Ｙ談の部屋ＲＴスペシャル Vol.5 八木賢太郎が語る「ＲＴ1万８千越え」の全真相！

ひょんなツイートが超拡散！
“ツイートダディ”“ミスターＲＴ”“レイザーラモンＲＴ”etc.……
数々の異名を欲しいままにした八木賢太郎が語る
「ＲＴ1万８千越え」の全真相！

八木賢太郎（元『カジノフォーリー』編集部＆元『紙のプロレス』居候 @yagi_ken）
山口日昇（『かみぷろ』編集長 @noboru_yama）
柳沢忠之（『かみぷろ』発行人 @beraboo）
柴田和則（滑舌の悪い、なんちゃって翻訳者）

「キミたちTwitterド素人に教えてあげるけど、本当のＲＴっていうのはね、１万回を越えてから」

山口　さて、本日は“ツイートダディ”“ミスターＲＴ”“レイザーラモンＲＴ”などなど、短期間で幾多の異名を欲しいままにした八木賢太郎さんにお越しいただいてます。

八木　お二人もTwitterやってるけど、今まで最高ＲＴはいくつ？１００？２００？

山口　いや、私はやってると言っても、嗜む程度で……。

柳沢　私はほとんど登録してるだけという体たらくで……。

八木　今日はキミたちTwitterド素人に教えてあげるけど、本当のＲＴっていうのはね、１万回を越えてからのことを言うんですよ！（笑）。

柳沢　んあ〜！

山口　じ、じゃあ、あの噂のツイートは、いかほどＲＴされたわけ？

八木　ちなみにボクのは、現在１８３７１ＲＴ！

山口　い、いちまんはっせん！

柳沢　単位がよく分からない。キム･ヨナでもそんな点は取れないよ（笑）。

山口　いやね、実は俺さ、「万」を越えたＲＴっていうのを目の当たりにしたのは初めてなんだよ。例えば、ネットで選挙の形を変えたとかいわれてる家入一真の出馬。

あれなんかは、もともと「都知事選に出ようか」みたいなツイートが１０００ＲＴを超えたらホントに出るっていうギャグ的なところから始まったでしょ。たまたまかもしれないけど、１０００ＲＴが基準だった。

八木　１０００ＲＴなんて、１〜２時間で超えてたんじゃないですかね。

山口　ちょっとさ、なんのこっちゃっていうユーザーのために読みあげてくれない？　噂のツイート。

八木　読み上げますか？……え〜、《スノボの平野選手がメダルを獲ったとき、息子に『おいおい、てめぇと同い年だぞ？ どうなってんだよ、お前ぇは!？ 爪の垢を煎じて飲ませてもらえ！』と説教した数日後、自分と同い年の葛西選手がメダルを獲ってしまいました》。

山口　ふんふん。

八木　ちょっとネタっぽくは書いてるんですけど、事実は事実で。ただ、そもそもは単に身内とか馴染みのフォロワーさんを笑わそうと思っただけで。

山口　まぁ言ってみれば、名も知れぬ一介のツイーターだよね、その時点では。

八木　そうです。ボクにとってTwitterはネタ帳的に思いついたことをただ書いてるだけなんで。その日もそのツイートをＵＰして、どっかに出かけたんですよ。

そしたら、ＲＴとかされると鳴るｉＰｈｏｎｅのお知らせが、車の中でビビッ、ビビッてず〜っと鳴ってて、何だろう？と思って見たら、１〜２時間で１０００越えてた。

山口　１０００でもすごい数だけどね。

八木　で、途中でお知らせ機能を切ったんだけど、アプリで見てるとＲＴの数がみるみるうちに上がっていって。もしやこれはどっかに載ってるのかな？と思ってTwitterのトレンドを見たら、ホントに１位とか２位とかに入ってて。

