• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 21件
  • 『けものフレンズ』について(2,099字)

    2017-09-29 06:00  
    110pt
    アニメ『けものフレンズ』の監督であるたつき氏が、製作が決定している二期では監督をしない、それは製作委員会の幹事を務めるカドカワの意向――という趣旨のツイートをして、大きな騒ぎになっている。
    大きな騒ぎになっているのは、『けものフレンズ』が人気で、それを監督したたつき氏も人気だからだ。一方、監督が降板の主たる原因として名指ししたカドカワの人気は低いおかげで(それにはいろいろな理由があるが、ざっくりいうと拙いマネジメントでアニメファンを裏切ってきた前科がある、とアニメファンにとらえられている)、タツキ氏がカドカワの拙いマネジメントの犠牲者になったのではないかという見方が広がった。
    「カドカワはバカだから、自分たちのやり方を押し通そうとして、一番だいじな人を外した」
    というわけである。
    さて、この件に関して、ぼくは詳しいことを何も知らない。関連する人も、カドカワ社長の川上量生氏をのぞけば、お目に

    記事を読む»

  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第29回(1,928字)

    2017-09-28 06:00  
    110pt
    勉強ができるようになるためには、「勉強をした先にいいことが待っている」と予感しなければならない。それが予感できれば、人は勉強に伴う苦労や困難を厭わなくなり、自然と勉強するようになる。だから、勉強の鍵の一つは「予感」が握っているのだ。
    ところで、人はなぜ「予感」するのか?
    どのようなメカニズムで「予感」を抱くのか?
    人が予感を抱くのには、大きく分けて二つの道筋がある。
    一つは、「経験」である。
    パブロフの犬のように、ある音が聞こえてきた後に餌が支給されるという経験をくり返すと、次第にその音を聞いただけで「餌が食べられるのではないか」という予感を抱き、唾液を分泌するようになる。
    それとは別に、そうした経験がなくとも予感を抱くときがある。
    それは、「願望」を抱いているときだ。
    例えば、母親が赤ん坊に「いないいないばあ」をしたとする。このとき、赤ん坊は母親の顔が見たいから、「その手をどけてくれない

    記事を読む»

  • [Q&A]Amazonの法人向けECについてどう思うか?(3,190字)

    2017-09-27 06:00  
    110pt
    [質問]
    先日、amazonが法人向けECを開始するとのニュースが発表されましたが、amazonはこのビジネスの先にどんな構想・未来を描いていると思われますか?
    また、amazonは自動車業界に参入してくると思われますか?
    [回答]
    Amazonが、既存のインフラを効果的に使って新しいビジネスを構築するというのは、これまでにもしてきたことです。例えばサーバーを構築するノウハウがたまったら、それを一般に提供して莫大な利益を生むようになりました。今回も、Amazonが構築したECのノウハウを手頃な価格で一般に提供することで、大きな利益を得ようとしているのだと思います。そう考えると、このビジネスは「先」に何か目的があるというよりも、これまでのビジネスの一つの「ゴール」、あるいは収穫ととらえた方がいいでしょう。
    また、Amazonは自動車産業に参入してくると思います。というのも、今でも自動車はイン

    記事を読む»

  • お金の話:第11回「幸せとは何か?」(1,815字)

    2017-09-26 06:00  
    110pt
    投資とは、お金を増やすためにするのではなく、人々の幸せを増やすためにする。そのことが、結果的にお金を増やし、持続可能になる――ということこそ「投資」である。
    そのため、投資をするには「人々の幸せとは何か」を知る必要がある。
    ところが、これについて知っている人は意外に少ない。というより、ほとんどいない。人は、自分が幸せになることには関心があるくせに、実際に「では何が幸せか?」と問われると、はたと答えに窮してしまう。
    しかし、それには理由がある。幸せというのは、実は「何も感じないこと」だからだ。もっというと「不幸を感じないこと」である。不幸と感じないことこそが幸せで、人は幸せになると、その状態を実感できなくなるのだ。
    それは、お腹がいっぱいのときに「食べることの幸せ」を感じられないことと似ている。食べることの幸せは空腹とともにある。そして幸せも、不幸とともにある。幸せも、不幸になったときにこそ

    記事を読む»

  • 今は、働く必要も結婚する必要も子供を産む必要もない(2,121字)

