• 世代交代ではなく“群雄割拠”。ゴールドドリーム戴冠が意味する、ダート競馬界の現状-「フェブラリーステークス」戦評

    2017-02-24 18:001時間前
    フェブラリーステークスを前日に控えた18日。2002年の東京大賞典を制するなど統一GⅠを4勝し、一時代を築いたゴールドアリュールが急死したというニュースが流れた。その実績もさることながら、種牡馬としても次々と活躍馬を輩出し、既にスマートファルコンエスポワールシチーという後継種牡馬も輩出。現役時代に国内のダート競馬で名を挙げた馬としては、これまでで最も成功した種牡馬と誰もが評するだろう。それだけに18歳でこの世を去ったのは早すぎるが、19日のJRA東京競馬場で子供たちが次々とその偉大さを誇示したことは、多くの者を感動させたはずである。

    <レース概況>

    ゴールドドリームなどがやや出負けしたが、比較的揃ったスタート。そこから真っ先に抜け出したのはインカンテーションで、ダートコースに入る段階で1馬身抜け出し、そのまま先頭に立つ。これにニシケンモノノフが追走し、2頭で後続を引き離していく。コパノリッキーは離れた3番手につけるが、ここにはケイティブレイブモーニン。さらに遅れてホワイトフーガも加わり、これがグループを形成する。人気どころの各馬は、2番人気のゴールドドリームが中団やや後ろから、1番人気のカフジテイクサウンドトゥルーらとともに最後方のグループからレースを進めていった。

    この隊列が向正面中ほどで固まると、その後は淡々と進んでいく。しかし3コーナーを過ぎると、逃げるインカンテーションのスピードが徐々に鈍り始め、後続の各馬がその差を詰めにかかる。序列こそ大きく変わらなかったものの、4コーナーを回る段階では、最後方までが10馬身ほどに収まる団子状態になっていた。

    最後の直線もインカンテーション先頭で入ったが、残り400m付近でニシケンモノノフが交わして先頭に立つと、そのまま抜け出して2馬身ほどのリードを奪う。これに襲い掛からんと馬群から抜け出したのが、直線で馬群の外に持ち出したゴールドドリームと、その一歩前でレースを進めて馬群をさばいたベストウォーリアの2頭。残り150m付近でニシケンモノノフを交わすと、内外馬体を大きく離した2頭による叩き合いに。しかし終始優位に進めていたのは外のゴールドドリームで、ベストウォーリアは鼻面を並べるとこまでしか届かなかった。結局ゴールドドリームがクビ差競り勝ち、統一GⅠホースの称号を得るゴール板を駆け抜けた。1番人気のカフジテイクは大外から猛然と追い込んできたが、2着ベストウォーリアに4分の3馬身届かず、3着に終わっている。

    <各馬の戦評>

    中団を無理なく追走し、4コーナーではスムーズに外に出すことができたゴールドドリームは、勝つ時はこんなものと言いたくなるほどに上手く流れに乗れた。思えば前走のチャンピオンズCは、スタートで安目を売ってから先行する、少しチグハグな競馬。今回もスタートは悪かったが、中団で無理しない戦いをしたことで、最後の直線で末脚を伸ばすことにつながった。またベストウォーリアに競り勝った勝負強さも披露したことで、ダート競馬界に新たな主役候補が誕生したといえるだろう。
    ただし真の主役になるためには、課題が多すぎる。時計の速いダートに良績が集中しているし、昨秋からスタートが決まっていないことも問題で、現状ではかなり条件がつく馬だと思った方が良い。しかしこれらの課題がクリアされれば、タイトルを積み重ねていくポテンシャルを秘めているのは間違いない。今後の成長が楽しみに感じる存在が、勝利を手にしたと思っている。

    2着ベストウォーリアは、道中の位置取りはもちろんのこと、最後のコース取りも含めてゴールドドリーム以上に上手く行った競馬。それでもなお競り負けたというのは、相手の若さと勢いに押されたのではなく、本質的にマイルが長いという部分だろう。今回の走りを見ても、まだ力の衰えは全く見られないが、自身のベストであるコーナー2つの1400m戦で統一GⅠがないのはつらい。そのために今後も、勝ち切れない競馬が続いていく可能性は、否定できないだろう。

    1番人気に支持されたカフジテイクは3着。後方から大外を鋭く伸びて来たものの、届かなかったという競馬だが、自身の力は出し切っている。陣営からは位置取りが後ろ過ぎたという声もあったが、そもそもこういう競馬しかできない馬で、位置を取りに行けば末脚の切れが鈍るだけ。チャンピオンズCの際に統一GⅢ級で勝ち負けレベルの馬と、この馬について評したが、いみじくも証明された1戦かも知れない。
    なお次走に、ゴドルフィンマイルへの遠征を予定しているとのことだが、メンバーが軽くなるGⅡなので、展開次第で見せ場を作ることは可能だろう。ただし嵌って勝利を手にしたとしても、それだけで国内における評価を変える必要は、恐らくないと思っている。

