後味”は千差万別。同じ味蕾(みらい)を持つ人間はいない。しかし、他人の味わい方を知り、自らと照らし合わせれば、新たな発見もあるのではないだろうか。

そこで、各クラブのファンに協力を求め、合計12人からレビューを集めた。いずれも、ファンならではの“愛”と“熱”に満ちている。個性的で濃いレビューが、独ブンデスリーガのファンにとって、去りしシーズンの余韻に浸り、来たる新シーズンに希望を膨らませる“料理”になれば、この上ない喜びだ。

執筆者は、下の画像の通り。



それぞれには「リーグ戦の総括」、「チャンピオンズリーグおよびヨーロッパリーグに出場したクラブへの満足度」、「印象に残ったクラブと選手」、「目を惹いた若手(=23歳以下)」、「日本人選手への通知表」、「応援するクラブの軌跡」、「応援するクラブの来季への“隠し球”」、「その他」をテーマに、自由に書いてもらった。

また、テーマの合間には「ブンデスリーガの珍景」と題し、シーズンを彩った珍プレーや珍事などを紹介する。

なお、文章の構成や編集、校閲などは暁が担当しているが、執筆者の個性が出るようにも配慮した。一部、権利関係が怪しい写真を使っている。権利者から指摘があれば、速やかに削除する意向だ。



第1章 リーグ戦の総括





バイエルン帝国の牙城は揺るがなかった。独ブンデスリーガの2014-2015シーズンは、バイエルンが史上3番目の早さで優勝。布陣や戦術を試合中に使い分けるなど、さらなる進化を追求しながらの3連覇は、その強さを際立たせた。

ただ、“帝国”の打倒を目指す勢力も着実に前進。2位との勝ち点差は12-13シーズンの15、13-14シーズンの19に対して10と縮まり、DFBポカールではヴォルフスブルクが頂点に立った。

ここ数シーズンは上位の常連だったドルトムントやシャルケが低迷する一方、ヴォルフスブルクとボルシアMGがチャンピオンズリーグの出場権を手にするなど、“2番手集団”の争いも熾烈化。顔ぶれの入れ替わりは、リーグのレベルが底上げされたとも捉えられる。

そしてそれは、順位表の下からも窺えた。最終節までに降格が決まったクラブはゼロ。6クラブによる“サバイバル”は史上初で、戦力の均衡化を実証する。一時はドルトムントが降格圏に沈んだように、もはや“絶対”はない。

バイエルンの覇道は、なお伸びた。しかし、行く手は険しさを増しつつある。14-15シーズンの異変は、迫り来る“大競合時代”の予兆かもしれない。

果たして、執筆者達の眼には、どう映ったのだろうか。

■順位予想の高い的中率が、冷徹な格差社会を証明する 

文・暁空也

新シーズンが開幕する前の楽しみの1つに順位予想がある。冷静に分析して決める人もいれば、愛するクラブを上に、ライバルのクラブを下に置いてから取り掛かる人もいるだろう。各種メディアも、こぞって大々的に掲載。記者や解説者らが“もっともらしい”理論を並べ、ファンはそれを“肴(さかな)”に侃々諤々(かんかんがくがく)と盛り上がる。そして、大半は結果を気にしない(笑)。予想する人も、それを読む人も、過程を楽しんでいるからだ。結果にケチを付けるのは、野暮(やぼ)かもしれない。

ただ、予想の的中率は、リーグの構造を浮き彫りにする“リトマス紙”でもある。クラブごとの力の差が明らかであれば順位を当てやすく、均衡していれば外れやすい。例えば、毎年順位が乱高下するJリーグは、予想の的中率も低水準だ。翻(ひるがえ)って、独ブンデスリーガは、どうか。「独ブンデスリーガファン7人による新シーズンのチェックポイント」(http://ch.nicovideo.jp/football-kyo-no-utage/blomaga/ar606337)の結果から分析する。



まず、バイエルンの優勝は全員が、パーダーボルンの最下位も大半が的中。独ブンデスリーガは誰もが認める「一強」であり、序盤から中盤にかけては力戦したパーダーボルンも最終的には前評判通りの位置に収まったため、極めて高い的中率が記録された。

ヴォルフスブルクの躍進も「サプライズ」ではなかった。2位に入れる執筆者はいなかったが、6人中4人がチャンピオンズリーグの出場権を獲得すると読んだ。そして、この4人のうち3人と他に1人がトップ4からの陥落を予想したシャルケは6位に終わり、執筆者の分析力の確かさを引き立ててしまった。

レバークーゼンやボルシアMG、ホッフェンハイムらのポジションも、概ね執筆者の見立てに近い。中位から下位の顔ぶれも、幾つかの例外を除いて順当だった。

良い例外は、アウクスブルクだ。オフに主力の流出が目立ち、6人中4人が2桁順位に置いたが、リーグ屈指の知将であるマルクス・ヴァインツィールは、その憂慮を嘲笑うかのようにチームを過去最高の5位へと導いた。7位に推したSiebenendenwegは眼力が鋭い。

悪い例外は、全ての執筆者が2位か3位に据えたドルトムントだ。多くの選手が不調に喘(あえ)ぎ、怪我人も続出。チャンピオンズリーグは決勝トーナメントに進出したものの、リーグ戦では降格圏も経験した。終盤に巻き返して7位まで順位を上げ、DFBポカールの準優勝でヨーロッパリーグの出場権も手にしたが、共に栄光の日々を歩んできたユルゲン・クロップ監督が今季限りで退任。蜜月にピリオドが打たれた。

こうした例外もあったが、執筆者の予想の的中率は高い。暁と昴は4クラブ、まるよし、Holli、Siebenendenwegは3クラブの順位を完璧に当てた。上下1つずつの誤差まで認めれば、暁と昴は8クラブ、まるよしとSiebenendenwegは6クラブ、Holliは5クラブまで増える。

数字が高止まりしたのは、独ブンデスリーガが“格差社会”だからだ。数年来、バイエルンが大本命、ドルトムントが対抗、レバークーゼンとシャルケ、ボルシアMGがチャンピオンズリーグの出場権を争い、5位以下は混戦、人件費が少ないクラブが厳しいという構図は変わらない。毎シーズン、何らかの異変は生じるが、大勢を左右するほどではない。必然的に、予想の精度は上がる。

独ブンデスリーガは、予想家が腕を競い合うためには最適な舞台だ。しかし、その他には否応なく“分相応”という言葉を突きつける。貧富や戦力の差が、ダイレクトに勝ち点へと結び付く。世界一の集客力を誇り、スタジアムから熱気が迸(ほとばし)る反面、コンペティションの性質は冷徹だ。

