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マクガイヤーチャンネル 第128号 【メル・ギブソンの最高傑作『アポカリプト』】
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マクガイヤーチャンネル 第128号 【メル・ギブソンの最高傑作『アポカリプト』】

2017-07-19 07:00
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    マクガイヤーチャンネル 第128号 2017/7/19
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    こんにちは。マクガイヤーです。

    前回の放送「『ハクソーリッジ』と天才変態監督メル・ギブソン」は如何だったでしょうか?

    メル・ギブソンの人生から戦争映画としての文脈まで話せて、充実した放送になったと思います。

    メル・ギブソンとは全然関係ありませんが、冒頭にて那瀬さんがプ女子話でテンションが爆上がりするさまも良かったですね。




    マクガイヤーチャンネルの今後の予定は以下のようになっております。


    ○7月29日(土)20時~

    「最近のマクガイヤー 2017年7月号」

    いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

    お題

    『ライフ』

    『仮面ライダ―アマゾンズ season2』

    『カリギュラ』

    『カーズ/クロスロード』

    『ジョン・ウィック:チャプター2』

    『パワーレンジャー』

    『SDガンダム デザインワークス』


    その他、気になった映画や漫画や時事ネタなどについてお話しする予定です。



    8月12日(土)20時~

    「しあわせの『ドラゴンクエスト』」

    7/29に『ドラゴンクエスト』シリーズ久しぶりのナンバリングタイトルにして非オンラインタイトル『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が発売されます。

    『ドラクエ』といえば「国民的ゲーム」の冠をつけられることが多いですが、『ポケモン』『妖怪ウォッチ』『マインクラフト』といったゲームを越えたコンテンツが席巻し、ゲームといえば携帯ゲームである現在、事情は変わりつつあるようです。

    そこで、これまでの歴代作品を振り返りつつ、ドラゴンクエストの魅力に迫っていきます。



    8月26日(土)20時~

    「最近のマクガイヤー 2017年8月号」

    いつも通り、最近面白かった映画や漫画について、まったりとひとり喋りでお送りします。

    詳細未定



    ○9月2日(土)20時~

    「諸星大二郎、その魅力(仮)」

    手塚治虫に「きみの絵だけは描けない」と言われ、宮崎駿に「大好きです」とリスペクトされ、エヴァやハルヒやもののけ姫や諸星あたるの元ネタにもなった唯一無二の漫画家、諸星大二郎。

    民俗学や考古学からクトゥルフ神話までを自在に扱いこなし、怪奇・SF・ファンタジー漫画の名作を何作も描いてきた諸星大二郎の魅力を、2時間たっぷりと語りつくします! 

    アシスタントとして、久しぶりに編集者のしまさんが参加してくれます。


    みんなぱらいそさいくだ!




    さて、今回のブロマガですが、前回のニコ生の補講……というか、メル・ギブソン監督の前作である『アポカリプト』について語らせて下さい。

    2017年の今だからこそはっきりしたと思うのですが、この映画、やっぱり傑作だと思うのですよ。


    ●マヤ語を喋る意味

    『アポカリプト』はマヤ文明末期を舞台としたアクション映画ですが、他のハリウッド製アクション映画と異なる点がいくつもあります。


    まず、俳優が全員無名なこと、そして全員英語ではなく古代マヤ語を喋っていることが挙げられます。

    今、日常会話でマヤ語を喋っている人はメキシコ南部から中央アメリカ北部に居住するおよそ700万人のみであり、彼らが喋っているマヤ語は幾つもの語群に分かれています。そして、ここが重要なのですが、シネコンで映画を観るような人達ではありません。

    そこで、観客は常に字幕で内容を把握することを強いられます。細かいニュアンスや表現は伝わりませんし、伝えようともしてません。

    つまり、『アポカリプト』は、台詞やナレーションに頼らず、映像で恐怖や興奮やドラマを伝えようとして作られているのです。

    アメリカでは、識字率の関係から、字幕の映画は敬遠されがちです。有名スターも出ていない映画は映画館に行くきっかけという点で不利です。にも関わらず、『アポカリプト』は公開1週目で興行収入1位を記録しました。


    ●シンプルなプロット

    更に、『アポカリプト』のプロットは極めてシンプルです。


    1、主人公が属する田舎の部族が都会の先進部族の奴隷狩りにあう。

    2、都会に引っ立てられると共に、マヤ文明末期の地獄めぐりを体験する。

    3、脱走し、追っ手と追跡アクションをしながら故郷の村に帰る。


    いわゆる「行きて還りし物語」ですが、ここまでシンプルなのは最近の映画では珍しいです(実際には、主人公の妻と子供が穴の中からどう脱出するか足掻く『火の鳥 黎明編』のようなサブプロットが描かれます)。奇しくもその後に作られた『マッドマックス 怒りのデス・ロード』もプロット・シンプルさ・セリフの少なさが共通していますし、『アポカリプト』には『マッドマックス2』『3』に出てきたような人体改造ヒャッハー・モヒカン族のような集団が敵(都会の傭兵)として大量に出てきます。イースト・ウッドがドン・シーゲルの映画に出演しつつ、師と仰ぎ、映画作りを学び受け継いだように、メルギブもジョージ・ミラーから映画作りというものを学んだのかもしれません。そして、ジョージ・ミラー自身は「監督としての才能は自分より上」とメルギブを褒めちぎっています。


    ●ゲロとレイプをきちんと描く映画は良い映画

    プロットはシンプルですが、その表現、描かれ方がまさにメルギブです。

    映画の1幕目、楽園だった主人公の村が奴隷狩りに襲われるシーンでは、きちんと男はボコボコにされ、女はレイプされます。大人がギャーギャー泣いたり、それまでイキっていたおばちゃんがあまりの事態に茫然自失となったりします。……こういうハードというかきちんとした描写、本当の痛さを感じ取れウソが無い(ように思える)残酷描写を、すっかりデオドラントされたシネコンで観るのは人生における愉しみの一つといえましょう。やっぱり、ゲロとレイプをきちんと描く映画は良い映画ですね!


