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  • Vol.261 結城浩/習慣を切り換える方法 - 仕事の心がけ/ある晴れた日の午後/

    2017-03-28 07:004時間前
    216pt

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    Vol.261 結城浩/習慣を切り換える方法 - 仕事の心がけ/ある晴れた日の午後/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年3月28日 Vol.261

    はじめに

    おはようございます。結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

    今年に入ってから、家庭の事情により、 仕事のペースがかなり落ちてきていました。 いろいろと低空飛行を続けていましたが、 先週から少しずつ回復基調になってきました。

    油断禁物ですけれど、ともかく感謝なことです。 応援もありがとうございます。

    つい「遅れていた分を挽回しなくちゃ」と、 ペースを上げそうになりますが、 そこは落ち着く必要がありそうです。 急にがんばって体調を崩してはいけません。 ペースを上げるにしても、少しずつですね。

     * * *

    新刊の話。

    現在は『数学ガールの秘密ノート/積分を見つめて』を執筆しています。 先週は、第1章から第5章までをぜんぶプリントアウトして、 朱入れをして、それをファイルに反映して…… といういつもの執筆作業を繰り返していました。

     ◆ただいま執筆作業中!(イメージ図)

    2017-03-27_writing.jpg

    推敲が進むにつれて、ちょっとずつ読むスピードが速くなります。それは、 内容と文章の品質が上がり、読むときのひっかかりが少なくなるからです。

    その一方で、品質が上がってくると気になることが現れます。 「何となく物足りないな」という気持ちです。 自分は繰り返し読んでいるので、内容が頭に入っています。 すると「もっと、こういうことも書きたいな」 という気持ちもわいてくるのです。

    実はこれ、危険な徴候です。

    概して、加筆すると品質は落ち、 削除すると品質は上がります。 ですから、加筆したくなったときには、 十分な検討が必要になるのです。

    「わかりにくいから説明を加筆する」 というのは正しいようですが、 いつも正しいとは限りません。

    加筆すると、局所的にはわかりやすくなります。 でも、読者への負担を増し、話の流れがはっきりしなくなり、 大局的にはわかりにくくなることが多いものです。

    説明の分量をやたらと増やすより、 適切な例をポンと出すだけの方がいいこともあります。 無駄な部分を削って、 読者が集中すべきところを明確にした方がいいこともあるでしょう。

    わかりやすくするための方法として、 加筆はもっとも安易といえば安易。 ですから、十分な注意が必要なのです。

    加筆しすぎを防ぐための方法のひとつは、 章のページ数を把握することです。 考えていたページ数を大幅に超えるようなら、 何かまずいことが起きている証拠だからです。

    先日も書きましたが、 結城はときどき、以下のスクリーンショットのようなグラフを使って、 他の巻とページ数を比較したり、章ごとのページ数を比べたりします。 ずいぶんふくれていましたが、 意識してページ削減した結果、だいぶバランスが良くなってきました。

     ◆執筆原稿のページ数比較(スクリーンショット)

    2017-03-24_pages.jpg

    ともかく、体調に留意しつつ、 今週もじっくり進みます!

     * * *

    IFTTTの話。

    複数のWebサービスを組み合わせる、 IFTTTという有名なサイトがあります。

     ◆IFTTT
     https://ifttt.com

    IFTTTというのは if this then that (もし、これなら、あれ) の略のようです。あるサービスで「これ」が起きたら、 別のサービスで「あれ」を実行する。 そのようなプロセスを象徴した名前ですね。

    IFTTTのユーザは、 複数のサービスを組み合わせて「アプレット」を作ります (すでに存在するアプレットを使うこともできます)。

    たとえば、結城が作った(利用した)のは

     Instagramに画像を投稿すると、
     (単なるリンクじゃなく)
     画像付きでTwitterにツイートする

    というアプレットです。

     ◆Tweet your Instagrams as native photos on Twitter - IFTTT
     http://ift.tt/2o8y2mV

