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記事 24件
  • マクガイヤーチャンネル 第55号 【質問コーナー 第4回】

    2016-02-22 07:00  
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    こんにちは。マクガイヤーです。
    前回の放送「ニコ生マクガイヤーゼミ 『オデッセイ』と火星で生き延びる方法」は如何だったでしょうか?
    「文芸と科学両面からの解説が面白い」「あのシーンはそういう意味だったとは」「映画が観たくなる」……と非常に評判が良く、嬉しい限りです。ただ、ネタバレもあるので、映画を観てから番組をご覧になった方がいいかもしれませんね。
    さて、今回のブロマガですが、第3回に引き続いて皆様からお寄せ頂いた質問に答えますよ。
    なお、質問文は内容を変えない範囲で一部加工している場合があります。
    ちなみに前回までの質問コーナーはこちら。
    ・質問コーナー 第1回
    ・質問コーナー 第2回
    ・質問コーナー第3回
    13. 『マッドマックス』を見るといつも思うのですが、ガソリンが不足している世界で、なぜアメ車で暴走するのでしょうか。
    燃費が極悪な上に運転も荒く、無駄なアイドリングどころか、激しく空ぶかしまでやっています。
    あれではどんどんガソリンが減っていきます。
    私だったらプリウスに乗って、発進もソーっとアクセルを踏むと思います。
    他にも『ミスト』等、少ないガソリンで遠くまで逃げなければいけない状況でもアメ車が使われていると「そうじゃないだろ!」といつも思ってしまいます。
    その点が気になって映画に集中できません。
    なるほどと思える解答があれば教えていただきたいのですが。
  • マクガイヤーチャンネル 第53号 【遺言 その12】

    2016-02-08 07:00  
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    こんにちは。マクガイヤーです。
    『ドラゴンクエストビルダーズ』がめっちゃ気になるのですが、まだ『Fallout4』の半分も楽しめていないので、購入を迷っています。そろそろ有休をとろうかなあ……
    さて、前回のブロマガの続きです。一応、今回が最終回になります。
    世の中には、感染し易い感染症と感染し難い感染症があります。
    しかし、
    「インフルエンザウイルスには強力な感染力がある」
    「ノロウイルスにはもっと強い感染力がある」
    「エボラウイルスにはもっともっと強い感染力がある」
    ……そう言われても、個々のウイルスの感染力が他のウイルスと比べてどれくらい強いのか、どれくらい弱いのか、ぼんやりしすぎて全くわかりません。
    そこで考え出されたのが「感染最小単位」という考え方です。「何個のウイルス粒子が体内に入れば感染が成立するのか」を数値で表したものになります。
    インフルエンザウイルスの感染最小単位は1000から3000個、ノロウイルスは10から100個、エボラウイルスは1から3、4個といわれています。何事も定量性が大事だということです。
    ウイルスごとに感染し易さが異なるのは、体内の免疫に耐える強さ、胃酸に耐える強さ、腸内に100兆いるといわれる様々な常在菌の間で生き抜く強さなどが、それぞれのウイルスで異なるからです。
    ウイルス粒子の大きさは、これまた種類によって様々ですが、だいたい100ナノメートル前後と考えるのが適当でしょう。これは一列に並べれば1センチメートルに10の5乗個、すなわち10万個のウイルスが一直線上に並ぶ計算になります。1立方センチメートルの容量なら10の15乗個、すなわち1000兆個のウイルスが入ります。
    インフルエンザウイルスは空気感染することが知られています。くしゃみや咳と共に、ウイルスを含む唾液などが飛沫となって飛ばされるのです。比較的大きな飛沫はすぐ地面に落ちますが、比較的小さな飛沫――エアロゾルとよばれる微粒子の中でも直径数マイクロメートル単位のものは空気中に滞留します。
    咳やくしゃみで発生するエアロゾルの中で最も多いのは直径5マイクロメートルほどのもので、1回の咳では約10万個、1回のくしゃみでは約200万個が飛散するそうです。
  • 【再掲】遺言 その11

