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  • 武士道アングルとアステカ文明の起源水上都市テノチティトラン

    2016-04-14 12:157
    今週のお題…………『大武道2を見て思うこと』
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    文◎田中正志(『週刊ファイト』編集長)

     
     『大武道! Vol.2』が好評発売中だ。例によってイラスト表紙が目を惹く。「カッコよく死のう!」というテーマが大書され、仮面ライダー姿の藤岡弘、鎧兜を着けた前田日明が”変身”している。巻頭記事は、インタビュー収録の翌日に亡くなられた骨法創始師範・堀辺正史先生への追悼から。武道を軸とする雑誌なので「死生観」は興味のつきないテーマであろう。本体1300円+税、きちっとしたものを読ませる雑誌として推薦しておきたい。
     70歳の藤岡弘が45年の歳月を経て原点回帰した新作映画『仮面ライダー1号』が公開中というのは、なぜか筆者、この『大武道! Vol.2』を読むまで存在すら知らなかった。まぁ今の時代、雑誌を読みながら気になったネタがあれば、すぐに検索して現在ロードショー公開中なのだと納得したが、パソコン画面をつけたまま雑誌や本を読むという近年の読書スタイルは、本来はよろしくないことでもっと集中すべきとか、余計なことまで考えてしまった。あと、パピプぺポ川柳創始師範・ターザン山本の「武士道は長生きすることです」が特集章のオチというのは笑って読むしかない。

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     自分の場合はどうしても、雑誌作りにおける企画や構成の勉強とかに目が向いてしまうのだが、武道、あるいは武士道という切り口を与えられると、武士道というのはどこまでがアングルなのかとか、過去の文献にせよ、あとから論者が良くも悪くも勝手に解釈を足したりして宗教化してないか、みたいな探求に興味が沸いてしまう。職業病なのかもだが、『大武道! Vol.2』を読んでいると、武士道の極意と教義を聖典バイブルに編纂したら新興宗教ブランドを立ち上げられるのではないかとか考えてしまう。
     
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     例えば、世界には様々なミステリー・スポットが存在する。16世紀の初め、最後の古代文明として輝きを放っていたアステカ文明だ。1521年、スペインの征服者コルテスによって呆気なく滅びてしまう史実だが、そのアステカ文明の起源とされるのが水上都市テノチティトラン。16世紀だと現在のメキシコシティに当たる一帯は広大な湖テスココが広がっていて、テノチティトランはその湖に浮かぶ小さな島だがすべての中心だったと。中央には400メートル四方の神域があり、高さ45メートルもある大ピラミッドが二つ、ひときわ高くそびえていたのだと。神殿では毎日のように神への生け贄を捧げる儀式が行われ、アステカ文明の特徴である自己犠牲、心臓と血を神に捧げ、太陽や宇宙に生命を与え続けようとしていたらしい。
     しかしである。このテノチティトラン遺跡はルチャリブレを伝統芸能とするメキシコシティで1978年に発見されたものであり、「最盛期には人口20万を数える幻の水上都市だった」と伝説が流布されているが、筆者は依然から巨大アングルではないのかとの疑念がぬぐえない。いや、世界中のミステリーはアングルなのか否か、すべてのイリュージョンは単なるトリックではないのか?先日も謎の水上都市を旅するテレビ番組が放送されたが、島の上のテノチティトランの全景を俯瞰(高いところから見下ろすアングル)しても、最盛期は20万人の民が・・・とのナレーションを”プロレス者”が信じるハズがないと思った。橋本真也の最後のパートナー冬木薫が、相手男性の実家にまで「婚約する」と何度も泊りがけで出向く一方でカネを無心したら、結婚詐欺かも知れないと疑ったほうが無難という週刊ファイト記事が人気だが、喜んで騙されるのもまた”プロレス者”の特徴という冷静な分析もある。
     
