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獄中十八年 徳田球一編 ニ.親孝行でとうる
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獄中十八年 徳田球一編 ニ.親孝行でとうる

2016-11-14 12:00
     わたしは子供のとき非常に親孝行だつた。今でも村では親孝行とうわさしているという。親孝行は特に母と、父方の祖母にむかつて集中し、母方の祖母には前に述べたようにむしろにくしみをもつていた。
     私の母は父と結婚したことによつて母方の祖母と對(対)立する立場にあつた。というのは、この父が非常に酒のみで、金をためるということを知らず、人にたのまれるとなんでもくれてしもう性質で、祖母の氣にいらなかつたからである。そんなことでいつも貧乏つづきであつたため、祖母はたいへん母をきらつていた。そして何度もわたしの父母を離婚させようとしたらしいが、けつきよく實(実)現しなかつた。そんなわけでわたしとしては祖母をにくむ氣もちが母への愛をよけいに深める結果となつていつた。わたしの鄕里は道がわるく川には橋もなく、あるいてわたらなければならないようなところもあるが、わたしはいつも母をせおつてそういうところをあるいた。母親をせおうことなどは普通の人のやらぬことなので、私はたいそうな孝行者だといわれたが、じつさいにも母にたいする愛情は深かつた。
     
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