Google Cardboardを作る上での注意すべきポイント
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Google Cardboardを作る上での注意すべきポイント

2014-08-07 02:03
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Google Cardboardとは、Oculus RiftのようなVRなHMDを既存スマホの流用で安価に実現できる段ボールHMDです(cardboardは日本語で厚紙・ボール紙という意味)。

Cardboard公式サイトより

Oculus Riftは製品版でも3万円くらいかかりそうですが、Cardboardは自作すれば1000円~2000円程度の材料費で済みます(この記事を書いた当時と違って、今ならAmazonでCardboardで検索すると1,000円前後でカット済みの一式がいろいろ売られるようになってます、組み立てるだけでOK)。
Oculus Riftと比べて用途は限定的ですが、VRに気軽に3万円くらい出せる人は限られるので広くVRを体験してもらう入り口としてはこちらの方があっていると思います。

ヘッドトラッキング精度や視野の広さはOculus Riftに劣りますが、Oculus Riftが没入感を優先して視野をかなり広くした結果拡大幅が大きく解像度の荒さが目立つのに対し、Cardboardは視野の広さと拡大幅(見た目の荒さに繋がる)のバランスが良く、わりと広い視野ながら映像的には画面が同じ解像度でもOculus Riftよりも荒さが抑えられていて綺麗です。
もちろんより解像度の高いスマホ(2560x1440なisai FL LGL24とか)を使えばより綺麗に。

で、今MikuMikuDanceでCardboard向けの映像を出力できるようにするエフェクトを作っている過程でCardboardもいろいろ試してみているんですが、作ってみて引っかかったところを3点ほどまとめてみました、これから作る方の参考になれば。
(この記事書いた当時と違って最近はカット済みの物が安く買えるので、今や自作するメリットはあまり無いですが

  1. A4で印刷すると若干小さくなることがある?
  2. ダイソーの100円ルーペをレンズに使うと視力の良い人は目に負担がかかる?
  3. 磁石のちょうどいい位置はスマホの機種によって違う?

1. A4で印刷すると若干小さくなることがある?

Cardboard公式のCardboardのPDFは、プロパティでページサイズを確認すると主にアメリカで使われているレターサイズ(215.9mm×279.4mm)相当になっています。
これをA4(210mm×297mm)として印刷しようとすると、環境によっては215.9mmの幅が210mm内に収まるよう自動で縮小してくれる場合があります(セブンイレブンのコンビニプリントでA4で印刷したらそうなってました)。
が、Cardboardだとこれが余計なお世話になってしまいます、サイズが小さくなるということは映像の見え方も変化してしまうためです。

縮小によってスマホの画面に対するレンズの位置が中心に寄った所で映像を拡大することになり、見える映像の視差は本来より遠くの位置相当になるのに対して、レンズとスマホの距離は縮小によって近くなり、ピントの位置は本来より近くなってしまうという、おかしい見え方になってしまいます。

なので印刷する前にPDFをA4サイズにする必要があります、CubePDFなどPDFを変換できるフリーソフトを使いましょう。
実際にA4に変換してみたPDFがこちらです → Download(最初正しくリンクが張れていませんでした)
余白がシビアになったことで2ページ目の上が印刷時途切れる可能性がありますが、ここが多少途切れてもあまり支障は無いでしょう。

2. ダイソーの100円ルーペをレンズに使うと視力の良い人は目に負担がかかる?

こちらの記事と結構被ってます、レンズとか。

たびたびCardboardに使うレンズの一例として紹介されているダイソーの置き型ルーペ。
↓こういうの


レンズを2枚使っていて、上の黒い部分はひねるとはずれてレンズが取り出せます。
1つ買えば2枚レンズが手に入ってお得なのですが、問題はCardboard公式で指定されている焦点距離(45mm)と結構違うというところ(61mmくらい?)。
焦点距離が違うと以下の問題があります。
  • 倍率が違う
  • 焦点(ピント)が本来の位置からズレる
倍率が違うと、見える映像の大きさが違ってきます。映像内で表現した1mが実際の1m同様のスケールで見えることはリアルさを感じる上でわりと重要です。
とはいえ大きさが違って見えるだけなら、見えることは見えるので焦点がズレるのと比べれば致命的な問題というほどではありません。

人は物を見る時、対象物の距離に応じて焦点の調節両眼の輻輳を行います。
輻輳は、目が内側に回転して対象物の方を向くことを指します、対象物の距離が近いほど寄り目になります。

こんな感じで。

焦点距離が本来の距離より長いレンズを使った場合、まずピントを合わせて見ると輻輳が合わず映像が横に二重に並んで見えます。
次に輻輳を合わせて見ると(映像が動いていると輻輳を合わせやすいです)、かなり近距離にピントを合わせないとボケて見えます。
この輻輳とかなり近距離のピントを維持した状態は、裸眼の人が度の強い近視用メガネを通して物を見ているような状態に近く、視力が良い人が長時間使うと目の疲労や目の奥の違和感、頭痛などを引き起こす場合があります。
この水晶体の緊張状態を長時間続けるような使い方をすると近視の促進に繋がってしまうかも?