     『大武道! Vol.2』の第2特集は「超人追求!~この男は実在する~」であり、こちらもまた超人というのはアングルなのか否か、興味の尽きないテーマである。サンボの超人ビクトル古賀さんは、「マリリン・モンローと子どもを作りたかったと今でも思っている」そうだ。本物の超人かも知れない。
     
    週刊ファイト4月14日号飯伏華名中邑WM目玉NXT女子同時仙台GOLD谷川田村FMW船木長州
     


    [お知らせ 其の壱]
    大武道! vol.2、全国の書店&オンライン書店で絶賛発売中! → oh-budo.tokyo/2016/03/28/

    [お知らせ 其の弐]
    『巌流島』のオフィシャルサイトをリニューアル致しました。アドレスが変わりましたので、ご確認ください。→ ganryujima.jp
  • 審判・大成敦から見た巌流島! 新たな審判になる人材を募集します!

    2016-04-13 19:403
    急遽、先週までのお題……………徹底検証「3・25巌流島!  私はこう見た!」で審判の大成敦のブロマガを掲載します。明日以降、今週のお題「大武道2」を掲載していきます。

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    文◎大成敦(巌流島ルール・ディレクター)


    巌流島ルールディレクターの大成と申します。
    宜しくお願い致します。
     
    今回の巌流島、如何でしたか?
    まだまだ完成ではありません。審判団としても皆様からいろいろなご意見や叱咤激励などを頂きながら、素晴らしいイベントへと育てて行きたいと思います。
     
    さて、今回は審判から見た巌流島と言う事で、ルールの事などをお話ししたいと思います。
    少し面倒なところもありますが、充分にルールを理解していただいた上でご観戦頂ければ、その楽しさも倍増するかと思います。
     
    判定決着の少ない巌流島ですが、しっかりとその基準があります。
    格闘技ファンならずともよく耳にするキックボクシングやボクシングの採点システムは、減点式と言って両者1ラウンド、10-10から始まります。ダウンを取られると-2ポイント。積極的に攻撃したりクリーンヒットなんかがあると相手が-1ポイント。特殊なケースを除いて片方を10 点とするルールですから、10-9とか10-8とか、ご存知のパターンになるわけです。
     
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    巌流島はと言うと、ポイントとなる技や相手を倒すって気持ちを出すと、どんどんとポイントが加算されていきます。
    例えば柔道の一本のような勢いで相手を投げれば+2ポイント。相手を闘技場から落とせば+2ポイント。
     
    そしてこれが大事なところなのですが、
    自分の得意な技、例えばカポエラの選手がビュンビュンとキックを繰り出したり、相撲の選手がガンガンと前に出て相手を押し出そうとすると+1ポイントが加えられます。
    これがあるから選手は積極的に技を出すのです。
    減点じゃなくて加点と言うのも、何となく前向きな響きでイイじゃないですか。
    是非ご観戦の皆様も採点してみては如何でしょうか。
    あー、この審判ダメだな、とかダメ出しもしちゃってください(笑)
     
    この判定基準の延長線上に一本決着があります。1ラウンド中に、相手を三回落とすと一本となるその根拠は、基本的に巌流島の闘技場は断崖絶壁の上での闘いを想定してます。まぁ一回で終わりと言うのも厳しいし、いろいろな技の発展を促すためにも三回と設定しています。
    また、自分の得意な技を積極的に出すと言うことも相手を倒すことに繋がります。
    あの相撲vsカポエラを思い出してください。あれこそは、正しくこのルールの意味が結実したものだと思います。
     
    さて、巌流島。実は目に見えない部分にもこだわっています。それは公平性と、もっと大きな括りでのルールの遵守。社会規範を守ると言う意味でドービング検査を実施しています。これは筋肉増強剤を使っているか否かというよりは、ドラッグ関係の検査が主になります。格闘技選手としてよりも、武道家として、そして人間として正々堂々と闘って頂きたいと言う理念でもあります。
     
    このように、巌流島を競技としても成熟させたいと我々は考えています。もちろん、巌流島の基本精神にのっとり、皆さんの意見でルールもどんどん実験していったり、改良していきたいと思います。

