• 絵を描き始めたらまずは線を引く練習をすればいいんじゃないのか

    2013-06-01 11:19112


    さて絵を描いてみようと思ったとき、「じゃあまず何からはじめればいいの」 と迷うこともありましょうが、まずは線を引く練習をしてみると良いと思います。

    ■効能

    ・数学的にシンプルな図形なので想像、確認がしやすい

    直線が一体どういうものであるか、分からない人は少ないと思います。たとえば複雑なイラストを模写したり、対象物をスケッチしようとすると、対象物と自分が描いたモノがどう違うのか把握するのは 結構大変ですが、直線ならば平行か平行でないかなど把握がしやすく迷うことがありません。

    絵を描くことにおいて、想像→実際に描くという過程は非常に 重要ですが、そのトレーニングの第一歩として線を引く練習は 非常にとっつきやすいと思われます。

    ・いかなる絵を描く上でも線は必要となる

    極端なことを言えば「俺は一生カラーをやらない」と決めた人には 色の知識というのは不要ですが、線を使わない絵というのは少なくとも漫画絵においては存在しないのではないでしょうか。 そういう意味では、線を引く練習をすることは漫画絵を描く人間ほぼすべてに有用であると思います

    ・フリーダムな手の動きと、絵に求められる手の動きの ギャップを埋めるトレーニング


    図01
    図01のように、手の自然な動きを使えば誰でも勢いのある滑らかな線が引けるわけですが、


    図02
    実際には図02の赤線のようにそのような手の自然な動きに反した線が多様に存在します。 つまり、絵を描く上では手の自然な動きで引ける線だけでは足りないのですが、当然普段行わない動きはトレーニングしなければ使えるようにはなりません。また文字を書く動きなどとも違います。 そういうわけで「正誤の基準が明確な対象で」「普段しない動きをトレーニングする」 直線の練習などは絵の初学者には役に立つものと思います。

    ■実際のやり方

    説明動画



    ●直線を引く練習

    ・大き目の紙を用意

    ・定規でまっすぐな基準線を引く

    図03


    ・それに平行な線をフリーハンドで引く

    図04

    基準線から遠くなってきたらまた基準線を引きなおすと良いでしょう。長い線を引く場合、手首ではなく主に肘の動きを使って引きます。


    ●曲線を引く練習

    ・曲線を雲形定規などで引く
    雲形定規でなくても何か工業製品などで滑らかな曲線を持ったものであればかまいません。

    図05

    ・それに平行な線をフリーハンドで引く

    図06

    直線と違って曲線の場合は手首の動きも関わってきます。

    ●円を描く練習

    円をテンプレートなどで描く
    無かったらCDでも何かの蓋でも丸ければ何でもかまいません。

    図07


    ・それの同心円を描く

    図08

    おそらく一筆で描くのは無理です。五分割ぐらいで描いて見ましょう。 小さい紙の場合は、紙を回して描きやすい方向にしても良いでしょう。


    ●短い線を描く練習

    ・基準と成る直線を定規で平行に二本引く

    図09


    ・基準線の間隔で、基準線に直角に、短い線を等間隔に平行に引く

    図10
    短い線の場合、手首以下の動きで引くことになります。


    ●悪い例

    ・基準線に平行ではない
    図11


    ・線が波打っている
    図12
    ・短い線をつなげている
    図13


    ■引きやすい線の方向について

    人間の体の構造上、引きやすい線の方向が存在します 。



    右利きの人の場合、左下から右上に引くのが引きやすいかと思います。ですので、ペン入れなど特に線の精度が要求される場合は引きやすい角度を使うのがやりやすいと思います。またそのために引きやすい方向に紙を回すこともよく行われます。



    ■自然な手の動きを利用する

    図14

    図14のようなイラストを描く場合、



    図02
    上の方で図02で説明したように、赤線の部分のような
    曲線は、手の自然な動きで描くことは難しいわけですが、

    図15
    図15のような曲線は、逆に手の自然な動きで描いたほうがむしろ綺麗に楽に
    引けるでしょう。

    上で直線の練習をしましたが、実は直線を描く動きというのは
    線を引く動きのなかで一番手の自然な動きからかけ離れた動きといえます。
    それゆえ手のコントロールの練習として行う意味も有るのですが、実際の
    イラストを描く場面においては、手の自然な動きで描ける曲線も
    積極的に使っていったほうがより楽に綺麗に描けるでしょう。


    ■絵を描く行為を言葉で記述することについて

    ここまで線を引く練習について説明してきましたが、必ずしも 手や腕の動きはたまたそのときの脳の動きまで細かく説明はしてきませんでした。 人間には学習能力があるので、「直線という基準に合わせる」という課題に対する試行錯誤の中で自然に学んでいくだろうからそこまで書かなくても良いし、 また細かい筋肉や神経の動きまで書ききれないし、描いてる本人も分からないし、書いても理解しきれないのではないかと思われます。