<予想家の談話>

暁空也

「担当するマインツの順位を当てられて良かった。シャルケがチャンピオンズリーグの出場権を逃したのも予想通りで、戦力的にトップ4は難しいと見ていた。そもそも、監督の人選に意図が感じられず、もう数シーズンに亘り明確なスタイルを確立できていない。首脳陣の力量に疑問符が付く。一方で、シュツットガルトとHSVの評価は高過ぎた。今季こそ混迷を抜け出すという予感は、振り返ると恥ずかしい。また、アウクスブルクはヴァインツィール監督の手腕を高く評価しながら、主力の流出を懸念して14位に置いたが、完全に見誤った。悔やまれる」

「完全的中はバイエルン、レバークーゼン、HSV、パーダーボルンで4。上下2位以内では7。合わせて11で、約7チームを外した。特に大きく外したのはドルトムント、アウクスブルク、ヘルタ・ベルリン。ドルトムントのチャンピオンズリーグ出場権の逸失とアウクスブルクのヨーロッパリーグ行きを予想した人間には、預言者の称号を送りたい。ヘルタ・ベルリンの予想があれほど高かったのは、今となっては謎。ラモスが抜けた穴が埋まり切らず、1試合も出られないバウムヨハン。ヴァグナーも全く数字を残せなかった」

まるよし

「的中したのは、1位のバイエルン、14位のシュツットガルト、18位のパーダーボルン。大きく外してしまったのは、15位のヘルタ・ベルリン(6位に予想)と17位のフライブルク(9位に予想)。ある程度、上位・中位・下位のグループは確立されてきているものの、ドルトムントやアウクスブルクなど『予想不可能な順位』も幾つかあり、難しい印象だった。来季は、せめて自分が応援するクラブの順位だけでも的中させたい」


■まさかのアウクスブルク、欧州への挑戦権を獲得

文・昴

チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの出場圏内、中位、残留争い、それぞれのポジショニングごとに振り返りたい。

CLの圏内は、ワールドカップの影響も含めて怪我人続出の中でも戦力で抜けている王者が連覇。ストレートインはMFデ・ブルイネを中心とした攻撃陣の破壊力を糧に2位を守り続けたヴォルフスブルグと、GKゾマーを中心に多国籍の守備陣が堅守を築いたボルシアMGで、4番手は去年と勝ち点は変わらないながらシュミット監督の下、相手の圧殺を敢行したレバークーゼンだった。

EL圏内は、ストレートインの5位に、まさかのアウグスブルク。決して恵まれてはいない戦力の中、1部初昇格から4年目にして欧州への挑戦権を得る快挙を成し遂げた。

その後塵を拝したのが、青と黄色のライバルチーム。戦力に恵まれながらも監督人事で迷走を続けるシャルケとW杯の後遺症とエースストライカー移籍の影響に苦しみ続けたドルトムントは、いずれもCL圏内からは程遠い勝ち点に終わった。6位のシャルケはグループステージから、7位のドルトムントは予選3回戦からの登場となる。

中位は、8位に若手主体のメンバーながら「安定中位」のホッフェンハイム。ブレイクしたMFフィルミーノはドゥンガ体制のブラジル代表に継続して選出され得点を重ねている。得点数で4位、失点数でワースト3に入るなど、シャーフが期待通りの“劇場”を作り上げたフランクフルトが9位となった。

前半戦は降格候補だったにもかかわらず、年明けからの快進撃で急浮上したブレーメンがそこに続く。新加入のディサントは非常に大きな仕事を果たした。序盤は岡崎が大爆発も、去年より順位を落としたマインツが続き、脆弱な攻撃陣を堅守でカバーしたケルンが12位となった。

最終節まで6チームが縺(もつ)れ込んだ残留争い。悪夢の後半戦を乗り越えたハノーファーと“劇薬”の後遺症に苦しんだシュツットガルトは、最終節にライバルとの直接対決で勝利して生き残り。有利な立場にあったヘルタ・ベルリンは、最終節に敗れたものの、残留を決めた。

引き分け以下でも降格が決まるHSVは、既に崩れていたシャルケを粉砕。昨季に続いてプレーオフでの残留を勝ち取った。

そして、ライバルとの直接対決で負けたフライブルグ、パーダーボルンが降格となった。


■「グアルディオラの時代」に終焉の予感

文・月峰総一朗

まず断わっておくが、今季はそこまで他のクラブを観なかったため、抽象的になることを許して欲しい。

恐らく大半の人と同様、バイエルンが圧倒的で「1強のリーグ」になってしまったなという印象だ。ただ、あれだけ強いバイエルンだが、ファンにはグアルディオラに対して否定的な面が目立った。やっているフットボールも成熟してきたが、どこか「緊張感が途切れると取りこぼす」印象が残る。しばらくバイエルンの「1強時代」は揺るがないと思うが、「グアルディオラの時代」は近い未来に終焉を迎えると感じている。

ヴォルフスブルクの躍進には驚いた。後半戦のFWドストの活躍は言うまでもないが、控えにシュールレが構えるなど、スカッド(=選手層)の厚さを感じる。ヘキング監督の手腕に対しては今も疑問が残るが、豊富な資金力で今後もチャンピオンズリーグ圏内くらいは獲得できるはずだ。

ヴォルフスブルクではMFデ・ブルイネがとにかく「スーパーな選手」で、対戦するチームは散々彼に苦しめられただろうし、もっと長くブンデスリーガで観ていたい選手の一人。ウインターブレイク明けのバイエルン戦での素晴らしいプレーには、思わず舌を巻いた。

ボルシアMGは、非常にチームがオーガナイズされているなと感じる。ファブレ監督の手腕は偉大だし、補強も的確だなという印象で、恐らく来季はもっと伸びるだろう。レバークーゼンに関しても同様だが、あの「ハイプレッシングフットボール」は時々脆さを見せた。ただ、あの手のフットボールは継続が必須であると感じている。全体的に、この2チームにはポジティブな印象を抱いた。

シャルケに関しては、最後のごたごたが「らしいな」と感じている。どこかクラブとしての一体感にかけるのは、なぜなのだろうか。主力選手の追放、頻繁な監督交代。長期的ビジョンを持てば、まだまだポテンシャルがあるクラブであるのに、正直「もったいないな」と思っている。

HSVやシュツットガルトは、相変わらず低迷から脱することができない。そこまでプレーを観ていないが、ここまでの数年間を観てきて思うのは、長期的なビジョンがクラブにない。その場凌ぎの監督人事、その場凌ぎの補強。紙一重で残ったものの、これでは降格も時間の問題である。根本的な体制を改善していかなくては、いつまで経っても名門の復活はないだろう。

