• the Riv@als 第1話 side B 「フリルドスクエア」

    2017-02-12 18:411

    一週間前



    穂乃香

    雪歩さん、狂いましょう


    雪歩
    ふぇ!!?
     と、突然何を言い出すの綾瀬さん??」



    穂乃香
    「バレエの演目に『ジゼル』というのがあるのは知っていますか?」

    雪歩
    「じぜる…そういえば聞いたことがあるような」

    穂乃香
    「この演目のキーワードの一つが『狂うこと』なんです。実際にビデオを見てもらった方が早いでしょう」



    ------------------------------------------------------------

    穂乃香
    「どうですか」

    雪歩
    「う…うん……なんというか…とても怖いんだけど切なさもあって……
    うまく言えないんだけど引き込まれました」


    穂乃香
    「ジゼルは第一幕で恋人アルブレヒトの裏切りに合い発狂してしまいます。
    第二幕ではウィリと呼ばれる幽霊になったジゼルとアルブレヒトは再開し、
    彼を許してジゼル冥福を得るのですが…」





    穂乃香

    「この演目はダンサーによっていろいろな解釈がとられる作品なんです。
    例えば、アルブレヒトがジゼルを愛していたか否か、
    幽霊となったジゼルがアルブレヒトを許すか否か
    中にはジゼルは死ぬのではなく狂気に陥ったまま生き続ける
    という解釈をとる場合もあります」

    雪歩
    「一つの演目でもダンサーによって見せ方が違う…ということですか?」

    穂乃香
    「ええ、それで思ったんです。雪歩さんには『ジゼル』が似合いそうだと」

    雪歩
    ええっ!? こんな繊細なお話私にはできませんよぉ…」



    穂乃香

    「そうですか? 一人で残って練習している雪歩さんを見て思ったんです。
    この人の中には自分の確固たる世界があるって。ただそれと演目があってなくて苦しんでいるんだって」

    雪歩
    「そんなそんなそんな…私はただ、先生や綾瀬さんの言う通りにやれていないだけですぅ…」

    穂乃香
    「本当ですか…」

    雪歩
    「………それは…確かにこうしたいっていうのはあるけど……
     でもやっぱりダメですぅ! 綾瀬さんにこんな事と話したら笑われちゃう」

    穂乃香
    「どんなことですか? 言ってみてください」



    雪歩

    「………………………………………………………………ヒロイン

    穂乃香
    「え?」

    雪歩
    ヒロイン……やってみたいんです!
    多分、春香ちゃんか美希ちゃんに選ばれるんでしょうけど
    でも真ちゃんが主役なら私だってヒロインに!!

    穂乃香
    「だったらなりましょう! ヒロイン! いいじゃありませんか」




    雪歩

    「本当ですか? こんなダメダメな私でもなれますか?」

    穂乃香
    「そのための手助けならいくらでも!
    実は『ジゼル』を見せたもう一つの理由があるんです」

    雪歩
    「もう一つの理由…?」

    穂乃香
    「今言った通り、ジゼルのキーワードには『狂気』があります。
    今度の演目にもそれは言えるんじゃないかって」

    穂乃香
    「この脚本の中の世界、どこかおかしいですよね。
    絶対王政期のフランスをモチーフにしているけど只の史劇じゃない。
    ところどころのセリフ回しや演出が歪んでいるんです」

    雪歩
    「あ、それはプロデューサーも言ってました。
    春香ちゃんや伊集院さんはすぐにそれに順応したみたいだけど、真ちゃんは苦戦しているみたい」

    穂乃香
    「多分、この先生の世界観なんでしょうけど、これをさらに雪歩さんの狂気で歪めてしまうんです」


    雪歩

    「私の…狂気ですか?」

    穂乃香
    「はい! 春香さんのように世界観に順応して役を作るのではなく、雪歩さんの世界観に脚本を順応させてしまうんです。
    そのためには、この脚本以上にくるってしまう事が一番近道になると思います」

