• 【重要】シャンハイエグゼの配布形態の変更について

    2016-04-27 21:48412
    どうもです。
    コーキーです。

    諸事情により、シャンハイエグゼ完成版の配布を「無償・フリー」とすることに決定しました。
    理由についての詮索はしないでもらえると助かります。

    完成版配布のタイミングは、従来の予定通り「完成後」とさせていただきます。

    どうか、今後も製作の応援よろしくお願いします。

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  • 世のため人のためネクロマンサー 連載中!

    2016-04-20 00:091
    どうも コーキーです。
    ゼレイブとかほったらかしで最近オリジナル小説書き始めました。

    その名も世のため人のためネクロマンサー

    絵:りん

    ひょんなことからネクロマンサーの弟子として修行しなくてはいけなくなった
    魔術師の女の子が主人公のファンタジーコメディ小説です。
    題材は完全にオリジナルです。

    良かったら読んでくださいね!
    感想をいただけるとさらに喜びます!

    世のため人のためネクロマンサー - カクヨム
    https://kakuyomu.jp/works/1177354054880846417

    世のため人のためネクロマンサー - pixiv
    http://www.pixiv.net/series.php?id=688146

  • 夢幻起動ゼレイブ 第11話「平和のコタえ」

    2015-12-14 18:21

    レイセンが目を覚ますと、白い天井が目に写った。
    「ここは・・・・?」
    ズキズキと痛む頭を抑えながら、レイセンは周囲を見渡した。
    清潔感のある白い部屋、白いベッド。
    医務室か病室なのだろうか。
    そして、レイセンは経緯を思い出そうとした。
    (確か・・・・敵が来て、それで・・・・)
    ワカバを置いてゼレイブに乗って、敵を倒し・・・・
    そして、救援に来た鈴仙に攻撃をした。

    「お目覚めかい?」
    病室の扉を開け、てゐが入ってきた。
    「てゐさん、ありがとうございます」
    「礼なら鈴仙の奴に言ってやりな。
     私は何もできなかったよ」
    そう言いながらてゐは棚の上のコーヒーの素を手に取り、
    コーヒーを淹れ始めた。
    (ああ、鈴仙さんを攻撃したことに
     あえて触れないでいてくれてるんだな)
    レイセンはてゐの態度から、そう読み取った。
    「そうだ、ここはどこなんですか?」
    レイセンはコーヒーをすするてゐに尋ねた。
    「ここは、人里の外れの山中。
     幻想郷軍の基地だよ」
    てゐがそう答えると同時に、部屋の扉が勢い良く開きワカバがレイセンに飛び込んできた。
    「レイ! レイ、無事だったのね!」
    (ワカバ、心配してくれてたんだ)
    レイセンの胸の中で喜びの声を上げるワカバに対し
    レイセンは素っ気ない感想を抱いた。
    「こらこら、けが人をそんなに揺らしたらダメよ」
    「あっ、八意先生! すみません…」
    ワカバから八意先生と呼ばれた人物に言われ、慌ててワカバは飛びのいた。
    「あなたは…八意さん…」
    「久しぶりね、レイセン。
     といっても、今の私の立場は幻想郷軍の総司令官ではあるけれど、
     あなたの主治医も務めさせてもらうわ」
    かつて、レイセンが幻想郷に来た時に竹林にある屋敷に世話になっていた。
    その屋敷の主とも言えるのがこの人物、八意永琳であった。
    「あなた、自分の身に何が起こったのかわかるかしら?
     …ってわかるわけ」
    「わかります。狂気の瞳が暴走したんですよね」
    永琳が尋ねるのを割り込む形でレイセンは答えた。
    「えっ…?」
    「私は敵意を感じるままにゼレイブに乗って暴れた。
     鈴仙さんが来てくれて、私を止めるために湖にゼレイブを沈めたんですよね。
     わかっています。それが私を傷つけずに意識を奪う最善手だったでしょう。
     地球降下時のショックでハッチ周りの密閉がゆるくなっていたんです。
     それを知って鈴仙さんは私を湖に…あの人は流石です。
     窒息して意識を失った私を鈴仙さんは…」
    「レ、レイ…?」
    すました顔で自分の身に起こったことを、あたかもそれを見ていた第三者のように話すレイセンに
    ワカバは少し恐怖を感じた。
    「どうしたの、ワカバ」
    「あなた、変よ…なんでそんな感じに…」
    「私は…普通だよ」