短時間ならなんとかなるかもしれませんが、焦点と輻輳の組み合わせが実際の見た目と違うと違和感も強いので、なるべくは指定通りの焦点距離のレンズを使いたいところです。

焦点距離に合わせてレンズの位置を調整してピントのズレを解消するという手もありますが、これだと倍率の問題が解決できず映像が小さく見えます。これでも立体視はできますが、映像が目の前の広範囲に広がるという視野角の広さが没入感の高さに繋がるので、映像が広がる範囲が狭くなるこの方法は個人的にはあまりオススメしません。

なお、この「焦点距離が本来より長い状態」は最初から近視向けの度が入ってるようなものなので、普段近視用のメガネを掛けている人は逆に裸眼で見ることができます。
Cardboardは周囲から光が入って没入感を阻害するのを防ぐため眼の周りを覆うようになっていますが、そのせいでメガネを掛けたまま使えません(Cardboardの横の部分を切ってしまえば使えるが光が入る)。
それがこれなら近視でも裸眼で見ることができるということになります、が、度があってるかどうかは人によるので、結局裸眼でそのまま見れるかどうかはその人の視力次第ということになります。



じゃあ何のレンズ使えばいいんだって話ですが、検索してみた感じではここらへんでしょうか。
望遠鏡組立キットBK用外径30mm焦点距離44mm凸レンズ
ケンコーの外径36.5mm焦点距離42mm両凸レンズ
前者は送料込みで1,408円。仕様はCardboardに最適ですね、外径も公式指定の25mmより30mmかもうちょっと大きいくらいが見える範囲が広くて良いと思います。
後者は送料込みで1,968円から。この記事を書いた時は在庫切れでしたが、在庫が復活した模様。外径36.5mmだとさすがに大きいか?でも段ボールで両側から挟みこむ時の穴の大きさで制限できるので大は小を兼ねる、と思う。
前者が用途にピッタリっぽいですがまだ試してません、だって北海道(と沖縄)だと送料が864円→1,620円と高くなるんだもの!
元々これから作ろうという人が作りやすくなるよう入手性と安さが両立できる範囲で使えるものはないかと100円ショップで買ったルーペなどを試したんですが(なのでダイソーの置き型ルーペ1つで全て済めばとても良かったのに……)、そこらへんは次回新たに記事にしようと思います。

3. 磁石のちょうどいい位置はスマホの機種によって違う?

Cardboardにスマホを入れると画面のタッチパネルのタップがしづらくなりますが、Cardboardでは代わりに磁石の位置の移動をスマホ内蔵の磁気センサーが磁力の強さの変化として検出してタップの役割をする機能があります。
こんな構造。

①磁石同士がくっついている
②外側の磁石を下にずらすとスマホの磁気センサーが磁力の変化を検出して反応、磁石から手を放すと内側の磁石にくっついて元の位置①に戻る
シンプルな構造ながらちゃんとスイッチになってるという、ナイスなアイデアですねー。

ただ、この磁気センサーの位置がスマホの種類によって違っているようで、機種次第で反応が良かったり悪かったりします。
元々のCardboardでは多分Nexus5でちょうどいい位置になっているんだと思いますが、自分のGalaxyNexusでちょうどいい位置はもっと下でした。

磁力計アプリを使えば磁気センサーのテストができます。
3D Compass and Magnetometer
例えばこのアプリは磁力の向きと大きさを三次元の矢印で表示します(単位はμT マイクロテスラ)。
Cardboard公式アプリやCardboard向け開発ライブラリで磁石による入力があったと判断される条件は、「磁気センサーが検出した磁力の向き・大きさを示すベクトルが短時間で一気に130μT以上離れた位置に飛んだ時」です。
先ほどのアプリを使いながら磁石を実際に移動させてみて、移動前と移動後で130μT以上(毎回検出するように、できれば200μT以上)差が出るか試して、それほど差が出ないならどこだと差が出るのか探してみましょう。
磁力の大きさではなく磁力のベクトルの差なので、「←方向に80μT」から「→方向に80μT」に変化した場合は160μT差になって入力があったと判断されますが、「→方向に90μT」から「→方向に200μT」への変化だと110μT差となり入力扱いになりません。

