• 夢幻機動ゼレイブ 第5話「離反」

    2015-04-15 20:463

    対して応援されてないけど、話の節目の第5話です。
    リアル系ロボットものにはこういう話は不可欠だと重います。
    いや、無い方が本当はいいんですけどね。
    感想をいただけると励みになります。
    匿名の方がいい方はブログhttp://touhoualive.blog124.fc2.com/までどうぞ
    あと、こんかいから次回予告入れてみました。
    それでは、どうぞ




    アルファ7を発ったムーンライズは、一日を経て目的地のアルファ11へと入港した。
    これで、ゼレイブを回収して機体をアルファ11へと届けるというムーンライズ隊の任務が終わったのだった。
    「ネイザン中佐、ご苦労様だったわね」
    入港が終わり、艦を降りたネイザン達に豊姫が言った。
    「ミオ大佐も、PVAシリーズをありがとう。
     これで、新世代WA開発の準備が整ったわ」
    豊姫はそう言うと、後の指示を士官に任せて去ってしまった。
    「豊姫様…?」
    自分に気づかなかったのか、豊姫が一言も声をかけなかったことが気になったが
    きっと仕事中だからなのだろうと、レイセンは思った。
    「ムーンライズ隊は民間の協力者も含めて、
     しばらくはこの基地に滞在してもらいます。
     ご不便をお掛けしますが、なにとぞ」
    豊姫から言伝を頼まれた士官が、ムーンライズ隊に言った。

    「どれくらい拘束されるのかな?」
    「イオタ3に帰れるかな…」
    案内された個室でワカバとユリが今後の心配を口にした。
    「拘束といっても、基地内はある程度自由に歩けるし
     軍関係者向けの商店街があるから、退屈はしないと思うわよ」
    二人にネイザンが言った。
    「あれ、ジェーンは?」
    レイセンが、個室にジェーンがいないのに気づいて言った。
    「あの娘なら、他の避難民たちと一緒に本国に向かったってよ」
    「ええっ!」
    エーディンの言葉に、ワカバが驚きの声を上げた。
    「そりゃ、あの娘は巻き込まれただけで軍艦に長時間いたわけでも
     兵器に乗って戦闘をしたわけじゃないからなぁ…」
    「私たちはどうなるの?」
    「さあなぁ、調書をとったり、報告書書いたり、面談したり、
     いろいろと手続きしてそれらが終わったら、解放かなあ?
     一週間くらいは覚悟した方がいいかもしれないぜ?」
    エーディンがそう言うと、ワカバは大きくため息をついた。
    「れ…じゃなかった、ゼロ少佐は?」
    「さあ? 用事を片付けてくるって言って
     どこかに行っちまったぞ?」
    部屋の隅で霖之助とクライドが言った。
    「あんたら、いい腕してたからさぁ
     軍に残るって選択肢はないかい?」
    エーディンが霖之助達に聞いた。
    「いや、それはちょっと…」
    「もったいねぇな~。
     人間の月面軍人仲間が増えるかと思ったんだが」
    「え、エーディンさんって玉兎じゃないの!?」
    エーディンの言葉にパルスィが驚いた。
    「まあな、軍人だからこの耳型無線機つけてはいるけど
     俺はれっきとした人間だよ。
     つっても、今の時代は相当珍しいけどな」
    エーディンが笑いながら言った。
    「そもそも、どうして兵士さんは
     玉兎ばかりなんですか?」
    「ん? ああ…。
     昔は人間と半々だったんだが
     玉兎のほうがなんか優秀だってんで…。
     なんでだっけ?」
    「ええー…」
    「ああ、思い出した。
     『狂気の瞳』があるからだな」
    「『狂気の瞳』?」
    「玉兎が強いストレスを受けると発症する一種の病気のようなもので、
     最初の発症時は脳の一部が麻痺して発狂状態になるんだが、
     一発それを乗り越えると、極限状態ですごい判断能力を持ったり
     直感が働いたりするんだとさ」
    「へぇー」
    わかさぎ姫がその説明に納得した。
    「でも、克服後の力を使えるのは一握りだからね…。
     単純に、玉兎のほうが身体的に優れてるからってのが
     大きいわね」
    ネイザンがそれに補足した。

    「…流石に表立った資料には残っていないか」
    ゼロが、基地の資料室を漁りながら呟いた。
    「と、なると…執務室か」
    そう言うと立ち上がり、豊姫の行動スケジュールを調べ始めた。

    ワカバとユリは、暇を潰すために基地内の商店街を訪れていた。
    「これ、ワカバにあげる!」
    ユリが目についた雑貨屋で買った首飾りをワカバに渡した。
    「わ、私に?」
    「最近、ワカバ戦い続きだったから…お守り!」
    「ありがとう。でも、もう戦うことはないよ、ハハハ」
    ワカバは嬉しそうに首飾りを身につけた。
    「どうかな?」
    「似合う似合う、かわいいよ!」
    ユリに言われて、まんざらでもないワカバだった。

    翌日、ネイザンを士官が訪ねた。
    「はい…ムーンライズを?
     …わかりました」
    「何があったんです?」
    「機体の搬出が終わったから、ちょっと遠くのドッグに
     ムーンライズを動かしてほしいんだって。
     ムーンライズクルーのみんなは観に戻って配置について!」
    ネイザンはそう号令をかけてクルーたちとともに出て行ってしまった。
    「レイセン、無事だったのね!」
    「依姫様!」
    ネイザンが出てしばらく後、依姫が部屋を訪ねてきた。
    依姫はレイセンをしばらく抱きしめた後、ワカバたちにお礼を言った。
    「ありがとう、あなた達が守ってくれたのね?」
    「い、いや…逆に守られてたというか…」
    「ワカバのおかげで、助かったの。ありがとう!」
    レイセンに素直に礼を言われて、依姫の手前悪態をつくわけにもいかず
    ワカバは照れることしかできなかった。
    「どうして依姫様はここへ?」
    「姉様のやり方に、異議を唱えようと思ったの。
     関係のないコロニーで新兵器の開発なんかをして、
     ワカバさんやユリさんのような罪もない人々を
     戦いに巻き込むようなやり方はどうかと思ったのよ」
    依姫はユリの質問に丁寧に答えると、そのまま去っていった。
    「…いつになったら動けるんだろうな、俺達」
    「…さあ…」
    クライドと霖之助がぼやいた。
    「そういえば、アルファ7の敵の新型、すごかったってね?」
    「ええ、ヴァチュスっていう小型の浮遊ビーム砲を使ってきて
     全方位からの攻撃を仕掛けてきたの」
    レイセンはワカバが振った話題を、思い出しながら答えた。
    「幻想同盟が?
     どうしていち武装勢力にすぎない幻想同盟はそんな技術力を持っているんだ?」
    「さあ…どうしてかな?」
    「そもそもおかしいんだよ。
     幻想軍ってのは、WAの開発能力すら持ってない。
     なのに、そう工業コロニーをいくつか抑えた程度で
     こっちでもないような武器がホイホイ作れるもんかね?」
    「…うーん、確かに」
    エーディンの突っ込みも確かである。
    現在、月面宇宙軍はその大半を対幻想同盟のために動いている。
    月面軍が兵力の半分を幻想郷に送っているとはいえ、
    一国の軍に匹敵する兵力を持ちながら幻想郷に協力をしている幻想同盟は
    謎の多い存在であった。

    「依姫、何かしら?」
    「姉様、民間人を隠れ蓑にするようなやり方は、
     やめていただきませんか!」
    執務室に座る豊姫に、依姫が力強く言った。
    「甘いわよ、依姫。
     敵…幻想郷は、幻想同盟なんかと手を組んで
     確実にこちらの動きを妨害しているのよ。
     敵が搦め手で来る以上、こちらも策を講じなければ負けてしまうわ。」
    「噂では、生命科学研究所で怪しげな実験を行っていると
     聞いていますよ?」
    「噂でしょう?
     実験に関しては、兵達の疲労回復の方法の模索よ。
     あなたには、関係がないわ」
    「…冷たく、なられましたね」
    「為政者たるもの、冷静に判断を下せないようではね。
     幻想郷の先制攻撃で、政府官僚のほとんどが死んで、
     私が最高責任者になったからには
     この国のために、感情を殺してやらなければならない時もあるわ」
    「…」
    冷たく言い放つ豊姫の迫力に閉口してしまう依姫であった。
    かつて優しく自分の前に立ち、導き守ってくれた姉ではなくなったのだと感じた。

    翌日、豊姫が別のコロニーの視察に向かったのを確認してから
    ゼロは執務室に忍び込んだ。
    「あいつが何を企んでいるか…!」
    執務室のコンピュータを起動し、最近やりとりされたメールを検索した。
    普通の連絡の間に、不穏な文字が見えてきた。
    「人工狂化兵士計画…!?
     何を考えているの?」
    「そこまでよ」
    突然執務室の扉が開き、豊姫が叫んだ。
    「…豊姫…様」
    「フフ、主がいない間に盗み見とは関心しないわね。
     ゼロ少佐、いや…鈴仙・優曇華院・イナバ」
    「…バレていた、のか」
    「ハハハハハ!
     偽の視察予定に引っかかるようじゃ、まだまだね。
     昔の甘い私のままだと思っていたのね。
     幻想郷のスパイを逮捕しろっ!」
    豊姫がそう叫ぶと、2~3人の兵士が飛んできて、鈴仙を拘束した。
    そして、彼女はそのまま地下の独房へ連れて行かれてしまった。