    4着以下の馬でレースを盛り上げたのは、5着のニシケンモノノフだろう。レース前、どういう展開になっても力を出せる自在性があると指摘したが、それを示すように道中は2番手からの競馬。そして最後の直線では、一旦は完全に抜け出す場面を作って他馬を慌てさせ、ギリギリまで粘ったのだから見事な走りだった。そもそも重賞級で戦える地力がありながら、OP特別にこだわったために出世が遅れた馬。今後も統一GⅢクラスならタイトルを積み重ねていくだろうし、強い相手でも無視できない存在であることを証明したと思っている。

    もう1頭好意的に取り上げたいのは、6着のケイティブレイブ。久しぶりにマイル戦を使って来たが、好位グループを追走し、最後まで喰らいつく走り。この距離でも先行できたのは前向きに捉えるべきだし、主戦場である2000m級の舞台で戦う上でもプラスになるはず。もっともこれだけ戦えるのなら、前走の川崎記念が余計残念に感じてしまうのも事実だが、この1戦が成長の糧になったことは間違いないだろう。

    ここからは私が期待して結果を残せなかった2頭を取り上げる。まず本命としたコパノリッキーは、3番手で最後の直線を迎えたものの、そこから下がる一方で14着に終わった。武豊騎手に戻っても狂った歯車は直らなかったが、4ヶ月前にマイルチャンピオンシップ南部杯を1分33秒5で駆け抜けた馬なので、一連の敗戦を衰えと決めつけるのも難しい。そこで改めて戦績を振り返れば、チャンピオンズCから馬体重が540キロ台統一GⅠ8勝中、6勝が530キロ台によるものなので、馬体が絞れた時にどうなのかは確かめたいところだ。

    もう1頭高い評価を与えたサウンドトゥルーは、後方グループから追い上げたものの、勝負圏まで届かず8着。芝スタートで遅れることは陣営が想定していた通りだったが、終始外に馬を置く形になったのが想定外。動くに動けない形になり、コースもきれいに開くことがなかった。これは真っ先にダートコースに入れる1番枠を引いたこともあっただろうが、あれなら外枠を引いて、単騎シンガリになってしまった方が遥かに戦えただろう。しかし同じ末脚勝負型でも、スプリンター・マイラータイプが繰り出すそれとは違う印象を与えたのも確かで、マイル戦は距離不足と評するべきかもしれない

    <群雄割拠の時代におけるキーワードとは>

    これでマイルチャンピオンシップ南部杯から続いた統一GⅠロードが終了したが、その6戦中4戦までが、統一GⅠ未勝利馬による制覇となった。そのターニングポイントがホッコータルマエの引退にあったことは過去にも触れたし、それによって混迷の時代を迎えるであろうことも既に示唆している

    それでも私自身の予想は、それに抗うように旧勢力中心の予想をしていたと言っていい。それはそれまでハイレベルの戦いをしていたことと、それ故に巻き起こっていた心理戦が、新勢力相手にも通用すると見ていた部分がある。だが一連の結果を見て感じたことは、ホッコータルマエが象徴的な存在だった時代に台頭した勢力の威光が、新興勢力相手に通じていないこと。それが私自身重い印を打ちながら、結果を残せなかった馬に共通していると感じている。

    裏を返せば、今のダート競馬界で結果を出すために必要なものは“いかに自分を信じられるか”。駆け引きではなく、自分の力を出し切ることに専念することでチャンスを引き寄せられるのが、今のダート競馬界なのだろう。と同時に、条件や展開など“運”を味方につけなければ、タイトルを手にするのが難しい“群雄割拠の時代”を迎えたことを意味している。

    そうでなければ、いくら可能性豊かな明け4歳馬といえども、課題が山積しているゴールドドリームがこれだけ強い競馬を見せたことを説明できない。見逃せないのは1年前、フェブラリーステークスで1-2フィニッシュを決めた2頭が、存在感なく今年のフェブラリーSを走り終えたこと。若さは可能性と同義語ではあるが、それ故に時代を築くことが保障された訳ではない。自分の力を信じることで旧勢力が貫録を示す舞台もあるはずで、まだ世代交代という言葉を使うのは早いような気がする

    (詳細なレース結果は日本中央競馬会のオフィシャルサイト等で確認してください)

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    JRA主催のダート統一グレード競走は、今後も統一GⅠのみ戦評記事を掲載します。

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  • 2017年2月22日の注目レースPART2 高知「レディスヴィクトリーラウンド最終ラウンド」一挙予想

