ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・中編
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ファンがつづる独ブンデスリーガ2014-15シーズンレビュー・中編

2015-07-10 22:30

    ※この記事は、以下のアドレスの「上編」の続きです。

    http://ch.nicovideo.jp/football-kyo-no-utage/blomaga/ar827507



    第3章 印象に残ったクラブと選手

    過去と同様、14-15シーズンも鮮烈な印象を残したクラブや選手が少なくない。執筆者達には、記憶を彩ったクラブや選手を挙げてもらった。


    ■成長を実感させたマルビン・ヒッツ

    文・脚魂

    クラブはブレーメン。開幕からなかなか勝てなかったが、最終的にヨーロッパリーグの出場権まであと一歩というところまで追い上げた。

    選手はマルビン・ヒッツ(アウクスブルク)を挙げたい。




    第24節の古巣・ヴォルフスブルク戦では当時11戦無敗のヴォルフスブルクを完封し、第22節のレバークーゼン戦では自らゴールを決める活躍。成長したなぁ(しみじみ)。


    ■「フェーの悪夢」から醒め、シュツットガルトの来季は安泰か

    文・昴

    序盤から注目して観ていたヴォルフスブルク、フランクフルト、レバークーゼンの3クラブは、期待通りのフットボールをしていた。デ・ブルイネ(ヴォルフスブルク)、マイヤー(フランクフルト)、チャルハノール(レバークーゼン)ら、試合を決められる個性が周囲と噛み合っており、魅力的な試合が多いクラブだった。

    序盤で旋風を起こし、沈んでいったパーダーボルンだが、順位を落としていった終盤でもよく走り、テンポの良い崩しを狙うフットボールには好感が持てた。残念ながら1年で2部に戻ることになったが、また力を付けて上がってきて欲しい。

    年明け以降、劇的に息を吹き返したブレーメンや終盤のシュツットガルトも、見どころの多いクラブになっていた。前者はこのまま降格まで低空飛行を続けるのではないかという不安を裏切ってくれた。大きな要因はFWディ・サントの加入。ブレーメンでは久しぶりの、本物のエースストライカーだった。




    フェーの解任までの成績は2勝3分7敗と悪夢の時間を過ごした後者は、それ以後の成績が7勝6分9敗。特に終盤の追い上げは、明らかな復調を実感させてくれた。来年は残留争いにはいないのではないかと思う。


    ■若き日のドルトムントのようだったレバークーゼン

    文・月峰総一朗

    クラブは、レバークーゼン。あのハイプレッシングフットボールは、若き日のドルトムントのようだった。選手も非常に頑張るし、チームとして戦う、独ブンデスリーガらしいクラブだなと好印象を持った。3年前くらいに目をかけていたベララビの活躍は、個人的に嬉しかった。あのフットボールを、今後どこまで続けていくことができるのか。また、あのフットボールゆえの脆さもある。それを来季はどこまで無くしていけるかに注目している。

    選手は、デ・ブルイネ(ヴォルフスブルク)。とにかく印象的だった。



    クリエイティブなプレーでヴォルフスブルクを引っ張っていったし、好不調の波がそこまで無かったのではないだろうか。アシストを量産し、自身のクオリティと価値を存分に示した1年だった。見ていても面白く、どういうパスをだすのだろうかと久々にわくわくする選手だった。


    ■ベテラン揃いゆえに戦術理解力に優れるアウクスブルク

    文・とんとん

    アウクスブルクとケルンが印象に残った。とりわけ、アウクスブルクだ。

    アウクスブルクの躍進のポイントとして、2点を挙げる。1点目はヴァインツィール監督の采配。ヴァインツィールは、対戦相手に応じて柔軟に戦い方を変えることのできる監督だ。

    例えば、ドルトムントやレバークーゼンのようなハイプレスに特徴のあるチームに対しては、ビルドアップの起点をペナルティエリアの白線を踏むほど低く設定。危ない時は裏に放って空転させる。ボルシアMGに対しては、サイドバックを巧みに使ってビルドアップ。守備ではラインを極端に高く設定して2トップに入る前に潰し切っていた。

    2点目として挙げるのは、スカッドの平均年齢の高さ。出場時間の多い11人の平均年齢は28.2歳と非常に高い。戦術理解度が高く、試合の流れを読めるベテラン揃いのスカッドによって、ヴァインツィール監督のゲームプランがきちんと遂行されていたことが、躍進の要因の1つだろう。