    「大変だ! ゼロ少佐が…逮捕されたって!」
    その知らせは、逮捕からしばらく経ってから
    エーディンを介してレイセンや霖之助たちに伝わった。
    「少佐が!? ど、どうして…!」
    ゼロを尊敬していたワカバが、顔を真っ青にしてエーディンに詰め寄った。
    「少佐は、正体を偽っていた幻想郷のスパイだったんだ。
     そしてその正体は…魔導戦争の英雄、鈴仙その人だったって…」
    「それで、少佐はどうなるって…!?」
    「それが…」

    「裁判なしの銃殺刑!?
     姉様、正気なんですか!?」
    執務室の机を強く叩きながら、依姫は豊姫に向かって叫んだ。
    「スパイが紛れ込んでいた事実は重いわ。
     そして、スパイが彼女だけとは限らない。
     あいつは口を割ることはないだろうからね。
     だから、見せしめに処刑するのよ」
    「だからって、彼女は…鈴仙なんですよ!」
    「ええ、そう。
     かつての英雄、鈴仙。
     けれど今は地上の穢れに汚れた薄汚いスパイよ。
     あの、八意と同じ、ね」
    「姉様っ…!」
    「あなたも、アイツの事を庇い立てするなら
     反逆罪で逮捕してもいいんだからね?」
    「くっ…! 失礼します!」
    依姫は悔しい顔で、執務室を出た。
    かつては自分たちの家族であった鈴仙を、なぜこうも簡単に
    処刑などといえるのか。それが依姫には理解できなかった。

    「…」
    独房に鎖で繋がれ、身動きを封じられた鈴仙に、ミオが近づいた。
    「…まさか、こんなに近くにいて気づかなかったとはね。
     へっ! あんたを直接殺せなくて悔しいよ」
    鈴仙に向かってミオが吐き捨てるように言った。
    「あなた…まだあの時のことを…」
    「ああ、そうさ!
     魔導戦争終結を目前にしたあの時!
     お前と私は二人でマザーコンピューターの破壊任務についた。
     そして、部隊の中で二人だけが軽傷で生還した。
     なのに、お前は英雄扱いで、私は昇格止まりだった。
     お前さえいなければ、私が綿月様の元へ…!」
    「あの位は、決して居心地のいいものじゃなかった」
    「お前にとっては、だ!
     そうして手に入れた地位を、全うするなら良かった!
     だが、お前は逃げ出したんだ!
     わかるか? 私の目の前で、地位を捨てたんだよ!
     それが、どれほど私を惨めな思いにしたか知るまい!」
    「…」
    ミオの恨みがこもった叫びに、鈴仙は口を閉じた。
    「いい気味だね。
     お前の刑の執行は、私が行うことにした。
     私の号令で、お前が死ぬんだ。
     最高の気分だよ。ハハハハッ!」
    言いたいだけ言って、ミオは去っていった。
    鈴仙は、この状況を脱する手を考えていた。

    (ダメでも、もう一度…姉様に言ってみよう)
    決定に納得がいかなかった依姫は、再び執務室に向かった。
    そして、部屋の前に立った時、中の話し声がわずかに聞こえてき
    行儀が悪いとわかっていながら、中の話を聞いた。
    どうやら、士官の一人と豊姫が二人で話をしているようだった。
    「…最近彼女も私に対して反抗することが多くなったわ」
    「いかがしましょうか…。
     人工強化兵計画を感付かれたら、兵達の反感を買うことに…」
    「余計なことに気づかれる前に幻想同盟を動かして、
     消してしまいましょう」
    「妹君を、ですか?」
    「だからこそよ。
     あの娘は兵たちからの信頼も厚い。
     それが幻想同盟、ひいては幻想郷の手によって命を奪われたとなれば
     復讐心によって、兵達の士気も上がるわ」
    「ムーンライズの連中も、余計なことを知っている可能性もあるわね。
     彼女たちには、狂化の実験台にでもなってもらいましょう。
     精神制御をすれば、秘密をばらすこともなくせるわ。
     特に、レイセンはいい兵士になってくれるでしょう。
     そうでないものは、適当に処刑してしまいなさい」
    「…恐ろしい方だ」
    「フフフフフフ…!」
    その話を聞いてしまった依姫は、驚愕した。
    姉様が、自分を殺す。殺そうとしている。
    そして、ムーンライズの乗員を、
    レイセンもろとも恐ろしい実験の材料にしようと企てている。
    依姫は、豊姫に気付かれないようにそっと執務室を離れ、
    レイセン達が集まる個室へと急いだ。

    「その話…本当か!?」
    依姫から執務室のそばで聞いた話を聞いて、霖之助が叫んだ。
    「このままここにいては、危険よ!
     今の姉様は普通じゃない! 本気よ!」
    「でも、どうすれば…」
    「逃げるしか無いでしょう!」
    霖之助にワカバが外に漏れないように小声で叫んだ。
    「待って、依姫様…このことは、他の者にはまだ?」
    「ええ…。姉様直下の士官以外はまだ知らないはずよ」
    レイセンが依姫の返答を聞くと、しばらく考えてから言った。
    「このことをまだ他の人達が知らないのなら、
     逃げるのは今しかないわ!
     格納庫のWAで脱出しましょう!」
    「く…このまま変な実験の材料にされるか、殺されるか…!
     だったら、やるしかねえか…!」
    エーディンが深刻な顔で言った。
    「でも、WAだけでは逃げられない…。
     逃げるにしても、どこへ逃げたものか…!」
    「そこは、私に任せて」
    レイセン達が話しあっているうちに依姫が考えたプランを話し始めた。
    「まず、私が偽の出動命令…パトロールとかを出します。
     そして、同時にムーンライズへと連絡。
     ネイザン艦長に状況の説明と、合流ポイントの指定をする。
     私は、鈴仙…ゼロ少佐とともに、一芝居をうってあなた達に合流するわ。
     そして…幻想郷へ行きましょう」
    「げ、幻想郷へ!?」
    「幻想郷には、八意様がいる…。
     鈴仙とともに行けば、力を貸してくれるはずよ」
    「月を裏切るんです!?」
    ワカバが驚いた顔で言った。
    「話から察するに姉様は、幻想同盟と繋がっている。
     宇宙で民衆を巻き込みながら見せ掛けの戦争を行っているのは異常よ。
     この状態を放っておけば、それこそ…幻想同盟や
     姉様達が、この国を…月をメチャメチャにしてしまうわ!」
    「覚悟を決めよう。
     どのみちこのままじゃ俺達の命も危ない!」
    「やるしか…無いのね…!」
    レイセンが静かに言うと、全員で頷いた。
    「私は鈴仙を助けに行く。
     あなた達はさっき伝えたポイントにWAで向かって!
     …くれぐれも、平常心で悟られないように…!」
    「わかりました…!」
    こうして、アルファ11脱出作戦が始まった。

    「鈴仙!」
    依姫は独房へ駆け込み、説明しながら鈴仙を拘束している鎖の鍵を外し始めた。
    「…なるほど、事情は察したわ」
    「あの時から、あなたに頼ってばっかりだけど…
     お願い、今はあなたの力が必要なの…!」
    そう言うと、依姫は鎖を外した。
    「…わかった。
     けれど、WA格納庫へはここからじゃ遠いわ」
    「…5番格納庫に、私用に用意させたWAがあるわ。
     そこならここからでも遠くない。
     私を人質にすれば、抵抗は抑えられるはずよ」
    「ああ…わかった!」
    鈴仙はそう言うと、依姫の腹をおもいっきり殴った。
    「がっ…!?」
    「悪いけど、あなたに人質の演技ができるわけないでしょ。
     しばらく眠ってなさい」
    気を失い、倒れた依姫を床に寝かせ、鈴仙は身を隠した。
    「何事だ!?
     よ…依姫様!?
     一体何が…ぐはっ…!」
    鈴仙は様子を見に来た看守を影から殴り倒し、懐から自動小銃を奪った。
    「いくわよ、お姫様!」
    鈴仙はそのまま依姫を抱え、彼女のこめかみに銃口を当てながら独房を飛び出した。
    「脱走だー!」
    「よ、依姫様!?」
    「撃つな! 依姫様に当たる!」
    異変を察知して鈴仙の脱走に気づき兵が集まってきたが、
    依姫を人質にされているため発砲ができず、鈴仙を通してしまった。
    「道を開けろ! さもなければこいつの頭が弾けるのを見ることになる!」
    鈴仙は、迫真の演技で兵士たちを威圧し、道を開けさせ駆け抜けた。
    「鈴仙の奴め、やったな…!」
    その状況を知ったミオは、ほくそ笑みながらある部屋へと走った。
    「フフフ、狂化兵士1号…出番だぞ!」