    雪歩
    「私に…できますかそんなことが……?」

    穂乃香
    「はい、きっと!」




    ------------------------------------------------------------

    そして…



    穂乃香

    「ふふ… よかったですね雪歩さん」




    「なーにニヤついてんの穂乃香ちゃん?」

    穂乃香
    「えっ? いや忍ちゃん!?何でもないですよ?」




    あずき

    「あーさてはカレシからのメッセージだな?」

    穂乃香
    「えっ!? そんな! ちっちがいますよ!」


    「ないない。オクテな穂乃香チャンに限ってそれはないって
    どうせまた例のブサイク関係でしょ」

    穂乃香
    「えっと…それも違うんですけど…
    それに! ぴにゃこら太はブサイクじゃありません!!」



    美城

    「そもそも、我がアイドル部門は恋愛禁止のはずだが?」


    うわぁっ! じ、常務サン? いつからそこに??」

    美城
    「ミーティングの時間を言い渡したのは私だ …ふむ、全員そろっているようだな」


    美城
    綾瀬穂乃香喜多見柚…」




    美城
    工藤忍桃井あずき……」




    美城
    「君たちは本日をもって候補生から正式に我が社のアイドルに昇格することになった」


    「ええっ ほ、本当ですか!?」


    美城

    「うむ。4人一組のユニットとして活動してもらう。
    ユニット名は<フリルドスクエア>、我が346プロのアイドル部門初のユニットだ。
    4人とも心して活動に臨んでもらいたい」

    穂乃香
    「私たちが…本当にアイドルに…」

    桃井
    「アイドルデビュー大作戦、成功ってこと…?」




    美城

    「成功するかは最初のイベント次第だな。
    君たちには『プロダクション・マッチフェス』に出てもらう」


    「『プロダクション・マッチフェス』?」


    「あ、アタシ知ってるよ。ネットアイドルが集まって一番を決める奴だ!」

    美城
    「そうだ。だが次回のイベントは我が社も協賛し出演することが決定した
    話によれば我々だけではない。あの765プロ876プロもアイドルを出してくると聞いている」



    穂乃香

    「え……?」


    「765プロと876プロもですか!?」


    美城
    「セミプロのネットアイドルたちは言うまでもなく、現役のアイドルたちにも負けるわけにはいかない。
    全員、そのことを肝に銘じてもらいたい」


    4人

    「はっ、はい!!」




    穂乃香

    (765プロってことはもしかしたら……)




    (まさかと思うけど、やよいちゃんや響ちゃんじゃない…よね)






    「うん?」




    あずき

    「二人ともどうしたの??」





    穂乃香
    「…ううん、何でもありませんよ。
    みんな、やるからには絶対に勝ちましょう!!




    「そうだね。あのスゴイ人たちとやっと肩を並べることができたんだもん
    次はそれを追い抜かさなきゃね!!」



    「おお、なんか二人とも燃えてるねー!」

    あずき
    「それじゃあ『プロダクションマッチフェス大作戦』始めよっか!」

    4人

    「おおーーー!!!!」


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  • the Riv@als 第1話 side B 「アイドルアカデミー大賞」

    2017-02-08 18:25





    軽口

    「今回、お集まりいただいたのは、私が提唱する構想に賛同された方々です。
    すなわち、アイドル界の再編、ひいては芸能界全体の体質改善を最終目標とした脱IUの計画の……」


    軽口
    「いちテレビ局でしかないTVUの社名を冠した大会がこの業界の最高峰である事…
    それこそが、すべてのアイドルにとっての不幸と言えます。
    事実、現在のIUは一部勢力の意図が露骨に反映された恣意的な内容になっている」



    軽口
    「全16組が本選に出場しているにもかかわらず、
    多くの視聴者は日高舞、四条貴音、魔王エンジェル以外の動向をまるで知らない。
    アイドル界の最高峰が誰かの私物であってはいけない
    そこで、私は新しい【権威】を作り出す事を提案いたします!」



    有明記者
    「新しい【権威】…?」

    軽口

    「理想はアメリカの映画芸術科学アカデミーです。
    この業界には多くのプロフェッショナルが携わっています
    私のようなダンサー・振付師、音楽家、作詞家、ドラマ脚本家……
    カメラマン、プロデューサー、ディレクター、そしてアイドル自身……」

    軽口
    「その無数のプロ一人一人が審査員となり、その年最も輝いたアイドルに投票する。そしてそこから導き出すのです!
    無数のプロフェッショナル…すなわち業界そのものが選び出すアイドル…
    特定の勢力の意思に左右されない真のトップアイドルを!!」