柳沢　でもさ、ほかにこれぐらいＲＴされるものもあるの？

八木　もちろん、あります。

山口　それは有名人というわけでもないの？

八木　いや全然。いわゆる料理の裏ワザみたいなヤツとか、オリンピック絡みもありましたけど、ホントにネタっぽいヤツ。有名人だからとかじゃないみたいですね。

柳沢　それどこ行ったら見れるの？

八木　「Twitter　トレンド」で検索すると出てきます。

柳沢　ふぅーん。（その画面を眺めながら）今日なんて６０００ＲＴとかが最高じゃん。

八木　ボクのはさらに拡散力があったってことですよね。やっぱオリンピックネタっていうのは大きいんじゃないですかね。

山口　俺、最近で一番多くＲＴされたのはユセフ・トルコが亡くなったことを知ったときだもんなぁ。トルコさんの奥さんと電話で話したこととかで、１００いったかいかないか、それぐらい。

八木　それで次の日起きたら、会長（山口日昇のアダ名）が「１万ＲＴを超えたところで、師匠の連載の宣伝を」とかリプライ飛ばしてきてて。

山口　いや、たまたま賢太郎の「これだけＲＴされると云々」っていうツイートを見かけてね。「これだけＲＴされると」って、また大げさな！と思ってさ。数十、せいぜいいっても１００や２００のＲＴだろう。とうとうクラスタ内でホメ合ってるやつらの次元と一緒になっちゃったか、けんたろー、お前もか！ なんて思ってね。

で、いざ数を見てみたら１万超えてる。これはちょっとただごとじゃないぞと思って。で、賢太郎の師匠でもある竹本幹男の「カジノフォーリー・ビヨンド！」が更新されたばっかりだったから、勢いに便乗して、師匠のエッセイを宣伝してもらおうと思って（笑）。

八木　それで「ボクも素敵な親父だと思われてるけど、自分の師匠はもっと素敵です→」って書いて「カジノ〜」のリンクへ誘導したんですよ。でも、その宣伝ツイートのＲＴは、なんと２名！

柳沢　２名！（笑）。

八木　しかも、その内訳は山口日昇さんと「かみぷろ松」さん（かみぷろ公式アカウント　＠Kamipro_Pine）でした。

山口　ダーッハッハッハ！ 最初の頃、著名人やフォロワーが多い人が拡散してくれた形跡もないわけ？

八木　ボクのフォロワーのなかで拡散力がある著名人っていうと、最初に思いついたのは水道橋博士さんか吉田豪ちゃんぐらいなんだけど、違ったみたいで。たぶん、いつもTwitterで絡んでる誰かのＲＴが発端じゃないかと。もはや今からは辿れないんですけど。

山口　でも、著名人が拡散したところでこれだけの数はいかないでしょ。なぜこのツイートがこれだけ拡散されたかっていうのを教えてよ。

柳沢　これからの人生のために（笑）。

山口　役立てるからさ（笑）。

八木　まあまあ、キミらのような素人にはわからないでしょうけど、結果としては……。

山口　うん、結果としては！

八木　……わかりません！（笑）

山口　ズコッ！

八木　ボクはホントに事実をちょっと脚色してつぶやいただけなんで。スノボの平野選手とウチの息子はガチ同い年（15歳）で、ウチの息子はレスリングやってるんですけど、「おまえもなんか、たまには洗濯物以外のものを持って帰ってこいよ、コノヤロー！」とか冗談で言ってたら、ボクと同い年の葛西選手（41歳）が銀メダルを獲っちゃって。で、ウチの息子に「おまえもなー」って言われたという。

山口　見事にブーメランが返ってきた。

八木　「父ちゃん、オリンピックばっか観てないで仕事しろよ！」（笑）。

「２ちゃんでふたつもスレッドが立って、しかも『叩かれてる』って（笑）」

山口　で、さらにこのツイートをネタに２ちゃんでスレッドが立ったんでしょ？

八木　そうなんですよ。知り合いから「２ちゃんでスレッド立ってるらしいですよ」ってＤＭが来て。２ちゃんでふたつもスレッドが立って、しかも「叩かれてる」って（笑）。

柳沢　何を叩かれるの？

八木　『【悲報】 息子に 「同い年のメダリストが頑張ってるのに…」 と叱りつけた結果 ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ』っていうスレで（笑）。一番多い叩かれ方は「いかにもTwitter受けしそうなネタだ」「作りだろ」とか。アメリカンジョークのひとつに、「リンカーンはお前の歳のときは暖炉の灯りで勉強するぐらい頑張ってたんだぞ」って親父が言ったら、「パパ、リンカーンはパパの歳のときに大統領になってたよ」って息子に言われるっていうのがあって。それのパクリだろ、みたいなことも書かれて。