フライブルクの降格は残念だった。シュトライヒ監督も、主力が相次いで引き抜かれるという、非常に難しい状況だったと思う。あのような「育成型クラブ」が降格してしまったのは残念で、ああいうクラブが内在しているのが独ブンデスリーガであるのに…。最後の最後で運がフライブルクに向かなかった。来季、2部からの昇格を決められるよう祈っている。


■「攻撃特化型」が並んだ中位戦線

文・とんとん

1位のバイエルンは、誰もが予想した通り。ただ、ヴォルフスブルク、レバークーゼン、ボルシアMGに対しては2勝1分3敗と負け越しており、カウンター対策という課題の改善は来季に持ち越しになった。

2位のヴォルフスブルクは、カウンターとサイド攻撃を武器に安定した戦いぶり。カウンターではMFデ・ブルイネが、遅攻ではパス精度の高いDFロドリゲスが輝きを放ち、後半戦のFWドストの覚醒にも目を見張るものがあった。課題としては、サイドからの攻撃に対する脆さ、クロスが上がった際の中央の対応が挙げられる。

3位のボルシアMGは、持ち前のカウンターに加えてMFジャカとFWクルーゼを中心としたパスワークに磨きがかかり、MFアランゴやGKテア・シュテーゲンの抜けた穴を感じさせなかった。

4位のレバークーゼンは、ロジャー・シュミットが監督に就任。連動性の高いプレスを見せつけた。シーズンの序盤は試合終了まで体力が続かなかったが、中盤以降はギアの切り替えがはっきりとし、ペース配分が巧みに。課題は引かれた時のMFチャルハノール依存からの脱却だ。

サプライズは5位のアウクスブルク。怪我人が続出した中、戦術家・ヴァインツィール監督の下、対戦相手に応じて柔軟に戦い方を変えて躍進を果たした。

6位のシャルケはDFアイハン、MFマイヤー、同ドラクスラー、同ゴレツカに加え、同ザネやFWプラッテなど若手の充実度はナンバーワン。それだけに、巧く組み込んで欲しかった。

7位のドルトムントは、最も苦しんだチーム。不振の要因は2点だ。1つは引いた相手に対するアイディアの少なさ、そしてプレスに連動性が無く、前線の数枚だけ誘い込まれて突かれるシーンの多さ。来季はトゥヘル監督の下、復活するドルトムントに期待したい。

8位~10位には「攻撃特化型」のチームが並んだ。8位のホッフェンハイムと9位のフランクフルトに共通して言えることは、とてつもないセントラルミッドフィルダーの負担の大きさ。特にフランクフルトのMF長谷部は、1人で中盤を走り回って攻撃の芽を摘んでいた。ホッフェンハイムはCMFの負担を考慮し、終盤は3CMFで臨む試合も増えた。

10位のブレーメンは、FWゼルケと同ディ・サントの2トップが躍動。背が高くボールコントロールの巧い2人はサイドでも中央でも、そしてカウンターでも起点になれる存在で、これにMFユヌゾビッチが絡む攻撃陣は脅威だった。

ホッフェンハイム、フランクフルト、ブレーメンの3チームとも、これより上を目指すのならば、守備の改善が必要である。

逆に11位のマインツは、MFガイスと同バウムガルトリンガーが中央に蓋をして粘り強く守っていたが、攻撃の形がなかなか見えてこなかった。12位のケルンもリーグ5位タイの堅守が売り。シュテーガー監督の下、強固なブロックを築いて粘り強く戦った。ただ、ブロックの位置が低いため、2トップが無理やりにでも収めないと、なかなか攻撃に転じることができなかった。

13位のハノーファーは、第11節終了時点で4位。好スタートを切ったが、徐々に得点力不足を露呈。丁寧に繋いでいくチームだが、アタッキングサードで停滞してしまった。14位のシュツットガルトは、若手に“タレント”が揃うも、攻守に難あり。攻撃ではFWハルニクが孤軍奮闘。守備では運動量豊富なMFゲントナーが動き過ぎ、スペースを与えてしまっていた印象だ。

15位のヘルタ・ベルリン、16位のHSVもタレントは揃っているが、最後までチグハグでやりたいフットボールが見えてこなかった。17位のフライブルクはシュトライヒ監督の下、要所に捌ける選手を置き、パスフットボールを展開。しかし最終局面で違いを作れず、終始低空飛行で、第33節にバイエルンを下して14位に浮上するも、最終節で降格という残酷な結果となった。非常に残念だ。18位のパーダーボルンの特徴は、鋭いカウンター。第4節では首位に立つも、徐々に地力の差が出て失速した。

DFBポカールでは、ブレーメン、ボルシアMGを破って4強入りした3部のビーレフェルトに期待していたが、ヴォルフスブルクに力の差を見せつけられる形に。クロップ監督の花道を飾るため、バイエルンを破って決勝に進出したドルトムントもまた、ヴォルフスブルクの餌食になった。安定感のあるチームが優勝したという印象を受ける。


■「やればできる子」だったシュツットガルト

文・なかがわしんや

「マイスターシャーレ」(リーグ優勝時に授与される皿状のトロフィー)を掲げたのは、大方の予想通りバイエルン。開幕から無敗を続け、前半戦の失点は、なんとたったの4。2位とは勝ち点11差を付け、この時点で優勝を確定させたと言ってもいい。ただ、シーズンを通して怪我人が多く、特に「ロベリー」(ロッベンとリベリー)の不在が終盤の連敗にも影響したと感じる。

また、スーパーカップやDFBポカールなど一発勝負の舞台で天敵・ドルトムントに負けた点も少し気掛かり。リーグ戦では“ダブル”を食らわしているだけに、苦手意識があるのかは不明だが、来季に対戦する機会があれば、是非とも雪辱を果たしたいところだ。

2位と3位は少し予想外だった。ヴォルフスブルクの躍進に多大なる貢献を果たしたのはMFデ・ブルイネ。10ゴール・20アシストを記録した彼の活躍なしに、2位でのフィニッシュは有り得なかったはず。疑いなく、今季のMVPだろう。他にも後半戦に「ケチャップドバドバ」のFWドスト、大砲持ちのセンターバック・ナウドとその相方を務めるクノへ、サイドバックにコンバートされてブレイクしたMFヴィエイリーニャの活躍が印象に残った。

開幕前、躍進候補に挙げていたボルシアMG。しかし、まさかチャンピオンズリーグへのストレートインを確保するとは驚きだ。残念ながら、あまり観る機会が無かったクラブで適当なことしか言えないが、守護神・ゾマーを中心にディフェンス陣が堅かったイメージ。数字の面から見ても失点数はバイエルンに次ぐ2位で、守備の安定がそのままチームとしての安定にも繋がったのではないだろうか。