    2016-02-08 07:00  
    220pt
    若者が大人を殺す、
    外人が日本人を殺す、
    精神障害者が健常人を殺す
    ……そのような事件がおこると、テレビや新聞やネットで多くの報道がなされ、「治安が悪くなった」と感じる人々が増加します。
    しかし、殺人事件は戦後ずっと減少し続けています。1950年代の殺人事件検挙件数はおよそ2500~3000件でした。これは日本が経済成長すると共に減少し続けます。1990年代以降は1000~1500件の間で推移し、2009年以降は1000件以下となりました。
    しかし近年、親子、兄弟、配偶者――親族間での殺人率が緩やかに増加しています。1980年から2003年まで、殺人での検挙件数における親族率は40%程度でした。ですが、翌年から上昇し続け、2010年には50%を越えました。
    40%と50%、わずか10%にどんな違いがあるのかと思われる方もいるかもしれませんが、殺人の半分が家族間で行われているのは事実です
    ちなみに、相手が(家族を含む)知り合いかどうかを表した面識率は、ずっと80%台後半を推移しています。「誰でもいいから殺したかった」は、10%ちょっとのレアケースを象徴する言葉だからこそ世の中に衝撃を与え、「体感治安」の悪化に貢献したわけです。
  • マクガイヤーチャンネル 第52号 【遺言 その11】

    2016-02-01 07:00  
    220pt
    おはようございます。マクガイヤーです。
    久しぶりに一人でお送りした放送「最近のマクガイヤー 2016年1月号」は如何だったでしょうか?
    盛りだくさんでお送りしましたが、『ヤクザと憲法』も『山口組外伝 九州進攻作戦』も『ブリッジ・オブ・スパイ』ももの凄く面白いので、全力でお奨めしたいところです。
    さて、前々回のブロマガの続きです。
    若者が大人を殺す、
    外人が日本人を殺す、
    精神障害者が健常人を殺す
    ……そのような事件がおこると、テレビや新聞やネットで多くの報道がなされ、「治安が悪くなった」と感じる人々が増加します。
    しかし、殺人事件は戦後ずっと減少し続けています。1950年代の殺人事件検挙件数はおよそ2500~3000件でした。これは日本が経済成長すると共に減少し続けます。1990年代以降は1000~1500件の間で推移し、2009年以降は1000件以下となりました。
    しかし近年、親子、兄弟、配偶者――親族間での殺人率が緩やかに増加しています。1980年から2003年まで、殺人での検挙件数における親族率は40%程度でした。ですが、翌年から上昇し続け、2010年には50%を越えました。
    40%と50%、わずか10%にどんな違いがあるのかと思われる方もいるかもしれませんが、殺人の半分が家族間で行われているのは事実です
  • 【再掲】遺言 その10

    2016-02-01 07:00  
    220pt
    「畜生腹」って知ってるか?
    ヒトが多胎出産する確立は僅か数%にすぎない。だが、自然界では犬や猫や豚のように、一回の出産で複数の子を産む多胎動物の方が圧倒的に多い。だから双子や三つ子を生んだ女性を「畜生腹」とか「畜生孕み」とか呼んだんだ。つまり、昔の日本には双子や三つ子を妊娠した女性を蔑む風習があったんだな。
    なんで蔑んだかって? まず、多胎妊娠すると圧倒的にハラがデカくなる。栄養状態や衛生状態が悪い古代や中世では、妊娠そのものが命がけだ。それが双子や三つ子だったら、母子共に死ぬリスクも高まる。だから減数手術みたいなものが行われた時代もあった。
    もう一つは、家督争いや遺産争いが起こるからだ。とりわけ、一卵性双生児は忌むべきものとされていた。周囲に気づかれずに入れ替わる、入れ替わられる可能性があるからな。外見はそっくりなのに、ある朝突然それまで虐げられていた一派をとりたてる……なんてことがあったら困るわけだ。だから、戦国時代なんかは大名や殿様の家で双子が生まれると、片方を養子にやったり、寺籍に入れたり、はたまた殺したり……といったこともあったらしい。
    だけど、今や21世紀、平成の世の中だ。おれは、弟のお前との間に、家督争いとか遺産争いとか醜いことが起こらなくて、本当に良かったと思っているよ。
  • マクガイヤーチャンネル 第50号 【遺言 その10】

    2016-01-18 07:00  
    220pt
    おはようございます。マクガイヤーです。
    遂にブロマガも50号です!  いや、あっという間でした。このブロマガを続けてからこちら、土日は文章ばかり書いていた気がします。当初は、いつか破綻すると思っていたのですが、50回続けられればこちらのものですね!
    ここでお知らせがあります。
    前回のブロマガ「編集者にとって最も大切なスキルとは?」に若干間違いがありました。
    申し訳ありません。
    訂正版は、既にブロマガとしてアップしてありますのでご確認下さい。
    こちら → http://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar947361
    おはようございます。マクガイヤーです。
    遂にブロマガも50号です!  いや、あっという間でした。このブロマガを続けてからこちら、土日は文章ばかり書いていた気がします。当初は、いつか破綻すると思っていたのですが、50回続けられればこちらのものですね!
     
