みらいけん数学デーまとめ
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みらいけん数学デーまとめ

2017-12-18 00:04
  • 3
この記事は、日曜数学 Advent Calendar 2017 の18日目の記事です。
昨日はcorollary2525さんの「トーラス上で三目並べ ~初手は俺~」でした。
日曜数学 Advent Calendar は、数学の記事を書いていくカレンダーである。
しかしこれから書くこの記事には、数学の話題がほとんど出てこない。
ゆえに本来ならばこのカレンダーに書くのは不適切なのだが、
広い意味で「日曜数学活動」に関する記事なので、ここに書かせて頂く。

§0.この記事は何か
私が今年1年間運営していた「みらいけん数学デー」について、
「みらいけん数学デーとは何か」「何がしたかったのか」「何が起こったか」
「成功したのか」「今後どうするか」をまとめる記事である。

ただし、私の頭の中でもまとまっていない部分があるので、書きながらまとめていく。

§1.みらいけん数学デーとは何か
今年1年間、神保町にあるコラーニングスペース「みらい研究所」をお借りして、
「数学好きがダルっと集まってダルっと数学の話をできるスペース」
を運営していた。
みらいけん数学デーとは、狡猾な狐さん(@wreck1214)によってこのスペースにつけられた名前である。

少し詳しく書くと、初回は2017年1月17日(火)。
それ以降、毎週火曜日に午後1時~午後11時まで開店していた。
火曜日だった理由は、みらい研究所さんの定休日に場所をお借りしていたためである。


§2.何がしたかったのか
一言で書けば、
「数学好き同士が集まって、目的なく数学の雑談をできる場所を作りたかった」

コンセプトとしては、日曜数学会に近い。
事実、これは第6回日曜数学会(2016年6月)で、狡猾な狐さんが提案したものだ。
「大学の部室のように、そこへ行けば誰かしらいて、数学の話ができる空間を作れないか
という提案だった。

当時、会社を事実上クビになったばかりだった私は、
うまく行けばお金になるかもしれないと考えて、割と真面目に実現可能性を検討した。

当時の構想としては、どちらかと言えばスナックに近いものだった。
数学の話をできる店員がいて、お客さんをもてなすという発想だ。
大学の数学科の学生を雇おうなどと言っていたように思う。

あるいはシェアハウスでも良いのではないか、という話も出た。
数学好き同士でシェアハウスを借りて、
共同スペースに時々お客さんを呼んでわいわい騒ぐという構想だ。

いくつか案を出して検討しているうちに、狡猾な狐さんが
「神保町に同じ構想のカフェができた」
という情報を持ってきた。
それがみらい研究所さんであった。

数学カフェ(@mathcafe_japan)の中の人も利用を始め、
評判が良かったので私もそこのオーナーさんに声をかけた。
そして上記の構想を話したところ、「うちの定休日で良ければ貸しますよ」と仰ったので、
「じゃあ試しに1年間やってみて、どうなるか実験してみます」
とみらいけん数学デーを始めるに至ったのだ。


§3.何が起こったか
§3.1.「場」について
いくつか大きなイベントが発生したが、それらについて書く前に、
結局どのような「場」になったのかについて書こう。

ある程度は私の想定通り、数学好きが集まってダラダラと数学の話をする場になった。
初期の頃は毎週10人以上、最近でも8~10人ほど集まって、数学の話をしている。
最初期は模造紙で数学の話をしていたが、
2月後半にホワイトボードが導入されて以来、そちらで話すようになった。

ホワイトボードの導入には長短があった。
模造紙よりも話しやすく便利だったのだが、
一枚しかないのでその日の話題が一つに限定されがちになってしまった。
話したい話題を持ってきたのに、その日は別の話題で持ち切りになっていて話せなかった、
という人もいたかもしれない。

テーブルは複数あったので、ホワイトボードを使うよりは、
複数のテーブルに模造紙を分けて置いておいた方が、話題が分散してよかったかもしれない。


具体的にどのような話をしたかを記す。
毎週やっていたので細かい話は覚えていないが、主に以下のような話題が多かった。

・誰かが持ってきた数学の問題を解く
主に鯵坂もっちょさん(@motcho_tw)が持ってくることが多かったが、
他の方も持ってきた。

持ってくる問題は、既存の問題だけではなかった。
「こんな問題を考えてみたのだが、どうだろうか」というノリで持ってくるのだ。
これは完全に私の理想通りであった。

持ち込まれた問題は、その日のうちに解けることもあれば、
数回に渡って議論されることもあった。
最終的に解決されず、うやむやになった問題もあったと思う。

問題から派生して新しい概念が生まれたり、新しい定理が発見されたりもした。

「タワー分数」を表す記号や、「85は素数番目の素数と素数番目の素数との積でありながら合成数番目の合成数でない最小の自然数」という定理が得られたりもした。
特に、新しい演算子は毎月のように誕生した。