    美城
    「なるほど。アイドル版アカデミー賞という訳か」

    軽口
    「陳腐なネーミングセンスで恐縮ですが、これを『アイドルアカデミー大賞』と命名させて頂きます。
    そして、この構想に賛同していただけるのであれば皆様にはその最初の審査員となっていただきたい」



    こだまプロ プロデューサー
    「真のトップアイドルですか…面白い、わが社は賛同します!!」


    有明
    「大きな声では言えないが…今のIUの体制に疑問を持つ業界人は多い。
    私もその一人です」



    美城

    我が346プロはこれからアイドル産業に打って出たいと考えている。
    そのためにも961や東豪寺と対抗する手段が必要だ。協力しよう」




    武田
    「……軽口さんに一つお聞きしたい」

    軽口
    「…………なんでしょう武田さん?」

    武田
    「あなた方は常日頃『勝たせたい者を勝たせる』をポリシーとして、審査をやってきた。
    それは多くの人が知るところだ」

    軽口
    「…はい。たしかに」



    武田

    「今あなたは特定の誰かの意思に左右されない真のトップアイドルと仰ったが
    それはあなた方のこれまでの行いとも矛盾していることは自覚しておいでか?」

    軽口
    「………もちろんです
    発起人としては公正な制度を求めますが同時に贔屓したいアイドルはいますよ。
    彼女は今のIU体制を潰す事が出来ると確信しています」



    軽口
    「ですから、IA大賞全体の牽引とは別に私は全力でバックアップするつもりです。
    あらゆる手を使ってね…!」



    軽口

    「これは皆様も同様です!
    アイドルアカデミー大賞は公正であるがゆえに熾烈な競争を歓迎します!
    もし勝たせたいと思う子が近くにいるならばその子のために全てを捧げるべきです!!」



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    尾崎
    軽口さん、うまくいっているかしらね?」

    夢子
    「大丈夫じゃない?  あの人、喋るの得意みたいだし
    ていうか上手くいってもらわないと困るのよ。
    今日、武田さんも来てるんでしょ?」

    尾崎
    「そのはずよ」

    夢子
    「あの人が軽口さんに協力してくれるのならアピールするチャンスが増えるわ!」



    尾崎

    「そう言えばアナタ『オールドホイッスル』に出るのが夢なのよね?」

    夢子
    「ええそうよ!そのためだったら私は何だってする!
    アイドルアカデミー大賞開催に協力するのも、IUで日高舞や魔王エンジェルと
    ぶつかるよりも効率的だと考えたからだしね」

    尾崎
    「…………」

    夢子
    「で、プロデューサーは?なんであの人に協力してるの?」

    尾崎
    「え?」

    夢子
    「涼から聞いたけど……876に担当してた子がいたんでしょ?
    その子を切ってまで私や軽口さんと組む事にしたのは何で?」


    尾崎
    「……………」

    夢子
    「まあ、言いたくないなら別にいいけどさ」

    ???
    「見つけたぞロン毛ーーー!!!」



    尾崎
    「え?」

    サイネリア

    「ここであったが百年目!
    覚悟するデスよ!!!」

    尾崎
    「あなた! 鈴木さん!?」

    サイネリア
    「アタシをその名前で呼ぶんじゃない!!
    さあ答えるデス! 何故センパイを捨てた!?」

    尾崎
    「……っ!」

    善永
    「いたいた! こらネットアイドル!!」



    サイネリア
    「ゲッ!?」

    善永
    「入館証受け取ったと思ったらすぐに消えて!
    わかってんの? あなたViDaVoの記者なのよ!?」

    サイネリア
    「離すデス!」


    尾崎
    「あ、善永さん?」

    善永
    「あら、夢子ちゃんと…尾崎さん? 済みませんウチの記者がご迷惑を……」

    尾崎
    「記者?」

    サイネリア
    「そうデスよ! ViDaVoオンラインの専属記者デス」



    尾崎

    「困りますね
    取材なら事前に伝えてくれないと」

    善永
    「申し訳ありません。本日は夢子ちゃんの取材ではありませんので…
    また日を改めて伺います……
    ホラ行くよ!!」

    サイネリア
    「だから離すデス!
    コルぁロン毛ぇ!!これで勝ったと思うなよ!!
    センパイの純真を弄んだ報い、必ず受けさせるからなーー!!!

    善永
    「こら暴れるなっての!」



    尾崎

    ………待って!

