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為替市場動向~新年波乱の幕開け~
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為替市場動向~新年波乱の幕開け~

2019-01-19 01:46



     2019年が明けて、半月が経ちました。
     今年も変わらず、よろしくお願い申し上げます。


     亥年の正月。私が住む地域では穏やかな天候に恵まれた三が日、例年通り、初詣や箱根駅伝観戦で過ごしましたが、新年幕開けの海外マーケットの波乱っぷりに目が離せませんでした。

     まずは、波乱の正月の動きを振り返りつつ、今後の注目点を見ていこうと思います。


     1月2日の中国やアジア各国のPMI(製造業購買担当者指数)の悪化を受けての景気鈍化懸念。3日には、アップルの業績下方修正による『アップルショック』、米国の芳しくない景況感が現れたISM製造業景況指数等の経済指標も重なり、リスクオフでの株安、円高に。新年の板の薄いマーケットの中、ドル円相場は瞬間104.87という8カ月ぶりの104円台示現。

     その後は、4日のパウエルFRB議長が金融政策ハト派発言や12月の米国雇用統計が予想以上に堅調だったこと、米中貿易協議への期待、12月のFOMC議事録でハト派優勢が示されたことなどから、昨年末から今年の正月にかけてのリスクオフは、先週までよりも若干弱まった感はあります。

     また、日本の連休明けの昨日は、中国の減税政策表明を株式市場は好感したものの、今朝は、英国の大差でのEU離脱案否決はリスク要因に事欠かない今年を表しているようです。もっとも英国の離脱案否決は事前予想通りではあるものの、予想以上の大差だったことは、今後の政策運営の難しさが表れているように思います。


     直近の話題なので、英国のEU離脱について見ていこうと思います。

     今回の否決は、最もリスクある合意なき離脱「ノーディ-ル」とイコールではなく、今後は否決後3日以内に今後の行動計画を議会に提出することになる予定とされています。
     「ノーディ-ル」を回避するために、政府は離脱期日の3月29日をEUに延期申請する可能性が最も高いとされています。この場合、一旦は好感されるでしょうが、問題の先送りに過ぎず、EUが再交渉はしないとしていることから、今後も議会交渉は難航されると予想されます。
     加えて、メイ首相が、期日延期を政府内で決めることができない、EU側が受け付けないとなると3月29日に「ノーディール」のまま離脱というリスクシナリオもあり得るますので、今後もドタンバタンしそうです。
     まずは、今回、議会否決した1月15日から3日間の動向が注目されることになります。

     また他方、国民投票をやり直して「NO BREXIT!」の声もあがっているようですが、現在の世論調査では賛否の差がそれ程ない状況なので、実施の可能性は低いと見られます。

     英国の通貨ポンドは、昨日の議会採決前は大きく売られたものの、否決後は買い戻されました。今後の展開次第では、ポンド相場の上下変動が激しくなることも予想されます。


     さて、昨年2018年に金融政策の中立化を目指して4回の利上げを実施した米国のFRB。
     米国の金融政策は、資本市場に大きな影響を与えますので、今後の焦点をチェックしてみたいと思います。

     注目点は、
    1)今後の利上げについて
    2)バランスシート縮小
    が挙げられます。

     2点とも米国の景気動向により、その景気動向を左右する大きな要素は「米中貿易戦争」の今後があるでしょう。別の観点からも、中国経済の動向から引き続き要注意かと。

     1点目の利上げについては、年初に公表された12月18~19日実施のFOMC議事録では、2019年の利上げ予想を3回から2回下方修正、2020年は1回としていましたが、その後の相場を経て、年初のパウエル議長の発言からは、2019年は据え置きが最も高い可能性ではないかと推測されます。
     直近の、エコノミストによる金利予想では、2019年後半以降、利下げ確率を予想する向きも僅かながら現れてきてはいます。これは1か月前には見られませんでした。

     2つ目の注目点はバランスシート縮小についてです。
     FRBは、金融正常化の一環としてバランスシートの縮小を粛々と行ってきましたが、今後、景気動向次第では、縮小ペースを緩和する可能性、再投資再開の検討などもあるかもしれません。

     一方、欧州中銀は、今年夏から秋にかけて利上げも?と見られていましたが、直近では政策金利の先物レートには、2020年春以降あたりから利上げが織り込まれています。背景には、中国が大きな輸出先であるドイツのPMIなど景気指標の低下によるものが最も大きいでしょう。その他、フランスの状況も良くないです。

     通貨ユーロは、年初にはドル安を受けて買われる場面もありましたら、上下とも動きにくい展開が続いています。


     最後にドル円相場については、値幅が小さかった昨年が明けて、年初の乱高下にハッとしましたが、その後は108円台を中心に上値重く、下値も底堅い印象です。米国の利上げがピークアウトし、ドル相場も昨年暮れでピークアウトしたのでは?という印象もありますが、昨年に引き続き方向性と勢いに欠ける可能性もあるかもしれません。


     さまざまなリスク要因が懸念される2019年。

     今年の干支・亥は「猪突猛進」という四文字熟語に表され、亥の年の相場格言には「亥固まる」があります。今年も起きている事象と背景としっかり観察して、冷静な行動に努めたいと思います。


     最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    ※1月16日東京時間13時執筆
     本号の情報は1月15日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
     なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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