• 複素積分が0になるための十分条件<1>

    2018-04-21 00:28
    また複素解析の話です。
    【定義】
    fを、複素数変数の複素数値連続関数とする(正則とは限らない)。
    実数の閉区間 [a,b] から複素平面C への微分可能関数 γ :[a,b]→C があって、
    γ([a,b])⊂C (この像をも、簡単のためγと書く)がfの定義域に含まれて
    いるとき、複素積分
    を、
    で定義する。■
    (※1)実数の積分と同じく、これは次のような和で、分割幅δ→0としたときの極限になります。分割の取り方によらずに一定値に収束することは当然証明が要りますが、ここでは省略。




    (※2)
    曲線片の有限個の「和」(図のような状況)の上での積分は、「それぞれの曲線片上での複素積分の和」と定義します。

    (※3)【定義】でのパラメータのとりかたにはいくらでも任意性があり、また(※2)のような曲線片の分割の仕方にもいくらでも任意性がありますが、
    にもかかわらず、どのような取り方を選んだとしても積分値は同じになります。
    本当はこのことを明瞭に証明しておかないと複素積分を定義すること自体が出来ない(not well-defined である、ill-definedとも言うらしいです)のですが、非常にこまごまとした話になるので割愛します。


    【例】
    (適当に考えた例)図のような曲線γ上で、f(z)=z* (zの複素共役)を積分します。









    よって

    計算ミスしてるかもしれない…

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  • 正則性とコーシー・リーマン方程式の成立とが同値であること<2>

    2018-04-15 11:57
    昨日力尽きて途中までだったので後半です。(<p></p>のせいでセンタリングがおかしくなるのか…あとjpgに統一しよう(独り言))

    【定理】
    Eを複素数平面Cの領域(連結な開集合)として、EからCへの関数 f(z) を考える。
    z=x+iy, f(z)=u(x,y)+i*v(x,y) とする。このとき、(2)ならば(1)
    (1)fはEの任意の点zで正則(解析的、複素微分可能)である:つまり
     w→0,w≠0 のとき、{f(z+w)-f(z)}/w はある複素数に収束する。
    (2)Eの任意の点で、
     ・u,vはx偏微分、y偏微分がいずれも可能であり、
     ・(∂u/∂x)(x,y), (∂u/∂y)(x,y), (∂v/∂x)(x,y), (∂v/∂y)(x,y) は
      いずれも連続であり、
     ・(∂u/∂x)(x,y) = (∂v/∂y)(x,y), (∂u/∂y)(x,y) = -(∂v/∂x)(x,y) □
    【証明】
    z_0 =(x_0) +i*(y_0)∈E を任意の点として固定しておきます。また、w=h+ik とおきます。
    複素微分の定義式の分子の実部を、uとx,yの式で書き換えて変形していくと、

    ここで、1変数関数の平均値の定理を使っており、θ、τは0より大きく1より小さい実数で、u,x,y, x_0 , y_0 ,h,k に依存して決まります。

    同様にvもx,yの式で書き換え、平均値の定理を使います。θのチルダ、τのチルダは同様に定まる実数です。

    一旦、x偏微分だけにして整理したいので、コーシー・リーマン方程式を使って
    f(z_0 +w)-f(z_0) を書き換えると、

    括弧の中身が4項ともバラバラなので、「足して引く」ことで無理矢理中身を揃えると、

    同類項をまとめて、h+i*k (←これが欲しい)のかたまりを取り出して整理すると、
    ここで計算したいのは、上式を w=h+ik で割って w=h+ik→0 としたものですが、
    まず (∂u/∂x)(x,y), (∂v/∂x)(x,y) がいずれも連続という仮定から、
    加えて、係数部分のh,kは
    と定数でおさえられるので、結局

    のように極限が存在し、f(z)が z=z_0 で正則であることがわかりました。■
  • 正則性とコーシー・リーマン方程式の成立とが同値であること<1>

    2018-04-14 16:45
    複素解析の最初の授業で習うようなことなのですが、恥ずかしながら今まであまり真剣にこの同値性について考えたことがなかったので、自分用メモとして証明を記録しておきます。計算が意外と入り組んでいる…。