柳沢　そのツイートの中身に関する批判をされるってこと？

八木　そうですね。あとは「こいつ41歳でこんなことつぶやいて死にたくならないのか」とか「ガラの悪い親だ」とか「そもそもこいつの遺伝子が悪い」とか。

柳沢　ダハハハハ。

八木　あとは、いまだに来ますけど、ボクへのリプライもすごい。「おもしろい」「笑いました」とか、ちゃんとネタだと思ってくれる人はいいんですけど、半分ぐらいは真面目に批判をされる。

「息子にてめえって言う親なんてひどい」とか「こういうこと言うバカ親は嫌い」とか。ふつうにダメ親父として怒られてて（笑）。品の悪い書き方してるからだと思うんですけど。字ヅラでシャレだと思ってくれない人も多いですよね。

山口　う〜ん。にしても、なぜここまでの拡散力がついたかっていうことだよね。

八木　まあ、しいて理由を挙げれば……ボクの才能？（笑）。

山口　まったく関係ないだろ！ 才能に関係ないところで拡散されるのが拡散でしょ（笑）。

八木　たぶん、41歳の父親と15歳の息子っていう部分で、同じメダリストでもそんな年齢差があるってことが驚きで笑えたんじゃないですか？

山口　ああ、しかもそういう親子がホントにいるんだっていう。

八木　そうそう。今回のオリンピックのメダリストでは最年長と最年少でしょ、葛西選手と平野選手は。そういう年齢差の親子が実際にいるんだってことが意外とみんな驚きみたいで。だから「ネタだ」って書かれる。あと、そのほかによく言われたのが、「子供にそういうことを言ってはいけない」っていう。

山口　言葉遣いが悪いってこと？

八木　じゃなくて、有名人と比べて「平野君が頑張ってるのにおまえはどうなんだ」的なことを言ってはいけないと。

「私も親に言われてショックだった」とか年配の人からは、「そういうことを言うと言葉が壁になって子供が成長しません」みたいな大きなお世話が飛んできたり（笑）。

山口　子育て論的なところで広がったってこと？

八木　そういうのは多かったですね。あとは「こんなこと言って息子からは何も言われなかったのか」とか、「息子がどんな反応したのか気になります」みたいなのも結構多かった。

山口　でもさ、賢太郎のツイートでもっとおもしろいツイートはたくさんあるよって本人だって思ってるわけでしょ？（笑）

八木　そうなんですよ〜。だから、まとめサイトに掲載したいって連絡もらったときも、「こんなしょうもない話を掲載してもらって申し訳ない」って言ったら、「また、ご謙遜を」みたいな返事が来たから、「いや、普段はもっとおもしろいことを書いてるのにな、という自尊心です」と返したんです（笑）。

だから、２ちゃんで「ネタだ」「バカ親父だ」「つまらん」とか書かれても笑って見てられたんですけど、実はその中で、唯一ヘコんだのが「ライターなのに絶望的に文章構成力がない」っていう書き込みで。

柳沢　ダハハハハ！

八木　実際、ちょっと文章がおかしいんですよ。それは気づいてたんだけど、Twitterは直せないから。

山口　それをこの前聞いて、じゃあ【吉報 推敲しました】って打って、今度その直した文章がどれだけＲＴされるのか試してみようって、やったんだよね。

八木　そう。そしたら33ぐらいはＲＴされましたから。やっぱりそれなりにはＲＴされるんだと思って。

柳沢　でも全然、何が絶望的なのかわかんない。俺、編集者としてこのツイートの文章を直せって言われても、直せないわ（笑）。普段サダハルンバの文章とかばっか見てるから、この程度なら完璧に見えるよ（笑）。