    「永琳、ありゃあどうなってるんだい?
     数日間あの子と一緒にいたがあんな奴じゃなかったぞ」
    病室の外の廊下を歩きながら、てゐは永琳に尋ねた。
    「おそらく、度重なる戦闘での頭の使いすぎだったところに
     狂気の瞳の暴走によって思考がオーバーヒートを起こした。
     その反動で、今は超冷却状態にある…ってところかしらね」
    「レイは…大丈夫なんですか?」
    「ゆっくり休めば大丈夫…と言いたかったわね」
    不安げにワカバが永琳に訊くと、深刻な顔をして永琳は答えた。
    「どういうことなんですか、八意様!」
    廊下の分かれ道から、会話を聞いていた依姫が飛び出した。
    「依姫…」
    「あの子は、どうなってしまうんですか?
     どうしたら、治すことができるんですか!?」
    必死な顔で食って掛かる依姫に対して、永琳は手を顎に当てながら答え始めた。
    「今のところは一時的な状態だと思うわ。
     だけど再度、狂気の瞳が暴走すれば…元に戻れないかもしれない」
    「えっ…」
    「鈴仙から聞いた彼女の状態は、極度の興奮状態…
     それも追いつめられた獣のような状態だったと聞くわ。
     狂気の瞳というものは、玉兎が持つ防衛本能の一種なのだけど
     そのタガが必要以上に外れてしまえば…」
    「あの暴れた時のような状態が…ずっと続くということですか?」
    ワカバが言うと、永琳は静かに頷いた。
    「ええ、恐らくは一生。
     そうなってはもう、取り返しは…」
    「そんな…」
    永琳から聞く最悪の結末に、依姫は絶句した。

    その時、永琳の持つ携帯電話がピリリと鳴った。
    「はい、こちら八意」
    「総司令! 西方面部隊からの報告が来ています」
    「わかったわ、今行くから繋いでちょうだい」
    永琳は電話を切ると、小走りに廊下の奥へと消えていった。
    「…ここにいちゃ、いけない」
    静まり返った廊下で、ワカバが呟いた。
    「え?」
    「ここにいたら、またレイは戦いに巻き込まれる…。
     戦いが起こったら…レイはまた…」
    「連れ出す…ってことかい?」
    ワカバの言っていることを、てゐが要訳した。
    「この世界なら、居場所はどこかにある…だから…」

    レイセンは、突然出してきたワカバの発案をすんなりと飲み、
    すました顔のまま、依姫に連れられ格納庫へと向かった。
    「確か、てゐさんが機体を用意してくれるって言ってましたけど…」
    「綿月の姫さん、こっちだよ」
    格納庫の奥のほうで手を振るてゐに、依姫とレイセンは駆け寄った。
    「ワンブ・ゼロ…」
    「ハッチが吹き飛んでて修理状態だから、調達はすんなりだったよ」
    「調整、終わりました」
    ワカバがワンブ・ゼロのコックピットから降りてきて言った。
    「コックピットが丸出しだから、
     くれぐれも落ちないようにだけは気をつけて」
    「ええ、わかりました。ありがとう」
    てゐと依姫は握手した。
    「ねえ、レイ…」
    ワカバが身を乗り出してレイセンの両手を握った。
    「…元気でね、レイ」
    「…?
     ワカバもね」
    レイセンの心は、ワカバの言葉からは何も感じてはいなかった。

    ビーッビーッ!
    突然鳴った警報に、通信室にいた鈴仙は仰天した。
    「何事? 敵!?」
    「い、いえ! 違います!
     ワンブ・ゼロが勝手に発進を!」
    「脱走…?」