     ◆スクリーンキャプチャ

    2017-03-27_ifttt_insta.jpg

    このアプレットでは、 InstagramとTwitterを組み合わせているわけですね。

    InstagramにはTwitterに投稿する機能がもともとついているのですが、 この機能ではリンクだけがツイートされるので、 見栄えがあまりよくありません(これはInstagramがFacebookに買収されたからだ、 という話を聞きましたが、真偽は知りません)。

    でも、上のアプレットを使えば、 Instagramに投稿した画像が添付された形でツイートされるのです。

     ◆InstagramからTwitterに画像を流したツイート例

    2017-03-27_ifttt3.jpg

    このアプレットでは、自分で設定を変えて、 ツイートに自分の好きなハッシュタグを入れることもできます。 細かいカスタマイズができるのですね。

    Instagramでシェアした投稿は、Twitterにツイートされますが、 別のアプレットを使ってEvernoteにも保存するように設定しました。

    以下がイメージ図です。

     ◆InstagramからTwitterとEvernoteへ(イメージ図)

    2017-03-27_ifttt.jpg

    その他に、IFTTTで結城がよく使うのは、

     ・決まった曜日の決まった日時になると特定のアクションをする
     ・ある特定のツイートが流れたら、Evernoteに保存する

    というものです。特にEvernoteへの保存は役に立ちます。

    余談ですが、IFTTTには、

     Facebookの友達が誕生日だったら、
     自動的にハッピーバースデイを書き込む

    というアプレットと、

     友達からのハッピーバースデイを受け取ったら、
     返事の書き込みをする

    というアプレットの両方があります。

    Facebook上でIFTTT同士が会話しているようすを想像して、 苦笑しました。

    IFTTTはなかなか便利ですよ。

     ◆IFTTT
     https://ifttt.com

     * * *

    そんなところで、今回の結城メルマガを始めましょう。

    どうぞ、ごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • 習慣を切り換える方法 - 仕事の心がけ
    • 勉強の機会としてのお仕事
    • ある晴れた日の午後
    • おわりに
     
  • Vol.260 結城浩/仕事がうまく進むパターンを探ろう/あふれそうなときの心の健康法/

    2017-03-21 07:001
    216pt

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    Vol.260 結城浩/仕事がうまく進むパターンを探ろう/あふれそうなときの心の健康法/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年3月21日 Vol.260

    はじめに

    おはようございます。結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    連絡先変更の話。

    この「結城メルマガ」のお問い合わせ先(メールアドレス) が変更になります。 以下では、" at " はアットマーク @ に読み替えてください。

    これまでは、

     旧: hyuki.mm at hyuki.com

    というアドレスでしたが、これからは、

     新: hyuki.mm at gmail.com

    になります。 要するに、hyuki.com ドメインから、 gmail.com へ変更したということですね。

    今回の変更は、スパムメール対策のためです。 なお、メール末尾にも記載してあります。

    もっとも、このメールアドレスでなくても、 結城メルマガの内容に関するお問い合わせやご意見は、 Twitter(@hyuki)などでお送りくださっても問題ありません。

    よろしくお願いいたします。

    以上、連絡先変更のお知らせでした。

     * * *

    Web連載の話。

    結城は毎週Web連載「数学ガールの秘密ノート」を更新しています。 今年(2017年)に入ってから「いにしえの数学」シーズンと題して、 紀元前の数学を題材に書いてきました。題材として扱ったのは、

     ・古代エジプトの数学(パピルス)
     ・古代バビロニアの数学(楔形文字)
     ・古代ギリシアの数学(タレスとピタゴラス、黄金比)
     ・古代中国の数学(算木と『九章算術』)

    などです。 先週金曜日に公開になった第190回で「いにしえの数学」シーズンも終了。 あっというまの十週間でした! 第190回は「数の謎、いにしえの謎」というタイトルで、 プリンプトン322と呼ばれる粘土板のお話になりました。

     ◆第190回に登場した問題

    2017-03-20_plimpton.jpg

    cakesの有料会員になっていない方でも、 2017年3月23日までは無料で読めます。 謎解きが楽しいので、ぜひあなたもお読みくださいね。

     ◆第190回 数の謎、いにしえの謎
     https://bit.ly/girlnote190

    今回の十週間は、結城の個人的な事情で、 何かと大変な時期にあたってしまいましたが、 なんとか十回分、休むことなく書き続けることができました。 ほんとうに感謝なことです。読者さんの応援に感謝です!