    まず、ステートメントをはっきりさせておきます。
    【定理】
    Eを複素数平面Cの領域(連結な開集合)として、EからCへの関数 f(z) を考える。
    z=x+iy, f(z)=u(x,y)+i*v(x,y) とする。このとき、次の(1)(2)は同値。
    (1)fはEの任意の点zで正則解析的、複素微分可能である:つまり
     w→0,w≠0 のとき、{f(z+w)-f(z)}/w はある複素数に収束する。
    (2)u(x,y), v(x,y) は、R^2 の領域F (F:={(x,y)∈R^2 ; x+iy∈E⊂C})
     で定義された、2変数実数値関数とみなせる。このとき、Fの任意の点において
     ・u,vはx偏微分、y偏微分がいずれも可能であり、
     ・(∂u/∂x)(x,y), (∂u/∂y)(x,y), (∂v/∂x)(x,y), (∂v/∂y)(x,y) は
      いずれも(Fで)連続であり、
     ・(∂u/∂x)(x,y) = (∂v/∂y)(x,y), (∂u/∂y)(x,y) = -(∂v/∂x)(x,y)
     (この連立偏微分方程式が、コーシー・リーマン方程式)   □
    【証明】
    (1)⇒(2):z_0 =(x_0) +i*(y_0)∈E を任意の点とする。
     また、 w=h+ik とおく。w→0 の近づき方は任意にとれるので、
     w=h, h→0 のときを考えると、
      {f(z+w)-f(z)}/w = {f({(x_0) +h}+i*(y_0))-f((x_0) +i*(y_0))}/h
     = [{u((x_0) +h , y_0) +i*v((x_0) +h , y_0)}
       - {u(x_0, y_0) +i*v(x_0 , y_0)}]/h
     = [u((x_0) +h , y_0) - u(x_0, y_0)]/h
      +i*[v((x_0) +h , y_0) - v(x_0, y_0)]/h
    これが、h→0 のときある複素数 γ_0 := (α_0) +i*(β_0) に収束するので、
    実部は α_0 に、虚部は β_0 に、それぞれ収束する。よって、次の通り偏微分可能性と偏導値がわかる。:
      (∂u/∂x)(x_0,y_0) = α_0 , (∂v/∂x)(x_0,y_0) = β_0

    全く同様に、w=ik, ik→0 として近づけることを考えると、
      {f(z+w)-f(z)}/w = {f((x_0) +i*(y_0 +k))-f((x_0) +i*(y_0))}/(ik)
     = [{u(x_0 , y_0 +k) +i*v(x_0 , y_0 +k)}
       - {u(x_0 , y_0) +i*v(x_0 , y_0)}]/(ik)
     = [u(x_0 , (y_0) +k) - u(x_0, y_0)]/(ik)
      +i*[v(x_0 , (y_0) +k) - v(x_0, y_0)]/(ik)
     = [v(x_0 , (y_0) +k) - v(x_0, y_0)]/k
      -i*[u(x_0 , (y_0) +k) - u(x_0, y_0)]/k
    これが、ik→0 のとき、同じく複素数 γ_0 := (α_0) +i*(β_0) に収束するので、
      (∂v/∂y)(x_0,y_0) = α_0 , (∂u/∂y)(x_0,y_0) = -β_0 

    以上で、
     ・u,vはx偏微分、y偏微分がいずれも可能であり、
     ・(∂u/∂x)(x,y) = (∂v/∂y)(x,y), (∂u/∂y)(x,y) = -(∂v/∂x)(x,y)
    はわかったのですが、
     ・(∂u/∂x)(x,y), (∂u/∂y)(x,y), (∂v/∂x)(x,y), (∂v/∂y)(x,y) がいずれも連続
    は、正則関数(解析関数)の導関数が再び正則(⇒よって連続)であることを言わないといけないので、(最も易しい証明でも)複素積分を経由しないと証明できません。でも確かに成り立つので、(1)⇒(2)はよいこととします。 ■

    残りの(2)⇒(1)が、(私にとっては)ややこしい。