    ワンブ・ゼロは、バーニアを吹かせて森の上を飛んでいた。
    重力下なので長時間飛べるわけではないが、慣性に身を任せるままただ前へと進んでいた。
    「風が気持ち良いわね、レイセン」
    ポニーテールをたなびかせながら、シートの脇に座る依姫が言った。
    「依姫様、どうして一緒に出てきたんですか?」
    「あなたがこうなったのも、私の為みたいなものですし…
     責任くらいは、とらないと。
     私だって、あなたを守るくらいは出来ますし…」
    ちょっと申し訳無さそうな顔で帯刀した刀をトントンと叩きつつ依姫はレイセンに答えた。
    風に吹かれて、何も考えずに前へ進む。
    レイセンは感じるままに、前へ進んでいた。
    風がレイセンの心を洗ってくれるかのように…。

    そのうち、眼下の風景は森から、小さな町に変わった。
    風景を眺めていた依姫が、突然斜め下を指差して叫んだ。
    「レイセン、あそこ!
     人が追われてる!?」
    依姫が指差した方を見ると1台のトラックのような車が
    3台の武装したバギーのような車に追われていた。
    「助けなきゃ…いけませんね」
    「レイセン…!」
    レイセンは操縦桿を握り、地上で繰り広げられているカーチェイスを追い始めた。

    「ジュンさん、もっとスピードを出して!」
    「言うがよ、妖夢の嬢ちゃん!
     これでフルスピードだ!」
    追われているトラックにのった二人の女性が言い合っていた。
    ふと、バギーに巨大な影が覆いかぶさり、
    クルマを運転しているジュンと呼ばれた隻眼の女性が窓から顔を乗り出して見上げた。
    「あ、あれは…ワンダーアーマー!?」
    助手席に座る妖夢が同じように窓から顔を出して叫ぶ。
    「プロトウェイブ…なのか…?」
    ジュンがワンブ・ゼロを見て呟いた。
    ワンブ・ゼロの頭部バルカンの発射前のキチキチという音を感じ、
    ジュンは拡声器を取り出して叫んだ。
    「撃つなっ!!」

    「えっ…?」
    レイセンは下から聞こえてきた叫びを聞き、とっさにバルカンの発射スイッチから指を離した。
    「あいつらはただの野盗だ!
     追い払うだけでいい!」
    その指示を聞き、レイセンはワンブ・ゼロの手でバギーの上を軽く払った。
    「ひ、ひええ! ワンダーアーマーなんて聞いてねえぞ!」
    身の危険を感じた2台のバギーが追うのを止め、Uターンして反対方向へと逃げていった。
    しかし、後の一台は信念があるのか、ワンブ・ゼロに突っつかれてもなおトラックを追うのを止めなかった。
    「どうすれば…」
    依姫が悩んでいると、トラックからさっきとは別の女性の声が聞こえてきた。
    「すみません! 何か刀剣のようなものはありませんか!?」
    「刀なら…」
    依姫は腰の刀を外して見せた。
    「投げてください! 必ず返します!」
    「え、ええ…?」
    依姫は、妖夢の声を信じて刀をトラックめがけて投げた。
    その瞬間、妖夢は一瞬でトラックの助手席から屋根の上に飛び乗り、空中で刀をキャッチした後
    高速でバギーを通り抜けた。
    妖夢が刀を鞘にカチンとしまうと、バギーは中央から真っ二つになり乗っていた男たちが慌てて飛び降りた。
    真っ二つになったバギーは乗り手を失い、そのまま左右に別れて倒れ、動かなくなった。
    「ちくしょう、覚えてろー!」
    バギーに乗っていた男たちは捨て台詞を言い逃げていった。
    レイセンはとっさに逃げる男たちを追おうとしたが、ジュンにとめられた。
    「そこまでする必要はない、逃がしておけ!」