    2017-09-25 06:00  
    110pt
    「働かざる者喰うべからず」という諺があって、これは金科玉条として長い間(1万年くらい)多くの人が信奉してきたが、21世紀に入ってその常識があっという間に崩れ去ってしまった。今は働くことが価値ではなくなった。それよりも成果を上げることの方が価値になった。
    ドラッカーは、そのことをもう数十年前に言っていた。ぼくは、『もしドラ』を書いた頃でもまだその意味を理解できていなかったが、ここ数年の変化を見て、ようやくそのことに気づけた。
    以前にも書いたが、世の中に「Google検索」というものができて、誰もが便利にそれを使えるようになった。だから、一見平等になったように見える。というか、条件は平等になった。
    しかし、平等になったらなったで、今度は検索の得意な者が有利になり、検索の苦手な者が不利になるという状況が、かえって促進されたのだ。
    デザイナーという仕事があって、昔はさまざまな技術――例えば「烏口で線を真っ直ぐに引く」こと――が必要だった。それを身につけるには、最低でも一年くらいの修行を要した。
    おかげで、その修行を経た者はデザイナーとして食いっぱぐれることがなかった。参入障壁が高かったからだ。
    しかし今は、「イラストレーター」というソフトを使えば、誰でも当時の最高のデザイナーより真っ直ぐできれいな線を、ほんの数秒のレクチャーで引けるようになる。そうなると、参入障壁が恐ろしく下がり、誰でもデザインできるようになってしまったのだ。
    誰でもデザインできるようになると、それまで烏口の技術を習得することができずにその業界に参入していなかったデザインセンスのある人たちが大挙して参入してくる。そのため、デザインセンスのない人は市場から撤退しなければならなくなった。
    今、社会で起きているのはそういうことである。デザインセンスのある人はデザインと名のつくあらゆる分野に進出できるようになったが、デザインセンスのない人の居場所はどこにもなくなってしまったのだ。
    そのため今は、デザインセンスを身につけなければならない。そういう本質で勝負しなければならない時代になった。しかも競争率は高いので、文字通りある分野で世界一になるくらいでないと、食べてはいけない。
    そういう時代に「働くこと」は、全く意味がないとはいわないものの価値が低い。価値があるのは成果を上げることである。
    コンビニなどを見ていても、ゾッとさせられることがある。今はコンビニが自動化されていないからそこで多くの人が働いているが、いつかコンビニが自動化されたらそこで働いている人たちは一体どこへ行けばいいのか?
    コンビニの自動システムというのは、もし開発されればそのオペレートは基本的に一人でできるから、雇用できるのはたった一人である。そうなると、その陰で世界中の何千万人というコンビニで働く人たちの仕事が失われる。その人たちは一体どうすればいいのか?
    これはなにもコンビニ業界だけの話しではない。あらゆる業界で起こることだ。それも、今後十年かそこらの期間で起こることだといわれている。だから、これから長生きする子供たちにとってはもちろん、今の大人たちにとっても命にかかわる重大事だ。
    もちろん、世の中にはそれなりのバッファがあるし、そう急激に変わらない社会システムもあるだろうから、コンビニが自動化されたからといって、そこで働いていた人たちが全員死ぬわけではない。死ぬ人もなくはないだろうが、大半は結局はなんらかの形で社会に吸収されていくだろう。
    例えば、ベーシックインカムもその一つだ。仕事がない人たちを救済するため、彼らが働いていなくとも生きていけるだけのお金を渡すというのは、最もシンプルなやり方だ。
    しかし、そこには大きな痛みが伴う恐れがある。というのも、そこでもしベーシックインカムを受ける人が「働かざる者食うべからず」という価値観を信奉していたら、「自分には価値がない」と思い込み、病気になるか、悪くすれば死んでしまうだろう。
    これは、結婚や子育てという価値観にも当てはまる。
    今、結婚というものに思い悩んでいる人たちは、社会のあり方が大きく変わって、それに伴って結婚の価値が変わったのにもかかわらず、古い法律や常識に縛られているため、そのジレンマに苦しめられているのだ。
    実は今、結婚することにはほとんど価値がない。だから、結婚をしないというのは間違っていないのである。むしろ正しいのだ。
    これは、「子供を産む」ということにも当てはまる。人口が多すぎる世の中では、産まないというのはむしろ賢い選択といえるのだ。
    それにもかかわらず、結婚しなければならない、子供を産まなければならないという価値観に縛られていると、そこで心が苦しむ。おかげで病気になったり、最悪死んだりするのだ。
    だから今必要なのは、「働く必要がない」「結婚する必要がない」「子供を産む必要がない」という価値観である。それが常識となることだ。
    だからぼくは、その価値を訴えていきたい。自ら実践するだけではなく、多くの人に広め、共有していきたい。
    なぜなら、それこそが多くの人の心を慰め、心の病気になったり死んだりする人を減らす、大きな社会貢献になると分かっているからだ。 

    記事を読む»

  • 『ダンケルク』が教えてくれる今、コンテンツを作る意味(1,534字)