    ですのでポイントを絞り後は各学習者が試行錯誤のなかで補完していくのが良いと考えるのですが、 技法書の中にはあまりにも絞りすぎあるいは書き言葉が得意でないのか、過度に説明不足になっている記述も見られます。 俗に「ガシガシ描きます」問題というやつですが、そういう記述を見て「やはり絵を描くことは言葉になんか出来ないんだ」という風潮も見られますが、そんなことを言ったら、料理、スポーツ、音楽その他の 運動技能に関して言葉で説明することが不可能ということになりますし、 上で説明したとおり、確かに全部を記述は出来ないが、ポイントを絞って後は学習者が補完するようにすれば限られた紙面の中でも有用な記述をすることが可能だと思います。 また料理本などはそうでしょうが、基本的な動きは別なところで学んでもらい、応用編ではその基本は省略というやり方もあるでしょう。

    しかし、上で学習能力と書きましたが、その能力に個人差があるのも 事実であり、「凡人のため」と銘打っている以上はその点に関して考慮する必要が有ると考えています。今回の説明でもまだ足りないということもあるでしょうから、何か不明な点に関しては指摘していただければと思います。

    上で凡人云々と書きましたが、決して自分が学習能力の高い逸材と考えているのではなく、感覚で描いている人の足りない説明に苦しめられてきた一人でも有りますので、 この「ガシガシ描きます」問題については後ほど取り扱う予定です。



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  • ベクトル模写で達人の形(かた)を体得する

    2013-04-30 17:4348

    ■ベクトル模写とは

    ベクトル模写とは私が人様のメソッドノウハウを参考に、自分の経験から
    当ブロマガ筆者自身が独自に編み出した練習法です。
    若干中二病臭い名称ですので発音するのが恥ずかしいのですが、
    自分の中で定着してしまったのでコレで行きます。
    ともかくどういう練習法かといいますと、

    ・模写元に流れを見出しそれを「思い出し模写」を交えて覚える
    ・模写元のエッセンスの大体こんな感じというのを覚える

    というものです。

    ■いきさつ

    模写は古来から絵の学習法の定番のひとつですが、 当然私も模写にいそしんできました。
    模写を行うことで、一定の効果は有りました。 実際の「絵」を描くにあたってどうやって
    絵にするかという方法を、作品の模写を通して注視しなぞることにより
    学習できた気がしますし、 実際熱心に模写したあとに上達したという実感がありました。

    しかし、どうも模写したにも関わらず覚えていない領域があるとも感じていました。

    ・動きのある絵を細密に模写

    ・よっしゃ次から動きのある絵をバリバリかけるぜ

    ・実際描いてみる

    ・あれ、あんまり描けてない……

    上記のようなことを繰り返しているうち、 どうも完全模写では表層処理を(体得では無く)
    学ぶことは出来ても その絵の芯のようなもの、構造までは体得できていないのではないか、
    という 気持ちがわいてきました。

    そんな中、シルエットラインによる描法JNT式ブートキャンプ、デッサンで言うところの
    ムーブマン等を見ながら、 どうも模写対象の芯を体得するべきなのではないかという
    考えにいたったわけです。



    ■具体的なやり方

    ・好きな絵を選ぶ

    なるべく自分より上手いと思う絵で、自分にない要素を含んだ絵、
    そして、自分もこんな絵が描きたいと思う絵を選びます。



    「キャラに生命を吹き込むイラスト上達テクニック」P20より

    動きのある絵がなかなか描けないという思いが有ったので、
    このイラストを選んでみました。


    ・ベクトル(その他骨格、シルエット等)を見出す

    大きなベクトル小さなベクトル
    骨組み円形構造
    シルエット普通の模写もします

    上記画像に示したように、イラストに潜んだ大きな流れや、
    絵のポイントを見出します。
    「勝手に見出していいのか?」という疑問があるかもしれませんが、
    私が勝手に考えた練習法ゆえに誰もやってくれないので仕方がありません。
    また、この練習で覚えたいのは
    大体のところ
    なので、それほど厳密にする必要も無いと考えています。
    しかし、まったく絵に関してゼロの人が、絵から要素を抽出するというのも
    無理な話かも知れないので、ある程度ほかの練習を積んで
    多少絵が分かってきたところでやったほうがいいのかもしれません。

    ここで使われているベクトルとか言う電波的な言葉をもう少し
    説明すると、たとえば上記画像の大きなベクトルの場合、
    投げ出された腕や足に大体どんな方向感があるのか、
    体幹と手足の方向の関係はどうなっているかを線で示したものです。


    ・模写、思い出し模写を繰り返して覚える

    各要素について
    模写→思い出し模写を1セットとし、それを5セット行う、
    つまりある要素を計10回描きます。
    模写は模写元を見ながら描くこと、
    思い出し模写とは、模写元を一切見ずに記憶を元に模写元を描いてみることです。



