• 【講座】同人小説の作り方 【第四回:Wordで入稿データ作成】

    2018-01-28 23:522
    第四回
    Wordで入稿データ作成

    どうもお久しぶりです。今回でこの講座も第四回になりました。いつの魔にか年明けてて、今年で同人歴十年になってたり、色々悲しいことも嬉しいこともあったりで怒涛の毎日です。

    さて、今回はWordで入稿原稿を作る方法です。

    個人的には、本気で小説同人やりたいならAdobe InDesign今すぐ導入しろ! っていっちゃうんですが(段階的に一太郎とか、その他単体フォントちまちま導入する手間と時間考えるとすっ飛ばしたほうが、コストもその後の成長も半端ないので)、学生とかお金ないから、できる道具で限界までって感じで当時のノウハウを交えながらやっていきます(でも十年前よりもDTP環境激安だよ! Adobeのソフトにに5-10万円かからないし、フォントも学割聞くし、今から文章系同人やる学生は恵まれてるんだよ!)。十年前の知識だから改善されているところもあるけれど、変わらないところも多いので、自分のできる範囲でやっていきます。若干Dirty Hackなやり方も出てきますがご容赦を。

    自分はとある入稿トラブル(後述)でWord原稿づくり辞めたんですが、そこを外せばちゃんと入稿原稿作れますんでやっていきましょう。

    え、Wordで入稿のための原稿なんてできるの? って方もいると思いますが、
    結論:できます。
    PDFにして、フォントちゃんと埋め込んで印刷所にもってけば理論上可能。(ただしAdobe純正データではないので、時々エラーを吐くのでそのリスクに負けない強靭な心が必要)

    上の画像は、2010年に作った当時の原稿(途中のもの)。自分が最後に作ったWord原稿です。版面観るだけで、行間ギチギチ余白狭すぎって感じで恥ずかしいんですが、Wordでよくここまで作ったなって気持ちも(相当無茶したな俺……)。この時点で、デザインのフォーマットというか基本スタンスは変わっていないってのもすごい。

    この原稿は最終的にこうなりました。


    本文はこんな感じです。当時は時間だけはあったからこんな無茶ができたんだと思います。表紙以外、原稿全部Wordで組んだんだぜ、無茶だよ無茶! でもな入稿するときフォントが埋め込まれてなくて危うく頓挫しかけたんだ。フォントの知識もPDFの知識もなくてな。



    という事でそんな過去の失敗から、後進を救うためにもちょっとだけ肌を脱ぎます。もっと話を聞きたきゃ、自己責任でイベントで顔見知りになるか、Twitterとかネット上で交流を持つかしてください。ここでのコメでもこたえられる範囲なら答えるよ!

    ■Wordで本を作るポイント

    基本的には、作りたい本の等倍サイズで用紙設定して。余白を縦横上下1センチ以上取ってください。あとはレイアウト調整で。ギチギチorスカスカにならないように行間と字間を整えましょう。

    というかWordで原稿を作る場合一番の問題はルビ降ったときに行間が広がってしまうことくらいで、それ以外は割とどうにでもなってしまう問題だと思います。なので今回の講座では重要だと思う三点に絞って説明します。

    1. ルビで行間が広がってしまう対処法。
    2. P(プロポーショナル)フォントは縦組みには使わない。
    3. PDF書き出しの注意点
    同人小説だろうが何だろうが、これだけ覚えときゃ何とかなります。

    1.ルビで行間が広がってしまう対処法。

    Wordでマジな文章を作る方がぶち当たるのがこの問題。気持ち悪いですね。行間広げるつもりないのに広がってしまうというこの状態。


    本文全てを選択します


    〔段落〕→〔インデントと行間幅〕で行間を固定値にしましょう。行間は本文フォントのポイント+50-80%くらいにしておくとルビも入ります。


    そうすればこの通り。行間が一定になります。ルビは半分消えているような表示になっていますがちゃんと印刷には反映されるので問題ありません。


    若干ルビの位置が右に寄りすぎると感じる人は、ルビのかかっている文字を数ポイント縮小してください。


    そうするとオフセット値が数ポイント出てくるので、それをゼロにして、



    縮小した文字を拡大すれば。ちょっとだけ左に寄ります。縮小値の際のルビの位置にして文字だけ大きくするという邪道な行為ではありますが、Wordがもともと日本語には向いていないワープロソフトなので、仕方のない感じです。

    とりあえず、これだけできれば、同人文字下記の鬱陶しい問題の半分以上は解決するかと思われます。

    2. P(プロポーショナル)フォントは縦組みには使わない。

    下の画像を比較してみましょう。違いが判るでしょうか?