    今回も、書く分量はいつもと変わりません。 でも、古代数学史に関係した話題だったので、 調べ物がたいへんでした。 新たに学んだこともたくさんありましたね。

    少し大げさにいいますと、 自分の中ですこし「新しい境地」がひらけた感があります。 自分にもまだまだチャレンジできることはあるんだな、 との思いを強くしました。

    結城は自分で「歴史が苦手」という意識があったのですが、 今回のシーズンを書いてみて「食わず嫌いは良くない」 とも感じました。 調べたいこと、考えたいことがわき出てくるからです。

    「数学ガール」シリーズのおもしろさの一つに、 《多数の分野がおもいがけないところでつながっている》 点があります。数学史をひもとくと、 その《つながり》があちこちに隠されているようで、 何だかわくわくしますね。

    ところで「いにしえの数学」シーズンが終わったので、 数週間のお休みの後、新シーズンを始めます。 題材は何がいいでしょうね。

    「数学ガールの秘密ノート」では、これまでに、 以下のような題材を扱ってきました。

    式とグラフ、整数、三角関数、数列、微分・積分、 ベクトル、場合の数、統計、指数・対数、曲線、 ビット演算と束、不等式、行列、波、数の構成、 複素数、論理と証明、そして古代数学史。

    Twitterなどで「結城さん、こういうのを書いて!」 と過去にリクエストされたものの一部をご紹介します。

    複素平面、一次変換、確率、連分数、整数、 三角関数、巨大数、パラドックス、ゲーム理論、 曲面、暗号理論、音楽……など。

    Web連載の題材ご要望は、 Twitterで @hyuki あてに送ってください。 リプでもDMでもかまいません。 もちろんメールでも大歓迎です。 参考にさせていただきます。

     ◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」
     https://bit.ly/girlnote

    次のシーズンは第191回〜第200回となります。 もうすぐ連載200回になります!

    第1回は2012年11月2日でした。 Web連載開始から丸四年と数ヶ月が経ったことになります。 早いですねえ……

     * * *

    書籍執筆の話。

    ここ数回の結城メルマガにも書いていますが、 最近はプライベートな事情で、 仕事に掛けられる時間がだいぶ減っています。

    現在取り組んでいるのは、 『数学ガールの秘密ノート/積分を見つめて』の作業です。 ほんとうはとっくに脱稿できる予定でしたが、 ずいぶんずれこんで来ています。

    全体を繰り返し読んでいるにも関わらず、 いまだに第1章と第2章の絡み合いが解決できていません。 プリントアウトして、朱入れをして、 ファイルに反映するという作業を繰り返しながら、 最適解を探っている最中です。

    結城は、原稿の全体を見通して読み返すときには、 A4用紙の一枚に4ページを割り当てる形式の印刷をします。 それを読みながら、フリクションボールペンの赤で、 ちまちまと朱入れをしていきます。 以下の画像のような雰囲気ですね。

     ◆朱入れをした原稿のイメージ

    2017-03-11_writing.jpg

    これを一章分続けたら、 自分の朱入れを見ながらLaTeXファイルに修正を反映します。 そしてまたプリントアウト。

    第1章と第2章の絡み合いが解決できない理由ははっきりしています。 いろんな要素を「盛り込みすぎ」なのです。 扱っている題材をバッサリ捨てきれないため、 絡み合いがほぐせないでいるわけです。 本を書く作業の中では難しいところの一つが、 この「捨てる」という作業だと思っています。

