• うにゅほとの生活2328

    2018-04-21 04:043時間前

    2018年4月20日(金)

    「ただーいまー……」
    時刻は午前三時。
    友人と飲みに行き、たったいま帰宅したのだった。
    しんと静まり返った屋内で、自室の扉のみが薄明かりを漏らしている。
    やはりか。
    まあ、そうだよなあ。
    飲みに行くたび先に寝ていてほしいと伝えるのだが、素直に床に就いていた試しがないもの。
    「──…………」
    物音を立てないように、ゆっくりと扉を開く。
    すると、
    「……ふすー……」
    寝間着姿のうにゅほが、掛け布団の上で眠りこけていた。
    実にあられもない寝相だ。
    具体的には、がに股でうつ伏せである。
    春先とは言え、深夜は冷える。
    下敷きになっている布団の代わりに半纏を掛けてやると、
    「──は、ふ」
    呼吸の乱れと共に、うにゅほが目を覚ました。
    「……おはようございます」
    「おあよう……」
    しばし眠そうに目をしばたたかせたのち、うにゅほが口を開く。
    「◯◯、おかえり」
    「ただいま」
    「いまなんじ?」
    「秘密」
    「?」
    うにゅほが壁掛け時計を見やる。
    「……さんじ!」
    「はい……」
    「◯◯、じゅうにじくらいにかえるっていった……」
    「言いました」
    「なんじ?」
    「三時です……」
    「のみすぎ、だめだよ」
    「すみません」
    「もー……」
    溜め息ひとつ。
    「はやくねよ」
    「いや、日記を書かないと……」
    「──…………」
    「──……」
    「にっきかくまでまってるから、ねよ」
    「急いで書きます」
    そんな会話を交わしてから、およそ三十分。
    うにゅほは再び夢の世界へと旅立っていった。
    さっさと仕上げて、俺も寝よう。




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  • うにゅほとの生活2327

    2018-04-19 23:472

    2018年4月19日(木)

    「暇だな……」
    「ひまなの?」
    「実を言うと、20日までにしなければいけないことが、あった」
    「あった」
    「もうない」
    「なくなったの?」
    「いや、もう終わったの」
    「はやい」
    「早くもないけどな」
    むしろ、ギリギリだ。
    「エアロバイクでも漕ごうかな……」
    「ひさしぶり」
    「一週間くらい漕いでなかった気がする」
    「うん」
    「毎日──は、無理でも、二日に一度──は、目標として、三日に一度はなんとか……」
    「そう……」
    苦笑されてしまった。
    廊下の片隅にあるエアロバイクを運び込み、デスクの前にセットする。
    「さー漕ぐぞ!」
    「がんばってね」
    表示パネルの走行距離をリセットし、いざ漕ぎ始める。
    「──あれ?」
    一分ほど漕ぎ進めたあたりで、表示画面がおかしくなった。
    漕ぐたびに点滅し、走行距離がゼロに戻ってしまう。
    「どしたの?」
    「電池、切れたかも」
    「えあろばいく、かっていちねんくらい?」
    「一年ちょっとかな」
    「じゃあ、でんちかも」
    「換えてみるか」
    「たんさん? たんよん?」
    エアロバイクを降り、表示パネルの裏側を調べる。
    「単四」
    「たんよん、たしか、ひきだしのここに──あった!」
    「さんきゅー」
    うにゅほから単四電池を二本受け取り、交換する。
    「お」
    「なおった?」
    「液晶の数字の色が、めっちゃ濃くなった」
    俺が気づかなかっただけで、電池切れの傾向は以前からあったらしい。
    「えあろばいく、がんばってね」
    「頑張ります」
    時速20kmで、一時間。
    気が向けば明日も頑張りたい。




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  • うにゅほとの生活2326

    2018-04-18 23:40

    2018年4月18日(水)

    映画「ドラえもん のび太の宝島」を観に行ってきた。
    シアタールームに入り、周囲を見渡す。
    「今年も貸し切りか」
    チケットを購入した時点でわかっていたことだが、誰の姿もない。
    「◯◯、ここ! いーのごと、ろく!」
    うにゅほが機嫌よく指定席に座る。
    「んー……」
    「?」
    「思ったより席が低いな。二段くらい上に移動するか」
    「いいの?」
    「誰もいないし」
    「そだね」
    見やすい位置に移動し、ポップコーンをつまむ。
    「たしか、去年Lサイズ選んで後悔したから、今年はMサイズにしたけどさ」
    「うん」
    「……Mでもでかいな、ここのポップコーン」
    「たべきれるかな……」
    「なんとかする」
    去年もなんとかなったのだし。
    そんな会話を交わしていると、
    「あ、くらくなった」
    「NO MORE 映画泥棒の時間だな」
    「あたまビデオのやつ?」
    「そうそう」
    貸し切り同然のこの状況だと、撮影し放題のような気がする。
    しないけど。

    ──二時間後、

    「──…………」
    「──……」
    うにゅほが袖で目元を拭う。
    「……普通に号泣してしまった」
    「うん……」
    「めっちゃ面白かったな……」
    「うん……」
    物語の導入こそ南海大冒険を彷彿とさせるが、中身はまったくの別物だ。
    「ここ数年の大長編で、いちばん面白かったかも」
    「うん……」
    「××」
    「?」
    「トイレで顔洗おうな」
    「◯◯も……」
    「そうする」
    帰り際、いつものジェラート屋に立ち寄った。
    大満足の一日だった。




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