    ■チャルハノールは「アーティスト」ならぬ「アーチスト」

    文・なかがわ しんや

    クラブでは、HSV。守備的な選手であるMFカチャルの3試合連続ゴール、最終節の相手・シャルケのゴダゴダ騒動、2部3位との入れ替え戦のアディショナルタイムでの劇的同点ゴール。このクラブの辞書に「降格」の2文字は存在しないのかと思うくらい、何か“持っていた”。さすが名門である。そして名門ならば、そろそろ上位に復帰して欲しい。来季に期待している。

    選手として印象に残ったのはチャルハノール(レバークーゼン)。



    リーグ戦で8ゴールを記録したが、うち6点は直接FKで決めた。どのFKも弧を描いたかのような芸術的なゴールで、彼はもはやアーティストならぬ“アーチスト”だ。


    ■シュトライヒ監督の独特なプレスカンファレンスを早く再び1部で

    文・Fusshalt

    クラブは、文句なくアウクスブルクを挙げたい。資金力、選手層を考えれば中段の上位が精いっぱいと思われる。それを、終盤に失速したとはいえ5位まで導いたヴァインツィール監督の手腕は「素晴らしい」の一言だ。一歩ずつ、試行錯誤を繰り返しながら自身も成長を遂げていっており、戦力さえ整えば、来季も問題なく上位に食い込む活躍をしてくれるだろう。チーム事情に合致したベテランや中堅選手の的確な補強に加え、期限付き移籍で若手の有望株を引っ張ってくる強化部門の手腕も含め、今季も鮮烈な印象を与えてくれた。

    また、フライブルクも非常に印象的なクラブだった。明確かつ揺るぎないコンセプトの下、シュトライヒ監督が率いたクラブは、魅力が溢れていた。毎シーズン、主力を引き抜かれつつも、その都度、前任を上回る選手を発掘するなど、高いスカウティング能力も有しており、総合力が高い。今季は最終節に力尽きて降格となったものの、戦力の流出は最小限で済みそう。シュトライヒ監督の独特なプレスカンファレンスを、再び1部で見る日が早く来ることを祈りたい。

    選手で言うならば、ヴォルフスブルクのMFデ・ブルイネであろう。



    司令塔として休むことなく働き続けた鉄人ぶりと、その正確なパス能力は、ヴァルフスブルクの主柱たる存在へと進化している。特徴と言える特徴を持たない選手だけに、歯車として動くことを厭(いと)わないのは、非常にありがたい存在であろう。まだ若い選手だけに、どこまで成長するのか興味深い存在だ。


    ■群を抜くボルシアMGのフィットネス管理

    文・Holli

    クラブは、ボルシアMGとレバークーゼン。特にボルシアMGは、ここ数シーズンで最高の成績を収め、第三者として見ても楽しく思う試合が多かった。エベール強化責任者の的確な補強とファブレ監督の手腕も注目だが、特筆すべきは怪我人の少なさ。リーグとヨーロッパを戦うという条件は他のトップチームも同じはずだが、フィットネスの維持では群を抜いている。

    レバークーゼンは、シュミット監督のフットボールが思ったよりも早く浸透したことに驚かされた。パーダーボルン時代にチームを初めて昇格争いへと導いた能力は、ザルツブルクを経て、レバークーゼンでさらに進化した。元々チーム戦術の素地があるレバークーゼンを選んだのも正解だったと思う。来期以降がさらに楽しみだ。


    ■賢明なヴァインツィール、近い将来に出世の可能性

    文・まっつー

    印象を残したクラブは、アウクスブルクで異論はないのではないか。有名な選手もいない中、5位へと躍進した。ヴァインツィール監督の手腕は評価されるべきで、近い将来、上位クラブに引き抜かれる可能性がある。シャルケのオファーを断ったのも賢明な判断だろう。しかし、来季はヨーロッパリーグとの「二足の草鞋」を履く。厳しいシーズンになることが予想される。



