• うにゅほとの生活2151

    2017-10-23 23:5118時間前

    2017年10月23日(月)

    表現しにくい感覚──というものは、存在する。
    痛い、ではない。
    苦しい、とも違う。
    もちろん、快くは決してなく、かと言って耐えがたいほどでもない。
    総合的に"気配"とでも呼ぶしかないその感覚は、言わば風邪の前触れだ。
    ひとつでも不摂生をすれば、いますぐ風邪を引いてやる。
    そんな、体からの最終警告である。
    「──…………」
    「あ、おはよー」
    「おはよう」
    起床し、真っ先に靴下を履く。
    「……?」
    うにゅほが不思議そうな顔をする。
    俺も、うにゅほも、靴下嫌いだ。
    外出時以外は冬でも履きたくない。
    「どっかいくの?」
    「行かない」
    「あし、つめたいの?」
    「そうでもないかな」
    「──…………」
    うにゅほが正面から俺に抱きつき、すんすんと鼻を鳴らす。
    「……かぜのにおいする」
    「もうするか……」
    風邪の匂い。
    うにゅほ曰く、ラムネと何かが混じったような匂いらしい。
    「ますくもってくるから、ねてて」
    「起きたばかりなんですが……」
    「ねれない?」
    「頑張れば」
    「がんばって」
    「はい……」
    相変わらずの甲斐甲斐しさに、申し訳なくなってくる。
    だが、その思考自体が風邪特有の弱気であるように思えて、慌ててかぶりを振った。
    看病してくれる相手がいて、幸福だと思わなければ。
    お返しは、うにゅほが風邪を引いたときにしてやればいい。
    そんなことを考えながら安静にしていたら、夕刻には復調していた。
    だが、まだ油断はならない。
    数日は様子を見るべきだろう。




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  • うにゅほとの生活2150

    2017-10-22 23:44

    2017年10月22日(日)

    風呂上がりのことである。
    「あれー……」
    濡れ髪を左手で撫でつけながら、引き出しを順々に開いていく。
    「なにさがしてるの?」
    「化粧水切れたから、新しいやつ」
    「ふた、あかいやつ?」
    「そうそう」
    「あけてないの、あったきーする」
    「一気に三本買った記憶があるから、どっかにあるはずなんだけど……」
    心当たりのある場所は、すべて探した。
    心当たりのない場所まで探した。
    けれど、
    「──ない!」
    短髪が乾きかけるまで探し回ったのだから、もうないということにしてしまおう。
    「うん、新しいの買ってこよ」
    「いま?」
    「やだよ寒い」
    「だねえ」
    「一日二日化粧水つけなかったくらいで、どうにかなるものでなし」
    そもそも、つけたらどうなるかすら、実はよくわかっていない。
    習慣だから、そうしているだけだ。
    「わたしのつかう?」
    「××の、高そうだし……」
    「そかな」
    母親に貰ったものらしいが、俺の使っていた数百円の化粧水とは容器からして違う。
    「化粧水だけじゃなくて、乳液とかも別にあるんだろ」
    「うん。けしょうすいのあとに、にゅうえきつけるんだよ」
    「……化粧水だけ借りようかな」
    「えー」
    「乳液って、なんかベタベタしない?」
    「ちょっとする」
    「苦手」
    「そか……」
    結局、化粧水だけ借りた。
    数百円の化粧水と、違いはよくわからなかった。




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  • うにゅほとの生活2149

    2017-10-21 23:39

    2017年10月21日(土)

    カチカチッ。
    「……?」
    カチカチッ。
    「あれ、変だな……」
    「どしたの?」
    「フォルダを開いたときのシステム音が鳴らない」
    「しすてむおん?」
    「えーと、カチッて音」
    「──…………」
    うにゅほが心配そうな表情を浮かべる。
    「まうす、かちってなってるよ……?」
    「……言い方が悪かった」
    うにゅほを手招きし、イヤホンを片方渡す。
    「画面見てて」
    「うん」
    適当なフォルダを開く。
    エロ画像のサムネイルが紛れていた。
    「……いまのはいったん見なかったことにして」
    「うん」
    すべてを受け入れ許す微笑みの隣で、今度は確実にそういったもののないフォルダを開く。
    「──いま、不自然じゃなかった?」
    「?」
    うにゅほが小首をかしげる。
    普段からPCを使い慣れていないと、わからないかもしれない。
    「こうしてフォルダを開いたりすると、カチッて音が鳴るはずなんだ」
    「あー」
    「わかる?」
    「したきーする」
    うんうんと頷く。
    「特に困りはしないけど、なーんかイヤな感じ」
    「そなの?」
    「故障とかって芋づる式だから、ひとつおかしいと、もっとおかしい場所があるかもしれない」
    「あー……」
    「……とりあえず、直してみよう」
    「なおせるの?」
    「ネットで調べながら、なんとかやってみる」
    「おー」
    システム音の異常は五分程度で簡単に直ったが、その原因がわからない。
    データのバックアップだけはしておこう。




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