    MS P 明朝で組んだもの。

    MS 明朝で組んだものとMS P 明朝で組んだものだと時間が詰まったように感じると思います。それはプロポーショナルフォントによるものです。




    (リコーのサイトより引用)

    欧文の場合、等幅で組むと文字の隙間が空きすぎてしまいます。そのため、字間調整が必要になってくるわけです。それを和文にも応用したのがMS P 明朝などの和文プロポーショナルフォントです。本来にほんごは正方形に作られ正方形に組むようにできているので、プロポーショナルで組むと縦組みは寸詰まりのようになってしまいます(横組みの場合はさほど問題になることはない)。なので、どんなにページ数文字数が逼迫しても使わないようにしましょう。事故の元です。

    縦組みはマス目に組むようにすることを意識しておくと、そこまで大きな問題にはなりません。

    あと文字で問題になるようなとこだと半角数字を盾に組み込みたいときは〔横中横〕使えってくらいですかね?

    3. PDF書き出しの注意点

    まず、PDFというものは印刷用のデータを、どのデバイスを遣おうがレイアウトを崩さずに持ち運びができるようにAdobeが作ったフォーマットです。覚えておきましょう。

    そのために、PDFにしたデータは改変ができませんし、データの中にフォントファイルを埋め込んだり、画像を埋め込んだりしてイメージした通りの印刷データを作ることが出来るわけです。

    Wordでも2003以降から、PDF書き出しが標準装備でついています。
    ただし、気を付けないと入稿に向かないデータになって、印刷所から電話が来ることになります。



    WordファイルをPDFにするのは簡単〔名前を付けて保存〕→〔ファイルの種類〕→PDF
    それで一丁上がり。それだけ? それだけです。ただし注意しないといけないのは、かきあがったPDFにフォントが埋め込まれているか。


    確認は簡単にできます。
    Adobe Readerで書き出したフォントファイルを開く〔右クリック〕→〔文書のプロパティ〕→〔フォント〕を選ぶと……

    このように、埋め込まれているフォントが確認できます。
    フォントフォーマットにはWindowsの場合True TypeとOpen Typeがあります。MacにはPostscriptというフォーマットも(詳細はググって)

    WordでPDF化する際注意してほしいのはフォントフォーマットがOpen Typeのもの。Open Typeは異体字や色々なものを包括したフォントフォーマットなのですが、Wordファイルで書き出すと埋め込めません。自分の持っているリュウミンなんかはOpen Typeなのですが全然ダメでした。


    実際に書き出したファイルのプロパティでもこのような状態。Open Typeフォントは全く出てこない状態です。なのでフォント選びをする際Wordユーザーはここでトラブルになります。


    InDesignで作ったファイルだとこのような感じで埋め込まれているのがわかると思います。InDesignとかだと両方埋め込めるし、文字数の関係上同じフォントでもTrue TypeとOpen Typeだったら収録文字数の関係で後者を選びますし、InDesignに少しでも移行する気があればTrue Typeでそろえちゃうとお金の無駄になっちゃうので、本気であればあるほど私はInDesignの導入をお勧めします。

    同人始めたばかりの小説書きのみなさんは、Wordだよりだと思います。じゃじゃ馬ですが、使いこなせれば色々できますので、頑張ってみてください。次回はInDesign編に入ります。自分もそこまで使いこなせているわけではないのですが、お楽しみに!


    宣 伝

    自分も参加予定なのですが、アンソロジーの主宰が参加者を募集しておりここで宣伝させていただきます。もしよろしかったらご参加ください。

    特殊な磁場を発生させ、電気製品をダメにしてしまう『赤い風』と呼ばれる風が吹き始めた世界で緩やかに崩壊していく文明とその中で生きていく人々たちを描くスチームパンクちっくな近未来をベースにした小説ベースのアンソロジーです。

    画、イラストも募集しています。 現在3枠空いております。少しでも興味があればお声がけください、質問等も受け付けています。詳しくは以下
    2018年2月10日募集締め切りです。


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  • 【講座】同人小説の作り方【第三回: 文字だけでも雰囲気は作ることが出来る】

