13人の愛好家による、どこよりも濃い独ブンデスリーガ2015-16シーズンプレビュー・下編
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13人の愛好家による、どこよりも濃い独ブンデスリーガ2015-16シーズンプレビュー・下編

2015-08-15 21:30
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※上編、中編の続きです。上編と中編のアドレスは、以下の通り。

上編
http://ch.nicovideo.jp/football-kyo-no-utage/blomaga/ar851099

中編
http://ch.nicovideo.jp/football-kyo-no-utage/blomaga/ar852738



第6章 武藤嘉紀の1季目を占う

また1人、“侍”がドイツの地を踏んだ。FC東京からマインツに移籍した武藤嘉紀。卓越したスピードとパワーを併せ持つ、かつてない「ヤパーナー」(独語で日本人)は、どれだけの成績を残せるか。執筆者達が占う。


マインツのハイデルSD(左)とガッチリ握手しながら笑顔を浮かべる武藤


■20試合4得点が“ライン”

文・昴

20試合4得点。このぐらいのラインではないか。岡崎の功績が大きく、チームが日本人に対して良いイメージを持っていそうなのはプラスだ。


■環境に適応すれば、結果は付いてくる

文・月峰総一朗

マインツは岡崎がレスターへ移籍し、入れ替わるように武藤が加入した。武藤は良いスタートを切ったように見える。今年、目の前で武藤を見たが、彼の爆発的なドリブルや力強さ、優れた決定力はドイツでも通用すると思っていたし、それは今も変わっていない。彼はクレバーな一面を持っており、ドイツ語の習得もそこまで時間がかからないだろう。まずは環境に適応すること。そうすれば、結果は付いてくるはずだ。


■水に慣れ、定位置を確保すれば及第点

文・とんとん

マインツ自体が攻撃面で苦しむと予想しているため、武藤が得点を重ねるのは難しいと思う。そのため、今季は独ブンデスリーガの水に慣れ、定位置を確保すれば及第点だろう。

マインツの前線はマリ、ネデレフ、バイスター、デ・ブラシス、クレメンス、ハイロ、ク・ジャチョルなど、程よく人材が揃っている。しかし、絶対的と言えるのは中央のマリだけという印象。ましてや1トップとなるとかなり手薄で、定位置の確保は十分可能であると考える。


■序盤で早めに初ゴールを決められるかがポイント

文・なかがわ しんや

プレシーズンマッチでは1トップとして起用され、連携面にもう少し時間がかかりそうな印象を受けた。しかし、前線からのプレスはとても魅力的で、監督からの評価も高い。マインツの2列目は小柄で技術が高い選手が多いため、そこに上手くハマってくると非常に面白いと思う。

サポーターは、同じ日本人ということで岡崎のような活躍を期待するはず。あそこまでの活躍、数字を1年目から求められとさすがに厳しいが、リーグ戦の序盤で早めに初ゴールを決めて気持ちを楽にできるかがポイントになりそうだ。


■ポテンシャルは十分だが、すぐに活躍できるほど甘いリーグではない

文・Fusshalt

まずは彼がチームの戦術に慣れ、独ブンデスリーガのスピードにも慣れる必要がある。来てすぐに活躍できるほど甘いリーグではないだけに、勝負をシーズンの後半に置き、少しずつ順応させたい。それができれば、結果は付いてくると思う。ただ、マインツの懐事情を考えると、そう甘いことは言っていられないだろう。

個人的には、ポテンシャルは十分に独ブンデスリーガでも通用すると思うが、Jリーグでも半年プレーして、休みもそこそこに渡欧しているだけに、前半戦から活躍するのは無理ではないか。得点は2桁、アシストは5以上を記録できれば、御の字ではないだろうか。


■世界を駆け抜け、大きなインパクトを

文・ふみ

Jリーグで日本人離れした身体能力を存分に発揮していた武藤嘉紀は、ドイツでもブレイクする可能性を大いに秘めているだろう。彼のストロングポイントであるスピードやシュートの際の足の振り幅、オフサイドライン上の駆け引きなどは、欧州の選手にも決して劣らない。身体能力も日本人としては非凡なモノを持っている。

マインツが志向するのは、前線からチャージをかけて相手陣内でボールを奪い、ショートカウンターを狙うフットボールだ。前所属のFC東京の戦い方とも通ずる部分があるのは、間違いなくアドバンテージになるだろう。

献身的に足を動かすことができ、ボールを奪う技術も持っていることは、すでにFC東京で証明済み。「リーグ屈指の走るチーム」、「攻撃的で激しいプレッシングを行うチーム」を目指すシュミット監督自身が「武藤のプレースタイルがマインツにフィットすることを確信」して獲得したのであるから、その点は十分に評価されているはずだ。

定位置を掴むために必要なのは、日本ではなかったフィジカルコンタクトに慣れること、そして新たな戦術への理解をできるだけ早く深めることである。また、彼の飛び出しを生かすために、兄貴分のような存在であるパク・チュホや、同期でのマインツ入団となったダニー・ラッツァ(ボーフム)、ファビアン・フライ(バーゼル/スイス)らロングボールの出し手との関係を上手く築けるかということもカギになってくる。

武藤にとっては幸いなことに、マインツのサイドアタッカーのポジション争いは、昨季からずっと横一線の状況が続いており、誰が起用されてもおかしくない。さらに、今季1トップとして計算されていたパブロ・デ・ブラシスは、テストマッチでの負傷で開幕は微妙な状況だ。シュミット監督は武藤を左のサイドアタッカーとして計算しているようだが、「前線のどのポジションでもプレーできる選手」とも評価している。

プレシーズンのラツィオとのテストマッチでは、センターフォワードでスタメン出場。ロングボールに対する飛び出しや、スピードのあるドリブル、運動量を生かしたプレッシングなどで持ち味を発揮し、マルチプレーヤーぶりを発揮した一方、チームメイトとの連携はまだまだだった。それでも、約70分間に亘り出場してアシストを記録した。徐々に周囲との連携を深め、プレー精度を上げていって欲しいところだ。プレシーズンでのプレーによって、ホーム・コファスアレナでのインゴルシュタットとの開幕戦でのスタメン獲得も現実味を帯びてきている。

移籍初年度からその実力を発揮するためには、良いクラブに恵まれたと言える。シーズン途中にチームの軸である武藤を送り出したFC東京の関係者の総意は、彼が「世界を駆け抜け」て、ビッグな選手になってくれることだ。海外挑戦初年度であるが、大きなインパクトを与える結果を残してくれることを期待したい。


■冷静に考えた末の移籍先で、通用するところを見せる

文・Holli

チェルシーの武藤も見てみたかったが、最終的にはマインツへの移籍となった。自分の能力やキャリアプランを冷静に考えた末の結論だと思うので、独ブンデスリーガでそれなりに通用するところは見せるだろう。


■期待を込めて15得点

文・まっつー

大きな期待を込めて、15ゴールを達成すると予想する。

ドイツで日本人が活躍していると言っても、武藤とはやや毛色が異なる選手が多い。香川や清武は日本人らしい小柄ながらテクニックがあるタイプで、長谷部や内田にしても勤勉で戦術理解度が高いという日本人のまた別の良い側面を体現している選手に見える。

一方で、武藤は身体能力を武器に戦う典型的なアタッカーだ。大学で対戦したことのある私の友人も「身体能力がハンパない」と端的な言葉で彼を評していた。チームのエースだった岡崎は味方の力をゴールに繋げるストライカーだが、武藤は自らゴールを陥れるタイプだ。もし彼が1年目から2桁ゴールを達成できれば、日本の将来は明るい。

そして、移籍を断念したチェルシーとまではいかないものの、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグに出場するチームへの移籍が見えてくるだろう。


■成功確率は75%

文・まるよし

成功する確率は高く、数字で表すと75%と言ったところか。彼のプレースタイルや優れた人間性からは、海外での適応力の高さが十二分に窺える。また、岡崎がマインツを去ってしまい、言葉の壁による出遅れが懸念されたが、チームメイトでありJリーグでのプレー経験があるパク・チュホがコミュニケーション面で大きな助けになっているようだ。

岡崎の移籍に伴い、マインツは多額の移籍金を手にしたが、決して派手な補強は行わなかった。FWに加わったのは武藤のほか、2部のハイデンハイムから獲得したニーダーレヒナーのみ。信頼の表れなのか、開幕前から否が応でも多くの出場機会を得られる環境が用意されている。




第7章 応援するクラブの展望とイチオシの選手

執筆者達が、移籍市場での“収支”なども含めて応援するクラブの新シーズンを展望するとともに、牽引役を期待するイチオシの選手をピックアップする。

なお、執筆者達の応援するクラブは以下の画像の通り。




◆マインツ◆


■試練の刻は輝かしい未来への“ステップ”

文・暁空也

試練の刻(とき)を迎える。マインツは、2季連続で2桁得点を挙げた岡崎、司令塔のガイス、長く主将を務めたノベスキが退団。昨季の中核を失ったチームは、再構築の真っただ中だ。岡崎とガイスの移籍で得た推定2300万ユーロを元手に多くの新戦力を迎え入れるとともに、フランスでのキャンプではハードなトレーニングメニューを消化。補強と鍛錬で強固な“骨格”をつくり直し、新シーズンに臨む。

手薄なポジションを的確に埋める~

補強は迅速かつ的確だった。



岡崎に代わる得点源には、昨季2部で3位の15得点を記録したニーダーレヒナー(24)をケムニッツから獲得。その決定力や186cmの長身に加えて機動力も兼ね備え、サイドでも起点になれる背番号31は、岡崎の後継に相応しい。

ガイスが去った中盤には、スイス代表のファビアン・フライを据えた。キックの精度やバリエーションではガイスに劣るものの、運動量や守備力、流れの中からの得点力などでは上回る。とりわけ、勘所を心得た飛び出しはゴールに直結。DFBポカールの1回戦では早速、絶妙なタイミングでペナルティエリアに侵入し、フリーでパスを受けてスコアシートに名を連ねた。