    ★独ブンデスリーガの珍景☆

    ◆チュポ=モティングの受難

    文・暁空也

    タマげるチン事は、今年2月14日のフランクフルト対シャルケで起きた。

    後半38分、フランクフルトの長谷部はシャルケのチュポ=モティングの突破を食い止めようと手でパンツを引っ張る。

    フットボールの試合では見慣れたホウケ…光景だが、次に勃(お)きたのは股(また)とない展開だった。

    そう、“ご開チン”である。




    カメラマンがタマタマ撮っていたため、騒ぎは広がる。

    マスコミも、ここぞとばかりに長谷部に質問を挿し込んだ。

    ただ、冷静チン着な日本代表のキャプテンは「え?本当?ごめんなさい。でも、フットボールの1対1では誰にでも起こりうること」と回答。事態のチン静化に努めた。

    カメルーン代表を襲った受難。決して、彼をチン○=モティングなどと心無い愛称で呼んではいけない。



    第4章 目を惹いた若手

    独ブンデスリーガの魅力の1つは、若手の躍動だ。10代後半や20代前半の若手を抜擢する監督が多く、ピッチ上にはフレッシュな香りが漂う。やがてワールドクラスへと飛翔しそうな逸材も、毎シーズンのように登場する。執筆者達には、14-15シーズンで目を惹いた23歳以下の“推しメン”を明かしてもらった。


    ■ピッチを切り裂くセルビア産の弾丸

    文・暁空也

    緑のピッチを、弾丸が切り裂いていくようだった。シュツットガルトのMF、フィリップ・コスティッチ。昨年8月9日、オランダ1部のフローニンヘンから600万ユーロ(特定の条件を達成時に100万ユーロのボーナス、さらに次回移籍時に得た違約金の15%を譲渡という大型契約)でやってきたセルビア人は、爆発的なスピード、マーカーをなで斬りにする名刀のようなキレ、激しく寄せられてもブレないパワー、プレイスキックを任されるほどの左足の精度を武器に、独ブンデスリーガで閃光を発した。



    コスティッチは、1992年11月1日生まれの22歳。183cm、83kgの恵まれた体躯は、スピードとパワーを兼備。「東欧のブラジル」と呼ばれた旧ユーゴスラビアの流れを汲むセルビアの出自らしく、抜群のテクニックも持ち合わせている。とりわけ目立つのは、ドリブル時の姿勢の良さ。上半身が真っ直ぐに伸びており、視野を広く保てるため、対面する敵の隙を見逃さない。1対1で重心の逆を取って交わせる、密集地帯をすり抜けられる理由は、そこにある。

    母国では18歳でU-19代表に名を連ねるなど早くから活躍していたが、ヨーロッパで頭角を現したのはオランダでの13-14シーズン。38試合で11得点を挙げ、注目を集めた。

    そして昨夏、シュツットガルトへ移籍。14-15シーズンは29試合に出場し、3得点・6アシストを記録した。チームは辛くも降格を回避するなど低迷したが、コスティッチに対する評価は上々。平均採点は「キッカー」が3.28(54位)、「ビルト」が3.36(83位)で、共に3点台の前半を確保した。

    もちろん、若さゆえにムラがあり、常に“殺傷能力”が高かったわけではない。ただ、経験を重るごとに“命中率”は引き上がる。15-16シーズン、セルビア産の弾丸が名うてのディフェンダーを次々に撃ち倒しても、何ら不思議ではない。

    ※参考動画※

    https://www.youtube.com/watch?v=93TXEAYoylk


    ■クロアチアの将来を担うイェドバイ

    文・昴

    昨季、あるいは今季の序盤から気になっていたのはリュディガー(シュツットガルト)とチャルハノール(レバークーゼン)。






    前者は溢れ出るポテンシャルと頻発する“やらかし”に、若かりし頃のボアテング(バイエルン)を思い出させられた。才能は疑いようがなく、あとは年齢とともに安定してくれば、大化けするのではないかと期待している。移籍の噂が出ており、独ブンデスリーガから“舞台”を変える可能性も。

    後者は、既にキッカーとしては世界で五指に入る名手ではないだろうか。流れの中でもスピードと技術があり、チャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリー戦の1stレグでのゴールは、彼の能力が凝縮したシーンだった。

    23歳以下の条件であれば、デ・ブルイネ(ヴォルフスブルク)やフィルミーノ(ホッフェンハイム、来季から英プレミアリーグのリバプール)も該当する。ブラジル代表に呼ばれ、リバプールへの移籍が決まるなど、文字通りブレイクしたフィルミーノは別として、デ・ブルイネに関しては、ここに置くと少し失礼か。

    同様に、セフェロビッチ(フランクフルト)がまだ23歳であることに驚いた。技術と同時にアイディアを持った選手であり、フランクフルトの攻撃的なフットボールの中核を担った。




    ここまでは23歳というボーダーのギリギリの選手が多いため、もっと若手らしい選手を考える。

    レバークーゼンのイェドバイは、クロアチアの将来を担う若手の1人であり、DFでありながら攻撃に関する貢献度も高く、センターバックとサイドバックをこなす。個人的には、サイドから攻撃に参加するシーンが好みだ。既にレバークーゼンにとって重要な戦力になっている。