    捨てられない理由を端的にいえば、

     「せっかく書いたのだから削除したくない」

    という気持ちがあるからです。 でも、それだけではありません。

    捨てられない深い理由は、

     「ほんとうに捨ててはいけないところ」

    がどこにあるかを見抜けていないからなのです。 だから、捨てるのがこわい。

    言い換えるなら、 その章で《読者に伝えたい、たった一つのこと》を発見するまで、 この苦悩は続くはずです。

    まあ、じっくり行きましょう。

     * * *

    リサージュ図形の話。

    Desmosで働いているLuke Walshさん(@LukeSelfwalker)が、 「多角形バージョンのリサージュ図形」をツイートしていました。 以下のリンクです。

     https://twitter.com/LukeSelfwalker/status/842010282226524163

    通常はリサージュ図形というと、 周期の異なるcosとsinを使って描いた図形になります(大ざっぱな説明)。 言い換えると「円」をベースにしてそれをひねった図形になります。

    上のツイートで紹介されていたのは、 「多角形」をベースにしてひねったものとなります。 当然ながらその極限は通常のリサージュ図形。

    変奏曲を聴いているようで、 たいへんおもしろいです。

     * * *

    パスワードの話。

    先週の結城メルマガで「Webサービスの棚卸し」の話を書きました。 それに関連した話です。 あなたは、どんなパスワードを使っていますか。

    結城は、ランダムなパスワードを生成し、それを使っています。

    たとえば、コマンドラインから、

     $ openssl rand 16 -hex

    と入力すると、 以下のような16バイト分の乱数が16進数で表示されます。

     73cac15490dda0f2f03e26f894fa65cd

    もちろん、繰り返すたびに異なる乱数が得られます。

     $ openssl rand 16 -hex
     044563615c7e1e162ad5dc6cda088615
     $ openssl rand 16 -hex
     6e6257e596abfe89410bbadf89d9e2d6
     $ openssl rand 16 -hex
     39c70c36144fa467daa04ce879df3210
     $ openssl rand 16 -hex
     70ca3479cf922509ed3692a49a2d0cbb
     $ openssl rand 16 -hex
     badc7d0f562fd77026a4b71f6e4b743f

    実行するときに -base64 というオプションをつけると、 Base64という符号化を行い、16進数ではなくASCII文字になります。

     $ openssl rand 16 -base64
     1soQhyAEMgxGETYwolb/8Q==
     $ openssl rand 16 -base64
     h81JeVP8dhli8KKi7txKPA==
     $ openssl rand 16 -base64
     imzjfW8wRumRUE48HtT54w==
     $ openssl rand 16 -base64
     aM+36htibzTIoKXyX+Ut9Q==

    あるいはまた、以下のコマンドでも、 Rubyを使って簡単に予測困難な文字列を得ることができます。

     $ ruby -rsecurerandom -e'puts SecureRandom.uuid'

    実行結果は、たとえばこんな感じになります。

     cee71175-34b8-4c87-a305-3a42805a1d73

    直後に同じコマンドを入力しても、 別の文字列になります。

     47f50534-0316-44e9-a529-0568c048e8d2

    結城はこういったランダムな文字列を組み合わせて、 パスワードを生成し、それを使っています。

    たとえば、以下のような文字列を生成し、 ここから適当に切り出した文字列をパスワードとして利用しています (もちろん、これらそのものを使っているわけではありません)。

     ndVS-j+Xl-JkEL-7Jud-kW9G-ZddB-N3PE-wEIM-sdkW-+OWu
     5Gi5-ShD5-pR3Z-6JpX-CKNZ-NMyT-vu4Y-aW7x-VnyE-gMvE
     4140-6945-3114-7787-1842-3022-6308-5847-7148-0395
     y2BdLW1RZbpwC9o1HhVS1aGqW0LwpzByRZ4Vo+p7psm
     plaQ-OI70-sSbi irS+-jl63 aaNz
     QIIL-4oPZ-ngVC /NCk-GUio lpg4
     8UAR-Hqlg-LaqV IdiM-9pDI edtc

    opensslのrandコマンドについては、 以下のページをご覧ください。

     ◆openssl
     https://www.openssl.org

     ◆rand - openssl
     https://www.openssl.org/docs/manmaster/man1/rand.html

    また、RubyのSecureRandomモジュールについては、 以下のドキュメントをご覧ください。

     ◆module SecureRandom (Ruby 2.4.0)
     https://docs.ruby-lang.org/ja/latest/class/SecureRandom.html