    2017-09-22 06:00  
    110pt
    『ダンケルク』を見に行った。
    見に行って、あらためて感じたことを今日は書きたい。
    『ダンケルク』は、これまでにない映画である。
    これまでにない部分はいくつかあるが、「主人公がいない」ということもその一つだ。第二次世界大戦のダンケルクにおけるイギリス軍の撤退線が主軸としてあって、それに翻弄される人々をオムニバス形式で描いている。しかもそこで、三の軸を平行に扱い、主人公を決めないようにしている。
    この要素が、『ダンケルク』という映画においては非常に重要な役割を担っている。映画の内容としてもそうなのだが、それ以上に企画やテーマとして前面に押し出されているし、それを宣伝でも積極的に伝えている。
    なぜそうしているかというと、そうすることで観客に「見に行く意味」を生じさせようとしているからだ。観客というのは、「これまでにない映画」だったら、それにお金を出し、時間を使ってでも、映画館に見に行く意味を見出

    記事を読む»

  • 「きみは勉強ができないんじゃない、勉強の仕方を知らないだけなんだ」第28回(1,967字)

    2017-09-21 06:00  
    110pt
    人が予感を抱くのは、主に二つの方法によってである。
    一つは「経験」による。「パブロフの犬」は、特定の音を聞かされた後に餌を与えられるよう、習慣づけられた。そうすると、やがてその特定の音を聞いただけで、無条件に唾液が出てくるようになる。
    それは、餌が出てくることを「予感」してのことなのだが、その予感は経験に基づく。過去に経験したことが鍵となって、条件反射で予感が引き起こされているのだ。
    実は、多くの人が勉強を苦手とするのも、子供の頃に勉強をして苦痛を味わった経験があるからだ。つまり、条件反射で勉強をしたくないと思ってしまうのである。
    これでは、勉強の進むはずがない。勉強を効果的に進めるためには、まずこの「負の条件反射」を与えないことに最も留意しなければならないだろう。
    その上で、「勉強したら面白かった」という正の条件反射を与えられれば、人は簡単に勉強ができるようになる。誰に言われたわけでもな

    記事を読む»

  • [Q&A]物語の結末を気にしますか?(885字)

    2017-09-20 06:00  
    110pt
    [質問]
    ニュースピックスへの書き込みにハマっていて、好きでしょうがありません。これを仕事に(マネタイズ)出来れば最高だと考えていますが、何かアイデアはありませんか?
    [回答]
    ニュースピックスは、まさに書き込む人がハマるように制度設計されているので、お金を払ってでも参加している人が多いのだと思います。ですので、ニュースピックスの書き込みをマネタイズするのには少々無理があり、素直にブログかメルマガを開設されるのがいいかと思います。ニュースピックスは、その宣伝場所として活用されてはいかがでしょうか。
    [質問]
    ハックルさんが薦めてくれたTVドラマ『やすらぎの郷』ですが、最後まで面白いままいきそうです。
    ハックルさんは物語の結末を想像しながら見る方ですか? それとも想像はしない方ですか?
    [回答]
    ぼくは、物語の結論というのはほとんど気にしません。
    『やすらぎの郷』も見ていますが、どのような結

    記事を読む»

  • お金の話:第10回「お金を使う人の価値が高まった」(1,992字)

    2017-09-19 06:00  
    110pt
    お金というのは、さまざまな理由により価値が薄まってきた。インターネットをはじめとして、お金に代替するものがたくさん出てきたので、お金がなくとも世の中が回るようになってきたからだ。
    そうした中で、お金が余るようになってきた。今、銀行にはたくさんのお金が使われないまま眠っている。銀行家は、それへの使い道がなくて困っている。だから貸そうとしているのだが、借りる人がなかなかいない状況なのだ。それで、金利がどんどん下がっている。
    なぜ借りる人がいないかといえば、お金がなくとも世の中が回るからだ。
    ほんの20年ほど前までは、会社を設立しようとすると最低でも1500万円は資金が必要だった。それをすぐに用意できる人は少なかったから、銀行から借りる必要があった。おかげで、銀行は貸す人には困らなかった。
    しかし今は、ほんの10万円ほどで簡単に起業できる。10万円なら多くの人が簡単に用意できる。だから、銀行は貸

    記事を読む»

  • 知識ワーカーの終焉(2,216字)

    2017-09-18 06:00  
    110pt
    土曜日にドラッカーの勉強会である「渋ドラ研究会」に参加してきた。
    そこで新たな知見を得た。
    それは「知識ワーカーの終わり」だ。「知識ワーカー」とは、大学で勉強し、一般の企業に就職する、いわゆるホワイトカラーのことである。
    ホワイトカラーは、これまで80年間くらい世の中の主役を張ってきた。が、もはや主役ではなくなる。大学を出たくらいの知識では、これからは全く必要とされなくなるからだ。
    今日はそのことについて書きたい。
    Googleの2人の経営者は、Googleを始めてからずっと、自分たちのこれまでの経営を分析してきた。その中で、経営の善し悪しを決定づけるのは、圧倒的に「人」である――との結論に達した。それも、すぐれた一個の人間が、普通の人の十万倍以上の効果をもたらす――簡単にいうと十万倍儲ける――ということが分かった。
    だから、これからの経営は、すぐれた一個の人間を雇えるかどうかにかかる――

    記事を読む»