    それからブレーメンのゼルケ。ドイツU-19代表での爆発の勢いそのままに、リーグ戦でも活躍した。ディ・サントという柱が前線にできたことも大きく、9ゴールを挙げた。来季はライプツィヒでツヴァイテリーガ(2部)での戦いが待っている。ブレーメンを去るのは残念だが、来年の秋には“教授”の下で躍動する姿に期待したい。




    ■テクニックに優れ、クリエイティブなビッテンコート

    文・月峰総一朗

    ビッテンコートは、ドルトムントではあまり出番を得ることができなかったが、ハノーファーで定位置を掴むことに成功。ブラジル人とドイツ人のハーフで、テクニックに優れ、クリエイティブなプレーが持ち味だ。ドルトムントは彼に対して「買い取りオプション」を行使する気はないようで、このままハノーファーで清武とともに活躍していって欲しい。まだまだ伸び代は十分だ。




    ■堅守ケルンを支えたフォクト

    文・とんとん

    フォクトは、堅守ケルンを支えた194cmの大型ボランチ。パスは長短どちらも非常に精度が高く、カウンター時には自らゴール前に侵入できる走力も持つ。




    ウェンデルは、2014年のトゥーロン国際でブラジルの優勝に貢献し、今季加入したレバークーゼンでは持ち前の攻撃力を発揮。同郷のマルセロを思わせる、テクニックに優れたサイドバックだ。守備では集中を欠くシーンも見られるが、1試合平均のタックル数はリーグ4位の成績を残した。




    HSVのグアイダは、3月のキリンチャレンジカップにチュニジア代表として来日。リーグ戦の出場時間は少なかったが、アジリティとテクニックに秀でた選手で、周囲との連係も良かった。



    その他、ジャカ(ボルシアMG)、レノ(レバークーゼン)、チャルハノール(レバークーゼン)、シュテンデラ(フランクフルト)、ゼルケ(ブレーメン)、エズツナリ(ブレーメン)、ヴィマー(ケルン)、バウムガルトル(シュツットガルト)を挙げておく。


    ■脳裏から離れない、フランクフルトに叩き込んだガイスのFK

    文・なかがわ しんや

    第3章で挙げたチャルハノールの他には、ガイス(マインツ)、イェドバイ(レバークーゼン)、マルコス(HSV)。ガイスは、チャルハノールに劣らずFKの精度が素晴らしい。私が担当するフランクフルトも直接FKを決められ、そのシーンが未だに脳裏から離れない。




    イェドバイの本職はセンターバックだが、レバークーゼンでは主に右のサイドバックで起用された。この19歳のクロアチア人は、元がセンターバックだけに空中戦に強く、東欧出身ゆえに足元も巧い。また積極的なオーバーラップも特徴で、ブレーメン戦でのニアをぶち抜いた初ゴールは、とても印象に残っている。さらに、めっちゃイケメン。女性は要チェックだ。




    マルコスは一時期、HSVの左サイドバックに定着した選手。終盤はリザーブに送り返されてしまったが、1度見たときに目に留まった。守備の部分が改善されれば、トップチームに定着すると思う。長い目で成長を見守りたい。



    1部ではないが、2部のカイザースラウテルンに期限付き移籍で所属していたユネス。


    保有権はボルシアMGが持っており、来季の“職場”はまだどこになるか分からないが、U-21欧州選手権では素晴らしいパフォーマンスを披露した。あのドリブルでの突破を、ぜひとも独ブンデスリーガの舞台でも見たい。


    ■バイエルンの至宝たり得るホイベルク

    文・Fusshalt

    今季も多くの若手がデビューしたが、個人的に強く印象に残っているのはバイエルンのホイベルクだ。




    冬の移籍市場でアウクスブルクへ期限付きで移ったが、短い時間でチームに順応。5位に躍進する原動力の1つになった。豊富な運動量と足元の確かな技術に加え、パンチ力のあるミドルも持っている。荒削りな部分があるのは否めないが、経験を積んでいくことでバイエルンの至宝たり得る人材であろう。