    「…5番格納庫、ここね。
     こいつが依姫のWA、ワンブ・ゼロか」
    紫色の塗装をされたWAを見て、鈴仙は呟いた。
    ワンブ・ゼロは試作型ワンブをベースに、
    ゼレイブに使うパーツの実験に用いられた機体である。
    そのため、各部は量産機に比べ性能が高く、頭部もゼレイブに似た形になっている。
    鈴仙は依姫を抱えたままコックピットへと上り、シートの脇にうまく寝かせた。
    そして、機体を起動させ、格納庫のハッチを破壊して外へと飛び出た。
    「ゼロ少佐…ですね!」
    手はず通りにWAで基地の外に出ていたレイセン達は、
    鈴仙と合流することに成功した。
    「ユリ、大丈夫!?」
    「な、なんとか…」
    ユリは、初めて乗る戦闘用WAの操縦に慣れずに、
    危なっかしくふらふらしていた。
    「ムーンライズは!」
    「後、数分でこちらに来ます!
     合流したら、とっとと脱出だ!」
    「させるものかぁっ!」
    遮るようにして、ミオがWA部隊を引き連れ攻撃を仕掛けてきた。
    「くっ…早い!
     ミオのやつ、準備をしていたのか!
     ムーンライズが来るまで、なんとか持たせろ!」
    「は、はいっ!」
    鈴仙の指示で、各々戦闘を始めた。
    「嬉しいよぉ! 鈴仙!」
    「ミオッ! 現実が見えていないのか!」
    ミオのペリグヴァインがプラズマ・ハーケンを抜き、鈴仙に迫った。
    「豊姫は幻想同盟と結託して何かを企んでいる!
     あなたはこのまま利用されるだけでいいのか!」
    「いいともっ!
     お前さえこの手で殺せるならね!
     貴様が地球へくだってから、よもやこの機会が来るとは
     豊姫様に感謝しても足りないくらいだ!」
    「ちぃっ!
     こっちには依姫が乗っているのにか!」
    「構うものか!
     豊姫様から許しは頂いているからな!」
    「なんだとっ!」
    ミオの攻撃をプラズマ・サーベルで防ぎながら鈴仙はミオを釘付けにした。

    「お願い、このままかえって!」
    レイセンは敵のワンブの頭部分だけを破壊しては放置していた。
    頭部分にはメイン・カメラやセンサー類が集中しており
    破壊されれば戦闘の続行は不可能になる。
    今は敵とはいえ、同族を手に掛けたくないというレイセンの想いだった。
    「くっ! このぉっ!」
    初めての本格的なWA同士の格闘戦に、ワカバは苦戦していた。
    ワカバだけではない、エーディンも、霖之助も、パルスィも、わかさぎ姫も、クライドも
    ミオが連れてきた精鋭部隊の腕に苦戦を強いられていた。
    そのため、戦場に現れた緑色の機体への反応が、遅れてしまった。
    「あははっ! いい声で鳴きなさい!」
    鍔迫り合いで動けないワカバの機体に向かって、緑色の機体・モーラ・グースが
    腕のシールド・シザースを展開し、接近した。
    「ワカバ! 危ない!」
    その近くにいたユリが、とっさに間に入った。
    入ってしまった。
    サーディスのシールド・シザースはそのままユリの乗るワンブを挟み込み、
    コックピットから上下に両断した。
    「あ…れ…?」
    ユリは、自分がやられたことに気づかないままワンブの爆発に消えていった。
    「ユ、ユリィィィ!?」
    ワカバは、ユリがやられたことに気づき叫び声を上げた。
    「そ、そんな!?」
    「ちっ…あの娘が…!」
    レイセンとエーディンもその事実に気づいて言った。
    「サーディスのやつめ、やったか。
     狂化兵士…使えなくはないようだな」
    サーディスの働きを見て、ミオが呟いた。
    「狂化兵士…すでに完成しているのか!?」
    「見ただろ! あいつだよ!
     だがてめえの命は、あんなのに頼らずともこの手で…!」
    ミオがそう言い終わらないうちに、ムーンライズの
    メイン・プラズマ・キャノンの弾が戦場に放たれ、地面に当たり大きな砂埃を巻き上げた。
    「ネイザン…少し、遅かったわ…!
     みんな、直ちに艦に引き上げよ!」
    鈴仙の号令で、レイセン達はユリの機体の残骸を見下ろしながら、
    ムーンライズの援護を受けつつ着艦していった。
    「よくも、ユリを、ユリをぉぉぉ!」
    半狂乱でレールガンを乱れ撃つワカバだけ、着艦しようとしていなかった。
    「しまった、『狂気の瞳』が発症したか!」
    鈴仙は反転し、ワカバを元へ駆けつけた。
    「落ち着きなさい! ワカバ!
     彼女の死を無駄にするの!?」
    「うるさい! うるさい!
     ユリの仇を…! ユリの仇を!」
    抵抗するワカバを押さえつけようとする鈴仙の背後から、サーディスが接近する。
    「おかわり、もーらい!」
    「させないっ!
     ゼレイブ・フルドライブ!」
    レイセンが間に飛び込み、フルドライブを発動した。
    「くっ! じゃまをしないでよっ!」
    フルドライブによって強化されたサーベルにサーディスがたじろいだ。
    「…時間がない、ワカバ、切らせてもらう!」
    その間に、鈴仙はワカバの機体の四肢をサーベルで切り落とし、
    だるまになった状態のコックピットを抱え、ムーンライズに向かった。
    「レイセン、ワカバは回収した!」
    「…わかりました!」
    レイセンはフルドライブを解除し、プラズマ・ライフルで牽制をしながら
    鈴仙と共にムーンライズに着艦した。
    「みんな乗ったわね!
     全速で緊急発進! コロニーを抜ける!
     何かに掴まれ!」
    ネイザンが指示を出すと、ムーンライズは加速をし、
    宇宙港を突っ切ってアルファ11を飛び出した。
    「離してよ! ユリが…ユリがまだなのよぉぉぉ!!」
    ワンブ・ゼロに抱えられたコックピットから、
    狂気に囚われた真っ赤な目をしたワカバの悲痛な叫びがこだました。



    ユリを喪い、意気消沈するムーンライズ隊に
    ミオを加えた月面軍の私掠部隊、通称・宇宙海賊隊が襲いかかる。
    そして、狂気に囚われたままのワカバに、鈴仙はある決断を下す。
    次回、夢幻機動ゼレイブ 第6話「コスモ・パイレーツ」
    君は、月の果てに何を見るのか。



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  • 夢幻機動ゼレイブ 第4話「幻想から来た者たち」

    2015-04-11 02:062
    好評か不評かよくわからないまま4話です。
    やっとこさ東方キャラにも出番が、といっても東方キャラ的な活躍は見込めませんが。
    なにせ、ロボットものですからね。
    挿絵とかがあれば、もっと雰囲気が伝えやすいのかなぁ。
    でも、描いてくれる人なんていないからなぁ。



    スペース・コロニー、アルファ7は
    月面軍の新型兵器の研究開発を主な目的としたコロニーである。
    そのため、防衛にはエースパイロットであるミオを隊長とした
    エリート部隊が配備されていた。
    しかし、幻想同盟はイオタ3の避難民の脱出ポッドを人質に
    武装解除を迫り、やむを得ずアルファ7は無血開城される形となった。
    下手に抵抗をして民間人が犠牲になるようなことがあれば、
    たとえアルファ7を守りぬいたとしても、民衆に不安を与えることとなる。
    ミオはそう考えた結果、策を巡らし救援を呼ぶためにアルファ7を抜け出し
    ムーンライズ隊との接触に成功したのであった。

    その同じ頃、人質にされた避難民たちは、幻想同盟の兵士によって
    脱出ポッドを降ろされ、アルファ7内の研究施設の地下室に集められていた。
    「ちっ…。
     地下室がいっぱいになっちまったな」
    幻想同盟の兵士が避難民ですし詰めになった地下室を見て呟いた。
    「おい! 隅に一人、ガキが残っていたぞ!」
    脱出ポッドを検査していた別の兵士が、ジェーンを無理やり引きずりながら叫ぶ。
    「ガキ一人くらいだったら、例の牢屋にぶち込んでおけ」
    「わかった。おい、死にたくなきゃ来い!」
    そのまま、ジェーンは更に地下にある牢屋に連れていかれてしまった。

    「おたくらさあ、僕らをいつまでこうやって閉じ込めておくつもりだい?」
    例の牢屋と呼ばれたその場所に入れられている
    眼鏡の男性…森近霖之助が看守の兵士に訊いた。
    「俺達も知らねぇよ…。
     上からの命令で動いているだけだからな。
     余計なことは喋らないほうがいいぜ」
    看守は面倒くさそうにそう答えると、かかってきた内線電話の受話器をとり
    何やら話し始めた。
    「あーもー…最悪…。
     幻想郷で散歩してたらいきなり捕まって、今は宇宙…。
     ああ、自分の不幸が妬ましい…」
    同じ牢屋に入っている金髪の少女…水橋パルスィがぼやく。
    「私たち、幻想郷に帰れるのかしら…。
     脚の魔法、このままじゃ解けないわ…」
    もう一人の青髪の少女、わかさぎ姫が呟く。
    わかさぎ姫の下半身は人魚のそれであるが、今は魔法で人間の足に擬態している。
    幻想郷では魔法文化が広く伝わっているので、この程度は軽いものだった。
    しかし、擬態しているだけなので、その足で歩いたりということはできず、
    足の不自由な少女として振る舞わざるをえないのが、わかさぎ姫の悩みだった。
    彼ら彼女ら3人は、地球の幻想郷で拉致され、
    はるばる宇宙のコロニーまで運ばれたのだった。
    拉致されてからどれくらいの時間が立ったのか、
    時計もカレンダーもない牢屋に入れられっぱなしでわからなかった。
    「おい、牢屋に一人追加だとよ」
    看守が電話を置き、霖之助たちに言った。
    それからすぐ、乱暴に引っ張られたジェーンが牢屋に連れて来られた。
    (この娘、月の娘だ…)
    ジェーンのうさ耳型のアクセサリを見て、霖之助は思った。
    玉兎達がつけるうさ耳型のアクセサリは、ある種の身分証であり
    ひと目で種族がわかるようにするための措置で装着が義務付けられている。
    (僕らが幻想人だとバレると厄介だ。黙っておこう…)
    霖之助はパルスィとわかさぎ姫に小声で提案した。
    宇宙では主だった戦闘が幻想同盟と月面軍に移り変わってはいるが、
    地上では相変わらず幻想郷と月面軍の戦争が続いている。
    幻想郷に住む幻想人と、月の民は外見上に違いはないため、
    黙っていれば人種を隠し通すこともできなくはない。
    「だ、誰…?」
    牢屋に連れて来られたジェーンは霖之助たちの姿を見て怯えた。
    とりあえず、霖之助たちはジェーンに自己紹介をした。
    「そう…なの。
     霖之助さん、私たちはどうなっちゃうの…?」
    自己紹介を終えた後、不安そうな表情でジェーンが尋ねた。
    「そう言われても、私たちもさっぱりなのよね」
    パルスィが諦めたような表情で答える。
    「あら、素敵な髪留めね」
    わかさぎ姫は、ジェーンをリラックスさせるために
    ジェーンの身につけている髪留めの話を始めた。
    「えっと…ありがとう。
     わ…かさぎ姫?さん…」
    ジェーンの不安いっぱいの返事を聞いて、わかさぎ姫は彼女を安心させるのは
    苦労しそうだと思った。

