「皇軍ノ威武ヲ中外ニ宣揚セリ」
       ――〝事変〟における詔勅


 ▼〝軍の暴走〟を承認する御言葉

 前回vol.45で述べた天皇資料をとりあえず以下にひとつ示す。満州事変に関してよく〝軍の暴走〟と言われるが、軍の行動を承認する詔勅が降りている以上、暴走ではない。よしんばそれが暴走であったとしても、天皇は関東軍の〝勇戦力闘〟を賞賛しており、事変の拡大を大元帥陛下が承認したことになる。ならば文句はあるまい……というのは単なる皮肉ではない。近代日本がいったい〝何〟を作ってしまったのかという原理的な問題を言っているのである。