    ■ブレーメン、アウクスブルク、マインツ、レバークーゼンの逸材に注目

    文・Holli

    名前を列挙するならば、ゼルケ、ヴェステルゴーのブレーメン勢と、アウクスブルクのババとホイベルク、マインツのカリウスとガイス、レバークーゼンのレノだ。



    ヴェステルゴー



    ババ



    カリウス



    レノ


    ■エース級の扱いでバイエルンに迎え入れたいデ・ブルイネ

    文・まっつー

    新たに現れたホープというわけでもないが、デ・ブルイネは23歳ながら今季のMVP級の活躍を見せた。



    MVPを優勝したバイエルンの中から選ぶならロッベンだが、彼の離脱期間は長く、大事なシーズン終盤を欠場した。となれば、2位のヴォルフスブルクからだ。この躍進は、デ・ブルイネの活躍が大きかった。特に、再開後の初戦でバイエルンを粉砕することになった彼の活躍は、あまりにセンセーショナルであった。若手というよりエース級の扱いでバイエルンに迎え入れたいものである。


    ■攻守に非凡なケンプフ

    文・まるよし

    オリヴァー・ケンプフは、ドイツ国籍の20歳。左利きのセンターバックだ。



    フランクフルトの下部組織で育ち、今季にフライブルクへ移籍した。ドイツの年代別代表には15歳の頃から名を連ねる逸材で、センターバックとして不可欠な「前への迫力ある強さと高さ」を併せ持ち、際で踏ん張れる集中力の高い危機察知能力や、若手ながらミスの少ない堅実なパフォーマンスも評価され、開幕戦からいきなりスタメンで起用された。

    また攻撃面でも非凡な才能を発揮し、先発出場の11試合で2得点をマーク。現代型のセンターバックらしく足元の技術にも優れており、左足から繰り出される対角線への精度の高いロングフィードでビルドアップにも寄与する。

    今季は怪我の影響で13試合の出場にとどまったが、その才能の片鱗と、トップレベルの中でも十分にやれる実力を示した。




    ★ブンデスリーガの珍景☆

    ◆Hitz!Hits!Gets!

    新たな伝説が、第22節のアウクスブルク対レバークーゼンで生まれた。1-2で迎えたアディショナルタイム。1点を追いかけるアウクスブルクはCKを得ると、GKのヒッツもペナルティエリア内に配置し、ゴールを狙う。

    ゆったりとした助走から放たれたキックは跳ね返されたが、先に拾ってクロスを上げると、ボールはレバークーゼンのロルフェスの身体に当たり、ニアに走り込んでいたヒッツの前にこぼれる。

    難しい体勢だった。ボールのバウンドも、シビアなコントロールが必要だった。しかし、ヒッツは絶妙なジャンプでタイミングを合わせ、身体をコマのように回転させながら右足を振り抜く。

    フィールドプレイヤーばりのジャンピングボレーでボールをゴールネットに突き刺し、チームに勝ち点1をもたらした。

    https://www.youtube.com/watch?v=Rh3C7R39ayc

    GKのゴールは、イェンス・レーマン、フランク・ロスト以来、3人目。「監督を見ると、上がれと指示していた。そうしたら、良いボールが来た」と笑う守護神が、独ブンデスリーガの歴史に名を刻んだ。





    第5章 日本人選手への通知表



    専門メディアが高く評価したのは内田、岡崎、長谷部の3人。他の日本人は、継続性に難があると判断された。酒井宏樹は1対1の勝率では日本人でトップ。ただ、攻守に不用意なプレーが多く、採点は低い



    昨季に比べて良い数字を残したのは、乾、内田、長谷部の3人。岡崎も、得点こそ減少したが、アシストやチャンス創出数、1対1の勝率などは向上した。大幅に下げたのは細貝。怪我もあって出場試合が半減したためだ

    14-15シーズンは、過去最多となる13人の日本人がピッチに立った。ただ、中軸を担い続けた選手がいる一方、怪我や不調などでレギュラーを失った選手、期待されて加入しながら結果を出せなかった選手も少なくなく、人数ほどの影響力は示せなかった。執筆者達も、日本人選手への評価はシビアだ。


    ■すっかり馴染んだ原口

    文・Siebenendenweg

    ヘルタ・ベルリンの担当として、所属する細貝と原口のパフォーマンスに言及したい。


    ※筆者が現地で撮影


    まずは細貝。


    ※独「キッカー」を基に作製

    ルフカイ前監督の「申し子」と言うべき存在で、昨季同様の活躍を誰もが期待したが、厳しいシーズンになった。

    守備面では豊富な運動量と厳しい寄せで相手の攻撃の芽を摘むことができるが、「追い過ぎるがゆえに、逆にチームのバランスを失わせている」という批判もあった。ただ、ルフカイ前監督時には、チーム全体の連動性が失われていた。細貝だけに責任があるわけではない。