    「これより、アルファ7奪還作戦についてのブリーフィングを始める!」
    ネイザンがブリーフィングルームで、パイロットたちに説明を始めた。
    ブリーフィングルームに集められたパイロットの中には、ワカバの姿もあった。
    「まず、チームを2つに分ける。
     ミオチームには、ミオ大佐を隊長とし、レイセン、エーディン准尉が。
     ゼロチームには、ゼロ少佐を隊長にワカバをメンバーとする」
    アルファ7周辺の宇宙地図を指しながら作戦を説明するネイザン。
    「そして、予めミオチームをアルファ7の外部ハッチ付近に待機させる。
     配置についたら、本艦とゼロチームが陽動をかけ、敵の防衛戦力をおびき出す。
     防衛戦力をアルファ7から引き出させた後、ミオチームがアルファ7に潜入
     内部施設を制圧し、民間人を救出する!」
    「陽動に二人だけで大丈夫なんですか?」
    レイセンが質問をした。
    「陽動の目的は、あくまでも敵戦力を分断させ、時間を稼ぐことよ。
     前回の戦いのような急な遭遇戦じゃない場合は
     対スパーク撹乱用のチャフを充分な範囲に撒くことができるわ。
     あとは、艦の装備と直掩のWAだけで、十分時間稼ぎはできるわ」
    対スパーク撹乱用のチャフは、散布することで
    散布範囲内でのスパーク兵器の威力を著しく低下させることができる。
    副作用として、プラズマ系の武器も威力が低下するが、
    実弾兵器が射撃兵装のワンブではその影響は少ない。
    一見妙なチーム分けも、この陽動作戦を見れば、納得のいくものだった。
    「ワカバ、無理なら休んでもいいぞ」
    緊張の顔を浮かべるワカバに、ゼロが尋ねた。
    「い、いえ…!
     ゼロ少佐が訓練してくれたんです、やってみせますよ…!」
    ワカバが、緊張の汗を拭いながら言った。
    前回の無断出撃の罰として、ワカバはムーンライズの予備パイロットとして、
    ゼロから戦闘のレクチャーを受けたのだった。
    レクチャーを受けたのは短い間ではあったが、もともと努力家であったワカバは、
    ゼロの教えたWA操縦のノウハウを素早く吸収した。
    今回での作戦での出撃は、危険性の低い陽動作戦を通して、
    知識を経験とするための実地訓練も兼ねていた。
    「よし、作戦準備開始!
     30分後にミオ隊出撃、その後に攻撃を開始する!」
    ネイザンの号令を受け、パイロットたちは出撃の準備を始めた。

    「あれ、ワンブの腕治ってる?」
    ワカバは、自分が乗るワンブが
    前回の戦闘で切断された腕が修復されていることに気づいた。
    「あれなー、バラムの残骸から使える腕を引っ張ってきたんじゃよ」
    整備長がワカバに説明をした。
    「バラムの…って、敵の腕が使えるんですか?」
    「そりゃ使えるもーん、同じもんじゃからのー」
    「へ?」
    首を傾げるワカバに、整備長は説明を続けた。
    「バラムはな、ワンブの製造工場を占領した幻想同盟が、
     同じ工場で作ったWAなんじゃよ。
     じゃから、頭と武器以外は色が違うだけで、ワンブなわけじゃ。
     まあ、ノウハウが足りなくて本物より質は落ちとるがの」
    「へ~!へ~!」
    ワカバは興味深そうな顔で相槌を打った。
    勉強好きなワカバにとっては、こういう知識は面白く感じるものだった。
    「ワカバ…気をつけてね」
    格納庫に来たユリが、ワカバに声をかけた。
    「大丈夫、ゼロ少佐もついてるし…。
     私だって、レイセンくらいにはやってやるんだから…!」
    そう言うと、ワカバはワンブのコックピットへと向かっていった。

    「レイ…セン。新型のゼレイブを任されているからには、
     腕は立つと思ってはいるけど、足を引っ張るなよ?」
    ミオがレイセンに冷たく言った。
    レイセンという名前に、若干口が鈍っていたがレイセンは気づかなかった。
    「はい…! 全力でやってみせます!」
    「そう…コロニーをあまり壊しすぎるないように。
     この艦の修理に必要な部品の調達も兼ねてるから。
     帰れなくなる」
    そう言うと、ミオは自分のカスタムワンブ…ペリグヴァインに乗ってしまった。
    レイセンは、ミオの態度を気にすることなくゼレイブのコックピットに入り、
    発進準備を進めていった。
    「レイセン、俺達がフォローすっからな。
     あんまり緊張しすぎるなよ」
    「あ、はい! ありがとうございます」
    エーディンの励ましで、レイセンの気分は少し軽くなった。
    「あと、そうだ。整備長から伝言。
     『バックパックの武器もたまには使ってくれ。
      あと、ゼレイブの機能もしっかり活用してくれよ』
     …だとさ。
     ゼレイブの機能って何だ?」
    「さあ…今度調べておきます…」
    レイセンは、乗りこなしつつはあったものの、
    ゼレイブというWAがどんな力を持っているかは、
    まだ把握しきれないでいたのだ。

    作戦開始の時間になり、ミオ隊発進の合図がかかった。
    「ミオ・ヴァイス、ペリグヴァイン、出る!」
    「レイセン、ゼレイブ、行きます!」
    「エーディン、スカイイーター、出るぜぇ!」
    レイセン達が次々と発進する。
    「外部ハッチの方向に、悟られないギリギリの速度まで加速したら
     バーニアを切り、慣性でそのまま進むわよ。
     レーダーにうつりにくくなるからね」
    「了解!」
    ミオの指示通りに、レイセンは加速し、慣性で進み始めた。
    その間にレイセンは、ゼレイブのコンピューターで
    どんな機能があるかを調べ始めた。

    「…そろそろね」
    時計を見て、ネイザンが指示を飛ばし始めた。
    「メイン・プラズマキャノン、発射準備!
     チャフの散布状況確認!」
    「チャフ散布確認! 予定範囲に散布完了!」
    「よし…ゼロ隊、発進!
     同時にメイン・プラズマキャノン、ポイントA21に向け発射!」
    「メイン・プラズマキャノン、発射します!」
    砲撃手が復唱すると、ムーンライズの主砲である
    メイン・プラズマキャノンが展開し、巨大なプラズマ弾を発射した。
    プラズマ弾はコロニーの外縁部を掠めるように当たり、小さな爆発を起こした。

    「敵襲ーっ!
     機動部隊は、直ちに出撃しろーっ!」
    爆発のような音と共に地面が大きく揺れた後、
    独房の外が騒がしくなり、幻想同盟の兵士たちが慌ただしく走り回る音が聞こえた。
    「こ…怖い…!」
    「大丈夫、泣かないで…」
    怯えるジェーンを、わかさぎ姫が慰める。
    「おい! 囚人ども!
     おとなしくして…グアッ!」
    看守が背後から何者かに殴られ、気を失った。
    「よし、3人ともいるな?」
    看守を殴った男が、霖之助達に言った。
    「あなたは?」
    「幻想軍のクライド・エイムズ、人間だ。
     お前たちの救出に来た」
    クライドと名乗った男が霖之助に耳打ちをする。
    幻想軍とは、月面軍の襲撃に際して結成された民間人を中心とした軍隊である。
    民間人とは言っても、幻想郷の町々で妖怪などをあいてに人々を守る
    自警団の出身が多いので、腕の立つものは少なくない。
    「どうやって来たんです?」
    「八意総帥が、例の妖怪に掛けあってくれてね。
     人一人くらいなら転送できるってんで、イオタ3に飛ばしてもらったんだ。
     イオタ3の脱出ポッドが君たちのところへ流れ着いて、探す手間が省けた」
    知らない者が聞けば意味の分からない説明であるが、霖之助たちはすぐに理解できた。
    「といっても、片道切符だ。
     この混乱に乗じて連中の船を奪うぞ!」
    クライドが手にした自動小銃で牢屋の扉を破壊し、霖之助たちを出した。
    「…その娘は?」
    「避難民の一人よ…彼女だけ一人牢屋に入れられたの」
    「そうか…最後に見つかった娘ってこの娘か」
    クライドはジェーンを見つつ考えた。
    「ひとまず、この施設は丈夫だ。
     避難民達に危険が及ぶことはないだろうが、
     いまから避難民の部屋に連れて行く時間もないな。
     悪いが同行してもらおう」
    「どこへいくんですか?」
    わかさぎ姫がクライドに聞いた。
    「なんにせよ、ここの連中をどうにかしないことには
     脱出もクソもない。
     連中の兵器を拝借して、ひと暴れだ」
    「穏やかに済みそうにないわね…」
    パルスィは、これからのことを思いため息を付いた。
    「急ごう、脱走したのがバレるまで、そう時間はないはずだ」
    クライドは倒れた看守の懐から、施設の地図データの入った小型端末を抜くと、
    それを操作しながら霖之助達を格納庫へ案内し始めた。