このポジションでは、ボーフムを支えたラッツァも“新顔”。際立つ武器はないものの、FW以外であればどこでもプレーできるほど器用で、攻守の両面で戦術の幅を広げられる。

昨季は故障者が続出し、ノベスキの退団で頭数も足りなくなったセンターバックには、バログンとセレーノを確保。共にトップリーグでの実績は乏しいが、高さとスピードを併せ持つ。バログンはテストマッチでまずまずのプレーを見せており、DFBポカールの1回戦にも途中出場。戦力として計算できそうだ。

さらに、マインツの攻撃を牽引するサイドアタッカーも充実。昨季はドリブルで勝負するタイプばかりだったが、今季は多士済々だ。HSVからやってきたバイスターはテクニックと得点感覚に優れた技巧派で、チェルシーらとの競合を制して落札した日本代表の新鋭・武藤嘉紀は最前線でも機能する。相手や局面に合わせ、様々な“用兵”が可能になったのは大きい。

移籍市場での立ち回りに定評のあるクリスティアン・ハイデルSD(スポーツディレクター)は、今夏も最善策を講じて弱体化を阻止。マーティン・シュミット監督が納得できる陣容を整えた。

ハードなトレーニングを敢行~

ハイデルSDがリクルートに優れた手腕を発揮する一方で、シュミット監督は選手のフィジカルの向上と戦術の浸透に傾注。高い位置からの連動したプレスでボールを奪い、縦に速く攻め切るスタイルを磨き上げる。

そのために、キャンプでは選手の肉体を徹底的に追い込んだ。


過酷なトレーニングに武藤(左端)も苦悶の表情

3週間で40時間の練習と4回のテストマッチを実施。例年になく、激しい負荷をかけた。シュミット監督は「(体力的に)シーズンに入りやすくするとともに、戦術を浸透させ、プレスを強化するため」と目的を明かす。バログンやベントソン、バウムガルトリンガーらに筋肉系のトラブルが発生したのは誤算だが、独「ビルト」によれば選手は過酷な練習を受け入れ、手応えを感じたという。

実際、収穫は多い。フランスから戻り、地元で開催されたラツィオとのテストマッチは、出足や球際でことごとく優勢。3-0の完勝を収めた。伊セリエAの開幕は独ブンデスリーガの1週間後で、仕上がりに差があったのは事実だが、ショートカウンターで奪った1点目、右サイドからのクロスに合わせた2点目、相手のペナルティエリア付近でパスを細かく繋ぎ、揺さぶって決めた3点目は、いずれもチームの志向が表れており、キャンプの成果を証明した。

より顕著だったのは、DFBポカールの1回戦だ。


コットブス戦のスターティングイレブン

今季初の公式戦を前にシュミット監督は「現状は良いレベルにある。コットブス戦が最終段階。速いテンポのフットボールを仕上げたい」と強調したが、選手は指揮官の意図をピッチに反映。最終ラインを高い位置に構え、全体をコンパクトにして圧力をかけると、その強度に耐えられないコットブスから素早くボールを回収し、中長距離のパスを効果的に使って一気にゴールへ迫る。縦へのスピードは、昨季と比べてかなり上がった印象だ。

先制は、前半30分だった。右サイドを起点に相手を引き付け、今季から10番を背負うマリが中央へ送ると、走り込んだクレメンスは左でフリーになっているフライにパス。フライは、それを直接右足で叩いてゴールの右に決めた。

前半33分の2点目は、“十八番”の速攻から生まれた。自陣のペナルティエリア内でクロスを跳ね返すと、こぼれ球を拾ったハイロが快速を飛ばして突進。パク・チュホとのワンツーでペナルティエリア内に侵入し、GKとの1対1を制した。

後半17分の3点目も、少ない手数でフィニッシュに持ち込んだ。左サイドを攻め上がり、センターサークル付近で受けたマリはダイレクトで3人の間を抜くスルーパス。反応したクレメンスがGKの挙動を冷静に見極めてゴールネットを揺らした。

得点以外でも、随所に速いテンポを披露。突破力に長けたクレメンスとハイロの両翼を嚆矢に、サイドからコットブスを陥落させた。守備から攻撃、攻撃から守備に転じる際の切り替えも鋭く、シュミット監督の薫陶の賜物だろう。就任から半年弱、完全に自身の“カラー”で染め上げた。

当面の課題は、武藤嘉紀をどれだけ早く順応させられるかだろう。2列目のサイドと1トップの両方で試され、ラツィオ戦では先制点をアシストするなど着々と評価を高めたが、8月1日のロザラム・ユナイテッド(英2部)戦での負傷もあり、コットブス戦はベンチスタート。後半25分から出場し、限られた時間で結果を残そうと縦横無尽に動いてパスを求めたが、チームには3-0のセーフティリードを守り抜こうという意識が強く、何度となく“無駄走り”に終わっては悔しそうな表情を浮かべた。唯一、終了間際に決定的なシュートチャンスが訪れたが、力んだのかボールはゴールの上。武藤は「決めるところで決めないといけない」と反省した。

これまでの日本人とは一線を画す、世界水準のスピードとパワーに恵まれた俊英は、なお本領を発揮できていない。シュミット監督も、コットブス戦の後に「(フィットするまで)2~3試合はかかると思う」と語った。インゴルシュタットとのリーグ開幕戦、武藤がスターティングイレブンの座を射止められるかは微妙な情勢だ。

異国の“水”に慣れるまでは時間がかかる。昨季、原口元気も苦しんだ。武藤の才能は、ハイデルSDやシュミット監督、選手達の誰もが認める。マインツが7季連続の残留を速やかに達成するためにも、その開花は喫緊のタスクだ。


武藤が順応すれば、チームのレベルは一段上がる

~スポーツマーケティング会社と契約~

マインツは8月7日、今季から2025-26シーズンまでのマーケティングについて、Infront Sports & Media(以下、Infront)と契約を結んだ。


Infront GermanyのヴァインベルガーCEO(左)とマインツのシュトルツ会長

マインツはシャツスポンサー、スタジアムのネーミングライツや広告などの契約で、Infrontから包括的なサポートを受ける。独メディアの報道によれば、マインツは1年間に2500万ユーロ、10年間で2億6000万ユーロの増収が見込めるという。マインツの1年あたりの人件費は、約2500万ユーロ。それを10年間に亘り丸ごとまかなえる額だ。未来には、明るい光が射し込む。

複数の主力を失ったが、希望の種は力強く芽吹き始めた。武藤は、エルゴラッソの取材に「マインツのエースになりたい」と野心をあらわにする。チームと財政基盤が強固さを増す中、彼が有言実行を果たせば、昨季の12位から中位以上への“ジャンプアップ”も十分に狙えそうだ。



◆ヴォルフスブルク◆


■もう優勝しか見えない

文・脚魂

ヴォルフスブルクは昨季、リーグ2位。DFBポカールも獲った。もう、優勝しか見えない。加えて王者バイエルンも万全ではない。

ただ、優勝するためにはデ・ブルイネの存在は欠かせない。



現時点(8月5日)ではマンチェスター・シティがデ・ブルイネを獲得するために高額の移籍金を用意しており、夏の移籍市場が終わるまでは予断を許さない。

また、レギュラーに定着したギラボギを除いて不甲斐なかった昨シーズンの新加入組。その中でも今季はシュールレに期待したい。




◆ヘルタ・ベルリン◆



■船長は船にGPSを搭載し、船員を鍛錬し、安定した航海へと挑む

文・Siebenendenweg

ヘルタ・ベルリンの昨季は、先日のレビューで述べたように、混迷を極めた。ファンとしては、今季こそは残留争いから早々に離脱し、残留を決めてもらいたいところだが、恐らくヘルタの前に立ちはだかるのは“荒れ果てた海”だ。船長はどのように舵を取り、最終的にどの港に辿り着くだろうか。

まず、退団、補強の状況を整理する。退団したのは、ハイティンハ、ブルヒャート(ローン)、ヌジェンク、ニーマイヤーの4人。ここに構想外のヴァグナーを加えても、いずれもバックアップメンバーであり、船を支える屋台骨ではない。

一方で補強は、ローンバックのアラギを除くと、ヘルタは補強に回す資金が豊富ではないが、フライブルクから運動量が豊富なダリダ、バイエルンからスピードがありテクニカルなヴァイザーを補強することに成功した。

ダリダは1試合で約13キロも走る豊富な運動量を持ち、ヘルタの問題点だった中盤の攻撃力をアップさせることは間違いない。実際、キャンプでダルダイ監督の評価も高く、信頼を一気に掴み、鍵となる選手の1人だ。

ヴァイザーは現在負傷のため離脱しているが、右SBとしても中盤のサイドでも起用でき、ダルダイ監督が望むスピーディーな攻撃に合った選手である。

他チームの補強と比較すれば、大々的な補強はなく必要最低限にとどまった感は否めない。しかし、移籍市場で買い物をする資金がないと嘆いたところで何も事態は変わらない。

そこで、ダルダイ監督は育成部門の選手をトップチームの練習に参加させ、オーストリア合宿にはミッテルシュテッテ(左MF)、コールス(ボランチ)、カウター(センターバック、右SB)の3選手を帯同させた。特にミッテルシュテッテは昨季もトップチームでベンチ入りするなど注目を集めている。

ダルダイ監督に言わせれば、こうした育成部門からのタレントは「ヘルタの未来」である。このコメントからも、監督は恐らく中長期的な観点から若手を試合で起用し、成長させようという思惑はあるだろう。今一つ、ヘルタでは次のステップに進み切れていないシュルツも含め、これらの若手が成長すれば面白い存在にはなるはずだ。

しかし、現実的にはチームが早々に残留争いから抜けることが望ましい状況だろう。経験がないタレント達に、過酷な残留争いで何かを望むのは高望みだ。

次に、チームの仕上がりはどうか。ダルダイ監督は昨季途中の就任時、チームのフィジカル面に不満だった。そこで今季、彼は以前ヘルタでアスレチックトレーナーを務めていたクフノ氏をシャルケから連れ戻してきた。また、4万ユーロを投資し、GPSによる選手の走行データを収集・分析する装置一式を導入。このGPS装置で故障しないぎりぎりの負荷をかけ、クフノ氏が作成する「クフノツアー」とも呼ばれる過酷なフィジカルトレーニングによって、選手のフィジカル面を徹底的に鍛え上げた。

