• このエントリーをはてなブックマークに追加
為替市場動向~米金利上昇でもドル安~
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

為替市場動向~米金利上昇でもドル安~

2018-02-02 00:36
    3054ea70c76149a130c37dcbe5721cd2_s.jpg


     2018年入りした市場は、投資家のリスク選好が高まりと共に始まり、株高、ドル安、債券安(利回り上昇)が進みました。
     ここ数日は月末要因という一時的な要因なのか?トレンド転換なのか?見極める必要があるとは思いますが、債券利回りの上昇を主な理由にして株式市場が大きな反落を見せました。

     余談ではありますが、今日1月31日は特別の満月(スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン)、皆既月食であることと関係あるのかないのかは不明ですが、株式の新年ラリーを中心にしたリスク選好相場に修正が入っても不思議ではない頃なのかもしれません。


     まずは、米国債利回り上昇から見ていきたいと思います。

     2016年トランプ氏が米大統領に当選後に、財政への影響を見て米債10年物利回りは2.6%台をつけましたが、その後は大型のインフラ投資等の政策の実現性への期待が低下して一時は2.1%割れまで利回りが低下する場面もありました。

     その間、イエレンFRB議長は金融政策の正常化を粛々と実行して短期金利は上昇。拙コラムでも何回か話題にした2年債と10年債の利回り縮小がかなり進んだ経緯があります。背景にあったのは、インフレ見通しが低下して長期金利が上昇しない間に短期金利が上昇したというのがありました。
     その間、10年物利回りは上昇しても2016年の2.6%水準を上回ることはなかったのが、新年に入ってからは、あっと言う間に2.6%を超え、直近2.72%迄つけています。
     これが債券利回りの本格的上昇へのトレンド転換なのか見るには、もう少し様子を見る必要があると思います。

     債券上昇の主な背景には、米国経済の好調さ、トランプ減税が実現したこともあります。また、原油価格がじりじりと上昇。節目とみられたWTI60ドル/バーレルを超えてきたことも背景の一つとも言えます。

     それ以上に考えられるのが、海外要因かと想像します。

     昨年は欧州中銀が量的緩和政策を徐々に正常化するスケジュールを出し、昨年末あたりから(異次元緩和長期化とみられていた)日銀も出口戦略に向けての動きを市場が感じ始め、世界の資金の流れの変化に敏感な投資家に衝撃を与えたのではないかと思います。

     では、ドル金利が上昇しているのに、なぜドル安?という疑問が出ます。

     昨年末から直近までの対米ドル主要通貨パフォーマンスでは、韓国ウオン以外の通貨はすべて上昇(ドル安)。特に、原油高でノルウエイクローネなどの資源国通貨高、金融政策正常化への期待での資金回帰でユーロやカナダ・ドル、英ポンドでドル安傾向が顕著に見られます。
     また、米国のインフレ傾向が高まるとの期待が高まれば、インフレによる通貨価値の低下によるドル安も考えられます。

     更に、今年は米国の中間選挙の年。ダボス会議での米財務長官ムニューチン氏のドル安が好ましいという趣旨の発言(後日、トランプ大統領や本人からもフォローする発言がありましたが)は本音であろうと推察する人は大方だろうと思います。

     1月のドル円相場は、112円69銭に始まり、高値113円39銭、安値はムニューチン発言後の108円28銭で、ローソク足の月足は余程のことがない限り陰線引けになりそうです。
     チャートを見ると、このレンジは、昨年のレンジ内にあり、昨年来ドル円相場は200日移動平均の上に辛うじて位置して動いてはいます。

     今後の注目点は、引き続き日銀の動向ではないかと思います。その日銀の人事は、3月19日に副総裁、4月8日に総裁が任期を迎えるので、近いうちに人事についてのニュースが聞こえてくるのではないでしょうか。黒田総裁継続が大方の予想なので、異なる場合には市場は右往左往するでしょう。


     昨年来、ドル安を引っ張っているのは、ユーロです。

     先週の欧州中銀ECB理事会を機に、ユーロ高は進みました。昨年12月1.17~1.19が主なレンジで、今年初は1.20水準からスタートしたユーロは一時1.25台もつけました。
     1月25日の理事会後のドラギ総裁の発言では「2018年に利上げ可能性はほぼない」もありました。発言の趣旨は急激に進んだユーロ高へのけん制だろうと見られます。
     ただ、年初公表のECB議事要旨発表以降の市場ではECBの金融政策へのタカ派色を見る向きが多く、暫くは、ユーロ高進行でけん制発言で反落するも下値は買いが入るという基本的な展開かと予想します。ただ、ユーロ高もポンド高も急激に進んでいるので、どこかで大きく修正場面があっても不思議ではないと思います。


     今週は、本日の米大統領一般教書演説、1月のFOMC(無風通過が大方の予想)2月2日には1月の米国失業率速報が発表されます。米国のFRBも2月には新しい議長を迎え、3月のFOMCに注目が集まっていくことになるでしょう。


     新年早々に大きな動きがあった1月から2月へと。動きが大きかっただけに、反動も予想されます。起こっていることを冷静に見極める時期かもしれません。

     最後までお読みいただき、ありがとうございました。

     どこも寒いですね。
     風邪、インフル流行っていますので、体調管理にお気をつけください。

    ※1月31日東京時間12時執筆
     本号の情報は1月30日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
     なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。