    「巣を突つかれて、出てきたぞ!」
    アルファ7から続々と出てくるバラムを見て、ゼロが叫んだ。
    「メイン・プラズマキャノン! 装填!
     機関砲、オートロックで連射開始!
     弾を惜しまず、敵を近づけるな!」
    ネイザンがそう指示を飛ばし、ムーンライズの全砲門をバラムの方向へと変えさせた。
    「ムーンライズの砲撃は私たちをかわしてくれる。
     味方の弾幕に恐れず、敵を迎撃するんだ!」
    「は、はいっ!」
    ワカバがゼロに力強く返事をした。
    ムーンライズの機銃がうなり、プラズマ弾が発射される。
    「来るな、来るな、来るな!」
    ワカバは、叫んで気持ちを高ぶらせながら
    慎重にレールガンの照準を合わせ引き金を引いた。

    「ぐあぁっ!」
    見張りの幻想同盟兵を無力化させつつ、霖之助達は格納庫へ辿り着いた。
    「どれどれ…ちっ!
     どれも一人乗りじゃないか!」
    格納庫の兵器を見てクライドが悪態をついた。
    「悪いが、君たちにも戦ってもらわにゃならなさそうだ。
     そこのジェーン、だっけ?
     君は身体が小さいから誰かと相乗りできるだろうが…」
    「そんな! ロボットの操縦なんてやったことないわよ!」
    パルスィが叫んだ。
    「大丈夫だ。
     月面軍の兵器は思考操作オートマチックシステムがついている。
     要するに、歩こうと思えば歩けて、撃とうと思えば撃てる。
     専門的な知識は不要だ」
    「そんなこと言ったって…」
    わかさぎ姫が自信なさげに呟いた。
    「しっかりしてくれ!
     このままここで殺されてもいいってのか!
     生き延びたいなら、やってくれ!」
    「…わかった。
     だが、あてにはしないでくれよ?」
    霖之助が覚悟を決めてそう言った。
    「もちろん。
     俺はこのヘリでかき乱すから、お前たちは…そうだな。
     せっかくだから新型っぽいそいつらを使え」
    クライドはそう言って、格納庫の端に置いてある3体のWAを指さした。
    できたてなのか、装甲の表面が光を反射している。
    「…もう、知らないわよ!」
    パルスィはそう言って、真ん中のWAに乗り込んだ。
    「霖之助さん、頼みます」
    「わかった」
    霖之助は、わかさぎ姫を背負い、ジェーンを連れて最奥のWAのコックピットに連れて行った。
    「君、この人は足が不自由だから、助けてあげて」
    「…うん」
    霖之助に言われて、ジェーンはわかさぎ姫の横のスペースに身体を滑らせた。
    「脱走者がいたぞー!」
    格納庫の入り口から、幻想同盟の兵士の声が聞こえた。
    「ちっ!」
    クライドはヘリコプターのミサイルを格納庫の入り口に発射した。
    「時間がない! 早く乗れ!」
    「わかってるよ!」
    霖之助も残ったWAに乗り込んだ。
    「こいつがスイッチか!」
    霖之助があからさまなスイッチを押すと、WAの制御システムが起動した。
    ディスプレイに外の風景が写ると、パルスィとわかさぎ姫の乗ったWAも起動したのか
    カメラアイの部分に光が灯った。
    「プロト・ヴァリアブル・アーマー1号機…PVA-1?」
    霖之助は画面に表示された機体名を思わず読み上げた。
    「要するに試作ってことか! 1号!働いてくれよ!」
    霖之助は手探りで機体を動かし、ゆっくりと前に歩き始めた。
    「誰か、天井のハッチをぶっ壊してくれ!」
    「わかったわ。これね!」
    クライドが叫ぶと、わかさぎ姫乗った3号機が腕のミサイルを発射し
    天井のハッチに大きな穴を開けた。
    「よし、外にでるぞ!」
    そのまま4人は、ハッチからコロニーの地上部分に飛び出した。

    「…コロニーの中が騒がしいな?」
    侵入用ハッチの付近で待機しているエーディンがミオに言った。
    「悪い予感がする。
     予定より速いけど、入るよ!」
    ミオはそう言って、WAでハッチを開き、そのまま中へと侵入した。
    「…よし!」
    コンピューターでゼレイブの機能を調べていたレイセンも、
    ミオについて入っていく。
    エーディンは、二人が入ったのを確認してから、細かく姿勢を整え、
    スカイイーターをハッチに滑り込ませた。
    コロニー内では、霖之助達が多数のバラムと、戦闘機相手に奮闘をしていた。
    素人である霖之助達が戦えたのは、幻想郷の暮らしの中でそれなりの修羅場をくぐってきているからであった。
    「あのディティール、月面軍の新型か?」
    「…このコロニーで作っていた新型ね。
     バラムと戦っているということは、味方かしら?
     コンタクトを取ってみましょう。
     こちら、月面軍のミオ大佐だ!
     そこのWA、誰が乗っている!」
    「え、ええ、ああ?」
    通信から霖之助の素っ頓狂な声が聞こえてきた。
    「月面軍か、まずいな。
     幻想人だってことは黙ってろよ…!」
    クライドが直通回線で霖之助に囁いた。
    「えっと、僕たちはひ、避難民だ!
     騒ぎに紛れて、敵のWAを奪ったんだけど…」
    霖之助は、闘いながら嘘を交えて説明した。
    「民間人?
     そうか、無理をするなよ。
     これより支援する!」
    軍人口調でミオが返事をすると、戦場に飛び出していった。
    「いくぞ、レイセン!」
    「え、ええ!」
    ミオに続いて、エーディンも参戦した。
    「あれ、あれれ!?」
    レイセンも後を追おうと思い、宇宙の感覚でバーニアを吹かせたが
    地面に引き寄せられバランスを崩した。
    「宇宙パックの制御バーニアで空を飛べるかよ!
     足で歩いて地上戦をしろ!」
    「は、はい!」
    エーディンの突っ込みに応答して、レイセンはゼレイブを走らせた。
    それなりの数が陽動で外に出たとはいえ、
    まだかなりの数のバラムがコロニー内に待機していた。
    「なめるんじゃないよ!」
    パルスィが2号機のレールライフルを唸らせ、バラムを撃墜する。
    「やった!」
    「パルスィ! 危ない!」
    ガッツポーズを決めるパルスィの背後から攻撃しようとしたバラムを
    わかさぎ姫の乗る3号機のミサイルが吹き飛ばした。
    「くっ…! こいつ!」
    霖之助の1号機は鈍重だったので、苦戦を強いられていた。
    霖之助はコックピットを見回し、使われていないレバーを見つけた。
    「何とかしろよっ!」
    やけになってそのレバーを力任せに倒すと、1号機が変形し、戦車のような形になった。
    「ヴァリアブル…なるほど、変形できるのか!
     これなら…!」
    霖之助は自動照準をオンにし、キャタピラで走り始めた。
    キャタピラとはいえ、かなりの速度で1号機は地を走った。
    「そこだぁっ!」
    ロックオンされたバラムに向け、引き金を引くと戦車砲の部分から砲弾が飛び出し、
    バラムを貫いた。
    「変形だって! すげぇな!」
    その様子を見たエーディンが、幻想同盟の戦闘機を撃ち落としながら叫んだ。
    「ってことは、2号機も!」
    パルスィは1号機の変形を見て、レバーを倒した。
    2号機は飛行機のようなフォルムに変形し、空へと浮かび上がった。
    「こっちのほうが性に合うわね!」
    空を飛んでごきげんになったパルスィはそのまま敵の戦闘機の迎撃に入った。
    「私もできるかな?」
    「ダメ…これ、水中用…」
    わかさぎ姫がレバーを倒そうとすると、ジェーンが止めた。
    3号機は潜水艦に変形できるらしいが、地上では変形不可能であった。

    「一機、抜けてきたぞ!
     ワカバ!」
    「わかった!」
    艦に接近するバラムに向けて、ワカバが姿勢を正す。
    「行けっ! トマホーク・ビット!」
    ワカバは宇宙パックの武器を発射した。
    パックの側面から丸い物体が放たれ、中から刃を飛び出させ高速回転を始めた。
    コレは、一種の遠隔兵器であり、高速回転する斧で遠距離の相手を攻撃できる武器である。
    ワカバはトマホーク・ビットをうまく動かし、
    接近するバラムの片腕を切断することに成功した。
    「落ちてぇー!」
    そしてそのまま、プラズマ・サーベルを抜き、バラムのボディを切り裂いた。
    バラムは爆発を起こし、ばらばらになった。
    「…やった!」
    ワカバは、コックピット内でガッツポーズを決めると
    ワンブの武器をレールガンに持ち替え、また迎撃に戻った。