    ●末期マヤ文明地獄めぐり

    奴隷となった主人公達は、奴隷狩りの本拠地である大都会まで引っ立てられてゆくのですが、道中の地獄描写が実に良いです。

    石灰を掘る奴隷が口から血を吐き、伝染病に犯された子供が呪いの予言を吐き、どこから観ても狂人としか思えない老人がしなだれかかります。


    マヤ文明のあったメキシコ南部から中央アメリカ北部にかけての地域は石灰岩でできており、雨水がすぐに浸み込んでしまうため、水を貯めることができませんでした。

    そこで使われたのが漆喰です。石灰を燃やして作った漆喰でピラミッドも町も貯水池に通じる道も塗り固めることで、大量の水を確保することができたのです。

    しかし、漆喰を作るには大量の木々を燃やす必要があります。伐採のために森は消え、土壌が流れ出し、作物が育たなくなっていったことが原因でマヤ文明は衰退していったと考えられています。

    このことを台詞やナレーションではなく、石灰まみれの白い身体にケロケロ吐かれる真っ赤な血や、いかにも汚染されてそうな灰色の土と灰色のトウモロコシ畑などで表現するのがメルギブの上手さです。


    ●大都会の世紀末

    また、遂に到着したマヤ文明の大都会の世紀末っぷりが、どこの異星でロケしてきたのかと思う位の完成度の高さです。

    有名なチェチェン・イッツア遺跡をモデルにしたと思うのですが、金持ちは皆小太りで装飾品をつけてニタニタ笑い、貧乏人や奴隷はその身を削って漆喰を壁に塗ったり生贄鑑賞でストレスを発散したりする、究極の格差社会です。

    ピラミッドの上から何か降ってきたなと思ったら生首で、しかもその下には生首の小山ができていて圧倒されます。この時、まさかの「切り落とされた生首視点」の映像が挿入されます。メルギブは暴力を奮う方ではなく、暴力を奮われる方に感情移入する、真性のマゾだなと確信する瞬間です。

    ピラミッドの上に連れて行かれ、あれよあれよという間に、自分の首もその小山の一つになるのだということを認識させられる一連のシークエンスも、緊張感に溢れていて非常に上手いです。

    更に、映画の冒頭で義理の息子を役立たず呼ばわりしていた老婆が、奴隷として役立たずと判断され解放されるも、なにしろ老婆なので何も出来ず、奴隷として引き回される義理の息子を呆然と見詰めるだけという、情感溢れる場面が付け足されます。メルギブはイイ顔した役者に、キャラクターを引き出す演出をつけ、更に伏線とオチをつけて物語の中に放り込むのが最高に上手いです(この手腕は、前半に出てきたイイ顔した兵士たちが、後半で地獄をみる『ハクソー・リッジ』に受け継がれています)。


    本当のマヤ文明における生贄の儀式というものは、嫌がる奴隷を無理矢理殺すのではなく、名誉ある死として自ら進んで生贄となることを受け容れるものでした。でも、メルギブとしては、多分、マヤの他にアステカとかオルメカとかインカ文明といった南米古代文明と混淆し、とにかく古代に存在した高度な文明がその高度さ故に行き詰まって滅亡したさまを現在と対比させたかったのでしょう。


    ●血が沸騰する追跡アクション

    で、後半の追跡アクションですが、サナギマンがとうとうイナズマンになった的な面白さがあるわけですよ。

    いわゆるガントレットと呼ばれる私刑から始まって、最初は反笑いだった追跡者が本気になる怖さがあります。

    そして、滝からのジャンプ(leap of faith)、異様な運の良さ、地の利を生かした反撃、ワン・マン・アーミーと化した主人公などなど、追跡アクションのお約束を踏まえているのですが、肉と肉がぶつかり、内蔵が飛び出し、ジャガーが頭蓋骨をゴリっとやる残酷アクションの凄まじさと、出世作であるマッドマックスばりのキレとテンポの良さ、クレーン移動やスローモーションを織り交ぜた緩急自在のカメラワーク、つまりは編集の上手さが相まって本当に面白いのです。特に、奴隷狩りチームがモロコシ畑やジャングルをかきわけてマシーンの様に冷酷かつ冷静に主人公を追いかける怖さと格好良さ、そして主人公が反撃に転じる際の興奮といったら……!


    「その者青き衣をまといて、金色の野に……」じゃなかった「ジャガーの男が泥の中から蘇っておまえらを滅ぼすであろう」という予言どおりに主人公の反撃が始まるのですが、あまりの強烈シーンの連続で、予言なんてもう忘れてます。


    ●ラストの解釈

    絶対絶命のピンチに陥った主人公は、タイミングよくやってきた修道士の船に救われます。

    ここを、「結局最後はキリスト教が主人公を救いました」と受け取るか、もしくは「たとえマヤ文明が滅んでもスペイン人がやってきて血の歴史は続いてゆく」と受け止めるかで、映画の評価は大分違ったものになるかもしれません。

    また、上記の追跡アクションは『裸のジャングル』をかなり参考にしているのですが、当然『裸のジャングル』には首を切り落とされた人間の一人称視点なんてないわけで、その意味でもメルギブの魅力とオリジナリティが光る一作です。


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    企画編集:Dr.マクガイヤー
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