戦術面は昨季同様、守備のブロックを構築し、素早い攻撃を狙う。守備面は昨季がベースとなり、チームが連動してプレスをかける形はできている。あとは、ブロックの位置を昨季からどれだけ上げられるかだ。開幕前のテストマッチを見る限り、守備面に関しては怪我人さえ出なければ不安はない。

攻撃面では、ダルダイ監督がオーストリアキャンプでボールの支配率を上げること、素早いパス回しを選手に求めた。昨季のヘルタはパスの成功率が低く、攻撃の形も今一つ見えなかったが、テストマッチでは改善されつつあるのは見えた。しかし、チャンスは創れても得点するという最後の部分はまだまだ。ダルダイ監督は「フットボールの35%は運でできている」、「(プレーするのは選手であり)自分は魔法使いではない」とコメントし、デキに不満なカルーに個人練習をさせるなど手を尽くしている。

その一方で、「生粋のストライカーがいない」ともコメントしており、得点力という点でアラギやシーバーが復帰するまで苦しむ可能性はある。

恐らく、現時点での基本布陣は図の通りになるだろう。



以下、各ポジションを見ていく。

GKは今季もクラフトが務める。ヤルシュタインはクラフトを脅かす存在にはなり切れていない。

守備陣は、昨季と陣容は同じ。基本は右からペカリーク、ラングカンプ、ブルックス、プラッテンハルトとなる。特にラングカンプは守備を引き締める意味で欠かせない存在だ。彼とコンビを組むのはブルックスだが、ルステンベルガーの可能性もある。ハイティンハが退団したため、怪我人や出場停止者が複数出ると、センターバックは厳しくなりそう。左はプラッテンハルト。今年はもう少しオーバーラップからクロスを上げる回数を増やしたい。

中盤は、守備的MFをルステンベルガーとシェルブレが争う。セントラルMFは新加入のダリダで決まり。怪我から復帰したチゲルチも虎視眈々とチャンスを狙う。右サイドはダルダイ監督の信頼が高いベーレンスが恐らく務めることになる。ゲームメーカーは、現時点ではヘゲラーが優位に立っているようだ。これに伴い、シュトッカーが左に回ることになりそう。バウムヨハンはアクセントを付けられる選手だが、2度の靱帯断裂から復帰したばかりで、監督もコンディションを気にしている。左サイドはセンターから回ったシュトッカーが1番手か。これを原口、シュルツが追う。

トップは怪我人が出ており、カルーしか登録上はいないが、キャンプでは原口やシュルツも試された。

なお、ヘルタの日本人についてだが、まず細貝は残念ながら踵(かかと)の炎症で再び離脱することとなり、現状ではボランチの4番手と厳しい立場にある。ファンとしては、ヘルタでの1年目の活躍をもう一度見たいところだ。原口は昨季の終盤に出番を得て、監督の期待に応えた。テストマッチでは、右に左にセンターにと色々なポジションで使われている。監督は浦和時代に得点を量産していたビデオを見たそうで、得点力がチームの課題であるため、期待している。現状はジョーカーとして使われそうだが、スタメンで出る能力はある。チャンスを生かし、ポジションを奪いたいところだ。

最後に、ヘルタは今季も難しい航海が予想されるが、浮上するポテンシャルはある。ファンとしては厳しい嵐もあるだろうが、チームの成長を楽しみながらシーズンを送りたいと思う。


ヘルタのクラブ名は、この船に由来している


■ドイツに帰還したクラニィの円熟の技

文・昴

応援するクラブはないが、今季最も見たいのはホッフェンハイムのクラニィだ。



待望のドイツ帰還が決まった。高さと技術を備えた代表クラスのストライカーも、もうベテランの域。円熟味のあるプレーに、ぜひ注目して欲しい。


◆ドルトムント◆


■前半戦における8つのポイント

文・月峰総一朗

ユルゲン・クロップ監督が築き上げた偉大な時代に別れを告げ、トーマス・トゥヘル監督の新しい時代への航海が始まったドルトムント。ドルトムントを観る上で、前半戦に注目して欲しい8つのポイントを紹介する。新たなシーズンを楽しむ上で、参考にしてもらえれば幸いである。

①センターFW



「ドルトムントの誤解の終わり」と酷評されたインモービレが移籍。このポジションには昨シーズン大車輪の活躍でチームを救ったオーバメヤン、怪我明けのラモス、長期離脱中のドゥクシュの3選手しか存在しない。オーバメヤンは計算できるとして、ドゥクシュは現時点で計算外、そしてある程度これまでブンデスリーガで実績を積んできたラモスについては未知数な面が多い。

移籍1年目は不本意な結果に終わったラモスだが、トゥヘル監督の就任は彼にとって追い風である。なぜなら、マインツ時代にトゥヘル監督は彼を高く評価しており、獲得間近だった。当時、トゥヘル監督とラモスの話し合いはかなりポジティブに進んでいたのだが、結果的にクラブ間の交渉で破談。監督の気が変わっていなければ、ラモスにもチャンスを与えるはずで、彼はそのチャンスを生かさなくてはならない。

このプレシーズンでは「偽9番」システムを度々採用し、そのポジションにはロイスやホフマン、カンプルなどを起用。偽9番のポジションの選手が効果的にスペースを空け、そこに香川やギュンドアン、カストロを飛び込ませるという戦術だ。一定の効果はあったものの「センターFWは不十分」とトゥヘル監督は現状への不満を口にした。

ツォルクSDは「マーケットは注視している」とコメントし、「移籍終了」と明言せずにいるが、恐らく新しいストライカーの補強はないだろう。オーバメヤンと偽9番(おそらくロイスがファーストチョイス)を併用する形が予想される。果たして今季の前半戦、この形でゴールを奪うことができるのか。攻撃は機能するのか。非常に興味深いポイントであり、チームの浮沈に関わる重要な問題である。

②「8番」のポジション争い



トゥヘル監督はプレシーズン中、幾つかのシステムを試したが、恐らく4-1-4-1の布陣を基本にするだろう。そして、この布陣において中央の攻撃的MF(8番のポジション)の枠が2つに対し、控えている選手は5人。気を抜けない熾烈な競争が、選手には待ち構えている。怪我で出遅れ、序盤は難しいキルヒを除き、カストロ、香川、ギュンドアン、ムヒタリアンの4人は好調。新加入のカストロも、徐々にチームに適応してきている状況だ。

プレシーズンは「ムヒタリアン+ギュンドアン」、「香川+カストロ」という組み合わせで戦ったトゥヘル監督。クロップ監督はムヒタリアンをサイドで起用したが、トゥヘル監督は再び彼のポジションを中央に戻した。そして、ムヒタリアンも好調をキープ。彼の技術、優れたパスなどは非常に魅力的である。

ここまでのパフォーマンスは、ギュンドアンとムヒタリアンが一歩だけリード。香川はプレシーズンの後半で少しインパクトを欠いたが、全体的には良い準備をして臨んだという印象を抱いた。香川のスペースを突く動き、献身的な労働者としての一面を、トゥヘル監督は「エクストラ・クオリティー」と評価しており、監督の印象はすこぶる良い。

当初はギュンドアンの後継者として加入したカストロ。彼はピッチ上では優れた戦略家で、クレバーなプレーを随所で見せていた。守備面でも貢献できる。ギュンドアンが残留したことは想定外だったかも知れないが、彼はこの争いに真っ向から挑むつもりである。

8番は、タイプの異なる4選手が争っている。どの組み合わせで起用するべきなのか。トゥヘル監督にとっては贅沢な悩みである。申し分ないクオリティーを備えた選手が揃っており、彼らがピッチ上でどのような絵を描くのか楽しみである。

③2人の「ロマン」



守護神争いは、未だ決着がついていない。ヨーロッパリーグの予選3回戦では、1stレグをビュルキ、2ndレグをヴァイデンフェラーが担当。プレシーズンにおいてもほぼ平等の扱いで、トゥヘル監督としては決めかねている。昨季のランゲラクのように、どちらかをカップ戦専門するのか。それとも基本的に守護神を代えるつもりはないのか。開幕まで、その姿は見えてこないだろう。

トゥヘル監督もどちらを守護神に据えるのか迷いがあるようで「いつ最終決定を下すのか私にもまだ分からない。その決断をする以前に非常に強いリスペクトを抱いている」と2人のロマンを賞賛している。

監督の目指すスタイルならば、ビュルキが起用されるだろう。彼は足元でのボールの扱いに長けており、ビルドアップからチームに貢献することが可能だ。ヴァイデンフェラーはチームのリーダーの1人で、最後方から守備陣に喝を入れ、チームに対して敢えて厳しいことも言うキャラクターを備えている。ミスが許されない緊迫したポジション争いを繰り広げているが、2人の関係はプロフェッショナルであるということは強調しておきたい。

④ポゼッション・ゲーム

多くの選手が口にしたのは「トゥヘル監督はポゼッションを大事にする」ということと「正確なパスを要求する」ということである。必然的にドルトムントはボールを保持する形が多いが、昨シーズンはアイディア不足で攻撃が機能せず、不用意なカウンターを受けて沈むというシーンが何度もあった。プレシーズンを見ている限り、トゥヘル監督はクロップの遺産を1度正しく「整理」したと言ってもいいだろう。

ピッチ上に無数の三角形をつくり、サイドバックを上げさせることで幅も同時に生み出した。各選手の距離感も最適な形となっており、キャンプの最後のユベントス戦では良い攻撃と良い守備を披露した。しかしEL3回戦のヴォルフスブルガー戦ではピッチの悪さも災いしたが、まだ目指すフットボールの完成には遠い印象も受けた。