    「数が減ってきた! あと少しだ!」
    クライドがバラムを撃墜しながら状況を見て叫んだ。
    ビシューン!
    その時、コの字型の小さな物体が飛んできてビームを放った。
    「何っ!」
    とっさにビームを避けるミオ。
    同じような物体が複数、戦場を飛び交い始めた。
    「トマホーク・ビット…じゃない!
     この小ささで、ビーム兵器か!」
    「ご名答! バルバトのヴァチュスを避けるとは、只者じゃないな?」
    ミオが叫ぶと、バラムと同じ頭部であるが、ボディの形状が異るWAが戦場に現れた。
    「幻想同盟の新型!?」
    エーディンが反応すると、ヴァチュスと呼ばれた物体がビームを撒き始めた。
    「うわああ!」
    「ちょっと!」
    霖之助たちの方にもヴァチュスが飛んでいったらしく、彼らの方からも慌てる声が聞こえた。
    「くっ…!」
    「こいつは私が相手をします!」
    「レイ! 無茶はするなよ!」
    レイセンは、プラズマ・ライフルを構え、バルバトと呼ばれた新型に向かっていった。
    ヴァチュスがレイセンの方に集まって行ったので、ビーム地獄からは開放された。
    「レイセンが奴の相手をしているうちに残りのバラムを!」
    「了解!」
    そのまま、またバラムとの戦闘にとりかかった。
    ビシュビシュビシューン!
    ゼレイブを囲むように飛び回るヴァチュスが次々とビームを放つ。
    ヴァチュスはビームの発射前に一瞬止まるので、
    ビームの回避自体はレイセンには難しいことではなかったが、
    肝心のバルバトには接近できないでいた。
    「この!この!」
    ヴァチュスを破壊しようとプラズマ・ライフルを撃つが、
    的が小さいためなかなか当たらない。
    バルバト自体も、操縦者の腕が高いのかこの距離からではすべて回避されてしまった。
    「隙だらけだ!」
    そうしているうちにバルバトがスパーク・サーベルを抜いて接近戦を仕掛けてきた。
    とっさにプラズマ・サーベルを抜き、刀身で受け止める。
    「くっ! トマホーク・ビット!」
    レイセンが宇宙パックのトマホーク・ビットを放つが、
    同時に、ヴァチュスがバルバトから飛び立ち再びビームでビットを撃ち落とした。
    「だめかっ!」
    レイセンは反撃を許されないまま、ビームの回避をし続けることになった。

    「これで最後だ!」
    ゼロが宇宙空間に出てきたバラムをプラズマ・サーベルで撃墜して言った。
    「これより、本艦はアルファ7へと突入する!
     WAは直ちに帰艦せよ!」
    「はい!」
    ネイザンの指示を受け、ワカバとゼロはムーンライズに着艦した。

    (接近攻撃の時はヴァチュスは使えない…?)
    レイセンは冷静に相手の動きを観察した結果、ひとつの結論を出した。
    バルバトが接近攻撃をかける際、ヴァチュスをバルバトに戻させる。
    (いや、ヴァチュスはずっと飛べるわけじゃないんだ!)
    おそらく、ヴァチュスは充電式か何かであり、
    エネルギーが減るとバルバトに戻り、近接線を行っている間に充電して
    再び飛んで攻撃するのだ。
    つまり、近接戦を仕掛けてきた時はヴァチュスに注意を向ける必要がない。
    レイセンは、アルファ7に突入する前に調べたゼレイブの能力を思い出しつつ、
    バルバトが接近戦を仕掛けてくる時を待った。
    「くらえぃっ!」
    バルバトがヴァチュスを収納し、何度目かの接近戦を仕掛けてきた。
    レイセンはそれをプラズマ・サーベルで受け止め、ゼレイブのコンソールを操作し、
    あるシステムを起動させた。
    「ツインプラズマ・エンジン!フルドライブ!」
    ゼレイブの排熱部から余剰エネルギーが吹き出し、
    掴んでいるプラズマ・サーベルの刃が巨大化した。
    「何ぃ! サーベルの出力が上がっただと!?」
    バルバトのパイロットが驚愕の声を上げた。
    通常、月面軍のWAは駆動用のプラズマ・エンジンを1基のみ搭載しており、
    武器用のエネルギーはエンジンの余剰エネルギーを充電した
    特殊バッテリーでまかなっている。
    しかし、ゼレイブは大型プラズマ・エンジンを2基搭載しており、
    駆動用エネルギーをバッテリーに切り替え、
    両方のエンジンを武器用に転用することで短時間であるがプラズマ兵器のパワーアップを行うことができる。
    この機能が、レイセンが調べることで発見したゼレイブの機能『フルドライブ』であった。
    ズバァシュッ!
    互角のつばぜり合いをしていたところを、ゼレイブ側が出力を上げたため
    バルバト側のサーベルが押し負け、そのまま腕を切り落とされた。
    「ちいっ!」
    「このぉ!」
    そのままレイセンは追撃をかけようとしたが、ヴァチェスを囮に放たれ、
    その間にバルバトが猛スピードで撤退していった。
    フルドライブで強化されたサーベルを振り回し、ヴァチェスをすべて破壊した時には
    レイセン達が入ってきたハッチにバルバトは逃げ込もうとしていた。
    「待てー! ああっ!」
    追おうと、バーニアを吹かせようとしたが、ガクンとゼレイブの出力が落ちた。
    駆動系に使っていたバッテリーが切れ、一時的に動力を失った状態になったのだ。
    「追う必要はないね。
     私たちの目的は、達成した」
    バラムを片付けきったミオが、レイセンに声をかけた。
    ちょうど、ムーンライズがアルファ7の宇宙港からコロニー内に入ってくるところだった。

    ムーンライズが基地に着陸し、ネイザンの指示で避難民の収容と、
    基地にある部品を使ってのエンジンの修理が始まった。
    もう少し進めば、完全に月面軍の勢力圏に入るので、
    そこまで進むための応急的な修理ではあるが。
    すっかり抜け出すタイミングを失った霖之助、クライド達は
    そのまま避難民と一緒にムーンライズに乗ることとなった。
    このタイミングで抜け出すのは不自然であるし、
    幻想人であることがバレればただでは済まないからだ。
    少々危険でも、このまま避難民のフリをするのが安全だという判断だった。
    「作戦へのご協力、感謝します」
    「は、はぁ…」
    試作機をムーンライズに運び入れ、降りたところで霖之助達は
    個室に案内され、ネイザンから感謝の言葉を送られた。
    「しかし、軍の機密を民間人が触ったというのは、
     軍上層に対して体裁が悪いので、すまないけれど
     形だけでも、志願兵となったということにしてほしい。
     ゼロ、彼らに書類の書き方を教えてあげて」
    そのまま、ネイザンが書類を差し出しながら言った。
    一応避難民のフリをしているので、クライドも含め4人は民間人扱いだった。
    ネイザンが個室を出ると、ゼロがサングラスを外し、彼らに正体を明かした。
    「あ、あんたは…!」
    「しーっ! 大声を出さないで。
     今、潜入中なのよ」
    驚く霖之助を、鈴仙が止めた。
    「でも、薬売りさんがこうも軍人をやっているとはねぇ」
    パルスィが呟いた。
    幻想郷で普段暮らしている際の鈴仙は、優しい薬売りで通っていた。
    そんな彼女を知っていた彼らからしてみれば、軍人としてやっている
    本来の鈴仙は、違和感のある存在だった。
    「誰しも人には話せない過去がいくつかあるものでしょう?
     あなた達の身柄は、私が保証する。
     とりあえず今は、その書類に指示通り書き込んで」
    「…とやかく考えても仕方ないだろう。
     ここは、君に任せるよ」
    そう言って、クライドは書類に必要事項を書き始めた。
    霖之助たちも、それに続いて諦めたような顔で書類に向かい始めた。

    「ジェーン!」
    3号機から降りてきたジェーンの姿を見て、ワカバが叫んだ。
    「ワカバちゃん…!」
    「捕まった脱出ポッドにいたのね!
     無事でよかった!」
    そう言いながら駆け寄ってジェーンの頭をワカバがなでた。
    「あ、艦長!」
    その様子を見ていたレイセンは、歩いてきた艦長に気がついた。
    「あら、お友達が見つかったのね。
     もうすぐ修理が終わるから、出発の準備をしてね。
     …といっても、すぐに勢力圏に入れるから
     アルファ11に到着したら、あなた達とはお別れね」
    「そうですか…」
    「いつまでも子供を、しかも民間人を戦わせることはできないからね。
     依姫様と豊姫様がアルファ11にいるっていう話よ。
     あなたの活躍を報告してあげるわ」
    「あ、ありがとうございます」
    レイセンは、素直に喜べなかった。
    戦いが好きなわけではなく、戦いによって誰かの役に立てる
    誰かを守ることができるということに、満足を感じていたからだ。
    ペットとしてぬくぬくしているよりは、ソッチのほうが性に合っているらしい。
    依姫に要相談だなあ、とレイセンは思った。
    「やっと、戦いから開放されるんですね…」
    ユリの方は、その知らせを聞いて安心していた。
    ユリは、レイセンやワカバと違って
    戦いに積極的ではない性格なので無理もなかった。
    ミオは、試作機運搬の責任者としてムーンライズに残ることになった。
    ゼロにとってはそれだけが不安の種であった。

    やがて修理が終わり、ムーンライズは様々な思いを載せて
    アルファ11へと進み始めたのだった。



    戦いを終え、安堵するムーンライズ隊。
    しかし、運命は彼女たちに休みを与えてはくれなかった。
    うごめく野望、黒い影。すべてを知った、依姫が走る。
    次回、夢幻機動ゼレイブ 第5話「離反」

    君は、月の果てに何を見るのか。


  • 夢幻機動ゼレイブ 第3話「月面の白き隼」

    2015-04-03 00:421
    ■はじめに■
    この文章は構想中の東方二次創作ゲーム「幻想ロボット大戦」の架空参戦作品の一つ、
    「夢幻機動ゼレイブ」の本編のお話です。
    好評の声を聞いたので3話を書きました。
    コメントで感想をいただけるとやる気が上がります。
    本作品はガンダムを中心にしたようなリアルロボット系のお話だと思ってください。
    特に明確に何かのガンダム作品を意識しているわけではないのであしからず。
    というわけで、どうぞ。