    「刀、ありがとうございました」
    妖夢と名乗った女性が依姫に刀を返しながら言った。
    レイセンと依姫はバギーを追い払った後、ジュンと名乗る女性の目的地までついていき、
    機体から降りて二人に挨拶をしに来たのだ。
    「わざわざすまなかったね。
     ちょっと乱暴すぎた気もしたけど…」
    ジュンがトラックから降りて言った。
    「あの人達は…何を狙っていたんです?」
    「こいつさ」
    ジュンがそう言いながら荷台から大きな袋をドサッと落とした。
    「お米…? ごはん?」
    「こんなものを…?」
    袋いっぱいに詰まった米袋を見て、レイセンと依姫はぽかんと口を開けた。
    「ハハハ、『こんなもの』はないだろう!
     戦いが続くとね、どうしてもああいう奴らは出る。
     腹も減るし、心が荒めばしょうがないことだよ」
    ジュンがさっきまで自分たちを追っていた野盗の擁護をすることに、レイセンは驚いた。
    「私達は、避難所にいる人達のためにおにぎりを作りに来たんです」
    「避難所?」
    「あそこです」
    依姫に聞かれ、妖夢は向こうに見える大きな建物を指差した。
    「こうも戦いが続くとね、時たま近くが戦場になったりもする。
     流れ弾やなんやで家が壊された人も多くてね。
     最近はマシになったけど、壊れたものは戻らないからね」
    ジュンが避難所の方を見て言った。
    「避難所にいる人達のご飯をボランティアで作るんですよ。
     ジュンさんの家は鍛冶屋で、家事に使う熱を利用した発電機があるんです。
     その発電機で、炊飯器を…ってところです」
    妖夢がそう説明すると依姫が興味深そうに尋ねた。
    「ジュンさん…ですっけ、あなた鍛冶屋なんですか?」
    「ああ、そうだよ。それが何か?」
    「いえ、いいんです…」
    「?」
    依姫の態度に、レイセンは首をかしげた。

    「こんなところで立ち話も何だ、家に入りなよ」
    ジュンにそう言われ、レイセンと依姫は妖夢と一緒にジュンの家に上がらせてもらった。
    レイセンは、壁にかかっている写真を見た。
    若い時のジュンと男性、それから数人の子供が写っていた。
    (昔から隻眼なんだ・・・)
    レイセンが写真を見ているのに気づいたジュンがレイセンの背中をぽんと叩いた。
    「15年くらい前のだよ、これは。
     旦那は今は避難所で力仕事、子供どもは他のとこへ出てっちまった」
    「出て行った…?」
    「独り立ち。私も50過ぎて、子供はみーんな成人だ。
     あ、仲が悪かったわけじゃないぞ」
    ジュンが笑いながら説明し、奥の部屋に引っ込んだ。
    「そういえば、どうして炊飯器なんです?
     大勢の分のごはんを炊くなら、お鍋でやったほうが…」
    「ふふっ、依姫さんってキャンプとか好きなんですか?
     そういうのができる人がいれば良いけど、
     素人がやるなら大量の炊飯器に任せるほうが早いしお手軽です」
    妖夢に言われて、依姫はハッとした。
    「そういや、あんたらはこれからどうする?
     どこかへ向かっていた…ようには見えなかったが」
    両手に炊飯器を抱えたジュンが依姫に訊いたが
    どうにも事情が説明できず、二人は閉口した。
    「…ワケあり、だろうね。
     行く宛がないのなら、しばらくここで手伝ってくれないかい?
     助けてもらった恩はあるし、人手は多いほうが良い」
    「いいんですか?」
    「ああ、いいともさ。
     まずは米とぎだ。妖夢の嬢ちゃん、教えてやりな」
    「はい!」

    ジュンの家の裏手の大きな水道から出した水が
    大量のお米が入った大きな器に注がれる。
    その様子を見ながら、妖夢は依姫に質問した。
    「さっき…ジュンさんが鍛冶屋ということに
     なにか反応してたようですけれど」
    「えっ…」
    突然訊かれて、依姫はびっくりした。
    「私だって剣士のはしくれ。
     何か刀に関して悩みどころがあると見ます」
    観念したように、依姫は説明を始めた。
    「…私の刀、いわゆる神霊を宿す刀なんだけど
     最近ずっと調子が悪いんですよ。
     相当古いものだから、打ち直す必要があるのかなって思ってまして」
    「…なるほど、振った時の違和感はそれだったのですね」
    妖夢が手のひらにポン、と拳を乗せた。
    「違和感?」
    「先ほどあなたの刀を振った際、まるで棒状の風船を振った時のような
     不安定感があったんです。
     恐らく、刀に使われている金属に何か不具合が出ているのでは?」
    妖夢の指摘がピンとこず、依姫はうーんと唸った。
    「…そうなのでしょうか?」
    「あとでジュンさんに相談してみましょう。
     何かヒントが掴めるかもしれません」
    「じゃあ、そうさせてもらいます」
    二人の会話をよそに、レイセンは入り込めない雰囲気に寂しさを感じていた。