トゥヘル監督の目指す方向は間違ってはおらず、カウンターとポゼッションの“二刀流”ができなくては、ドルトムントが再び飛躍することは不可能だ。まず「整理」は完了したが、ここからどう自らのエッセンスを取り入れていくのか、トゥヘル監督の手腕が問われる。

⑤トゥヘル監督のアプローチ



何か事故でも起きない限り、ドルトムントはELの本戦に出場できるだろう。加えて、DFBポカール、リーグ戦を含めるとシーズンの前半戦で30試合近くをこなす計算になる。当然週2試合という過密日程、さらに各国の代表戦も控えている中で、選手のコンディションとモチベーションをいかに維持していくかが重要なタスクとなる。相手や状況に応じて戦い方を変化させるトゥヘル監督は、当然ローテーションを採用していくと予想されている。「豊富な選手を高いレベルで起用していきたい。ウインターブレイクまでに30人程度の選手を起用するつもりだ」と述べた。

個人的には、試合に出場できない選手達のモチベーションの管理が重要になってくると考えている。印象的なエピソードとして、EL予選3回戦のヴォルフスベルガー戦でトゥヘル監督は、控え選手に戦い方を説明した上で「この試合は残り30分からが勝負になる。そこで活躍してくれ」と気を配ったと香川が明かしている。トゥヘル監督の控え選手に対するアプローチの方法が、よく分かる。

選手に対して細心の注意を払っているトゥヘル監督。ムヒタリアン、フンメルス、ギュンドアンはトゥヘル監督の説得で残留を決断。さらにエースのオーバメヤンが2020年まで契約を延長し、先日はロイスも残留を明言した。クロップ監督がクラブを去った上、チャンピオンズリーグに出場できないにも関わらず、主力の全員が残留。これはトゥヘル監督の人心掌握術の賜物である。

しかし、態度の悪いインモービレを無視(トゥヘルは1度、彼にチャンスを与えるつもりだった)したり、契約延長交渉が進まないグロスクロイツの言動をたしなめたり、チームの調和を乱す選手や自身に反抗する選手に関しては厳しい態度で臨んでいる。

コンディションの調整も、新たな取り組みを加えた。選手達のあらゆるステップを分析するため、グラウンドから5メートルの高さに特別なカメラを設置。練習中は選手の運動距離をGPSで管理し、その数値をコンディションの調整に役立てる試みも初練習で始めた。目下、新たなアスレチックトレーナーのライナー・シュレイ氏が選手のコンディションに対して目を光らせている状況だ。

食事も、栄養価が考えられたユースと同じ食事を摂ることを義務付けた。食事制限のようで厳しい印象を受けたが、「気にならないよ、メディアが誇張しすぎなのさ。肉、魚、野菜、米、じゃがいも、デザートが出てくるんだ。かなり普通に聴こえないかい」とオーバメヤンは軽快に答え、選手達は過敏には反応していないように映る。

自らのアイディアやテクノロジーをチームに実装させ、選手達には細心の注意を払う。トレーニング中の指摘は細かく、何か気になればすぐにプレーを止めさせる。しかし、受け答えは常に明瞭で、自身の指摘通りに上手くいけば「いいね!」と称賛する。チームにとって何がベストであるか試行錯誤している状態ではあるが、一定の手応えを掴んだはずだ。

仮にシーズン序盤で結果が出なければ、クロップ監督の後継者として厳しい批判を浴びることは明白だ。そして、我々が彼の仕事に対して短期的な結果のみで評価を下すのは簡単だが、最も重要なのはチームにおける長期的なプランと展望が存在するかどうかである。

事実として主力の選手達は彼のプランに賛同し、CLに出場できないにもかかわらず、残留を決断した。トゥヘル監督の様々なアプローチは興味深く、シーズン前半で注目すべきテーマだ。

⑥イルカイ・ギュンドアン



「契約延長はしない」と昨シーズンの終わりに明言したギュンドアンだったが、1年契約を延長しドルトムントに残留。自身が相手クラブに主導権を握って移籍したいギュンドアンと、より高い金額で彼を売却したいドルトムントの思惑が一致した上での契約延長であるが、そこに「真実の愛」は存在しない。

ギュンドアンの移籍を想定し、クラブはすぐにレバークーゼンからカストロを獲得。それにもかかわらず残留し、当然ファンはクラブに忠誠心のないギュンドアンに厳しいブーイングを浴びせた。ギュンドアンはその行為に対し理解を示した上で、再び良いパフォーマンスを披露し、ファンの気持ちを取り戻そうとしている。

プレシーズンでは一貫して好調をキープ。ここまで良く準備してきたという印象を受けた。身体のキレは確実に取り戻しつつあり、怪我さえなければ周囲を納得させるプレーを披露するはずだ。現段階で彼は8番のポジション争いにおいて一歩だけリードしているように見える。

ギュンドアンが残留を決断した理由にトゥヘル監督の存在があり、両者の関係はかなり良好のようだ。そして驚くことに彼は「さらなる契約延長も可能だ」と述べ、今シーズン次第では一転してクラブと長期契約を結ぶことを示唆している。一度クラブへの忠誠心を放棄したギュンドアンが、再び忠誠を誓うことになれば、恐らくドルトムントに関わる全ての人々がハッピーになるだろう。

⑦ケビン・グロスクロイツ



この生粋のドルトムンターが残留するのか、それとも移籍するのかが連日紙面を賑わせた。複数のポジションをこなす戦術的柔軟性、そしてチームのためにハードワークする姿勢。これこそがグロスクロイツの最大の武器で、トゥヘル監督には「自分はどこのポジションでもやります」と述べたが、これは典型的なグロスクロイツらしいセリフである。

生まれ育ったドルトムントに絶対的な忠誠を誓うグロスクロイツだが、一方でトラブルメーカーな一面も持っている。自身の契約延長について一部の発言がメディアによって誇張され世に出回り、彼自身がそれを否定するという一幕もあった。

もちろん契約延長交渉が進まないことに対する苛立ちも理解できるが、昨シーズンは怪我で満足なパフォーマンスを示すことができなかったことも認めなくてはならない。「我慢が必要」とトゥヘル監督はそう言及したが、まさしくその通り。まずはコンディションを上げていくことが求められている。

今シーズンが契約最終年。もちろん愛するドルトムントに残留したいと願っているが、フロントは彼と契約延長を結ぶのか不透明であり、契約延長の主導権はクラブ側が握っている。グロスクロイツ自身は「仮に移籍するとしても、分別を持った出方をしたい」と言及したが、仮にこのまま雰囲気の悪い形、最悪のケースとしてこれまでの功労者に対して半ば追い出す方向で移籍させてしまった場合、南スタンドの住人達が黙ってはいないだろう。

グロスクロイツが自らの価値を証明できれば、契約延長を勝ち取ることは十分に可能だ。論理的に考えれば、現段階でスカッドの中に彼が割って入るのは難しい。だが、そう割り切ることは少なくとも彼を愛する私には難しい。そして感情的に考えれば「南スタンド代表」のドルトムンターには、まだまだ暴れ回って欲しいとファンの誰もが願っているし、ファンというものは感情的な生き物である。彼はシーズン前半戦においてクレバーな立ち振る舞いをしなくてはならない。

⑧ユリアン・ヴァイグル



ひょろっとした19歳の若者は、年相応のあどけない笑顔を見せる。だがトゥヘル監督には「彼と一緒に仕事をするのは楽しい」と言わせ、ギュンドアンからは「ダイヤの原石」と高く評価されている。ユリアン・ヴァイグルはこのプレシーズンにおける最大の勝者で、私からは彼を注目選手として推薦する。

当初は名前もほとんど知られておらず、ましてやどのようなプレーをするのかも不明。そして年齢は19歳。誰もが将来に対する投資の一人で、まずはセカンドチームでのプレーだと考えていたが、その予想は良い意味で大きく裏切られることになった。

ボール扱いにおける技術の高さ、広い視野と高いパスセンスは19歳の域を遥かに超えている。試合中は何度も首を振り、相手と味方のポジションを確認し、自身のポジションを修正していく判断の良さ。彼がピッチに入るとビルドアップが容易になる。瞬く間に同じポジションで「先輩」のスヴェン・ベンダーとの定位置争いに名乗りを上げた。

ウィークポイントを挙げるならば、ひょろっとした体型(186cm,71kg)をまだまだ鍛え上げなくてはならない。ヴァイグル自身も筋力アップに関してかなり力を入れているようで、この欠点が克服できれば将来のドルトムントを背負って立つ選手になるほどの素質を持っている。それは、この1カ月で示した。

獲得するために投じた違約金はたったの250万ユーロ。これは彼の才能を考えればバーゲンセールで、将来その価値は10倍に膨れ上がるはずだ。ドルトムントはこのダイヤの原石を必ず完璧な形に磨き上げなくてはならない。そしてしばらくの間、ファンである我々だけで彼の成長を楽しむことにしよう(笑)。


◆ボルシアMG◆


■3つの補強ポイントと嘱望される19歳の背番号8

文・とんとん

まずは、今夏の主な選手の出入りから。

「OUT」

クルーゼ→ヴォルフスブルク(1200万ユーロ)

クラマー→レバークーゼン(期限付き移籍の満了)

ユネス→アヤックス(250万ユーロ)

「IN」

ドルミッチ←レバークーゼン(1000万ユーロ)

エルヴェディ←チューリヒ(400万ユーロ)

シュティンドル←ハノーファー(300万ユーロ)

クリステンセン←チェルシー(期限付き移籍)

ジッペル←カイザースラウテルン(フリー)


今夏の補強のポイントは3つだ。

1つ目は、若手CBの獲得。現在のCBはシュトランツル(35歳)、ブラウヴェルス(33歳)ら、いつ衰えが来てもおかしくない年齢の選手が多い。そのため、丁寧に組み立てられるエルヴェディとクリステンセンの獲得は悪くないと言える。しかし即戦力かと言われると微妙であり、噂されたター(レバークーゼンへ)、ムベンバ(ニューカッスルへ)、ギンター(ドルトムント)と比べると、いささか見劣りする。

