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記事 4件
  • Vol.022 結城浩/父のこと(2)/ひと呼吸おく/本の読み方/

    2012-08-28 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年8月28日 Vol.022
    結城クイズ
    あなたが「ちょっといいな」と思っている異性から、 こんな手紙を渡されました。
     1 2 1 2 1 1 2 1 2 2 5 2 5 1 1 1 3 1 3 1 1 1 5 1 3
    たった一行の数字の列。 この暗号は何だろう、とあなたは思います。 この手紙を渡してくれたときの思わせぶりな表情も気になります。 解読すれば、あの人の気持ちがわかるのかも。何とか解読しなくては。
    はじめに
    こんにちは、結城です。まだまだ暑いですね! いかがお過ごしでしょうか。
    先週のメルマガでマシンが不調という話を書きました。
    あのあと、マシンに付属していた診断ツールを動かしてみました。 すると、悲しいことに「ハードウェアのエラー」であることが判明しました。
    ハードウェアが悪かったら、もうしょうがありません。 メーカーのサポートに電話をして修理依頼を出すことになりました。 幸い保証期間内なので料金はかからないのですが、 直ってくるまで十日から二週間くらいとのこと。 ふだん使っているメインのマシンがなくなるのはつらい!
    ディスクのファイルを全部バックアップして、 ほこりをかぶっていた古いマシンを引っ張り出してファイルを移し、 そちらで仕事を続けることにしました。 早く修理が終わって戻ってくるといいなあ。
    メーカーのサポートさんに電話したときのやりとりでおもしろかったのは、 結城が何かいうと、サポートさんが頻繁に
     「ありがとうございます」
    とお礼をいうこと。たとえば、
     サポートさん「お客様、シリアル番号を教えていただけますか」  結城「はい、XXXXXです」  サポートさん「ありがとうございます。復唱いたします。XXXXXですね」
    とか、
     サポートさん「最初に症状が出たのはいつでしょうか」  結城「たぶん、一週間ほど前だと思います」  サポートさん「ありがとうございます。一週間ほど前ですね」
    のように。
    こちらがやる作業がほんのちょっとしたことであっても、 きっちり「ありがとうございます」といい、 それからこちらのいうことを復唱する。 「復唱します」といわなくてもさりげなくエコーバックしてくる。 (上の会話の「一週間ほど前ですね」のように)
    サポートさんは、 Vol.000で紹介した「エコー」に、 Vol.001で紹介した「ペーシング」(相手のペースに合わせて話す) をしっかりやっていました。
    こちらの感情にシンクロさせて、すまなそうな話し方もしてくれます。 きっとそういう応対がちゃんとマニュアルに書かれているのでしょう。 (と想像できますが、不快なものではありません)
    たいていサポート(特に修理)に電話をしてくるときは、 お客さんは不機嫌なものなので、 応対する人の苦労はたいへんでしょうね。
    私のマシンが早く戻ってくることを期待しつつ、 今週のメルマガを始めましょう!
    目次
    結城クイズ
    教えるときの心がけ - 父のこと(2)
    コミュニケーションのパターンランゲージ - ひと呼吸おく
    Q&A - 本の読み方
    結城クイズの答え
    次回予告 - 結城浩セミナー/プレビュー版(4)
     