    サイネリア
    「え?」


    尾崎
    「鈴木さん、絵理に伝えて頂戴
     『私の事は忘れなさい。あなたには才能があるからそれは大切にして』って……」


    サイネリア
    「ロン毛……?」

    尾崎
    「夢子さん 行くわよ」





    夢子
    「ちょ ちょっと!? ねぇ、さっきのって……?」

    尾崎
    「夢子さん、私達の最初の標的はわかってるわね?」

    夢子
    「へ? ええ、もちろん…『プロダクションマッチフェス』…
    最近ネットで話題になってる動画配信イベントよね?
    アレで一気に知名度を稼ぐって…昨日軽口さんと確認したじゃない」

    尾崎
    「私が軽口さんと組んだ理由、教えてあげるわ」






    尾崎
    復讐よ。 芸能界とネット、二つの醜い世界に対するね


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  • VESPERIA CIRCUS あらすじ ⑤「響復活篇」

    2017-01-11 17:27
    陽川Pによる響復帰作戦が始まった!



    まずは〈シャドーマーズ〉の知名度を活かし、響の復活をネットの世界に広める陽川。



    ネット上の動きが765プロの計略であると見抜いた黒井は即座に対応に出る。



    陽川の基本方針は「世論を動かす事」だった。『ダンスマスター』で名勝負を繰り広げた我那覇響菊地真が手を組み〈ジュピター〉に挑む。その物語性に、日本中のダンスファンが対決を待望する、という流れを作り出そうとしていた。




    だが黒井社長は頑として響を飼い殺しにするという方針を替えようとはしない。
    黒井にとって響は貴音を孤高の存在たらめるための手段であり、飼殺すことに価値がある存在であったのだ。


    それでもなお陽川の仕掛けは止まらない。
    世論を動かすために〈ジュピター〉を挑発し、冬馬から勝負を買って出るかのような発言を引き出す。




    しかし、それも最終的な獲物を捕まえるための仕掛けの一つに過ぎなかった。
    陽川の標的はそれより先にあったのだ。





    IU執行部の天ノ河プロデューサー。世論づくりも、〈ジュピター〉への挑発も、
    全ては黒井と蜜月関係にあったこの男を落とすための罠であった。
    天ノ河との癒着によって黒井と貴音はIUでの勝ちを約束されている。黒井は彼の意向を無視するわけにはいかなかった。

    こうして棋戦は陽川と765プロが勝利するかに見えたが、黒井は鬼の一手でそれを打ち砕いてしまう。




    「ダンス留学」と称して響を強制的にアメリカへ送り半年間戻さない。その間にIUで優勝しつつ、国内の響待望論を風化させてしまおうとしたのである。









    こうして陽川たちの目論見は失敗に終わるかと思われた。
    だが、彼らは961プロに対してもう一つの罠を張っていたのだった。



    ちょうどその時、961プロでは一つの計画が始動していた。翌年のIUでの覇権を目指す新アイドル育成プロジェクト〈ProjectCinderella〉である。





    この計画の中核となるアイドル候補生たちが一斉に876プロへの移籍を申し出た。











    それは高木社長の盟友、876プロの石川社長をも巻き込んだ壮大な作戦だった


    かたくなに響を飼い殺しにしようとする黒井の態度は、〈ProjectCinderella〉の候補生たちに不信感を抱かせるのに充分であった。石川はそこをついて大規模な引き抜き工作を始める。彼女たちが抜ければ計画は立ち行かなくなり、来年以降の戦略を見直さねばならない。

    そこで石川社長は交換条件を提示する。




    響の移籍に応じれば、それは候補生たちの黒井への不信感をぬぐわせる事にもつながる。
    そこまでが陽川と765プロが考えに考え抜いた策略だったのだ。

    「やられたよ社長、これはアンタの……いや、俺たち961プロの負けだ」

    前任Pの説得でついに黒井は響を手放すことになる。




    こうして響は961プロをやめ、876プロのアイドルとして、そして真ややよいとのチームメイトとして新たな門出を迎えた。彼女は生まれ変わった。あの日、貴音との決戦で敗れた後、一番の心からの笑顔でスタートを切る響。




    彼女の目標は真ややよいとともに『ダンスマスター』で〈ジュピター〉に勝つこと。


    そして、もうひとつ……














    ⇒様々な想いが交錯する中、第三部「the Riv@ls」開帳!