    2017-10-21 22:412
    第三回
    文字だけでも雰囲気は作ることができる

    お久しぶりです。前回の講座からかなり時間が空いてしまい、楽しみにしてくれた方には申し訳ありません。それでは三回目です。

    今回は書体についてです。最近は絶対フォント感なんかという言葉が出てくるくらいフォントが身近になってうれしい限り。自分が学生の頃はあまりそういう話とか、同人界隈でもあまり出てこなかったように思います(女性向けはわかりませんが……)。でも最近は文章系同人でも、書体や、文字組、装丁の認識が以前より上がっているのは確かです。

    アメリカなんかでは、ブックページ・インテリアなんて言葉があるくらいページデザインが発展している感じで本文をデザインするインテリア・デザイナーなんてのもいて羨ましい。ここでも、機会があれば一度ページデザインの講座をやってみたいと思います。

    では本題へ。まず文字物の同人誌を作る場合三つの書体を用意してください。
    1. 見出し用の太いフォント
    2. 本文用のフォント
    3. 欧文フォント
    これだけあれば十分です。見出しと本文は同じフォントファミリーを使うか、まったくデザインの似ていない別書体を使うかどっちかにしてください。

    ■書体を選ぶことについて
    書体は思っている以上に可読性を左右します。そして、意外と意識されないのが書体から醸し出される雰囲気なんです。まずは下の画像を見てください(クリックで大きくなります)。
    同じテキストで種類は違えど明朝体。ポイントも行間おんなじですが、文字から来る印象はかなり違うと思います。片方はオールドスタイル、片方はモダンな明朝体。人によって個人差、好みはあると思いますが読みやすさも違いがあると思います。

    どちらかというと画像の左側の方が読みやすいと感じられると思います。左側は縦組みに向いたすらりと細長い書体、かな文字が筆っぽさもあって柔らかく繊細な印象を受けます。

    右は横組みに向いた扁平な書体です。右側の書体はフトコロ(空間)が広く取られているせいで人によっては圧迫感やインパクトが強く感じるでしょう。実際行間を広く取らないと読みづらいです。

    これだけ見てもわかるように、文字選びは慎重に選ばないと印象が大きく変わってしまいます。一般書籍ではリュウミンが多く使われています。それ以外にも小説を書きたいという人はまずはオールドスタイルの明朝体を中心に探していくといいのではないでしょうか?

    ホラーなら擦れや墨溜りのあるクラシックな書体、恋愛小説ならウェイトの細い書体、派手なアクションがあるなら、カクカクした感じの書体みたいに、その物語がどういう雰囲気なのか、どう読んでほしいのかを考えると自然としっくりくると思います。

    それでもダメなら書体見本。自分で世の中にはどんな書体があってどうやったら手に入るのかを調べるのも大切です。

    ■行間には気を付けろ
    同人小説をいろいろと買っていると、時々見かけるんですがフォントサイズを7,8ポイントくらいにしちゃって。行間もギリギリでページにギチギチに詰めちゃう人。読みづらいです。いくら情熱を詰め込んでも、印刷費がもったいないからって、これじゃあ読めたもんじゃない。中には行間がほぼゼロみたいなのがあって、いくらルビ降らなくてもこれは無いだろってのも時々あったりします。

    商業の文庫本でも今は8.5-9.5ポイントくらいの間になっています。そして何よりも、可読性を左右するのは行間だったりします。まして版型が大きくなれば商業ならB6や四六判でも9ポイントぐらい、A5くらいなら10-12でも問題ないくらいです。

    一般的に読みやすいと言われる行間は50-75%の間と言われています。テキストの内容にもよりますが、複雑で難しめのものは広めに行間を取ると理解しやすくなり、逆に読みやすくライトなものほど、行間を狭めたほうが引き締まった印象になるんじゃないでしょうか。

    サンプルとして自分で行間を調整した画像を作りましたが、みなさんはどれがお好みでしょう。一応最低限読めるようには調整しましたけども意外と行間って、読みやすさに差が出るのに気にされないところなんですけどね。

    文庫本は行間50%ぐらいが多いので、画像の真ん中の文字組が読みやすい人も多いと思います。自分なんかは最近文庫本をよむと疲れてきてしまうので、行間は広めの方が好みです(広すぎるとマヌケですけど)。

