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記事 14件
  • 「ライフワークの見つけ方」

    2017-03-31 07:00  
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     ワークライフバランスという言葉を近年よく耳にする。手薄になる高齢者の社会保障を自身の労働で補填させるべくみんなが働けるように、とか、忙しい労働者に生活時間を持たせることで消費を拡大させる為に、とか、子供を産み育てさせて少子化を解消する為に、など政府官僚が税収を維持して今のサイズ感を保とうという思惑が透けて見えるのがなんだか薄っぺらな印象も与える言葉だけれど(僕は無政府主義であり、小さい政府こそ望ましいと考えている)、とにかくワークライフバランスという考え方が仕事だけでなくプライベートも大切にしたい若い世代の声もあって主流になっている。
     

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  • 「僕が生きる世界、彼女が生きる世界」

    2017-03-29 07:00  
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     僕の目に映っているもの。それが僕の世界だ(少なくとも僕はそう定義している)。だから僕の世界とあなたの世界は違う。たとえば同じ音楽をかっこいいと感じる人もいれば、うるさいと感じる人もいるのと同じように。同じ時代に同じ環境で生きていても、右に傾く人と左に傾く人が生まれるのはそのせいだろうし、それは健全なことだと僕は思う。
     

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  • 「鏡の中のもうひとりの私」

    2017-03-27 07:00  
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     イラストレーターの五島夕夏さんに『つきのぼうや』というロシアの絵本を紹介して貰った。海に映った月をもうひとりの自分とは気づかぬまま「友達になりたい」という願いを抱いた、孤独なお月様の話だった。そういえば子供の頃に読んだ『かがみのなかのぼうや』というイギリスの児童書も鏡に映ったもうひとりの自分とは気づかぬまま話をしている男の子の物語だった。僕らはいつ鏡の中の人間が自分自身であると認識したのだろう。そもそも「鏡」というものが前に立った者の姿を映し出すものだという真実をいつどのように知るのだろう。
     

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  • 「捨てられる男たち」

    2017-03-24 07:00  
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     明治維新とともに、それまでの価値観を全否定された武士たちがいた。
     敗戦とともに、それまでの正義を全否定された軍人たちがいた。
     原発事故とともに、それまでの信頼を失った企業戦士たちがいた。
     そして今、女性活躍推進法により、それまでの常識が全否定されていることにまだ気づけていない男たちがいる。 
     

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  • 「本を読む人」

    2017-03-22 07:00  
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     ひとりで本を読むようになったのはいくつの時だっただろう。赤ん坊の頃には読み聞かせもして貰ったと思うけれど、記憶の底に沈殿してしまっていて今となっては掘り起こすことはできない。その後3歳のときには弟が、6歳のときには妹がそれぞれ生まれていたから割と早いうちにひとりで本のページを捲り、想像の向こうに広がる無限の世界を旅する習慣がついていたのかもしれない。
     

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  • 「まんをじして」

    2017-03-20 07:00  
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     生きることは食べることだ。僕らは誰もが食べて、生きる。うれしいときも悲しいときも、死にたいくらい落ち込んだときも、最後はやっぱり食べている。すると血の巡りが良くなって、生きる力が湧いてくる。心が泣いていても、顔で笑っていれば楽しいと勘違いした脳が幸せを感じる物質をバーゲンセールみたいに放出してくれるように。すべての動物にとって食べることが生きること。すなわち生命を維持する唯一の方法だからだ。 

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  • 「地獄からの使者」

    2017-03-17 07:00  
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     久し振りの畑だった。
     秋からの五ヶ月は正直娘に掛かりきりで、ほとんど畑に手が回っていなかった。ようやく時間を見つけて夏野菜の種採りと冬野菜のちょっとした収穫、そして春の畑の準備をすることにした。
     誰もいない里山の畑はいつもながら静けさに包まれ、頭上の空をゆっくりと漂う雲が切れるぷつんという音さえ耳に届く。菜の花の上を嬉しそうに飛び回る虫たち(ファーブル的に言えば忙しいのかもしれない)。周囲を囲む山の深い緑の間には桃色の春花が顔を覗かせている。
     

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  • 「ひっかき傷」

    2017-03-15 07:00  
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     猫が爪を立てるのは、狩猟動物であるからだそうだ。共に暮らす人間から安定的に食事を貰えるようになっても、壁や襖などにひっかき傷を作り続けるのはその名残りであり、予期せぬ事態が起きた時に向けての彼らなりの日々の備えなのかもしれない。
     ならば、赤ん坊が爪を立てるのは、何の為なのだろう。
     

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  • 「3.11を知らない子供たち」

    2017-03-13 07:00  
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     ちょうど1年前の3月11日午後2時46分、僕は産婦人科にいた。妻が初めての診察を受けているとき、待合室の小さなテレビで追悼式典の中継を見ながら亡くなられた尊い命に手を合わせてから、宿ったばかりの新しい命に逢いにいった。命の連鎖というものを強く感じた瞬間でもあった。
     

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  • 「歴史と伝統のある町で」

    2017-03-10 07:00  
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     海沿いの国道を数分歩いたところにある浄楽寺という寺社に五体の仏像が鎮座している。東大寺南大門の金剛力士像を代表作とする鎌倉時代の仏師運慶の作だ。もちろん五体とも国から重要文化財に指定されている。 

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