エロゲメーカー【チュアブルソフト】代表のイシダです。
今回はエロゲー制作に必要となる職種について簡単にご説明してみようと思います。
その上で「その職種で働けるようになるにはどうすればいいの?」について私が分かる
範囲で少しずつご説明するといいのかな。
第4回:エロゲーができるまでではこの画像を資料として掲載しましたが、これは
かなり簡略化されてました。クリックすると新窓で大きく開きます。
◆プロデューサー
エロゲーの生産責任者です。「どんなエロゲーを作って、ユーザーさんにどんな
ご満足を提供するのか。その為の予算はいくらで、売上目標は何本なのか」について
担当します。
「このエロゲーをプレイするとこんないいことがあるYO!」と対外的に伝えていく
という点については広報と密接に関係しますね。
また、「こういうご満足を提供する作品にしようYO!」と制作陣に伝えていくという
点についてはディレクターと密接に関係します。
最後に、予算と売上という点については経営者と密接に関係します。
胃が痛くなりそうだね!
◆ディレクター
エロゲーの制作責任者です。プロデューサーと二人三脚で意見交換をしつつ、
ゲームの内面をどう仕上げていくのかについて取り仕切ります。
制作に関わる全部署に対して指示出しと進行管理を行い、クオリティチェックをし、
上がってきた全ての素材を組み上げて一つのゲームに仕上げるのが仕事です。
もちろん、外部の方にお仕事を頼む場合にはその窓口も担当しますし、クオリティ
アップの為にもっと予算を突っ込みたい!と思ったらプロデューサとギリギリの
調整をしたりもします。胃が痛くなりそうだね!
◆原画
その作品の「顔」となるキャラクターを描きます。
どんな世界のどんな物語なのか、そのキャラクターの性格や物語の中での立ち位置は
どうなのか。そして何よりぱっと見でエロかわいく!
何パターンもラフを出して、表情・髪型・ポーズ・服装も検討に検討を重ねます。
なので、1人のヒロインが完成するまでにはめっちゃ時間がかかります。
基本デザインが出来たら、ゲーム内に登場する立ち絵・イベントCGはもちろん、
パッケージ絵や雑誌社さん向けの描きおろし、店舗さんの特典絵、更にはグッズ絵
などなど、休む間もなく描き続けなければいけません。
原画家さんっていうのは、質を保ちつつも〆切を守って体を壊さずに絵を描き続ける
ことができる人なのですね。もし遅れが生じてしまうと、全ての部署に影響が…。
胃が痛く(略
◆シナリオ
ユーザーさんに楽しんで頂ける「楽しくえっちぃストーリー」を執筆します。
プロデューサーやディレクターが目指している作品はどんなものなのか、すれ違いが
無いように綿密に打合せをしてから物語に肉付けがされていきます。
まずはおおまかに「こんなお話」という叩き台を作成し、その上で「プロット」→
「下書き」→「清書」→「更にブラッシュアップ」と進みます。
「プロット」ぐらいの時点で「どんなシーンでどんなイベントCGが入るか」が
決まってきますから、「このシーンにはあの原画家さんのあんな絵が入るはず!