    パスワード管理ツールには、安全なパスワードを作る機能があります。 そこで作っているパスワードも、乱数を用いて作成したものになります。

    ちなみに、Webサービスによっては、 ユーザ名とパスワードだけではなく、 いわゆる「秘密の質問」の答えを登録させることもあります。 「母の出生地」や「ペットの名前」や「初めて見た映画」などですね。

    場合によっては、 これらの「秘密の質問」がセキュリティホールになることもありますので、 結城は、これらの答えもランダムな文字列にしています。

    たとえば、こんなふうに。

     質問:母の出生地は?
     答え:AQf2O8LEHLe7RQmbttBUMoNPLIYaIzy4VMr7HUwDsMj

     質問:ペットの名前は?
     答え:4jgd-yNTK-chDS-ZRCH-5QSB-n6ME-ykpw-62A8

     質問:初めて見た映画は?
     答え:2045-9937-6547-2667-0709-6339-7096-1248

    これらの「答え」は、 正しい答えを暗号化しているわけではありません。 単なるランダムな文字列です。

    結城は、こういうランダムな文字列に妙な魅力を感じるのですが、 あなたはいかがですか。

     * * *

    学ぶ順序の話。

    どんな本を読むときでも、 何らかの前提知識は必要になります。 入門書が想定する前提知識と、 高度な専門書が想定する前提知識は違いますけれど。

    一冊の本を読むときに限らず、 一つの分野を学ぼうとしているときにも、 前提知識が必要なことはあります。

    高度なプログラミング技術を学ぼうとしている人は、 その前提知識として、 基本的なプログラミングを学んでおく必要があるでしょう。 さらにその前提知識として、コンピュータの基本操作や、 コンピュータの仕組みなどが必要となるでしょう。 キーボードも打てず、エディタも操作できない状態で、 高度なプログラミング技術を身につけるというのは、 あまり現実的ではありません。

    つまり「学ぶ順序」が問題になるわけです。

    学ぶ順序は、どんな分野でも問題になります。 ある分野Yを学ぶときには、それより先に、 別の分野Xを先に学んだ方がいいのかな。 Xを学ばなかったら、Yに取り組むのは時間の無駄かな。 そんな思いを抱くことは、誰しもあります。 自分が学ぶときの「正しい順序」が気になるわけですね。

    その一方で「正しい順序」を厳密に考えすぎるのもよくありません。 Yを学ぶ前には、Xを学ぶ必要があって、 Xを学ぶ前には、Wを学ぶ必要があって……をずっと繰り返していたら、 いつまで経ってもYは学べなくなってしまうかも。

    複雑な相互関連を持った分野の場合、 学ぶ順序を考えるというのは、 ネットワーク構造(つまり、網)を線型順序(つまり、列) に変換する作業をしていることになります。 全体像を見通しているなら「学ぶ順序」 を定めるのも難しくない作業かもしれません。 でも、これから学ぼうという分野の場合にはどうでしょうね。

    一つ一つの分野が短期間で学べて、 しかも積み重ねになっているものなら、 正しい順序にこだわるのは大事かもしれません。 しかし、一つ一つの分野が学ぶのに何年もかかるものの場合、 正しい順序にこだわりすぎるのは賢明ではないかも。

    むしろ、

     「そうか、あっちの分野を先に学べばよかったんだ!」

    という気付きを、

     《自分の理解のインジケータ(指標)》

    だと考えるのはどうでしょうか。

    自分が学び、理解が進んだ証拠として、 「あっちの分野を先に学んでおけばよかった」 という発見を得たということです。

    もしかしたら「あっちの分野」を先に学んでいたら、 別の気付きがあったかもしれませんしね。

    人間の理解は、必ずしも線型順序ではありません。 あちこちポンと飛んだりするものです。

    先取りして見ておいたことが役立つというのもよくあります。 先取りした時点では正確に理解していなくても、 後になって「ははーん、アレはこういうことだったのか!」と気付く。 それは心地よい瞬間でもあります。