磁石を取り付けたらCardboard公式アプリで実際にテストしてみましょう。

Tutorial(メニュー左端)は最後に本体を右に傾けない限り終わらないので、何度でも入力テストができます(磁石による入力を検出すると振動する)。



ちなみに、磁石操作よりは面倒ですがCardboardにスマホを入れてもタップできなくはないです。
鼻の位置にある穴に指を入れれば画面に届きます、Cardboardを一旦顔から離す必要があるので没入感が削がれますが。
スマホが大きいとCardboardから画面がはみ出してタップできる場合もあるかも。
1度タップしただけでは通知領域などが出てくるだけでアプリが反応しないかもしれないので、トントンとダブルタップすると確実です。

その他雑感

レンズの話の所で少し触れましたが、Cardboardはそのままではメガネをかけたまま使えません。光を遮るための横の部分がメガネに当たるためなので、そこを切り落としてしまえばメガネをかけていても使えますが、外の光がCardboardに当たります。真っ暗な部屋で使えば光は入ってきませんが。



Cardboardの段ボールの内側の、スマホの画面側に近い辺りはレンズによっては視界に入ってくるので(公式指定の外径25mmレンズだと視界に入らなさそうですが)、明るい映像だと側面の段ボールが画面に照らされた状態で見えてちょっと邪魔です、映像以外はできるだけ真っ黒な状態が没入感が増します。
ということであらかじめ内部の画面に近い辺りを黒く塗っておくと視界に入ってきても目立ちません。むしろ内部となる部分を全部黒く塗っちゃってもいいかも。



磁石にはダイソーでルーペと一緒に買った600ガウス(60,000μT)の物を使いました。

ただ、これだと磁力が強力すぎて、強くくっついているためにスライドする時ちょっと固いですね。
磁力の強さは磁気センサーがある程度離れてるスマホでも反応しやすさにも繋がりますが。というか60,000μTともなると強すぎて磁気センサーの近くに配置し続けて大丈夫なのかちょっと不安になるレベル。
内側の磁石は弱め、外側の移動させる方の磁石は強めという組み合わせだとスライドしやすさと反応しやすさを両立できそうな気がします。
なお、スマホを強い磁力の近くに置き続けた後コンパスが正しい方向を向かなくなった場合は、スマホを8の字を描くように回し続けると再キャリブレーションされて元に戻ります。先ほど紹介した磁力計アプリを使うと、一方向を強く示している状態から回し続けることで50μT以下くらいに戻るのが見えると思います。



切る作業は1時間くらいでだいたい一通りできると思いますが、作ってみて思ったのはカッター使って穴を切り抜くのが面倒くさい、特にこの1枚目が面倒くさい。

この三つ折にする3枚のうち真ん中はレンズを入れる所ですが左右はレンズを挟み込むためだけに必要な部分なので、何度か実験用にCardboardを作る過程で別のレンズの固定方法を使う時はもう面倒くさくなって真ん中だけ使ったりしました、手間がだいぶ減ります。これを差し込む溝の方も合わせて狭く。



もっと簡単に作る手段があれば気軽に体験できるようになるんじゃないかと思い、既にある箱を切ってレンズを付けてCardboard互換にするという手を考えました。

明治のチョコレート効果が寸法的にちょうどいい。
セロテープを使えばカッターも必要ありません、手順がぐっと減り、15分程度で作れそうです。
問題は、

1. 強度が足りてない
強く持つとふにゃふにゃ。
2. 箱1つのみで済まそうとすると長さが足りない部分が出てくる
背後のスマホを止める部分が上まで届きません。真ん中の仕切りも無理があります。
3. 周りから入る光を遮る部分がない
これも箱1つ限定の弊害。
4. レンズを傾かせず固定するのがシビア
ちょっと傾いただけで映像がズレる。作った時は小さい手持ちルーペの柄の部分をセロテープで止める方法を使ったので、レンズだけだとここが難しいことに気付きませんでした。
5. コンビニでいつも売ってるような商品の箱の方が入手性がいいよね
チョコレート効果は100円ショップで買いましたがコンビニでは売ってませんでした
6. 切り方など手順を1つずつ説明する必要が出てくるためわかりやすさが下がる
Cardboardはテンプレートどおりに切ってしまえばあとは組み立てるだけ

箱は活かしつつ、ぐるっと囲むように段ボールを貼り付ける方法が1~3を解決するのに良いと思いまいた、それならカッターも使わないままなので切るのも楽です。
4はどうしよう。「画面とレンズの距離の固定」「レンズの固定」がとても重要で、逆に言うとこれさえ守れば後は自由なんですが。
5はやはりきのこorたけのこの箱を2個使って「きのこCardboard」「たけのこCardboard」を作る方がネタ的にもキャッチーなのだろうか……。



次回は、入手性の高い安物レンズ縛りで指定の焦点距離45mmに近づけるかどうかを探ります。
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