ウヒョー!」と発奮しつつ執筆するシナリオライターさんもいるとかいないとか…。
なお、「清書」まで完成してこないと声優さん向けの台本が作れませんから、
シナリオの遅延は声優さんへのご迷惑にも直結します。また、シナリオが完成しないと
スクリプト作業を始められないので、演出にも影響しちゃいます。
胃が(略
◆グラフィック
原画家さんが仕上げてくれた線画に彩色していきます。
線画の魅力を活かしつつ、パッと見でユーザーさんに「エロ可愛い!予約しよう!」
と思って頂ける塗りをするのが仕事です。
大体各メーカーにはグラフィックチーフが居て、作品の塗りクオリティを取り仕切る
ことになります。色を塗るのは1人ではなく、社内のグラフィッカーはもちろん
たくさんの外注グラフィッカーさんに塗ってもらうことも多いので、それらをまとめて
共通のクオリティに持っていくのが大事です。
自分でも塗りつつ管理職的な役割もこなさなきゃいけないので、胃が(略
◆背景制作
物語の舞台となるのはどんな場所なのか、ゲームをプレイしているといつも目に入って
来ますよね。その世界にユーザーさんが素直に入り込めるような背景絵を制作するのが
お仕事です。
日常を過ごす街や教室、ドキドキしながら入るヒロインの部屋、重大な転機が訪れる
特別な場所などなど、プレイ後にその背景を見るだけで物語が思い出せるくらいのものに
なるといいなと思っています。
ちなみに、チュアブルソフトの場合は一部の背景を3Dで設計してあるので、
イベントシーンなんかで急にアングルが変わっても違和感なく対応できたりするのだ。
◆デザイン
一口にデザインといってもいろいろありますが、エロゲー制作においてはおおまかに
2種類のデザインがあるかなと思います。
一つは「ゲーム関係デザイン」。タイトルロゴやムービー内フォントはもちろん、
テキストウィンドウや各種ボタンの配置、コンフィグ画面の色使い、ミスをしにくい
セーブ&ロード画面などなど。
もうひとつは「印刷物・グッズデザイン」。ポスターやチラシに加えて、店舗様用の
でっかい印刷物、ゲームの箱や同梱マニュアルなどのデザイン、そしてコミケなどに合わせてご用意する各種グッズのデザインですね。
先日見かけた木緒なちさんのツイートが参考になりますでしょうか。
あ、サイトデザインの話はどうしようかな。これはこれで全く別スキルになってくるし
今回は置いておこう。
・
・
・
とここまで書いたところで既に随分長くなっちゃいましたね。
以下の職種については次回以降でお話することにしてみます。
◆作詞
◆作曲
◆BGM
◆効果音
◆ボイス
◆収録
◆音声編集
◆ムービー
◆プログラム
◆スクリプト
◆営業・広報・経理・法務・総務などなど
ちなみに企画は誰が出すのかというと、チュアブルソフトの場合はちょっと
変わってるのかもしれません。「こんなゲームを作りたい!」って思ったら自分で
簡単な企画書を作って提案するのです。
「なるほど、これならユーザーさんにご満足を提供できそうだし、売れるよ!」
と判断されればGOです。ただし、言い出しっぺがその企画を引っ張る責任者となる
必要があります。
「みんなで決めた企画だからみんなでやろう」じゃダメというのがチュアブルソフトの
特徴ですね。「自分が出した企画なんだから自分が絶対いいエロゲーにする!」って
人が必要だと考えているのです。
なお、私が出した企画案が通ったことは一度もない…というのが今までのお決まりの
ネタだったのですが、今年に入ってからついに一つ通りそうだよ!やったね!
じゃあ、今回は以上です。
コメント
コメントを書くこの記事を読んで、僕も胃が痛くなりました。
太田漢方胃腸薬を飲みました!
どれか1つでも停滞が生じちゃうと全体の進行に影響しちゃう
大変なお仕事なのですね...
しかもかなり刻んでますよね。
一般の企業と違うのは補佐する人はいても、替えの人がいない!
ってことでしょうか?
(まあ、大体のお仕事も技術が上がると替えの人なんていないけども)
みんながみんなプロのクリエイターなんですねぇ...
イシダ社長、経営日誌の更新作業お疲れ様です。
また、ラブらブライドマスターアップもお疲れ様でした。
ディレクターに関しては
『全ての職種に対して知識を持ち少なからず経験を積んでいる必要がある』
と私は思います。
知識がなければ指示出しも進行管理も明確に出来ず
クオリティアップなど以ての外。
まとめ役が接着剤足り得る要素を持ち合わせていないのでは
話になりません。
“なるには”ではなく“行なっていくには”の解説の方が建設的かもです。
なるだけなら誰でもなれますもの 製作業界はピンキリですし
イシダ社長、こんにちは!
4月なのになかなか温かくならないですねぇ~。
>日常を過ごす街や教室、ドキドキしながら入るヒロインの部屋、
>重大な転機が訪れる特別な場所などなど、
>プレイ後にその背景を見るだけで物語が思い出せるくらいのものに
>なるといいなと思っています。
最近のチュアブルさんの作品をプレイしていないので分からないのですが、
ゲームクリア後のおまけ解放で、
CG鑑賞やシーン回想、音楽室、ムービー再生に加えて、
背景閲覧室(背景の場所と簡単なコメント入り)もあると
いいなぁ~と思いました。
すでに実装されていたらごめんなさい。