八木　そうですか、じゃあよかった。でも、２ちゃんねらーはすごいなと思って。ようするに、ボクのプロフィールまで見て、こいつはライターだっていう認識を持ったうえで読み直して、「ライターがこんな文章でいいのか」と人が一番突かれたくないところ突いてくるから（笑）。

山口　２ちゃんねらーの力はともかくさ、とどのつまりは文章云々よりも、この小話自体が誰かに伝えたいっていう力を持ってたってことだよね。

八木　じゃないですか？

山口　となると、賢太郎の才能にも改めて目を向けなければならないな（笑）。

八木　まさに小話として、そのリンカーンの話のように、アメリカンジョーク的なネタとしてうまくできてたってことですよね。

山口　わ、ワンダホー！

八木　もはやアメリカンジョークの大家ですよ！

柳沢　というか『カジノフォーリー』出身だろ？　なんでアメリカンジョークなんだよ！

八木　下世話な笑いしか提供してこなかったのに（笑）。

柳沢　『カジノフォーリー』『紙のプロレス』ときて、なんで最後にアメリカンジョークになる！（笑）。

八木　たしかに、師匠の竹本ミッキーからはアメリカンな臭いはしないけど（笑）。

柳沢　賢太郎のこういうパターンのツイートって結構多いけど、こういうのはホントに内輪に向けての「クスッ」てことじゃん。キャラを知ってれば知ってるほど。べつに拡散で笑わそうとしてるんじゃなくて。

八木　そうなんですよ。だから、ボクのキャラをある程度知ってくれてる人たちには、「てめえ」だとか「おめえ」って感じで書いたほうがネタっぽく伝わるよねっていう部分でああいうふうに書いたんですけど、それがひとり歩きしちゃったから。

でも、よく考えればリアルにガラの悪い親父は自分でTwitterにそうやって書かないだろってところまでは、やっぱり１４０文字ではなかなか伝わらないというか。だから今日は、敢えてちょっとパリッとした格好してきましたけど（笑）。

山口　ビッグダディみたいなビジュアルをみんな期待してたかもしれないよね。

八木　たぶん無精ヒゲ生やしてジャージでも着てくればイメージは近かったでしょうけど、一応そのイメージは壊しておこうかなと（笑）。

山口　でも今回は、そういうイメージを壊しておこうっていう作為すらも一切関係ない人たちに届いちゃったってことだよね。

八木　そうそう！　いくらここで頑張ったところでイメージは覆されないです。もうネタがひとり立ちしちゃってるんで。

それでこの騒ぎのオチとしては、先日、某テレビ番組から「オリンピック期間中の話題のひとつとして八木さんのツイートを紹介したい」と連絡がありまして。

山口　某ゴッドな番組だよね。

八木　そう。で、「息子さんにも、どんなお父さんか？とか、それを聞いてどう思ったか？とか、そういうことを聞きたい」って言われて、息子が電話取材を受けたりもしたんですけど、放送直前になって、「申し訳ありません、浅田真央ちゃんの特集になりまして。尺がちょっと……」ってことでカットになりました（笑）。

放送されたら放送されたで面倒くせえなと思いながらも、地上波で紹介されたらTwitter上がどうなるのかなっていうのはちょっと見たかったですよね。それでまたＲＴが増えたりフォロワーが増えたり、あとは、さらにすごい攻撃が来るんじゃないかって。

柳沢　フォロワーは増えた？

八木　実は、そんなに増えませんでした。３割増ぐらいですね。７００人ちょっとだったのが、いま９２０とかなんで。フォロワーもすげえ増えるのかなと思いきや、そっちはそうでもなくて。

あと、増えた分も、ボクが通常運転でつぶやくとみるみる減っていきます（笑）。

「今回のは、なんのベースもサポートもないなかでの突然の拡散ですからね」

山口　で、賢太郎は、今回の広がりを今後の人生にどう活かしていくわけ？（笑）　

八木　それをむしろ相談したいですよ（笑）。何かが変わるかと思いきや、何も変わらない。結果的に地上波の放送はカットされたので、ガッツリ食いついてきてくれたのはあなたたちぐらいですよ。