2つ目は、レバークーゼンに戻ったクラマーの後釜の確保だ。すでに、ハノーファーからシュティンドルを獲得。彼の実力からすれば300万ユーロは破格で、値段的には成功と言える。しかし適職であるトップ下で起用した方が彼の良さは生きるだろう。そういった意味では、昨季リーグ戦1分間の出場に終わった19歳のダフードに期待している。



彼は球離れのタイミングが良く、チームにリズムを与えられる選手で、守備でも気の利いたカバーリングができる。背番号8を与えられたことからも期待の高さが窺える。ぜひ注目して欲しい選手だ。

3つ目は、クルーゼの代役。非常に広範囲でボールを引き出せるクルーゼの後任は、最も頭を抱える問題だ。期待していたのはクルーゼと同じフライブルクで、パスフットボールを標榜するシュトライヒ監督に教えを受けたメーメディだった。しかしレバークーゼン行きが決まると、入れ替わるように同チームで出場機会に恵まれなかったドルミッチの加入も決まった。この点はレバークーゼンに上手く立ち回られた印象だ。

ユネスの放出に関しても触れておく。切れ味鋭いドリブル突破でチャンスをつくり出すことのできる彼の放出は、現地のファンの間でも賛否両論あるようだ。しかし守備の苦手な彼はファブレ監督の戦術の元では非常に使いづらいことは確かであり、来季で契約が切れ、6月のU-21欧州選手権で株を上げた点を考慮しても、ベストな売り時であったことは間違いない。アヤックスでの活躍を期待している。

ボルシアMGは今季、チャンピオンズリーグに参戦する。強豪相手にはブロックを形成してカウンターを狙う展開が増えることが予想されるが、守備ブロックとカウンターの質に関しては特に心配していない。最も懸念しているのは、クルーゼの退団による「崩しの質」の低下だ。昨季は崩しの質の向上で下位相手の取りこぼしが減り、3位への躍進を果たした。ドルミッチは単純な裏抜けや個人での打開力はクルーゼよりも勝っているだろう。

ただ、ファブレ監督の起用する2トップに求められるのは「より点を取ること」以上に「より動くこと」である。そういった意味では、ラファエルの相方となる選手はドルミッチ、ハーン、フルゴタとまだまだ横一線の状態であり、シュティンドルを起用する可能性も十分にあり得る。

2枚のCB、CHジャカの相方、FWラファエルの相方と、中央のラインに未確定の選手が多いのも不安材料。連携が上手くいかず、トラオレやドルミッチらの「個」に頼るようならば、昨季のような好成績を残すのは難しいだろう。リーグ戦では4位以内、CLではグループステージを突破できれば成功のシーズンと言えるはずだ。しかし、折角掴み取ったCLの舞台。ボルシアMGの躍進に期待している。


◆フランクフルト◆


■生命線は守備陣。ELの出場権か残留争いか

文・なかがわ しんや

今オフはシャーフ監督の辞任に正(イケメン)守護神ケヴィン・トラップのパリ・サンジェルマンへの移籍と大きな事件が相次いだ。

新監督には、一昨季まで指揮を執っていてチームをよく知るアルミン・フェーが復帰。GKは、先にオーストリア代表GKリンドナーを獲得していたものの、クラブとしてはトラップの移籍は全くの予想外。さらにリンドナーもフェーの信頼を得られず、トラップの後釜に奔走した。結果、フィンランド代表のフラデツキーを獲得。恐らく彼がGKのファーストチョイスになると思われる。守っている時の雰囲気、まとっている安心感はそこはかとなくトラップに似ていて期待大だ。



課題であった守備陣の補強は、他にもホッフェンハイムからアルゼンチン人CBアブラハムを獲得し、サンブラーノとの契約延長にも成功。特に前者はフェーからの期待も大きく、今季の順位を左右するキーマンの1人となりそうだ。

レバークーゼンから加入した元ドイツ代表MFライナルツもキーマンの1人。セットプレーからの失点、試合を締めくくる最後の10分~15分間の失点が多いチームに、高さと経験をもたらすはずだ。

フランクフルトの持ち味である「攻撃力」は例年通り期待できるため、守備面の頑張りがチームの生命線と言える。彼ら守備陣次第ではヨーロッパリーグへの進出から残留争いまで乱高下があり得るかもしれない。

注目して欲しい選手はMFマルク・シュテンデラだが、ここでは敢えて2人の日本人に焦点を当てたい。

まずは乾。フェーの復帰で退団濃厚と見られていたが、キャンプでアピールに成功した。かつて干された時の課題に挙げられた「ドイツ語の上達」や「守備意識の向上」も指揮官に褒められ、開幕は恐らくレギュラーとしてスタートするだろう。これまで通りポジションは左サイドだが、プレシーズンマッチではどんどん中央に入り、時には右サイドまで流れてプレーしていた。そこは少し、昨季までと違う点か。それにより得点チャンスも増えそうで、今季は決定力の向上、そして持ち場を離れる機会も増えるため、不用意な形でのロストを減らすことが求められる。



長谷部の場合、問題は出場機会ではなくポジションだろう。昨季はシャーフ監督の下で絶対的な信頼を手にし、チームのボランチの選手としてナンバーワンの地位を築いた。だが、そのシャーフがチームを去り、またライナルツの加入で今季はどうやら右SBが主戦場となりそうだ。

というのも、この元ドイツ代表が入ったことにより中盤の質はアップ。余裕ができたフェーは、補強が上手くいかなかった右SBに日本代表のキャプテンを選んだ。ここで勘違いして欲しくないのは、決して長谷部がボランチとして劣っていると評価されたのではないということ。むしろ評価は高い。しかし、指揮官が掲げる「ショートパスを繋ぐ攻撃的なフットボール」に最も満足した解答を出せる右SBが長谷部なのだ。

長谷部ファンの方には到底理解できない起用であると思うが、私自身はこの起用は「有り」だと思っているし、間違いなくチームとしてベストな選択だと思う。




◆レバークーゼン◆


■昨季以上の破壊力を持ったチームへと変貌

文・Fusshalt

主将であったシモン・ロルフェスが現役を退き、シュミット監督の戦術に馴染み切れなかったドルミッチがボルシアMGへ、変化を求めたゴンサロ・カストロはドルトムントへ、それぞれ移籍した。一方で、フライブルグから変幻自在のドリブラーであるメフメディを獲得し、「マラソンマン」クラマーがボルシアMGへの期限付き移籍から帰還。ザルツブルグでシュミット監督の薫陶を受けたブラジリアン、ラマーリョも加入し、戦力をさほど落とすことなくシーズンに突入できそうだ。

シュミット監督は2季目を迎える。昨季は惜しいところで星を落とし、リーグ戦は4位、DFBポカールはベスト8で敗退。チャンピオンズリーグも決勝トーナメント1回戦で涙を飲んだ。今季はそれを上回る結果を求められるが、直近のテストマッチを見る限り、基本形は昨季のようなサイドに展開しての速攻とハイプレスの敢行による攻撃的なフットボールとなりそうだ。

そのテストマッチでは、前後半で2タイプの布陣をテストしていた。1つはメーメディを1トップに据えた0トップ。これは、以前から言われていた「キースリンクの後継者問題」に対するシュミット監督の1つの回答であると言える。キースリンクが居ないことで前線でのターゲットがなくなるものの、ベララビ、ソン、メーメディと速さに定評のある選手が前線をかく乱し、無尽蔵のスタミナを誇るクラマーが前線に頻繁に顔を出すことで、サイドからのクロスや速攻は破壊力を増した。まだ良化の余地が十分に残っているだけに、上手くハマれば昨季以上の破壊力を持ったチームへ変貌するだろう。

不安材料は、守備陣に怪我が続出しており、シーズンの序盤をターとパパドプーロスの若手で乗り切らねばならない点だろう。逆にこれを乗り切れれば、一気にダッシュすることも可能。最初からクライマックス状態でいけるかが鍵となりそうだ。

今季の注目選手はメーメディとクラマーだ。


メーメディ(筆者撮影)


クラマー(筆者撮影)

メーメディは非常にクレバーで、トップもサイドもこなせる。いわゆる「ユーティリティ性が高い」選手で、中盤の核であるソン、ベララビ、チャルハノールの不在時の穴をどう埋めるかという昨季の課題を解き得る。また、速さと上手さを兼ね備えた彼の存在で、ソンやベララビの負担はだいぶ軽くなるはずだ。

クラマーは、ロルフェスとカストロが抜けたセントラル・ミッドフィルダーの穴を埋めて余りある選手と言える。無尽蔵のスタミナにファブレ監督の下で培った戦術眼、そしてドイツ代表で得た経験は、まさに「得がたい財産」としてチームに還元されるだろう。最終ラインから前線まで、どこにでも顔を出す彼の存在は、シュミット監督が採る戦術に打って付けの存在である。カストロには無かった「高さ」という武器も備えており、ベンダーと共に中盤を制圧する“機動兵器”として活躍してくれるはずだ。この両名をぜひともチェックして頂きたい。


◆シャルケ◆


■若返り、生まれ変わるシーズンに

文・ふみ

昨季のシャルケは、早くも秋にイェンス・ケラーを更迭し、クラブ初のイタリア人監督となるロベルト・ディ・マッテオを招聘した。3バックを採用するなど新たな風を吹き込もうとしたが、満足いく結果は残せなかった。チャンピオンズリーグではレアル・マドリーをあと一歩まで追い詰めるなど善戦したが、その敗退が決まると急ブレーキ。10試合で僅か2勝という体たらくで、CL出場権を4シーズンぶりに失ってしまった。

また、シーズン終盤に首脳陣がボアテングとサムに即時出場禁止処分を下す(後者は和解して今季もシャルケでプレーすることになった)と、サポーターはホーム最終戦で応援をボイコット。クラブを取り巻く雰囲気は最悪のまま、シーズンを終えた。