・誰かが持ってきたパズルを解く
パズラーの方々も集うようになり、必然的にパズルを解くことが多かった。
私自身も知恵の輪が好きで、みらいけん数学デーでは知恵の輪を常備していた。

単に解くだけでなく、そのパズルの数学的構造について議論したりもした。

また、パズラーの方が自作のパズルを持ってくることもあり、
上記の「問題を解く」と同様、数回に渡ってそのパズルについて議論することもあった。
(むろん、持ってきた方が答えを知っているとは限らなかった)

・ボードゲームで遊ぶ
これは想定外であったのだが、みらい研究所のオーナーさんがボドゲが好きで、
店内に大量のボードゲームが置いてあった。
そのため、皆でボドゲで遊ぶことも多々あった。

ワードバスケット、枯山水、ピット、ドミニオン、などである。
素数大富豪で遊ぶ日も多かった。

・数学イベントの打合せ
みらい研究所さんは広いテーブルがあるため、勉強会や打合せをするのに都合がよかった。
そのため、数学イベントの打合せを行うことも多かった。
ニコニコ闘会議2017やMahtPower2017の打合せも、実は一部ここで行っていた。


その日話した内容は、鯵坂もっちょさん(@motcho_tw)が毎週ツイートしてくださった。
#みらいけん数学デー」で検索すると、色々出てくる。
またこれらのツイートを見て、興味を持って来店してくださるお客さんもいた。

また、このような場が出来たことによる必然的結果として、
初対面のお客さん同士の交流が発生した。
誰と誰が仲良いかなどはあまり把握していないのだが、
初対面だった方同士が交流している姿はよく見る。

さらに、後述するイベントがきっかけで、我らが日曜数学会の辻順平さん(@tsujimotter)が雑誌『数理科学』に寄稿することになった。
イベントに出演して下さった数学者の高瀬正仁先生が、辻さんのことを覚えていたためだ。


大きな出来事もいくつか発生した。
以下にまとめる。

§3.2.勉強会の発生
数学カフェさんと、あと個人の方が、ここで勉強会を開催したいと申込んできた。
快諾した結果、
「女性のための数学勉強会」と「3Dプログラミングのもくもく会」が、
半年間ほぼ毎週行われることになった。

もくもく会とは、同じ分野を勉強したい人達が集まり、ただ黙々と勉強する会である。
会の最初と最後に、今日の目的や勉強の成果を報告し合うものだ。

毎週コンスタントに10人以上が集まるため、私としても収益的に大変ありがたかった。
数学デーのコンセプト的にも、同志が集まって勉強できる場を提供できて良かった。

ただ残念なことに、主催者のスケジュールの関係で、8月を境にどちらも消滅してしまった。

§3.3.数学イベントの発生
3月と8月に、計2回数学イベントが発生した。
3月のイベントは私が主催したが、8月はお客さん主催によるものだ。

まず3月のイベントについてだが、
なんとこれは、書泉グランデさんとのコラボイベントであった。
書泉グランデさんは、みらい研究所さんの斜向かいにある巨大本屋さんである。
そこの数学担当の方(@rikoushonotana)が我々を発見し、声をかけてきたのだ。
(声をかけたのはこちらだったかもしれない。よく覚えていない)

3月14日がちょうど火曜日だったこともあり、その日に何かやろうという話になった。
検討の結果、丸一日使った一大イベントを開催する運びとなった。
内容については、以前書いた宣伝が詳しいので、参照して頂きたい。
http://ch.nicovideo.jp/kiguro_blog/blomaga/ar1197722

50名程度来ることを期待していたが、実際には20~30名程度の入りだった。
(正確な人数を覚えていない。途中入退場自由だったので、同時にいた人数は最大20人程度だったが、合計で30人近く来ていたかもしれない)