山口・柳沢　ガハハハハ！

八木　まったくもって通常運転。

山口　元の木阿弥ってこういうことか、ってこと。

八木　結局『かみぷろ』しかネタにしてくれなかった。これでどっか週刊誌の取材でも来てくれればおもしろかったんだけど。

柳沢　俺らもべつに賢太郎じゃなきゃ取り上げないし（笑）。

山口　ほかの人が１万ＲＴいったって何の興味もない（笑）。

柳沢　「へぇーっ」で終わりだよ（笑）。

八木　でしょ？　だからホントに通常運転。ライターとしてこれで仕事が増えるかっていうと、フォロワーが１万でもいけば話は別だと思うんですけど、２００人ぐらい増えただけじゃ何も変わらないですよ。

柳沢　１８０００とかそれぐらいのレベルになると年齢層も相当広くないといかないのかもしれないけどさ、このトレンドのランキングを見る限り、みんな若い人っぽいよね。

八木　そうですね、活発なのは若い子ですよ。

柳沢　若い子が気軽にＲＴするっていうのじゃなきゃ、ここまでの数っていかないよね。

八木　たとえばボクらは、自分のフォロワーに流すからには責任を持ってＲＴしなきゃいけないって思うじゃないですか。

多少なりとも発信者としてのプライドみたいなものがあって、ＲＴするからにはちゃんと笑ってもらえるものをって思うけど、たぶん若い世代にそれはなくて、自分がおもしろいと思ったら、メモっぽくＲＴして、友達とそれで共有したいぐらいの軽い感じだと思うんですよね。

山口　なーんか中高生とかが授業中に飛ばしてる絵が浮かぶんだよな（笑）。

八木　中高生とは限らないけど。

山口　限らないけどね。でも、学生とか暇でしょ。自分の世代がネタになってるってことで、休み時間とか放課後とかに、「こういう親父ダメくね？」「この話なんかおもしろくね？」みたいなところだったり、あのドラマのあのシーン見た？的な広げ方をされたのかなって。そういうのが合わさらないと、なんでここまで広がるのか理解できないんだよね。

柳沢　だって「ユセフ・トルコが亡くなりました」って中高生がＲＴしないもんな（笑）。

八木　たしかに。だからそういう意味では若い子なのかな。

柳沢　Twitterの特性としてもそういうことになってるのかもね。

山口　でもさ、１万ＲＴ超えされるネタを、常に賢太郎が仕込めるようになったら、仕事めちゃ増えるよね（笑）。

柳沢　これが分析できて、次もそれぐらいいくようなものができたとしたら、すごいことだよ。

八木　たしかに。だけどその根拠になるのはフォロワーの数じゃないですか。フォロワーが１万８０００人になってるんだったら話は違うだろうけど。

山口　いや、そうなんだけど、実際にフォロワーが何百単位の賢太郎のツイートがこれだけ拡散された。ここだけ取れば、フォロワーの数はあんまり関係なく拡散はするっていうことでしょ。

だから、拡散ってこういうレベルのことなんだなぁって。フォロワーの数が多ければその分ＲＴとかの数も多くなるのは必然なんだろうけど、それでもそれは拡散内拡散というか。賢太郎の今回のは、実に過激な拡散だよね（笑）。

八木　まあ、おもしろければ20人のフォロワーしかいない人でもこういう事件って起こり得るし、みんな気をつけたほうがいいですよっていうのはありますよね。

ボクは一応大人だし、プロのもの書きの端くれなんで、攻撃的なリプライに対しても楽しんで返せるけど、そのへんの高校生とか若い子がこんな攻撃受けて、それを真に受けると病んじゃうと思いますね。ふつうの人だったらヘコむようなこといっぱい書かれましたから。

柳沢　拡散とかさ、そういうことに慣れてないんだよ、俺らは。世代的に。

八木　わかります。伝わらない人に知られる怖さっていうのはありました、今回。どうしてもボクらこの業界というか、一種の村社会のなかでやってきたから。

柳沢　作為的に、こういうところに届かせようとかターゲット決めながらやってるわりに、その一歩外に出ちゃった瞬間にさ、わけわかんなくなる。

八木　ボクも仕事としては何十万部も売れる雑誌に書いてきたけど、それだってその雑誌の読者っていうターゲットがあってやってることだから、何かあってもそのなかでのお約束として済ましてくれるっていう気持ちで発信してきたけど、今回のようなのは、道端でチラシが配られてるようなもんじゃないですか。実はTwitterってそういうところで書いてるんだなって。

