赤潮だからといって、夜に光るとも、海が汚いとも限らない話
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赤潮だからといって、夜に光るとも、海が汚いとも限らない話

2017-07-12 14:33
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夜光虫を見に行こうとして空振りする

7月8日頃より、東京湾内の千葉県側の広い範囲で、赤潮が発生しているようです。湾岸はマンションが多く立っていることもあり、異臭の問い合わせとか苦情が多いのだとか。5月には鎌倉など湘南の広い範囲で夜光虫の赤潮が報じられ、夜には幻想的に青く光る様子が話題に登りました。その影響もあり、今回の千葉のニュースが報じられてから、わざわざ夜に異臭のする海に夜光虫を見に行く人がたくさんいらっしゃるようです。ニュースの後には「これ夜光るんだよ!見に行こう」みたいなツイートだったのが、夜には「ただの暗い臭い海だった」という感じでした。さて、これはどういうことなんでしょうか。

赤潮ってなんだ?

そもそも赤潮とは何かという話をすると、ある種のプランクトンが異常に増殖したり、集積されて密度が極端に上がることです。結果として、海の色に変化がでることが多く、赤潮という呼び名になっています。実害としては、異臭がしたり、酸素濃度の低下や増殖した生物の持つ毒性によって、養殖魚が死んだり、海苔などの海藻類の健康被害が出たりします。被害に関しては小中学校でざっくり習ったと思います。

この赤潮なのですが、前述の通り、プランクトンの種類は1種類ではありません。かなり種類があり、複数の組み合わせで増殖したりします。鎌倉のときは春ということもあり、水温が上がり始め日照が増える頃に増殖しやすい夜光虫が大量発生していました。水温や日照など、季節や各種条件によってどの赤潮かというのは違うのです。今回の赤潮は、夜光虫ではなかったようです。このように、一般的な赤潮のイメージと、実際の赤潮はけっこうズレています。

赤潮のイメージと実際の大きな差

まずは、赤潮は赤いとは限らないというのが、一番イメージと違うところですね。プランクトンの種類や密度により、赤だったり深緑だったり茶色だったりと、色の種類は様々です。葉緑素が緑か赤かなどの成分の違いや、発生させる物質による海水への影響によって、色にはバリエーションがあります。一部は白潮とか緑潮という呼び方もあります。

他にも、春の鎌倉の赤潮のニュースへのツイートで目立っていたのが「湘南の海って汚いんだ」「魚が死んじゃうという」というものです。実は夜光虫の赤潮は海洋汚染との関連性があまり言われないもので、毒性を示す魚がほとんどいないのでよっぽどでないと魚も死にません(イカなど一部は被害がある)。一般的には無害な赤潮という扱いです。体内に毒素を持つプランクトンが増殖した場合には広範囲に被害が出ますし、海苔などと同じ栄養素を好むプランクトンだと取り合いになって生育不良になったりで、結局のところ影響はその種類によるということです。

今回の赤潮のプランクトンが何か詳しくはわかりませんが(7月初旬からプロロケントラム ミカンスが優勢とはなっています)、千葉の海が排水等によって常に周辺よりも汚いとは限りません。今回の赤潮は、大雨の後で晴れの日が続いたことと、北東の低気圧と南の高気圧により南西から北東方向の風が吹き続けたことにより、本来拡散されるはずの河川からの水が東京湾内に留まったり、日光の当たる表層の海水が北東の千葉周辺に吹き溜まったことが要因かと思われます。

白地図を元に筆者作成。
だいたいこんな感じ。

このような形で、風や天気の影響によって海水の環境はかなり左右されますので、赤潮が発生した海が慢性的に汚いとは限りません。かつ、臭いに関しても大量発生したプランクトンの死骸が分解されてアンモニア臭が発生したというようなことが多いので、臭い=汚いから赤潮ではなく、赤潮になったから臭くなったという方が正しいです。一時的に富栄養化してはいますが、ピンポイントいつもそこが汚いという意味ではないので、稲毛海岸に罪はありません。

ちなみに工業排水や生活排水がほとんどなかったであろう平安時代、続日本記に真っ赤な赤潮が数日続くのを目撃したという記述があります。生活排水に寄る栄養塩の供給は赤潮を発生される一助になりますが、結局はもっと複雑な条件が絡むということです。

それでも夜光虫で海が青く光るのが見たーい!