    「ふーっ! 終わりました!」
    ズラッと並んだ炊飯器全てにお米をセットし終え、依姫が一息ついた。
    「お疲れ! じゃあさっき言ってた刀の話をしようか」
    ジュンがそう言って、工房で依姫の刀を抜きいろいろと調べ始めた。
    「うーむ…」
    「…わかりますか?」
    唸るジュンに依姫が訊くと、ジュンは軽く2,3度刀を振り鞘に戻した。
    「神霊? っていうのかな。
     そいつの大きさに対して、刀のキャパシティが大きすぎるんだ」
    「…どういうことですか?」
    「ものを宿す、っていうのはまあ入れるものと器があるわけだが
     器側が大きすぎるってことだな。
     例えるなら、一人ぽつんと広い部屋にいたら落ち着かないだろう?
     それに似た現象が刀と、神霊に起こってるんだ」
    わかるような、わからないような様子でレイセンと依姫は話を聞いていた。
    「それで…どうすればいいんですか?」
    「一旦刀身をドロドロにして、神霊が宿る金属と普通の金属を混合させた刀にする…
     ってのが一番手っ取り早いね。
     妖夢の嬢ちゃんの刀もたまにそうやって調節してやってるんだ」
    「あ、あの!」
    そこまで聞いて、依姫が食って掛かるように身を乗り出した。
    「あの、その作業…私にやらせてくれませんか!」
    「えっ?」
    いきなりの勢いに、レイセンは驚いた。
    「それは…刀鍛冶を教えろって言うことかい?」
    「…はい。
     私の刀ですし…自分で面倒を見るということをやっておきたいのです。
     だから…」
    「いいよ」
    「へ?」
    ひどくあっさりと快諾したので、依姫はあっけにとられマヌケな声を出してしまった。
    「ただし、私の教えは厳しいよ!
     ギブアップはさせないし、避難所の手伝いもやってもらうからね」
    「は、はい!」
    こうして、レイセンと依姫はしばらくジュンの元で暮らすこととなった。

    炊き出し、鍛冶修行、避難所の人たちとの交流。
    そのすべてがレイセンと依姫にとって新鮮な体験だった。
    狂気の瞳のことも忘れ、レイセンは日常を謳歌した。
    そして、この街を訪れてから1周間がたった夜…。

    「…あれ? ジュンさん?」
    物音を聞いて、レイセンは布団から抜け出し家の裏手に出た。
    そこには巨大な刀に対して何かを行っているジュンの姿があった。
    「…レイセンか」
    「ジュンさん、この刀は?」
    「月面軍が発注してそれっきりになった、ワンダーアーマー用の刀さ」
    確かに、よく見てみればサイズはWAに合った大きさにも見える。
    「こいつに、依姫の刀から出た神霊が宿る金属の端材をメッキしてやってるのさ」
    「どうして?」
    「…どうしてか、ね。
     理由なんざ考えたこともなかったな。
     この刀で、どうするか…何をするか…。
     なんだったら、あのプロトウェイブに持たせてみるのもいいかもな」
    この1周間の間、ジュンはワンブ・ゼロのことをプロトウェイブと呼び続けていた。
    今までは間が悪く、聞けずじまいであったが、レイセンはこの際訊いてみることにした。