オフに入ると、ディ・マッテオ監督の解任が発表された。アウクスブルクのマルクス・ヴァインツィール監督やクラブのOBでベルギー代表のマルク・ヴィルモッツ監督らとの交渉と決裂が報じられる中、最終的に迎え入れることに成功したのはパーダーボルンのアンドレ・ブライテンライター監督。対戦相手や状況に応じて複数のフォーメーションを使い分ける戦術家だ。彼が目指すのは、高い位置でボールを奪取し、ショートカウンターを仕掛けるフットボールである。

選手の入れ替えとしては、クリスティアン・フクス、トランクイロ・バルネッタ、チネドゥ・オバシ、ジェフェルソン・ファルファンといった中堅選手をまとめて放出した一方で、懸念材料として挙げられていたポジションに的確に補強。安定したプレースキッカーを長らく欠いていたが、ヨハネス・ガイス(マインツ)を獲得し、この問題を解消した。

また、内田篤人の長期離脱が避けられない中で、ジュニオール・カイサラ(ルドゴレツ/ブルガリア)、サシャ・リーター(フライブルク)といった右SBを主戦とするマルチプレーヤーを獲得。さらに、層の薄いストライカーには、昨季ブレーメンでチームトップスコアラーとなったフランコ・ディ・サントを補強し、2トップへの対応も可能になった。ユースからもマウリス・ムルタウプ、レロイ・サネ、フェリックス・プラッテらを昇格させ、戦力の厚みは増している。

監督、そして選手の大幅な入れ替えでクラブは若返りに成功し、そして生まれ変わろうとしている。先日行われたポルト戦では、昨季と大きく異なるチームの姿を見ることができた。昨季は前線の選手の運動量がなかなか上がらない試合が多かったが、この試合ではスイッチが入った際にハイテンションでプレスをかけていく姿勢を披露。昨季には見られなかった姿だ。新たに迎えるシーズンへ期待を抱かせてくれる内容と言えた。

今季の注目選手に挙げたいのは、今オフにユースから昇格したU-19ドイツ代表MFレロイ・サネだ。


出典)11Freunde

先日、2年間契約を延長した19歳で、トッテナムから1200万ユーロでの獲得を打診されたドイツ期待の若手だ。昨季はユースチームの登録だったが、ディ・マッテオ前監督が積極的に起用し、経験を積んだ。CLのアウェイでのレアル・マドリード戦(4◯3)では、そのドリブルとボール捌きで“メレンゲス”のDFを翻弄。さらに、名手イケル・カシージャスが反応できないほどの見事なミドルシュートを決めて話題になった。

そして、今季さらに才能を発揮しそうなのはMFレオン・ゴレツカだ。


出典)Tumblr

ボーフムから加入して3季目を迎える20歳で、将来を嘱望される大型ボランチ。1季目は後半戦にレギュラーの座を掴んでドイツ代表キャップも記録したのだが、昨季は怪我に苦しんで半分を棒に振ってしまい、スタメン出場も2度しかなかった。満足な結果を残せなかった昨季の雪辱に燃えるシーズンとなるが、プレシーズンのテストマッチ(7月31日時点)では6試合のうち4試合で先発、残り2試合でもハーフタイムから45分間に亘りプレー。主力として計算されている。

ちなみに、7月末の段階で大きな怪我人はファビアン・ギーファー、内田篤人、ベネディクト・ヘーヴェデスの3人だ。近年はケガに悩まされ続けてきたチームだが、今季こそはフルメンバーで戦える日が来てほしいものだ。



昨季はチームの色と呼べるスタイルがなかっただけに、今季は土台を築くシーズンになるかもしれないが、CL出場権の奪回を目指して上位に食らい付いて欲しい。


◆シャルケ◆


■現時点での最適解だったブライテンライター

文・Holli

長年の間、シャルケはどのようなサッカーをしたいのかという、明確な方向性を打ち出せずにいた。クラブとしては育成を中心に、自分たちで育てた選手をできるだけトップで登用したいという理想はあったが、それをどのように勝利に結びつけていくのかという部分では答えが見つからなかった。2002年から2015年の間に17回の監督交代をし、平均在任期間は8カ月という厳しい職場環境で、モダンな戦術を教えながら結果をだせる人材がいるのだろうか。

ブライテンライターは現時点でシャルケが選ぶことができたベストの答えだったと思っている。

もちろん過去の彼のサッカーを見たことがなければ、不安になるような大抜擢だが、少なくとも現在ドイツで主流となっているシームレスな切り替えによる素早い攻撃をベースに、組織的なサッカーを展開するはずだ。すでにトゥエンテとの試合ではその片鱗を見せている。


筆者撮影

新規加入は現時点では5人。マインツから移籍してきた21歳のヨハネス・ガイスは、今後シャルケで主要な役割を担うことになるだろう。

ガイスについては他のチームも獲得に名乗りを上げており、当初は元マインツのトゥヘル監督が就任したドルトムントへの移籍が濃厚だと考えられていた。しかし最終的にガイスはシャルケを選んだ。その理由として、彼を中心に据えたブライテンライターのサッカー構想に惹かれたことをあげている。

パーダーボルン時代のブライテンライターは4-4-2、4-2-3-1、4-1-4-1を対戦相手に応じて使い分けたが、その中でも4-1-4-1はコンパクトでプレスが掛かりやすく、攻撃面でも鮮やかな試合が多かった。ガイスのようにパスを散らせる選手をアンカーに据えることができれば、監督が理想と考える形も生きてくる。また4-4-2の場合、ガイスとコンビを組むもう一人の選手が誰になるかも興味深い。現時点ではヘーガーあるいはゴレツカの可能性が高い。

さらにガイスがトゥエンテ戦で見せたようなFKはチームの武器になるだろう。

右サイドバックには、ブルガリアのルドゴレツからカイサラ、フライブルクからリーターの二人を獲得。内田の長期離脱の穴埋めは問題ないはずだ。

カイサラは内側に切り込むことも、外で一度はたいてパスを受けることも得意としており、さらにシュートを打つことを躊躇しない。

リーターはテストマッチを見る限り、ピッチの上で何が起きているかよく把握している印象だ。ベテランとしてチームを落ち着かせる役割も担えると思う。ただカイサラ、リーター共に守備では多少の不安を残す。

内田にとっては、怪我からの復帰が第一の目標となるだろう。本職のサイドバックがライバルという状況は、これまでに経験したことがないと思うが、タイプの違う二人のライバルのプレーは彼にとってもいい刺激になるはずだ。

前線にはブレーメンからディ・サントを獲得。ブライテンライターは当初から「ゴールキーパー、右サイドバック、フォワードを獲得したい」と明言しており、どのようなタイプが必要なのかは明確なイメージがあったように思う。昨シーズンのディ・サントはブレーメンで13ゴールをあげており、ブレイクしたと言ってよい。DFラインから抜け出すのもうまく、振りの鋭いミドルレンジのシュートも多い。他のフォワードへのラストパスも効果的で、フンテラールとの息が合うようになれば、得点を量産できるはずだ。

注目選手としては個人的にレオン・ゴレツカをあげたい。


筆者撮影

怪我による長期離脱は本人にとっても辛い出来事だったようで、トレーニングキャンプ序盤は接触を避け、こわごわとプレーしている印象があった。しかし最近の練習試合を見る限り、貪欲にプレーしているのが感じられる。得意なポジションでなくとも、出場できるならどこでもやると前向きだ。

ボーフム時代はスケールの大きな選手になると期待していたが、怪我もあってシャルケではこれまでのところ思うような活躍はできていない。今シーズンこそはゴレツカが怪我なくプレーし、大きく飛躍することを願っている。


◆バイエルン◆


■ペップと選手の複雑な関係性

文・まっつー

ズバリ、今季のバイエルンの展望は明るくないと個人的には見ている。その一端として、今回はペップの稀有な戦術よりも選手との関係性に注目したい。

まず、何かと話題のゲッツェだ。鳴り物入りでバイエルンにやってきたものの、ドルトムント時代の輝きを放っていないことは誰の目から見ても明らかだ。ゲッツェが素晴らしい選手であることに疑いはないが、プレーエリアや周りの選手との関係性が非常に重視されるタイプであることも事実。ドルトムント時代はクロップからの信頼、香川やロイスらとの連携が、まさにそれだった。

その点で、ペップはあまりに無策に見える。中盤の低い位置でボールを捌かせる役目を任せたかと思えば、さほど足が速くないにも関わらずウィンガーとしてサイドに張らせるなど、理解に苦しむ采配だった。

後に「ネイマール獲得を望んでいた」と語っているが、当時、ゲッツェの獲得は悲願のような報道のされ方だった。どちらかと言うと悲願はその後に来たチアゴだったのだが、私から言わせればゲッツェ中心のチームづくりに舵を切るのも悪くない選択肢。ベストパートナーであるレヴァンドフスキも翌シーズンには来て、ロッベンやリベリーのようなバイエルン黄金期を支えてきた選手は怪我で離脱していた。そのような思い切った案を採用する状態は整っており、ゲッツェの年齢を考えれば彼やミュラーを中心に、先を見据えたチームがつくれたはずだ。

しかし、彼らのためのフォーメーションは敷かれなかった。結果としてゲッツェを腐らせることになり、ミュラーとも不仲が噂され、今では放出すら囁かれている。

開幕前のDFLスーパーカップではヴォルフスブルクに敗戦。結果が出なくなれば、いよいよシーズン途中での空中分解も見えてくる。後任をどうするのかなどの問題も出てくるが、それよりも選手だ。チアゴはペップによって故郷を離れた選手で、今季加入したヴィダルもペップの薫陶を受けたいと望んできた選手である。さほどドイツに未練がなさそうなチアゴは簡単に出ていってしまいそうに見えるし、ヴィダルもそもそもチームに溢れている中盤の選手だ。

決して少なくはない金額で連れてきた選手はどうなってしまうのか。もっと言えば、ペップに大きな役割を任されていないと感じ、出ていってしまったチームの宝・シュバインシュタイガーは、マンチェスターで何を考えるだろう。未だに現地のファンは抗議していると聞くし、シーズン途中にペップの首が飛んだとなれば、「Fussbal gott」(独語でフットボールの神)を新たな挑戦へ旅立たせてしまったことをファンはどう納得すればいいのか。

