• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 2件
  • 安倍晋三首相・特別インタビュー【第3回】 「消費増税で景気が腰折れしないよう状況をよく見ていきたい」

    2014-04-04 20:00  
    330pt
    日米韓の連携強化は抑止力の向上にもつながる
    長谷川: 今回、日米韓首脳会談がようやく実現しました。これは、ずばりどのような感じだったんでしょうか。安倍: オバマ大統領に相当努力をしていただきまして、日本と韓国にそれぞれに働きかけを行っていただいた。「日米韓が連絡を密にしていくことによってより平和で安定した地域になっていくだろうという認識を共有しましょう」と。 日本も韓国もそれぞれ米国と同盟関係にあります。もし朝鮮半島で何かが起こった時には、米韓同盟軍が対応するうえにおいても、日米同盟の中において在日米軍が日本の支援を受けて活動することによって、初めて力として強い抑止力を示すことができる。そういう意味においても日米韓は決定的に必要な関係です。そのことをもう一度確認しましょうよ、というものです。今後、軍事的にも日米韓の協議をしっかりと進めていくことは抑止力の向上になっていくだろうということです
  • 長谷川幸洋コラム第12回『今回の参院選は与党勝利のつまらない選挙ではない 成長をめぐる歴史的選挙』

    2013-07-18 12:00  
    330pt
    参院選の投開票日が迫ってきた。ほとんどのメディアは与党勝利を予想している。こうなると有権者も選挙への関心が冷めてしまい、投票率の大幅低下が心配になるような展開だ。それを前提に、固い組織票をもつ公明党や共産党が善戦するのではないか、という見方も有力になっている。  本当に、今回の参院選は「つまらない選挙」になるのだろうか。私はそう思わない。たとえ投票率が下がったとしても、長い目で見ると、実は日本政治に深い影響を残す選挙になるのではないか、と見ている。  大げさに言えば、時代を画すエポックメイキングな選挙になるような予感がするのだ。 今回の選挙で問われているのは経済成長  なぜかといえば、そもそも政治の目的の一つである「経済成長」が問われているからだ。この大問題について、与党と野党第1党である民主党の考え方はまったく異なっている。その点がはっきりしたのは、安倍晋三首相と海江田万里民主党代表の日本記者クラブでの公開討論会(7月3日)だった。  安倍は「アベノミクスの副作用を強調しているが、どうやって経済を成長させるのか」と迫った。これに対する海江田の答えはこうだった。 「デフレや円高、株安のままでいいとは思っていない。経済の成長にとって大事なのは持続可能性だ。長続きする経済成長には国内の需要、健全な消費を拡大しなければならない」 「私たちは子ども手当や高校授業料無償化を通じて(子育て世代の)手取り額を増やすことに努力してきた。手取りを増やすことによって、一番消費を必要としている人たちに消費してもらい、持続的に経済が成長することを目指している」(一部略)  ここが核心である。  前々回のコラムで、民主党は「雇用や所得の増加、厚い中間層」という成長の結果を成長の源泉であるかのように取り違えている、と指摘した。  党首討論で、海江田はそこから一歩踏み込んで「子ども手当や高校授業料無償化を通じて消費を増やす」という考えを披露した。しかも、それが「健全な消費」という認識である。子ども手当も高校授業料無償化も元は税金だ。消費の源泉を税金に求めて、どこが健全なのか。  税金を子育て世代に配って消費させるという政策は、所得の再配分にほかならない。  つまり、民主党は「所得再配分が成長を促す」という考え方である。世界標準の経済政策は「まず成長を目指して、次に所得を再配分する」と考える。まったく因果関係、優先順位が逆なのだ。所得再配分が成長を促すのだとしたら、政府の役割はひたすら高所得者や儲かっている企業から税金を徴収して、若年者や低所得者に配ればいいという話になってしまう。  民主党の政策はまさに、そういう構造になっている。だからこそ、前々回コラムで指摘したように「企業」という言葉は重要文書に1回も登場しない。民主党の頭の中で企業の役割はないかのようだ。 経産相経験者の枝野は「成長は幻想」という  同じ考えは海江田だけでなく、民主党の幹部たちが選挙戦を通じて繰り返し述べている。どれくらい本気でそう思っているのかと思って、たまたま枝野幸男事務所から送られてきた「叩かれても言わねばならないこと~『脱近代化』と『負の再分配』」という枝野の著書を読んでみた。  そこには、こう書かれている。 < 経済成長期は日本が手にするパイ、つまり富はみるみる増えていった。この時代の政治の役割は『富の再分配』だった。しかし、低成長時代に入って、パイの拡大は限られたものになった。現代はコストやリスクをどうやってみんなで公平に分担するのかという『負の再分配』の時代に入っている。私たちは、成長幻想や改革幻想といった夢から覚めて、その現実に向きあわなければならない >(一部略)  民主党政権で官房長官、経済産業相を経験した枝野が「成長は幻想だ」という認識なのである。簡単にいえば「もう低成長だからパイは増えない。夢は捨てよ。コストやリスクの分担を考えよう」という主張だ。控えめに言っても、枝野はパイをどう増やすかに熱心でない。  これに対して、アベノミクスはデフレ脱却を目指して金融と財政のマクロ政策を総動員し、その後、中長期の安定成長を目指して規制改革を進めるという政策である。改革の進展具合に不十分さはあるが、もちろん景気回復も成長もあきらめてはいない。  肝心要の経済成長について、自民党は言葉だけでも「全力を尽くす」姿勢なのに対して、民主党は「まず分配政策。成長幻想から覚めよ」と言っている。両党の考え方がこれだけ違ってしまうと、いまの段階では、とてもまともな議論にならない。根本が違うからだ。  はっきり言うが、私も公正な分配は必要だと思っている。ただし、それはあくまで成長が前提である。成長なくして公正な分配だけを目指しても、ジリ貧になるだけではないか。15年デフレ、20年にわたる大停滞を経た日本に必要なのはジリ貧脱出政策である。  デフレ下で税金を再配分するだけで、どうして成長が持続可能になるのか。ジリ貧が進行するだけだ。  自民党と民主党の成長に対する考え方がこれだけ違っていて、有権者の判断が明確に示されてしまうと、負けた側(メディア予想によれば、おそらく民主党)は大きな痛手を被る。そうなると、選挙後は野党再編のような展開になる可能性すらあるかもしれない。