当日は会場で書籍を販売したり、ニコ生で書泉グランデさんの宣伝をしたりもした。
辻さんが寄稿するきっかけになったイベントも、これであった。


もう一つの8月のイベントだが、これは数学アートの展示会だった。
主催したのは数学デーのお客さんの1人だが、
数学でアートをしている方々に声をかけ、作品の展示会を行った。

こちらも一日中やっており、合計で30人程度の集客があった。
しかも当日は、おもちゃ会社の方が商品サンプルを持って遊びにいらっしゃった。
数学を使った知育玩具で、アートそっちのけで遊ぶ人が続出した。


§4.成功したのか
まず何をもって成功とするかを決めないといけない。
元々の目的は、
「数学好き同士が集まって、目的なく数学の雑談をできる場を作りたかった」
である。

この点で考えれば、まあ成功したと言ってよいだろう。
今でも8~10人程度集まって、わいわいと数学の話をしている。

問題点を挙げるなら、
・話題が一つに限定されがち
・常連が中心で、新規のお客さんがあまり来ない
などだろうか。
後者については、全然宣伝をしていないので当然の結果である。

あと個人的な話だが、私の家から結構遠いため、往復が割としんどかった。
交通費もかかるし。


収益的には赤字なので失敗である。

みらい研究所さんには賃料と清掃補助費を支払っていた。
また実はアルバイトを一名雇っており、その方にも給料を支払っていた。

これらの支出は合計で月7万1千円以上。
利用料は1人1000円なので、月71人。
4回で割ると、1回あたり18人お客さんがくれば黒字になる計算だ。

決して難しくはないのだが、そもそも私に儲けようという意欲がなかったため、
結果的に赤字になっている。

いや、当初は割と儲けようとしており、最初の半年くらいは黒字だったのだが、
その辺りから儲けようと画策するのに飽きてしまって、このような結果になった。
儲けるためには儲け続ける持久力が必要なのだとわかった。

ちなみに、料金は途中で一度改定しているのだが、
事情がややこしいのでここでは割愛する。


机上の空論であるが、黒字化できそうな方法を記しておこう。

まずは勉強会の誘致である。
8月までは、勉強会参加者が収益の大半を占めていた。当初黒字だったのもこのためだ。
みらい研究所さんは、2~3グループが同時に勉強会を開けるほどのスペースがある。
仮に各グループが5人ずつだとしても15人になる。
「5人~8人の小さな勉強会を開きませんか」とTwitterにでも広告を打てば、
案外簡単に黒字化できたかもしれない。

もうひとつは、イベントの開催である。
月1で良いので何かしらイベントを開催してしまえば、それで20~30人来るだろう。
火曜日、つまり平日なのでやや集まりにくい条件ではあるが、
現に2回のイベント時にはそのくらいの人数が集まっている。

なんにせよ、積極的に宣伝活動をしなかったのは失敗であった。


§5.今後どうするか
元々は1年間のお試しで始めた企画である。
当初の予想としては、半年くらいで飽きて誰も来なくなるのではないかと思っていた。

しかし実際には、常連さんが居着く結果となった。
常連さんたちは続けてほしいと要望しているし、私としても続けるのはやぶさかではない。

何より、辻順平さんと高瀬正仁先生のように、
数学デーがきっかけで仕事の依頼にまで発展したケースも現れた。

もっと続ければ、もっと面白いケースが発生するかもしれない。

ということで、来年2018年3月27日(火)までは、
現在の場所で数学デーを続けることにした。
(ただし料金は変更する予定だ)

それ以降どうするかは、まだ決めていない。
みらい研究所さんで続けるかもしれないし、他の場所へ移るかもしれない。
あるいは消滅するかもしれない。

実は何名か、「うちの会社のオフィス使っていいよ」と声をかけてくださっている方がいる。
今すぐに使えるわけではないのだが、条件さえ整えばそちらへ移転するかもしれない。



学問好き同士に交流が生まれること。
そして好きな学問について、好きなだけ議論できること。

そんな状況を作りたいというのが、かねてからの私の望みだ。


今回の記事で、みらい研究所やみらいけん数学デーに興味を持った方は、
ぜひ一度遊びにきていただきたい。
詳しい場所は下記参照のこと。
http://mirai-lab.org/


明日はunaoyaさんの「SL(2,R)の表現論とSelberg zeta」です。お楽しみに。

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