    学ぶ順序を考えるのは大事なことですし、 必要となる前提知識を前もって身につけようというのは悪ではありません。 でもそれにこだわりすぎるのもよくありませんね。

    学ぶというプロセスは、 そう簡単には見切れるものではありませんし。

     * * *

    そんなところで、今回の結城メルマガを始めましょう。

    どうぞ、ごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • 仕事がうまく進むパターンを探ろう - 仕事の心がけ
    • Webサービスの棚卸し(2) - 仕事の心がけ
    • あふれそうなときの心の健康法 - 仕事の心がけ
    • 文字だらけのInstagram
    • おわりに
     
  • Vol.259 結城浩/再発見の発想法 - ACK(アック)/メールで知る息子の成長/スパム対策とWebサービス棚卸し/

    2017-03-14 07:00
    216pt

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    Vol.259 結城浩/再発見の発想法 - ACK(アック)/メールで知る息子の成長/スパム対策とWebサービス棚卸し/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年3月14日 Vol.259

    はじめに

    おはようございます。結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

    最近は、家族の事情がいくつか重なって、 あまり仕事に時間や意識を割くことができていません。 今年に入ってそういう状態が続いています。

    先週も家族のサポートに使う時間が長かったし、 自分の行動にもだいぶ制約がかかりました。

    家庭の用件が突発的に発生すると、 集中して頭を使う仕事をするのはなかなか難しいものです。 とはいえ、そんなことばかりも言ってられないので、 すきま時間でできるだけ仕事は進めます。

    現在は、『数学ガールの秘密ノート/積分を見つめて』 の執筆を続けています。 プリントアウトしたものに朱入れをしたり、 それをファイルに反映したりの繰り返しです。

    第1章と第2章は課題が山積みで《大手術》を必要としていましたが、 まとまった時間がとれないので、無理矢理《大手術》を敢行しました。 《大手術》とはいったものの、実際に手を動かしているのは一時間程度。 あちこちに傷口が開いている(整合性がとれていない箇所が残っている)ので、 今度はそれらを整備していく必要があります。

    家庭の用事が入りそうだったので、 すきま時間に少しでも進めておこうと考えたため、 想像以上にスピーディな進捗がありました。

    まとまった時間が取れないとき、 集中して考えて「じっくり深める」というのは難しいものです。 しかし、

     「つべこべ言わずに、手を動かす」

    というアクションをするときには、 時間がないことがむしろ効果的なのかもしれません。 感謝なことですね。

    ともあれ今週も、 体調を崩さないようにしつつ、 何とか作業を進めていきたいと思います。

     * * *

    再起動の話。

    先日、メールが不調になりました。

    やってきたメールに返信しようとすると、 受け取ったメールアドレス以外からの返信になってしまいます。 お仕事メールを受け取ったときに、 家族用のメールアドレスで返信になったりして困ります。 いろいろ調べたのですが、原因がわかりません。

    ところが、何気なくメールアプリを再起動したところ、 現象が発生しなくなりました。 「原因がわからないけれど直る」というのは、 再発する可能性があるので気持ち悪いものです。 とはいえ、もともと原因がわからないで始まったトラブルですから、 とりあえず放置することになりました。

    コンピュータは十分複雑なシステムなので、 なぜかわからないけど、変なことが起きるときがあります。 そしてその「変なこと」が再起動で直るときもままあります。

    考えてみますと、人間も同じかもしれませんね。 人間は十分に複雑なシステムなので、 なぜかわからないけど、イライラしたり、 あるいはうまく物事が進まなかったりするときがあります。

    では人間の再起動ってなんだろうと考えると、

     「睡眠じゃん!」

    と気付きました。

    なぜかわからないけどイライラしたら、 とりあえずぐっすり眠る。 うまく物事が進まなかったら、 とりあえずぐっすり眠る。 そうしたら、意外によくなることも多いです。