    「…プロトウェイブ、そいつがあれの…元々の名前さ」
    「元々の?
     …どうしてそれを知っているんです!?
     あなたは一体…?」
    疑問に疑問が重なり、ついレイセンはジュンの正体に踏み込んだ。
    「あんたにならバラしてもいいか。
     私は…元月面軍テストパイロット、ジュン少尉…だった」
    「あなたが…月面軍の軍人さん…?」
    ジュンは頷いて、それから続けた。
    「昔の話だ。当時、軍内で機動兵器の開発計画が進んでて
     そこでプロトウェイブのテストパイロットをしていたのが私さ。
     といっても、完成前に移動中にトラブルに巻き込まれたがな」
    ジュンは月を見上げながら言った。
    「それが事故なのか、事件だったかは知らないが
     それが元で私はこの地に落っこちちまった。
     この目はその時の傷が原因。
     月では穢れの地獄だなんだと言われてた地上だ。
     最初は震えたね、当時はまだ20超えたてのぺーぺーだ」
    自分の経歴を話すジュンの言葉に、レイセンは聞き入っていた。
    「地上に降りてすぐ私は頭の耳を外して、この地に溶け込んだ。
     待ってればいつか助けが来るか、あるいは帰れる方法が見つかるかもしれない。
     …そう思っていた」
    「でも、帰れる方法は見つからなかった…?」
    レイセンがそう訊くと、ジュンは首を横に振った。
    「地上で過ごす内に、どーでも良くなったのさ。
     月じゃ、やれ玉兎だ人間だと面倒くさいいさかいばかりだった。
     でも、地上は…この地では、人間だろうがなんだろうが
     ルールさえ守れば平等に暮らさせてくれる。
     実際、いい旦那に巡りあったし、子供もできた」
    ジュンはそこまで言うと、ふーっと溜息をつき、レイセンの顔を開いている方の目でじっと見つめた。
    「レイセン、あんたは…『平和』って何だと思う?」
    「えっ…平和…?
     争いがないとか、みんなが幸せとか…?」
    「その答えは60点だ。
     人間、大勢で生きる限り小さな諍いや小さな不幸くらいは
     いくらでも起こる。
     大切なのは、それらが理不尽に与えられない世の中ってことさ」
    「理不尽に与えられない…」
    「避難所で見ただろう。
     戦いに巻き込まれて家を失った、家族を失った連中を。
     あいつらは別に何かしたわけでも、そうなる理由や因果があったわけじゃない。
     ただ、ある日理不尽に不幸をぶっかけられちまった。
     …そういうことがあっちゃいけない。
     そういう理不尽が起こる心配をしなくてい…それが平和だと私は思っている」
    その言葉を聞いて、レイセンはこの1周間を思い出していた。
    毎日、少しづつ大変なことが起こったりはしたけれど、
    朝起きて、避難所で働いて、ご飯を食べて、夜に眠る。
    そのサイクルを疑問を抱かずに繰り返すことにどこか幸せを感じていた。
    今まで漠然と『平和のために戦う』と意気込んでいたが、
    その『平和』の一つの答えに行き着いた、とレイセンは感じた。

    その時、夜の静かな空気を一つの爆発音が妨げた。
    警報が鳴り響き、街から煙が上がる。
    「何が起こった!?」
    ジュンは立ち上がってあたりを見回したが、
    周囲では何も起こっていない。
    「あの方角…避難所じゃないですか!?」
    レイセンがひときわ大きく煙が上がっている方を指差しながら叫んだ。
    「野盗…? 違う、もっと大きな…!」
    レイセンはその最中、月明かりに浮かぶWAの姿を見た。
    「ワンダーアーマー…!」
    レイセンは、忘れかけていた戦いを思い出し、手足が震え始めた。
    膝を付いたレイセンを見て、ジュンは覚悟を決めたような顔をし、ワンブ・ゼロに駆け寄った。
    「ジュンさん!?」
    「今の私の仕事じゃないけど…な!
     少し借りるよ!」
    ジュンはそのままワンブ・ゼロのコックピットに乗り込み、
    ワンブ・ゼロが立ち上がった。
    「ハッチは閉じないか…なあに、かえって風通しが良い!」
    ジュンはそう言って家の裏手の巨大な刀をワンブ・ゼロに握らせた。
    「レイセン! あんたは妖夢と依姫を連れて逃げろ!
     私は…避難所を守る!」
    「ジュンさん!!」
    ワンブ・ゼロはバーニアを吹かし、避難所の方向へと飛び去っていった。
    レイセンは急いで妖夢と依姫を起こし、3人でトラックに乗り込んだ。
    「どこに逃げるんですか!?」
    妖夢に訊かれ、レイセンは強く答えた。
    「避難所の人たちをトラックで逃がすんです!
     理不尽を与えちゃ…いけない!」