  • Vol.021 結城浩/数学文章作法「読者」/父のこと(1)/専門は何?/

    2012-08-21 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年8月21日 Vol.021
    結城クイズ
    「昭和」は西暦何年から何年までですか。
    はじめに
    こんにちは、結城浩です。
    いつも結城のメルマガをご愛読いただき、ありがとうございます。 今週は何かと忙しくて、この「はじめに」を書いているのは8月18日(土)、 ちょっと原稿が遅れていてまずい状況です(苦笑)。
    会社にお勤めをしている人は、 お盆の前後に夏休みをとることが多く、夏休みとは無縁の結城も、 この時期には何となく「夏休み感」を受けてしまいます。 みなさんがこのメルマガを読んでいるのは8月21日(火)ですから、 夏休み明けの会社で読まれる方も多いのでしょうか。
    実は昨日からちょっといらいらすることがありました。 いつも使っているマシンの調子が悪く、Windows Updateに失敗するし、 いくつかのソフトのアップデートが重なり、さらになぜかFirefoxが重くなり、 日本語入力も重くなるという状況になったからです。
    マシンの調子が悪いのを改善するため、 トラブルシュートの方法をWebで調べようとするとFirefoxが重くて困る。 せめて現状をメモしようと作業ログを書きかけると日本語入力が重い。 こうなると「むきー!」と叫びたい気持ちになってきます。
    気づくことが二つ。
    一つは、 ものを考えるときに想像以上にコンピュータの力を借りているということ。 結城はものを考えるとき、 自分の頭の中にあるものをとりあえずテキストファイルに吐き出し、 頭の負担(頭にキープしておくべき情報の量)を減らします。 そうした上で、ちらちらとテキストファイルを読み返しながら考えを進める。 そういう習慣になっているので、日本語入力が重くなるというのは、 自分の思考が急に重くなったような気持ちになるのです。
    気づくことがもう一つ。 それは、ふだん意識しないことはたくさんあるんだなあということ。 コンピュータを使うこと――タイプをしたり、ブラウザを動かしたり、 そういうことをしているとき、 自分としてはコンピュータを使っている意識はありません。
    「『あれ』を見つけなくちゃ!」と意識では思っていますが、 実際にやっているのはブラウザを動かし検索文字列を入力すること。
    「『これ』は忘れてはだめ!」と意識では思っていますが、 実際にやっているのはエディタを動かしログを書くこと。
    意識では抽象度の高いことを考えていて、 それを手とコンピュータが具体化してくれている―― とでもいいましょうか。
    自転車や車の運転でもそうですよね。 意識では「右に行かなきゃ」と思っているけれど、 実際にやっているのはとても複雑な自転車や車の操縦です。
    マシンの調子が悪くなると、具体的操作を強く意識させられてしまう。 慣れないマシンを使っているように、ひとつひとつの操作を 確認しながら実行しなくちゃいけない。 それが抽象的思考に対する負担になっているようです。
    マシンの調子が悪いことから、そんなことを思っておりました。
    まあ、それはさておき、 今回のメルマガを始めましょう!
    目次
    結城クイズ
    教えるときの心がけ - 夏休み特別編「父のこと」(1)
    数学文章作法 - 第1章「読者」
    Q&A - あなたの専門は何ですか?
    結城クイズの答え
    次回予告 - 本の読み方
     
  • Vol.020 結城浩/ルーチンワークの創造/手書きノート/十年一昔/

    2012-08-14 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年8月14日 Vol.020
    結城クイズ
    「正六角形です」が答えになるようなクイズを考えてみましょう。
    はじめに
    おはようございます!結城です。
    立秋が過ぎてだいぶ涼しくなりましたね!と書こうと思ったら今日は暑い… 気温の変化、特に朝方の気温は予測がつかないのでうっかりすると 風邪を引きそうになります。お元気ですか?
    この「はじめに」を書いているのは2012年8月10日で、 数時間前に「なでしこジャパン」の ロンドンオリンピック銀メダルが決まったところです。 サッカーの試合は見ていてハラハラしますね。ずっと身体を緊張させて 見ていたようで、いささか身体がこわばっています。
    結城はいつも執筆のことを考えていて、 サッカーでも本を書くことと対比させて考えてしまいます。 パスやドリブルを組み立ててゴールまで持っていく様子を 自分の仕事に重ねてしまうのですね。
    途中のパスやドリブルはきれいに行くときもあれば、 ちょいと失敗かな、と思うときもある。 でも、それをなんとかつないでいって、とにかくシュートまで持って行く。
    そういう姿勢やガッツを自分の仕事にも取り入れたい…などと思います。 パスやドリブルは個々の細かい作業に相当します。 そしてシュート&ゴールは記事の公開や書籍の刊行です。
    うまいパス、絶妙のドリブルがシュートにつながる確率を上げるのは 確かでしょうけれど、パスやドリブルだけやっていても得点は 絶対に上がりません。こけそうになっても体勢を崩しても、 タイミングをとらえてシュートを打たなくては!と思います。
    個々の作業の品質を上げるのは大事、 仕事のコツやTipsを収集して会得することも大事。 でもどこかでは大づかみにガッと仕事の核心をつかむ大胆さや思い切りが 必要に違いない。そんなふうに思うのです。
    …という話の続きは、今回のメルマガの「本を書く心がけ」で触れましょう。
    では、今週のメルマガのお品書きです!
    目次
    結城クイズ
    本を書く心がけ - ルーチンワークの創造
    十年一昔 - 2002年8月
    本を書く心がけ - 手書きノートのスナップショット(5)
    結城クイズの答え
    次回予告 - 数学文章作法「読者」
     
