• うにゅほとの生活2242

    2018-01-23 23:4613時間前

    2018年1月23日(火)

    「××、届いたぞー」
    「?」
    「じゃん」
    片手で抱えていたダンボール箱を、うにゅほの眼前に差し出した。
    「あ!」
    うにゅほが目を輝かせる。
    「おもちゃのかんづめだ!」
    「イエース」
    「あけていい?」
    「いいよ」
    うにゅほ待望の、金のキョロちゃん缶である。
    丁寧に包装を解いたうにゅほが、箱から金色のキョロちゃんを取り出した。
    「おー……」
    「思ったより大きいな」
    「うん」
    「撫でたら喋るんだっけ」
    「しゃべるよ」
    うにゅほが、キョロちゃんの頭を撫でる。
    「──…………」
    「──……」
    「喋らないな」
    「しゃべらない……」
    「貸してみ」
    「うん」
    キョロちゃんを受け取り、いじり回してみる。
    「あ、開いた」
    「!」
    あっさりと首が外れ、中身が覗いた。
    「おもちゃのカンヅメだけに、ちゃんとおもちゃも入ってるんだな」
    「ほんとだ……」
    「中身、全部機械かと思ってた」
    「わたしも」
    考えてみれば、喋るだけの人形に、それほど大仰な機構は必要ない。
    「あ、わかった。くちばしの裏だ」
    「うら?」
    「ここに電池ボックスがある」
    「でんち、いる?」
    「いや、だぶん──」
    電池ボックスから飛び出ていた絶縁シートを抜き取る。
    すると、
    『クエックション!』
    「わ」
    キョロちゃんの生首が、くしゃみをした。
    「くびだけでも、しゃべるんだ」
    「頭じゃなくて、くちばしがボタンになってるみたい」
    うにゅほが、恐る恐るくちばしを撫でる。
    『チャンキュー!』
    「おー……」
    「とりあえず、首を嵌めとくか」
    「うん」
    それから、しばらくのあいだ、キョロちゃんの甲高い声が自室に響き渡っていた。
    「♪」
    どうやら気に入ったらしい。
    ちょっとうるさいけど、楽しそうだからいいか。




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  • うにゅほとの生活2241

    2018-01-22 23:45

    2018年1月22日(月)

    「はー、さぶさぶ……」
    午前九時に起床し、暖房の効いていないリビングで朝食をとる。
    朝食は、ベーコンエッグだった。
    うにゅほは、俺の好みの焼き加減を熟知している。
    多くの人は焼き過ぎと感じるだろうが、完熟好きの俺にとっては最高のベーコンエッグだ。
    「ごちそうさま」
    と、手を合わせる。
    「おそまつさまです」
    「美味しかった」
    「うへー」
    うにゅほの頭をぽんと撫で、食器を片付ける。
    「あ、わたしあらう」
    「いいよ、悪いし」
    「でも」
    「フライパンも洗えばいいのか?」
    「うと、フライパンは、キッチンペーパーでふく……」
    「じゃあ、そっちは頼むな」
    蛇口をひねり、水を出す。
    流水で大まかな汚れを落とそうとして、
    「──!」
    まだなかばほど寝ぼけていた脳が、一気に覚醒した。
    痛い。
    痛い。
    冷たいという感覚を通り越したのだと、経験が教えてくれる。
    このところ、寒さが厳しいものなあ。
    「……ふう」
    だが、洗わないわけにも行くまい
    痩せ我慢して食器を洗い、両手を擦り合わせる。
    「はー、つめたつめた!」
    「ごくろうさまです」
    「××も、母さんも、あかぎれたりしないのか?」
    「あかぎれ?」
    「……しもやけ?」
    「しもやけ……」
    「水が冷たすぎて、手が荒れたりしないのかなって」
    「うん。おゆであらうから、だいじょぶ」
    「あー……」
    お湯を出せばよかったのか。
    「……えい」
    「ひや!」
    冷え切った両手で、うにゅほのほっぺたをこねる。
    「ふめはい……」
    「あっためて」
    「ふん」
    もちもち。
    しばらくほっぺたで温めてもらうと、ようやく指先の感覚が戻ってきた。
    真冬の水場にご注意を。




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  • うにゅほとの生活2240

    2018-01-21 23:44

    2018年1月21日(日)

    「しかし、早いもんだなあ」
    壁掛けカレンダーに目をやりながら、呟く。
    「2018年が始まってから、もう三週間も経つんだから」
    「そだねえ……」
    「今年もいろいろあったなあ」
    「もう?」
    俺の言葉に、うにゅほが苦笑する。
    「実際、一月はイベント多いからな」
    「おしょうがつと、◯◯のたんじょうび、あるもんね」
    「まあ、そのせいで太ったわけだけれども……」
    自分の脇腹をつまむ。
    腹に贅肉がつきにくい体質なのだが、それでも幾分かは分厚くなっている。
    「問題です」
    「はい」
    「二月と言えば?」
    「せつぶん!」
    うにゅほが元気よく答えた。
    「……先にそっちが出てくるか」
    「?」
    うにゅほが小首をかしげる。
    「せつぶん、バレンタインよりさき……」
    たしかに。
    「二月はそのくらいかな」
    「うん」
    「三月は?」
    「うーと、ホワイトデー」
    「三月は──」
    まあ、そのくらいだろう。
    そう言いかけて、
    「あと、おとうさんのたんじょうび」
    「……あー」
    「あー?」
    「いや、忘れてないぞ。忘れてない」
    意識にのぼらなかっただけで。
    「──…………」
    ほんとかなあ、という視線を一身に受けながら、言葉を継ぐ。
    「ほら、次は四月だ」
    「うん」
    こんな調子で、十二月までのイベントをふたりで並べ立ててみた。
    言葉にすれば、楽しみになるものだ。
    2018年も、きっといい年になる。
    そんなことを思うのだった。
    フラグじゃないぞ。




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