    「食い物まで焼くんじゃあないよ!」
    避難所ではレーア率いるコスモ・パイレーツ隊のカイメルが大暴れしていた。
    逃げ惑う人々に対してバルカンを放ち、略奪を行っていた。
    「月面軍から離反したってえ食いモンがなきゃやってられないんだ。
     あたしたちにも時間がないんだよ!」
    カイメルに乗ったレーアはそう叫びつつ、避難所の建物にライフルを構えた。
    「させるかよーっ!」
    ワンブ・ゼロが体当たりでレーアのカイメルをふっ飛ばした。
    「ちいっ! 何だい!?
     なぜここにムーンライズの機体が!?」
    レーアは驚きつつも、むき出しになったワンブ・ゼロのコックピットに座る
    隻眼の女性の姿を見た。
    「ハン、乗ってるのはただの一般人かい!
     あんたたち、やつを潰しちまいな!」
    レーアの指示を受け、別のカイメルがワンブ・ゼロに向けてライフルを放った。
    ジュンはバーニアを吹かせてその場から飛びのき、ライフルを撃ったカイメルをその勢いのまま蹴り飛ばした。
    「うわあああー!」
    コックピット部分を蹴られたからか、カイメルに乗っていた兵士が投げ出され、街路樹にぶつかってそのまま落ちた。
    「痛そー…っと! 言ってる場合じゃないかっ!」
    ジュンは向き直り、別のカイメルが振りかぶるサーベルを、ワンブ・ゼロの刀で受け止めた。
    「実体剣でプラズマを受け止めた!?」
    「使いこなせはしないが、メッキに宿った神霊がプラズマとぶつかり合っているのか! 便利だな!」
    数秒の鍔迫り合いの後、刀を引きバランスを崩したカイメルの頭と腕を刀の二振りで切り落とした。

    「つ、強い…!」
    逃げる人々をトラックの荷台に案内しながら、戦いを見たレイセンが叫んだ。
    その時、流れ弾がレイセンの近くの建物に直撃し、崩れた壁が降ってきた。
    「危ないっ!!」
    ジュンがそう叫びつつワンブ・ゼロをとっさにレイセンの上に覆いかぶせ、瓦礫から守った。
    「早く逃げろ、巻き込まれるぞ!」
    「で、でも…!」
    「あなたが無理に戦う必要はないんですよ! レイセン!」
    戦場の方へ行こうとするレイセンを、依姫が止めた。

    そうしている間に、ジュンはレーアのカイメルと交戦していた。
    「フン! 只者じゃあないみたいだね!」
    「こいつ…手強い!」
    「むき出しのコックピットごとミンチにしてやるよ!」
    レーアはワンブ・ゼロのコックピットを狙うように攻撃を始めた。
    ジュンはその攻撃をさばくものの、防戦一方になっていた。
    「このままじゃ…!」
    ジュンは頬に汗を垂らした。

    「レイセン! 早く!」
    トラックに乗せられるだけ避難民を乗せた妖夢が叫ぶ。
    レイセンはただただ手足を震わせたまま、戦いを見守っていた。
    戦いに巻き込まれ徐々に壊れていく避難所を見て、レイセンは悲しい気持ちになった。
    たった一週間という短い間なれど、避難所の人たちと交流している内に
    避難所の人たちの『平和』を感じ取ったレイセンが、今それを目の前で崩されている、それも理不尽な暴力によって。
    「う…うう…!」
    哀しみが膨らみ、レイセンの目に涙が浮かんだ。
    日常が崩される、平和を壊される。
    『理不尽が起こる心配をしなくてい…それが平和だと私は思っている』
    さっき話したジュンの言葉が、レイセンの中にこだまする。
    「私は…私は…!」
    レイセンは、涙を流しながらおもいっきり叫んだ。
    「私は…『平和』を奪わせたくないっ!!」
    レイセンは道の脇に倒れている、先ほどワンブ・ゼロが蹴っ飛ばしパイロットが投げ出されたカイメルに乗り込んだ。
    ワンブ系と同じ月面軍のOSを再起動し、カイメルを立ち上がらせた。
    そのレイセンの目は、狂気の瞳の赤を放ちながらも、光を保っていた。

    「そろそろ終わりだよ!」
    疲弊し、ガードが甘くなったワンブ・ゼロのコックピットにサーベルの刃が近づく。
    その瞬間、割りこむようにレイセンの乗るカイメルがサーベルを走らせ、レーアのサーベルを弾き飛ばす。
    「その声…レイセンか!」
    「私も加勢します! ジュンさん!」
    「ありがたい!」