    机と椅子を並べ教室のようにセッティングされたブリーフィングルームに、
    レイセン、ワカバ、ユリ、エーディンが座っていた。
    ブリーフィングルームに入ったゼロが、モニターの前に立って資料を広げる。
    「…これより、戦闘に関するレクチャーを行う」

    ゼロとネイザンが予想したとおり、レイセンは緊急時の出撃を申し出た。
    予め予想していたので快諾したものの、不安がないわけではなかった。
    エーディンからの報告により、レイセンの知識不足が露呈した。
    軍用機器の使い方や近距離ネットワークの接続法。
    そして何より、兵器に関する知識がてんでなかったのだ。
    というわけで、航海の合間にレイセンのための授業を行うこととなった。
    他3名は、興味本位とか暇つぶしとかの目的で、
    真面目に授業を聞くことを条件に参加を許可されたのだった。

    「我々と、幻想同盟が使う武器には大きく分けて3種類がある。
     ワンブのレールガンのような実体兵器。
     幻想同盟のバラムが使用するスパーク兵器。
     そして、ゼレイブが使うプラズマ兵器だ。
     プラズマとスパークは、どちらもエネルギーそのものを
     武器として使う兵器だが、細かな違いがある。
     スパーク兵器は化学反応によって高熱化した粒子を発射する。
     そのため、消費エネルギーが少量で済む長所があるが、
     大気中では飛距離とともに粒子の熱が下がり破壊力が減少する。
     一方プラズマ兵器は特殊金属の弾頭を帯電させ、
     衝突時に局地的な落雷を発生させることで破壊力を生み出す兵器だ。
     こちらは大気中でも破壊力が減少しないが、エネルギーを多く消費する。
     そのため、ワンブのような量産機では消費の抑えられるサーベルしか
     プラズマ兵器は搭載されていない…」
    資料を見ながらゼロが解説をする。
    熱心にノートにまとめながら、ワカバが手を上げた。
    「昔は、ビーム兵器っていうのも使っていたらしいじゃないですか。
     どうして今の兵器には使われていないんです?」
    「それはな、強力すぎたんだ」
    ゼロが資料を閉じ、過去を思い出すように説明を始めた。
    「ビーム兵器は圧縮した光による兵器で、弾速・威力に非常に優れる。
     しかし、魔導戦争の際にはビーム兵器を装備した魔導兵器が人類に牙を向き、
     街や兵士に不要なまでの大きなダメージを与えてしまったのだ。
     ビーム兵器によって、身体の様々な部分を失った当時の兵士はかなり多い」
    「もしかして、艦長さんも…?」
    「ああ」
    レイセンの質問に答えるゼロ。
    ネイザンは、魔導戦争の時にビームを受け片腕を喪ったのだという。
    「魔導戦争については、また後日解説する。
     次は…」

    「あー頭痛い…」
    頭を抱えて歩きながらワカバがぼやく。
    レイセンは艦長と話があるということで別れている。
    「どーしてそうまでしてレイセンに張りあうかね?」
    エーディンが疑問をぶつけた。
    「だってあいつさ…すごいやつじゃん。
     特に何かしたわけでもなく、綿月様の側近になってさ
     初めての戦闘で、いきなり大戦果。
     そんなの見せられちゃ、自分のやってることが否定されているようでさ…」
    僻みだと分かってはいたが、感情をコントロールできないでいた。
    月面の伝説の大賢者、八意永琳に憧れるワカバは、
    彼女のようになるために必死に勉強をしている身であった。
    上を目指すというワカバの意識が、レイセンをライバルと認識しているのだ。
    「あれ? 何をしているのかな?」
    いつの間にか格納庫へ出たユリがゼレイブを指さして言った。
    「おーい、嬢ちゃんあぶねぇぞー」
    整備長のおじいさんがユリたちに叫んだ。
    「整備長、この娘達が何やってるか興味あるってさ」
    「ほー、メカニックになるのかい?」
    「いや、そういうわけじゃないんだけどさ」
    エーディンが顔を近づける整備長を抑えながら言った。
    「ほれ、いま宇宙空間を進んどるじゃろ?
     ここで敵が仕掛けてきたら無重力下で戦闘になるわけじゃ。
     無重力って言うと、重力下とはまた色々と環境が違うでの。
     それに合わせてバックパーツを変えてるのじゃよ」
    「ほー、バックパーツで適応できるのか」
    「陸・海・空・宇宙、4種類のパックがあるんじゃよ。
     ゼレイブとワンブはバックパーツは共用じゃからな。
     ゼレイブの方も宇宙パックを付けておるんじゃよ。
     宇宙パックではフレキシブルスラスターが…ブツブツ…、
     制御バランサーがブツブツ…」
    「爺さん、ストップストップ!」
    話が長くなりそうになったので、エーディンが制止した。
    勉強で疲れているワカバの身を案じての事だった。

    格納庫の中を見回したワカバは、ふとあることに気づいた。
    「どうしてワンブが3機あるの?」
    「フゥー…」
    爺さんがため息を付いた。
    「予備パーツの寄せ集めでこしらえたんじゃがの、
     パイロットが少佐以外やられちまったもんでさ。
     あーもったいねー…」
    「ふーん…」
    ワカバは乗り手のいないワンブを見上げた。
    「お爺さん、ありがとうございました」
    「はっはっは、可愛いお嬢さんなら大歓迎だ。

     またおいで」
    ユリが丁寧におじぎをすると、整備長が嬉しそうな顔でゼレイブの方へ戻っていった。

    「特別扱いをしないでほしいって?」
    ネイザンはレイセンの頼みを復唱した。
    「はい…。
     私を綿月の者としてじゃなく、ワカバたちと同じ
     同行者のひとりとして扱って欲しいんです。」
    「どうしてまた?」
    「その…」
    レイセンは、少し考えをまとめてから言った。
    「私が特権者だからと守ろうとして、誰かが傷つくのは嫌ですし…。
     それに、私もゼレイブに乗って守りたいんです。
     …友達を」
    レイセンが言い終わると、少ししてネイザンとゼロがアイコンタクトを取って頷いた。
    「わかりました。
     あなたを綿月のレイセンではなく、
     レイセンという一人の人間として扱いましょう」
    「あ、ありがとうございます!」
    レイセンはそう言って深くお辞儀した。
    「フ…」
    ゼロは、そんな彼女の姿を見て微笑んだ。
    ウーウー!ウーウー!
    突然、警報が艦内に響き渡った。
    ネイザンはすかさず艦長モードに切り替え、艦長席に座り始めて
    ブリッジクルーに指示を飛ばし始めた。
    「何事ですっ!?」
    「ハッ! レーダーにアンノウン複数確認!」
    「アンノウン…幻想同盟ね?」
    「いえ…この反応は、はぐれ魔導です!
     数は…13、いや、15!」
    オペレーターが艦長の方へ振り返りながら叫んだ。
    「はぐれ魔導…?」
    「魔導戦争の亡霊だよ。
     主を失ってもなお人類抹殺プログラムを実行し続ける
     殺人機械の成れの果てだ。出るぞ!」
    レイセンに答えると、ゼロは格納庫の方へと走りだした。

    「おい、レイ。
     あんまり気張るなよ!」
    「え、え?」
    廊下で合流したエーディンに、突然あだ名で呼ばれたのでレイセンは戸惑った。
    「おいおい、嬢ちゃん二人に良くて戦友の俺にはダメなのか?
     水くさいぜこのぉ~!」
    そんなエーディンの軽い態度に、レイセンは少し緊張が和らいだ。

    「ゼロ・ゲイン、ワンブ…出るっ!」
    カタパルトデッキからゼロ機が勢いよく発進した。
    「エーディン、スカイイーター、行くぜ!」
    「レイセン、ゼレイブ、行きまーす!」
    その後に続いてエーディン機とレイセン機も発進した。
    「うわわわ、わぁー!」
    初めての無重力空間の異様な感覚に、レイセンは思わず情けない悲鳴を上げた。
    宇宙空間では上下左右という概念がなく、重力下環境でしか
    過ごしたことのないレイセンには戦場で味わうには新鮮すぎた。
    「来るぞ! 動きを止めるな!」
    ゼロがそう叫ぶと、周囲から光線が飛んできた。
    「は、速いっ!?」
    「レイ、気をつけろ!
     モノホンのビーム兵器だ!
     銃口を合わせられたら終わりだ!」
    エーディンがアドバイスを飛ばす。
    本物のビームは破壊力を持った光なのだ。
    つまり、文字通り弾速は光速となる。
    「くっ!」
    レイセンは機体バランスを持ち直しながらレーダーを頼りに敵の位置を補足した。
    レーダーの最も近い光点に方向を向ける。
    すると、黒光りするロボット兵器が見えた。
    「あれねっ…!」
    レイセンははぐれ魔導兵器・デジンにプラズマライフルを向けつつ接近した。
    デジンは完璧な形ではなく、片足を損傷した状態であった。
    接近するレイセンを補足したデジンは腕のビーム・ランチャーの狙いをゼレイブに向け始めた。
    「…!
     そこっ!」
    照準を合わせ、銃口を止めたのを察したレイセンはペダルを踏み込み
    ゼレイブのスラスターをおもいっきり噴射させた。
    宇宙空間用のバックパックスラスターはレイセンの思った方向へと機体を運んでくれた。
    ブボゥッ!
    急な動きの変化に追いつけなかったビームが宇宙空間を切り裂き、
    その隙をついてプラズマ・ライフルを発射する。
    ビシュン!ビシュン!
    プラズマの直撃を受けたデジンは小さな爆発を数回起こし、動かなくなった。
    「…よし、次!」
    レイセンは深呼吸をし、レーダーの次の光点へと向きを変えた。