  • Vol.019 結城浩/結城浩セミナー(3)/自炊で失敗は?/

    2012-08-07 07:00  
    220pt
    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年8月7日 Vol.019
    結城クイズ
    「なおざり」と「おざなり」の意味をそれぞれ説明してください。
    はじめに
    おはようございます! 毎日暑い日が続いていますが、お元気ですか。
    結城は毎日Twitterでツイートを楽しんでいます。 何ということもないつぶやきを書き込んだり、 お友達と気軽なやりとりをしたり、 それから私の本の読者さんにお礼を言ったり…気軽に書き込みできる Twitterはお気に入りのサービスです。
    これまでの結城のツイートの中で最も多くリツイートされたものは、 2012年6月25日にツイートした以下のものです。
     【速報】今週で2012年の前半が終了します。  https://twitter.com/hyuki/status/217032797775343616
    「【速報】今週で2012年の前半が終了します。」という一文が、 1万以上(!)もリツイートされて驚きました。
    やっぱり誰しも「時間がすぎるのは早いなあ!」や 「うわっ!2012年ももう半分過ぎたのか!」などと 感じているのでしょうね。 上のツイートに対して「デマだ!」というリプライがついたりもしましたよ。 もちろん「2012年が半分過ぎたなんて信じられない!」というニュアンスの 軽口です。
    ところで、私のツイートのような、
     【速報】と冠して、いわゆるニュースではない日常の事象を表現する
    というのは、ネットでの特徴的な言い回しだと思います。 ふだんからネットでの書き込みに慣れている人は不思議に思わないのですが、 このニュアンスをネットに慣れていない人に説明するのは けっこう難しいです。
    たとえば「このツイート、1万以上リツイートされたんだよ」と 家内に説明したのですが、彼女はいまひとつピンとこなかったようです。 「なぜこれが【速報】なの?」と言われてしまいました。
    「ツイッターでは【速報】や【急募】といった言葉を、 本来の意味からは少しずらして使うことがあってね…」 などと説明しましたが、当たり前に使っている表現をあらためて 説明するのは難しいものだと感じました。
    と、ここで話は「文章の書き方」にシフトします。
    文章を書くときに最も大切なのは「読者のことを考える」です。
    狭い範囲の読者に読みやすい文章を書くのは比較的楽です。 どういう言葉はすぐに受け入れてもらえるか、 どういう言葉は詳しく説明する必要があるか、 それが推測しやすいからです。
    それに対して、広い範囲の読者に読みやすい文章を書くのは難しいものです。 知らないことは詳しく説明しないとわかってもらえないし、 知っていることをながながと説明すると「くどい」と思われてしまうからです。
    わからない人にもきちんとわかるように説明しつつも、 よくわかっている人にも「くどい」と思われない工夫。 それは文章を書くときに(そして、人に教えるときにも)大切なことですね。 ふだんから、
    どの程度の説明ならわかってもらえるのか、
    どのくらい説明したらくどいと思われるのか、
    という感覚を磨いておきたいものです。
    …と「はじめに」が長くなってしまいました。 読者さんに「くどい」と思われる前に、メルマガを始めましょう!
    目次
    結城クイズ
    特別企画 - 結城浩セミナー/プレビュー版(3)
    Q&A - 「自炊」で「失敗した!」ということはありませんか
    結城クイズの答え
    次回予告 - 手書きノートのスナップショット(5)