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    そこで皆さんにご提案です。選手だけでなく、巌流島のレフェリー、ジャッジも新しい人材をどんどん投入したいと考えています。選手よりもコーチ、トレーナーに向いている人もいますが、審判に向いているセンスを持った方はたくさんいると思います。今はどの格闘技イベントも同じ審判ばかり。それほど、審判も人材不足なのです。
    やってみたい!そう思った方、是非一緒にやりましょう!
    そんな心意気のある方、オフィシャルサイトを通じてご連絡をください。
     
    冒頭にも述べましたが、巌流島はまだまだ発展途上。
    まだ誰も見たことのない格闘技を、一緒に創っていきましょう!

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  • 世界の伝統武術の実戦観は超リアリズム!巌流島と大武道はどうする?

    2016-04-12 12:0013
    今週のお題…………『大武道!  2号目を語ろう!』

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    文◎山田英司(『BUDO-RA BOOKS』編集長)



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    大武道2は、例によって玉石混合のメンバーが登場しているが、それが編集者の狙いであるかもしれないので、それについての批判はしてもしょうがない。
    従って、私が本書に取材を提案した、倉本成春先生、横山雅始先生、沈剛先生など、やる側の先生達と武術について、考察していこう。
     
    まず、お三方ともスタンスは異なるが、いずれも格闘技を超えた、ルール無用の武術を長く修行者されてきた先生達だ。
    その見識は深く、いずれの先生も私自身がそれぞれの分野で師と仰ぐ方々である。
    倉本先生は言うまでもなく、ルール無用の戦いを想定し、空手に囚われず、ありとあらゆる反則技を追求。対武器や対複数の戦いも想定し研究された為、そのノウハウは「ザ・プロテクト」という一般人向けの護身術の体系にまとめられた。「空手は突き蹴りの他に投げも寝技も目つきもある。だから実戦的だ、と語る空手家が時にいるが、果たしてその人達は投げや寝技や目つきを日頃、練習しているのか?練習もしていなければ、いざという時、そんな技が出るわけがない。」と語るほど、倉本先生は実戦に対しては、謙虚なリアリストである。
     
    横山先生も、家伝の柔術の他、空手なども学んだ後、今日的な護身術の功朗法をまとめらた。フランスの軍や特殊部隊から指導を頼まれるほど、功朗法の実用性は海外で高く評価されている。しかし、横山先生はそれでも満足せず、日本の伝統武術は本当の実戦で有効だったのかを検証するために、ガチ甲冑合戦という壮大なシュミレーションを思いつき、本当に実現してしまった。その結果、これまでの常識を覆す様々な検証結果が出たが、その詳しい報告は今、制作中のガチ甲冑合戦の本で行う予定である。
     
    沈剛先生は、中国太極拳界で、最強と言われた伝説の馬岳梁氏に子供の頃から学んでいた呉式太極拳の正統伝承者だ。太極拳というと、穏やかで人と戦わないイメージがある。確かに相手の力に逆らわない戦い方をする、という意味では穏やかなのだが、その戦い方を実証してきた伝統が、呉式太極拳にはある。そもそも、呉艦泉という達人が始めたから呉式と言うのだが、新しい流派を名乗ると次々と挑戦者が現れるのが動乱期の中国だ。田舎ではなく、上海という都会で新しい太極拳流派を起こしたため、呉艦泉とその一番弟子の馬岳梁氏は、挑戦者を悉く倒し、呉式の強さを実証してきた。特に馬岳梁氏は、倒した相手の治療代まで出していた為、特約の病院があったくらいだ。また、馬岳梁氏だけでなく、呉艦泉の息子達も東南アジアで呉式を広める為に、素手で若い武術家と公開の場で試合したりしている。まさに呉式太極拳は太極拳界の実戦派であり、リアリズムを追求する伝統がある。
     
    世界各地でこうしたリアリズムを追求した結果、独特の伝統武術が伝えられることになる。今回で言えば、横山先生と沈剛先生が伝統武術の追求者となるかもしれないが、では、それらの共通点とは何か?
     