4位のレバークーゼンには、申し訳ないが「ガッカリ」した。開幕前のDFBポカールでは素晴らしいフットボールを披露し、このロジャー・シュミット監督のチームはバイエルンを王者の座から引きずり下ろすのではないかと期待したほどだ。それゆえ、この順位には失望を感じずにはいられない。だが、そんな中で目に留まった選手が2人いる。MFベララビとFWソン・フンミン。FWキースリンクの得点が伸びなかった穴を、このドイツ代表と韓国代表の両選手がきっちり埋めて、チームを牽引してくれたように思う。

アウグスブルクの5位を予想できた人は、この世の中にいたのだろうか。もしそのような方がいたら、ぜひ紹介して欲しい。個人的には、totoの予想をお願いしたいくらいだ。シーズンを振り返ってみても、手強かったイメージはほとんどない。数字を見ても「得失点差0」、「負け数15」で、降格したフライブルクの14敗を上回っている。だが、その負け数と同じく15勝しており、その内1点差での勝利が9つ。この辺りの“勝負強さ”が、勝ち点を伸ばせた要因なのかもしれない。2季連続でバイエルンに勝利するなど「バイエルンキラー」としての地位も高まっており、来季も期待したい。

6位には、こちらもまた「ガッカリ枠」のシャルケ。まずスタートダッシュに失敗し、ラストスパートにも失敗。後半戦だけ見ても17試合でたったの14ゴールで、ノーゴールの試合が8試合、アウェイでは1つも勝てなかった。クラブ最多スコアラーのFWチュポ=モティングも、前半戦こそ印象的な活躍を見せたが、ウインターブレイク後はノーゴールと沈黙した。そのチュポ=モティングと入れ替わるように台頭してきたのがMFザネ。シャルケのユースからは、面白いアタッカーがどんどん出てくる。

そして「私選ガッカリ大賞」に輝いたのは、7位のドルトムント。「サイクルの終焉」と言ってしまえばそれまでかもしれないが、DFギンター、FWインモービレ、同ラモスと補強した選手が活躍できなかったことが失意のシーズンを送ることになった主な要因だろうか。そんな中で印象に残った選手は、FWオーバメヤン。1トップに定着し、後半戦で巻き返したチームの原動力を担った。DFBポカールは決勝で敗れたものの、準決勝ではバイエルンに勝っており、やはり実力は間違いない。他クラブのファンからすると、来季も「蜂の巣」に閉じこもっていて欲しいものだが、もう“甘い蜜”を吸わせてはくれるまい。

8位のホッフェンハイムは開幕から無敗を続けるも、徐々に守備の面で危うさを露呈。3失点以上した試合の数は11で、リーグトップだった。それでも失点は昨季の70から55へ大幅に減らしたが、得点数も同様に激減(昨季は72、今季は49)。MFフィルミーノとFWフォラントの2枚看板にはさすがの怖さがあったが、もう1枚そこに絡める選手が欲しかった。

9位のフランクフルトに関しては、「応援するクラブの軌跡」で述べる。

10位のブレーメンは、3季連続で下部リーグのクラブ相手に敗戦を喫していた“鬼門”、DFBポカール1回戦を無事に突破。今季の台風の目になるかと少し期待したが、残念ながら“温帯低気圧”だった。DFBポカールのベスト16では3部のクラブ(ビーレフェルト)にこれまた敗戦。リーグ戦では失点数がワーストタイで、好不調の波があまりにも激しすぎた印象。その中でゼルケ、ディ・サントのFW陣と中盤で孤軍奮闘の活躍をしたMFユヌゾビッチが印象に残った。

ここから下は、残留争いに巻き込まれたクラブ。今季の残留争いにマインツが参加したのは予想外だった。開幕から8戦無敗でこちらも躍進を期待させたが、続く第9節で無敗が途切れると以降は低空飛行。チームとして「しっかり戦える選手」が揃っている中で、最後の決定的な仕事ができる選手はそれほど多くないのだろう。そういう意味では、来季の新戦力である武藤嘉紀に掛かる期待も大きい。

ケルンは「得点力不足」の一言に尽きる。1試合平均の得点数が1で、無得点の試合がなんと15試合。これではGKホーンを中心に13試合でゼロ封を記録した守備陣の奮闘も報われない。ハノーファーも失意のシーズンを過ごしたクラブの1つだろう。前半戦は8位で折り返すも、後半戦に入って急ブレーキ。ウインターブレイク明けから残り2試合を迎えるまで未勝利で、クラブ関係者の誰もが降格を覚悟したはずだ。私も覚悟した。しかし、その2試合を連勝して残留。第33節のアウグスブルク戦でのMFシュティンドルは圧巻だった。

残留への「崖っぷち度」なら、シュツットガルトも負けていなかった。開幕から第12節までで、僅か2勝。リーグ戦で最後尾を走り、DFBポカールでも2部のボーフムを相手に1回戦負け。早々とフェー監督はチームを去り、降格枠の1つはシュツットガルトだと誰もが思ったはずだ。しかし、ラスト3試合で3連勝。このシュツットガルトというチーム、「やればできる子」だったようだ。ただ、“親”の教育が悪かった。すなわち、フェー監督だ。目に付いた選手はFWギンチェク。後半戦だけで7ゴールを挙げ、最終節では残留を争うパーダーボルンとの直接対決で勝ち越し弾を決め、生き残りへ大きく貢献した。いよいよ、この大型FWが1部で暴れ始める時がきた!

前評判が良かったヘルタ・ベルリンも、残留争いに巻き込まれることに。2月にダルダイが指揮を執り始めてからは復調したように見えたが、終盤の7試合は未勝利。しかし、クラブは来季もダルダイに指揮を託すと決めた。これが吉と出るか凶と出るか。気になる。

ここ数季は苦しんでいたHSV。夏には積極的な補強を行い「今季こそは!」と期待大きく出発した。だが、しかし。だが、しかしである。これまで以上に苦しいシーズンを送ることになってしまった。特に、前半戦はチームでたったの9ゴール。酷い。監督交代も3度行った。ヤバい。どんどんと名門初の降格が現実味を増していく中で現れた救世主が、我らの「神様仏様カチャル様」。第31節と第32節に2試合連続で試合終了間際のゴールを記録し、チームを窮地から引きずり上げた。

好選手を揃えながら降格してしまったのがフライブルク。開幕から黒星、引き分けを積み重ね、シーズン初勝利は11月に入ってから。第33節ではバイエルンを相手に勝利し、残留に1歩近づいたように思えたが、あえなく降格。フロントにシュトライヒ監督を切る非情さがあれば…と思ったりもするが、難しかったか。