ペップに残された道は1つ。チームを欧州の頂(いただき)に返り咲かせ、潔くチームを去ることだけだ。


◆HSV◆


■確かな積み上げ。改革2季目は高みを目指す

文・まるよし

近年に比べると、良い意味で動きの少ないオフだった。



レギュラー級の選手で放出したのはライコヴィッチのみ。パフォーマンスの低下が顕著であったファン・デル・ファールト、ヴェスターマン、ヤンゼンのベテラン選手達は契約満了に伴い退団。一方で、これまで手薄だったサイドバックとリーグワーストの25得点に終わった攻撃陣を中心に、着実な補強を行った。唯一、ターの引き抜きだけは想定外の事態。センターバックは現在、本職の選手が僅か3人という状況だ。

ここまでのテストマッチを見る限り、どうやら今シーズンは4-3-3システムを軸に戦う可能性が高い。



とはいえ、中盤の構成が多少変化するだけで、基本的には昨シーズンの戦い方を踏襲するだろう。

確実に厚みを増した前線のポジションには多くの選択肢があるが、基本的にラッバディア監督はサイドの選手に走力を求める。そのため、イリチェビッチとオリッチが今シーズンも戦術的に重宝され、テクニックのあるホルトビー、シュティーバー、デミルバイはボランチに近いインサイドハーフ気味での起用が予想される。

長年の課題であったサイドバックのバックアッパーには、左右どちらもこなせる酒井高徳を獲得。ディークマイアーの怪我とカードの多さを考えると、この補強は非常に大きい。そして上述したように、センターバックだけは補強が急務だ。頭数はもちろん、依然としてその質にも不安が募る。

必ずしも理想とした選手を全て獲得できたわけではないが、7月中にチーム編成の大部分を終えられたのはクラブとしての確かな進歩と言っていい。編成の遅れがそのままシーズンの遅れに繋がっていた過去と決別し、選手の入れ替えを最小限に留め、ほぼ万全の準備を期した。その“積み上げ”が、毎年プレシーズンに行われるテレコムカップ()での優勝という形で早速表れた。



改革2季目、目指すは中位だ。残留争いから抜け出すため、そして高みを目指すための戦いは、期待感に満ち溢れている。

※テレコムカップは2009年からプレシーズンに行われている大会。今年はバイエルン、HSV、ボルシアMG、アウクスブルクが参加。大会はトーナメント方式で4試合が行われ、試合時間は45分のみ。延長戦はなく、同点の場合はPK戦で勝敗を決める。



◆ブレーメン◆


■さらに速く、フレッシュに。EL出場権を狙う

文・ゆんゆん

まずは、選手の入れ替わりから。

<加入>

FW アンソニー・ウジャー (←ケルン)

GK フェリックス・ヴィートヴァルト (←アイントラハト・フランクフルト)

DF ウリセス・ガルシア (←グラスホッパー・チューリヒ/スイス)

FW アーロン・ヨハンソン (←AZアルクマール/オランダ)



<退団>

FW フランコ・ディ・サント (→シャルケ04)

FW ダヴィー・ゼルケ (→RBライプツィヒ)

FW ニルス・ペーターゼン (→フライブルク)

DF セバスティアン・プレードル (→ワトフォード/イングランド)

GK コーエン・カステールス (→ヴォルフスブルク ※期限付き移籍の満了)

GK リヒャルト・シュトレビンガー (→ラピド・ウィーン/オーストリア)

DF ルカ・カルディローラ (→ダルムシュタット98 ※期限付き移籍の満了)

MF エライロ・エリア (→フェイエノールト/オランダ)


退団した選手についてはほとんど、2014-15シーズンのレビューで報告できたと思う。それ以降に動きのあった選手について述べる。



1人目は、昨季13得点を記録したエースストライカーのフランコ・ディ・サント。昨年から行われていた契約延長交渉をひとまず中断し、シーズン終了後に再び話し合うことになっていたが、彼が出した結論は移籍だった。残りの契約は1年しかなく、売却に踏み切るならば今夏だ。残留するかどうかは半々という見方が大勢だったため、サポーターの間でも衝撃を受けたという人はほとんどいないと思う。「やっぱりそうなったか」というのが率直な感想だ。移籍金は600万ユーロと思っていたより安かったが、残り1年の選手の金額としては妥当なのかもしれない。とはいえ、こうしてまとまった違約金を残して去っていった主力選手は近年では珍しい。ありがたい軍資金だ。

移籍先はシャルケ。アルゼンチン代表でプレーすることを目標に掲げているディ・サントは欧州の舞台で戦えるクラブへのステップアップを必要としていた、ということなのだろう。思い返すとウィガンからやってきて、ブレーメンに在籍したのは僅か2シーズン。なんだか不思議な感じだ。ずっと前から居たような気がしてならない。チームが苦しい時も、自分自身が苦しい時も、誰よりも明るく振る舞って周囲に活気をもたらした彼は、それほどまでに当たり前、常にそこにある存在だった。

青いユニホームを着た姿を見ても、いまいち他所のクラブの選手になったという実感がわかない。しばらくしたら慣れるだろうか。



低迷が続くクラブにとっても、イングランドでは才能が開花しなかったディ・サントにとっても、お互いに最後まで良い関係で別れることができた。この点は本当に良かったと思う。



7月25日のファン感謝デー、ディ・サントは本拠地であるヴェーザー・シュタディオンに姿を見せた。この日のセビージャ戦に出場しないことが決まり、彼の移籍が確実視される中、エースとの別れを惜しむ多くのファンに囲まれていた。試合直前、シャルケへの移籍が発表された。直後に降り注いだ大雨は涙のようだった。






昨季の中盤以降はほぼ構想外となっていたDFルカ・カルディローラは、昇格組のダルムシュタットへの期限付き移籍が決定。ヴィクトル・スクリプニク監督はそれぞれ期限付き移籍から復帰したDFオリヴァー・ヒュージンク、DFマテオ・パヴロヴィッチを手元に残すことを選択し、これで彼の運命は決まった。まさか、年代別のイタリア代表で主将を務めた選手が在籍2年でセンターバックの6、7番手まで成り下がるとは。決して選手層の厚くないダルムシュタットならば、出場機会を得られるはずだ。新天地での再起を願っている。







余剰人員3人のうち、一足先にFWニルス・ペーターゼンはフライブルクへ。なかなか移籍先が見つからないMFエライロ・エリアとMFルドヴィク・オブラニアクは仕方なくU-23チームに加わって練習していたが、執筆時点でエリアのフェイエノールト行きが決定。契約は残り1年だったが、解除してフリーでの移籍となった(次の移籍時にブレーメン側にも違約金の何割かが支払われる契約のようだが)。期待を裏切り続けてきたが、せめて最後は違約金くらい残して欲しかった。オブラニアクには1860ミュンヘンとの交渉が報じられているが、本人が2部でプレーすることに難色を示しているという。いずれにせよ、サラリーカットは避けられないだろう。

加入組のうちアンソニー・ウジャー、フェリックス・ヴィートヴァルト、ウリセス・ガルシアは、3人とも早速プレシーズンから主力として活躍している。





昨季途中に加入が発表されていたウジャーは前線の新たな柱として位置付けられている。179㎝と上背はないものの、空中戦を不得意とはしない。卓越したボディバランスとスピード豊かな突破も売りだが、特筆すべきはファーストタッチから一瞬でシュートまで持ち込むフィニッシュワーク。ボールを受けつつ反転し、右足で豪快かつ正確にゴールの隅を射抜くのが得意のパターンだ。エリア付近でボールを呼び込み、速度を緩めぬままワンタッチで素早く捌き、決定機を創造できる視野の広さと状況判断能力を併せ持つ。

すでにMFフィン・バルテルスやMFズラトコ・ユヌゾヴィッチとの連携は抜群で、7月25日に行われたセビージャとのテストマッチでの得点シーン(2点目)は圧巻だった。加入初年度から2桁得点の活躍が期待される。





ヴィートヴァルトはヴォルフスブルクへ戻ったコーエン・カステールスほどのスケールは感じないというのが正直なところだが、それでも総合的な能力は高く、ラファエル・ヴォルフを遥かに凌ぐ。今年1月にもオファーを出したが、提示額が低かったためフランクフルト側が放出に同意せず、やむなくカステールスを借り入れた経緯があった。

元々ヴェルダー・ブレーメンのユースで10年間育てられ、プロとしても6年ぶりの古巣復帰となる。家族もブレーメンに住んでおり、恋人もブレーメン出身。地元縁の選手として愛される存在となりそうだ。ここまで大きなミスも無くパフォーマンスは安定。スクリプニク監督の信頼も得ており、開幕スタメンはまず間違いないだろう。ティム・ヴィーゼの退団以降、シーズンを通して活躍した選手のいない最後尾のポジションに安定をもたらすことを期待したい。



ウリセス・ガルシア(以下、ウリセス)も開幕スタメンがほぼ当確(同じポジションにガルシア2人って紛らわしい!)。このカーボヴェルデ系スイス人DFは加入当初、近未来に向けた投資とみなされていた。しかしDFサンティアゴ・ガルシアが膝の負傷で出遅れ、守備面に課題のあるDFヤネク・シュテルンベルクが全幅の信頼を得られない中、一気にレフトバックの1番手に躍り出た。90分間の激しい上下運動をものともせず、積極的にペナルティエリア付近まで攻め上がる運動量は、「マラソンマン」(勝手に呼んでる)ことDFテオドール・ゲブレ・セラシェに匹敵する。強靭なフィジカル、単独で仕掛けられるドリブルも武器だ。19歳とは思えないほど落ち着いたプレーをする。トーマス・アイヒンGMは2年で戦力になれるようにと言っていたが、良い意味で予想が外れた。上位クラブと対戦する中で課題も浮き彫りになってくるだろうが、初年度から大ブレイクなんてこともあるかもしれない。