    今度から、眠るときには、 マシンを再起動するイメージで眠ることにしましょう。

     * * *

    SSL証明書の自動更新の話。

    結城は自著の「ランディングページ」をいくつか作っており、 自分の趣味でSSL対応のページにしています。

    WebページをSSL対応にするにはSSL証明書が必要ですが、 ありがたいことに Let's Encrypt というサービスで、 無料のSSL証明書を発行することができます。

     ◆Let's Encrypt
     https://letsencrypt.org

    Let's EncryptのSSL証明書は有効期限が短いので、 頻繁に更新する必要があり、結城はcronを使った自動更新を行っています。 あるとき、気になったので調べてみると、 ちゃんと自動更新がなされていました。

     ◆https://note1.hyuki.net/ の SSL証明書(スクリーンショット)

    2017-03-07_cert.jpg

    このあたりの話は(記述が少々古い部分がありますけれど)、 以下のブログ記事にまとめてあります。

     ◆さくらVPSで、Let's Encryptのサーバ証明書を使って、SSL対応のサイトを作る設定手順
     https://snap.textfile.org/20160203205833/

     * * *

    社会の変化の話。

    東京オリンピックに関連して、 禁煙・喫煙のニュースがときどき話題になります。

    結城はたばこの煙がたいへん苦手なので、 禁煙の動きが進むのは個人的にはうれしいことです。

    そういえば、昔は、 新幹線に「禁煙車」というものがありました。 つまり、デフォルトはたばこがOKで、 この車両に限りたばこを吸ってはいけないという時代があったんですね。 Wikipediaの「交通機関の喫煙規制」という項目を見ると、 新幹線に禁煙車が初めて導入されたのは1976年のようです (1976年、新幹線「こだま」の16号車に禁煙車が初導入)。

    当時、喫煙が可能だった車両を移動するのは、 喉の弱い結城にはたいへん苦痛だったのを思い出しました。 喫煙が可能な車両内は煙がもくもくしていたものです。

    結城が小学生・中学生の時代には、 学校の職員室もたばこの煙でくさかったように記憶しています。 もちろん授業中に吸う先生はいませんでしたけれど。 さすがに現在で職員室がたばこくさいという学校は少ないですよね。

    社会というのは、 変化していないようで大きな変化をしているのかもしれません。

     * * *

    Bookmarkletの話。

    Bookmarkletってご存じですか。 Bookmarklet(ブックマークレット)というのは、 JavaScriptで書いたプログラムをブックマークに入れたもののこと。 Bookmarkletが収められたブックマークをクリックすることで、 現在見ているWebページに対してちょっとした処理を行うことができます。

    Webブラウザを使った作業というのはよくあることなので、 Bookmarkletをうまく使えば、日頃の手間を軽減させることができます。

    先日、仕事に疲れたので、 気分転換にちいさなBookmarkletを作りました。

    一つは、 「アマゾンのトラッキングIDが付いたURLを簡単に生成するBookmarklet」です。 MakeAmaLinkと名前を付けました。 これは、現在自分が見ているアマゾンの商品ページのURLに、 アマゾンアソシエイトのトラッキングIDを付けるというだけの処理を行います。

     ◆MakeAmaLink Bookmarklet
     https://snap.textfile.org/20170307220537/

    もう一つは、 「Favstar.fmというサイトからTwitter.comへジャンプするBookmarklet」です。 FavstarJumperと名前を付けました。 Favstar.fmはお気に入りがついたツイートを見やすくしてくれるサイトですが、 そこから元ツイートにジャンプするリンクがありません。 そこを補完するためのものですね。

     ◆FavstarJumper Bookmarklet
     https://snap.textfile.org/20170308233118/

    どちらも、10行程度の小さなプログラムですが、 これを改造すれば、 「Webブラウザで見ているページのURLを使って何かする」 というタイプのBookmarkletはいろいろ作れそうですよ。

     * * *

    それでは、今回の結城メルマガを始めましょう。

    どうぞ、ごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • 再発見の発想法 - ACK(アック)
    • 「スパムにまみれたメールアドレス変更」から「Webサービスの棚卸し」へ - 仕事の心がけ
    • メールで知る息子の成長
    • 自分らしく生きなければならないという呪い
    • おわりに