最下位はパーダーボルンだが、今季の個人的「ビックリ大賞」はこのクラブ。1部経験者は数人で、圧倒的な最下位予想の下でスタートしたが、開幕4試合ではバイエルンを差し置いて首位に立った。結果として降格してしまったが、序盤の独ブンデスリーガにおいて旋風を巻き起こした。


■下位の攻防が熱い、“混乱”のシーズン

文・Fusshalt

長かったシーズンも、6月2日に行われた1860ミュンヘン(2部)とキール(3部)の入れ替え戦をもって、独ブンデスリーガの全日程が終了した。今シーズンは上位よりも下位の攻防が非常に熱いシーズンであったと言う印象が強い。

というのも、上位陣が早々に集団を形成する一方で、中位や下位のグループは混迷の度合いを強めていくという構図に仕上がったからである。

その混乱を創った張本人は、バイエルンの対抗馬候補の一角でありながら、一時は最下位に沈んだボルシア・ドルトムントだった。そして、混乱に乗じて成り上がったのは、若き智将・ヴァインツィールが率いるアウグスブルグと新星・スクリプニク監督への交代を成功させたヴェルダー・ブレーメンではなかっただろうか。

特にアウグスブルクは、「プロヴィンチャ」(地方クラブの意。総じて経営規模が小さい)のチームながらシーズンごとに力を増しており、中位以上は望めるだろうと思っていたが、上位に居るべきチームの混乱に乗じてヨーロッパリーグへのストレートインを掻っ攫(かっさら)うとは想定外だった。

ブレーメンは、アロフス前SD(現ヴォルフスブルク)の遺産を受け継ぎながらアイヒンSD(スポーツディレクター)による新生への過渡期という状況ながら、ドゥットの後任に就いたスクリプニク監督の戦術によって上位を窺えるチームに仕上がった。

この2チームは、来季も非常に期待できる存在になりそうだ。

また、シーズン終盤を沸かせた残留争いが非常に熾烈だったのも、今シーズンの混乱を象徴するものだったと言えるだろう。最終的には最下位での降格となったパーダーボルンにしろ、一番残留が確実と見られていたフライブルクにしろ、昨シーズンであれば残留できたポイント数だった(13-14シーズンの入れ替え戦に回ったHSVが27ポイントであったのに対し、フライブルクは34ポイント、パーダーボルンは31ポイント。13-14シーズンであれば残留できた)が、今シーズンの残留争いの過酷さを物語っている。

DFBポカールは、ビーレフェルトがドリッテリーガ(3部)での勢いを証明するかのように「ジャイアントキリング」を連発して準決勝まで勝ち上がるなど、ドイツのフットボールレベルの上昇を証明していたように思う。一発勝負のDFBポカールだからこそ、リーグ戦ではなし得ない大胆な采配が可能になり、ジャイアントキリングを誘発すると言えるかも知れないが、それは些細なことだ。ジャイアントキリングが可能になるだけの選手のレベルがあればこそ、なのだから。そういう意味でも、想定を上回る面白いシーズンだった。


■おとぎ話は終わりを告げた

文・Holli

「グロテスクなシーズンだった」。これは、最終節で降格が決まったフライブルクのシュトライヒ監督の言葉だ。2014-15シーズンを象徴しているように思う。奇怪で、どこか奇妙なシーズンだった。ヴォルフスブルクは健闘したものの、バイエルンの対抗馬として本命視されていたドルトムントは、最後まで浮上できず、シャルケも混迷を極めた。優勝争いの話題は早々に熱を失い、ヨーロッパへの出場権と残留争いだけが焦点となった。

予算の少ないチームが、トップリーグで生き残るという「おとぎ話」も終わりを告げた。フライブルクと同じく降格したパーダーボルンのブライテンライター監督は、「結局は金の力がゴールを決めた」とコメントした。主観的だが、それでも残留争いを見る限り、真実を含んでいるように思う。残留できたチームはなりふり構わず監督を替え、1人の監督の下でフットボールに一貫性を求めたチームは降格した。

17位で自動降格したフライブルクは14敗、5位でヨーロッパリーグ出場を勝ち取ったアウクスブルクは15敗。順位の差は13、勝ち点にして15である。一方で、4位のレバークーゼンと5位のアウクスブルクの勝ち点差は12。開幕前は下位とそれ以外のチームの格差が広がると予想したが、終わってみると残留争いのグループだけではなく、トップ4とそれ以下のチームの差が広がったことを感じる。

とはいえ、独ブンデスリーガが面白くなかったわけではない。戦術面では多彩なバリエーションを見せたシーズンだった。グアルディオラはもちろんのこと、クロップ(ドルトムント)、シュミット(レバークーゼン)、ファブレ(ボルシアMG)、ヴァインツァール(アウクスブルク)、ギズドル(ホッフェンハイム)、シュトライヒ(フライブルク)、ブライテンライター(パーダーボルン)と、戦術志向の強い新しいタイプの監督が集まり、フットボールの成熟度は深まったように思う。


■継続を結果に繋げたボルシアMG

文・まっつー

今季を総括する時に、まず触れなければならないのはドルトムントの不振だろう。傍から見ていても原因不明の不調は、クロップ監督の退任の要因にもなったことだろう。一方でヴォルフスブルク、ボルシアMGが躍進。前者は豊富な資金を活用して創り上げた強力なスカッドが、見事に噛み合った。後者は強固な守備からカウンターという長く続いているスタイルが、ようやく結果に繋がった。

自動降格の憂き目に遭った下位2クラブは、戦力的には妥当であった。序盤に旋風を起こしたパーダーボルンの降格は残念だったが。入れ替え戦の末に何とか残留したHSVも、非常に期待外れなシーズンを送ったと言える。

DFBポカールは、久々にバイエルンが決勝の舞台にいない大会となった。ドルトムントはクロップのためにと戦い、懸命にタイトルを目指したが、ロマンチックな最後にはならなかった。印象的なシーズンを送っていたヴォルフスブルクにとって「ご褒美」となるタイトルになったと言えるだろう。


■全ての人間の、あらゆる予想を上回った残留争い

文・まるよし

やはり、今季も独ブンデスリーガに優勝争いは存在しなかった。昨季から総勝ち点を10以上も減らしたとはいえ、絶対王者・バイエルンの不動の地位は揺るがなかった。

チャンピオンズリーグへの出場権を獲得した、その他の上位チームも概ね予想された通り。唯一、悪い意味での大きなサプライズとなってしまったのはドルトムントだが、極端にチームのバランスが崩れたわけではなかった。怪我人が復帰し、内容に結果が付いてくるようになると、負のサイクルを脱出。最終的にはヨーロッパリーグ圏内の7位でフィニッシュした。短絡的な判断で監督を替えるクラブが多い近年の独ブンデスリーガの傾向とは反対に、我慢を重ね、正しい判断でクロップ監督をバックアップし続けたドルトムントのフロントは、大いに評価されるべきだ。