ディ・サントが去った前線に即戦力として獲得したのが、アメリカ代表FWアーロン・ヨハンソン。左右両足、頭のどこからでも得点できるアイスランド系の点取り屋だ。AZ在籍期間の記録はリーグ戦60試合29得点と実績十分。ただし、ケルンで活躍していたウジャーと違い、これが初めての独ブンデスリーガ。適応までには少し時間を見ておくべきだろう。その間は、昨季と同じように便利屋・バルテルスをウジャーと組ませておけば何ら問題ない。ある意味、不確定要素であるヨハンソンのパフォーマンス次第で今季のブレーメンの成績は大きく変わってくるはずだ。





今季も4-3-1-2が基本布陣で、戦い方に大きな変更はない。ただ、2トップが入れ替わった前線に高さという強みが無くなった分、ボールを奪ってからあまり手数をかけずにゴールまで迫る、昨季よりもさらにスピーディーな攻撃を志向している。元々、速攻を得意としてきたチーム。さして問題にはならないと見る。

課題は、新顔2人を加えた連携面だ。早くもフィットしているウジャーを軸に、8月に加入したばかりのヨハンソンを徐々に慣らしていくことになるだろう。その間は前述の通り、信頼の厚いバルテルスに頼りつつ、挽回を期すイゼト・ハイロヴィッチやメルヴィン・ロレンツェンなど若手にチャンスを与えていくことになる。







今季、年齢構成はさらに若返った。U-23チームを率いていたスクリプニク監督が積極的に若手を登用しているからだ。中でも評価を高めているのがMFフロリアン・グリリッチュ(20)、MFマクシミリアン・エッゲシュタイン(18)、DFルカ=ミラン・ツァンダー(20)の3人。



今季トップチームに昇格したグリリッチュは非常に技術力が高く、中盤より前ならどのポジションでもこなす器用な選手だ。

5月から6月にかけてニュージーランドで行われたU-20ワールドカップにオーストリア代表の一員として参加。昨年のU-19欧州選手権では8試合に出場し7ゴールを記録(準決勝ではゼルケ擁するドイツと対戦)しており、フィニッシャーとしても期待が高い。一足先に開幕したドリッテリーガ(3部)の第1節、ハンザ・ロストック戦に先発出場すると、同点ゴールを決めて勝利に貢献した。2列目のポジションが本職だが、プレシーズンでの起用法を見る限り、今季は左右のインサイドハーフで出場する機会が多くなりそうだ。



昨季プロ契約を結んだエッゲシュタインはブレーメンの若手の中でもズバ抜けたポテンシャルを持つ。豊富なアイディアで決定機を量産し、得点センスも抜群。主戦場はトップ下だ。ただ、グリリッチュのようなスピードはなく、ロングボール主体の試合展開になると消えてしまいがち。トップ下のポジションは競争率が高く、トップチームに定着していくためには、よりプレーの幅を広げていく必要がある。ダイヤの原石のような有望株が今季どのように育っていくのか楽しみだ。



ツァンダーは今夏のテストマッチで好パフォーマンスを見せており、現在ライトバックの2番手の位置に着けている。視野が広く、手薄になったエリアを素早く埋める柔軟な守備能力を持つ上、ビルドアップの能力にも優れ、自らゲームメイクもできる知的なプレイヤーだ。ゲブレ・セラシェからポジションを奪うのは至難の業だが、人材の多いCBよりもSBの方がトップチームで活躍する近道だろうし、彼の才能が最も生きるだろう。





左右SBのポジションでウリセス、ツァンダーが評価を高める中、昨季より厳しい状況に置かれているのがヤネク・シュテルンベルクとマルノン・ブッシュだ。シュテルンベルクについては前述の通り。だが、ウリセスとの差はそれほど大きくなく、すぐにでも立場は逆転し得る。ブッシュはゲブレ・セラシェが離脱していた昨季前半戦で抜擢されたものの、負傷離脱を繰り返すうちにトップチームでの出場機会が遠退いた。ツァンダーに追い越された今季序盤はドリッテリーガが主戦場となるだろう。



トルコへ去ったメフメト・エキチ以来、空き番号となっていた背番号10を新しく継承したレヴェント・アイチチェクも、状況はそれほど芳しくない。エズトゥナリ、バルテルス、エッゲシュタインらライバルは多く、数少ないアピールチャンスをモノにしなければならない。







CBにはヤニク・ヴェスターゴーアという明確な軸がある。彼の相棒をアレハンドロ・ガルヴェスとアッサニ・ルキミヤが争い、それにヒュージンクとパヴロヴィッチが続く形だ。昨季から、CBとアンカーの組み合わせ次第でチームのパフォーマンスが大きく上下する傾向にある。ヴェスターゴーアとルキミアが組む場合は、掃除屋タイプのバルクフレーデでなく、配給役としてフェリックス・クロースやルーカス・フレーデを起用すべきだろう。これらのポジションにおける用兵で、どのような工夫が施されるのかも注目したい。



これまで何度も述べてきた通り、スクリプニク監督はユースから積極的に若手を登用する指揮官だ。今季もまた思いもよらぬ選手を引き上げてくることだろう。





その中で注目されているのがカンビア代表FWウスマン・マンネー(18)だ。急遽招集された7月28日のヴィルヘルムスハーフェンとのテストマッチに途中出場すると、30分間で4得点の大爆発。衝撃のトップデビューを飾り話題をさらった。同31日からはトップチームの練習にも参加している。基本的にはドリッテリーガでプレーし、経験を積むことになるだろうが、今季どこかでこの快速FWが抜擢されるかもしれない。



怪我で出遅れているサンティ・ガルシアとロレンツェンには厳しいポジション争いが待ち構えている。昨季は1試合の出場に止まったエズカン・イルディリムは今季も自身の体と相談しながら本格復帰を目指すことになる。





14-15シーズンのレビューでロレンツェンを紹介したが、その上でぜひ今季注目して欲しい選手がグリリッチュだ。現在起用されているインサイドハーフに定着することができれば、今季が現役最後のシーズンとなるであろうクレメンス・フリッツの後継を心配する必要はない。



そして、もはや説明不要のスター、ズラトコ・ユヌゾヴィッチ。ブレーメンが昨季を上回る好成績を収めるためには、攻守両面において欠かすことのできない大黒柱がシーズン通して大きな怪我をすることなく健在であることが、前提条件と言っていいだろう。

今季の目標はヨーロッパリーグ出場権の獲得。そして残留争いに巻き込まれないこと。ゼルケとディ・サントの売却が示す通り、現在のブレーメンはそれ相応の金額を用意したクラブから引きがあった場合、交渉を拒めるような状態にない。ユヌゾヴィッチのようなケースはあくまで例外だ。







主力選手を引き留めるためには、やはり欧州の舞台に復帰し、競争力と資金力を高め、“基礎体力”を付けていく必要がある。そのためには、今夏に資金を投下したウジャーとヨハンソンがしっかり役目を果たすこと、そして若手選手のさらなる突き上げが不可欠だ。

必要な補強は済ませ、やらなければならないことも明確。昨季から取り組んできたことを継続していけば、自ずと結果はついてくると信じている。





※誤字や脱字、事実誤認、おかしい点などがあれば、遠慮なく指摘して下さい。コメント欄でも、twitterでも構いません。

※なるべく早く公開するため、中編と下編は最低限の編集しかしていません。順次、修正しますので、ご了承下さい。



<あとがき>

作業が遅れ、開幕戦に間に合わず、申し訳ございません。心から、お詫び致します。

また、読者および執筆者に感謝を捧げます。

リツイートなどで宣伝して頂いた方々、ありがとうございます。13人は、少しでも多くの人の目に触れ、独ブンデスリーガに興味を持ってもらえればと考え、自らの知見を原稿に注ぎ込んでいます。2014-15シーズンのレビューと異なり、やや硬派な仕上がりになりましたが、15-16シーズンを楽しむための一助になれば、幸いです。

次回は、ウインターブレイクを予定しています。ただ、執筆者が担当するクラブに興味深い何かが起きれば、単発で記事を書いてもらうかもしれません。長いスパンで“大物”を送り出すだけでなく、“旬”を捉えた訴求も大切だからです。

いずれにせよ、フットボールや独ブンデスリーガと同様、このプロジェクトも回を重ねるごとに進化させていきたいと考えています。

助言、執筆者への立候補などは、いつでも大歓迎です。独ブンデスリーガへの愛に溢れた書き手が増えるほど、内容は多彩に、濃くなっていきますからね。

以前に書きましたが、文章は短くても、箇条書きでも構いません。それを手直し(と言うと偉そうですが)するために、プロである私が編集を担当しているのです。

これは私の願望ですが、執筆者も刺激を受けて欲しい。他のメンバーの文章を読み、「今度はまとめ方を変えてみよう」、「このアイディアを自分なりにアレンジすれば、面白いのではないか」などという自己研鑽の心が生まれ、育まれれば、記事のクオリティはどんどん上がっていくに違いありません。

そういった意味では、読者からの叱咤激励も大切です。「面白い」、「つまらない」。甘言も苦言も、執筆者の心に火を点けます。ぜひ、飴と鞭を下さい。

あとがきも冗長になりましたが、今後とも宜しくお願い致します。


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自分はあまりブンデスに詳しくないですが、香川だけはフォローしていたこともありドルトムントの記事が読みやすくおもしろかったです。
編集について言うと、各執筆者のチーム紹介も読めばどこのチームかわかりますが、タイトルの横にチーム名があると読みやすいかもしれないです。記事によってはチーム名がタイトルに入ってないので、自分のようにブンデスに疎い人には一瞬どこのチームの話かわかりづらいかもしれません。
今後も今回のような読み応えのある記事を楽しみにしています。
28ヶ月前
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>>1

コメント、ありがとうございます。

そして、貴重な助言を頂き、嬉しいです。せっかくなので、記事の上にクラブ名とエンブレムを入れてみました。

これなら、普段は独ブンデスリーガをご覧にならない方も、クラブ名とエンブレムを憶えて頂けるかなと。

次回は未定ですが、また機会があれば、宜しくお願い致します。
28ヶ月前
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