山口　発信者個人が軸にならずに、その話自体、文言が飛んでいくっていう現象は身近になかったでしょ。

八木　ないないない。有名人のTwitterが炎上するのは、あくまで発信者が軸ですけど、今回のは、なんのベースもサポートもないなかでの突然の拡散ですからね。

事件や事故のニュース映像とかで話題になっちゃう人とかに近い感じかもしれない。意図しないなかで、ある日突然、有名になっちゃったみたいな。昔の１億円拾った大貫さんとかね（笑）。

柳沢　YouTubeに近いんじゃない？YouTubeは見たまま、べつに誰が投稿したとか関係なく、おもしろかったら数字が上がるわけで。それにかなり近い感覚なんじゃない？ＳＮＳってことで考えれば、これがYouTubeだったらお金になるわけじゃん。

八木　そうですね、広告ついたり。

柳沢　Facebookとかでも、お金になるやり方があるのかもしれないし。だからＳＮＳについて考えてみたほうがいいよね、こういうことができるって。

八木　誰でもおもしろいこと書けばこれぐらいの騒ぎは起こせる、っていう意味では、みなさんの希望の星にはなれるかもしれない。

柳沢　Twitter自体はこれだけではお金にならないけど、これを載っけてるまとめサイトのヤツらとか、そういうのはそれで飯食ってるわけじゃん。

八木　そうですよね。まとめサイトで１個やってくれたらしいけど、その人にしてみれば、それを一応は運営してるわけだから、そういう意味で「載せていいですか？」ってことなんだろうけど。向こうのほうが商売になるでしょうね。

柳沢　そうか、これも『NAVERまとめ』とかを使えばまた広告費が入るのか。

八木　入るかもしれない。ただ、いかんせんオリンピックネタなんで、１ヶ月ももたないですからね。葛西選手も平野選手も１ヶ月もしたら忘れられちゃうから。

だからまさにタイムリーで、この1週間しか生きなかった。よくも悪くも、大当たりで終わりですね。

柳沢　次の大当たりを狙ってTwitterじゃないことで頑張らないと（笑）。

「たしかに、こういうことがやりたかったんだっていう気持ちもあるんで、もうTwitterはやめようかなと（笑）」

柳沢　これ何人ぐらいが見たんだろうね。

八木　目にしたっていう意味では10倍とか、もしかすると１００倍はいくんじゃないですか？ １８０００部程度の雑誌の反応よりもだいぶ多かった気がするから。

これだけ多種多様な反応が来るっていうのは、やっぱり10万、１００万クラスかなと。全員がちゃんとは読んでないだろうけど、見たっていう意味ではそれぐらいは届いてるんじゃないですかね？

山口　それこそクラスタとかいう概念は簡単に飛び越えてるよね。クラスタ内では批判はそんなにないでしょ。飛び越えてるから批判が多くなる。

八木　ただ、「俺は普段もっとおもしろいこと書いてる！」って言いながらも、「これ以上おもしれえことなんか書けねえぞ？」とも思ってて（笑）。しばらくは妙に意識しちゃって、浮足立った感じになりますね。

柳沢　何かっていうとネタ探しして（笑）。

八木　ＲＴ狙いみたいになっちゃいますよね。少しはフォロワーも増えたんで、この１週間つぶやいたことは、それ以前よりはまあ、そこそこＲＴされてますけど。それでも10とか20とかの話ですから。

山口　そうか。「おもしろいことをつぶやく人」っていうイメージはついてるのか。それも重荷だね（笑）。

八木　多少それは思われてるみたいですけど、すぐにそれも飽きられるだろうから。だから、今後にはなんにも繋がらないですよ。まあ、『かみぷろ』のネタになっただけよかったなっていう。