    ここでお知らせがあります。
    前回のブロマガ「編集者にとって最も大切なスキルとは?」に若干間違いがありました。
    申し訳ありません。
    訂正版は、既にブロマガとしてアップしてありますのでご確認下さい。
    こちら → http://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar947361


    さて、前々回のブロマガの続きです。

    「畜生腹」って知ってるか?
    ヒトが多胎出産する確立は僅か数%にすぎない。だが、自然界では犬や猫や豚のように、一回の出産で複数の子を産む多胎動物の方が圧倒的に多い。だから双子や三つ子を生んだ女性を「畜生腹」とか「畜生孕み」とか呼んだんだ。つまり、昔の日本には双子や三つ子を妊娠した女性を蔑む風習があったんだな。
    なんで蔑んだかって? まず、多胎妊娠すると圧倒的にハラがデカくなる。栄養状態や衛生状態が悪い古代や中世では、妊娠そのものが命がけだ。それが双子や三つ子だったら、母子共に死ぬリスクも高まる。だから減数手術みたいなものが行われた時代もあった。
    もう一つは、家督争いや遺産争いが起こるからだ。とりわけ、一卵性双生児は忌むべきものとされていた。周囲に気づかれずに入れ替わる、入れ替わられる可能性があるからな。外見はそっくりなのに、ある朝突然それまで虐げられていた一派をとりたてる……なんてことがあったら困るわけだ。だから、戦国時代なんかは大名や殿様の家で双子が生まれると、片方を養子にやったり、寺籍に入れたり、はたまた殺したり……といったこともあったらしい。
    だけど、今や21世紀、平成の世の中だ。おれは、弟のお前との間に、家督争いとか遺産争いとか醜いことが起こらなくて、本当に良かったと思っているよ。
     
    ……さて、なんの話だったか……そうそう、じじいがなんで死んだかって話だった。
     
    インフルエンザが流行すると、いかにも昭和って感じのおっさんが、したり顔でよくこんなことをいう。
    「インフルエンザは風邪の一種だから、寝ていれば治る」
    これは、半分正しくて、半分間違っている。
    ああ、お前はおれよりよく知ってるだろう。だけど、おれもそれなりに勉強したんだぜ。最後まで聞いてくれや。

    「インフルエンザは風邪の一種」その通りだ。だが、それをいうなら、溶連菌だってRSウイルスだって風邪の一種だ。寝ていれば治る、なんて一概にはいえない。溶連菌感染は、抗生物質を飲まないで放置していると、リウマチや腎炎などの後遺症が残ってしまう可能性があるし、最悪の場合、心臓弁膜症で死ぬ。RSウイルス感染は、大人ならたいていの場合は寝ていれば治るが、時に重症化する場合もある。重症化すると気管支炎や肺炎になるし、慢性気管支兼になったら、最悪の場合、酸素マスクをつけて生活することになる。
  • 【再掲】遺言 その9

    2016-01-18 07:00  
    220pt
    男が自らのコピーを残そうという本能に従い、セックスをし、射精するとします。
    しかし、射精された精子は、すぐに卵子と出会えるわけではありません。卵子は卵管の奥、卵管膨大部と呼ばれる場所にいます。膣の奥にある子宮内腔から卵管膨大部までの距離は約17センチメートルあるのです。精子の全長はおよそ50マイクロメートル、これはセンチメートルに直すと0.005になります。つまり、自分の身体の長さの約3400倍の距離を泳いでいく必要があるのです。仮に貴方の身長が1.7メートルだとしたら、約5.8キロの距離になります。 タイミングも重要です。精子の寿命は3~4日ありますが、卵子は1日で受精能が無くなる――死んでしまいます。 上手く精子と卵子が出会い、二つの細胞が融合して受精卵となったとしても、まだまだ安心できません。細胞分裂を繰り返しながら子宮に移動して、無事に着床する必要があります。 細胞分裂――卵割が正常に進むことも重要です。一つの細胞だった受精卵にくびれが生じ、二つに分割されます、更に、それぞれの細胞にくびれが生じ、計四つに分割されます……これを繰り返していくことで分化が進み、桑実胚から胞胚となり、やがては胎児になり、出産され新生児になり、成長しておっさんになるわけです。 受精卵は透明帯と呼ばれる卵子由来の糖蛋白質に覆われ、保護されていますが、物理的な刺激により破れる時があります。受精卵が二つに分割された時――二卵期の受精卵は細胞間の接着が弱いため、透明帯が破れ、無くなると、一個ずつの細胞に分かれてしまいます。 この二つの細胞は、それぞれが完全な胎児、完全な新生児、完全なおっさんになる能力を持っています。それぞれが無事に着床し、無事に出産されれば、同じ遺伝子、ほとんど同じ外見を持つ一卵性双生児として誕生することになるわけです。
  • マクガイヤーチャンネル 第48号 【遺言 その9】