    「ハァッ!」
    ゼロのワンブがプラズマ・サーベルを振り、球状の魔導兵器・ババズナを切断する。
    その瞬間、別の方向からビームが複数同時に照射された。
    ゼロはワンブのスラスターを噴射させ、ビームを撃った相手を次々と倒していく。
    (何かがおかしい…!?)
    4機目を撃墜したゼロは違和感を感じていた。
    はぐれ魔導とは、目的こそ人類の抹殺と共通であるが、
    司令塔となる存在がいないので個々が勝手に動き回るものである。
    しかし、今戦っている魔導兵器からは連帯性を感じていた。
    それがゼロの感じた違和感だった。

    ピピピッ!
    「大変っ!
     そちらのはぐれ魔導は陽動よ!
     幻想同盟が艦の後方から接近しているわ!
     急いで戻って!」
    「何っ!」
    エーディンは艦長からの緊急通信を聞くと、反転して艦の方向へと戻り始めた。
    ビシュウ!
    そんなエーディンを妨害するかのように、進行方向を陣取ったはぐれ魔導がビームを放った。
    「ちっ! なんだってんだ!?
     はぐれ魔導が幻想同盟を助けてるっての!?」
    エーディンはミサイルを放ちながら叫んだ。

    「くっ…!」
    後方の幻想同盟からの攻撃を受け、艦体が激しく揺れる。
    「損傷軽微!」
    「対空弾幕! もっと厚く!」
    ネイザンが砲座に命令を飛ばす。
    はぐれ魔導の迎撃に向けていた砲座の一部も後方へ射撃を開始した。
    接近していたバラムが機銃を受けて爆発したが、その後ろから続々と接近してくる。
    「攻撃、来ます!」
    「対ショック防御!」
    ズガァン!
    攻撃が直撃したような音がして、再び艦体が激しく揺れた。
    「ゼロ! レイセン!
     艦の直掩に…!」
    「駄目だ! はぐれ魔導を放っておけば
     より強力なビームを浴びることになる!」
    「敵が増えてて…手一杯です!」
    「くっ…!」
    ゼロとレイセンの報告を聞き、
    ネイザンは苛立ちのあまり艦長席の肘置きに拳を叩きつけた。

    「ダメ…このままじゃ…!」
    「ワカバ!?」
    その様子をディスプレー越しに見たワカバは立ち上がり、
    ユリの制止をかわし、格納庫へ走りだした。

    「嬢ちゃん! 何をしている!
     パイロットでないものが出ても無駄死にするだけじゃぞ!」
    メカニック達が止めるのも聞かず、ワカバは余っているワンブに乗り込んだ。
    「作業用のWAなら動かしたことがあります!
     機体を遊ばせたままやられるくらいなら…!」
    「馬鹿者ぉ!
     そんなんで戦えるものか! 降りろ!」
    整備長がスパナを振り回しながらワカバに叫ぶ。
    「マニピュレーターを動かして…
     引き金を引くくらいなら、できる…はず!
     銃座の代わりくらいには…!
     何もせずに殺されるくらいなら、
     やれるだけやって死んでやる!!」
    決死の覚悟でワカバは叫び、
    そのままワンブを発進デッキに勝手に歩かせ、飛び出した。
    「当たれ…! 当たれっ!」
    ワカバはワンブの持っているレールライフルをデタラメに撃ちだした。
    しかし、でたらめな弾が当たるはずもなく、敵の接近は止まらない。
    「わあああー!」
    ワカバはそれでも連射を止めなかった。
    そのうち、デタラメに撃った弾の数発が最前の敵に当たり、その動きを止めていた。
    しかし、無茶な連射を続けたため、弾が切れてしまった。
    「ああっ! こ、このぉ!」
    ワカバは手探りでプラズマ・サーベルを抜こうとするが、
    接近してきたバラムの1機のスパーク・アックスにサーベルを持つ手を切り落とされてしまった。
    「しまっ…!」
    ワカバは、死を覚悟した。
    その時、ワカバの頭上の方向から、プラズマ弾が降りバラムを貫いた。
    一瞬、レイセンが来たのかと思ったがゼレイブの反応は遠くのままだった。
    バシュウッ! ズバァン!
    ワカバがあっけにとられているうちに、次々とバラムが撃破されていく。
    弾の飛んでくる方を見上げると、純白のカラーリングのワンブが見えた。
    「そいつらは同盟共がコントロールしている!
     司令塔役の機体が紛れ込んでいるぞ!」
    白いワンブのパイロットが広域通信で叫んだ。

    「司令塔…!」
    レイセンはその声を聞くと、辺りを素早く見回した。
    今まで倒したはぐれ魔導は、どれもどこかを損傷していた。
    そして、レイセンはその中で一つ無傷のデジンを発見した。
    「あれだ!」
    レイセンはそのデジンの方向へ行っ気に加速し、プラズマ・サーベルを振るった。
    バシュウッとデジン型の外部装甲が切り裂かれ、その断面からバラムが見えた。
    「そこだーっ!」
    レイセンは、ゼレイブの対艦刀を構え、デジンに扮したバラムを叩き斬った。
    真っ二つになったバラムが爆発すると、それまで一体感のある動きをしていたはぐれ魔導が
    デタラメに動き始めた。
    「しめたっ!」
    その一瞬、エーディンははぐれ魔導を次々とロックオンし、ミサイルをばらまいた。
    ミサイルははぐれ魔導を次々と爆炎へと変えていった。
    「コレで終わりだっ!」
    最後のはぐれ魔導をゼロが撃墜し、辺りはようやく静かになった。
    「た…助かっ…た…。」
    戦闘が終わったことを察すると、緊張の糸が切れてワカバはコックピートのシートにへたり込んだ。
    「…月面の白き隼」
    白いワンブを見たゼロがつぶやくのを、レイセンは聞いた。

    「ワカバ、今回は助かったらいいものの
     一つ間違えていれば死んでしまっていたのですよ!」
    ブリッジに戦闘メンバーが招集されると、ネイザンは真っ先にワカバを叱った。
    「命令違反の処分はあとで考えます。
     覚悟をしておくように」
    「はい…」
    きつい表情でそう言われたワカバは、しゅんとなって返事をした。
    「ムーンライズのヤバさってのは、想像以上みたいだね」
    ブリッジに入ってきた銀髪の女性兵士が言った。
    「先程の援護、感謝いたします。ミオ・ヴァイス大佐。
     さすが、月面の白き隼の異名はだてではありませんね」
    「あなたが…」
    レイセンは、ミオ大佐と呼ばれた女性を見た。
    ウェーブのかかったショートカットの、ゼロと同じくらいの歳の玉兎であった。
    異名を持つということは、凄腕のパイロットであるということもレイセンは分かった。
    「いや、こっちとしても頼みたいことがあったからね。
     ただ、艦の受けたダメージが心配だ」
    「第2、第3エンジンが損傷、長距離の移動は困難です」
    「アルファ7までは持つか?」
    「…はい、それくらいなら」
    ミオと通信士が数回やりとりすると、ミオがネイザンの方を向いた。
    「艦長、アルファ7で民間人の乗った脱出ポッドを人質にされ、部下が敵に捕まった。
     至急向かって、救出に当たりたいが、頼める?」
    「それは…見過ごせませんね」
    ミオが報告した状況を聞き、ネイザンは指示を出した。
    「目的地を変更します。
     スペース・コロニー、アルファ7へ舵を!」
    「ハッ!」
    操舵手が舵を切ると、ムーンライズは方向を変えた。
    (ミオ…か)
    ゼロ──鈴仙はミオの顔を見て過去を思い出していた。
    魔導戦争時、ミオは鈴仙と同じく五体満足で終戦を迎えた数少ない生き残りの一人であった。
    同じ生き残りにもかかわらず、終戦後に鈴仙が英雄として持ち上げられたので
    ミオは鈴仙のことを恨んでいた。
    今も当時のまま恨んでいるのかはわからなかったが、
    自分をよく知る者として、鈴仙は不安を抱いていた。
    (厄介な奴に、助けられたわね…)
    鈴仙はゼロのサングラスの奥で、目を細くし彼女を警戒をした。


    幻想を求める者、幻想から来たる者。
    月面軍の新型、幻想同盟の新型。
    相成るものが、ぶつかり火花を散らす。
    次回、夢幻機動ゼレイブ 第4話「幻想から来た者たち」

    君は、月の果てに何を見るのか。


    ■登場人物紹介 その1
    名前:ワカバ
    性別:女
    年齢:16
    種族:玉兎


    デザイン:栢山

    イオタ3にある工業系ハイスクールの生徒。赤いツインテールの髪が特徴。
    負けず嫌いで不器用な性格だが、根は世話やきでやさしい。
    努力を惜しまない性格のため、身分だけでちやほやされるレイセンをよく思っておらず
    何かにつけて突っかかってきたり嫌味をいったりする。
    かつての月の大賢者、八意永琳にあこがれており、
    彼女のようになるためにいろいろな学問に手を出している。


    名前:ユリ
    性別:女
    年齢:16
    種族:玉兎


    デザイン:栢山

    ワカバと同じくイオタ3の工業系ハイスクールの生徒。
    ワカバとは入学時代からの親友であり、互いにやや依存しているフシがある。
    争い事を好まないやさしい性格であるがゆえに、
    ムーンライズに乗って戦闘に巻き込まれる状況に苦しんでいる。