    今回、巌流島には世界各地の伝統武術家が集合した。カポエイラからセネガル相撲まで、バラエティに富んでおり、共通点はないように見える。しかし、日本でも中国でもヨーロッパでもアフリカでも伝統武術には共通項がある。それは、武術が何故必要とされたかを考えればすぐに分かる。戦争と護身である。

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    戦争は必ず集団で行われ、武器を使う。
    従って伝統武術は武器術が主であり、素手は従。素手の技術も対武器、対複数がメインになる。一番後回しになるのが、素手と素手の戦いだ。確かに護身にはこうした局面もある。しかし、一対一で、正々堂々と戦うような局面はそもそも伝統武術は設定していない。暴漢が一人だと思わせ、近づき、後で仲間が出てきたり、武器を懐から出したりするのは、今日でも暴漢の常套手段だ。
     
    従ってリアリズムを追求する世界の伝統武術には寝技はない。打撃か投げ技かの違いはあっても、全て立ち技である。集団戦でも、武器との戦いでも、暴漢の撃退でも、自分から寝技に持ち込んで有利になる局面はないからだ。無論、こちらが望まなくても倒されたり、抑えこまれたりする局面はあり、そこから脱出する技術は必要である。しかし、それは総合ルールのように寝技で決着をつけようという技術ではない。リングの中で、危険な打撃技が禁止され、武器も使えない。仲間も助けてはいけない。という、伝統武術家には極めて非現実的に見えるルールが総合格闘技だ。こうしたルールが日本では一番実戦的と考えるファンが多いが、リアリズムを追求する武術家達はそうは思わない。これが、世界の伝統武術の実戦観の共通項であり、決して私一人が特異な考え方をしているわけではない。
     
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    私はバーリトゥードが日本に知られだした頃から、その設定の不自然さを主張していたが、時代が早過ぎて一般ファンには当然理解されなかった。近年、伝統武術の再評価の中で、徐々にファンの間でもこうした認識は広がり始めているようだ。
     
    私は武術も格闘技も哲学として捉えているが、哲学とは、平たく言えば、認識力を深め、広げていく作業のことだ。私も格闘技を学び始めの頃はルールに捉われた戦いしかイメージできなかった。また、格闘技ルールで使えない技術はイコール実戦的ではない技術として軽んじていた。
    しかし、自ら伝統武術を学び続け、自分の身体と動きが深化していくにつれ、認識も広がり、変わっていく。逆に言えば、練習をしていない人達に対して、この認識の広がりを伝えることは非常に困難である。
     
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    唯一、練習をしていない人にも、納得させる手段があるとしたら、視覚的な擬似体験、すなわち試合を見せることだろう。
    その意味では、今回の巌流島興行は非常に意義があったと思う。寝技でのサブミッションが無くなるだけで、世界のリアルな武術観にすこし近づいた。
    世界の伝統武術家達が結果的に活躍できたのも、このルールと無関係ではないだろう。寝技でサブミッションありの総合格闘家同士の試合では相変わらず寝技で勝負していたが、私にはその時間が非常に不自然に感じられた。ちなみに、横山先生は、合戦で寝技は自殺行為と断言している。今の時代、合戦は行われないだろう、などと思ってはいけない。最新の喧嘩や護身を世界の軍や特殊部隊などに指導しているローコンバットのルーク・ホロウェイ先生も横山先生と同じ教えをしている。犯罪者はまず間違いなく刃物や銃を隠し持っており、寝技に持ち込んだら、下からの刃物攻撃に全く対処できないからだ。
    こうした世界のリアリズムを元に伝統武術は成立している。
     
    このリアリズムを一般ファンに伝えることが、巌流島ならできるかもしれない。大武道も、本来ならその理論的援護の役割を期待したいところだが、これは難しそうだ。こっちは私自身がやるしかなさそうである。

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