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長谷川幸洋コラム第58回 「中国期限切れ鶏肉問題」マックやファミマが「だまされた」では済まない 3つのポイント
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長谷川幸洋コラム第58回 「中国期限切れ鶏肉問題」マックやファミマが「だまされた」では済まない 3つのポイント

2014-07-31 20:00
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    中国製のとんでもない鶏肉を使っていたマックとファミマ  photo Getty Images

    中国の期限切れ鶏肉輸入問題が波紋を広げている。日本マクドナルドとファミリーマートは問題の「上海福喜食品」から輸入した鶏肉関連食品の販売を停止したが、ファミマの社長は「中国だから輸入しないということはない。信頼できるパートナーを見つける努力をする」と語っている。それで信頼を取り戻せるのだろうか。

    「米国系中国現地法人」の「会社ぐるみ」の犯行

    今回の問題はポイントが3つある。

    まず、輸入していたのがマクドナルドとファミマという、だれもが知っている業界の大手だった。それから問題を起こした上海福喜食品は米国の食肉大手OSIグループの中国現地法人だった。最後が、期限切れの鶏肉を混ぜたのは取り扱いの誤りとか個人の仕業ではなく、会社ぐるみだった、という点である。

    問題の「チキンナゲット」や「ガーリックナゲット」を売っていたのがマクドナルドやファミマだったからには当然、両社は取引を始める前に上海福喜食品の現地工場をはじめ、それなりに安全管理体制をチェックしていたはずだ(それは後で紹介する輸入食品の安全に関わる指針で義務付けられている)。

    実際、マクドナルドの関係者が工場に立ち入り調査している映像が報じられ、米マクドナルドの最高経営責任者(CEO)は「我々が少しだまされた」と語っている。だが、結果的に不正行為を見抜けなかった。

    米国企業の現地法人だったにもかかわらず、床に落ちた肉を拾って加工するような信じられない行為が起きていたのは、会社のガバナンス(統治)やコンプライアンス(法令遵守)がまったく機能していなかったことを物語っている。親会社が米国企業だからといって安全とは言い切れないのだ。

    最後の会社ぐるみというのも深刻な事態だ。2008年1月に起きた毒入りギョーザ事件は個人の犯行だった。今回の事件はまったく異なる。従業員の証言からあきらかなように、この会社は「経営方針」として期限切れ鶏肉を使用したり、カビで青く腐った牛肉を使っていたのだ。

    つまり、不正が摘発され制裁を受けるリスクと、不正による利益増大を天秤にかけて判断した結果、リスクに目をつぶって目先の利益を追い求めた、という話である。それが合理的な判断だった以上、単に「モラルの腐敗」を責めてみても問題は解決しない。 
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