    おそらく思い出し模写をすると驚くほど覚えてないことに気づき
    絶望感が襲ってくると思いますが、
    To Really Learn, Quit Studying and Take a Test
    (真の学習のためには勉強をやめてテストを受けよ)
    の記事によりますと、テスト(この場合は思い出し模写)、すなわち
    本当に覚えたかどうかを試されることを行うと
    より効率的に学習するのだそうです。
    記事中にもありますが、テストの結果自分がまったく覚えてないことを
    認識させられると絶望的な気分になるのですが、
    そのこともまた学習の効果を上げるために必要らしいので
    我慢しましょう。


    ・エビングハウスの忘却曲線に従い1、3、5、7、9日後に復習する

    上記の練習をある日に行ったら、日を置いて再度行います。
    復習間隔は徐々に開け、1、3、5、7、9日後に行います。

    例:
    1回目05/01
    2回目05/02(次の日の復習が一番大事なので何が起きても行う)
    3回目05/05
    4回目05/10
    5回目05/17
    6回目05/26


    エビングハウスの忘却曲線とは、簡単に言うと、
    人間は覚えたことをどんどん忘れるけど、一定間隔で復習すると再び思い出し、
    その復習間隔は徐々に広げてもOKだし、一定回数一定期間復習すると
    今度はなかなか忘れなくなる
    という理論です。
    この理論については後ほど書きたいと思いますが、
    こうやって計画的に練習することにより、
    思い出したときに一度きりやる→結局忘れる
    のような悪いパターンを避けられます。


    ・サインペン、筆ペンなどの消せない画材を用いて行う

    上記の練習は、サインペンなどの消せない画材で行います。
    消せない画材で行う効能は、
    ・ちゃんと記憶して無いとすぐめちゃくちゃになるので、覚えてるかどうかがチェックできる
    ことです。

    「PCで消しゴムツールを使わず行ってもよいのか?」と
    以前質問を受けましたが、正直分かりません。
    私はコピー用紙と筆ペンで行っています。
    紙とペンの方が甘えを排して行えるような気がしますが正直気分の問題の気もします。
    お絵かき挫折者の皆さんの部屋には、勢いで買ったコピー用紙が
    山になっていることと思いますので、この際がんがん消費しましょう。


    ■ベクトル模写の効果

    ・表層ではなく、芯を覚えるので、自分の絵に猿真似でない形で応用できる

    大塚英志の本に、「他人そっくりの絵を描けるのになぜかオリジナルの絵がまったく
    描けない」 人の話が出てきます。これは極端な例ですが、 模写してまったくそのままを
    自分の絵に使うわけには行きませんが、 芯の部分なので表層は自分の絵を盛り付ければ
    オリジナルにも応用可能です。

    ・自分の発想にない達人の芯の部分を会得できる

    たとえば上記参考例のような動きのある絵は、私の発想から普通にやってても
    なかなか出てこないわけですが、達人の形そのものをとにかく記憶することにより
    新たな発想が自分の中に形作られる気がします。


    出来ないこと、欠点

    ・表層の仕上げを覚えるにはやはり完全模写の方がよかろう

    細部の仕上げや、色塗りなどあまりにも情報量が多すぎて細かすぎることは
    繰り返しで記憶するのも大変ですし、 また覚える必要も無く
    そのつど参照すればいい部分もあるとは思います。

    ・死ぬほど疲れるのと、あまりにも要素抽出的過ぎるので
    絵を描いている気がしなくなる →続かない

    実際やって見るとものすごく疲れます。 特に同じ意味不明な図形を繰り返し
    描いていると頭がおかしくなりそうになります。


    ・他人にやっているところを見られると発狂したと思われる

    今のところ私が考えた独自理論に過ぎなく、また他人から見るとまったく
    何を行っているのかわからないのでやっているところをあまり他人に
    見せないほうがよろしいかと思います。


    ・俺の独自理論、ベスト・キッド式の危険性

    「ベスト・キッド」という映画で、窓拭きを行っているうちに自然に
    空手の形を覚えて強くなった、などという描写があります。
    本当にそんなことがあるのかはなはだ疑問なわけですが、 絵の世界でも、
    絵そのものを描くのではなく何か怪しげなことを行っているうちに
    絵が上達するなどという練習法がまことしやかに結構広まっています。
    実際問題この練習法は、私ネコ缶が独自に編み出し、また行い始めてから
    日も浅いので、実証性に乏しいですから試す場合は時間をドブに捨てる
    覚悟でお願いします。


    ■ビフォアアフター

    最後に、コレとは別に行っている練習である、
    一発絵(サインペンなど消せない画材で 好き勝手に絵を描く)において、
    動きのある絵を描こうとしたとき、
    ベクトル模写練習前と後で変化したかどうか載せてみます。
    果たして練習によって動きのある絵を少しは描けるようになっているでしょうか。


    ビフォアー




    アフター






  • 自己紹介-当ブロマガの筆者について

    2013-04-27 22:13