    行間は狭くても読みやすそうに見えるのですが、どんなに健康な人間でも、読んでいるうちに疲労が起こりますから、気持ち広めに作った方が後々疲れないです。

    ■見出しと本文
    最初に三つの書体を用意しろと言いました。それは、使用用途がそれぞれに違うからです。

    • 見出しは目を引き付ける為、太い書体。
    • 本文は長く読んでも疲れない細めな書体。
    • 欧文書体は、アルファベットを綺麗に見せるため。

    以上の目的で三つが必要になってきます。それ以上になると、版面がうるさくなるのであくまでも三つに絞りましょう(特殊な場面を描きたい場合はこの通りでなくてもよい)。もしちょっとしたアクセントが欲しいならあと一書体足してもいいと思います。

    また、文章内での連続性を重視するなら、見出しと本文のフォントを同じにしてもかまいませんが、画面や、場面のメリハリをつけるなら、違いをくっきりさせた方がいいと考えます。

    見出しと本文の例を画像にしたので、確認してみてください。書いてある例文はそのまま説明になっております。

    それと、見出し3.はダメな例なので、意図してあえて外したデザインをする場合以外はやらない方が賢明です。
    それ以外にも見出しの扱い方はブックデザインを大きく左右しますから。テキスト主体なのか、デザイン主体なのかで、ちょっと変わってきます。今回はテキスト主体として考えていますので、見出し1. 見出し2.のように考えていただければいいかなと思います。

    ■欧文書体と和文書体
    デザイン性の高い同人誌作っているなと思う人でも、やってしまうのが和文付属の欧文書体を使ってしまう事。何が悪いのかわからない? 制作者の意図が違うんですよ。あくまでも和文付属の書体は和文と合わせるためであって、欧文書体の文字デザインルールから外れていることが多いんですよ。詳しくは下の画像をご覧ください。

    欧文書体については以下の本を参考にするといいですよ、基礎知識をつけるならマジおすすめ。



    文字を選ぶだけで、グッとデザインは引き締まります。同人なんだし自己満足でいいじゃないですか。できる範囲の知識、予算、ツールで最大限のものを出力する。たとえ、粗削りでもつたなくても自分で満足できればいいじゃないですか。

    人を楽しませることも大切だけど、自分の気持ちを盛り上げないと、人に楽しさを伝える前に情熱が醒めていってしまいます。自分のやりたいことを忘れない事。これが創作の第一歩。

    次回はまたいつになるかわかりませんけど、入稿用のデータ原稿の作り方をやりたいですね。それではまた次回。

  • 【講座】同人小説の作り方【第二回】

    2017-05-06 23:04
    第二回
    何を守って、何を崩すか

    この講座も、どうにか第二回目です。

    同人誌を作るにあたって大切なのはまず『どんな本を作るか』ってことです。特に小説本は文字だけしかありません。一ページの文字組や余白などのページデザイン(版面:はんづら)や表紙を作るなどちょっと、今までは文章だけあればどうにかなったのも、ここではさらに別のスキルが必要になってきます。自分の描いた文章を本の形で表現したいという欲望がなく文章を書ければ十分なら、公募に出した方がいいかもしれません。

    以前に比べたらかなり減ってはいるのですが、まだ世の中の同人小説の半数(もしくはそれ以上)はワープロソフトで単純に文字だけ流し込んだだけのものを本にしたものが多いです。ノンブル(ページ番号)を振る、文字も小さめ、行間もギチギチ。自分なんかは勿体ないなと思ってしまいます。

    そうなる理由は学生や、非正規でお金がなく、印刷費を浮かせたいとか、ジャンルによってはギチギチに文字を詰めないとボッタクリに思われるだの、DTPソフトを持っていないとか装丁やデザイン、版面にこだわっていないなど、色々あるのですが、自分から言わせてもらえば、たとえDTPソフトがなくても、ワープロソフトでもきれいで読みやすい原稿は作れるよ? と思うわけです。

    昔に比べて、印刷費も、DTP環境も良くなっているんだから読みやすい――誰かに読んでもらうための――原稿をつくるべきじゃないかなと思うわけです。今は技術の進歩で、お金さえ出せば商業本以上の本は作れる時代です。逆に商業の本の方が、予算と売り上げの関係で紙で冒険できなくなっている時代です。だったら逆手に取るくらいの気概があったっていいじゃないですか。

