• うにゅほとの生活2086

    2017-08-18 23:399時間前

    2017年8月18日(金)

    「──…………」
    ホームセンターで備蓄用のペプシを購入したあと、自室のベッドに突っ伏した。
    「ねむみがある……」
    「ねむみ」
    「ねむみ」
    「ねむみ、かわいいねえ」
    「響きが?」
    「うん」
    文法としてはガッツリ間違っているのだが、それでもなんとなく通じてしまうのは、日本語の奥深さである。
    「ねずみ」
    「ねずみ?」
    うにゅほが小首をかしげる。
    「ねむみのある、ねずみ」
    「ねずみ」
    「うとうとしてる」
    「かわいい……」
    「次は、××の番」
    「うーと」
    しばしの思案ののち、
    「……みみず?」
    「みみず、可愛いかなあ」
    「ねずみと、みみず」
    「……なんか、急に絵本っぽくなったな」
    「うん」
    「ねむみのある、ねずみと、みみず」
    「とうみん」
    「冬眠だな」
    「つぎ、◯◯のばん」
    「あー……」
    ルールのない言葉遊び。
    意味などないが、それでも楽しい。
    「じゃあ、寝耳に水」
    「ねみみにみず」
    「ねむみのある、ねずみとみみず、寝耳に水」
    「おきちゃうかな」
    「寝耳に水だからな」
    なんだか、絵本が一冊描けそうな勢いだ。
    絵の上手い方、三人で一山当ててみませんか。




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  • うにゅほとの生活2085

    2017-08-17 23:52

    2017年8月17日(木)

    ペプシの備蓄が切れたため、買いに出掛けようとしたときのことだった。
    「──あっ」
    「?」
    「ストラップの紐が切れた……」
    「ほんとだ……」
    愛用の携帯ストラップの松葉紐が、なかばほどで完全に千切れていた。
    「えんぎわるいねえ」
    「逆に、運がよかったかもしれないぞ」
    「……?」
    うにゅほが小首をかしげる。
    「外で千切れてたら、本体部分を落としてたかもしれない」
    「あ、そか」
    「本体さえなくさなければ、松葉紐を交換するだけで済むからな」
    「まつばひもっていうの?」
    「そうだよ」
    「へえー」
    玄関で靴を履こうとして、
    「靴紐が解けてる」
    「──…………」
    うにゅほの表情が、目に見えて翳る。
    「……縁起が悪いのは、靴紐が切れたときだからな?」
    「うん……」
    「解けてるのは、普通だから」
    靴を履き、玄関を出る。
    家の前にある児童公園の向こう側に、小さくカラスの姿があった。
    「……きょう、いくのやめよ」
    「いや、遠い遠い!」
    目の前を横切られたならまだしも、この距離のカラスを縁起が悪いと言うのなら、日本全国どこだって縁起が悪いだろう。
    「気にしすぎだって」
    「──…………」
    俺の上着の裾を握りながら、うにゅほが無言の抵抗を貫く。
    「……はあ」
    溜め息ひとつつき、
    「わかった。行くの、明日にしよう」
    「うん……」
    ペプシを飲まないと死んでしまうわけでもない。
    水でも啜ってやり過ごせばいいだろう。
    「××って、けっこう縁起とか気にするよな」
    「きにする」
    俺はさほど気にならないのに、いったい誰に似たのだろう。
    母親だな、うん。




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  • うにゅほとの生活2084

    2017-08-16 23:42

    2017年8月16日(水)

    「夏休みが、終わりました」
    「──…………」
    「終わってしまいました」
    「はい……」
    「今日から、また、仕事です」
    「がんばって……」
    「頑張ります」
    「!」
    ぴ、と敬礼してみせると、うにゅほも敬礼を返してくれた。
    「……でも、正直、夏休み短いよね……」
    「うん……」
    「一ヶ月とかわがまま言わないから、せめて二週間くらい──」
    そこまで口にして、ふと気づく。
    「……学生みたいに夏休みって呼ぶから、期待はずれな気分になるんだ」
    「?」
    うにゅほが小首をかしげる。
    「社会人にあるのは夏休みではない! お盆休みだ!」
    「あー」
    うんうんと頷く。
    「同様に、冬休みは正月休みとなる」
    「なるほど」
    「夏休みが五日間だと短いけど、お盆休みが五日間なら妥当な感じしない?」
    「おぼんって、それくらいだもんね」
    「──…………」
    「◯◯?」
    「夏休みが欲しい……」
    「……うん」
    「名目はなんだっていいから、二週間くらい休みたいです……」
    「がんばって……」
    「頑張る」
    「うん」
    「頑張るので、ごほうびをください」
    「なにほしい?」
    「膝枕をしてほしい」
    「そんなでいいの?」
    「生足で」
    「なまあし」
    「具体的に言うと、ホットパンツで」
    「きがえるね」
    なんて素直な。
    今日の仕事を終えたあと、うにゅほの生足膝枕を堪能した。
    うん。
    このためならば、頑張れる。




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