良い意味でのサプライズを起こしたのは、アウクスブルク。若い指揮官とともに昇格を果たしてから、右肩上がりに成長を続けきたチームは、昨季の8位を上回り、とうとうトップ5に食い込む大躍進を成し遂げた。しかし、このチームの強みとは一体何なのか。そう問われると、明確に答えるのは難しい。いわゆる「ビッグネーム」の選手を抱えておらず、そもそも財政的にそんな体力があるクラブでもない。上位相手には幾度となくアップセットを起こす一方で、下位との試合では勝ち点の取りこぼしも少なくなかった。来季はヨーロッパでの戦いも控えており、強さの要因に注視できる機会も増えるのではないかと期待している。

中位に目を向けると、昨季から順位を4つ上げた9位のフランクフルト、後半戦の快進撃で終盤までELの出場権争いに絡んだ10位のブレーメン、昇格組ながら12位で終えたケルンは、周囲の期待値以上の結果を残した。

フランクフルトはシャーフ監督の下、攻撃的で魅力あるフットボールをシーズン通して披露してみせた。得点王に輝いたFWマイアーらアタッカー陣が躍動し、派手に点を取り合うスリリングなスタイルで、シャーフ監督は就任1年目から存分にその手腕を発揮した。それだけに、たったの1年でチームを離れることになってしまったのは残念でならない。

対照的に、守備に重きを置いた戦い方で堅実に勝ち点を積み重ねたのはケルン。なんと今シーズン、アウェイだけに限れば総勝ち点は19で、リーグで5位の成績を誇る。これは堅いディフェンスをベースに、自陣へと相手を引き寄せ、ボールを奪ってからは縦に速いカウンターでゴールを陥れるパターンが確立されているため、必然的に相手が前に出てくるアウェイ戦で、より効果的だったと言える。昇格組ながら、年間を通して安定した戦いぶりで、本格的な残留争いに巻き込まれなかったのも見事だ。

そして、今季で最も熾烈だったのが、近年稀に見る大混戦となった残留争いと入れ替え戦。輝かしい歴史を持ちながらも“常連”になりつつあるシュツットガルトとHSV、まさかの低迷となったヘルタ・ベルリンとハノーファー、主力の流出によって戦力が低下したフライブルク、開幕ダッシュに成功するもシーズンが進むにつれて勢いに翳りが見えてきたパーダーボルン。各々、チーム事情と苦戦の要因は異なるが、最終節を迎えた時点で6チームの全てに降格の可能性があったというシュチュエーションからも、各チームに明確な差は無かったのが分かる。

後に行われた入れ替え戦も同様、その僅かな差で、何が明暗を分けたのかは外から見て一言で総括するのは不可能に近い。実際にピッチでプレーした選手、指揮を執った監督ですら、冷静に振り返り、的確な言葉を紡ぎ出すのには苦心していたほどだからだ。

無理もないだろう。時にフットボールでは、極限のシュチュエーションに陥ると、可視化できないモノが、戦術やロジックを凌駕する。全ての人間のあらゆる予想を上回ったのが今シーズンのAbstiegkampf(残留争い)だった。

一方、DFBポカールの醍醐味といえば「ジャイアントキリング」。今大会でも、1回戦・20試合のうち7試合で、ディビジョンが低いクラブが勝利する波乱が起こった。中でも、快進撃を続けて大きなインパクト残したのが3部のビーレフェルトだ。

チームの指揮を執っているのは、2012-2013シーズンまでデュッセルドルフで監督を務めたノルベルト・マイアー。初戦から順に勝ち上がりを振り返ると、ザントハウゼン、ヘルタ、ブレーメン、ボルシアMGと“格上”のクラブに4度も勝利し、ベスト4まで駒を進めた。残念ながら準決勝でヴォルフスブルクに敗れはしたが、それまでは隙の少ない、攻守にバランスの取れた総合力の高いフットボールで、1部のクラブを相手に互角かそれ以上の試合内容を示し勝利を重ねた。選手、サポーターからの信頼も厚く、DFBポカールおよびリーグ戦でも結果を出し、首位で昇格を掴み取ったマイアー監督は、ドイツきっての名将と言っても過言ではない。


ビーレフェルトを率いてDFBポカールに波乱を巻き起こしたマイアー監督


■育成型クラブの降格と一時代を築いた“名優”の引退に寂寥感

文・ゆんゆん

自分で思っている以上に記憶というものは薄れやすく、独ブンデスリーガ14-15シーズンの閉幕から約1カ月が経つ中、いざ振り返ろうとすると、開幕してからの出来事を思い浮かべることが難しいと気付く。大好きなドイツフットボールのことなのに。

しかし今季も、これまでと変わらずシーズンを通して愛するクラブの戦いを追い続けてきたことは確かだ。正直言って、ものを書くということは滅多にないのだが、だからこそ、こうして文字に起こし記録という形にして残せることは、本当に貴重だし嬉しく思う。今は断片化されている記憶を、できるだけ時系列に沿って引き出していきたい。いささか不安だが、思い付く限りのことを精一杯、かつ自由に書かせて頂く。担当するクラブ以外については、知らないことばかりなので、雑感程度とさせて頂く。

さて、リーグ戦の総括に入る。まずは優勝したバイエルン。優勝して当然だろう。それはノルマだ。次に2位のヴォルフスブルク。バイエルンに匹敵する資金力を有しながら、チグハグな補強で思うように機能してこなかったチームに、ヘキング監督が洗練された組織を植え付けた。ついにCL出場権を獲得。これでフォルクスワーゲンも、さらに投資を増やすだろう。

3位のボルシアMGは、もはや古豪ではなく強豪に返り咲いたと言える。ドン底だった当時のチームを再建したファブレ監督の手腕を、高く評価したい。ロイス(現ドルトムント)、ダンテ(現バイエルン)、ノイシュテッター(現シャルケ)らを擁して躍進した11-12シーズンよりも強いチームができたと思う。2季目のMFジャカがゲームメイカーとして本領を発揮し、新守護神のゾマーは期待以上の活躍でテア・シュテーゲンが去ったことを忘れさせるほどだった。ただ、攻撃のキーマンであるFWクルーゼの移籍は気になるところ。来季、ドルミッチがその穴を埋められるか注目したい。