    2016-01-04 07:00  
    220pt
    あけましておめでとうございます! なんやかんやで年末年始の休みもあわただしく過ごしたマクガイヤーです。 本年もよろしくお願いします! さて、前々回のブロマガの続きです。 男が自らのコピーを残そうという本能に従い、セックスをし、射精するとします。 しかし、射精された精子は、すぐに卵子と出会えるわけではありません。卵子は卵管の奥、卵管膨大部と呼ばれる場所にいます。膣の奥にある子宮内腔から卵管膨大部までの距離は約17センチメートルあるのです。精子の全長はおよそ50マイクロメートル、これはセンチメートルに直すと0.005になります。つまり、自分の身体の長さの約3400倍の距離を泳いでいく必要があるのです。仮に貴方の身長が1.7メートルだとしたら、約5.8キロの距離になります。 タイミングも重要です。精子の寿命は3~4日ありますが、卵子は1日で受精能が無くなる――死んでしまいます。 上手く精子と卵子が出会い、二つの細胞が融合して受精卵となったとしても、まだまだ安心できません。細胞分裂を繰り返しながら子宮に移動して、無事に着床する必要があります。 細胞分裂――卵割が正常に進むことも重要です。一つの細胞だった受精卵にくびれが生じ、二つに分割されます、更に、それぞれの細胞にくびれが生じ、計四つに分割されます……これを繰り返していくことで分化が進み、桑実胚から胞胚となり、やがては胎児になり、出産され新生児になり、成長しておっさんになるわけです。
  • 【再掲】遺言 その8

    2016-01-04 07:00  
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    トロフィーの起源は古代ギリシア時代のトロパイオン神にまで遡ることができます。
    古代ギリシアでは、戦争に勝つと、トロパイオン神に感謝し、敵の武具を捧げる宗教的な慣習がありました。この慣習は次第に大掛かりなものになっていきます。戦場で敵が敗走を始めた地点や、勝者側の街の広場などに、青銅や大理石製の戦勝記念碑――トロパイオンが建てられるようになりました。
    最も有名なものはオベリスクと呼ばれる花崗岩製の塔でしょう。元々オベリスクは古代エジプトで太陽神の象徴として建てられた記念碑でした。ところが紀元前525年以降、エジプトは様々な勢力に征服されます。ペルシア帝国に征服され、マケドニア王国に征服され、そして紀元前30年、ついにローマ帝国の属州――重税を課せられる植民地になりました。支配者であるローマ人は記念碑としてオベリスクを本国に持ち帰りたいと考えるようになります。巨大な専用運搬船が建造され、何十本ものオベリスクがローマに持ち込まれました。
  • マクガイヤーチャンネル 第46号 【遺言 その8】

    2015-12-21 07:00  
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    さて、前回のブロマガの続きです。

    トロフィーの起源は古代ギリシア時代のトロパイオン神にまで遡ることができます。
    古代ギリシアでは、戦争に勝つと、トロパイオン神に感謝し、敵の武具を捧げる宗教的な慣習がありました。この慣習は次第に大掛かりなものになっていきます。戦場で敵が敗走を始めた地点や、勝者側の街の広場などに、青銅や大理石製の戦勝記念碑――トロパイオンが建てられるようになりました。
    最も有名なものはオベリスクと呼ばれる花崗岩製の塔でしょう。元々オベリスクは古代エジプトで太陽神の象徴として建てられた記念碑でした。ところが紀元前525年以降、エジプトは様々な勢力に征服されます。ペルシア帝国に征服され、マケドニア王国に征服され、そして紀元前30年、ついにローマ帝国の属州――重税を課せられる植民地になりました。支配者であるローマ人は記念碑としてオベリスクを本国に持ち帰りたいと考えるようになります。巨大な専用運搬船が建造され、何十本ものオベリスクがローマに持ち込まれました。