    ダルダイ監督に交代してからは、チームとして守備の決め事やバランス感が格段に良くなったが、細貝はちょうどその時期に戦列を離脱。不運だった。

    攻撃面では、データにあるように昨季に比べて出場時間あたりのボールを受けた回数、パスの回数が減っている一方、パスの成功率は12ポイントも低下している。また、楔(くさび)となるような縦パスや前線へ追い越す動きが少なく、チームが守備偏重にならざるを得なかったことを差し引いても、不満足なデキだったのではないだろうか。

    総合的に判断すると、不満足なシーズンに終わってしまったが、ダルダイ監督は細貝の能力を買っている。カールスルーエ(2部)のヤボの獲得も結局は噂の領域を出なかったことからも、来季の復活に期待したい。

    続いて原口。


    ※独「キッカー」を基に作製

    DFBポカールで1得点1アシストを記録し、ファンに大きな衝撃を与えて迎えた開幕戦。アシストを記録し、あわやゴールかというシーンもあった。しかし、終了間際に相手の厳しいチャージで肩を負傷。本当に残念だった。

    すぐに復帰したものの、試合でのインパクトは小さく、調子を上げたMFシュトッカーや同ベン=ハティラにポジションを奪われ、ウインターブレイクは控えとして迎えた。後半戦に入るとベンチ外の試合もあり、苦しい時期を過ごしたが、ダルダイ監督が就任して最初に起用されたシャルケ戦ではリーグ戦での初ゴール。以降、守備でも精力的に動いてボールを追い、攻撃ではボールを運べるドリブラーとして、低迷するチームにリズムをもたらした(これは決めて欲しい」というシーンもあったが…)。

    攻撃の選手として1得点1アシストという結果は、本人にとってもファンにとっても決して満足できる数字ではない。しかし、テレビ画面を通じても明らかにフィジカルの強さが見られてきており、最後の10試合に起用され続けたことで得た自信は、来季へ繋がるはずだ。

    最後に余談だが、9月に練習を見学した際、練習では細貝が通訳を務めて説明する、欲しいタイミングでパスがなかなか出てこないなど、チームにまだ馴染んでいない印象を受けた。


    ※筆者が現地で撮影

    通訳もダルダイ監督の判断で外され心配したが、今ではすっかり馴染んだようで、「DW」のインタビューでもそつなくこなしていたのを見て安心した。


    ※DWのビデオより


    ■乾には、最後の長居で魅せたゴールのようなプレーを

    文・昴

    日本人にとって非常に難しいシーズンだったと感じる。既に盤石の立場を築いていた岡崎を除けば、それぞれに波があり、はっきりと目に見える貢献ができたのは清武と長谷部ぐらいだろうか。前者は降格の危機に瀕したチームを、最終節でのゴールで文字通り救った(彼の波が降格の危機の一因であったことは否定しないが)。長谷部は、どこにいても長谷部である。安定感は流石といったところ。

    今季、期待していたのは乾だ。攻撃色の強いシャーフ監督は、技術のある乾をかなり重用したように思う。しかし、2列目の選手として1得点は圧倒的に結果が足りない。シーズンが進むごとにベンチスタートが増えた。周りではFWマイアーや同セフェロビッチ、MFアイクナーが数字を出している。乾の巧く面白いプレーを沢山見たいが、そのためには数字を残さなければならない。最後の長居スタジアムで魅せたゴールのようなプレーを見せて欲しいと思う。ただ、なんと来季はフェーが戻ってくる。乾には移籍の噂が出ており、状況を見守りたい。

    大迫と原口の若手2人については、それぞれチームの得点が34、36しかないのが全てだろう。攻撃のカードとして補強されながら結果が出ていない以上、来季の奮起に期待したい。


    ■ゲームメイクや身体のキレが向上。香川は来季、必ず復活する

    文・月峰総一朗

    日本人選手は、明暗が分かれた。フランクフルトに移籍した長谷部は中盤に規律をもたらし、クラブにとって必要不可欠な存在になり、大成功の1年だったと思われる。同クラブの乾は前半戦こそ良かったものの、後半戦は低調なデキだった。