4位のレバークーゼンは、新任のシュミット監督が掲げる攻撃的なフットボールに魅了された。FWソン・フンミン、MFチャルハノール、同ベララビの豪華な2列目は、羨ましい限り。「点は取る。見ていて楽しい。だが、隙だらけ」というイメージだったが、後半戦は戦術が浸透してきたようだ(後半戦の彼らの試合を観てないため、何とも言えないが)。

5位のアウグスブルクは、まさかここまで躍進するとは思わなかった。一時はチャンピオンズリーグの出場権も有り得た。来季のヨーロッパリーグでは、頑張ってグループリーグは勝ち抜いてほしい。

ルール地方の2クラブは低迷した。6位のシャルケは、首脳陣が何に怒ってプッツンしたのか、シーズンの途中でMFボアテングと同サムを解雇。無料で放出した。「中東かよ」とツッコミを入れたくなる。DFフクスにも冷たい対応で、選手に出て行って欲しいのだろうか。もっとも、これが“平常運転”かもしれない。

7位のドルトムントの前半戦の最下位は、誰も予想できなかっただろう。戦力的には当然だが、その後は本来の力を発揮してV字回復。最後はEL圏内に滑り込むのだから、「さすが」といったところ。DFBポカールでも決勝まで進み、シャルケとは違って上向きのままシーズンを終えた。ただ、チームの象徴的存在だったクロップが去ったのはあまりにも大きい。後任のトゥヘルは、どういうチームづくりをしてくるか。

HSV、ハノーファーと北ドイツ勢の低迷ぶりには閉口した。闇が深過ぎる。終盤まで「ボトム2」を形成していたHSVとシュツットガルトは、驚異のラストスパートで奇跡的な残留。「最初からやれ」と言いたい。

フライブルクの降格は悲しい。「育成型クラブ」として、ここ数年でもギンター(現ドルトムント)、バウマン(現ホッフェンハイム)、クルーゼ(来季からヴォルフスブルク)、ゾルク、ギュンター、メーメディ、シュミットら多くの逸材を育て上げた。このクラブには1季で戻ってきて欲しい。

最後に、長く独ブンデスリーガを引っ張ってきたMFロルフェス(レバークーゼン)、同ケール(ドルトムント)の引退にも触れたい。MFフリッツ(ブレーメン)はもう1年続けることになったが、1つの時代が終わったように感じて寂しい。



★独ブンデスリーガの珍景☆

◆整形は計画的に

文・暁空也

今季の開幕前、レバークーゼンに衝撃が走った。プレシーズンのイベントに登場したマスコットの「ブライアン」が、“別人”ならぬ“別獅子”になっていたからだ。

Before


After


Jリーグのクラブのマスコットも、実は整形が少なくない。

例えば、サンフレッチェ広島の「サンチェ」は何度も“バージョンアップ”を繰り返している。



しかし、整形は「可愛くなる」のが前提だ。

実際、どのサンチェが最も愛されやすいかと言えば、やはり“最新版”だろう。

ところが、ブライアンは明らかに劣化した。

愛らしさに一役買っていたフサフサ感が失われ、髪型は怪しいレゲエミュージシャンか良く実ったバナナのようになり、表情は間抜けを通り越して変質者のようだ(言い過ぎ)。

誰もが悪い意味で衝撃を受けたのだろう。

イベントの直後、ファンによる反対運動が活発化。クラブには多くの批判が届いた模様で、ついにはファンミーティングでシャーデCEOが「マスコットのデザインを変更する計画は白紙に戻す。ファンに話す前に変えてしまったのは間違いだった」と謝罪するまでに至った。

結果、開幕戦には旧来のブライアンが登場。ファンは溜飲を下げた。

マスコットの整形は、くれぐれも計画的に!

ちなみに、プレシーズンのイベントに突如として新しいブライアンが登場したのは、昨季までのブライアンが洗濯中だったからという。クラブのスケジュールをきちんと把握せず、洗濯して混乱を招いた馬鹿者は、どこのドイツだ?!

※出典※

Fusshalt氏の「独逸蹴球見聞録」の記事

http://fusshalt.blog.fc2.com/blog-entry-366.html



第2章 チャンピオンズリーグおよびヨーロッパリーグに出場したクラブへの満足度

独ブンデスリーガのクラブは、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグで明暗が分かれた。チャンピオンズリーグでは、出場した4クラブが全て決勝トーナメントに進出。バイエルンはベスト4の一角を占めた。ところが、ヨーロッパリーグではヴォルフスブルクこそベスト8と気を吐いたものの、ボルシアMGが決勝トーナメントの1回戦で姿を消し、マインツは予選で敗退。ボルシアMGは優勝したセビージャに敗れたとはいえ、戦果に乏しかった。もっとも、両コンペティションで獲得したポイントはスペイン、イタリアに次ぐ3位。一定以上の結果は残した。これを成功と位置付けるか、停滞と呼ぶか、失速と危惧するか。執筆者達に尋ねた。








■妥当だが、期待を超えて欲しかった

文・昴

チャンピオンズリーグは、各チームの状況を考えれば妥当な結果ではあった。昨季のレアル・マドリー、今季のバルセロナ。敗れ方は受け入れ難いが、一方で勝つのが厳しい相手であったことは間違いない。ドルトムントを破ったユベントスはファイナリストであり、マドリードの2チームに敗れたシャルケ、レバークーゼンも責めるのは難しい。レバークーゼンは非常に惜しかったと言わざるを得ないが、やはり極めて妥当な成績だと考えている。

ヨーロッパリーグ組に関しては、マインツの予選3回戦での敗退は看過できない。ボルシアMG、ヴォルフスブルクは妥当なラインか。もっとも、ヴォルフスブルクの敗れ方は、やはり受け入れ難いものではあった。

いずれも残した数字は妥当だが、せめて1チームぐらいは期待を超えて欲しかったのもまた本音である。


■最後は何をしたらいいか分からなくなったドルトムント

文・月峰総一朗

チャンピオンズリーグでは、ドイツ勢の4チームが全てベスト16に進出。これは評価できる。しかし、3チームがベスト16で敗れたことは考えなくてはならない。いくら相手がレアル・マドリー、ユベントス、アトレティコ・マドリーだったとしても、だ。

シャルケはレアル・マドリーを相手にベスト16で敗退したが、いわゆる「勇気ある敗退」だった。誇りと名誉を、十分に示すことができたのではないだろうか。レバークーゼンも最後にPKで敗退し、準々決勝進出はならず。ドルトムントはユベントスに敗退。敗退の仕方が良くはなかったし、選手たちも最後の方はピッチで何をしたらいいか分からない状況だった。加えて、クロップ監督の采配にも疑問符が付いた。