    「邪魔が入ったか、面白く無いねえ」
    サーベルを弾かれたレーアは一旦距離をとり体勢を立て直した。
    「相手は相当の手だれだ、どうする?」
    ジュンは背中合わせしつつレイセンに訊いた。
    「一瞬だけでも隙が作れれば、同時攻撃で行けるはずです…!」
    「よし、乗った!」
    ジュンの攻撃とレイセンの攻撃を、レーアは必死にさばいていた。
    ジュンの方にはコックピットという弱点があるがためにそれを狙ってしまい、
    そこをレイセンに邪魔されるため、なかなか決定打が撃てずにいるのだ。
    「ちょこまかと、小賢しい!」
    その中でもレーアは、コックピットを狙える一瞬の隙を見逃さなかった。
    「もらった!」
    「レイセン、今だーっ!」
    レーアがワンブ・ゼロのコックピットに攻撃を向けた一瞬に、レイセンはひときわ大きなガレキをレーアに向けて蹴っ飛ばした。
    ガレキの直撃を脇に受け、レーアのカイメルがバランスを崩す。
    その一瞬の隙にジュンとレイセンはレーアのカイメルに攻撃を仕掛け、カイメルの頭部と右足を切り落とすことに成功した。
    片足になり、バランスを崩し倒れるカイメルを抑えこみジュンはレーアをホールドアップさせた。

    戦いが終わり、レーアを含む投降したコスモ・パイレーツの兵士たちが避難所の近くに集められた。
    「チッ…あたしたちゃ負けたんだ、殺さないかっ!」
    両手を縛られそう叫ぶレーアに、ジュンはおにぎりを一つ差し出した。
    「…何のマネだい?」
    「食ってみろ」
    「…?」
    急に与えられたおにぎりを、空腹に耐えられず頬張るレーア。
    「うまいか? どうだ?」
    「…マズくはないね」
    「そうやって食ったってことは、まだあんたは生きたいって思ってるはずだ。
     あんたたちに壊された分の修繕やらで人出が足りないんだ。
     …お前たち、働いてくれないか?」
    ジュンが出した予想外の提案にレーアはあっけにとられながらも強気を崩さなかった。
    「こんな握り飯一つで懐柔するつもりかい? 私も舐められたもんだね。
     攻撃を仕掛けた側の私達が受け入れられるわけ無いだろう?」
    「それは、お前たちの心次第だ。
     生きたいと思うなら、少しくらいは抵抗してみせな」
    「…フン、わかったよ。
     ただ、うちの連中に手ェ出した日には…」
    「それはお互い様だな」
    そう言われ、観念したかのようにレーアは残ったおにぎりを、口に詰め込んだ。

    「ジュンさん、ありがとうございました」
    レーアの襲撃から数日後、依姫の刀が完成したのをきっかけにレイセンと依姫は基地に戻ることに決めた。
    「もっとゆっくりしていけばよかったのに…」
    名残惜しそうに妖夢が言った。
    「そうはいきません。
     私、自分が戦う理由見つけましたから」
    「ほう?」
    ジュンがレイセンの言葉にニヤリと笑みを浮かべた。
    「よし! じゃあ私はここでレイセン達が『平和』を作ってくれるのを待ってるとしよう。
     その刀、持っていけ」
    ジュンはワンブ・ゼロの腰に装着された刀を指差して言った。
    「いいんですか?」
    「使ってくれる方が、刀としても本望だろう。
     そいつで『理不尽』をぶった切ってやりな!」
    「…はい!」
    レイセンは依姫とともにコックピットに乗り込み、おにぎりを片手に基地の方向へと飛んでいった。



    自分の戦いを見つけ基地へと戻るレイセン。
    彼女たちを待っていたのは、月面軍の基地の場所を探るという作戦だった。
    そして迫るセイランと、仮面の女オーフェリア。
    青と赤の挟撃に、ムーンライズ隊は苦戦を強いられる。
    次回、夢幻起動ゼレイブ 第12話「赤い閃光オーフェリア」
    君は、月の果てに何を見るのか。