    独ブンデスリーガに初挑戦の原口は、だんだん順応してきた。終盤のプレーには、手応えと自信を掴んでいるなと感じた。今後が楽しみなプレーヤーだ。

    清武は前半戦で苦しみ批判を受けたが、最後はクラブの降格回避のために奮戦し、自らのゴールで残留に導いた。厳しいシーズンであったが、得たものは多いはずだ。

    香川はフライブルクを相手に最高の復帰戦を飾ったが、その後は精彩を欠いてしまった。そもそも、香川に対する要求は高過ぎる。だが、それだけできるというメディアの期待の裏返しでもある。終盤はコンディションも上がり、文句なくベストプレーヤーの1人だった。ゲームメイクや身体のキレも向上しており、来季は必ず彼の復活を見ることができるはずだ。


    ■ベストは前輪駆動のバランスを保った長谷部

    文・とんとん

    日本人選手でのベストは長谷部。前輪駆動のフランクフルトにおいて、バランスを保つために中盤を駆け回った。結果的にフランクフルトは62失点で下から3番目だったが、長谷部がいなかったら、さらに悲惨な結果になっていただろう。


    ■清武には来季、10得点・10アシストを求めたい

    文・なかがわ しんや

    内田は、今季初出場となったブレーメン戦でいきなりアシストを決めるなど、出場さえすればさすがのクオリティだった。だが、プレー以前に彼の場合は怪我。しっかりとケアし、来季は1年間に亘り元気な姿を見せて欲しい。

    香川は、かつてのキレが失われた。復帰戦でゴールを決めたものの、その後は以前のようなゴール前での精度が見られず。ただ、終盤には復調の兆しもあり、オーバメヤンとの関係も良好だ。2年前の23番はもう戻ってこないが、新しい23番の爆発をファンは期待している。

    丸岡は、初出場を果たした試合では落ち着いたプレーを披露。持ち味を発揮して来季のポジション争いに名乗りを上げたい。

    長谷部は、攻撃では中盤の底からテンポ良くボールを回してリズムを作り、守備では危険な位置をすぐさま察知し、相手の攻撃の芽を摘み取った。

    乾は監督の交代によって一定の出場機会を得られたが、1ゴールでは攻撃の選手として全く物足りない。今更だが、シュート精度の改善が必須だ。

    岡崎は途中でノーゴールの時期が続いたが、独ブンデスリーガの舞台で2シーズン連続2桁ゴールは立派な数字。ドイツでの経験を糧に、満を持してプレミアリーグに挑戦する。非常に楽しみだ!

    大迫はチームの戦術になかなか馴染めず、ベンチから外れることもあったが、終盤には本来の力を発揮。フロントと監督の期待は絶大だが、それを超える「ハンパない」活躍を来季に見せて欲しい。

    長澤は怪我で出遅れたもの、終盤には大迫と共にレギュラーの座を掴んだ。ケルンで3年目のシーズンは1年を通じた活躍を見たい。

    酒井宏樹は、冬の移籍市場で元ポルトガル代表のペレイラが加入するも、レギュラーの座を譲らず。しかし、相変わらず「ここ一番」でポカをする印象が拭えない。攻撃の面でも彼らしさが見られた試合は少なかったように思う。

    清武はプレイスキックの精度はさすが。5ゴール・5アシストと決して悪いシーズンを送ったわけではないが、来季は最終節のような流れの中からのゴールの増加を目指したい。狙うは10ゴール・10アシスト。彼ならできる!

    酒井高徳は、右サイドバックの座は本職がセンターバックのシュワーブに、左サイドバックの座は右が主戦場であるクラインに奪われ、後半戦は5試合の出場に終わった。クラブも“換金”を考えており、ここらで心機一転、チームを変えるのもアリだろう(注:来季はHSVでプレーする)。

    細貝は監督交代を機に出場機会が激減。練習態度に関して批判の記事も出たが、彼のプロ意識の高さはよく聞くので問題ないだろう。レバークーゼン時代から守備面での能力は認められており、攻撃面でもっとアピールしたい。

    原口は、細貝とは反対にダルダイ監督に代わってから先発に定着。献身的なプレーに加えて、徐々に持ち味であるドリブルでの突破も増えてきたように思う。あとはゴールに直結するプレーをどんどん増やしていきたい。


    ■ダブル酒井は、ハリルホジッチ監督の下で意識改革を

    文・Fusshalt

    攻撃的な選手と守備的な選手で明暗がくっきり分かれたシーズンとなったと言えるだろう。特に攻撃の選手は1部、2部を問わず通用することを示したと思う。

    特に清武は、キャプテンであるMFシュティンドルの不在時にはその穴をよく埋め、多少の波こそあったものの、シーズンを通して活躍した。最終節での彼のダイビングヘッドは、チームを背負う意識が芽生えた発露と思いたい。