    2017-02-21 22:301
    昨年11月にスタートしたレディスヴィクトリーラウンドは、これが最終戦である。トップの鈴木麻優騎手から最下位の木之前葵騎手まで、ポイント差は12あるが、残り2戦を連勝すれば20ポイントが手に入るので、全ての騎手に総合優勝の可能性が残されていることになる。そしてトップを走る鈴木麻優騎手は、唯一人地元がオフシーズンに入るため、所属する岩手競馬のシーズン終了後から高知に短期所属して、このシリーズに向けて実戦感を磨いている。どの騎手も充実した状態で、高知に集うはずである。

    <おことわり>
    今月一杯、予想は印と一言コメントのみとさせていただきます。ご了承ください。

    高知競馬7レース「レディスヴィクトリーラウンド高知 第1戦」(C3-5組選定馬)

    ◎(本命) (5)番 アルマゲスト
    ○(対抗) (6)番 オーシャンムーサ
    ▲(単穴) (2)番 アクティブバルド
    ☆(特注) (1)番 ロンシャンドリーム
    △(連下) (9)番 シンボリメルケル

    <自信度> ◎単勝=C  ◎○ワイド=C  3連複BOX=C


    年末の取消後はリズムを崩した感のあるアルマゲストだが、この組み合わせなら時計上位。2度目の手綱を取る宮川実騎手が、移籍後初勝利に導くか。鈴木麻優騎手が手綱を取るオーシャンムーサは大崩れのない馬で、逆転の可能性は十分。馬体が絞れて来れば、宮下瞳騎手が乗るアクティブバルトが不気味になる。

    高知競馬9レース「レディスヴィクトリーラウンド高知 第2戦」(C1-3組選定馬)

    ◎ (8)番 ヤマカツティラノ
    ○ (7)番 グラウス
    ▲ (5)番 アドマイヤリリーフ
    ☆ (3)番 エレガンスレディ
    △ (1)番 ランベルティ

    <自信度> ◎単勝=B  ◎○ワイド=C  3連複BOX=C


    高知移籍後は差して届かずの競馬が続くヤマカツティラノは、長い距離に実績が集中しており、マイル戦に距離が延びるこの舞台は有利。手綱を取る木之前葵騎手は、この段階で大逆転の可能性を残しているか。岡村卓也騎手が乗るグラウスは、C1級で苦しむ馬とは思えず、対抗評価。単穴には主戦の上田将司騎手が引き当てた、アドマイヤリリーフを取り上げる。

    (出走取り消しや当日の馬場状況等による予想変更は行わないのでご了承ください)
    (詳細な出走表は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)

    明日以降の予定
    2月26日 チャンピオンカップ(ばんえい帯広)
    2月28日 スプリングカップ(名古屋)

  • 2017年2月22日の注目レースPART1 浦和「ユングフラウ賞」

    2017-02-21 22:001
    先月一杯を持って、浦和所属の折笠豊和騎手が引退した。約15年の現役生活は栄光に彩られたものではなく、通算勝利数4勝が示す通り、負け続けたことで注目された騎手だった。そのため技量を揶揄する声があったのは確かだが、一方でどんなに技量のある騎手でも、勝つチャンスのある馬に乗れなければ結果を出すことは難しい。その視点に立てば“最も乗り馬に恵まれなかった騎手”と呼ぶことも出来ただろう。これからも似たような立ち位置になる騎手は出てきてしまうかも知れないが、そうならないだけのチャンスが、未来ある騎手にはあってほしいと願ってやまない。

    <おことわり>
    今月一杯、予想は印と一言コメントのみとさせていただきます。ご了承ください。

    ↓ユングフラウ賞当日のニコニコ生放送です


    注目レース 浦和競馬11レース「第9回 ユングフラウ賞」

    ◎(本命) (8)番 ピンクドッグウッド
    ○(対抗) (9)番 シェアハッピー
    ▲(単穴) (6)番 ヴィーナスアロー
    ☆(特注) (11)番 アップトゥユー
    △(連下) (7)番 アンジュジョリー、(2)番 スターインパルス

    <自信度> ◎単勝=C  ◎○ワイド=C  3連複BOX=B


    東京2歳優駿牝馬を制し、NARグランプリ最優秀2歳牝馬に選出されたピンクドッグウッド。初の左回りがトリッキーな浦和コースというのは気になるが、1400mなら大きく崩れることはないだろう。実績ナンバー2のアップトゥユーは前走準重賞が不満で、これならその準重賞を制したシェアハッピーと、ヤマミダンスに次ぐ金沢ナンバー2のヴィーナスアローを上位に取りたい。

    (出走取り消しや当日の馬場状況等による予想変更は行わないのでご了承ください)
    (詳細な出走表は地方競馬全国協会のオフィシャルサイト等で確認してください)

    このあと、高知で行われる「レディスヴィクトリーラウンド最終ラウンド」の予想記事を掲載します。