ヨーロッパリーグについては、まずマインツは期待外れ。予選3回戦で早くも敗退というのは、いくら監督が代わった難しい中でもいただけない。グループステージへの進出は、最低限クリアしなくてはならなかった。

ボルシアMG、ヴォルフスブルクはグループステージを突破。ボルシアMGはラウンド32で優勝したセビージャに惜しくも敗退。最低限のノルマは達成したと見ている。躍進を果たしたのはヴォルフスブルクで、準々決勝にまで駒を進めたが、ナポリに敗退。ベスト8という結果は、十分に評価できるのではないだろうか。


■最も希望を抱けたレバークーゼン

文・とんとん

欧州カップ戦のグループステージに名を連ねた6チームの全てが、それを突破した。しかし、その内シャルケ、レバークーゼン、ドルトムント、ボルシアMGの4チームが決勝トーナメント1回戦で姿を消している。短期決戦であるカップ戦は、実力差を覆すことも十分に可能であるため、グループステージを突破した後に決勝トーナメントを勝ち上がっていける勝負強さを身に付けてほしい

最も希望を抱けたチームはレバークーゼン。アトレティコ・マドリーとの1stレグでは、昨季のファイナリストに対して臆することなく自らのフットボールを貫き、2ndレグでは相手のペースで進むも、粘り強く戦ってPKに持ち込んだ。


■怪我人さえいなければ、バイエルンはビッグイヤーを掲げていた可能性も

文・なかがわしんや

チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに関しては、独ブンデスリーガのチームを見る機会が全くと言っていいほどなかったため、回顧は割愛する。が、ロマニスタも兼任している立場から一言言わせてもらうと、怪我人さえいなければバイエルンがビッグイヤーを掲げていた可能性も十二分にあっただろう。


■マドリードの両巨頭を追い詰めた戦績が、リーグのレベルアップを証明する

文・Fusshalt

チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場した全チームに言えるが、安定しない戦いぶりだったように感じられる。特にそれは、ELへ出場した3チームに顕著に表れたように思う。マインツに関しては、新監督の就任直後であり、予選3回戦からのスタートということで準備不足を露呈した結果であることを差し引ける。しかし、ヴォルフスブルクとボルシアMGに関しては、共に戦力面では8強以上を十分に望めただけに、国際舞台での経験の無さが、安定感を欠く結果に結び付いたのではないだろうか。

CLにおいては、シャルケ、レバークーゼンがマドリードの両巨頭をあと一歩まで追い詰めるなどの健闘が光ったものの、こちらも安定感には欠ける戦績だった。しかしながら、先に述べた両チーム共に下馬評を覆したその力は、独ブンデスリーガのレベル自体が上がっていっていることを示す何よりの証拠になっており、来季以降にも期待が持てる結果ではなかったかと思う。


■不運だったボルシアMG

文・まっつー

チャンピオンズリーグに参加した4チームは、全てグループリーグを通過し、妥当な結果だった。1つ文句を言わせてもらうならば、レバークーゼンの敗退はもったいなかった。アトレティコ・マドリー戦では1stレグと2ndレグで“別人”のような戦いぶりを披露し、最後はPKで負けてしまった。

ヨーロッパリーグのグループステージに登場した2チームも揃って突破。ボルシアMGは、結果的に優勝したセビージャと早い段階で当たってしまったのが不運だった。ヴォルフスブルクはナポリを相手にホームで大敗するという、やや残念な敗退の仕方となった。来季、両チームにはCLで旋風を巻き起こすことを期待したい。


■ヴォルフスブルクは「ドイツのマンチェスター・シティ」

文・ゆんゆん

まず、チャンピオンズリーグを振り返る。バイエルンは可もなく不可もなく。ベスト4は“普通”だろう。決勝進出を逃したが、怪我人だらけな上に相手がバルセロナでは仕方ない。グアルディオラ監督は責められるべきではないだろう。だが、来季は決勝進出がノルマ。ワールドカップイヤーという言い訳もできない。

ドルトムント、シャルケ、レバークーゼンは合格点。ドルトムントは国内のリーグ戦で危機的な状況にあってもCLで集中を切らさず、グループステージを軽々と突破。シャルケ、レバークーゼンは、それぞれマドリード勢を相手に大接戦を演じた。16強は立派な成績だ。

続いて、ヨーロッパリーグ。ボルシアMGは、ビジャレアルを上回りグループステージを首位で突破。ノックアウトステージでは優勝したセビージャに敗れたが、これは相手が悪かった。こちらも高評価を与えられる。

失望したのはヴォルフスブルク。準々決勝敗退は、彼らの力を考えれば、およそ物足りない。戦力的にナポリより劣っているとは思えなかったし、まして1stレグで勝負がついてしまう程の差は無かったはずだ。欧州でたいした結果を出せないあたり、まさに「ドイツのマンチェスター・シティ」だ。

マインツは予選、しかも3回戦での敗退。論外だろう。



★独ブンデスリーガの珍景☆

◆悲しきビューティフルゴール

文・暁空也

右足から放たれた白球が、鮮やかな放物線を描いてゴールへ向かう。

その優美な姿に、観客は息をのむ。

GKは途中で追うのを止め、茫然と進路を見送る。

白球はゴールエリア内で1度だけバウンドすると、勢い良くネットに飛び込んだ。

直後、大歓声と落胆の溜め息がスタジアムを浸す。

快心の美技を披露した選手は満面の笑みで喜びを爆発させる…のではなく、忌々(いまいま)しげに天を見上げ、両手で顔を覆い、苛立たしく後頭部を何度か掻(か)いた。



第11節、ドルトムント対ボルシアMGで生まれた、ボルシアMGのMFクリストフ・クラマーによる「美し過ぎるオウンゴール」だ。

https://www.youtube.com/watch?v=UtLvmNA5GVM

これが決勝点となり、ドルトムントが1-0でボルシアMGを下した。ドルトムントは、8試合ぶりの勝利。クロップ監督は「今夜の我々には、あのような奇妙なゴールが必要だった。あれがなければ、我々も無得点に終わっていただろう」と述べ、クラマーは「ドルトムントには感謝されているだろうね。あんなオウンゴールを献上した選手は記憶にない」とうなだれた。

第28節、ボルシアMGはドルトムントを3-1で粉砕した。しかし、クラマーはイエローカードの累積で欠場。リベンジの機会を逃した。来季は保有権を持つレバークーゼンに帰還する。「ボルシア・ダービー」の悪夢を、新天地で振り払う。



上編、了。以下、中編へ。

※誤字脱字や事実誤認などがあれば、ご指摘下さい。

※あくまで「ファン」の立場で書いており、全ては個々の感想です。事実誤認は別として、内容に関する苦情は御遠慮下さい。
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