    守備の選手に関しては、受難の年であったと同時に、日本の守備に対する育成への疑念も芽生えさせた。細貝は監督交代の影響を最も受け、出場機会を減らすこととなった。両酒井は日本の未来を担うべきサイドバックである。しかし、守備の軽さから出場機会を失うなど、成功したとは言い難い。また攻撃力が売りであるにもかかわらず、攻撃に貢献したかといえば疑問である。日本代表のハリルホジッチ監督の下で、自身の意識改革に成功してほしいと切に願うばかりである。


    ■岡崎以外は目覚ましい印象を残せず

    文・Holli

    岡崎の活躍は素晴らしかったが、それ以外の日本人選手は目覚ましい印象を残せなかった。来期以降の巻き返しに期待したい。


    ■チームに恵まれれば、清武の価値は飛躍的に高まる

    文・まっつー

    今季の日本人で合格点を与えられるのは、2季連続の2桁得点を達成した岡崎とスタメンを守り続けた長谷部くらいだろう。「放蕩息子の帰還」として現地でも大きく取り上げられた香川は、完全な期待外れであった。絶頂期にドルトムントで輝いていた姿はそこになく、怖い存在にはなりえなかった。終盤になってゴールを決めるようにもなったが、どれもワンタッチで決められるような「ごっつぁんゴール」ばかりであった。最終節のブレーメン戦で、僅かながら彼らしいゴールを見ることができたのが救いか。

    清武も、どうにもチームに恵まれていないように感じる。残留争いをするようなチームでなく、ヨーロッパリーグの出場権を争うチームで司令塔を務める才能が、彼にはあると考えている。アウクスブルクやホッフェンハイム、ブレーメンなど安定したチームや攻撃的なチームに移籍すれば、彼の価値を飛躍的に高めることができると思うのだが。

    他の選手は十分な出番を与えられていると思わないので割愛する。


    ■日本人は、確実に計算できる戦力になった

    文・まるよし

    全体的に見ると、「育成枠」に近い扱いの丸岡を除いて、ほとんどの選手がクラブでコンスタントに出場機会を確保した。移籍組の大迫や原口は、前半戦はベンチを温める機会も多かったが、徐々にチームにフィットすると、終盤はレギュラーを奪取。良い形でシーズンを終えた。長谷部に関しては今さら触れるまでもないだろう。

    唯一心配なのが酒井高徳。大敗した第25節のレバークーゼン戦で失点に絡むと指揮官の信頼を失い、その後は出番を得られなかった。

    それでも、シーズンを通して全く試合に絡めない選手はおらず、今や独ブンデスリーガにおける日本人選手は、確実に計算できる戦力として存在感を高めている。



    中編、了。以下、下編へ。

    ※誤字脱字や事実誤認などがあれば、ご指摘下さい。

    ※あくまで「ファン」の立場で書いており、全ては個々の感想です。事実誤認は別として、内容に関する苦情は御遠慮下さい。




    <ひとりごと>

    上編は「リーグ戦の総括」と「チャンピオンズリーグおよびヨーロッパリーグに出場したクラブへの満足度」で、ある意味では“ベタ”なテーマですから、執筆者達の個性の違いは見えづらかったかもしれません。

    しかし中編は、いずれも執筆者達のフットボール観が反映されやすいテーマで、必然的に内容も多彩になりました。徐々に「この執筆者は、こういうフットボール観なのか」と分かってくるはずです。

    すると、今度は執筆者にも興味が向く。「質問にはなかったけれど、あの選手やあのクラブ、あの出来事について聞いてみたい」と思えば、ぜひ直接聞いて下さい。12人は誰でも、優しく答えてくれるはずです。

    独ブンデスリーガのファンの輪を、より広く強く。

    私が、複数人によるプレビューやレビューを企画する理由の1つです。

    執筆者と執筆者、執筆者と読者、読者と読者に新たな接点が生まれ、コミュニケーションが活発化すれば、もっともっと独ブンデスリーガを楽しめるのではないでしょうか。

    ひいては、日本における独ブンデスリーガの人気も高まる。

    現時点では、そこまでの影響力はありません。ただ、いつか特別な価値を創出できればいいなと思っています。

    選手やクラブに取材できる反面、テーマや文字数などに縛られるプロと違い、アマチュアは自由に書けるのですから。それは独自の武器になり得ます。

    何やら「あとがき」のようになってしまいましたが、下編に続きます。
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