そういった方もいらっしゃると思います。この場合、まずは情報収集ですね。夜光虫がめちゃくちゃ光るレベルに密度が上がった場合、今回のような紅茶みたいな色ではなく、もうちょっとビビッドなトマトジュースみたいな色になります。ピンクとかオレンジ色の場合は、また別のプランクトンの可能性が大です。アップされている写真に過度な加工が行われていなければ、大まかにハズレはわかります。

次に赤潮情報サイトから検索する方法です。○○湾とか○○湾、○○県にプラスして赤潮とかで検索すれば、水産なんたらセンターとか研究所とかそういうところが発表する赤潮情報が見れると思います。そこで、ノクチルカ・シンチランス(夜光虫のこと)の密度が2000cells/mlとかになっていれば、変色の可能性大です。これが10とかの場合は、今後増える可能性はありますが、現状はほとんど分からないと思われます。

赤潮が拡大するかは前項で述べたような天気予報などから予測することが出来ます。風向きが陸側に吹いていること、潮の流れが湾のような吹き溜まりに引っかかりそうな向きになっていることなどで、集まりやすいところもわかります。さらには、晴天が続くとプランクトンの増殖に寄与しますので、しばらく晴天というのが鉄板です。情報サイトで密度が低い状態の夜光虫が発生していた場合、このまま晴天が続いて風向きや潮の流れから吹き溜まりそうだなと予想できれば、見に行く予定を立ててみると良いかもしれません。

僕は5月の湘南周辺の夜光虫を狙って、車に透明のイカダを載せて撮影待機していたのですが、発生が予想より遅くてGWの最後になってしまったため、タイミングがズレて遭遇できませんでした。ちなみに、瀬戸内海や気象条件から赤潮が発生しやすいこともあり、本来少ない夏場でも夜光虫の赤潮が溜まっている湾がときどきあります。釣り人のSNSをチェックしていると「今日は夜光虫でお手上げ」って書いてあったりするのでよくわかりますよ!

こちらからは以上です。
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一概には言えませんが、ある意味赤潮が出来るのは、それだけ栄養が豊富な海なのだ、とも言うことも出来ると思います。
1週間前
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赤潮臭すぎて吐きそうになるからやめてほしい
6日前
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>>1
そうなんですよね。瀬戸内海では、排水を厳しく規制して以来(例を挙げれば細胞の核酸の材料になる洗剤のリン酸塩とか)、養殖の海苔やワカメが大幅に減っているようです。
きれいな海を目指した結果、生物にとって貧しい海になっているってことですね。排水だけじゃなく護岸工事による土砂の流入減少とか複合的な要因の一つでしょうが、とりあえず栄養塩濃度は激減したそうです。
南の澄んだ海も、たいていは近くに陸地が少なくて、栄養塩が流入しないっていう理由で綺麗ですからねぇ。難しいところです。

>>2
生物が大量発生して大量死すると、アンモニア臭が発生したりするので、どうしても臭くなるんですよね。生き物が生きる上で仕方ない。これは帰りの満員電車が臭いのと一緒なんで。
6日前
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結局人間に益も害もあんまないから不思議だなー程度に考えるわ
6日前
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「白河の 清きに魚の 住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき」って狂歌もあるように清いか汚れてるかどっちかに特化させるとそうなるんですかね?「遣り過ぎダメ」ってことですかね?
6日前
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>>4
養殖の水産業者は飯の種の問題ですし、湾岸住民は生活環境を左右しますし、海で遊ぶ人は綺麗に越したこと無いでしょうけど、確かに普通に暮らしてると何にも気にする場面ないですよね。自分も撮影やってなかったら赤潮情報なんて見なかったと思います。

>>5
たとえば清流の象徴みたいに扱われているホタルも、実際の水源みたいなところはあまりいませんね。苔が生えるくらいに流れが緩くてごく僅かに濁るくらいじゃないと、餌となる生物が増えないので暮らせないそうです。
赤潮は餌MAX状態とも言えるので、ある意味豊かなんですよねぇ(今度は溶融した酸素が貧しくなったりして魚が全滅したりしますが)。
結局は富栄養化の度合いに応じた生き物がそれぞれにいるので、安定して元々の度合いをキープすることが本来の姿をキープすることであって、完全な規制を行うと逆方向で元の状態から離れることもあるってことですね。ただ、海が元より澄みすぎて良くないから人工的に富栄養化しようとすると、「人が汚すなんて」っていうイメージで批判されるので、今のところコンセンサスが取れないみたいです。
この心理は原発事故のときの、西日本の土壌に元々含まれる多量の放射性物質は受け入れるのに、原発由来のわずかな放射性物質は許せない感情と近いかもしれません。
6日前
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