とりあえずいままで陰ながら関わってきた『かみぷろ』に一応おおっぴらに登場できただけでも、１８０００ＲＴの恩恵があったかな、と（笑）。昔の『紙のプロレス』関係者としては、あの「Ｙ談の部屋」に“Ｙ３号”としてお招きいただけたわけですし。

山口　八木賢太郎もイニシャルがＹだったというこじつけだけどね（笑）。

八木　ボクは、Facebookは友達にしか公開してないけど、Twitterは、一応はライターとしてオープンにやってるんで。そういう意味では、まさに理想的なんですけどね、こんなにＲＴしてもらって喜んでもらえたことは。

たしかに、こういうことがやりたかったんだっていう気持ちもあるんで、もうTwitterはやめようかなと（笑）。

山口　「体力の限界！」（笑）

八木　そう、もう本望です。これ以上やることはない！（笑）

柳沢　じゃあ、これからはYouTubeで！（笑）。

八木　だって寂しいだけだもん。これからたとえば１００人ぐらいにＲＴされたって、「１００かぁ」って思うだけでしょ（笑）。だから、完全な一発屋ですよ。

柳沢　一発屋っていい響きだな、なかなかいないもんな、俺らの周りに。

山口　一発ツイーター！

八木　一発ツイーターですよ、ホント。Twitter界でも何人出てるか？っていうぐらいの。だから、表彰とかしてくんねえのかな？とも思うんですけどね（笑）。年間ツイート大賞とかさ、ちょっと楽しみにしてますよ。

騒ぎはじめた当初は、「フォロワーが１万とか２万とかになったらどうしよう？」とも考えたけど、結局、増えたのは２００人だったし（笑）。だから案外そんな大したもんでもないってことですよ。

柳沢　やっぱりフォロワーは10万ぐらいがベースかもね。10万あったらビジネス的にも相当だよな。

山口　家入一真も都知事選に出てから、10万フォロワーを越えたよね。

八木　10万ぐらいあれば、本でいう１〜２万部ぐらいの影響はありますよ。そこからが、たぶん商売になるんでしょうね。

柳沢　……先は長いわ（笑）。

八木　長いですよ。ＲＴだけじゃどうにもならない。

柳沢　１８０００ＲＴされて２００人フォロワーが増える世界だもんな。

山口　約百分の一。

八木　フォロワーを２万人増やすには２００万ＲＴされないといけないの？ どんなネタだよ！

柳沢　あ！　英語でツイートすればいいんだよ。

八木　あ〜、なるほど！

柴田　例えばジャスティン・ビーバーは５０００万フォロワーで、ＲＴは10万、20万されてますね。

八木　やるな〜、ビーバー！待ってろよ、ビーバー！（笑）。ホントに英語に訳して上げてみようか。まだ通用するかもしれない、平野選手と葛西選手の話なら。

山口　よし、やろう！

八木　そしたら今度、海外から「ライターなのに絶望的に英語力がない」って書かれるんですよ（笑）。

山口　推敲し直した文章が33ＲＴだからさ、その100倍の３３００ＲＴぐらい目指そうよ。根拠はないけど（笑）。ここにいる柴田が訳せるから。

こいつの日本語はまったく聞き取れないけど、英語は話せるらしいからね。

八木　いいね、訳して訳して。それでハッシュタグでもつけときゃいいんでしょ？それやってみよう！もはやこのネタで食ってくしかない。新しいネタがないんで（笑）。

英語でウケたら、今度はフランス語とかドイツ語とかロシア語とか各国語で翻訳版をやろう！

山口　さ、というわけで、今日はここまで人生には一切役に立たない話をしてきましたが、これを見て「これが拡散したのはそういうことじゃない、こういうメカニズムなんだ。わかんねえのか、てめぇらは！俺の爪の垢でも煎じて飲みやがれ！」という奇特な方がいたら、ぜひデータなども添えて教えていただきたいですね。

八木　もしかしたらボクのツイートに、他に何か隠された魅力があるかもしれないですからね。

柳沢　賢太郎、どうする？　インドで大人気になったら（笑）。