    ■本を作るために意識した方がいいこと
    意外と文章同人で意識されていないなと思うのは、最初の一ページ目から本文が始まってしまう本が結構見受けられるという事、一応、本の構成は和書と洋書でちょっとした違いはあるのですがこういうような順番でページは組まれています。
    ・和書の構成
    1. 扉(タイトルページ)
    2. 口絵
    3. 献辞
    4. 序文(まえがき、はしがき)
    5. 凡例(図版目次を次に入れる場合もある)
    6. 目次
    7. 図版目次
    8. 中扉
    9. 本文
    10. 付録
    11. 索引または後書き
    12. 後書きまたは索引
    13. 奥付
    ・洋書の構成
     
     I. 前付け
    1. 前扉
    2. 口絵
    3. 出版履歴、書誌項目、著作権
    4. 献辞
    5. 謝辞
    6. 目次
    7. 図版目次
    8. まえがき
    9. 序文
    10. 中扉
     II. 本文

     III. 後付け
    1. 付録
    2. あとがき
    3. 著者注
    4. 語彙解説
    5. 参考文献
    6. 索引
    太字にしてあるのは、小説本で必要となる最低限の構成要素です。それ以外は省略しても大丈夫な部分です。洋書は参考までに。

    ■版面を意識する
    あなたの持っている商業本(なるべく文庫本以外)をよく見てください。思っているよりも余白は広く取られていると思います。行間もルビを入れても若干余裕があるくらいには開いています。文字というのはギチギチに詰め込んだり、余白が狭いと可読性が下がるからです。本よいくつかピックアップしてみると分かるのですがある一定の傾向が見受けられると思います。

    天(上部)より地(下部)の余白の方が広いとか、ノンブルや柱の本文にはある程度の距離があるとか……。意外とルールに沿って組まれていることがわかります。

    今回は自分のサークルの本『真夜中の雨』の版面を参考に、余白についての解説です(上の図を参照していただければ。クリックで拡大)。余白に関してはウィリアムモリスの法則というものがあります。本来は市のための組み方ではあるのですが、西洋組版などでは意識されているルールです。

    うちのサークルでは完全に守っているわけではなく、和文と縦組みにしたときに読みやすくなるように調整しています。うちのサークルの本は地の余白はそこまで広く取ってはいません。ノドに対し1.5前後の比率になるように納めています。本によっては天と地は同じ広さにしてあるのもあります。

    個人的な意見ですが最低でも一センチは余白をとってほしいと思います(厚さによってはそれ以上)。実際に本を開いてみると分かるのですが、ノド付近は紙を曲げることになるため、そこそこの広さがないと可読性が著しく落ちます。上の図では判読が困難になる部分をグレーにしています。

    小口に関しても本を読む際に親指を乗せても本文に被らない位の余白があるとベター。

    ついでに今回文庫本を参考から外しているのは、特に最近の文庫本は本の最低限の機能だけを持たせているので、狭いスペースに文字を詰め込んだり、余白を過剰に狭くしたり、行間を狭めたりしているので、参考にするのはお勧めしません(昔のはまだいいです、ただ文字が小さすぎるという難点が)。制約が多すぎて、慣れないうちは重大なエラーを起こしやすいです。

    最初のうちは大きめの版面で、色々試してみるといいでしょう。納得のいく版面というのはなかなかできません。基本はトライ・アンド・エラーの繰り返しです。

    ■本のデザインは物語の雰囲気を作る
    文章が上手いからって、小説本は読んでもらえるとは限りません。ただ単純に文字を並べただけというのは、ただそこに文章が存在するだけで、意識的に読もうとしない限り、特別な理由がないと読んでもらえないものです。

    良い本のデザインというのはこの本がどんな物語なのか、明るいのか、暗いのか、重いのか、軽いのか……etc. という印象を増幅させることができます。それでも同じように作ったはずなのに違いが出るそれはどういうことなのか。こう考えるといいでしょう。

    どんなものにも適材適所はある。コーヒーを飲むのに茶道の茶器は不適切なように、本も同じでデザインからにじみ出る雰囲気というのがあります。それに関しては装丁について話す際にもう少し詳しくやりますが、当たり前のことから雰囲気というのは作られます。

    読みやすい版面を作って、書体を選び、表紙をデザインしていくと本の雰囲気というのが出てきます。ちょっとした味付けの違いが劇的な違いを生むのです。次回は本文と書体について語っていこうと思います。